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B1-4 個体の発生シケプリ

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B1-4 個体の発生シケプリ
コアカリ対応 発生学シケプリ 2005
試験日:2005/02/04
90 分試験(10:30∼の予定)
先生の点数配分はコマ数に比例する。
門 田 講 師 ( 初 期 発 生 ・ 鰓 弓 鰓 嚢 ) :約 40 点
澤田教授(循環器系・消化器系・呼吸器系):約 40 点
池
田
助
教
授
( 生
殖
器
):約 10 点
船 越 教 授 ( 神 経 系 ・ 感 覚 器 ):約 10 点
但し、船越教授分は少々増える可能性ありです(本人が不服らしいので)。
このシケプリは門田先生、池田先生、船越先生授業分をまとめたものです。
澤田先生はシケタイ板に情報が載せる可能性が大です。
質問は発生学シケプラーまで。多分答えられると思います。
では、試験頑張りましょう!
文責
高野祥子(初期発生)
畝田一司(鰓弓鰓嚢・神経系・感覚器)
齊藤奈津美(生殖器)
■二層性胚盤までの流れ
第一週
0日
3 日目
4 日目∼
受精卵
桑実胚
胚盤胞
内細胞群
7 日目∼
8日目∼
14 日目前後
羊膜芽細胞
羊膜
羊膜腔
羊膜腔
外胚葉
内細胞塊
上胚盤葉(原始外胚葉)
上胚盤葉(胚盤葉上層)
上胚盤葉
中胚葉
(胚結節)
下胚盤葉(原始内胚葉)
下胚盤葉(胚盤葉下層)
下胚盤葉
内胚葉(胚内内胚葉)
脊索前板
胚外体腔膜(ヒューザー膜)
胚外体腔膜
胚外網状質(胚外中胚葉)
絨毛膜板
胚外体腔
原始胚外体腔(原始卵黄嚢)
胚盤腔
付着茎
臍帯
原始卵黄嚢(一次卵黄嚢)
退化消失
二次卵黄嚢(最終的卵黄嚢)
外細胞郡
外細胞塊
栄養膜細胞層
栄養膜細胞層
(栄養膜)
一次絨毛
栄養膜合胞体層
裂孔が洞様血管と連絡し
(多核)
て子宮胎盤循環の成立
■三層性胚盤(胎生 3 週)
総排泄膜
原始線条
原始溝
①
中枢神経系
②
末梢神経系
③
耳、鼻および眼の感覚上皮
④
毛と爪を含めての表皮
⑤
皮膚腺、乳腺、下垂体、および歯のエナ
①
結合組織、支持組織
脊索
②
横紋筋および平滑筋
脊索突起
沿軸中胚葉
③
血球とリンパ球および心臓壁、
心臓形成板
中間中胚葉
④
血管壁およびリンパ管壁
(造心臓中胚葉)
側板
⑤
腎臓、生殖巣およびその導管
⑥
腎上体皮質
⑦
脾臓
前腸
①
気道上皮
中腸
②
甲状腺、上皮小体、肝臓と膵臓の実質
後腸
③
扁桃と胸腺の細網支質
尿膜上皮
④
膀胱と尿道の上皮
卵黄腸管上皮
⑤
鼓室と耳管の上皮
原始窩
神経腸管
原始結節
外胚葉
神経板
神経ヒダ
神経管(脊髄・脳胞 etc)
神経溝
神経堤
耳板
水晶体板
上胚盤葉
中胚葉(間葉)
胚内内胚葉
脊索管
脊索板
■体節
体節:三週の初めまでにできる沿軸中胚葉の分化組織
体節分節の形成の進行は頭方から尾方に一方向
体節の形成は頸部から頭尾両方向に一日三対ずつ出現。
(42∼44 対形成されるが、第一後頭体節と5∼7対の尾骨体節は後に消失)
神経板
神経分節
沿軸中胚葉
体節分節
(頭方域)
神経分節と関連して頭部間葉の大部分を形成
(後頭域∼尾方)
体節
椎板(間葉細胞)
脊柱
軟骨と骨
皮筋板
筋板
分節的筋要素
皮板
真皮、皮下組織
■三層性胚盤の形成
■脊索管の形成
■脊索板の形成と脊索への巻き込み
■神経管の形成
体幹と四肢の骨格と筋
門田先生担当分
骨格系は沿軸中胚葉、側板(壁側板)
中胚葉および神経堤から形成される。第 4
週末に椎板細胞は多形となり、間葉は疎性
の組織を形成する。
間葉の骨形成能は椎板の細胞だけに限
られるのではなく、体壁の壁側中胚葉層に
もあり、この層から下肢帯と上肢帯ならび
に四肢の長骨を形成する中胚葉細胞が生
じる。頭部の神経堤細胞もまた間葉に分化
