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10 - 駿河台メディアサービス

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10 - 駿河台メディアサービス
ICT利活用教育研究分科会(トピック), NPO法人人材育成マネジメント研究会,
知恵組カフェ(東京・八丁堀), http://hrdm.jp/2011/07/post-95.html
企業の人材育成にも大学教育にも通用する
能力育成のための共通言語の提案
~知的能力を統合的に可視化する
学力ダイアグラムとインテリグラム~
Ver. 1.5 2012年1月14日 阪井和男(HRDM・明治大学)
Kazuo SAKAI (Meiji University) , [email protected]
資料URL:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/hrdm-portfolio-sakai-20120114.pdf
<役職等>
略歴
明治大学法学部教務主任
明治大学東北再生支援プラットフォーム副代表
明治大学文明とマネジメント研究所所長
明治大学サービス創新研究所所長
明治大学死生学研究所副代表
明治大学社会イノベーション・デザイン研究所事務局
明治大学法学部教授
(理学博士)
阪井和男
長
Kazuo Sakai
<公職等>
[email protected]
プロフィール:
http://rwdb2.mind.meiji.ac.jp/Profiles/7/000065
7/profile.html
<略歴>
1952年 和歌山県和歌山市生まれ
1971年 和歌山県立桐蔭高校卒業
1977年 東京理科大学理学部物理学科卒業
1979年 同大学院理学研究科修士課程物理
学専攻修了
1985年 同大学院理学研究科博士課程物理
学専攻退学(6年間在籍)
1987年 理学博士(論文,東京理科大学)取得
1990年 明治大学法学部専任講師
1993年 明治大学法学部助教授
1998年 明治大法学部教授
2012年1月14日
早稲田大学メディアネットワークセンター非常勤講師
早稲田大学情報教育研究所客員研究員
情報コミュニケーション学会副会長
ドラッカー学会執行役員
一般社団法人CSスペシャリスト検定協会理事
NPO実務能力認定機構理事
NPO法人 人材育成マネジメント研究会理事
NPO法人 日本地域活性力創出機構評議員
DPCマネジメント研究会理事
サービスデザイニング研究所所長
サイエンティフィック・システム研究会知的能力の可
視化WG座長
次世代大学教育研究会事務局長
オープンソース&リソース戦略研究会共同代表
日本語プログラミング研究会会長
Japrico Club ユーザ会会長
Ja Sakai Community運営委員(設立発起人)
大学情報サミット初代代表幹事
2
概要

目的


科目や組織を超えて連携させるために、学びのプロセスを可視化すること
提案
教育を連携させるポートフォリオ
1.
プロセスを可視化する

思考の癖を可視化する
2.


インテリグラム(Intel-gram)
本日の学習目標


Can-Doリストの推論分析,学力ダイアグラム
人材育成において個人の能力を整理するための方法が理解できる
謝辞

サイエンティフィック・システム研究会知的能力の可視化WG(座長:阪井和男、
期間:2010年4月1日~2012年3月31日)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
3
目次
1.問題意識と前提


3.可視化法の提案
教育における断絶
学習観の変遷

2.ポートフォリオによる可視化
とは?




演繹アプローチ:知能とは?
帰納アプローチ:Can-doリスト
とは?
創発アプローチ:異質な知的
能力を生かすには?
推論能力を連携させるダイア
グラム
2012年1月14日


学力ダイアグラムによる可視
化
Can-Doリストの推論分析
インテリグラムによる可視化
4.ミシン問題による検証


創発(学力)ダイアグラムによ
る検証
インテリグラムによる検証
5.まとめと議論
HRDM・明治大学 阪井和男
4
教育における断絶
断絶の時代

断絶とは・・・
情報化の進展、グローバル経済の出現、政府の無力化、知識社会と知識
労働者の興隆、企業間の合従連衡、世界的規模の産業構造の再編、
雇用の大変動、高等教育におけるイノベーション

日本:政治の危機、政党の役割の低下、政府への信頼の喪失(ドラッカ
ー、『断絶の時代』、「日本版新版への序文」より、1969年)
「変革が激しく目を引くのに対し、断絶は静かに進行する。地震や噴火として
現れるまでは、気づかれない。」(ドラッカー、『断絶の時代』、1969年)
「地震の群発のように社会を激動が襲いはじめた。その原因は地殻変動としての断
絶にある。この断絶の時代は起業家の時代、グローバル化の時代、多元化の
時代、知識の時代である」(ドラッカー、『断絶の時代』、1969年)

断絶=地殻変動
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
6
日本社会における断絶の構造

断絶=地殻変動
1.
2.
3.
4.
5.

日本人口の少子化 ・・・・・
高度成長の鈍化 ・・・・・・・
高等教育の普遍化 ・・・・・
生死の非日常化 ・・・・・・・
次世代資源の協調化 ・・・
生産人口の減少化・高齢化
競争の激化
近代型教育の限界化
人間尊厳の希薄化
協調型社会への進展化
東日本大震災
・・・?
21世紀初頭の大変動・・・???
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
時代の変わり目に
居合わせた私たち
7
復興20年説

大変動から20年後には隔絶した復興と変貌を遂げている
1868年 明治維新
1889年 大日本帝国憲法の制定(21年後)


富国強兵(明治後期)
帰結:日中戦争,第二次世界大戦の配線
1945年 第二次世界大戦
1964年 東京オリンピックの開催(19年後)


経済大国(昭和後期)
帰結:高度経済成長,バブル崩壊
2011年3月11日 東日本大震災
2030年 ??? (20年間)
鈴木典比古,「2030年・大震災復興は成る(その時、大学の役割は何か)」,じゅあ,第47号,大学基準協会,p. 1,2011年10月1日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
8
復興を担う若者たち

大変動から隔絶的変貌への20年期
 復興の重責をになったのは若い世代
 人材輩出を可能にしたのは教育

若者論:
×「内向き、無気力、安全志向」等とする見方
 彼らは,いま社会の中心にある我々ミドル・シニア世代の閉
塞感・後退感・当惑感を反映する鏡の役割を負わされている
 我々が若者を称して「内向き、無気力、安全志向」等と見るの
は無責任で失礼ですらある
鈴木典比古,「2030年・大震災復興は成る(その時、大学の役割は何か)」,じゅあ,第47号,大学基準協会,p. 1,2011年10月1日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
9
復興を担う若者たち

2011年から2030年の20年間
 復興を担う重責は現在の10歳代~20歳代の若者たち

教育の使命
今ほど大学がその本質的使命、すなわち将来を担う人間の涵
養、に立ち返ってチャレンジできる好機はない
鈴木典比古,「2030年・大震災復興は成る(その時、大学の役割は何か)」,じゅあ,第47号,大学基準協会,p. 1,2011年10月1日.
※東日本大震災を経験した東北地方から,
日本の未来を救い,世界を変える人材が育つ!
 同時代に居合わせ,寄り添えることの幸せ
阪井和男(明治大学東北再生支援プラットフォーム副代表・つむぎプロジェクト担当)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
10
教育制度の「断絶」
1.
学年学級制

2.
教育効果測定のために導入された画一的な学び方
同級生以外と学び合う場が奪われている!
相対評価

教員のクラス管理上の都合で導入された競争原理
同級生と協調させない!
(cf.) 「隣の学生が最大の教育資源」(原田康也・早稲田大学)
3.
単位制

工場労働者の時間管理の方法をそのまま適用
決められた単位数だけ科目を取得すれば卒業できる


科目配置は教員の教育理念にもとづき,学びの実態を反映していない
科目間の連携による意味づけが学習者に任されたまま
∴人間味の失せた「マンモス教育工場」(潮木*,2008年,p. 226)
2012年1月14日
*潮木守一,『フンボルト理念の終焉?(現代大学の新次元)』,東信堂,2008年3月31日.
11
HRDM・明治大学 阪井和男
1つのシステムとしてみた教育
1つのシステムとしてみた教育!?
 科目間の連携
就職
ゼミ
卒業生調査
専門科目
専門科目

ゼロ段階:
アイデア
の産出


カリキュラム
設計・再設計
志願者

B
C
2012年1月14日
D
企業,高校,学生活動,・・・
外部オープン性


A
共通ポートフォリオの構築を目指す

入学試験
必修科目全体を意味付けるストーリー
大学教育と企業等との連携

教養科目
すべての矢印の始点と終点をつなぐ
ストーリー中心型カリキュラム


教育環境、
授業方法
の試験
ポートフォリオがつなぐ教育活動
ポートフォリオの公開
iTunes U・JOCWによる授業公開

高等教育による新しい社会貢献
HRDM・明治大学 阪井和男
12
1つのシステムとしてみた生産

消費者
流通
消費者調査
ゼロ段階:
アイデア
の産出
検査
組立
設計および
再設計
1つのシステムとしてみた生産
(デミング,1996年,pp.68-69)
PDCAの原型(PDSAサイクル)
 品質の改善は,原材料から顧客まで,将
来へ向けての製品サービスの再設計を含
めて全生産ラインにわたる
 この図は,日本で1950年8月に使用された
(原図を回転させ修正して作成した)

製造
工程、機械、
方法、コスト
の試験

原材料の受け取り
および試験
原材料、
設備の供給業者
A
サービス組織では,生産の原資A,B,C
等は,データソースや前工程の作業等
B
C
2012年1月14日
D
デパートにおける代金,代金の計算,預金,払い
戻し,在庫の入出,転記,出荷指示など
デミング,W・エドワーズ,『デミング博士の新経営システム論(産業・行政・教育のため
に)』,NTTデータ通信品質管理研究会訳,NTT出版,1996年3月21日.
原著:W. Edwards Deming, "The New Economics: For Industry, Government, Education
(Second Edition)", Massachusetts Institute of Technology, Center for Advanced
Educational Services, Cambridge, Massachusetts, 1994.
HRDM・明治大学 阪井和男
13
学習観の変遷
高等教育の変化
教員が内容を
どれだけ教えたのか
学生がどれだけ学んだのか
何ができるようになったのか
以 前
現 在
教 員
学 生
教 育
プロセス
ディシプリンの教育
学 習
アウトカム
人材の育成
学校での学習
生涯学習
川嶋太津夫,「学習成果を重視した学士課程教育の構築に向けて:『学士力』提案の背景と各大学の改革課題」,国際大学戦略セミナー2009,
Building the 21st Century Campus,p.7,2009年6月26日. http://csklc.jp/event/090626/kawashima_090626.pdf (2010年3月21日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
15
学習者中心のアプローチ
知
識
「何を知っているか」
“What students know”
コ
ン 「知っている知識で何ができるか」
ピ
“What students can do with
テ
what they know”
ン
ス
学習者中心のアプローチ
Engagement/Learning/Active Learning
川嶋太津夫,「学習成果を重視した学士課程教育の構築に向けて:『学士力』提案の背景と各大学の改革課題」,国際大学戦略セミナー2009,
Building the 21st Century Campus,p.27,2009年6月26日. http://csklc.jp/event/090626/kawashima_090626.pdf (2010年3月21日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
16
教師主導型:知識の体系
具
体
的
Teacher-directed
抽
象
的
Richmond (1993)のFig. 2を参考に大幅に修正加筆して作図。
Barry Richmond, "Systems thinking: critical thinking skills for the 1990s and beyond", System Dynamics Review,
Vol. 9, no. 2 (Summer 1993), John Wiley & Sons. Ltd., pp. 113-133.
http://www.clexchange.org/ftp/documents/whyk12sd/Y_1993-05STCriticalThinking.pdf (2009年8月2日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
17
学習者主導型:知識の獲得
具
体
的
Learner-directed
凡例
知識
能力
能力=既知から新しい知識を生み出す力
能力の始点と終点には知識がある!
抽
象
的
∴能力は知識と独立に存在しない
「移転可能な能力」は幻想にしかすぎない?
Richmond (1993)のFig. 2を参考に大幅に修正加筆して作図。
Barry Richmond, "Systems thinking: critical thinking skills for the 1990s and beyond", System Dynamics Review,
Vol. 9, no. 2 (Summer 1993), John Wiley & Sons. Ltd., pp. 113-133.
http://www.clexchange.org/ftp/documents/whyk12sd/Y_1993-05STCriticalThinking.pdf (2009年8月2日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
18
ストーリーによる記憶への効果
95.2%
93.0%
94.1%
93.7%
93.7%
94.8%
94.8%
94.1%
93.3%
80.0%
80.4%
80%
84.4%
100%
ストーリー群
8.1%
8.5%
18.9%
11.5%
9.3%
4.4%
3.7%
3.0%
20%
20.4%
14.4%
ストーリーのない群
13.7%
40%
27.8%
60%
0%
0
2
4
6
8
10
12
松波晴人(2011年,p. 197)による森敏明・他(1995年)からの引用を修正して加工.
松波晴人,『ビジネスマンのための「行動観察」入門』,講談社現代新書 2125,講談社,2011年10月20日.
森敏明・他,『グラフィック認知心理学』,サイエンス社,1995年. (Bower & Clark, 1969)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
19
「知識」と「能力」を紡ぐ

