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2.旧近露王子神社の宮殿について

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2.旧近露王子神社の宮殿について
 2.旧近露王子神社の宮殿について
(1)田辺市指定文化財への進捗状況
このことにつきましては、昨年の 3 月議会において、野長瀬晩花の生家、現在の近露観光交流
館「かめや」の天井裏から 100 年ぶりに見つかった旧近露王子神社の宮殿をどのように扱うのかを
質問しました。
平成 22 年に発見されてから、田辺市の文化財審議会委員の山本新平氏が平成 23 年 9 月には
その宮殿の調査報告を発表し、その歴史的・文化的価値を有していることを市も認識していたにも
かかわらず、中辺路コミュニティセンターに保管したままになっていたことから地元の方々から早く
市としての方向性を出してほしいという要望を受けて質問しました。
その後、ようやく田辺市指定文化財として指定するための調査や手続きに入りました。これもまた
25 年度中に結果を出す予定であったと思いますが、遅れに遅れて現在に至っています。
この間、私は何度となく担当課に進捗状況を聞いてまいりましたが、ようやく、6 月 16 日に文化財
審議会が開かれたと聞きます。
そこで、1 つ目として、この宮殿の田辺市指定文化財への進捗状況をお伺いいたします。
答弁書
松下議員ご質問の 2 番目、旧近露王子神社本殿の宮殿につきましてお答えさせていただきま
す。
まず、田辺市指定文化財への進捗状況についてでございますが、昨年 4 月に所有者から田辺
市指定文化財への指定申請があり、同月 30 日の文化財審議会において指定の諮問を行いまし
た。その後 1 年に亘り 3 名の調査委員により調査・研究を行い、去る本年 6 月 16 日の文化財審
議会において、「この宮殿が三間社流造、檜皮葺の構造をもつ大型の宮殿で、細部まで丁寧に
造られ、一部に極彩色を施すなど豪華なものであり、その製作年代は江戸時代中期、1688 年頃
と考えられること。この宮殿との直接的な関係は見いだせないものの、安置されていた近露王子
の合祀問題では、南方熊楠と野長瀬忠男・晩花兄弟の関係が知られていることなど、歴史的・文
化的な価値を有している。」との報告があり、審議の結果、指定相当の答申がございました。
今後につきましては、7月の教育委員会に答申内容を踏まえ議案上程し、同意が得られました
ら指定、告示を行うこととしております。
次に、この宮殿の保存と活用についてのご質問ですが、田辺市文化財保護条例は、市にとって
重要なものについては、その保存及び活用のための必要な措置を講じるとし、条例の執行に当
たっては、関係者の所有権その他財産権を尊重するとしています。
こうしたことから、指定文化財は所有者である個人、団体等の保管が基本となりますが、中に
は寄贈、寄託を受けて文書類を図書館で、それ以外では歴史民俗資料館で保管しているケース
がございます。
議員から近露王子神社の宮殿に関して、所有者では十分な保管ができないことから地元にあ
る熊野古道なかへち美術館で保管し、企画展等に併せて展示ができないかとのご質問ですが、
預かるケースとしては二通りございます。
一つ目は美術館の収蔵する美術作品等として扱う場合ですが、なかへち美術館では野長瀬晩
花、渡瀬凌雲をはじめとする美術作品を中心に調査研究や公開をしているところですが、宮殿に
ついては野長瀬晩花の生家から発見された経過はあるものの、その伝来に係る直接的な資料
はなく晩花との関わりは不明で収蔵の対象とはならないと考えています。
(2)市としてどのように保存・活用していくのか
7 月の定例教育委員会にて正式に文化財指定がされるということで、大変うれしく思い
ます。田辺市にとってまた1つ新たなお宝が増えたことになります。
次に、保存場所と活用についてですが、地元の人たちはご存知の通り当初から近露から
出してほしくないということを強く希望されております。
現在は、一応個人所有となっていますが、所有者はあくまでも近露神社の宮殿であるこ
とから地域のために活用するべきであると考えておられます。
この宮殿は、明治末期の神社合祀の折、近露王子神社のご神体が、近野神社に合祀され
ましたが、南方熊楠と野長瀬晩花兄弟が連携して反対運動に奔走していた中で、晩花の兄
忠男を中心に地元にこれだけは残しておきたい、という気持ちから生家の天井裏の物置に
隠していたものであろうと当時の様子を容易に推測できることから、近露の地で安全に保
存していきたい、そして、いつかは元在った近露王子神社を再建して、祭りたいと願って
います。
現在のところ、先ずは地元で安全に保存できる場所を確保することであり、次に活用と
してこの宮殿を多くの方々に見ていただけるように観光資源になれば、なお良いのではな
いかと考えます。
となれば、やはり、なかへち美術館に保存し活用することが最適であると思います。
熊野古道なかへち美術館は、小さい美術館だけにスペースに余裕がなく、美術品でない
物を常設展示することは、今のところ難しいかもわかりませんが、最近、なかへち美術館
にあった作品を本館の方へ移していることから、収納庫が空いてきているように聞きます。
そこを活用して、展示スペースにするとか、晩花の企画展には一緒に展示するとか、工
夫をして、保存と展示活用を行っていけば、美術館の来館者も増え、近露への来訪者の増
加を図れることができる目玉となるのではないでしょうか。
この宮殿が正式に田辺市指定文化財のなった暁には、市としてどのように保存・活用し
ていくのか、お聞かせください。
答弁書
二つ目として地元の歴史的・文化的資料として保管する場合、設備の面では不十分ながら空間
的には対応は可能でありますが、ゆかりのある野長瀬晩花の企画展等に併せた展示は、今後の
展示を考える中で検討していく課題であると考えます。
先にも申し上げたように、文化財審議会の答申を経て 7 月の定例教育委員会で指定の判断を
することになり、その後に中辺路行政局で一時預かりしている宮殿を所有者に返還することにな
りますので、これから所有者や関係者との間で適切な保存と活用について協議を進めてまいりま
す。
最後に
今後、市として指定文化財となったことを地元へ報告するとともにその価値を共有する
ことは、必要なことだと思います。
そして、ただ今、ご答弁いただきましたが、美術館での保存は不可能でないということ
を確認しました。
地元の方々が望まれるようになかへち美術館での保存と展示活用が是非とも可能になる
よう積極的な取り組みをよろしくお願いいたします。
以上で、私の質問は終わります。
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