し、頭蓋と顔面の骨の形成に加わる。頭蓋
冠と頭蓋底の形成には後頭体節および体
節分節も加わる。頭蓋の扁平骨のような骨
では、間葉は直接、骨に分化するが、この
過程を膜性骨化とよぶ。しかし、たいてい
の骨では間葉細胞がまず硝子軟骨性原型
をつくり、ついで軟骨内骨化により骨化す
る。
筋肉は一部の平滑筋を除き、筋系は中胚葉層から発生し、骨格筋、平滑筋および心筋からなる。骨格筋は沿軸
中胚葉に由来し、その沿軸中胚葉は後頭域から仙骨域までの体節と頭部の体節分節を形成する。平滑筋には腸管
および腸管に由来する構造を取り囲んでいる臓側中胚葉から分化するものと、外胚葉から分化するもの(虹彩、
乳腺、および汗腺の平滑筋)がある。心筋は心内膜筒を取り囲む臓側中胚葉に由来する。
■四肢の成長と発達
発生第 4 週の終わりに、体肢芽は体の側腹壁のふくらみとしてみえるようになる。初め体肢芽は、将来、四
肢の骨と結合組織を形成する側板中胚葉の壁側葉に由来する間葉性の芯でできており、単層の立方上皮からな
る外胚葉で覆われている。間葉からのシグナルにより体肢芽の頂点でこの外胚葉が肥厚し、外胚葉性頂堤を形
成する。この頂堤は下層の間葉に誘導的影響を及ぼし、外胚葉性頂堤に隣接する間葉は未分化で、急速に増殖
する細胞群、すなわち進行域として残る。肢の成長に伴い、外胚葉性頂堤の影響からもっと遠く離れた細胞は、
軟骨や筋に分化しはじめる。このように四肢の分化は近位から遠位方向へと進行する。
6 週の胚子では体肢芽の末端部が扁平となり、手板と足板を形成し、輪状のくびれによって基部から分けら
れる。のちに第 2 のくびれが生じて、基部が 2 つの部分に分けられ、四肢の主要部分が認められるようになる。
外胚葉性頂堤における細胞死により、この頂堤が 5 つの部に分離されて、手指と足指が形成される。その後の
指の形成は、5 つの部に分かれた頂堤の外胚葉の影響で、指部が継続的に伸長すること、間葉が凝縮して軟骨
性指放線を形成すること、および指放線間の組織が壊死する
ことによる。
上肢と下肢の発生は、下肢の形態発生が上肢のそれよりも
約 1∼2 日遅いことを除いて、よく似ている。また、妊娠第 7
週中に、四肢は反対方向に回転する。上肢は 90°外側に回転
するので、伸筋は外側と後面に展開し、母指は外側にある。
一方、下肢は約 90°内側に回転し、伸筋は前面に位置し、足
の母指は内側にある。
外形完成中に体肢芽の間葉は凝縮しはじめ、発生第 6 週ま
でに、四肢骨の前兆となる最初の硝子軟骨性原型が認められ
るようになる。四肢骨の骨化、すなわち軟骨内骨化は胚子期
の末までに始まる。一次骨化中心は発生の第 12 週までに、四
肢骨のすべての長骨に出現する。軟骨内骨化は骨幹にある一
次骨化中心から、しだいに軟骨性原型の末端へ向かって進行
する。出生時・骨幹は通常完全に骨化しているが、骨端とよ
ばれる両端では、まだ軟骨のままである。しかし、その後ま
もなく、これらの骨端にも骨化中心が生じる。骨幹と骨端の
両骨化中心間に、一過性に軟骨板が残存する。骨端板とよば
れるこの軟骨板は、骨の長軸成長に重要な役割を演じる。こ
の板のどちら側でも軟骨内骨化が進行する。骨の長さが十分
伸びると骨端板は消失し、骨端と骨幹が合体する。長骨では
骨端板はその両端にあり、指骨のような小骨では骨端板は一
方の端にしかない。
■脊柱
発生第 4 週中に椎板の細胞が移動し、脊髄と脊索の両方を取り囲む。この間葉柱は節間動脈を包含する疎な
部分で分離されて、椎板魂としての分節的起源の面影をとどめる。もとの椎板分節の頭方部と尾方部の間に位
置した間葉細胞は増殖せず、2 個の前軟骨性椎体の間を埋め、こうして椎間円板の形成に貢献する。椎体域で
は脊索は完全に退化するが、椎間円板域では脊索は残存し肥大する。ここで脊索は髄核を形成し、のちに線雑
輪とよばれる輪状線維により取り囲まれる。髄核と線維輪の両者により椎間円板が形成される。
肋骨と胸骨