能力によって文脈化された知識こそ学力!
 複数の文脈を実践的に学ぶ
 プロセス全体が学びのポートフォリオ

文脈の与え方
 ストーリー型カリキュラム
Story-centered Curriculum(SCC)
 あらかじめ文脈を与える
 ストーリーを横糸としてコアな科目を紡ぐ
 PBL(Project-based Learning)
 文脈を生み出す場だけを科目のなかに設計しておく
 シナリオから学ぶテュートリアル型
 実社会から学ぶ実践体験型
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
20
評価の観点
設置審査
インプット
認証評価
プロセス
アウトプット
「効果」は何か?
アウトカムズ
学生の背景
大学が提供する教 学生の成績、卒業 学生が身につけた
(入学試験の成績、性 育プログラム&各種 率、就職率など
知識やスキル、態度、
別など)
サービスなど
価値観など
教員の背景
教員の教育負担、ク 論文数、FD活動、授 論文引用指数(イン
(保有学位、年齢など) ラスサイズなど
業回数など
パクト)、教員の能力
改善など
教育資源
教育理念、学則、管 利用可能な諸資源 学生の学習と成長、
(蔵書数、PC数など) 理運営体制など
のデータ、FDへの参 成功など
加率など
大学の(潜在的)能力の指標
大学の質の間接的な指標
大学の能力を活用した質(有
効性)の直接的な指標
川嶋太津夫,「学習成果を重視した学士課程教育の構築に向けて:『学士力』提案の背景と各大学の改革課題」,国際大学戦略セミナー2009,
Building the 21st Century Campus,p.6,2009年6月26日. http://csklc.jp/event/090626/kawashima_090626.pdf (2010年3月21日アクセス)
川嶋太津夫,「高等教育の『質』保障(議論を深めるために)」,日本学術会議,資料2,p.10,2009年4月16日.
http://www.scj.go.jp/ja/info/iinkai/daigaku/pdf/s-2-2.pdf (2010年3月21日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
21
学習成果(Learning Outcomes)とは
1.
何を学生は、知り、理解できるべきか*
 What
2.
何を学生はできるべきか*
 What
3.
students should know/understand.知識
students should be able to do.能力
どのような学生であるべきか*
 What students
should be like.情動(態度)・倫理
*川嶋太津夫,「学習成果を重視した学士課程教育の構築に向けて:『学士力』提案の背景と各大学の改革課題」,国際大学戦略
セミナー2009,Building the 21st Century Campus,p.16,2009年6月26日. http://csklc.jp/event/090626/kawashima_090626.pdf
(2010年3月21日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
22
ポートフォリオによる
可視化とは?
ポートフォリオの原義
井ノ上憲司,「『ポートフォリオ』を始めよう」,第44回次世代大学教育研究会(長崎大学),2010年3月23日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
24
作品集としてのポートフォリオ
井ノ上憲司,「『ポートフォリオ』を始めよう」,第44回次世代大学教育研究会(長崎大学),2010年3月23日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
25
ポートフォリオをどう使うか?

ポートフォリオとは
紙ばさみ

何をはさむのか
学習途中で生成される全作品
 成果としての代表的な作品集

 代表作品集なら「成果集」
 全作品集なら「形成的評価」

目的
 成果を問うのか、形成的評価に用いるのか?
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
26
ポートフォリオの要件
1.
個人の成果や作品が一覧できる

2.
自分の業績や経験を振り返ることができる

3.
教師評価(専門家による他者評価):専門家から評価してもらう動機が問題!
個人が所有して個人で維持管理できる

6.
相互評価(ピアアセスメント):互いに自己評価を公開し合うことの動機が問題!
自分のことを人に説明してアピールできる

5.
自己評価(セルフアセスメント):自分のことを振り返る必然性や動機が問題!
自分の意志で人に公開できる

4.
成果集(紙ばさみの機能):性能ではなく、どう使いたいかの動機が問題!
パーソナルレコード(PHR, PLR、母子手帳):自分で維持管理する動機が問題!
教育活動を連携させて意味ある活動にできる

連携機能:全体の中の自分の意義:個々の学習活動は全体と繋がっている!
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
27
夢のポートフォリオに向けて

知的能力を可視化できる
 知的能力の要素を考える
 可視化の方法を考える
 個性の違いに意味がある連携を考える
 社会に出た後の人材育成プロセスも可視化できる
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
28
ポートフォリオ

目的
学んだ内容とその根拠を体系的に把握できること

そのプロセスを明示する枠組みを作る
評価を下すことが目的ではない!



意義




学生が自らの学びを可視化する
教員による学習指導を効果的にする
大学同士,企業と大学でマッチングできる
作成のステップ
1.
2.
3.
4.
育成される人材像を明らかにする
ポートフォリオによる可視化の視点を明らかにする
知識と能力の紡ぎ方を定義する
ポートフォリオを表として定義する
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
29
ポートフォリオへのアプローチ

演繹アプローチ
理念から出発
 知能とは、学力とは

帰納アプローチ
成果から出発
 Can-doリスト、コンピテンシー

創発アプローチ
?(創造性を正面から取り扱う)
創造性を取り込みつつ、演繹と帰納を統合化できるか?
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
30
演繹アプローチ:
知能とは?
ガードナーの知能観

© 2008 R.
Sepulveda-EL
TIEMPO
http://www.howard
gardner.com/bio/bi
o.html (2010年10
月21日アクセス)
知能(Gardner, 1983)
ある文化的背景において活性化され、問題を解いたり、その文化において
価値があるとされるプロダクトを作ることができる、ある種の方法で情報
を処理する生物学的、心理学的潜在能力
 それぞれの知能は単独で働くのではなく複合して働く


音楽家が演奏で人を感動させるには、他人の動機や欲求を理解す
る対人的知能が必要
建築家には空間的知能も論理数学的知能も必要
∴知能テストや学校の学力テストで測れるのは、
せいぜい言語的知能や論理数学的知能くらい
恒安眞佐,「多重知能理論の概要」
http://sky.geocities.jp/society_of_mile/page007.html (2010年10月26日アクセス)
"Frames Of Mind: The Theory Of Multiple Intelligences", Howard E. Gardner, Basic Books, New York, 1983/12.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
32
多元的知能理論(Multiple Intelligence)

ガードナーによる知能の定義
脳神経的基準

その知能が独立したかたちで脳の中に存在しているか?*
進化的基準

その知能が解決するべき適応課題が、人類の進化の歴史のなかで
重要な課題として存在してきたか?*
 当初7つだったが、今は8つ

「博物的知能」が追加されている
(1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年
(Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた)
*山岸俊男,『安心社会から信頼社会へ(日本型システムの行方)』,中公新書 1479,中央公論新社,pp. 164-165,1999年6月25日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
33
8つの知能
クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノ
ベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳社,第1章,2008年11月19日.原著:
"Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns",
Clayton M. Christensen, Curtis W. Johnson, Michael B. Horn, McGraw-Hill, 2008.
言語的知能
言葉で考え,言語を使って複雑な意味を表現する能力
論理・数学的知能
計算や数値化を行い,定理や過程を考察し,複雑な数学的
操作を行う能力
空間的知能
3次元で考え,内的・外的イメージを認識し,様々なイメージ
を再現,変換,修正し,自らまたはものを使って空間を航行
し,図形情報を生み出す,または解読する能力
運動感覚的知能
音楽的知能
対人的知能
物体を操作し,身体的能力を微調整する能力
内省的知能
正確な自己認識を確立し,その認識を基に自分の人生を計
画し,方向付ける能力
博物的知能
自然におけるパターンを観察し,観察対象を特定,分類して,
自然体系や人工の体系を理解する能力
調子や和声,音律,音色を聞き分け,生み出す能力
他者を理解し,人間関係を巧みに築く能力
クリステンセン・他(2008年,第1章)による多元的知能論(ハワード・ガードナー)の引用
1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年(Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
34
多重知能理論の意味

多重知能理論の意味
 個人がある知能を使うことに
「より多くの時間をかけるほど、そして、指導と教材
が良ければ良いほど、その人は賢くなる」
 差異が、否定されたり無視されることなく考慮に入
れられたなら、教育は最も効果的に働く

生徒に「自分は何者であり、何ができるか」を理解させら
れることが重要である
恒安眞佐,「多重知能理論の概要」
http://sky.geocities.jp/society_of_mile/page007.html (2010年10月26日アクセス)
"Intelligence reframed: Multiple intelligences for the 21st century", Howard E. Gardner, Basic Books, New York, 1999.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
35
多重知能理論の意味

人は皆それぞれ一組の多重知能を持っており、少なく
とも8-9つの知的活動の特定の分野で、才能を大いに
伸ばすことが出来る(1983)
 知能は生徒が学習の過程にもたらす
“Smarts”(賢さ)を表
わし、各個人は固有の、複数の知能のamalgam(*合成、組
み合わせ)を持ち、それが我々一人ひとりを区別している
 知能は学び得るものであり、人は「よりスマート」になり得え
、我々の知能プロフィールは変化する
ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26))
http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
36
多重知能理論の意味

どんな学習課題にも5つの入り口がある
 the
Aesthetic(審美)
 the Narrative(説話)
 the Logical/Quantitative(論理/量)
 the Foundational(根拠)
 the Experiential(経験).
将来には“同一の”教科コンセプトまたは教科構成概念につい
て、まったく個人毎のアプローチを各生徒へ用意することが
可能になるであろう “Choice Points”
ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26))
http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
37
3つの知能

ガードナーによる知能の定義
1.
実生活で遭遇する問題を解決する能力*
演繹推論による具体的思考力
2.
解決すべき新たな問題を考えだす能力*
帰納推論による抽象的思考力
3.
自らの文化の中で尊重される物やサービスを生み出す能力*
アブダクションによる創造的思考力?
*クリステンセン・他(2008年,第1章,p.25)による多元的知能論(ハワード・ガ
ードナー)の引用
クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳
社,第1章,2008年11月19日.原著:"Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns", Clayton M.
Christensen, Curtis W. Johnson, Michael B. Horn, McGraw-Hill, 2008.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
38
知的な未来をつくる「5つの心」
「心の典型的な働き」「心をどのように活かすべきか」(ガードナー, 2008, p.12)
1.
熟練した心(the disciplined mind) 演繹推論による具体的思考力

2.
統合する心(the synthesizing mind)

3.
主要な学問や職業に必要とされる思考方法を使いこなす心*
帰納推論による抽象的思考力
大量の情報のなかから重要なものを選び出し、自己と他者双方が役立てられる形
にまとめていく心*
創造する心(the creating mind)
アブダクションによる創造的思考力
既存の知識や「統合体」を超えて、新しい課題や解決策を示し、既存の分野を広
げたり新分野を開拓したりする心*
共鳴場を構成する必要条件
尊敬する心(the respectful mind)

4.

5.
個人や集団のあいだの差異に共感して、建設的に対応する心*
倫理的な心(the ethical mind)

活動全体を倫理的な方向に向ける制約条件
働き手として、また市民としてのみずからの役割の特徴を、抽象化してとらえる心*
*ハワード・ガードナー,『知的な未来をつくる「五つの心」』,中瀬英樹訳,ランダムハウス講談社,pp. 201-205,2008年4月23日.
原著:“Five Minds for the Future", Howard Gardner, Harvard Business School Press, Boston, 2006.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
39
帰納アプローチ:
Can-doリストとは?
英検Can-doリスト

評価結果リスト
 1級から5級の20,000人以上の合格者にアンケート
し、その結果を分析したもの
期間:2003年5月からの3年間
 対象:20,000人以上の英検合格者
 方法:自己評価で「自分はこの項目ができる自信がある
」ものにチェック

