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2013年 第133年会日本薬学会 (横浜) ポスター 優秀発表賞受賞
組 織 委 員 長 松 木 則 夫 日 本 薬 学 会 第 一 三 三 年 会 平 成 二 十 五 年 三 月 三 十 日 表 賞 を 授 与 し ま す よ っ て こ れ を 表 彰 し 、 優 秀 発 を 行 い ま し た 年 会 に お い て 優 れ た 研 究 発 表 あ な た は 日 本 薬 学 会 第 一 三 三 南 状 知 尋 殿 優 秀 発 表 賞 質量分析計を用いた神経細胞接着分子 L1 (L1CAM) の 糖鎖修飾構造の解析 29pmC-215 Mass spectrometric characterization of the glycosylation sites and pattern of neural cell adhesion molecule L1 expressed in murine brain (徳島文理大学・香川薬学部・薬物治療学) ○ 南知尋, 渡邊正知, 伊藤康一 ○ Chihiro Minami, Masatomo Watanabe, Kouichi Itoh (Lab of Mol & Cell Neurosci, Neurosci Kagawa Sch of Pharmaceutical Sci, Sci Tokushima Bunri Univ.) Univ ) 要旨 L1CAM の糖鎖結合部位の同定 L1CAM tryptic fragments 1600 1800 2000 Intensitty (%) S Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ 細胞膜 1600 1800 2000 COOH 100 100 80 80 IgG IP: Rabbit pAb-L1CAM (pAb-L1Y3) 1st Ab: Goat pAb-human L1CAM 2nd Ab: anti-Goat IgG (HRP-labeled) Detection: Supersignal West Pico 2200 IP: pAb-L1Y3 Detection: SYPRO Ruby staining 2400 m/z 糖ペプチドの精製 精製した L1CAM は、5% SDS-PAGE にて分離後、トリプシンを用いゲル内で 消化した。トリプシン消化したペプチド断片は、Speed Vac で完全に乾燥させ、 Solution A (1-Butanol : Ethanol : DW = 4 : 1 : 1) 100 L にて再溶解した。再溶解 したサンプルに Sepharose CL-4B (SIGMA) 10 L を加え、室温で 1 時間激しく攪 拌した。Sepharose CL-4B に結合した糖ペプチドは、50% Ethanol 100 L にて抽 出した 。抽出した糖ペプチドは、Speed Vac にて乾燥させた後、DW 10 L にて 再溶解し質量分析用サンプルとした。 糖鎖の精製 糖鎖精製およびラベル化は、住友ベークライトの糖鎖精製キット BlotGlyco (プ ロトコ ル 部改編) に準じた。精製した ロトコール一部改編) に準じた 精製した L1CAM は、トリプシンを用いたゲル内 は トリプシンを用いたゲル内 消化後、N 結合型糖鎖修飾消化酵素である PNGase F (5 Unit, Roche) を用いて糖 鎖を消化した (37℃, over night) 。糖鎖消化反応後、BlotGlyco ビーズ 50 L を添 加し、2% 酢酸/アセトニトリルにて糖鎖をビーズへ固相化した。固相化した糖鎖は、 500 mM 1-methyl-3-p-tolyltriazene (MTT) にてシアル酸のメチルエステル化処理 を行った後、 N-((Aminooxy)acetyl)tryptophanylarginine Methyl Ester (aoWR (H) ) Hydrochloride により糖鎖の回収および糖鎖還元末端のラベル化を行った (図 3)。ラベル化された糖鎖は、NuTip Carbon (Glygen) にて濃縮・精製し、質量分 析用サンプルとした。 Molecular & Cellular Proteomics 4: 1977–1989, 2005. 質量分析 サンプルを Focus plate (f 600 nm, SIMADZU) にアプライした後、Matrix とし て 10 mg/mL 2,5- hydroxybenzoic acid (DHBA, SIGMA) in 0.1% TFA, 50% CH3CN を 0.5 L 重層した。