肋骨は胸椎の肋骨突起から形成
され、沿軸中胚葉の椎板部に由来す
る。胸骨は体の腹側壁の壁側中胚葉
から発生する。正中線の両側に 2 本
の胸骨帯が形成され、のちにこれら
は融合して、胸骨柄、胸骨分節(胸
骨体)および剣状突起の軟骨性原型
を形成。
関節
(広義):発生しつつある骨と骨との間にある
中間帯間葉が緻密性線維性組織に分化すると
線維性連結が形成され、軟骨に分化すると軟骨
性連結が形成される。同様に、中間帯間葉の周
辺部において関節包や他の靭帯が、中心部が消
失してその腔所が滑膜腔(関節腔)が、線維性
関節包や関節内表面を覆う領域に関節包の一
部である滑膜が形成されることにより滑膜性
連結(関節:狭義)が形成される。
鰓弓・鰓嚢
門田先生担当
シケタイより一言。
門田先生は、合計で約 45 点です(コマ数計算)。コアカリに沿った感じにするそうです。
基本的には○×形式です(マクロの池田先生方式)。と言う訳で、シラバスと図も参照してください。
シラバスは文字いっぱいだけどまとまってます(笑)。
ここでコアカリキュラム到達目標を列記しておきます。
■鰓弓・鰓嚢が将来何に分化するか
■頭・頚部と顔面・口腔の形成過程
ここでは発生第 4 週のヒトの胚子の頭頚部に見られる、魚の胚子の頭頚部と似ているところ(⇒鰓性器官)の予
定運命を学んでいきます。
■鰓性器官
鰓性器官(咽頭器官)には、
1,鰓弓(咽頭弓)
2,咽頭嚢
3,鰓溝(咽頭溝)
4,鰓膜(咽頭膜)
の4つがある。
これらについて順々に説明していく。
□鰓弓(咽頭弓)
発生第 4 週の初期に、神経堤細胞が将来胚子の頭頚部となる領域へ移動することにより、鰓弓は発生し始める。
左右に4対存在する。(ただし、第 4∼6 鰓弓を一塊と考える)
外から見ると、鰓弓は鰓溝によって隔てられている。
鰓弓(咽頭弓)の中には次の要素が含まれている
・1 本の大動脈弓
・鰓弓(咽頭弓)を支持する骨格誘導体
・将来頭と頚部の筋肉を構成する筋要素
・将来頭頚部にできる筋肉と粘膜を支配する神経
なお、第 1 鰓弓は、頚の形成に寄与するだけではなく、顔の発生にも重要な役割を果たす。
(cf)第 1 鰓弓は
上顎隆起(⇒上顎骨、頬骨、側頭骨の鱗部)
下顎隆起(⇒下顎骨)
の 2 つの隆起を発生させる。
鰓弓の予定運命の相関表
鰓弓
神経
1
三叉神経(Ⅴ)
筋肉
骨格
咀嚼筋
ツチ骨
鼓膜張筋
キヌタ骨
顎舌骨筋
蝶下顎靭帯
口蓋帆張筋
メッケル軟骨
大動脈弓
上顎動脈
顎二腹筋前腹
2
顔面神経(Ⅶ)
顔面表情筋
アブミ骨
舌骨動脈
アブミ骨筋
茎状突起
アブミ骨動脈
茎突舌骨筋
茎突舌骨靭帯
顎二腹筋後腹
舌骨小角
舌骨体の上部
3
舌咽神経(Ⅸ)
茎突咽頭筋
4∼6
迷走神経(Ⅹ)
咽頭筋 喉頭筋
舌骨大角
舌骨体の下部
喉頭軟骨
内頚動脈
大動脈
右鎖骨下動脈
□咽頭嚢
咽頭の内胚葉が鰓弓(咽頭弓)の内面を覆ったもの。
咽頭嚢の予定運命の相関表
咽頭嚢番号
予定運命
1
耳管・鼓室
2
口蓋扁桃
3
下上皮小体・胸腺
4
上上皮小体・鰓後体(濾胞傍小体)
5
鰓後体(濾胞傍小体)←4 を助ける
※鰓後体は、甲状腺と癒合して、甲状腺の中に散在して、甲状腺の傍濾胞細胞となる。
□鰓溝(咽頭溝)
外見上、各番号の鰓弓(咽頭弓)を隔てる溝のこと。
第 1 対目の鰓溝(咽頭溝)のみが成人の外耳道となる。
残りの鰓溝(咽頭溝)は頚洞とともに消えてなくなる。
※頚洞とは…第二咽頭弓は第 3、第 4 咽頭弓を覆うくらい大きく発達する。その影響で、第 2∼4 咽頭溝は第
二咽頭弓によってふたをされてしまった格好になる。このとき第二咽頭弓が覆った空間を頚洞という。
□鰓膜(咽頭膜)
鰓溝(外胚葉性)の上皮と、咽頭嚢(内胚葉性)の上皮が互いに接近するところに形成される。
これら 2 つの上皮はやがて間葉によって隔てられる。
第 1 咽頭膜から成人の鼓膜ができる。(あの薄い鼓膜は三胚葉すべてから由来する!)