 利点

具体的な目標として、「3級に受かった後にどのくらいの
英語を使えるようになるか」というゴールを設定できる
「英検Can-doリストとは?」 http://eigo.freesozai.info/4p.html (2010年4月10日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
41
英検Can-doリスト(例)
読む
社会性の高い幅広い分野
1級 の文章を理解することがで
きる
社会性の高い分野の文章
準1級 を理解することができる
聞く
話す
書く
社会性の高い幅広い内 社会性の高い幅広い話題に 社会性の高い話題について
容を理解することができ ついてやりとりをすることが まとまりのある文章を書くこと
る
できる
ができる
社会性の高い内容を理解社会性の高い話題について、日常生活の話題や社会性の
することができる
説明したり、自分の意見を述 ある話題についてまとまりの
べたりすることができる
ある文章を書くことができる
まとまりのある説明文を理 日常生活での情報・説明 日常生活での出来事につい 日常生活での話題について
解したり、実用的な文章か を聞きとったり、まとまり て説明したり、用件を伝えた ある程度まとまりのある文章
2級
を書くことができる
ら必要な情報を得ることが のある内容を理解するこ りすることができる
できる
とができる
簡単な説明文を理解したり、日常生活での話題や簡 日常生活で簡単な用を足し 興味・関心のあることについ
図や表から情報を得ること 単な説明・指示を理解す たり、興味・関心のあること て簡単な文章を書くことがで
準2級
ができる
ることができる
について自分の考えを述べ きる
ることができる
簡単な物語や身近なことに ゆっくり話されれば、身近 身近なことについて簡単な 自分のことについて簡単な文
3級 関する文章を理解すること なことに関する話や指示 やりとりをしたり、自分のこと 章を書くことができる
ができる
を理解することができる について述べることができる
簡単な文章や表示・掲示を 簡単な文や指示を理解す 簡単な文を使って話したり、 簡単な文やメモを書くことが
4級
理解することができる
ることができる
質問をすることができる
できる
アルファベットや符号がわ 初歩的な語句や定型表 初歩的な語句や定型表現を アルファベット・符号や初歩的
5級 かり、初歩的な語句や文を 現を理解することができ 使うことができる
な単語を書くことができる
理解することができる
る
英検Can-doリスト,財団法人日本英語検定協会,http://www.eiken.or.jp/about/cando/cando_02_0.html (2010年3月19日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
42
Can-Doリスト(2010年度後期「教養基礎演習」)
番
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
区分
内容
人のプレゼンを見てプレゼンテーションソフトの新しい使い方を学ぶことができる
プレゼンテーションソフトを使って人前で自分の意見をプレゼンすることができる
自分の意見を人前で臆ぜずに発表することができる
presen
自分の意見を述べるときに根拠を考えることができる
他の人のレポートやプレゼンテーションを見てよい点や改良できる点を考えることができる
ディスカッションで自分の意見を述べることができる
discuss 自分と異なる人の意見の重要性を理解することができる
人の意見を尊重して自分の意見を深めることができる
内容以上に文章の論理構造が重要であることを認識できる
文章の内容に引きずられずに文と文の論理的構造を解き明かすことができる
thinking
ひとつの論証にたいして他の論証の可能性を考えることができる
「なぜ」の問いかけにたいして論証図を用いて「なぜなら」と答えることができる
接続詞に注目して文章の構造を捉えることができる
thinking- 論証図を作成することができる
仮説形成を行うことができる
skill
推測と演繹を区別することができる
表計算ソフトを使って表形式でデータを整理することができる
プレゼンテーションソフトや表計算ソフトのデータを互いに移行させることができる
チャートや絵を使いこなしてビジュアルなプレゼンテーション資料を作成できる
pc-skill
レイアウトの仕方に気を配って分かりやすいプレゼンテーション資料を作成できる
プレゼンテーションソフトを使ってプレゼン資料を作成することができる
箇条書きと表や図などを適切に使い分けてプレゼンテーション資料を作ることができる
毎回の授業内容から得られた知識を適確な文章として要約することができる
summary
毎回の授業内容から得られた知識の意味を見出すことができる
前
後
差
-12%
-26%
-25%
-56%
-19%
-44%
+19%
-6%
-18%
-49%
-70%
-76%
-44%
-98%
-69%
-76%
-83%
-99%
-56%
-72%
-50%
-64%
-44%
-12%
+40%
+30%
-10%
+10%
+60%
-10%
+80%
+60%
+70%
0%
+40%
+30%
+70%
+50%
+30%
+30%
+20%
+70%
+30%
+30%
+60%
+40%
+10%
+40%
+52%
+56%
+15%
+66%
+79%
+34%
+61%
+54%
+88%
+49%
+110%
+106%
+114%
+148%
+99%
+106%
+103%
+169%
+86%
+102%
+110%
+104%
+54%
+52%
学習前後での自己評価結果
(2010後期)
試しに学習前と学習後の履修者の自己評価を行わせた。
学習前の自己申告(全体)
学習後の自己申告(全体)
指標(達成レベル)は10段階とした。
0を最低とし、10を最高とした。(両方を提出した履修者は10名)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
44
可視化すべき内容

授業前後の変化
 目指すこと

高い志にもとづく崇高な使命
 わかること
・・・ GIO : Can-Doリスト
 できること ・・・ SBO: Can-Doリスト
 次の課題


倫理:崇高な使命にもとづく自己との社会的ジレンマ解消
他の授業科目との連携
 全体の中でどんな学びがなされているか?
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
45
2011年度「教養基礎演習」シラバス
崇高な使命:授業目的を自分の高い志として統合する
倫理:社会的ジレンマを想定し自分の倫理に落としこむ
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
46
教養基礎演習(2011年度)
(01) (e01) 〈倫理〉 高い志をもって自分自身の崇高な理念を打ち立てることができる
(02) (e02) 〈倫理〉 授業目的を崇高な理念と統合することができる
(03) (e03) 〈倫理〉 獲得した知識や能力を使うに当たって社会的ジレンマに陥る状況を想像できる
(04) (e04) 〈倫理〉 社会的ジレンマの状況から脱却すべく考えぬいて自分の倫理に落し込むことができる
(05) (s01) 〈要約〉 獲得した知識や能力を適確な文章として要約できる
(06) (s02) 〈要約〉 獲得した知識や能力を自分の行動や成果に生かす方法を考えることができる
(07) (s03) 〈要約〉 獲得した知識や能力から自分にとっての意味を見出すことができる
(08) (d01) 〈議論〉 自分の意見を述べるときに根拠を明示することができる
(09) (d02) 〈議論〉 自分と異なる人の意見に腹を立てることなく尊重できる
(10) (d03) 〈議論〉 人の意見を尊重することで自分の意見を深めることができる
(11) (p01) 〈発表〉 プレゼンテーションソフトを使って口頭発表用のプレゼン資料を作成できる
(12) (p02) 〈発表〉 プレゼンテーションソフトを使って自分の意見を人前で臆ぜずに発表できる
(13) (p03) 〈発表〉 箇条書きと表や図などを適切に使い分けてプレゼンテーション資料を作成できる
(14) (p04) 〈発表〉 表計算ソフトを使って表形式でデータを整理することができる
(15) (p05) 〈発表〉 プレゼンテーションソフトや表計算ソフトのデータを互いに移行させることができる
(16) (t01) 〈主題〉 文章の内容に引きずられずに論理的構造を解き明かすことができる
(17) (t02) 〈主題〉 文章の論理構造を論証図として表すことができる
固
(18) (t03) 〈主題〉 ひとつの論証にたいして他の論証の可能性を考えることができる
有
(19) (t04) 〈主題〉 創造力を駆使して仮説形成を行うことができる
(20) (t05) 〈主題〉 主張を吟味して推測か演繹かを区別しその根拠を解説できる
第2回目授業 概要
どんなリーダーが必要か
復興支援の取組事例
ワールドカフェで議論した上
で自分の考えを公開する
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
48
「崇高な使命」アンケート(抜粋)
アンケート結果
アメリカのオバマ大統領が大統領選でどうしてあれほどの支持を得られたか。それは、彼の論理的で説得力のある話し方にあると言
われており、これはつまり、現在そのような能力が世界的に求められているのだといえる。明治大学法学部生として、議論を通して論
理的思考を学び、他人の異なる意見を尊重し、組み込むこと、他の論証の可能性や推測と演繹を考えることでその能力を養い、また、
この授業を通して将来のリーダーとしての自覚をしっかりもつことが重要であると考えている。
この授業を通してとてもためになることがあった。
ありがとうございました。
自分の意見を、明確な根拠のもと、論理的にかつ多面的な方向から推測できる能力を身につけていきたい。
私はこの授業で特に「自分の意見を述べるときに根拠を考える」能力と「仮説形成を行うことができる」能力を伸ばしていき、将来は法
曹の道へ進みたいたいと考えている。
崇高な理念という抽象的な表現とは必ずしも答えがひとつではないと思う。理念とは考えやある物事の最高の状態などと言い直すこ
とができると考え、様々なケースがあると思う。今回の震災に関して言えば、被災者の目線にたち実際に行動を起こし、それを周りに
も促し復興に尽力していく。上辺だけではない説得力を伴う気高い精神である。これがあればその考えに賛同し後に続く者もいるだろ
う。そうしてリーダーが生まれるんだと思う。崇高な理念とはリーダーには必要不可欠なものと考える。
論理的思考を身につけ、自分の主張を明確にし、論理的な主張にして相手が納得できる様なものにする。
様々な人の主張も聞き、尊重する。
相手の意見を聞く場合、否定的にならずに相手がどのような事をどう伝えたいかをしっかり見極め自分自身にもその意見が生かせる
のではと考えながら聞く事。また自分の意見に関しては根拠をはっきりと述べた上で順々に分かりやすく説明していく事。これを身近
な所から使っていき、将来的に人から求められるような意見を言える人材になれたら良いと考える。今の日本で生きて行く上で、やら
なければいけないことは、東日本大震災における東北地方の復興であったり、原発問題をどうすべきかを最優先に考えなければいけ
ないと思う。これらの問題について、素早く的確な議論が求められているおおもう。そこでこの授業で学んでいることをいかし、日本の
復興・発展にむかっていけたらと考える。
私の崇高な理念は真理の探究である。しかしこれは非常に難しいことだ。なぜなら感情的になること、なんとなく思考していることに気
付かないことなどこの理念の達成の弊害となるものはあまりにも多いからだ。しかしだからこそ崇高な理念なのであり、この授業で学
ぶことは様々な弊害を乗り越えるためのツールとして非常に役に立つと確信している。論理的に物事を考え本当のことを見つけられる
ように努力していきたい。
話の内容よりも構造を論理的に取り出せるようになり、それを議論するときに役立ること。
固定観念に捕われず、自分なりの解釈をするときに相手が納得できるように自身の考えを繰り返し推敲していくうちに論理構成を構
築していくときに注意すべきポイントやコツを掴むことができるようになる。
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
49
第12回目授業 概要
社会的ジレンマの想定:
今回のテーマは次のものとして、ワールドカフェで議論してください。
「スピード重視の社会のなかで 論理トレーニング力を発揮するには?」
議論の進め方:
はじめに、
「スピード重視の社会」というのが抽象的なので、
自分の想像力が湧く範囲の具体的なトピックスを想像してみること。
次に、
そのトピックスにおいて自分がなすどのような行動がジレンマ状況に
なるかを考える。
最後に、
自分の崇高な使命に照らし合わせてどのように行動すれば
ジレンマ状況を脱却できるかを考える。
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
50
「社会的ジレンマ」アンケート(抜粋)
はじめに、「スピード重視の社会」と
いうのが抽象的なので、自分の想
像力が湧く範囲の具体的なトピック
スやエピソードを想像してみてくださ
最後に、自分の崇高な使命に照ら
し合わせて、どのように行動すれば
ジレンマ状況を脱却できるかを考え
てください。
スピードが要求される社会において
よく思考しより論理的な解答を作成
能力を十分に発揮するためには、
論述形式のテスト。
しようとしても、時間に制限があるた
やはり常々から能力を高めていくト
め考えている余裕はない。
レーニングを怠らないことが重要で
時間内というのを意識しすぎると、
会議の時間内。
リーダーシップ。
あまりいい答えが見つからないと思
論理力を高めてあらゆる角度から
会社で実績を上げること
物事を見て、判断し今から為す行動
会社で他社との契約をする営業で、
福島原発の冷却装置をどうするか
が果たして適切なのか考えて行動
期間が短い契約を多くとるか、期間
の判断
すればいいと考える。固定概念をな
が長い契約を少ないがとるかのよう
株
くして、多面的な方向からの意見を
な状況。
会議
自分の考えと照らし合わせることで
適当な答えが出てくると考える。
じっくり考えたいが、その時間が無 人の意見を取り入れ、自分の考えと
会社での期限付きの商品開発
い
照らしあわせる
良いものを考えようとすると時間が 他人との意見交換、情報交換をしっ
会社での製品開発や会議
かかるが、スピードが求められるの かりやることでジレンマ状態を脱却
で難しい。
する道が見えてくると思われる。
この場合、期限が迫っていることよ
将来会社に勤めた場合におこるス
り、スピード(速さ)が求められる。し この場合、自分の中で優先順位を
ピード重視の社会を具体的なトピッ
かし、会社のとても重要な課題とい つけ、落ち着いて順にやっていくこ
クスとして選びます。期限が迫って
う事より、失敗はゆるされず、また とが大切であり、これより、ジレンマ
いるその会社のとても重要な課題
もっとも良いものをつくらなければな 状況を脱却できると考える。
がある場合を考えます。
らないというジレンマ状況になる。
間違いがあることが分かっているの
より効率的に仕事を進めることによ
時間制限の厳しい仕事 例納期ギリ に納期に間に合わないがためにそ
りすべてを完ぺきにし納期を迎える
ギリの工事
れをそのまま見逃してしまわなけれ
ように行動すればよい。
ばいけなくなること。
2012年1月14日
次に、そのトピックスやエピソードに
おいて、自分がなすどのような行動
がジレンマ状況になるかを考えてく
ださい。
HRDM・明治大学 阪井和男
以上のプロセスで難しかったのはど
こでしょうか。
ジレンマからの脱却方法と崇高な
理念を統合すること。
最初に「ジレンマ」の意味が分から
なかった。
社会的ジレンマの状況をまだ体験し
たことがないので考えることが難し
かった。
人の意見を簡潔にまとめること
どのように行動すればジレンマ状況
を脱却できるかを考えることが難し
かった。
ジレンマ状況を脱却できるかについ
て考えるのが難しかった。
ジレンマ状況を脱却する方法を考え
るのはどうにも難しかった。もちろん
だからこそジレンマ状況であるわけ
なのだが…。
51
創発アプローチ:
異質な知的能力を生かすには
?
自由な知的能力
価
値
づ
け
ら
れ
た
評
価
軸
2012年1月14日

自由な知的能力
 出発点としての知識の
任意性
 能力の大きさと向きの
任意性

なぜ能力の有無が問
題になるか?
 価値づけられた評価に
合う?合わない?
 評価軸の存在を意味し
ている!
HRDM・明治大学 阪井和男
53
知的能力の評価
価
値
づ
け
ら
れ
た
評
価
軸

