Comments
Description
Transcript
らくラックシステムを活用した高糖度トマト栽培技術
らくラックシステムを活用した高糖度トマト栽培技術 (栽培技術部 園芸栽培グル−プ)○西田 重藤 背 美沙子・陶山 * 祐司 ・刀祢 紀江 茂 弘 ** 景 山口型イチゴ高設栽培システム「らくラック」は、その作業性の良さや栽培 技 術 が 受 け 入 れ ら れ 、 県 内 外 の イ チ ゴ 栽 培 農 家 に 普 及 が 進 ん で い る ( H13:2.9 ha→ H18:5.7ha)。 本 シ ス テ ム は 少 量 培 地 に よ る 隔 離 床 で 、 根 域 の 水 分 や 土 壌 伝 染性病害の制御が可能であることから、イチゴ以外の品目への適応性に期待が 寄せられている。 目 的 らくラックシステムを活用し、高糖度トマトの栽培技術を確立する。 成 果 1 らくラックシステム(外成り型)をトマト栽培用に設置する方法 (図1、2) (1) ラックの高さは作業者の身長に応じて調節する。ラックの支柱パイプを 誘引の支柱として活用し、クリップを付けた誘引ひもで斜め誘引を行う。 (2) 点滴チューブはラック中央に1本設置し、チューブに沿うように苗を2 条で定植する。 (3) 冬期はイチゴと同様、スカートと温風ダクトを用いて、培地加温を行う (図1)。 2 らくラックシステムを活用した長期どり栽培法 (1) 栽培管理 ア 培地はらくラック専用培地が適する(表1、2)。 イ 栽 植 様 式 は 株 間 40cm、 2 条 植 え ( 培 地 6.0L/ 株 ) が 適 す る ( 表 2 ) 。 ウ 基 肥 は 、 ロ ン グ 180日 タ イ プ の 固 形 肥 料 を 40∼ 50g/ 株 施 用 す る 。 エ 冬 期 は 、 温 風 暖 房 機 に よ り ハ ウ ス 内 の 最 低 気 温 を 10℃ 以 上 に 保 つ こ と で 、 ト マ ト の 生 育 最 低 地 温 ( 13℃ ) が 確 保 で き る ( 図 3 ) 。 オ (2) ア 潅水方法は、少量多回数が適する(図4)。 果実品質および収量 第 8 果 房 ま で 1 果 重 60∼ 100g程 度 、 糖 度 7 ∼ 10度 の 商 品 果 を 約 1.6kg/ 株 ( 約 6 t / 10a) 収 穫 で き る ( 図 5 、 6 、 表 2 ) 。 イ 果房段位が上がると1果重は軽くなり、糖度は上昇する傾向にある(図 5、6)。 * 現 農 業 振 興 課 ・ **現 周 南 農 林 事 務 所 農 業 部 - 39 - 支柱パイプ エスター線 80cm 外成り型 クリップ 受部パイプ スカート 外成り型栽培槽 ジョイント ストッパー 支柱パッド 地面 1.5m 温風 ダクト ジョイント 30cm 1m 20cm 針金 (U字型) 栽培槽 70cm 誘引ひも 潅水チューブ フック 地面 (春∼秋) (冬) 図1 システム設置方法(正面) 図2 システム設置方法(横) 40 表1 培地の違いと着果数 (平成16年) 着果数(果/10株) 培地 25 1. 供試品種:桃太郎エイト 6/30定植 株間20cm 2. 規格外:40g以下の果実および尻腐れ等の障害果 15 13 10 表2 培地の種類・栽植様式の違いと収量 (平成17年) 栽植様式 株収量 商品果 着果数 商品果 培地 株間・条数 5 (kg/株) (kg/株) (果/株) (果/株) 2.0 23.8 1.6 19.4 1.5 19.1 1.2 15.0 1.4 20.1 40cm・2条 1.0 13.3 1.4 19.9 30cm・2条 1.1 13.5 0 らくラック 40cm・2条 専用培地 30cm・2条 15 120 12 100 11 80 10 60 40 10 少量多回数潅水 5 全量1回潅水 0 1 2 3 4 5 6 7 図4 潅水方法と総着果数 (平成17年) 8 (果房) 12:00 9:00 6:00 3:00 0:00 21:00 18:00 1/28(晴) 図3 冬期のハウス内気温と培地温 (平成17年) 糖度Brix(%) 20 果重(g) 総着果数(果/株) 25 15:00 1/27(曇後晴) 1. 供試品種:桃太郎ファイト 播種9/7 定植10/12 収穫12/19(H17)-6/30(H18) 第8果房まで収穫。 2.栽植密度:384株/a(株間40cm2条) 512株/a(株間30cm2条) 30 12:00 -5 0:00 ボラ土 20 9:00 14.5 19.5 6:00 23.5 13.5 30 計 38 33 3:00 規格外果 温度(℃) らくラック専用培地 ポット培地 商品果 培地温 ハウス内気温 外気温 35 20 9 8 7 0 6 1 2 3 4 5 6 7 8 (果房) 図5 果房別1果重の推移 (平成17年) 1 2 3 4 5 6 7 8 (果房) 図6 果房別糖度の推移 (平成17年) (図4∼6) 2.栽植様式:株間40cm2条 1. 培地:らくラック専用培地 3. 供試品種:桃太郎ファイト 播種:9/7 定植10/12 収穫12/19(H17)-6/30(H18) 4. 潅水量(mL/株/日) 30mL(定植直後)→60∼120mL(第1花房開花まで)→150mL(第1花房開花後)→180mL(第2花房開花後) →210∼240mL(第3∼5花房開花後)→150∼180mL(第6花房開花以降) 5.少量多回数:1日あたり潅水量を数回に分けて与える。全量1回:1日あたり潅水量を1度にすべて与える。 (図5、6は少量多回数の潅水管理) - 40 -