それ以外は成人の構造物形成に寄与しない。
■頭頚部と顔面・口腔の形成
□舌の発生
第 4 週の末ごろ、舌盲孔すぐ吻側にある正中舌芽から舌の発生は始まる。
正中舌芽の外側に外側舌隆起(遠位舌芽)が発生。急速に大きくなって、正中舌芽の上に発達して、舌の前 2/3
を形成。
舌の後ろ 1/3 の発生は、結合節と鰓下隆起によって始まる。(どちらも舌盲孔より尾側にある)
結合節…第 2 鰓弓由来⇒発生が進むと、鰓下隆起に覆われて消失する。
鰓下隆起…第 3、第 4 鰓弓由来。
つまり、舌の後ろ 1/3 は、第 3 鰓弓由来の鰓下隆起の吻側部によって作られる。
□唾液腺の発生
唾液腺は、第 6∼7 週の間に、原始口腔から充実性の上皮芽として発生し始める。
上皮芽の末端は上皮下の間葉内へ発育していく。
唾液腺の結合組織は、神経堤細胞に由来。
すべての実質細胞(=分泌)は、口腔上皮の増殖に由来。
□顔の発生
第 4 週はじめに、
前頭鼻隆起
1 対の上顎隆起
1 対の下顎隆起
から生じる。
第 4 週の末までに、
前頭鼻隆起の下外側部に鼻板が発生。
鼻板の周りの間葉が増殖して、
内側鼻隆起
外側鼻隆起という馬蹄形の高まりを作る。
これにより鼻板は鼻窩というくぼみの中に存在することとなる。(次章参照)
顔の主要原基の予定運命
将来
前頭鼻隆起
前頭部・鼻背部・鼻尖部
上顎隆起
上部頬部・上口唇の大半
下顎隆起
オトガイ・下部頬部・下口唇
内側鼻隆起
鼻中隔
外側鼻隆起
鼻翼
□鼻腔の発生
上のように顔が発生するにつれて、鼻板が陥凹して鼻窩になる。
やがて鼻窩は深くなり、(←内側鼻隆起、外側鼻隆起が出来てくるため)原始鼻嚢が形成される。
《原始鼻嚢》
最初は口鼻膜によって口腔から隔てられているが、次第に口鼻膜は破れ、鼻腔と口腔はつながる。
このつながっている領域を原始後鼻孔という。
最初原始後鼻孔は一次口蓋の後方に位置しているが、二次口蓋が発生すると、鼻腔と咽頭鼻部との接合部に位
置するようになる。
上・中・下鼻甲介が鼻腔の外側壁から隆起して発生する。
副鼻腔のほとんどのものは生まれてから発生する。(上顎洞などは胎児期の末に発生を始めるが)
副鼻腔は鼻腔の壁の憩室として発生し、隣接する骨内に鼻腔の延長、成人の副鼻腔の開口部として存続する。
□口蓋の発生
口蓋は次の二つの原基から発生します
一次口蓋:上顎骨の顎前部を作る。
二次口蓋:硬口蓋と軟口蓋をつくる。
生殖腺の発生と性決定
池田先生担当分
シケタイより一言。
ここは 1/9(約 11 点)の範囲。
腎臓などの泌尿器系は抜けてしまっているらしいので出題されません。
外生殖器なども出ません。要するに講義とプリントからのみ出るらしいです(良心的らしい:本人談)。
それでは授業プリントに沿っていきましょう。ムーアの発生学で言う第 13 章‐3 です。
今回は胎生 7 週以前と以後で分けてまとめていきます。
■胎生第 7 週まで(男女共通)
□始原生殖細胞の移動
始原生殖細胞(Primordial germ cell;PGC):大きな球形の原始的な生殖細胞。卵黄嚢壁内で形成される。
時期
細胞名
場所、挙動
胎生 4 週始め
PGC
尿膜管起始付近の卵黄嚢の内胚葉性細胞の間で形成
∼6 週
精祖細胞 or 卵祖細胞
6週
未分化生殖腺原基
一次性索へ取り込まれる。
□未分化生殖腺の形成
胎生 7 週までは両性の性腺に相違は見られない。
形成過程は次の通り。
時期
形成過程
備考
胎生 4 週末
泌尿生殖隆起
背側大動脈の腹側で体腔上皮(Coelomic epithelium)の肥厚
胎生 5∼6 週
生殖堤(Gonadal ridge)
中腎:発生途中で消失
未分化生殖腺(Indifferent gonad)
後腎:腎に置き換わる
胎生 7 週以降、生殖器発生に性差が生じます。
老婆心ですがこの区別を忘れずに。
老婆心ですがこの区別を忘れずに。
中腎と中腎管、中腎傍管は違います!