仮定

ハイパフォーマンス ◎

ローパフォーマンス ○
努力が足りない
ノーパフォーマンス ×

効率の向上法
1.
アンチパフォーマンス ×××
要注意人物だ
評価軸上で選別する

努力していない
ネガティブパフォーマンス ××
出発点の知識が同一
能力の大きさが同一

2.
合:◎、○
否:×、××、×××
評価軸の方向に揃
わせる

スピンに磁場

磁場=文化、制度
、報酬、教育・研
修、… etc.
制度の厳格な運用
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
54
教育の効果
価
値
づ
け
ら
れ
た
評
価
軸
「始状態」
「終状態」
■■■ハイパフォーマンス
■■ハイパフォーマンス
■■■■ローパフォーマンス
■■ローパフォーマンス
■■ノーパフォーマンス
教
育
■ノーパフォーマンス
■ネガティブパフォーマンス
■■ネガティブパフォーマンス
■■アンチパフォーマンス
■アンチパフォーマンス
両者の差分が教育効果!
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
55
理想の教育?
価
値
づ
け
ら
れ
た
評
価
軸
「始状態」
「終状態」
■■■■■■■ハイパフォーマンス
■■ハイパフォーマンス
■■■ローパフォーマンス
■■ローパフォーマンス
■■ノーパフォーマンス
教
育
ノーパフォーマンス
ネガティブパフォーマンス
■■ネガティブパフォーマンス
■■アンチパフォーマンス
アンチパフォーマンス
両者の差分が教育効果!
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
56
評価に合わない能力は不要か?
価
値
づ
け
ら
れ
た
評
価
軸
ハイパフォーマンス ◎
ローパフォーマンス ○
ノーパフォーマンス ×
ネガティブパフォーマンス ××
エ
ク
セ
レ
ン
ト
パ
フ
ォ
ー
マ
ン
ス
へ
の
道
アンチパフォーマンス ×××

仮定



出発点の知識が同一
能力の大きさが同一
効率向上の犠牲

創造性

効率性と創造性はトレード
オフ!
∴エクセレントパフォーマン
スへの道を閉ざす!
 20%ルール

義務付けられた制度と
して運用されている例
http://googlejapan.blogspot.com
/2007/07/20.html (2010年4
月13日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
57
エクセレントパフォーマンスへの道
価
値
づ
け
ら
れ
た
評
価
軸


ハイパフォーマンス
2012年1月14日
大前提
知的能力は評価に関わらず対等


アンチパフォーマンス

出発点としての知識の多様さ
努力の方向としての能力の多様さ
価値づけられない能力の生かし方

二項対立の解消法から

次元を上げる
ノーパフォーマンス


HRDM・明治大学 阪井和男
空間次元を追加
 ノーパフォーマンスの評価軸?
時間次元を導入
 空間のなかで活かす軌跡を描く
 タイミングをずらせて生かす!
58
エクセレントパフォーマンスへの道
価
値
づ
け
ら
れ
た
評
価
軸

価値づけられない能力の生かし方

3つの推論法から

演
繹
1.
帰
納
理念にもとづき具体化

2.
アブダクション
必ず行き詰る
外部評価から失敗の理由を問う

3.
演繹帰納アブダクション(宮原諄二,2001年)
外部から学ぶ(テーラー,2009年)(デミング,1996年)
まぐれを生かして意味を発見
タレブ(2008年,2009年)
「1」に戻る

価値づけられていない活動
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋大学イノベーション研究センター編、
日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
フレデリック W.テイラー, 『新訳 科学的管理法』,有賀裕子翻,ダイヤモンド社,2009年11月28日.
デミング,W・エドワーズ,『デミング博士の新経営システム論』,NTTデータ通信品質管理研究会,NTT出版,1996年3月21日.原
著:W. Edwards Deming, "The new economics for industry, government, education", Second Edition, Massachusetts Inst Technology,
April 1994.
ナシーム・ニコラス・タレブ、『まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』、望月衛訳、ダイヤモンド社、2008年2月1日.
ナシーム・ニコラス・タレブ、『ブラック・スワン[上・下]―不確実性とリスクの本質』、望月衛訳、ダイヤモンド社、2009年6月19日.
59
推論能力を連携させ
るダイアグラム
イノベーション・ダイアグラム
知
の
具
現
化
知識
凡例
知識
演
繹
推
論
能
力
知識
共鳴場
知識
帰
納
推
論
能
力
知識
抽
象
化
創発
演
繹
推
論
能
力
具
体
化
アブダクション能力
知識
共鳴場
能力
演繹
アブダ
クション
帰納
スキル
知の創造
山口栄一(2006年,p.70)をもとに改変
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
61
知的能力のプロセスモデル
外にオープン1
近所づきあい**
知
の
具
現 内にオープン
創発的分業*
化
抽象化
why?
具体化
how
(演繹)
知の土壌
IT知識
ビジネス知識
外にオープン2
人間系知識
遠距離交際**
美学,哲学,芸術
革新
改善
共
鳴
場
スモールワー
ルド**の実現
(帰納)
矛盾
具体化
how
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
(演繹)
まぐれ
共
鳴
場
創発 what!
(アブダクション)
知の創造
*加藤浩,「協調学習環境における創発的分業の分析とデザイン」,ヒューマンインタフェース学会論文誌、Vol.6, No.2, pp. 161-168, 2004.
**西口敏宏,『遠距離交際と近所づきあい(成功する組織ネットワーク戦略)』,NTT出版,2007年1月25日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
62
創造プロセスの3つのステップ
C
第1ステップ:アブダクションによる仮説の形成
結果仮説事例
P
第2ステップ:演繹的推論による仮説の一般化
仮説事例結果
A
第3ステップ:帰納的推論による仮説の検証
頭
を
使
い
倒
す
事例結果仮説
創造へ
C.S.パースの「発見における探求の三段階」(宮原諄二、2001年)
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
63
頭を使い倒す
仮説
rule
事例
case

 仮説事例結果
結果
result

仮説
rule
演繹的推論(Deduction):
帰納的推論(Induction):
 事例結果仮説
事例
case
結果
result

仮説
rule
事例
case
アブダクション(Abduction):
 結果仮説事例
結果
result
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
64
仮説
rule
演繹先行型
事例
case
山口栄一サイクル
知
の
具
現
化
結果
result
抽象化
why?
具体化
how
(帰納)
(演繹)
共
鳴
場
具体化
how
(演繹)
創発 what!
(アブダクション)
共
鳴
場
知の創造
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
65
演繹推論(Deduction)

(仮説)
機械的推論
赤い玉だけが入った箱がある
仮説が真ならば、論理
の飛躍はなく、結果は必 (事例)
その箱の中から玉を取り出した
ず正しい
(結果)
特徴



一般から特殊へ
1.
2.
3.
「仮説」を大前提にし
個々の「事例」に当てはめ
「結果」を導く
その玉の色は、当然赤色である
[問題点]



(宮原諄二,2001年)
2012年1月14日
現実には、大前提そのものが真で
あるかどうか明確でない場合も
ごくわずかの青い玉が入っている
かも知れない
その場合は誤った結論に!
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
HRDM・明治大学 阪井和男
66
仮説
rule
帰納先行型
事例
case
デミングサイクル
結果
result
顧客からの情報*
知
の
具
現
化
抽象化
why?
(帰納)
C2
改善
C
A2
具体化
how
D
A
(演繹)
共
鳴
場
創発 what!
(アブダクション)
革新
P
知の創造
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
67
帰納推論(Induction)



(事例)
科学的推論
結果から仮説形成のプ
ロセスには必ず思考の
飛躍がともなう
特殊から一般へ
1.
2.
3.
(結果)
玉を取り出したらいずれも赤色
(仮説)
特徴

机の上に玉が入った箱がある
個々の「事例」を出発点
「結果」の考察を経る
「仮説」の形成へ進む
箱には赤い玉だけが入っている
[問題点]



(宮原諄二,2001年)
2012年1月14日
事例が多いほど仮説が真であ
る可能性が高い
最後に青い玉が出るかも
青い玉が出るまで仮説は正しい
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
HRDM・明治大学 阪井和男
68
創発先行型
仮説
rule
事例
case
知
の
具
現
化
結果
result
抽象化
why?
(帰納)
具体化
how
(演繹)
共
鳴
場
創発 what!
(アブダクション)
P
知の創造
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
69
アブダクション(Abduction)



(結果)
直観的推論
仮説形成の飛躍は、帰
納的推論よりも著しく大
きい不安定な推論
特徴
1.
2.
3.
(仮説)
箱にはすべて赤い玉が入っていて、
赤い玉がそこから取り出された
(事例)
「結果」を出発点
赤い玉の存在は納得できる
いきなり「仮説」を導く
[問題点]
仮説が正しければ「事例」
 箱の中が赤い玉だけか?
は納得できる
 別の場所から赤い玉をもって
きただけかも
(宮原諄二,2001年)
2012年1月14日
机の上に箱と赤い玉がある
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
HRDM・明治大学 阪井和男
70
学力ダイアグラムによ
る可視化
2010年10月30日
「知的能力の統合化の試み~ガードナーの5
つの心の理論を参照して~」
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/cisws06-gardner-5minds-20101030.pdf
知的な未来をつくる「5つの心」
「心の典型的な働き」「心をどのように活かすべきか」(ガードナー, 2008, p.12)
1.
熟練した心(the disciplined mind) 演繹推論による具体的思考力

2.
統合する心(the synthesizing mind)

3.
主要な学問や職業に必要とされる思考方法を使いこなす心*
帰納推論による抽象的思考力
大量の情報のなかから重要なものを選び出し、自己と他者双方が役立てられる形
にまとめていく心*
創造する心(the creating mind)
アブダクションによる創造的思考力
既存の知識や「統合体」を超えて、新しい課題や解決策を示し、既存の分野を広
げたり新分野を開拓したりする心*
共鳴場を構成する必要条件
尊敬する心(the respectful mind)

4.

5.
個人や集団のあいだの差異に共感して、建設的に対応する心*
倫理的な心(the ethical mind)

活動全体を倫理的な方向に向ける制約条件
働き手として、また市民としてのみずからの役割の特徴を、抽象化してとらえる心*
*ハワード・ガードナー,『知的な未来をつくる「五つの心」』,中瀬英樹訳,ランダムハウス講談社,pp. 201-205,2008年4月23日.
原著:“Five Minds for the Future", Howard Gardner, Harvard Business School Press, Boston, 2006.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
72
倫理的な心
非
倫
理
的
な
心
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
73
「倫理的な心」の面内
知
の
具
現
化
倫理的な心
統合する心
(帰納)
熟練した心
尊
(共 敬
す
鳴る
場心
)
2012年1月14日
熟練した心
(演繹)
(演繹)
創造する心
(アブダクション)
共
鳴
場
知の創造
HRDM・明治大学 阪井和男
74
イノベーション・ダイアグラム
知
の
具
現
化
熟練した心
(演繹)
尊
(共 敬
す
鳴る
場心
)
統合する心
(帰納)
創造する心
(アブダクション)
熟練した心
(演繹)
尊
敬(
す共
る鳴
心場
)
知の創造
山口栄一(『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日)によるイノベーション・ダイアグラムを参考として作図.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
75
育成される人材像
倫理的な心
知
の
具
現
化
知識
熟練した心
実生活で遭遇する
問題を解決する能力*
・倫理観
・社会的責任
・職業人意識
困難な現代的問題に
果敢に立ち向かって
創造的な解決策を
模索し実践できる人材
統合する心
解決すべき
新たな問題を
考えだす能力*
熟練した心
知識
尊敬する心
共鳴場のチームで働く力:
発信力・傾聴力・柔軟性
情況把握力
ストレスコントロール力
創造する心
自らの文化の中で尊重される
物やサービスを生み出す能力*
知識
共鳴場
長期的に残る感動的な
学びで得られた知識
*クリステンセン・他(2008年,第1章,p.25)による多元的知能論(ハワード・ガードナー)の引用
山口栄一(『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日)を参考として作図.
知の創造
クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳社,第1章,2008
年11月19日.原著:"Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns", Clayton M. Christensen, Curtis W. Johnson,
76
HRDM・明治大学 阪井和男
76
Michael2012年1月14日
B. Horn, McGraw-Hill, 2008.
学力ダイアグラム
非
倫
理
的
な
心
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
77
社会が求める能力(日経進研Navi)
知
の
具
現
化
資格,免許
PCスキル
高度な語学力
プレゼンテーション能力
コミュニケーション能力
マネジメント能力
ビジネスマナー
問題解決能力
バランスが
良い
分析力・情報処理能力
情報感度・情報収集能力
同左
専門知識
企画力・クリエイティブ能力
高度な語学力
コミュニケーション能力
マネジメント能力
一般知識・教養
山口栄一(『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日)
によるイノベーションダイアグラムを参考として作図.
知の創造
全国大学イメージランキング(日経進学Navi) http://shingakunavi.jp/rank/ (2009年1月4日)
「現役高校3年生の志望校イメージ調査」,日経進学Navi広告特集,日本経済新聞 第二部,2008年11月28日.
78
就職基礎能力ダイアグラム
知
の
具
現
化
資格取得
コミュニケーション能力
ビジネスマナー
(職業人意識)
問題解決能力
創造性が考慮
されていない
計算・計数・数学的思考力
読み書き
コミュニケーション能力
社会人常識
山口栄一(『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日)
によるイノベーションダイアグラムを参考として作図.
(職業人意識)
知の創造
YESプログラムの概要(特長1),厚生労働省 http://www.bc.javada.or.jp/yes/detail/index.html (2008年12月5日アクセス)
79
社会人基礎力ダイアグラム
知
の
具
現
化
知識が考慮され
ていないが、
チーム力を強調
前に踏み出す力
主体性
働きかけ力
実行力
考え抜く力
課題発見力
計画力
ストレスコントロール力
チームで働く力
発信力
傾聴力
柔軟性
情況把握力
ストレスコントロール力
創造力
(新しい価値を生み出す力)
山口栄一(『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日)
によるイノベーションダイアグラムを参考として作図.
社会人基礎力に関する研究会「中間取りまとめ」報告書【概要版】,経済産業省
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/torimatome.htm (2008年12月5日アクセス)
知の創造
80
学士力ダイアグラム
知
の
具
現
化
知識・理解
情報リテラシー
コミュニケーションスキル
ビジネスマナー
問題解決力
ダイアグラムに
収まらないもの
が多い
生涯学習力
総合的な学習経験
数量的スキル
論理的思考力
自己管理力
知識・理解
創造的思考力
チームワーク
リーダーシップ
コミュニケーションスキル
知識・理解
山口栄一(『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日)
によるイノベーションダイアグラムを参考として作図.
(倫理観)
(社会的責任)
知の創造
「学士課程教育の再構築に向けて」(審議経過報告),中央教育審議会 総会(第62回)議事録・配付資料-文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/071017/001.pdf (2008年12月5日アクセス)
81
学士力ダイアグラム
非
倫
理
的
な
心
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
82
まとめ