完全に風乾させた後、MALDI-TOF (AXIMA-CFR, SIMADZU)、MALDI-QIT/TOF (AXIMA-QIT, SIMADZU) により質量分析を行った。質 量分析計のキャリブレーションは、10 pmol 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) と 10 pmol アンギオテンシン II (Ang II) にて行った。 質量分析計の測定条件を以下に示す。 Exp.Tech.; Tuning mode: positive, Detection Mass Range: 100.0-5000.0. Firing; Power: 50-80, Focus Mass Range: Mid 750 or High 2k. CID; Resolution: Std, Isotopic Selection (~250) , CID Control: 150~250. Peak Processing; Peak width: 1, Smoothing method: off, Peak detection method: Threshold -25% Centroid. 2800 800 900 1000 1100 1200 m/z Intensity (%) 162 1502.10 1340.10 1300 (ハイマンノース型) ★ 1400 1500 1600 1700 Intensity (%) 162 162 162 203 162 203 162 ★ 1000.40 1851.64 2054.80 1486.64 1689.74 600 800 3000 1000 1200 1400 1600 m/z 1800 2000 (複合型) 2200 2400 2600 2800 2400 2600 2800 2600 2800 797.07 100 2601.90 ★ 146 203 162 162 162 203 203 1000.04 600 800 203 ★ 1689.07 1162.00 1324.03 1588.87 162 1892.19 2054.10 651.05 50 50 1000 1200 (複合型) 1400 1600 m/z 1800 2000 2200 (E) 2403.14 m/z の MS2 スペクトル 1600 1800 2000 2200 2400 m/z 2600 2800 3000 1468.68 ★ 1588.72 83 120 X10 203 162 162 162 162 162 1385.68 ★ : N-acethylglucosamine 2115.87 2277.91 2439.85 2601.90 ★ 1791.71 : Mannose 200 400 600 800 1000 1200 MS3 1400 1600 m/z y6 PYAN 2200 2400 2600 2800 473 FFPYANGTLSIR 473 484 400 500 700 MS3 900 m/z FFPYANGTLSIR484 y4 1300 * 1400 * y7+83 50 1500 300 400 500 600 700 800 900 1000 FFPYANGTLSIR484 y10+83 1100 1200 1300 1400 1500 1600 L1CAM の 糖 ペ プ チ ド は 、 糖 鎖 の 親 水 性 を 利 用 し た Sepharose CL-4B を用いて精製濃縮した (C)。 糖ペプチド由来と思われるピーク 2601.90 m/z (★) の MS2 解析を行った ところ、 右図に示すような、N 結合型 糖鎖結合に特徴的な 83 m/z と 120 m/z 間隔の環開裂ピークが認められた (D)。 GlcNAc O 162 162 800 1000 1200 (複合型) 2200 2400 162 203 1400 203 203 162 203 146 2244.16 2095.14 2257.04 2460.14 1600 m/z 1800 2000 2200 203 162 2400 ★ 2600 2800 797.06 146 NH2 146 203 162 162 162 203 203 1000.09 1486.13 651.04 600 800 1000 1200 1400 1892.25 m/z 1800 2000 2200 2400 | S | S GlcNAc の環開裂 S さらに、環開裂に起因する 1385.68 m/z, 1468.68 m/z の MS3 解析を行った。