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模倣対策マニュアル ベトナム編(2012年3月、日本貿易振興機構)

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模倣対策マニュアル ベトナム編(2012年3月、日本貿易振興機構)
 ベトナム 編
模倣対策マニュアル
特許庁委託事業
模倣対策マニュアル
ベトナム 編
2012 年 3 月
年
2
0
1
2
月
3
日本貿易振興機構
第I章
ベトナムでの知的財産権のエンフォースメント方法
第1節
ベトナムの法制度
1.
法令の形式
2008 年 6 月 3 日付法律第 17/2008/QH12 号第 2 条はベトナムの法制度として下記の形式の
法令を定めている。
1. 憲法、法律、国会の決議
2. 国会常任委員会の規則および決議
3. 国家主席の命令および決定
4. 政府の政令
5. 首相の決定
6. 最高人民裁判所裁判官評議会決議および最高人民裁判所長通達
7. 最高人民検察院長官通達
8. 大臣または省に相当する機関の長の通達
9. 国家会計検査院長官の決定
10. 国会常任委員会または政府と社会政治組織中央部の共同決議
11. 最高人民裁判所長と最高人民検察院長官の共同通達、大臣または省に相当する機
関の長と最高人民裁判所長、最高人民検察院長官の共同通達、複数の大臣または
省に相当する長の共同通達
12. 人民評議会および人民委員会の規則
13. 社会関係規制のために政府が強制的効力および実施を保証した一般行為規則
下記に各法令の関係を階層図で示す。
4
憲法、法律、国会の決議
Ordinances and
resolutions of Standing Committee of N.A
国会常任委員会の規則と決議
国家主席の命令
および決定
省レベルの人民評
議会の決議
省レベルの人民委
員会の決定
政府の政令
裁判官評議会決議
首相の決定
裁判所長通達
大臣通達
最高人民検察院
長官通達
大臣、最高人民検察院長官、最高人民裁判所長、
、社会的組織の共同通達
県レベルの人民評議会
の決議
社レベルの人民評議会の決議
県レベルの人民委員
会の決定
社レベルの人民委員会の決定
一般行為規則
2.
法令の改訂、修正、改廃
法令公布に関する法律第 17/2008/QH12 号第 9 条に基づき、法令の改訂、置き換え、
取消、廃止を行う場合は当該法令を公布した国家機関の法令によらなければならず、停
止、取消、廃止を行う場合は所管国家機関(当該分野で公布を行った機関の直属国家上級
機関であることが尐なくない)の法令によらなければならない。
3.
法令の適用
法令の内容は、発効後直ちに実施できるよう、詳細かつ具体的でなければならない。
ただし法令に時間の経過により変化する技術的方法および/または基準に関連する条項
が含まれているときには、これらの条項の詳細は所管国家機関が定める規制により定め
ることができる。この場合、法令の公布時と適用時の間で不一致が存在することが 考え
られる(法令公布に関する法律第 17/2008/QH12 号第 8 条)。中央レベルの機関が制定
した法令は全国で有効であるが、地方当局が制定した法令は当該地方でのみ有効であ る。
4.
法令の公布、修正、改廃における地方当局の役割
草の根レベルの人民評議会、人民委員会などの地方当局は、自己が公布し、所管地方
においてのみ有効となる法令以外の修正、改廃、取消を行う権限を有さない。それにも
かかわらず、地方当局は自己が管掌する他の国家機関の運営について指針、方針、また
は指示の規則を定めることがあり、これが当該地方での法令実施を促進したり、妨げと
なったりすることがある。
5
第2節
知的財産分野における法令
1. 国内法令
知的財産分野における法的枠組みは、様々な法律および規制で構成されている。この枠組
みの柱となっているのは、知的財産に関する法律およびその付随的規制である(合わせて
「主要法令」という)。また、これらの法律および規制の他に、知的財産権の侵害に対する
機能および救済措置をより包括的なものにする他の法律および規制も含まれている(合わせ
て「関連法令」という)。
主要法令は次の通りである。
法令名
施行日
民法
2006 年 1 月 1 日
(第 6 編)
公布日
2005 年 6 月 14 日
制定機関
国会
刑法
2000 年 1 月 1 日
(第 16 章)
1999 年 12 月 21 日
国会
刑法改正に
関する法律
2009 年 6 月 19 日
国会
知 的 財 産 に 2006 年 7 月 1 日
関する法律
2005 年 11 月 29 日
国会
知 的 財 産 に 2010 年 1 月 1 日
関する法律
の改正に関
する法律
政令
2011 年 2 月 20 日
122/2010/N
D-CP
2009 年 6 月 19 日
国会
2010 年 12 月 31 日
政府
政令
119/2010/N
D-CP
2011 年 2 月 20 日
2010 年 12 月 30 日
政府
政令
97/2010/NDCP
2010 年 11 月 9 日
2010 年 9 月 21 日
政府
2006 年 9 月 21 日
政府
政令
100/2006/N
D-CP
6
概要
知的財産権およ
び技術移転を一