中 腎 管=ウォルフ管
中腎傍管=ミュラー管
中腎と勘違いすると大変です。
教科書によってはこう書いてあるので要注意です。
■胎生 7 週以降
ここから男女の性差が生じてきます。
基本的に重要なのはその流れです。ここでは表による比較を中心に説明していきます。
□精巣決定因子
精巣決定因子は Y 染色体上に存在する Y 染色体性決定領域(Sex-determining region of the Y chromasome;
SRY)である。正確に言うと、SRY 遺伝子に制御された精巣決定因子(Testis-determining hormone;TDF)が
分化を決定する。
TDF が精巣に分泌されると以下の二種類のホルモンが分泌されます。
ホルモン名
特徴・機能
抗ミュラー管ホルモン
精巣のセルトリ細胞から分泌される。ミュラー管へ作用する。
Anti- Müllerian hormone; AMH
こ の 物 質 は ミ ュ ラ ー 管 制 御 物 質 (Müllerian inhibiting
substance;MIS)とも言う。
テストステロン
精巣のライディヒ細胞から分泌される。ウォルフ管に作用する。
Testosterone
また 5αリダクターゼに作用して、DHT(Dihydrotestorone)の分
泌を促し、前立腺分化、外性器の男性化に働く。
これを踏まえて男女比較で内生殖器発生を見てみます。
男性
女性
胎生 8 週頃∼
胎生 10∼12 週
AMH(+)
AMH(−)
ミュラー管:退化消失
*卵巣及びホルモンに依存しない*
ミュラー管:分化
→卵管、子宮、膣上部
テストス
ウォルフ管:分化
テストス
ウォルフ管:退化消失(残骸)
テ ロ ン
→精巣上体、精管、精嚢
テ ロ ン
→卵巣上体、卵巣傍体(子宮広間膜内)、
(−)
ガートナー(管)嚢胞(膣外側壁)
(+)
DHT(+)
前立腺分化
外性器の男性化
備考
中腎細管:分化→精巣輸出管
−
−
ウォルフ管は両性の差で対比が明瞭になっています。
女性の場合はホルモンにも卵巣にも依存しないで分化が進みます。
まぁ、要するに、SRY の働きがなければ女性になるって事です。
SRY に異常があると、遺伝的には男性でも卵巣などを形成することがあります。
□精巣の分化・卵巣の分化
あまり対比にはなりませんが比較表にしておきます。
男性
胎生 7 週∼思春期
発生期間
胎児期
女性
管腔はない充実性の精細管。
卵祖細胞
精巣索
↓
↓
卵母細胞:第一減数分裂前期
精細管:管腔はない充実性の精細管。構成細胞
↓
はセルトリ細胞(大部分を占める)
思春期
管腔が発生を開始する。
*1
精細管:PGC 、セルトリ細胞
原始卵胞
卵祖細胞は形成されないが、既に 200 万個の卵
祖細胞が残っている。
*1 PGC→精祖細胞(精子細胞原基)
□精巣の下降(図はプリント参照)
解剖でもやった通り、鼠径管が関係します。
鼠径管は生殖器発生がまだ未分化な状態の時に発生するものです。
精巣の下降は鼠径管の発生に重要。
時期
挙動
胎生 7 週
下生殖靱帯
2 ケ月
下生殖靱帯から精巣導帯を形成する。
3 ヶ月
精巣導帯に引かれて後腹壁から深鼠径輪まで達する。
鞘状突起の隆起。
7 ヶ月
肥大した鞘状隆起により精巣は鼠径輪を通過する。
出生直後
陰嚢内へ精巣が入る。
ここで、鞘状突起の接合部は完全に閉鎖。
精巣に関連した腹膜嚢として精巣鞘膜が孤立する。
男性の場合、この精巣下降が間接鼠径ヘルニアの好発を招く事になります。精巣が下降する際に通過した深鼠
径輪付近の腹膜の穴が塞がらなかったり、その部分の腹膜が他所より薄かったりするためです。
精巣の下降は出生時には完了していない事も多く、1 割ほどいるらしいです(池田先生談)。しかしそのほとん
どは 1 歳の終わりまでに陰嚢へと下降が完了します。
○参考
精巣が腹腔もしくは腹腔外側(鼠径靱帯付近の場合が多い)に留まってしまう場合もあります。これが停留精巣です。
卵巣下降は形成される鞘状突起が小さいため通常閉鎖しているので出生のかなり前に消失します。卵巣自体は鼠径輪を通過する
事がないので、男性のような腹膜への影響は小さいのです。
神経系
船越先生担当分
シケタイから一言。