1385.68 m/z (★) の MS3 解析データを基に MASCOT 検 索 を 行 っ た と こ ろ 、 L1CAM の 473FFPYANGTLSIR484 と同定された (E)。 次に、1468.68 m/z (★) の MS3 スペクトルを解析したところ、 y シリーズおよび b シリーズともに +83 の MS シフトが認めら れ、 478Asn に N 結合型糖鎖が結合している事が明らかとなっ が が た (F)。 細胞膜 以上より、L1CAM を構成する 5 番目の免疫グロブリン C2 様ドメイン構造内にある 478Asn に N 結合型糖鎖が結合してい ることが明らかとなった。 | ★ (複合型) 2800 : Mannose (162) : Galactose (162) 1664.4 ★ 100 S : Fucose (146) : N-glycolylneuraminic acid (307) 2257.1 S GlcNAc 83 2600 : N-acetylglucosamine (203) S ~Asn-X-Ser/Thr~ 162 203 2403.11 2622.17 2257.16 2606.12 1688.99 1600 146 2095.13 (A) で検出された代表的な糖鎖ピークのうち、1664.4 m/z (★), 2216.8 m/z (★), 2257.1 m/z (★), 2403.1 m/z (★), 2606.1 m/z (★) および 2768.1 m/z (★) それぞ れについて、AXIMA-QIT にて MS2 解析を行い、各スペクトルのピーク間隔とその 強度から、結合している糖鎖の種類と構造を推定した (B-G)。 S CH2OH O 2000 1690.06 1892.12 | 120 1800 L1CAM の糖鎖は BlotGlyco にて精製・ラベル化した。得られた糖鎖の質量を AXIMA-CFRplus にて分析したところ、複数のピークが検出された (A)。 | CH2OH O HO 環開裂 AcHN 162 S O AcHN m/z S ~~~ HO 1600 1000.11 600 50 0 y8+83 m/z 1400 X2 1600 ★ 0 200 203 651.03 ★-H2O 473 b9+83 1200 50 484 b9 X2 y6 1000 ★ 2054.08 (G) 2768.08 2768 08 m/z の MS2スペクトル y8 y7 y6 y5 y4 473 146 2241.18 1892.11 (複合型) スペクトル FFPYANGTLSIR y5 PYAN+83 1200 203 797.08 146 0 ★ 1100 162 X2 y11 1000 203 1689.73 800 100 y8 800 203 ★-H2O y10 10 600 162 162 1000.09 600 100 300 162 (F) 2606.09 m/z の MS2スペクトル X2 b9 162 2257.15 651.07 b9 y5 203 50 0 3000 y8 y7 y6 y5 PYA 0 200 2000 スペクトル y7 50 1800 X2 146 NXS/T 環開裂 50 797.07 100 0 Intensity (%) 700 203 651.31 0 100 Intensity (%) 600 162 162 1178.02 (D) 2257.11 m/z の MS2 スペクトル 2600 2216.8 2606.1 1988.1 1892.6 1825.6 2403.1 ★ 2054.7 | 0 1000 Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ 1500 ★ ★ 2000 2768.1 2913.0 ★ ★ S S : Label (447.22) 50 S 2500 3075.3 3382.4 3000 m/z 3500 4000 糖鎖予想構造 COOH MS2 解析によって同定された糖鎖構造(スペクトル上段, B-G)および予想された糖 鎖構造(スペクト下段)を AXIMA-CFRplus で検出したスペクトル (A) に帰属させた。 結論 ☆糖鎖結合部位解析より L1CAM を構成する 5 番目の免疫グロブリン C2 様ドメイン構造 内にある 478Asn に N 結合型糖鎖が結合している。 図 3 aoWRs によるオリゴサッカライドのラベル化反応。ヒドラゾン−オキシム交換反応により、 BlotGlyco ビーズから固相化された糖鎖を再遊離させ、同時に糖鎖還元末端を aoWR (H) にてラベルする。 