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No.35 - 公益財団法人周南市ふるさと振興財団
【目次】 ふるさと探訪 政所・今昔物語 P2~3 活動紹介 遊休農地再生隊 P4 第1回芝桜まつり P5 1枚の絵 堀川運河 P6 ふるさとの食 簡単かしわもち P7 山陽道エピソード 神武天皇山陽道を歩く P8 ほか 昔の遊び 指遊び唄 P9 ふるさと旬の料理 にんにくの保存漬 P10 平成 23 年夏号 № 35 政所・今昔物語 JR新南陽駅から北に向かい、国道2号 を結ぶ県道3号新南陽日原線の周辺の地区 まどころ を「政所」といいます。 区画整理で整備された新しい通りから一 歩裏道に入ると、懐かしい面影が残る鹿野 街道があります。 新旧の街並みが融合するこの景観は、地 域住民の方が保存活動を続けられた成果 で、次世代に伝えていくための長い歴史が あります。 富田保 4 鎌倉時代、富田地域は「富田保」と呼ばれていました。保とは、周防国の政治を執った 行政区画の1単位でした。富田保の収入は、東大寺に納められていました。富田保の事務 を執る役所として政所が置かれ、施設を「政所屋」と呼びました。地名の政所は、その名 残です。 富田保は、山陽道上に位置し鹿野街道とつながるとともに、富田津(古市港)が海上運 送に用いられるなど、陸上・海上ともに交通の要衝でした。 周防富田駅 明治31年に山陽道鉄道が開通し(広島~三田尻間)、 福川駅が完成しました。 その後、道源銀行の創立者である道源権治氏らの尽力 により、大正15年に周防富田駅(通称;すっとん駅) が完成しました。昭和44年に駅前広場が整備され、昭 和50年からは、貨物集中拠点駅として地域の発展に寄 与し、昭和55年に市名と同じ「新南陽駅」と改められ ました。 周防富田駅 まんどころ来てみん祭 永源山公園のふもとの散策道として親しまれている 「ゆめ風車通り」では、毎年5月3日に「まんどころ来 てみん祭」が開催されます。 以前は、道幅が狭く新南陽高校生の通学路としても危 険な道で、平成4年に政所郵便局から国道2号までの約 [] 第 1 回まんどころ来てみん祭(平成10年) 800mの区画整理、県道の拡張工事の話が出たことを きっかけに、平成6年から政所・土井地区の住民自ら が「よりよいまちなみづくり」について何度も話し合い を重ね、地域活性化を目指して13年前に、第1回目の 祭りを開催しました。その後、工事で一時中断しました が、広い舗道が完成した平成15年から毎年開催してい ます。今年で10回目となり、地域の方やフリーマーケッ トのお店が約100店並びます。 市民の交流をテーマに、若い人を巻き込んだ地域づく りとして、市民、新南陽高校生、南陽工業高校生らがボ ランティアで参加しています。地域の方、出店者、ボラ ンティア、遊びに来た方それぞれの、人と人との交流に より、みんなの笑顔が溢れた祭りとなっています。 第 10 回まんどころ来てみん祭(平成23年) 鹿野街道 山陽道から鹿野を結ぶ道で、萩城 下に往来する山代街道と繋がってい ました。大内家臣が住んだ武家町と 江戸期には商家が形成された地域 で、貴重な街並みが残っています。 ❸ ❹ ❶ ❷ ❺ ①中島屋酒造 ②白壁の街並み ③かつて建咲院の 参道だった ( 石塔 ) ④小路 ⑤⑥富田川から分か れる生活水路 ❻ ❶ 四熊家(四熊家住宅主屋・診療棟;国登録有形文化財) しゅおく 四熊家は、町医者として家業を営み、徳山藩内に6箇所あった医者養成機関の私家塾の 1つ「見学堂」と「講習館」を開いていました。