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中間部リング及び下部リングのひび発生要因分析表

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中間部リング及び下部リングのひび発生要因分析表
中間部リング及び下部リングのひび発生要因分析表
調査方法
材料欠陥
材料不良
・
材料検査証明書の確認
・
目視試験
溶接欠陥
溶接割れ
・
ボートサンプル調査
腐 食
・
ボートサンプル調査
中間部リング及び
下部リングのひび発生
・
ボートサンプル調査
28
疲労割れ
・
疲労調査
・
中性子照射量調査
○:
要因あり
△:
要因の可能性あり
×:
要因なし
−:
調査中
調査結果
判 定
・
製造時の材料検査証明書の確認を行ったところ,材
料はJISG4304(
ステンレス鋼板)を満足していることを
確認した。
×
・
水中テレビカメラによる目視試験及びボートサンプ
ル調査を行った結果,欠陥は母材部に発生しており,
溶接割れはないことを確認した。
・
ボートサンプル調査を行った結果,腐食や浸食の痕
跡は認められなかった。
×
×
備 考
添付−1
添付−2
添付−3
添付−3
×
添付−3
×
添付−4
・
過去の運転時間より,中間部リング溶接部(
H2)
及
び下部リング溶接部(H6a)
の中性子照射量を算出し
た結果,H2では約1.4×10 23n/m 2であり,H6aでは約
1.3×10 21 n/m2となり,SUS304系のの照射誘起型の
応力腐食割れが発生すると評価されている約5×
10 24n/m 2に比べ十分少ない照射量であることが確認
された。
×
添付−5
・
ボートサンプルの断面を観察した結果,ひびは外表
面から数十μmまでは粒内割れであり,その後枝分
かれを伴い粒界割れで進展していた。また,破面観
察の結果,外表面から約80μm以内の破面には粒
内割れが観察され,それ以外の破面は粒界型応力腐
食割れの特徴である粒界割れ(
ロックキャンディ状)
が観察された。
△
添付−3
添付資料−5
(2/3)
・
ボートサンプルの破面を観察した結果,疲労による
破面は確認されなかった。
・
通常運転中の中間部リング溶接部及び下部リング
溶接部における高サイクル及び低サイクル疲労の影
響を調査した結果,変動応力は十分小さいことから疲
労による可能性がないことを確認した。
応力腐食割れ
・
ボートサンプル調査
断面観察
破面観察
添付資料−5(1/3)
×
表層部の粒内割れ発生の要因調査結果
調査方法
・
ボートサンプル調査
(H2のみ)
・
文献調査
材 料
機械加工による硬
さ上昇
・
海外事例調査
・
製造履歴調査
表層部の割れ
調査結果
備 考
・
ボートサンプルの硬さ測定の結果,表層部でHV300を超える硬化
添付−3
層が確認された。
・
文献によれば,表面硬さがHV300を超えた場合には低炭素ス
添付−6
テンレス鋼に粒内型応力腐食割れが発生することが確認されてい
る。
・
文献によれば,低炭素ステンレス鋼の海外におけるシュラウド損
傷事例において,表面近傍の硬さがHV400程度と高いことが確認さ
れている。
・
製造履歴調査から,各リング部の表面は機械加工を受けているこ 添付−10
とを確認した。
29
応 力
通常運転時の荷重
環 境
炉内水質
(溶存酸素/導電率)
・
設計上,内圧,差圧,死荷重,熱応力を受けるが,これらの通常
運転時の軸方向応力を評価した結果,溶接による残留応力の
300MPaに対して十分小さいことを確認した。
添付−7
・
溶接部残留応力解析
・
当該溶接部の近傍の溶接による残留応力を評価するため,有限
要素法により解析を行った。
・
解析の結果,中間部リング外表面には,300MPa程度の引張り応
力が発生していることが確認された。
・
また,下部リングについても同様であることが確認された。
添付−8
・
実機水質データ調査
・
運転中の原子炉水の溶存酸素濃度を確認した結果,150∼
250ppb程度であった。
・
また,運転中の導電率を確認した結果,運転期間中概ね15μS/
m以下であった。
添付−9
添付資料−5(2/3)
溶接による引張り
残留応力
・
運転時に生じる応力
粒界型応力腐食割れ発生の要因調査結果
調査方法
・
文献調査
材 料
表層部における割
れの存在
調査結果
・
(財)原子力発電技術機構(NUPEC)実証試験によれば,低炭素ス
テンレス鋼は,耐粒界型応力腐食割れ性に対して優れていること
が確認されている。しかしながら,文献によれば,切欠きがある場
合には,粒界型応力腐食割れが進展することがわかった。
備 考
添付−6
・
ボートサンプル調査
・
ボートサンプル調査の結果,ひび断面及び破面観察において表
層部に粒内型応力腐食割れの存在が確認され,それ以降について 添付−3
は,粒界割れで進展していることが確認された。
・
運転時に生じる応力
・
設計上,内圧,差圧,死荷重,熱応力を受けるが,これらの通常
運転時の軸方向応力を評価した結果,溶接による残留応力の
300MPaに対して十分小さいことを確認した。
添付−7
・
溶接部残留応力解析
・
当該溶接部の近傍の溶接による残留応力を評価するため,有限
要素法により解析を行った。
・