162 50 1468.81 y11 y10 図 2 抗L1CAM抗体による L1CAM の精製 マウス脳膜タンパク質分画 から抗 L1CAM 抗体 (pAb-L1Y3) を用いた免疫沈 降により L1CAM を精製した。得られた L1CAM は 5% SDS-PAGE にて分離後、抗 L1CAM 抗体によるイムノブロット (A) お よびSYPRO Ruby 染色 (B) にて検出した。 マウス脳神経細胞に発現する L1CAM は 分子量 210 kDa として検出される (A, B)。 またL1CAM は、3番目の FNⅢ様ドメイン 内で内因性の Plasmin や Neuropsin によ り加水分解されるため、細胞外ドメインで 構成される 140 kDa の分子量を呈する (B)。 500 0 y10 140 kDa L1CAM 162 797.37 糖ペプチド由来のピーク (E) 1385.68 m/z の IP: anti-L1CAM 203 146 (D) 2601.90 m/z の MS2 スペクトル クト 図 1 L1CAM の 2 次構造 L1CAM の細胞外ドメインには、N 結合 型糖鎖修飾の予測配列 (Asn-X-Ser/Thr) が 22 か所存在する ( )。 4000 100 2601.53 0 1400 Intensity (%) フィブロネクチンⅢ (FFNⅢ) 様 ドメ メイン構造 | 3500 (C) 2216.77 m/z の MS2 スペクトル 3000 Intensity (% %) S 細胞内 領域 150 2800 2255.48 100 80 kDa 150 2600 2084.13 50 (F) 1468.68 m/z の 210 kDa L1CAM 2400 Intensity (%) | S 210 kDa 250 2200 m/z (C) Sepharose CL-4B で精製した糖ペプチドの MS スペクトル S 203 0 400 Intensity (%) | S Intensity (%) S 3000 m/z 854.02 Intensity (%) 免疫グロブリン C2 (IgC2) 様ドメイン構造 | 140 kDa 細胞外 領域 S 2500 X5 2255.36 0 1400 | 2000 2768.1 ★ ★ 651 06 651.06 50 2084.21 S S 1500 100 Intensity (%) Intensity (%) 50 100 250 0 1000 (B) Sepharose CL-4B 非吸着分画の MS スペクトル S 2606.1 2403.1 ★ 448.02 0 1400 | 2257.1 (B) 1664.35 m/z の MS2 スペクトル トリプシン消化ペプチド由来のピーク S 2216.8 50 ★ ★ 100 100 Mr (kDa) (B) (A) L1CAM の Trypsin 消化断片の MS スペクトル L1CAM の精製 12-16 週齢の雄雌マウス (ICR, 35-45 g) マウスより摘出した脳組織は、0.32 M Sucrose を含む 3 mM HEPES-NaOH HEPES NaOH (pH 7.3) 7 3) buffer にてホモジナイズ 後、細胞質 後 細胞質 分画 (上清) と膜分画 (沈査) とに分離した。得られた膜分画 (沈査) を、1% NP-40, 0.5% Sodium Deoxycholate を含む 20mM Tris-HCl (pH 7.4) buffer にて可溶化し、 膜タンパク質分画とした。 L1CAM は、抗 L1CAM抗体 (pAb-L1Y3) を用いた免疫 沈降法により膜タンパク質分画中から精製した (図2)。 Mr Input 非吸着 溶出 (kDa) (25 g) Ppt Sepharose CL-4B (4% 架橋アガロース) L1CAM glycopeptides 方法 (B) Intensity (%) Sup + NH2 S 1664.4 ★ 100 (A) 背景と目的 IP: anti-L1CAM (A) L1CAM の糖鎖の MS スペクトル 100 1984 年 Rathjen R thj と Schahner S h h によ て発見され によって発見され た神経細胞接着分子 L1 (L1CAM) は、6 個の免疫グ ロブリン C2 (IgC2) 様ドメインと 5 個のフィブロ ネクチンⅢ (FNⅢ) 様ドメインからなる細胞外領域、 1 回膜貫通領域および細胞内領域から構成される分 子量約 210 kDa の細胞接着分子である。また、細 胞外領域には 22 箇所の N 結合型糖鎖修飾部位が予 測されている (図 1)。 