前提
自己を倫理的に制約しつつ、社会への貢献をめざす
 自己と社会の相克を解消する
教養の意味と意義
総合大学における教養教育とは



公共圏と私生活圏を統合する生活の能力*
 公的な生活と私的な生活の衝突という難問を巧みに解決する能力
 公的なものと私的なもののあいだで巧みに折り合いをつける能力
一人の人が帰属する複数の社会集団や組織間の利害を調整する能力*
*清水真木,『これが「教養」だ』,新潮新書 361,新潮社,p. 15, p. 19, 2010年4月20日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
83
まとめ

前提
 自己を倫理的に制約しつつ、社会への貢献をめざす

成果
 困難な現代的問題に果敢に立ち向かって
創造的な解決策を模索し実践できる

知識
 すぐには文脈化されない豊富な知識を得ておく
 長期的に残る感動的な学びで得られた知識
 能力と能力をつなぐどんな知識が得られたか
 既設科目の一部か,ストーリーやプロジェクト等で得られた固有のも
のかを分別
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
84
まとめ

能力
 実生活で遭遇する問題を解決する能力*

演繹推論:大前提をもとに飛躍のない機械的な推論
 解決すべき新たな問題を考えだす能力*

帰納推論:個々の事実を根拠にする科学的な推論
 自らの文化の中で尊重される物やサービスを生み出す能力*
 アブダクション:他分野からの洞察による直観的な推論
*クリステンセン・他(2008年,第1章,p.25)による多元的知能論(ハワード・ガードナー)の引用
クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳
社,第1章,2008年11月19日.原著:"Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns", Clayton M.
Christensen, Curtis W. Johnson, Michael B. Horn, McGraw-Hill, 2008.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
85
知的能力の養成方法
-1. 情動の安定化
安定した情動がもたらす強い意欲と動機
0. 知的活動の制約
倫理的な心に沿った活動
倫理的な心
1. 個別能力の獲得
領域固有の知識から個別能力で知識生成
 知識の獲得:出発点としての始状態
 能力の獲得:演繹、帰納、共鳴場、アブダクション
 知識の生成:能力によって生成された終状態
熟練した心
統合する心
尊敬する心
創造する心
Can-Doリスト、コンピテンシーの明確化
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
86
知的能力の養成方法
2. 連携能力の獲得
メタ熟練した心
3つの能力を連携
 演繹型プロセス


帰納型プロセス


演繹帰納アブダクション
帰納アブダクション演繹
創発型プロセス

メタ尊敬する心
アブダクション演繹帰納
3. 異種能力の尊重
チームワークの基礎能力を獲得
 3プロセスを全人格的に体験させる
 異種能力の対等性を体感!
メタ倫理的な心
演繹型
帰納型
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
創発型
87
知識と3つの推論能力
知
の
具
現
化
知識
知識
演
繹
推
論
能
力
知識
共鳴場
凡例
知識
「わかる」
帰
納
推
論
能
力
知識
抽
象
化
演
繹
推
論
能
力
具
体
化
アブダクション能力
知識
共鳴場
能力
「できる」
演繹
アブダ
クション
帰納
スキル
知の創造
山口栄一(2006年,p.70)をもとに改変
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
88
まとめ

外部から学び、他者を尊敬する
「テイラーの行動観察*」+「デミングのシステム論**」

大学における教育の再編
 科目内で何を学べるか?
 科目間で何を学べるか?
 大学で何を学べるか?
1.
2.
3.
4.
5.
熟練した心
統合する心
創造する心
尊敬する心
倫理的な心
*フレデリック・テイラー,『科学的管理法の原理』,1911年.
フレデリック W. テイラー,『新訳 科学的管理法(マネジメントの原点)』,有賀裕子訳,ダイヤモンド社,2009年11月27日.
佐藤学,『米国カリキュラム改造史研究(単元学習の創造)』/東京大学出版会,1990年12月10日.
**武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
89
学力ダイアグラム表示
成果
知識:
意義: この授業は,・・・
a1:~がわかる
能力:
α2:~がわかる
α3:~がわかる
α4:~がわかる
具体
抽象
創造
具現
D:・・・・・・ができる
D:・・・・・・ができる
I:・・・・・・ができる
A:・・・ができる
D2:・・・・・・ができる
知識と能力のペアブロックを自在に組み合わせ
α1:~ ~ ~ ~ ~
b1:・・・・・・
(具体)
D:・・・・
・・・・・
(始点)
目標:
・・・・・・
2012年1月14日
a1:・・・・・・・
・・
c1:・・・
d1:・・・・・・
(抽象)
I:・・・・・
・
e1:・・・・・・・
・・
f1:・・・
α3:~~~
α4:~~~
a2:・・・
(終点)
達成:
・・・・・・
(具現)
R2:・・・
・・・・・・
(創造)
A:・・・
HRDM・明治大学 阪井和男
α2:~~~
f2:・・・・・・
90
学力ダイアグラム表示
成果
知識:
意義: この授業は,・・・
a1:~がわかる
能力:
α2:~がわかる
α3:~がわかる
α4:~がわかる
具体
抽象
創造
具現
D:・・・・・・ができる
D:・・・・・・ができる
I:・・・・・・ができる
A:・・・ができる
D2:・・・・・・ができる
(終点)
達成:
・・・・・・
知識と能力のペアブロックを自在に組み合わせ
(始点)
目標:
・・・・・・
a1:・・・・・・
c1:・・・
d1:・・・・・・
(抽象)
I:・・・・・
α1:~~~
b1:・・・・・・
2012年1月14日
α5:~~~
α6:~~
a2:・・・
e1:・・・・・・・
f1:・・・
(具体)
D:・・・・
・・・・・
(具現)
R2:・・・
・・・・・・
(抽象)
I:・・・・
α2:~~~
f2:・・・・・・
HRDM・明治大学 阪井和男
(創造)
A:・・・
α3:~~~
α4:~~~
a2:・・・
91
学力ダイアグラム表(1/2)
成果 意義
この授業は,自己の・・・を・・・することによって,社
会に貢献できる知的能力を育成することである
本授業によって得られた固有の α1:~~~がわかる
知識
α2:~~~がわかる
α3:~~~がわかる
能力 具体思考による演繹推論 D:・・・・・・・・・ができる
D:・・・・・・・・・ができる
抽象思考による帰納推論 I:・・・・・・ができる
創造思考による直観推論 A:・・・ができる
具体思考による具現化
D2:・・・・・・ができる
始点 目標
開始
終了(予定)
期間(予定)
終点 達成
開始
終了(実績)
期間(実績)
2012年1月14日
この授業の目標は・・・
2009年4月吉日
2009年7月吉日
3ヶ月
この授業によって・・・未達,達成,超越
2009年4月吉日
2009年8月吉日
4ヶ月
HRDM・明治大学 阪井和男
92
学力ダイアグラム表(2/2)
プロセス
科目
科目a
知識
科目c
科目d
具体思考による演繹推論
知識
科目b
抽象思考による帰納推論
科目e
知識
科目f
創造思考による直観推論
知識
科目f
具体思考による具現化
知識
2012年1月14日
内容・根拠
科目a 科目b 科目c 科目d 科目f
a1:・・がわかる
a1:・・・
c1:・・がわかる
d1:・・がわかる
D:・・・・・・・・・ができる
α1:~がわかる
b1:・・がわかる
I:・・・・・・ができる
e1:・・がわかる
f1:・・がわかる
A:・・・ができる
α2:~がわかる
f2:・・がわかる
D2:・・・・・・・・・ができる
α3:~がわかる
α4:~がわかる
a2:・・がわかる
a2:・・・
c1:・・・
d1:・・・
b1:・・・
HRDM・明治大学 阪井和男
f1:・・・
f2:・・・
93
知的能力の可視化へ向けて
~ダイアグラムの意味~

知的活動の全体像を可視化


配位空間を定義し、その空間に「知的活動」をマッピングすることで意味
を与えること
「知的活動」とは・・・


知的能力を獲得するプロセスとしての「能力」と
その成果として得られる「知識」の全活動をいう
可視化によって何ができるか・・・
Can-Doリスト
 学生が自らの学習を自己管理することが可能
 教員が授業目的を明確にすると学習プロセスの形成的評価が可能
 教育活動の全体像を可視化することが可能
 結果的に、授業の改善ツールとして利用することが可能
知的能力の可視化WG準備会,サイエンティフィック・システム研究会,汐留(東京),2010年3月11日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
94
Can-Doリストの
推論分析
可視化の6要素

情動(態度)
 情動に訴えかけること


高い志をもつ,自分と異なる意見に腹を立てない,人の意見を尊重
する,人前で臆しない,追究しつづける,体感する,美と捉える
倫理
 倫理的な行動規範に関わること


崇高な使命を打ち立てる,自分の倫理に落としこむ
知識
 授業内容に固有の知識


ルーブリックが有効
能力=演繹推論,帰納推論,アブダクション
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
96
推論分析
事実認識:
事実(としての記述)を把握し認識する
エスノグラフィ,ブルートファクツ,
行動観察,暗黙知の顕在化
知の連携機能:
科学的推論による抽象
化,視点をマクロに
ズームアウト,知識に
汎用性をもたせる
論理的・機械的推論による
具体化(具現化),視点をミ
クロにズームイン,知識を
詳細化し緻密化する
演繹推論
帰納推論 Deduction
大前提の設定:
Induction
神話,理念,信念,文化,
常識,他の推論結果
アブダクション
Abduction
共鳴場:
似たものや異質なものから創発されて
新しい意味を創造する
ひらめき(気づき),アナロジー,
異質なものの新結合
2012年1月14日
知の共有機能:
知の創発機能:
新結合による仮説生成,
視点を根本的に転換,
知識を創造する
HRDM・明治大学 阪井和男
97
演繹推論(Deduction) =親の心(P)
大前提から出発して→論理的に推論
 出発点

大前提の設定:神話,理念,信念,文化,常識,他の推論結果
 機能

知の共有機能:論理的・機械的推論による具体化(具現化),視点を
ミクロにズームイン,知識を詳細化し緻密化する
 特徴

論理の飛躍なし:人を説得できる,大前提が真なら結果は必ず正し
い,大前提が間違っていればすべて誤りとなる,状況やトピックスへ
のこだわり
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
98
帰納推論(Induction)=大人の心(A)
事実(としての記述)を根拠として→科学的に推論
 出発点

事実認識:事実(としての記述)を把握し認識する,エスノグラフィ,ブ
ルートファクツ,行動観察,暗黙知の顕在化
 機能

知の連携機能:科学的推論による抽象化,視点をマクロにズームアウ
ト,知識に汎用性をもたせる
 特徴

思考の飛躍がともなう:枚挙的帰納法から全称命題へ飛躍的に一般
化,人に納得してもらいやすい,事例が多いほど仮説が真である可能
性が高いという「確証性」やいつでも(時間)どこでも(空間)今のまま
変わらないという「自然の一様性(斉一性)」の原理にもとづく,たった
一つの事例でひっくり返る「帰納の問題」に弱い
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
99
アブダクション(Abduction)=子どもの心(C)
既知のものを結合させて→新しい仮説を生成
 出発点