般的に規定
知的財産権分野
における犯罪を
特定
著作権/著作隣
接権の侵害罪を
新設し、第 171
条を修正
著作権、著作隣
接権、産業財産
権、植物品種に
関する権利の保
護を規定
2006 年 9 月 22
日 付 政 令
103/2006/ND-CP
の数箇条を修正
および補足
政
令
105/2006/ND-CP
の数箇条を修正
および補足
産業財産権の分
野の行政上の制
裁に関する政令
106/2006/ND-CP
の置き換え
民法および知的
財産法の著作権
および著作隣接
政令
103/2006/N
D-CP
006 年 9 月 22 日
政令
104/2006/N
D-CP
2006 年 9 月 22 日
政令
105/2006/N
D-CP
2006 年 9 月 22 日
政令
47/2009/NDCP
通達
01/2007/TTBKHCN
通達
18/2011/TTBKHCN
通達
44/2011/TTBTC
共同通達
16/2009/TTL
T-BTTTTBCA
共同通達
02/2008/TTL
TTANDTCVKSNDTCBCA-BTP
共同通達
01/2008/TTL
TTANDTCVKSNDTCBCA-BTP
2009 年 6 月 30 日
2009 年 5 月 13 日
2007 年 2 月 14 日
2011 年 7 月 22 日
2011 年 5 月 1 日
2011 年 4 月 1 日
2009 年 5 月 12 日
2008 年 5 月 22 日
権に関する数箇
条の施行要綱
政府
産業財産権に関
する知的財産法
の数箇条の施行
要綱
政府
植物品種の権利
に関する知的財
産法の数箇条の
施行要綱
政府
知的財産権保護
および知的財産
の国家管理に関
する知的財産法
の特定条項の施
行要綱
政府
著作権および著
作隣接権の分野
の行政上の制裁
を規定
科学技術省
政
令
103/2006/ND-CP
施行要綱
科学技術省
通達 01/2007/TTBKHCN の 数 箇
条を修正
財務省
関税分野での模
倣品の禁止およ
び知的財産権の
保護の要綱
文化スポーツ 海賊版の禁止に
観光省および おける所管当局
公安省
の協力の要綱
2008 年 4 月 3 日
最高人民裁判
所、最高人民
検察院、公安
省、司法省
知的財産権分野
の民事訴訟にお
ける特定規定の
実施要綱
2008 年 2 月 29 日
人民最高裁判
所、人民最高
検察院、公安
省、司法省
知的財産権分野
の犯罪に対する
刑事訴訟手続に
関する要綱
7
関連法令は次の通りである。
法令名
公布に関する法律
公布に関する法律を修正
する法律
競争に関する法律
取引に関する法律
技術移転に関する法律
不服申立および告発に関
する法律 (2004 年および
2005 年修正)
ハイテクに関する法律
関税に関する法律
関税に関する法律を修正
する法律
行政上の制裁に関する法
令
行政上の制裁に関する政
令を修正する法令
情報技術に関する法律
民事訴訟法
民事訴訟法を修正する法
律
刑事訴訟法
ラベリングに関する政令
89/2006/ND-CP
事業登録に関する政令
43/2010/ND-CP
フランチャイジングに関
する政令
施行日
2005 年 7 月 1 日
2009 年 1 月 1 日
公布日
2004 年 12 月 3 日
2008 年 6 月 3 日
制定機関
国会
国会
2005 年 7 月 1 日
2006 年 1 月 1 日
2007 年 7 月 1 日
1999 年 1 月 1 日
2004 年 12 月 3 日
2005 年 6 月 14 日
2006 年 11 月 29 日
1998 年 12 月 2 日
国会
国会
国会
国会
2009 年 7 月 1 日
2002 年 1 月 1 日
2006 年 1 月 1 日
2008 年 11 月 13 日
2001 年 6 月 29 日
2005 年 6 月 14 日
国会
国会
国会
2002 年 10 月 1 日
2002 年 7 月 2 日
2008 年 8 月 1 日
2008 年 4 月 2 日
2007 年 1 月 1 日
2005 年 1 月 1 日
2012 年 1 月 1 日
2006 年 6 月 29 日
2004 年 6 月 15 日
2011 年 3 月 29 日
国会常任委員
会
国会常任委員
会
国会
国会
国会
2003 年 11 月 26 日
2006 年 9 月 30 日
国会
政府
2010 年 4 月 15 日
政府
2006 年 3 月 31 日
政府
2010 年 6 月 1 日
上記の法令のほか、現時点において、科学技術省は産業財産分野の行政上の制裁に関する
政令 97/2010/ND-CP の実施の指針となる通達を策定中である。この通達はドメイン名、商号
などに関する事案の解決のために所管当局間で協力する際に生じる問題の克服に寄与するも
のと期待される。
2. 国際協定および条約
ベトナムは多数の知的財産権保護に関する協定や条約に加盟し、あるいは締約国となった。
先に述べたように、こうした協定や条約の加盟国になろうとするベトナムの取り組みは、ベ
トナム政府として知的財産に関する法制度を総じて国際基準に、具体的には TRIPS の要件に
より適合する制度へ転換させることを決定したことを示すものである。
これらの協定および条約には下記のものがある。