徳山毛利藩主・就馴は、隠居所として政 所の北部あたりに「富田御殿」を建てましたが、完成するまでの6年間、四熊家と建咲院 の敷地に仮御殿を建てて過ごしました。現在、仮御殿跡は庭になっており、奥には鳥居・ 社があります。雨の神を祀り、代々の当主が四熊ヶ岳に登り雨乞いをしていたそうです。 ① ①主屋は茅葺き屋根 ②講習館 ③かつて仮御殿があった 場所 ④庭の中の鳥居 高台から建咲院を望む 建咲院の北側にある すえおきふさ 陶興房の墓 ④ ③ 建咲院は、陶興房が両親の冥福を祈る為建立。 毛利元就が訪ねて以来、毛利氏の特別保護を受け 発展した、重要資料が多く残っている。 ② 【取材協力;徳本信治、参考資料;新南陽市史】 [] 活動紹介 ふるさと振興財団では、平成16年度より市民活動において 新たな取り組みを目指す団体を対象に助成を行っています。 今回は、平成22年度の助成団体の中から「遊休農地再生隊」 に活動紹介をしていただきます。 ~平成22年度しゅうなん元気活動支援事業 助成団体~ 遊休農地再生隊(ボランティアグループ) 遊休農地再生隊では、EM ( 有用微生物群 ) 菌およびEMボカシを有 効活用し、遊休農地の農園化 ( 休耕地の削減 ) と生ごみのリサイクルを 行い、安心・安全・新鮮野菜 ( 無農薬・有機栽培 ) の提供、農園作業を 通した地域活性化への機会の提供 ( 3世代交流 )、環境改善への意識の高揚を目的に“善 循環型モデル農園”を目指して活動をしています。 活動の主旨 推進母体と 趣旨に賛同して頂けた熊毛地区在住の 活動方法 有志、JA周南熊毛直売所役員、熊毛婦 人会、勝間コミュニティ推進協議会役員 からの参加者で、月2日(平日1回、土曜日1回)の固定 作業の他に、植付時期、収穫時期には別に計画を立てて ( 平 成22年度88日 ) 活動しました。 遊休農地の農園化 活動内容 約10年間遊休農地だった場所(35 アール)を開墾し、周辺整備 ( 用水路・通路・収穫小屋 ) を行うとともに、生ごみのリサイクル用地としての活用と、 無農薬野菜の生産、イベント用もち米を生産しています。 生ごみのリサイクル化 老人ホーム・保育園などの近隣施設の残飯を回収し、熊 毛婦人会が作成したEMボカシを利用して、生ごみ処理活 動を行っています。 地域活性化への機会提供 小学生対象に、もち米の植付け・刈取り・餅つき、さつ ま芋の植付け・収穫・焼き芋の体験学習を実施しています。 また、近隣住民を対象に、そうめん流し、収穫祭 ( 餅つき 、 汁粉、 読み聞かせ等 )、花見 ( 老人会との交流)を実施 しています。 今後の活動 “安心・安全野菜を「子や孫に」”を テーマに、多くの父母、祖父母の方々 に参加していただき、種々の野菜を提供できる1つのモデ ル地区を目指して活動していきます。 22/1 月 開墾風景 22/6 月 田植え風景 23/4 月 花見風景 【執筆;遊休農地再生隊】 [] 「うわー、すごーい!!」 あぜ 棚田の畦 一面に広がる芝桜を見に来られた 方々の第一声です。この声が1日中途切れるこ となく聞かれました。 おおどうり 平成23年4月29・30日の両日、大道理 か の じ 鹿野地地区で行われたイベントでは、地区内の 田んぼの周りを 1 周しながら、魅力を堪能され ていました。 「多くの方に足を運んでいただき、感激して います。」 芝桜まつりのフィナーレで、大道理地区百笑 倶楽部の方が、3年間の取り組みを振り返りな がら、感涙の声で挨拶されました。(それを見 ていた私たちも感動しました。) 年寄りが幸せに暮らせる仕組みを作ろうと、 3年前「百笑倶楽部」を5名で立ち上げ、畦 1万㎡に防草シートを敷き、10万本の芝桜を この地区は、長穂から和田地区高瀬を通る国道 植えることを計画し、4色の芝桜を植えて根を 376号の中ほどに位置する中山間地域で、世帯 数11戸(農家6軒)の小さな部落です。