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半導体電力変換器が発生する高調波電流とそ の対策
半導体電力変換器 が発 生す る高調波電流 とそ の対策 実践報告・資料) 〈 半導体電力変換器 が発生する高調波電流 とそ の対 策 福島職業能力開発促進 セ ン ター 渡 辺 正 夫 Semiconductor Po、 ver Converter Occurrence High frequency Current and take measures Masaoヽ VATANABE 要約 ひず みが増大 t量 F`F2習 是貿 電 婚 索幌 禽 こ裏 Li鷲 重 努 言 13軍 夕季警名曇 循 どの障害が増 えるなど、高調波対策 が大 きな問題 となっている。本稿 では、電気機器 へ の高調波 の影響 と対策 につい て述 べ る。 l に異な って くる。例 として、項 目別 に高調波 と ノイズ はじめに の関係を表 1に 述 べ た。 名古屋市 の科学館 において、平成 6年 3月 に高圧進 相 コンデ ンサ用直列 リアク トル (定 格容量 6%)力 ζ 機 器の外部 から進入 した高調波電流に よ り、定格容量 を 表 目 項 超 えた電流 が流れ たため、焼損爆発事故 と負傷者 1名 の事故 が発生 した。近年、 この よ うな焼損事故や絶縁 破壊、加熱 または異常音発生 の被害 が多 く発生 して い 調 波 ノ イ ズ MHz 通常 40∼ 50次 、3 kHz以 下 環 対線路・ 電源 イ ン 対空間、距離布線経路 ピー ダ ンス 境 量 的握 の対策 について述 べ る。 高 高調波 とノイズのちがい 周 波 数 定把 る。本稿 では、電力変換器 が発生す る高調波電流 とそ 1 高周波 (約 10kHz― オ ー ダ) 理論計算 が ・ f能 ラ ンダ ム に発 生、定量的 把握 困難 ‖ 高調波 とは 発 生 量 負荷容量 にはぼ比 例 電流変化率 による (高 速 スイ ッチングほ ど大) 1 被害機器 の 耐 量 機器 ご とに規格で 明記 メー カ ーの 機 器 仕 様 に よって異 な る 対 策 例 リアク トル をつ け る 高調波の定義 高調波 とは、基本波 (一 般 には電源周波数 )の 整数 倍 の周波数 をもつ もの と定 義 されてお り、1つ の基本 (L) 距離 (ι )を 拡 げ る 波 と複数 の高調波を合成 した もの をひずみ波 と呼んで い る。図 2に 、 ひず み波 の 1例 を示す。 ひず み波 は、 一般 には高周波領域 の高調波 (kHz∼ MHzオ ーダ)ま 2 整 流回路 が発 生 す る高 調波 電 流の性 質 (-3 kHz)ま でで あ る。図 1は 、図 配電系統 内の高調波 の発生源 として、代表的 なもの に、整流路、交流電力調整 器 などが あ り、 はん用 イ ン 2の ひず み 波 を基本波 と高調波 に分解 した もので あ パ ー タの コンパ ータ部 は ダイオ ー ド整流 回路 か ら成 る。これ よ り、図 2の ひずみ波 は様 々な周波数 か ら成 っ てヽヽ る ことがわかる。 立 ってお り多 くの高調波 が発生 している。整流器回路 には、表 2に 示す よ うに主回路方式 に よ り種 々の もの 例 えばパ ソコンに よる電波障害 や ノイズな どの問題 は、機器 ハー ドに密着 した ローカル な問題 で あ り電力 が あ り、 はん用 イ ンパ ー タでは三相 ブ リッジ方式 が最 で含 んでいるが、配電系統 の高調波 として取 り扱 うの は通常40∼ 50次 回路網 を対象 とす る高調波 とはその影響、対応手段共 論文受付 H 理論上 n= も多 く用 い られ る。