今回は中枢神経系、末梢神経系、視覚器、聴覚器の 4 つをやりましたが、船越先生いわく、
メインは中枢神経(特に脳)と視覚器らしいです。
とにかく配点(10 点)と量がかみ合っていません。もしかしたら 15 点かも…らしいです。
形式は穴埋めと 5 択で、記述はないらしいです。
授業で時間をかけたのは最初のほうなので、その辺がたくさん載ってますが、授業中大事とい
ったキーワードのあたりがやはり重要らしいです。それに沿って作ってみました。(だいぶプリン
トまんまですが)
結構な量になってしまったので、色つき(下線部など)の所とか見てください。[ ]の中身は先生が
口で言っていた、もしくは言おうとしていた内容です。さらっと流してもいいです。
■中枢神経系の発生
A.神経管(neural tube)の形成
A-1.発生第 3 週
(1)脊索とそれに隣接する中胚葉によって、胚性外胚葉(bmbryonic ectoderm)が神経板(neural plate)に誘導さ
れる。
神経板の吻側 2/3 は将来脳に分化、尾側 1/3 は将来脊髄となる。その境目は第 4 体節のレベルにあたる。
(2)神経板の正中部に神経溝(neural groove)という浅い溝が出来る。
(3)神経溝の壁側の背側部は神経外胚葉移行部と呼ばれ、ここに神経堤(neural crest)の原基である大型細胞群
がみられる。
A-2.発生第 4 週
(4)神経溝が閉鎖し始め(22∼23 日頃)、神経管が形成される。最初に閉鎖され始めるのは、第 4 体節∼第 6 体
節(この部分は将来、頚髄になる)で、ここから吻側、尾側両方向にチャックが閉まるように神経溝が閉じてゆ
く。
(5)神経管の吻側開口部(前神経孔)は 20 体節期(25 日目頃)に閉鎖する。この部分は後に終板になる。
(6) 神経管の尾側開口部(後神経孔)は 2 日遅れて、26 体節期(27 日目頃)に閉鎖する。
A-3
両端の閉じた神経管は、細胞分裂により、細胞の数が増大して急速に長くなる。ある程度神経管が長くなると、
脳屈が起こる。
・神経管は、将来中枢神経系(脳と脊髄)に分化する。
・神経堤は、脳神経節、脊髄神経節、自律神経節からなる大部分の末梢神経系と自律神経系を構成する細胞を
形成する。
B.脊髄の発生
神経板の尾側 1/3(第 4 体節よりおしりの側)は将来脊髄となる。
B-1
神経管を構成している神経上皮細胞は、はじめ多列円柱上皮からなっている。これが分裂を繰り返して、やが
て 3 層に分かれる。
神経管の外側部から縁帯、外套帯、脳室帯の順番に並ぶ。
(1)脳室帯(ventricular zone)
(2)外套帯(mantle zone)、もしくは中間帯(intermediate zone)
脳室帯の一部の神経上皮細胞から分化した神経芽細胞(neuroblast)が集まって、外套帯を作る。この神経芽細
胞は、やがてニューロンとなる。
(3)縁帯(marginal zone)
将来白質になる。やがて脊髄、脊髄神経節、脳の神経細胞が成長して、軸索が縁帯に侵入するようになるため。
B-2
外套帯が厚くなっていく。脊髄の外側壁では肥厚度の異なる領域が生じるので、境界溝という管を縦走する浅
い溝が、管の両側に形成される。
この境界溝は、翼板(後の感覚領域)と基板(後の運動領域)を分離する意味で重要である。
この段階で、以下のような区域が出来る。
(1)蓋板
神経管が横に太っていく中で、薄っぺらなまま取り残された管の天井部分。ここではニューロン、グリア細胞
は作られない。
(2)翼板(alar plate)
境界溝より背側部の領域を指す。やがて感覚領域(sensory area)となる。
ここを形成する神経細胞体は、脊髄における後角にあたる。
(3)基板(basal plate)
境界溝より腹側部の領域を指す。やがて運動領域(motor area)となる。
ここを形成する神経細胞体は、脊髄における前角と側角にあたる。
(4)底板
神経管が横に太っていく中で、薄っぺらなまま取り残された管の底の部分。ここでもニューロン、グリア細胞
は作られない。
B-3
やがて管腔が圧迫され、中心管となる。最終的には以下の構造をとる。(脊髄完成!)