平均年 張らします。太陽光線から保護することで土も 齢68歳で、畦の高さは9mもあり、これまでは 丈夫になり10年間雑草を刈ることが避けられ 年に約5回の草刈りが大変な作業でした。 ます。 シート張り、さし芽、植え付けなど気の遠くなる作業を5名から始めた取り組みですが、 毎回、市内外から約百名のボランティアの方に応援していただき作業されています。地域 の女性は餅やこんにゃく作りをと張り切っています。(地域が元気になれば高齢者も元気 になります。) 「やまぐちの棚田20選」に選ばれ、田植えの終わった今の時期も素晴らしい景観です。 そのほか、秋の紅葉狩り、裏山(天神山)展望台の桜、菜の花ロードなど、年間を通して 花により笑顔を咲かせる地域づくりをされています。 ㈶周南市ふるさと振興財団 http://gokan-furusato.org/ いのち育む里づくり「百笑倶楽部」のページをご覧ください [] 堀川運河 昭和7年の風景です。櫛浜コミュニティ推進協議会20周年記念でポストカードを作成 した中の1枚として残っています。櫛浜小学校の前を流れる堀川運河は、明治7年に造ら れたものです。 太崋山の先にある大島は、もともと砂洲が堆積して陸続きの半島でした。徳山湾と下松 湾を往来するには、海路で大島半島を迂回すると約28㎞あり、風浪の危険がありました。 そこで徳山と下松を直結する運河を掘り開き、延長1, 400m、幅員15m、深さ4. 5 mの運河が完成しました。満潮時には20~30t級の船が通り、櫛浜は徳山から下松間 を結ぶ要衝となりました。 現在、船は通行できなくなっており、開閉橋は消えて橋になっています。 あなたのお気に入りスポットを募集中! お寄せいただいた中から、編集委員で協議し、周南市内のおススメの場所を掲載していきます。 ▼情報のご提供はコチラまで 財団法人周南市ふるさと振興財団(ふるさと産品の店こあ) 〒 745-0007 周南市岐南町 7-10 ☎ 0834-22-8516 FAX0834-22-8517 E メール:[email protected] 地 産 地 消 ふるさと朝市 毎週水曜日 8:30 ~ 11:00 9:00 ~ 17:00 休日:土・日曜日、祝日 周南市岐南町 7-10 ☎ 0834-22-8516 ふるさと夕市 毎週金曜日 14:00 ~ 17:00 野菜・鮮魚・花・パン 場所:ふるさと産品の店“こあ” ふるさと朝市・夕市連絡協議会 ― わたしたちは、ふるさとづくりを応援しています。 ― [] [] 第9回 山陽道エピソード 新南陽民俗資料展示室 西村 修一 じん む ≪神武天皇山陽道を歩く≫ ひむか しゅったつ あ き き び 神武天皇と言えば、その昔、日向の国 ( 南九州 ) を出立して、安芸の宮 ( 広島 )、吉備の宮 ( 岡 やまと 山 ) と瀬戸内海を遍歴しながら、ついに大和に入り平定したという伝説が伝わっています。 みこと すおうなだ ちくし 伝説上のサヌの尊(日向時代の名前)は周防灘を通ったことになるのですが、筑紫-安芸 間の伝承は『記紀』には載っていません。ところがここ周南市には、面白いことに神武天 とんだ 皇上陸の伝説が伝わっています。船酔いしたサヌの尊は富田にしばらく滞在したというの し くま が たけ です。四熊ヶ岳では四頭の熊が出て尊を礼拝したといいます。尊が腰掛けたという腰掛け よびさか 岩も伝わっています。呼坂では、一泊したという伝承が伝わっています。すると、尊はほ りつりょう とうせい ぼ律令時代の山陽道を歩き、安芸の手前で再び乗船して東征の途についたことになります。 