高調波 の発生次数 nは 、 PK± 1(P=パ ルス数、 K=1、 2、 3… …)と な り、 1995102 51 職業能力開発報 文誌 VoL8 No 2(16ヽ 1996 十 二・● n(2″ nt+φ n) !拮 n=1,2.3,― ―― i=お ′:基 本周波数 l:r': 図2 3 図 l 基本波と高日波 ひずみ波 高調 波の性 質 交流回路計算手法 が適用 で きる高調波 は、基本的 に 三相 プ リッジ方式 のはん用 イ ンパー タでは 5、 7、 11、 は重畳す る回路現象 の 1つ で あ り、重ね の理 を用 い る 13次 ……の高調波 が発生す る。そ の高調波 の大 きさ(高 ことに よ り、 各次数 に分解 して計算す る こ とがで きる。 調波含有率)は 1/nと な り、高調波次数 が大 き くなるに 一般 に、基本波成分 の計算 では、電源 は通常内部 イ ン 従 って発生量 も少 な くな り、単相電源入力 のインパー ピーダ ンスが零 の電圧源 として扱 うが、高調波成分 の タでは 4K± 1次 (3、 5、 7、 9次 … …)の 高調波 計算で は、 サイ リスタな どの負荷 (内 部 イ ンピーダ ン が発生す る。 スは無限大)が 電流発電機 となって電源 に供給す るた め 、大多数 の高調波源 は電流源 として扱 うこ とがで き 表 回路 名 2 る。 ここで図 3の ような高圧需要家系統 内 に進相 コン 整流波・ 回路方式 と高調波 デ ンサ設備 と高調波発生源 が接続 されて い る例 につい 高調波 次 数 │:〕 1.:lt l‐ て考 える。高調波源は、電流源 とみなせ るか ら、 この │キ `:: 系統回路 は図 4で 表わせ る。 これ か ら系統母線 の電圧 ひずみ率及 び、各機器 に分流す る高調波電流 は(lX2X3) 単 相 ブ リッジ n・ 4K± 1 K‐ 1,2,… Kn× 1/n 式 で計算す る ことがで きる。実際 の系統 では、配電系 統 内の複数 の進相 コンデ ンサ設備 (リ アク トル有 り 。 無 し)が 、配電線路や変電所 トランスの漏れ イ ンピー ダ ンスな どと、複雑 に影響 し合 うため図 4等 価 回路 の 単 相 混 合 プリッシ n・ 2K± 1 K‐ 1,2,… よ うに簡単 に解析 で きない場合 が多 い。 この よ うな場 KnX1/n 合 で も、高調波伝播 にお ける基本特性その ものは変わ らない。 二 相 ブ ,タ ジ n・ 6K± 1 K・ 1.2. KnX1/n j,XL 三 相 混 合 ブ リッジ n・ 3K■ 1 K・ 1,2,… Kn× 1/n Kn:制 御遅れ角、転流重な り角などによって決まる計数 52 jXtス 図3 系統図 半導体電 力変換器 が発 生す る高調波電流 とその対策 :│1 進相 コンデ ンサ設備 へ の影薔 と高調 波 許容 限度 j● XL 1 進相コンデンサ 進相 コンデ ンサの高調波許容限度 は、 これに起因す ―jX./. る過電流 と過電圧 による熱的限度 と電圧的限度によ り 決定 され 、高圧進相 コンデ ンサの JIS規 格 で規定 して い る。 ここで、 これ らについて記述 されて い る JIS C 4902は以下の とお りである。 図 4 等価 回路 4(a最 大許容電流 :最 大許容電流 は定格電流 の 130%と す る¨… 解説図 2:第 5高 調波 だけを含有す る場合 …… 礁 =鯰 刈 r… … … … … 悧 以上 を ま とめ る と表 4と な る。 