(1)後角(posterior horn)
翼板の領域にあたる。感覚神経が入力。感覚神経は後根(dorsal root)から入る。
(2)側角(lateral horn)
基板の領域にあたる。臓性運動神経細胞(交感神経節前細胞)が存在。
(3)前角(anterior horn)
基板の領域にあたる。体性運動神経細胞が存在。運動神経は前根から入る。
灰白質(gray matter):細胞体と神経網からなる。
白質(white matter):有髄繊維からなる。
C.脳の発生
神経板の吻側 2/3(第 4 体節よりあたま側)は将来脳となる。
※脳の発生と脊髄の発生の違い
(1)脳では神経管の壁の発育が場所によりまちまち。そのため神経管腔が局所的に拡張して脳
室(ventricles)が出来る。
(2)脳では神経管の屈曲(脳屈)が起こる。(全部で 3 回)
(3)脳では蓋板が薄くなって上皮性の薄層となる。
(4)脳では、発生後期に大脳半球が大きく発達してきて脳の他の部分を覆うようになる。
C-1. 3 脳胞 2 屈曲期
発生第 4 週に、神経溝が閉じだして神経管になる。あたま側の神経溝が完全に閉鎖することにより、以下の 3
つの一次脳胞が形成される。
(1)前脳(prosencephalon)
(2)中脳(mesencephalon)
(3)菱脳(rhombencephalon)
[なお一次脳胞はさらに神経分節という細かい分節に分かれる。]
発生第 4 週の間に、脳は急速に成長し、頭屈とともに腹側方向に屈曲する脳屈(brain flexure)をする。
・中脳のところで中脳屈(midbrain flexure)が起こる。(10 体節期頃)
・菱脳と脊髄の境界部で頚屈(cervical flexure)が起こる。(胎生 26 日頃)
C-2. 5 脳胞 3 屈曲期
発生第 5 週の間に、前脳は間脳と終脳に分かれる。中脳は分離しない。菱脳は、橋屈(pontine flexure)によっ
て後脳と髄脳に分かれる。ゆえに、5 つの二次脳胞ができる。
(1)終脳(telencephalon)
前脳の吻側部。将来、大脳半球になる。2 部に分かれる。
a.終脳正中部
b.終脳半球部
(2)間脳(diencephalon)
前脳の尾側部。
視床上溝と視床下溝によって、3 部に分かれる。
a. 視床
b. 視床上部
視床上溝によって視床と分けられる。
[松果体は、間脳の蓋部の尾側部における憩室として発生する]
c. 視床下部
視床下溝によって視床と分けられる。
[乳頭体は、視床下部の腹側表面に豆状の隆起として形成される]
(3)中脳(mesencephalon)
徐々に中脳屈が著明になり、中脳と間脳はより接近する。やがて中脳以下の脳幹の長軸は、前脳に対して直交
することになる。
翼板から中脳蓋が発生。
なお、翼板からは感覚神経核の細胞が発生。
[神経芽細胞が中脳蓋の上 2 ヶ所、下 2 ヶ所で密集してくる。これが 1 対の上丘と 1 対の下丘になる。解剖実
習でヘラを入れたところですね。上丘は視覚反射に、下丘は聴覚反射に関与する。]
基板から中脳被蓋が発生。
なお、基板からは運動神経核の細胞柱が発生。
[ここでも神経芽細胞が密集して、赤核、網様核、動眼神経核、滑車神経核などを形成する。]
(4)後脳(metenscephalon)
将来、橋と小脳となる。
(5)髄脳(mylencephalon)
将来延髄となる。
菱脳は、橋屈(pontine flexure)によって後脳と髄脳に分かれる。その境界(後脳と髄脳の境界)は、第 4 脳室髄
条である。
なお、橋屈によって、菱脳の蓋板(間の天井のところ)が薄くなる。これは菱脳の背側部が左右に引き伸ばされ
るため。ゴムを左右に引っ張ると薄くなるのと同じ。この薄くなった所は、やがて上皮性脈絡板となって、最
終的には第 4 脳室の天井となる。(脈絡組織、脈絡叢の発生参照)
C−3.終脳胞の発達
(1)内反
これによって、蓋板が腹側に折れ込む。
(2)膨出
前方、後方、下方、前下方へと拡大する⇒側頭葉の形成