植物新品種保護国際同盟(UPOV 条約)

文学的および美術的著作物の保護に関するベルヌ条約

工業所有権の保護に関するパリ条約
8










レコードの無断複製に対するレコード製作者の保護に関する条約
実演家、レコード製作者および放送機関の保護に関するローマ条約
世界知的所有権機関
標章の国際登録に関するマドリッド協定
マドリッド議定書
ASEAN 知的財産協力枠組み協定
ASEAN・日本包括的経済連携協定
日・ベトナム経済連携協定
特許協力条約(PCT)
知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)
3. 国際条約と国内法令の階層的関係
ベトナムが加盟し、あるいは締約国となっている国際条約は全てベトナム社会主義人民共
和国の憲法の定める原則と抵触してはならない。さらに条約の締結、加盟、実施に関する法
律第 41/2005 号の第 3.2 条および第 6 条、ならびに知的財産法第 5 条の規定によれば、ベトナ
ムが当事者である国際条約の特定の規定が具体的事項に関して国内法に抵触している場合に
は国際条約が優先される。
9
[特許庁委託]
模倣対策マニュアル ベトナム編
[著者]
Pham & Associates 法律事務所
日本貿易振興機構
〒107-6006
[発行]
進出企業支援・知的財産部 知的財産課
東京都港区赤坂 1-12-32 アーク森ビル 6 階
TEL:03-3582-5198
FAX:03-3585-7289
2012 年 3 月発行 禁無断転載
本冊子は、日本貿易振興機構が 2012 年 1 月現在入手している情報に基づくもので
あり、その後の法律改正等によって変わる場合があります。また、掲載した情報・
コメントは著者及び当機構の判断によるものですが、一般的な情報・解釈がこのと
おりであることを保証するものでないことを予めお断りします。
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