神経細胞特異的に発現する L1CAM は、ホモフィ リックあるいはヘテロフィリックな結合を介して、 細胞接着・細胞移動・軸索伸長・軸索線維束形成な ど脳の高次構造形成過程において重要な役割を担う (Fields and Itoh, Trends Neurosci, 1996)。それゆ え、L1CAM の機能・発現異常 (IgC2 様ドメイン領 域におけるミスセンス変異によるホモフィリック結 合能の欠損や FNⅢ様ドメイン領域におけるミス 合能の欠損や、FNⅢ様ドメイン領域におけるミス センス変異によるフォールディング異常) は、水頭 症などの重篤な脳神経疾患を引き起こす。 細胞接着分子の糖鎖修飾構造は、細胞間の相互作 用など分子機能の発現に重要な役割を担う。しかし L1CAM は、糖鎖修飾構造の詳細が未だ不明なため、 糖鎖を介した L1CAM機能的多様性はこれまでほと んど報告されていない。 そこで本研究では、脳内に発現する L1CAM の糖 鎖結合部位および糖鎖修飾構造の同定を目的とした。 (A) L1CAM の糖鎖修飾構造の同定 結果 【目的】神経細胞特異的に発現する神経細胞接着分子 L1 (L1CAM) は、細胞接 着・細胞移動・軸索伸長・軸索線維束形成など脳の高次構造形成過程において重 要な役割を担う。その機能調節には L1CAM の糖鎖修飾構造の関与が示唆されて いるが、詳細な構造は未だ不明である。そこで本研究では、質量分析計を用い、 L1CAM の糖鎖修飾部位および糖鎖修飾構造の同定を目的とした。 【方法】1. 糖鎖結合部位の同定: マウス脳ホモジネートから免疫沈降により L1CAMを精製した。糖鎖を含む L1CAM ペプチドは、トリプシンにて消化後 Sepharose CL-4B を用いて精製した。糖鎖結合部位は、MALDI-TOF (AXIMACFRplus), MALDI-QIT/TOF (AXIMA-QIT) にて解析した。2. 糖鎖構造の同定: L1CAM の糖鎖は、Peptide-N-glycosidase F にて消化後、BlotGlyco (住友ベークライト) にて還元末端をラベル化し精製した。精製した糖鎖の構造は、質量分析計にて解 析した 析した。 【結果及び考察】1. 糖鎖結合部位: 精製した糖ペプチドの MS2 解析を行ったとこ ろ、N 結合型糖に特徴的な環開裂ピークが認められた。次に、コアペプチドの MS3 解析を行い MASCOT 検索を行ったところ、L1CAM 473FFPYANGTLSIR484 とし て同定された。さらに、コア+83m/z の MS3スペクトルを解析したところ、y イオ ンおよび b イオンともに環開裂に起因するシグナルシフトが認められた。以上よ り、免疫グロブリン C2 様ドメイン構造内にある Asn478 に N 結合型糖鎖が結合 していることが明らかとなった。2. 糖鎖構造: 精製した糖鎖の MS2 解析より、マ ウス脳内に発現する L1CAM は複数の複合型糖鎖とハイマンノース型糖鎖によっ て多様な翻訳後修飾を受けていることが明らかとなった。本知見より、L1CAM 糖 鎖構造の詳細なプロセシング過程および関連する酵素群が推測可能となり、今後 の糖鎖構造解析に有用な情報をもたらすことが期待された。 小胞体 1988.1 ゴルジ 1825.6 ゴルジ マンノシ ダーゼ IB ゴルジ マンノシ ダーゼ IC 細胞膜 1664.4 1892.6 GlcNAc 転移 酵素 I ゴルジ マンノシ ダーゼ II GlcNAc 転移 酵素 II ☆糖鎖修飾構造解析より L1CAM は、複数種類の複合型糖鎖, ハイマンノース型糖鎖によっ て多様な糖鎖修飾を受けている。 ガラクトース 転移酵素 同定された糖鎖情報から、L1CAM 糖鎖構造の詳細なプロセシン グ過程および関連する酵素群を図 4 に予想した 。これらは今後糖鎖 構造解析に有用な情報をもたらすことが期待される。 また、今回、ゴルジ体に存在すると考えられるハイマンノース型 糖鎖構造を有する L1CAM が検出された。このことは、L1CAM の 機能と糖鎖プロセシングとの関連性を解明する上で、重要な知見と なることが期待される。 2054.7 2216.3 2257.1 2403.1 2606.1 2768.1 2913.0 3075.3 3382.4 GlcNAc 転移 酵素 II フコース 転移酵素 GlcNAc 転移 酵素 II 図 4 L1CAM の N 結合型糖鎖修飾における プロセシング予想図 今回同定された糖鎖構造と MS ピーク間 隔より予想される糖鎖構造情報をもとに、 L1CAM の糖鎖プロセシング及び動態を予 測した。 ガラクトース フコース 転移酵素 転移酵素 シアル酸 転移酵素