共鳴場:似たものや異質なものから創発されて新しい意味を創造する
:ひらめき(気づき),アナロジー,異質なものの新結合
 機能

知の創発機能:新結合による仮説生成,視点を根本的に転換,知識
を創造する
 特徴

飛躍が著しく大きい不安定な推論:仮説の根拠が人には理解できな
い,制御不能で無意味な思考と見られやすい
※広義の帰納法から枚挙的帰納法を除きアナロジーを含める
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
100
Can-Doリストの推論分析
番
記号 区分
号
情動
倫理
知識
共 (01) (e01) 〈倫理〉
崇高な使
通
高い志
命
〈倫
理〉 (02) (e02) 〈倫理〉
崇高な使 授業目
命
的
(03) (e03) 〈倫理〉
(04) (e04) 〈倫理〉
自分の
倫理
2012年1月14日
演繹
P
帰納
A
アブダク
ション
C
共通
ア
ブ
ダ
情倫知演帰
ク
動理識繹納
シ
ョ
ン
高い志をもって自分自
打ち立て 打ち立て
身の崇高な使命を打ち 1 1
1 1
る
る
立てることができる
授業目的を崇高な使命
1 1
1
統合する
と統合することができる
獲得した知識や能力を
社会的ジ
使うに当たって社会的
1
1
レンマに
想像する
ジレンマに陥る状況を
陥る状況
想像できる
社会的ジレンマの状況
社会的ジ 脱出すべ
から脱却すべく考えぬ
1 1
レンマの く考え抜
いて自分の倫理に落し
状況
く
込むことができる
落し込む
HRDM・明治大学 阪井和男
1
101
1
Can-Doリストの推論分析
番
記号 区分
号
教
養
基
礎
演
習
(20
11
年
度)
情動
倫理
知識
演繹
P
(16) (t01) 〈主題〉
論証図
(18) (t03) 〈主題〉
2012年1月14日
情倫知演帰 ア
動理識繹納 ブ
1
1
1
文章の論理構造を論証図と
して表すことができる
1 1
ひとつの
論証→論
証の構造
を考える
(19) (t04) 〈主題〉
推測と演
繹の区別
共通
文章の内容に引きずられず
に論理的構造を解き明かす
ことができる
文章の論
理構造→
論証図に
表す
ひとつの
論証の方 論証→他
法
の論証を
導く
(20) (t05) 〈主題〉
アブダク
ション C
文章の内
容に引き
ずられない
論理的構
造を解き
明かす
文章の論
理構造
(17) (t02) 〈主題〉
帰納
A
ひとつの
論証→他
の論証を
発見する
想像力を
駆使して
仮説生成
する
主張を吟
味→根拠
を解説す
る
HRDM・明治大学 阪井和男
ひとつの論証にたいして他
の論証の可能性を考えるこ
とができる
1 1 1 1
創造力を駆使して仮説形成
を行うことができる
主張を吟味して推測か演繹
かを区別しその根拠を解説
できる
1
1
102
1
インテリグラムによる
可視化
集計結果
教養基 数理と情 数理と情 情報組 情報組
ソフトパ
専門ゼミ
共通 礎演習 報I(2011 報II(2011 織論I 織論II
合計
(2011年度) ワー論
8
演繹
11
帰納
アブダクション 3
10
知識
3
倫理
5
情動
15
合計
2012年1月14日
(2011年度)
年度)
年度)
10
15
5
14
3
5
20
10
14
3
16
3
5
18
7
13
5
4
3
6
15
(2011年度)(2011年度)
14
13
3
20
3
5
23
HRDM・明治大学 阪井和男
17
11
3
27
3
5
27
(2011年度)
7
10
4
7
3
4
14
22
12
5
29
3
5
27
40
24
127
95
99
31
159
104
インテリグラム
演繹
P
帰納
A
アブダクション
共通
C
教養基礎演習(2011年度)
数理と情報I(2011年度)
知識
数理と情報II(2011年度)
情報組織論I(2011年度)
倫理
情報組織論II(2011年度)
専門ゼミ(2011年度)
情動
ソフトパワー論(2011年度)
0
50
100
150
Intel-gram = Intellect Diagram
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
105
インテリグラム(相対表示)
演繹
帰納
共通
アブダクション
教養基礎演習(2011年度)
数理と情報I(2011年度)
知識
数理と情報II(2011年度)
情報組織論I(2011年度)
倫理
情報組織論II(2011年度)
専門ゼミ(2011年度)
情動
ソフトパワー論(2011年度)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
Intel-gram = Intellect Diagram
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
106
集計結果
共通
教養基礎演習(2011年度)
数理と情報I(2011年度)
数理と情報II(2011年度)
情報組織論I(2011年度)
情報組織論II(2011年度)
専門ゼミ(2011年度)
ソフトパワー論(2011年度)
合計
2012年1月14日
演繹
帰納
8
10
10
7
14
17
7
22
40
11
15
14
13
13
11
10
12
24
アブダク
知識
ション
3
10
5
14
3
16
5
4
3
20
3
27
4
7
5
29
127
95
HRDM・明治大学 阪井和男
倫理
情動
合計
3
3
3
3
3
3
3
3
99
5
5
5
6
5
5
4
5
31
15
20
18
15
23
27
14
27
159
107
科目特性の可視化(相対表示)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
演繹
40%
帰納
30%
アブダクション
20%
知識
倫理
10%
情動
0%
合計
ソフトパワー論(2011年度)
専門ゼミ(2011年度)
情報組織論II 2011年度)
情報組織論I 2011年度)
2011年度)
数理と情報II 2011年度)
数理と情報I
教養基礎演習(2011年度)
共通
Intel-gram = Intellect Diagram
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
108
科目特性の可視化(絶対表示)
80
70
60
50
40
演繹
30
帰納
アブダクション
20
知識
倫理
10
情動
0
ソフトパワー論(2011年度)
専門ゼミ(2011年度)
情報組織論II 2011年度)
情報組織論I 2011年度)
2011年度)
数理と情報II 2011年度)
数理と情報I
教養基礎演習(2011年度)
共通
Intel-gram = Intellect Diagram
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
109
パーソナリティと論理の関係
宮原諄二の仮説*:
「交流分析によりあらかじめある人の自我状態を理解すれば、
その人がしばしば用いる論理のスタイルを予測できる!」
その人の推論の特徴
自我状態の特徴
演繹的推論
帰納的推論
アブダクション
「親」
「大人」
「子供」
*宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
110
TA分析によるパーソナリティの理解
(自我状態の基本構造)
親
parents : P
(自我状態の機能的分類)
CP
支配的な親
養育的な親
NP
大人
A
adult : A
理性的な大人
子ども
child : C
2012年1月14日
FC
自由な子ども
順応した子ども
AC
HRDM・明治大学 阪井和男
CP : Controlling (Critical)
Parent
NP: Nurturing Parent
A : Adult
FC : Free Child
AC : Adapted Child
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリ
ティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋大
学イノベーション研究センター編、日本経済新聞
社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
111
パーソナリティの理解

パーソナリティの違い




パーソナリティと社会性


アブダクションを上手にやれる人とそうでない人がいる
演繹的推論の得意な人もいれば、
帰納的推論の得意な人もいる
社会的な関係のなかで決定されていく
その人の特徴的な行動や考え方を意味する
得意な論理とパーソナリティの関係?


心理学的アプローチ
交流分析(Transaction Analysis: TA)
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
112
創造的な研究者(宮原諄二仮説)
(自我状態の基本構造)
親
parents : P
(自我状態の機能的分類)
CP
支配的な親
養育的な親
NP
大人
A
adult : A
理性的な大人
子ども
FC
自由な子ども
順応した子ども
AC
child : C
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
CP : Controlling (Critical) Parent
NP: Nurturing Parent
A : Adult
FC : Free Child
AC : Adapted Child
高い
非常に高い
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリ
ティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋大
学イノベーション研究センター編、日本経済新聞
社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
113
ミシン問題による検証
ミシン問題

「ミシンはなぜ縫えるのか?」
 誰でも知っているが理解の困難な問題
 2人の人間が言葉を交わしながら解決に導くプロセ
スを詳細に検討
 子どもから大人まで老若男女を問わず誰でも考え
ることができるものの理解することが極めて困難と
いう代表的な問題
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは
何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
115
ミシンの縫い方

縫い方式
 本縫い
上糸と下糸を2本使う
 解けにくく強度に優れるが,伸縮性は乏しい


ミシンの運針速度
 家庭用ミシン

最高約700~1000針/分
 職業用ミシン

最高約1500針/分
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
116
No. 発言者
1 Monitor
2 Monitor
3 Monitor
4 Monitor
5 Monitor
6 Monitor
7 Monitor
8 Solver
9 Solver
10a Solver
10b Solver
11 Monitor
12 Monitor
13 Solver
14 Solver
15 Solver
16 Solver
17 Solver
18 Solver
19 Solver
20a Monitor
20b Monitor
プロトコル
で,どうなってなくちゃなんないかというと,この下のところに糸の輪をつくるでしょ
そいでその中にボビンの糸を通す・・・
・・・
だけどそれムリだよね
つまり,上からはとじた輪が来ているわけでしょ
でここにはずっとつながった糸がある
で,だから,困るのは,このボビンの糸はこの輪の中を通れないわけ
実際何が起きているかっていうと君のいう通りなんだけど
もうちょっと複雑かな
ボビン,
だけど,ボビンについてる糸がこの輪の中通ってるんだよ
この下にはこの糸ずっとつながってんだろ
それとも端があんの?
あー,端があるんだよ
あるんだけど,すごくびっくりするような端でねェ
ボビンの端が切れてるんだ
どうなっているかっていうとボビンが小さなカゴの中に入ってて
この輪がつっこまれてくるだろ
そうするとそのカゴがその輪をつかまえてさ
ボビンの上にかぶせちゃう
オーケイ,あー,それで,それだとすごくいいんだけど,
ボビンがどう動いているのかわかればそれでいいんだけど
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
No. 発言者
21 Monitor
22 Solver
23 Solver
24 Solver
25 Solver
26 Solver
27 Solver
28 Solver
29 Monitor
30 Solver
31 Solver
32 Solver
33 Solver
34 Solver
35 Solver
36 Solver
37 Solver
38 Solver
39 Solver
40a Monitor
40b Monitor
40c Monitor
プロトコル
ボビンはどうくっついてるの?
カゴの中に納まってるのさ
・・・カバーがこうあるだろ,上にかぶせるの
こうぱちんとはまってる感じ
でそこにすき間がある
だから糸が通って
・・・そこにすき間があってさ
そこが輪をつかまえる
針はそこのすき間を通って来るの?
こう,どういう具合にだかこの上にカバーがあって
それにこのすき間がある
でそれが輪をつかまえる
ちっちゃなフックがある
・・・このスパイラルが出てきてるとこに
で,それが輪をつかまえる
で,それで輪が下に降りて来る時に
何かその輪をつかまえて
ここ(ボビンのうしろとミシン本体の間のすき間)のうしろのとこに押し込んで
で,だからさ,こんなふうに輪はここにはまっちゃうような形になるんだよ
だからさ,
もし,ボビンがほんとにボビンケースのまん中に浮いてるような感じなんならさ,
その説明でとってもいいよ
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
ミシンの縫い目
トポロジー的に不可能な問題
 ミシンは2本の糸を使っている

上糸



片一方の端は,縫っている布に
つながっている
もう片一方の端は,糸巻きにつ
ながっている
下糸


片一方の端は,縫っている布に
つながっている
もう片一方の端は,ボビンの中
にある糸巻きにつながっている
∴ 2本の端がない糸!
『ミシンのひみつ』,学研マンガでよくわかるシリーズ38,学習研究社,p. 40.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
119
針の動き
2012年1月14日
「流れのアニメーション(1)」,JUKI Webミシン博物館
http://www.juki.co.jp/jp/muse/sew/anime01.html (2009年7月20日アクセス)
120
HRDM・明治大学 阪井和男
ミシンの縫い目
ボビンが端!
『ミシンのひみつ』,学研マンガでよくわかるシリーズ38,学習研究社,p. 40.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
121
ボビンの動き
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Lockstitch.gif (2009年7月20日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
122
ミシン問題の結論
「コミュニケーション」≠「相互理解」
1.
役割の分化
課題をもっぱら解決する「課題解決者」(Solver)と,問題を
定義し質問を発する「モニター」(Monitor)に役割分化する
2.
理解レベルの不一致
「課題解決者」の理解は深くなるが,「モニター」の理解レベ
ルは浅いレベルにとどまっている
3.
ピザ屋の質問(ActionLearning)
理解の浅い人の質問が有効:浅い理解レベルの「モニター」の疑
問によって「課題解決者」の思考が刺激され勝手に理解が深まっていく
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
123
創発(学力)ダイアグ
ラムによる検証
推論分析

創造的な活動
 知的な能力を全面的に使い倒すことから生まれる

知的な能力
 演繹推論,帰納推論,アブダクションの3推論能力から構成
 宮原諄二による創造的研究者の特性研究


3推論相互の関係を整理,交流分析との関係を研究
推論分析
ミシン問題を3推論で詳細に分析
 各発言内容を3推論(演繹推論,帰納推論,アブダクション)
のどれに相当するかを個別に判断
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
125
推論分析
事実認識:
事実(としての記述)を把握し認識する
エスノグラフィ,ブルートファクツ,
行動観察,暗黙知の顕在化
知の連携機能:
科学的推論による抽象
化,視点をマクロに
ズームアウト,知識に
汎用性をもたせる
論理的・機械的推論による
具体化(具現化),視点をミ
クロにズームイン,知識を
詳細化し緻密化する
演繹推論
帰納推論 Deduction
大前提の設定:
Induction
神話,理念,信念,文化,
常識,他の推論結果
アブダクション
Abduction
共鳴場:
似たものや異質なものから創発されて
新しい意味を創造する
ひらめき(気づき),アナロジー,
異質なものの新結合
2012年1月14日
知の共有機能:
知の創発機能:
新結合による仮説生成,
視点を根本的に転換,
知識を創造する
HRDM・明治大学 阪井和男
126
<推論分析>
No.
役
1-2
4
5-6
7
10b
11
12
13
15
16-19
20b-21
22-24
25
26-28
29
30-32
33
34-39
40a-40c
M
M
M
M
S
M
M
S
S
S
M
S
S
S
M
S
S
S
M
解説
前提の確認
不可能問題の提起
事実の確認
不可能問題の定義
問題の再定義
制約条件の確認
仮説の生成
仮説の追認
問題の解決
問題の解決
問題の提起
問題の解決
仮説の生成
問題の解決
仮説の生成
問題の再定義
仮説の生成
問題の解決
解決策の受け入れ
2012年1月14日
演繹推論
帰納推論
アブダクション
(deduction)
Md×2
(induction)
(abduction)
Md
Mi×2
Md
Sd
Sa
Mi
Mi
Si
Ma
Sa
Sd
Sd×4
Md×2
Sd×3
Sa
Sd×3
Ma
Sd×3
Sd
Sd×6
HRDM・明治大学 阪井和男
Sa
127
2つの壁
38S,39S.すき間
に押し込む
知
の
具
現
化
?
20bM,21M.ボビンは
37S.輪を
どう動くの? 29S.カバーが
つかまえて
上にかぶさる
?
?
33S.フック
18S.カゴが輪
28S,32S.輪を
34S.スパイラル
をつかまえて
つかまえる
4M,7M.
10S.
19S.ボビンの 16S,22S.
ムリ
通ってる
上にかぶせる ボビンが
? 29S.針
?
29S.針は
カゴに 25S,31S.
2M.糸
11M.
入ってる すき間 すき間を通る?
を通す
糸つな
15S.ボビン
1M.糸
がって 12M.
演繹推論による具体化
の端が
の輪
んだろ 端が
切れてる
あんの?
帰納推論による抽象化
2M.ボビン
13S.あー,
の糸
アブダクションによる創発
端があるんだよ
12M.端
点線はM:モニター
5M.とじた輪
実線はS:課題遂行者
6M.つながった糸
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
知の創造
128
創発ダイアグラムの結論