(3)終脳のツの字状の発達に伴って、側脳室、線条体、海馬も回転する。
C-4.大脳皮質の分化及び C-5.大脳半球の発達
僕は船越先生を信じてます
寧ろシケタイは信じるしかないです。
C-6.小脳の発生
菱脳の翼板に由来する菱脳唇(rhombencephalic lip)から発生する。
菱脳唇は橋屈の結果、上下につぶされて、小脳板を形成する。
C-7.脳室系
プリント参照してください。
(1)側脳室(lateral ventricule)
(2)第三脳室(third ventricule)
(3)中脳水道(cerebral aqueduct)、もしくはシルビウス水道
(4)第四脳室(fourth ventricule)
脈絡組織、脈絡叢の発生(出す雰囲気)
・橋屈によって、菱脳の蓋板(間の天井のところ)が薄くなる。
これは菱脳の背側部が左右に引き伸ばされるため。
この薄くなった所は、やがて上皮性脈絡板となって、最終的には第 4 脳室の天井となる。
・脈絡組織は上皮性脈絡板と脳軟膜からなる。
・脈絡叢はクモ膜下腔の血管が脈絡組織とともに脳室内に突出したもの。脳脊髄液を生産する。
要するに、脈絡叢が出来てくるのは、もともと蓋板があった所だけですよ、ということ。
■末梢神経系の発生
すみません、特に追加する事柄もないし、船越先生も「…今回は細かい脳神経のところとかは要求しない…」
とおっしゃっていたので、プリント参照ということにさせてください。
■視覚器の発生
眼と耳ならメインは眼です。ほぼ断言していました。ポイントは眼杯から始まる大まかな発生と、眼球を構成
する色々な部分は何胚葉性か、という 2 点であると先生はおっしゃっていました。
A.眼杯、水晶体胞の形成
A-1.発生第 4 週
頭のほうの神経溝が完全に閉鎖して、前脳になる前に、頭部の神経ヒダに眼溝ができる。
↓
眼溝はどんどん膨らんで(眼胞を形成する)、間葉を突き進んで、体表の外胚葉組織の方へ向かっていく。
↓
A-2.発生第 5 週
眼胞は体表外胚葉と接触し、その接触した外胚葉が水晶体板になるように誘導する。
↓
眼胞は接触している先端が陥入して、眼杯(optic cup)となる。
A-3.水晶体の形成
眼胞によって、体表外胚葉から水晶体板ができる。
↓
水晶体板が体表側から陥入して、水晶体窩となる。
↓
水晶体窩の陥入したところが体表外胚葉から分離して、球形の水晶体胞となる。
A-4.眼杯の分化
出来立ての眼杯(眼胞が陥入してすぐ)は、内層、外層の 2 層構造をしている。(もともと眼胞は中腔の管だった
から)
→やがてその中腔は消失して、両層は接着する。(1 層になる)
また、眼胞の陥入は、先端だけ(→眼杯形成)ではなく、眼茎腹側まで陥入する。この線状の溝のことを眼杯裂
といい、ここに水晶体胞の栄養血管である硝子体動脈(←眼動脈)、硝子体静脈(→眼静脈)が走る。
B.眼球の発生
眼球は、
・神経外胚葉
・体表外胚葉
・間葉
の 3 つから発生する。
B-1.神経外胚葉由来
(1)眼杯内層⇒網膜神経層になる
・網膜視部(後方 4/5)
網膜 10 層のうち 9 層を担当。視細胞は一番外側にできる。
・網膜盲部(前方 1/5)
網膜 10 層のうち 1 層だけを担当。
◎網膜虹彩部(虹彩上皮)
◎網膜毛様体部(毛様体上皮)
を形成する。
(2)眼杯外層⇒網膜色素上皮層になる
・網膜視部の色素上皮層
・虹彩色素上皮
・毛様体色素上皮
・瞳孔括約筋
・瞳孔散大筋
を形成する。
B-2.体表外胚葉由来
・水晶体
・涙腺
・眼瞼
・結膜の上皮
・角膜の上皮
を形成する。
B-3.間葉由来
・眼筋
・脈絡膜、強膜、角膜、虹彩、毛様体の結合組織の部分
を形成する。
■聴覚器の発生
船越先生は出さないオーラを醸し出していました。万全を期したい方は、A をさらっと見ましょう。B は門田
先生でもやってます。C はおもしろいよね、と先生はおっしゃっていましたが、たぶん出ません。
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