解析の結果,中間部リング外表面には,300MPa程度の引張り応
力が発生していることが確認された。また,外表面から内部への残
留応力の分布は,中間部リング外表面の引張り応力が最大となり,
内部に行くに従って引張りから圧縮応力に転じ,再び引張り応力に
なることが確認された。
・
また,下部リングについても同様であることが確認された。
添付−8
・
実機水質データ調査
・
運転中の原子炉水の溶存酸素濃度を確認した結果,150∼
250ppb程度であった。
・
また,運転中の導電率を確認した結果,運転期間中概ね15μS/
m以下であった。
添付−9
粒界型応力腐食割れ
30
応 力
通常運転時の荷重
溶接による引張り
残留応力
(溶存酸素/導電率)
添付資料−5(3/3)
環 境
炉内水質
添付−1
材料検査証明書の確認
1.目 的
中間部リング及び下部リングについて,製造時の材料検査証明書(ミルシ
ート)により異常のないことを確認する。
2.確認方法
中間部リング及び下部リングの製造時の材料検査証明書(ミルシート)が
JIS G 4304(ステンレス鋼板)の規格内にあることの確認を行う。
3.確認結果
製造時の材料検査証明書(ミルシート)の確認を行ったところ,中間部リ
ング及び下部リングの材料は JIS G 4304(ステンレス鋼板)の規格内にある
ことを確認した。
中間部リング 単位:%
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
材料
JIS
最大値
規格値
最小値
実測値
×1000
×100
×100
×1000
×1000
×100
×100
30
−
10
100
−
49
200
−
90
40
−
28
30
−
7
1300
900
1005
2000
1800
1832
下部リング 単位:%
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
材料
JIS
最大値
規格値
最小値
実測値
×1000
×100
×100
×1000
×1000
×100
×100
30
−
16
100
−
54
200
−
85
40
−
30
30
−
9
1300
900
1005
2000
1800
1837
31
中間部リング材料検査証明書
注: 部はメーカノウハウを含むためマスキング
32
下部リング材料検査証明書
注: 部はメーカノウハウを含むためマスキング
33
添付−2
目視点検記録
1.目的
中間部リングおよび下部リングの近傍の表面にひびが確認されたため,当該
溶接部以外の溶接線についても水中テレビカメラを用いて目視点検を実施す
る。
炉心シュラウド溶接線の目視点検実施にあたっては,近接可能な箇所すべて
について点検を実施する。
2.点検範囲
炉心シュラウドの溶接部(点検範囲図のとおり)
3.点検年月日
(1)ひびが確認された溶接部
溶接部(H2外側) 平成 14 年 9 月 23 日
溶接部(H6a外側) 平成 14 年 9 月 23 日
(2)その他の溶接線
炉心シュラウド外側溶接部 平成 14 年 9 月 24 日∼10 月 3 日
炉心シュラウド内側溶接部 平成 14 年 9 月 27 日∼12 月 6 日
4.点検結果
点検結果一覧表のとおり。
34
炉心シュラウド外側
炉心シュラウド内側
外観目視点検実施範囲
目視点検範囲図
35
点検結果一覧表
対象範囲
方
向
周
方
向
縦
方
向
溶接部に対
する検査率
点検結果
検査できない理由
(点検の際の干渉物)
溶接番号
溶接部位
外側
内側
外側
内側
H1
上部リングと
上部胴溶接部
異常なし
異常なし
100%
2%
炉心スプレイスパー
ジャ
H2
上部胴と
中間部リング溶接部
リング側母材部
に部分的にひ
びが点在
異常なし
100%
30%
上部格子板
H3
中間部リングと
中間部胴溶接部
異常なし
異常なし
100%
100%
H4
中間部胴と中間部胴
溶接部
異常なし
異常なし
50%
100%
ジェットポンプ
H6a
中間部胴と
下部リング溶接部
リング側母材部
の目視可能な
範囲にひびが
点在
近接不可
50%
0%
ジェットポンプ
炉心支持板
H6b
下部リングと
下部胴溶接部
異常なし
異常なし
50%
30%
ジェットポンプ
炉心支持板スタッド
ボルトおよび制御棒
案内管
H7
下部胴とシュラウド
サポートリング溶接部
異常なし
異常なし
25%
30%
ジェットポンプ
およびセンシン
制御棒案内管
グラインクラン
プ
V1
上部リング溶接部
異常なし
異常なし
100%
100%
V2
上部胴溶接部
異常なし
異常なし
100%
20%
V3
中間部リング溶接部
異常なし
異常なし
100%
100%
V4
中間部胴溶接部(上側)
異常なし
異常なし
100%
100%
V5
中間部胴溶接部(下側)
異常なし
異常なし
30%
80%
ジェットポンプ
炉心支持板
V6
下部リング溶接部
異常なし
異常なし
30%
65%
ジェットポンプ
制御棒案内管
V7
下部胴溶接部
異常なし
異常なし
20%
100%
ジェットポンプ
36
外側
内側
上部格子板および
炉心スプレイスパー
ジャ
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