こうのうえ しもかみ 神上神社 (下上) の腰掛け岩 かしはら 四熊ケ岳 神武天皇を祀る橿原神社(呼坂) ちゃや ≪山陽道の茶屋≫ み と こうもん 街道のつきものといえば“茶屋”です。テレビドラマ「水戸黄門」には必ず道中旅のシー はち べ え とうげ ンが出てきて、食いしん坊のうっかり八兵衛が茶屋で地元の名物を食します。 “峠の茶屋” か ご おきば とかよく耳にします。お駕籠置場があったり、峠ではひと休みしたいのは人の心理なので ふくがわ ひらの おんだ みうらぢゃや へ た や じ しょう。福川と平野の間にある温田峠には“三浦茶屋”がありました。戸田と夜市の間の あかさか こし か ぢゃや 赤坂には“腰掛け茶屋”という情緒たっぷりのネーミングの茶屋もありました。東松原には、 ふじ たな まえだばくじ “藤の棚”と呼ばれたダンゴがたいそう評判な茶屋がありました。前田麦二が想像画を残し ほんじん ています。現代の茶屋も私たちにとって嬉しい存在です。福川本陣前のいよや本店の名物 み そ かくせいけん つる すごもり 味噌まんじゅうや呼坂の鶴声軒の県の銘菓“鶴の巣篭”は旅人を喜ばせます。 福川名物味噌饅頭のいよや (福川本陣前) はやたま 前田麦二画の“藤の棚”(速玉町) 銘菓 「鶴の巣篭」 の鶴声軒 ( 呼坂本陣近く ) 次回は「太閤さんがゆく」「山陽道と芝居小屋」です。お楽しみに。 [] 文と絵:倉冨良枝 「 私 が 子 ど も だ っ た 昭 和 の 初 め 頃 、 今 か ら 8 0 年 ほ ど の 前 の 山 里 の 遊 び で す 。」 ~ 指遊び唄 ~ ♪ 小指と小指が けんかして / 薬指さん 薬をつけて / 中高指さん 叱られて 人差指さん 言うてって / 親指さんが ことわった ♪ 指の名前を教えるのに、私が小学校1年生の頃、先生は各指の名前を「指遊び唄」に合 わせて、小指から順番に左右の指先を合わせ、チョン、チョンと打ち合わせながら、唄い、 唄につれて指の名前を教え覚えさせてくれた。 さとうた 里謡としての「指遊び唄」は、また少し異なっていた。 ♪ 子どもと子どもが けんかして / べんべぇさぁが 言ちって / 高たかさぁが くじくって / 人さしさぁが ことわって / なかなか聞かん くそ親父 ♪ ※子ども=小指、べんべぇ=紅差指 薬指、高たかさぁ=中高指、人さしさぁ=人差し指、くそ親父=親指 自家が里山にある母親は夏休みや、正月休みには子どもたちを連れだって里帰りをして いた。里山の子どもの私たちも里帰りして来る子どもたちと遊ぶのは、何よりも待ち遠し い友達であった。 ♪ 子どもと子どもがけんかして / 薬屋さんが 止めたけど / なかなか けんかは 止らない / ひと、人たちゃ 大笑い / 親たちゃ おこった ♪ 同じ「指遊び唄」であっても、山口から里帰りして来た子どもたちと、私たちが唄うの とは異なっていた。けれども、違うのがまた面白くて、覚えたものである。 「所変われば品変わる。唄う唄さえ所で変わる。竹の笹さえ世が世で変わる。渡る世間 に、鬼はなし。」 ことわざ と、祖母は諺を入れながら遊び唄の違うことを諭してくれた。 [] 「ふるさとかわら版」編集委員:内山洋子/倉冨良枝/徳本仁/中村秀昭(50音順、敬称略) かわら版に関するお問合せ先:ふるさと産品の店 “ こあ ” ☎ 0834-22-8516 財団法人周南市ふるさと振興財団 〒 745-0034 周南市御幸通 2-28 周南市市民交流センター 2 階 ☎ 0834-33-7701 FAX 0834-31-3655 Eメール:[email protected] URL:http://gokan-furusato.org/ [10]