創発ダイアグラムから判明したこと
1.
2つの困難の壁が存在


2.
アブダクションに先行する帰納推論

3.
トポロジー的不可能性の壁
メカニズム解明の壁
抽象化に向かう帰納推論によって壁を迂回し,創発的
な発見へ
創発はアブダクションの連鎖

2012年1月14日
創発に至るプロセス=マイクロ・アブダクションの連鎖(
1M→15S,29S→33S)
HRDM・明治大学 阪井和男
129
創発ダイアグラムの結論

マイクロ・アブダクション
 課題遂行係:1M→10S

ボビンが上から来た糸の輪を「通ってる」と仮定するしか
ありえないとする飛躍的な推論

非論理的なこの推論が正しいことは15Mで「端」の存在を納得し
たうえで「メカニズム解明の壁」を解消して初めて説得力をもつ
 モニター:11M

すぐに反論
∴もしモニターのマイクロ・アブダクション12Mがなけ
れば15Sの創発は導かれなかった可能性あり
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
130
インテリグラムによる
検証
創造的な研究者
(自我状態の基本構造)
親
parents : P
(自我状態の機能的分類)
CP
支配的な親
養育的な親
NP
大人
A
adult : A
理性的な大人
子ども
FC
自由な子ども
順応した子ども
AC
child : C
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
CP : Controlling (Critical) Parent
NP: Nurturing Parent
A : Adult
FC : Free Child
AC : Adapted Child
高い
非常に高い
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリ
ティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋大
学イノベーション研究センター編、日本経済新聞
社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
132
PACモデルによる検証(1-15)
「不可能の壁」を破りきるまで
モニター
課題解決者
(Monitor)
(Solver)
P:親
(Integrated BA)
演繹推論
6
4
(Parent)
合成した場
(Deduction)
43%
2
44%
40%
A: 大人
4
+
1
(Adult)
20%
(Induction)
44%
C : 子ども
(Child)
36%
2
1
12%
帰納推論
5
40%
アブダクション
3
(Abduction)
21%
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
133
PACモデル
(1-15)
P: 親
モニタ ー
課題解決者
(Monitor)
(Solver)
合成し た場
(Integrated BA)
(Parent)
演繹推論
6
4
(Deduction)
44%
+
2
+
1
43%
40%
A: 大人
4
(Adult)
20%
C : 子ども
(Child)
(Induction)
36%
2
1
12%
帰納推論
5
44% +
40%
アブダクション
3
(Abduction)
21%
1.
2.
3.
モニターは「親」(演繹推論)と「大人」 (帰納推論)が強い
課題解決者は「親」(演繹推論)と「子ども」(アブダクション)が強い
課題解決者は次に「子ども」(アブダクション)が強い

4.
5.
6.
モニターの不足を補う
合成した場では,「親」(演繹推論)が強く,次いで「大人」(帰納推論)
ところが,「不可能性の壁」を破ったのは,モニターの「子ども」(アブダクション)
解決の困難は,「親」(演繹推論)が強すぎたため

もし,「大人」(帰納推論)と「子ども」(アブダクション)がもっと強ければ,容易に解決で
きた可能性がある
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
134
PACモデルによる検証(1-40c)
モニター
課題解決者
(Monitor)
(Solver)
合成した場
(Integrated BA)
演繹推論
P:親
22
(Parent)
6
A: 大人
(Adult)
50%
33%
2
C : 子ども
+
4
17%
(Deduction)
28
1 4%
72%
81%
帰納推論
5
13%
4
15%
6
15%
(Child)
(Induction)
アブダクション
(Abduction)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
135
PACモデル
(1-40c)
モニター
課題解決者
(Monitor)
(Solver)
合成した場
(Integrated BA)
演繹推論
P: 親
(Parent)
6
A: 大人
(Adult)
4
33%
2
C : 子ども
+
22
+
1 4%
+
4
50%
72%
81%
17%
(Child)
(Deduction)
28
帰納推論
5
13%
15%
(Induction)
6
15%
アブダクション
(Abduction)
1.
モニターと課題解決者ともに「親」(演繹推論)が強い


2.
モニターは次に「大人」(帰納推論)が強い

3.
課題解決者の不足を補う
課題解決者は次に「子ども」(アブダクション)が強い

4.
課題解決者の「親」(演繹推論)が圧倒的な強さ
課題解決者の「大人」(帰納推論)が圧倒的に弱い
モニターの不足を補う
合成した場では,「親」(演繹推論)が圧倒的で,次いで「子ども」(アブダクション)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
136
まとめと議論
まとめ

目的
 科目や組織を連携させて学びのプロセスを可視化

方法
教育を連携させるポートフォリオ
1. プロセスを可視化する

2.
Can-Doリストの推論分析,学力ダイアグラム
思考の癖を可視化する

インテリグラム(Intel-gram)

2012年1月14日
交流分析のエゴグラムから発想
HRDM・明治大学 阪井和男
138
まとめ

教授側の意図
 Can-Doリストから推論分析


教授意図の学力ダイアグラム,インテリグラム
学習者の学び
 授業サマリから推論分析

学習者のインテリグラム
 Can-Doリストから推論分析

学習者の学力ダイアグラム,インテリグラム
 Can-Doリストの事前・事後アンケート比較
教育効果測定
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
139
Can-Doリスト(2011年度教養基礎演習)
(01) (e01) 〈倫理〉 高い志をもって自分自身の崇高な理念を打ち立てることができる
(02) (e02) 〈倫理〉 授業目的を崇高な理念と統合することができる
(03) (e03) 〈倫理〉 獲得した知識や能力を使うに当たって社会的ジレンマに陥る状況を想像できる
(04) (e04) 〈倫理〉 社会的ジレンマの状況から脱却すべく考えぬいて自分の倫理に落し込むことができる
(05) (s01) 〈要約〉 獲得した知識や能力を適確な文章として要約できる
(06) (s02) 〈要約〉 獲得した知識や能力を自分の行動や成果に生かす方法を考えることができる
(07) (s03) 〈要約〉 獲得した知識や能力から自分にとっての意味を見出すことができる
(08) (d01) 〈議論〉 自分の意見を述べるときに根拠を明示することができる
(09) (d02) 〈議論〉 自分と異なる人の意見に腹を立てることなく尊重できる
(10) (d03) 〈議論〉 人の意見を尊重することで自分の意見を深めることができる
(11) (p01) 〈発表〉 プレゼンテーションソフトを使って口頭発表用のプレゼン資料を作成できる
(12) (p02) 〈発表〉 プレゼンテーションソフトを使って自分の意見を人前で臆ぜずに発表できる
(13) (p03) 〈発表〉 箇条書きと表や図などを適切に使い分けてプレゼンテーション資料を作成できる
(14) (p04) 〈発表〉 表計算ソフトを使って表形式でデータを整理することができる
(15) (p05) 〈発表〉 プレゼンテーションソフトや表計算ソフトのデータを互いに移行させることができる
(16) (t01) 〈主題〉 文章の内容に引きずられずに論理的構造を解き明かすことができる
(17) (t02) 〈主題〉 文章の論理構造を論証図として表すことができる
固
(18) (t03) 〈主題〉 ひとつの論証にたいして他の論証の可能性を考えることができる
有
(19) (t04) 〈主題〉 創造力を駆使して仮説形成を行うことができる
(20) (t05) 〈主題〉 主張を吟味して推測か演繹かを区別しその根拠を解説できる
推論分析
事実認識:
事実(としての記述)を把握し認識する
エスノグラフィ,ブルートファクツ,
行動観察,暗黙知の顕在化
知の連携機能:
科学的推論による抽象
化,視点をマクロに
ズームアウト,知識に
汎用性をもたせる
論理的・機械的推論による
具体化(具現化),視点をミ
クロにズームイン,知識を
詳細化し緻密化する
演繹推論
帰納推論 Deduction
大前提の設定:
Induction
神話,理念,信念,文化,
常識,他の推論結果
アブダクション
Abduction
共鳴場:
似たものや異質なものから創発されて
新しい意味を創造する
ひらめき(気づき),アナロジー,
異質なものの新結合
2012年1月14日
知の共有機能:
知の創発機能:
新結合による仮説生成,
視点を根本的に転換,
知識を創造する
HRDM・明治大学 阪井和男
141
Can-Doリストの推論分析
番
記号 区分
号
教
養
基
礎
演
習
(20
11
年
度)
情動
倫理
知識
演繹
P
(16) (t01) 〈主題〉
論証図
(18) (t03) 〈主題〉
2012年1月14日
情倫知演帰 ア
動理識繹納 ブ
1
1
1
文章の論理構造を論証図と
して表すことができる
1 1
ひとつの
論証→論
証の構造
を考える
(19) (t04) 〈主題〉
推測と演
繹の区別
共通
文章の内容に引きずられず
に論理的構造を解き明かす
ことができる
文章の論
理構造→
論証図に
表す
ひとつの
論証の方 論証→他
法
の論証を
導く
(20) (t05) 〈主題〉
アブダク
ション C
文章の内
容に引き
ずられない
論理的構
造を解き
明かす
文章の論
理構造
(17) (t02) 〈主題〉
帰納
A
ひとつの
論証→他
の論証を
発見する
想像力を
駆使して
仮説生成
する
主張を吟
味→根拠
を解説す
る
HRDM・明治大学 阪井和男
ひとつの論証にたいして他
の論証の可能性を考えるこ
とができる
1 1 1 1
創造力を駆使して仮説形成
を行うことができる
主張を吟味して推測か演繹
かを区別しその根拠を解説
できる
1
1
142
1
学力ダイアグラム表示
成果
知識:
意義: この授業は,・・・
a1:~がわかる
能力:
α2:~がわかる
α3:~がわかる
α4:~がわかる
具体
抽象
創造
具現
D:・・・・・・ができる
D:・・・・・・ができる
I:・・・・・・ができる
A:・・・ができる
D2:・・・・・・ができる
(終点)
達成:
・・・・・・
知識と能力のペアブロックを自在に組み合わせ
(始点)
目標:
・・・・・・
a1:・・・・・・
c1:・・・
d1:・・・・・・
(抽象)
I:・・・・・
α1:~~~
b1:・・・・・・
2012年1月14日
α5:~~~
α6:~~
a2:・・・
e1:・・・・・・・
f1:・・・
(具体)
D:・・・・
・・・・・
(具現)
R2:・・・
・・・・・・
(抽象)
I:・・・・
α2:~~~
f2:・・・・・・
HRDM・明治大学 阪井和男
(創造)
A:・・・
α3:~~~
α4:~~~
a2:・・・
143
学力ダイアグラム表
プロセス
科目
科目a
知識
科目c
科目d
具体思考による演繹推論
知識
科目b
抽象思考による帰納推論
科目e
知識
科目f
創造思考による直観推論
知識
科目f
具体思考による具現化
知識
2012年1月14日
内容・根拠
科目a 科目b 科目c 科目d 科目f
a1:・・がわかる
a1:・・・
c1:・・がわかる
d1:・・がわかる
D:・・・・・・・・・ができる
α1:~がわかる
b1:・・がわかる
I:・・・・・・ができる
e1:・・がわかる
f1:・・がわかる
A:・・・ができる
α2:~がわかる
f2:・・がわかる
D2:・・・・・・・・・ができる
α3:~がわかる
α4:~がわかる
a2:・・がわかる
a2:・・・
c1:・・・
d1:・・・
b1:・・・
HRDM・明治大学 阪井和男
f1:・・・
f2:・・・
144
インテリグラム
演繹
P
帰納
A
アブダクション
共通
C
教養基礎演習(2011年度)
数理と情報I(2011年度)
知識
数理と情報II(2011年度)
情報組織論I(2011年度)
倫理
情報組織論II(2011年度)
専門ゼミ(2011年度)
情動
ソフトパワー論(2011年度)
0
50
100
150
Intel-gram = Intellect Diagram
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
145
ソフトウェア開発ライフサイクルの進化
計画
Plan
構築
Do
計画
Collaboration
思索
Think
構築
Plan
実装
Do
Implement
学習
Learning
見直し Improve
ウォーターフォール型 イテレーション型
Waterfall
Iteration
(進化型・スパイラル型・RAD)
(ハイスミス,2003年,pp. 35-37)
適応型 Adaptation
副次的な矢印は,最初に立てたプロジェ
クトのミッションプロファイルから大きく外
れた結果を見つけ出す新しい考え方(ハ
イスミス,2003年,p. 37)
ハイスミス,ジム,『適応型ソフトウエア開発(変化とスピードに挑むプロジェクトマネージメント)』,ウルシステムズ監訳,山岸耕二・中
山幹之・原幹・越智典子訳,翔泳社,2003年. 原著:Highsmith, James A., "Adaptive Software Development: A Collaborative
Approach to Managing Complex Systems", Dorset House, New York, 2000.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
146
計画
構築
Plan
テイラー・システム

知
の
具
現
化
実装
Do
Implement
テーラーが提唱した科学的管理法
フレデリック・ウィンズロー・テイラー
(Frederick Winslow Taylor, 1856年3月20日
- 1915年3月21日)
販売

製造
科学的管理法によって、個別的な経
験や勘にたよる成り行き管理から脱却
し、生産現場に近代化をもたらし、生
産現場に「管理」の概念を確立
現代の経営学、経営管理論や生産管
理論の源流に
 産業の近代化に寄与

設計
・各部門を区分し,各々で科学
的に唯一の正しい道を決め部
分最適化をはかる*
・官僚制*



内部請負制度・徒弟制度を解体し「労働力の
使用権」を経営者に移行させて
「計画と執行の分離」を行った
学校教育における効率主義の根拠(佐
藤学,1990年,p. 15, 78)
フレデリック・テイラー,『科学的管理法の原理』,1911年.
フレデリック W. テイラー,『新訳 科学的管理法(マネジメント
の原点)』,有賀裕子訳,ダイヤモンド社,2009年11月27日.
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』, 佐藤学,『米国カリキュラム改造史研究(単元学習の創造)』/
東洋経済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
東京大学出版会,1990年12月10日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
147
計画
Plan
構築
Do
PDCAサイクルの推論
見直し Improve
知
の
具
現
化
顧客からの情報*
「演繹」と「帰納」のフィードバックループ
C
帰
納
D
A
演
繹
P
 原型:シューハート・サイクル
製品や工程を検討し改善するためのフローダイア
グラム(デミング,1996年,p. 150)
Plan:改善を目的とした変更、試験を計画する
Do:変更、テストを(出来れば小規模で)実施する
Study:結果を検討する。何が分かったか。何が悪
かったか(顧客の反応)
Act:変更を受け入れるか、変更を中止するか、サ
イクルをもう1度回す

デミング,W・エドワーズ,『デミング博士の新経営システ
ム論』,NTTデータ通信品質管理研究会訳,NTT出版,
1996年3月21日.原著:W. Edwards Deming, "The new
economics for industry, government, education", Second
Edition, Massachusetts Inst Technology, April 1994.
2012年1月14日
PDSAのサイクルは私が1950年に日本で教え
た時に出来上がったものである。 『統計的品質管
理の基本的原理』(日科技連,1950年,絶版)。 (デミング,
1996年,p.173)
HRDM・明治大学 阪井和男
148
PDCAサイクルを回す
C2
知
の
具
現
化
C
D
A
P
・各部門を相互に関係あるシステムとして
扱い,プロセス全体の最適化をはかる*
・民主制*
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経
済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
149
PDCAサイクルを回す
知
の
具
現
化
C2

具現化軸に沿って,
1. 全体最適により
効率化が進む
2. より質の高い方向へ進む
C
A2
D
A
P
・各部門を相互に関係ある
システムとして扱い,プロセ
ス全体の最適化をはかる*
・民主制*
特徴

有効である条件
1.
2.
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経済新報社,
第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
**クレイトン・クリステンセン,『イノベーションのジレンマ(技術革新が巨大企業を滅
ぼすとき)』,玉田俊平太監訳,伊豆原弓訳,翔泳社,2001年7月。原著:”The
innovator’s dilemma (When new technologies cause great firms to fail)”, Clayton M.
HRDM・明治大学
阪井和男
明治大学
阪井和男
2012年1月14日
Christensen,
Harvard Business School Press, Boston,
1997,
2000
顧客の評価軸が
具現化方向に沿う
顧客の事前期待が高い
もし低ければ、
クリステンセンの破壊的イ
ノベーション**の危険あり
150
学力ダイアグラム
知
の
具
現
化
Collaboration
思索
Think
革新
改善
(根治療法)
学習
Learning
(対処療法)

イノベーション・
ダイアグラム(山
口栄一,2006年)
サイクルを
閉じない!
創発
共鳴場
知の創造
*山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,2006年3月3日.
HRDM・明治大学 阪井和男
2012年1月14日
151
推論の区分

演繹
推論
 演繹推論(deduction)
[前提1] AならばBである+[前提2] Aである→[結論] Bである
 広義の帰納推論
帰納

[前提1] a1はPである+[前提2] a2もPである→[結論] (たぶん)すべてのaはPである

アブダク
ション
枚挙的帰納法(狭義の帰納)
アナロジー
[前提1] aはPである+[前提2] bはaと似ている→[結論] (たぶん)bはPである

アブダクション(abduction)
[前提1] aである+[前提2] Hと仮定すると,aがうまく説明される→[結論] (たぶん)H
である
http://ja.wikipedia.org/wiki/帰納 (2011年9月9日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
152
枚挙的帰納法

枚挙的帰納法
[前提1] ここで見た白鳥は白い,[前提2] そこで見た白鳥も白い
 [結論] すべての白鳥は白い

全称命題へ飛躍的に一般化(抽象化)している!
正当性の根拠
 確証性の原理

法則に関連する観察が増えるほど,法則の確からしさは増大
 自然の一様性(斉一性)の原理
すべてのものごとは,他に事情がない限り,いままで通り進んでいく
(時間)他の条件に変化がない限り,自然現象は今まで通り進んでゆく
(場所)地球上の自然の法則は,宇宙のどこでも働いている

http://ja.wikipedia.org/wiki/帰納 (2011年9月9日アクセス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/自然の斉一性 (2011年9月9日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
153
帰納推論における抽象化の機能
1.
思考の集中機能
 思考が分散するのを防ぎ,思考を集中させる機能
「抽象の本質は認知上の集中」(ダンカン,2011年,p. 204)
2.
視点のズームアウト機能
 視点が硬化するのを防ぎ,視点を広くさせる機能
「具体思考を抑え,自由で柔軟に思考できる」(Smith, 2007)
知識に汎用性をもたせる機能
ダンカン,ジョン,『知性誕生(石器から宇宙船までを生み出した脅威のシステムの起源)』,田淵健太訳,早川書房,
2011年3月20日. 原著:Duncan, John, "How Intelligence Happens", Yale University Press (October 26, 2010)
Smith, P. K. et al., “Abstract thinking increases one’s sense of power”, Journal of Experimental Social Psychology
(2007), doi:10.1016/j.jesp.2006.12.005
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
154
アブダクションにおける抽象化の機能

アイデアを「遠くへ」飛ばす
図表1-10(細谷功,2011年,p. 44)をもとに修正して作成
かばん
直接似ている
「収納」する(有形物)
抽
象
化
例:財布,
弁当箱,収
納箱,・・・
例:本棚,
物置,冷
蔵庫,・・・
「収納」する(無形物)
例:PCのフォルダ,
部屋の間取り,
土地の分譲,・・・
「資源を分けて配分する」
さらに「遠く」へ?
例:予算の分け方,
組織の分け方,電
車のダイヤ,・・・
アブダクション
(アナロジーが見えないものの新結合)
細谷功,『アナロジー思考』,東洋経済新報社,pp. 30-45,2011年8月11日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
155
知的能力の養成方法
-1. 情動の安定化
安定した情動がもたらす強い意欲と動機
0. 知的活動の制約
倫理的な心に沿った活動
倫理的な心
1. 個別能力の獲得
領域固有の知識から個別能力で知識生成
 知識の獲得:出発点としての始状態
 能力の獲得:演繹、帰納、共鳴場、アブダクション
 知識の生成:能力によって生成された終状態
熟練した心
統合する心
尊敬する心
創造する心
Can-Doリスト、コンピテンシーの明確化
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
156
知的能力の養成方法
2. 連携能力の獲得
メタ熟練した心
3つの能力を連携
 演繹型プロセス


帰納型プロセス


演繹帰納アブダクション
帰納アブダクション演繹
創発型プロセス

メタ尊敬する心
アブダクション演繹帰納
3. 異種能力の尊重
チームワークの基礎能力を獲得
 3プロセスを全人格的に体験させる
 異種能力の対等性を体感!
メタ倫理的な心
演繹型
帰納型
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
創発型
157
教師主導型:知識の体系
具
体
的
Teacher-directed
教師主導型
演繹
帰納
アブダクション
知識
倫理
情動
抽
象
的
0
2
4
6
8
Richmond (1993)のFig. 2を参考に大幅に修正加筆して作図。
Barry Richmond, "Systems thinking: critical thinking skills for the 1990s and beyond", System Dynamics Review,
Vol. 9, no. 2 (Summer 1993), John Wiley & Sons. Ltd., pp. 113-133.
http://www.clexchange.org/ftp/documents/whyk12sd/Y_1993-05STCriticalThinking.pdf (2009年8月2日アクセス)
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
158
10
学習者主導型:知識の獲得
具
体
的
Learner-directed
学習者主導型
演繹
帰納
凡例
アブダクション
知識
能力
抽
象
的
知識
倫理
情動
能力=既知から新しい知識を生み出す力
能力の始点と終点には知識がある!
0
2
4
6
8
∴能力は知識と独立に存在しない
「移転可能な能力」は幻想にしかすぎない?
Richmond (1993)のFig. 2を参考に大幅に修正加筆して作図。
Barry Richmond, "Systems thinking: critical thinking skills for the 1990s and beyond", System Dynamics Review,
Vol. 9, no. 2 (Summer 1993), John Wiley & Sons. Ltd., pp. 113-133.
http://www.clexchange.org/ftp/documents/whyk12sd/Y_1993-05STCriticalThinking.pdf (2009年8月2日アクセス)
159
10
1つのシステムとしてみた教育
1つのシステムとしてみた教育!?
 科目間の連携
就職
ゼミ
卒業生調査
専門科目
専門科目

ゼロ段階:
アイデア
の産出


カリキュラム
設計・再設計
志願者

B
C
2012年1月14日
D
企業,高校,学生活動,・・・
外部オープン性


A
共通ポートフォリオの構築を目指す

入学試験
必修科目全体を意味付けるストーリー
大学教育と企業等との連携

教養科目
すべての矢印の始点と終点をつなぐ
ストーリー中心型カリキュラム


教育環境、
授業方法
の試験
ポートフォリオがつなぐ教育活動
ポートフォリオの公開
iTunes U・JOCWによる授業公開

高等教育による新しい社会貢献
HRDM・明治大学 阪井和男
160
学力ダイアグラム
知
の
具
現
化
凡例
知識
知識
演
繹
推
論
能
力
知識
知識
帰
納
推
論
能
力
抽
象
化
創発
演
繹
推
論
能
力
具
体
化
能力
演繹
アブダ
クション
帰納
スキル
共鳴場
知識
アブダクション能力
知識
共鳴場
知の創造
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
161
現代心理学の動向
行動主義
1913年 行動主義宣言(ワトソン)
行動主義的学習観
・客観的な評価基準を設定し,学習者の反応が評価基準
を満たしたかどうかで学習を判定する考え方
・行動をすべて刺激と反応の「条件づけ」で説明
個人能力主義
1960年代 知的活動の情報処理過程のモデル
・学習者個人の能力の向上が志向されている
1960年代後半 認知心理学
学習は理解を通した知識獲得
個人能力主義
・学習者個人の能力の向上が志向されている
認知主義
社会構成主義
教師主導型
1910
1920
1930
学習者主導型
1940
1950
1960
1970
1980年代 ヴィゴツキー(1896-1934)心理学に注目
学習や発達は社会的な関係の中で育まれる
1991年 状況論(レイヴ・ウェンガー)
1999年 拡張された学習論(エンゲストローム)
協調学習,学習環境デザイン,関係論
1980
1990
2000年
佐伯胖(2008年,pp. 2-5)をもとに作図
佐伯胖監修,『学びとコンピュータ ハンドブック』,CIEC編,東京電機大学出版局,2008年8月1日.
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
162
学力ダイアグラムの心理学的意味
イノベーション
知
の
具
行
現
動
化
主
義

認
知
主
義
現代心理学の
3要素が統合
化されている
創発
共鳴場
構成主義
知の創造
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
163
知的能力の可視化モデル

成果を問うのか、形成的評価に用いるのか?


プロセスと成果を同時に扱う方法はあるか?


領域固有の知識から有効な知識を生み出す知的推論能力
効率性と創造性のトレードオフ問題


知的能力を統合的に表現する学力ダイアグラム
「知識」と「能力」を峻別し、その関係をプロセス記述できるか?


プロセスと成果を同時に扱う学力ダイアグラム
創造性を取り込みつつ、演繹と帰納を統合化できるか?


成果を可視化し形成的評価を指導に用いる
創造性を犠牲にせず、エクセレントパフォーマンスへ革新する道がある
思考の癖を可視化できるか?

インテリグラム(intel-gram)による可視化
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
164
今後の課題

能力の移転可能性の検証
新しい課題(出発点としての「知識」を取り替えて異なった文脈)で,
学びのプロセスを「学力ダイアグラム」に表し,
思考の癖を「インテリグラム」として集約する
[Q]
新しい課題にとりかかる前の「インテリグラム」と同じか?
[A]
if ‘Yes’  移転可能!
else if ‘No’  移転不可能!
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
165
今後の課題

学びを科学する
 学びを実践する

通常授業で学びを試行する
 学力ダイアグラムを検証する

「?力」と学力を関係づける
 ポートフォリオを確立する

企業と大学の学びの共通言語を作る
 学びの場を解析する

共鳴場のマネジメントを確立する
 学びの危険性に対処する
2012年1月14日
HRDM・明治大学 阪井和男
166
おわり
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