L=禿 キ …… L=疵 キ …… また 、Zsn、 … … … … … … …… … ・ … 幼 ¨¨ ¨¨¨¨¨ ¨¨¨¨¨¨・¨¨ ¨¨¨(4) ヽ下 Zcn=jn o XL j 4 進相 コンデ ンサの高調波許容 限度 含有率 Zcn lま Zsn=jn o X3¨ 表 0 ………………………………… 第 3次 調波 第 5次 調波 第 7次 調波 電流 (%) 714 83 1 83 1 電圧 (%) 23 8 16 6 119 (5) ここに、 Vn:母 線 n次 高調波電圧 2 Is.:電 源 n次 高調波電流 直列 リアク トル の場合 は、主に高調波が流入 して損 Icn:コ ンデ ンサ n次 高調波電流 失増加 によ る熱的限度 で決 まる。JIS規 格 で 6%直 列 Xs:電 源基本波 イ ンピー ダ ンス in:発 生源 n次 高調波電流 Xし :リ リアク トルについてつ ぎの よ うに規定 して い る。 (JIS C 4081抜 粋 ) アク トル基本波 イ ンピーダ ンス Xc:コ ンデ ンサ基本波 イ ンピーダ ンス 乙 :電 源 n次 インピー ダ ンス 4 0)最 大許容電流 :最 大許容電流 は定格電流の 120%と する。ただし、これは リアク トルの回路 に 乙 :コ ンデ ンサ設備 n次 インピーダ ンス 宝ロ 表 3 機 直列 リア ク トル 第 5高 調波を含む場合、その合有率が基本波電流 に対 し35%以 下の合成電流の実効値である。 高調波障害の例 器 様 相 例 電力用 コン 本 体 、 直 列 リア ク 焼損、過熱、振動 の発 トル デ ンサ 生 ヒ ュ ー ズ 過大電流 に よる溶断 、 誤動作 直列 リアク トル の場合 は、高調波 の次数 によ り損失 が大幅 に変化す るために、JISで は、第 5次 調波 を対象 に して決 めている。そ の他 の次数 について も許容限度 の 目安を示す と表 5と なる。 モータ用 ブレーカ、漏電遮 断器 誤動作 ス テ レオ、 テ レ ビ ■11111古 そ の 他 モータ 雑音 の発生、映像 のち らつ き 表 振動 、騒音 の 発生 含有事 振動 の発生、停 止 各種制御機 器 高調波 フ イル タ 直列 リアク トルの高調波電流 の許容限度 第 3次 調波 第 5次 調波 第 7次 調波 第 11次 調波 45∼ 58 (注 過大電流 に よる停 止 5 35-44 25∼ 35 16∼ 26 )電 気協 同研究第37巻 第 3号 「配電系統 の高調波障害 防止対策 」 よ り抜粋 53 職業能力開発報文誌 iV 1 Vo1 8 No 2(16ヽ 1996 は電 源 及 び コ ン デ ンサ 設 備 回路 へ 分 流 す る こ とに な 進相 コンデ ンサ 用直列 リアク トルの選 定 り、 そ の イ ン ピー ダ ンス 高調波拡大現象 (表 6参 照) (リ ア クタ ンス)の 比 を パ ラ メー タに して(2)、 (3)式 を書 きか える と、 進相 コンデ ンサ を設 置す る場 合 、配 電系 統 を含 め た n n c一 ︲ ︲ 退 路 の電源 が基 本波 成 分 の み で あれ ば問題 は特 に生 じ な い。 しか し、高 調波 成分 が 回路 に存在 す る と回路 の 1 (nXL 手 条件 に よ って は 、 この 高調波 分 が発 生量 よ りも拡大 し 1+ ) nxs 各種 の障害 を発 生 させ る場 合 が あ る。 この 現 象 が どの よ うな回路条 件 の時 に発 生 す るのか を次 に述 べ る。 図 5の よ うな高圧需 要 家系統 内 に進 相 コンデ ンサ設 備 と (nXL → ♀ ) 午=1+GXL十 )… …° 高 調波発 生源 が接 続 され てい る例 につ い て考 え る。 前 述 の よ うに高調波 源 は、定電 流源 と して扱 うた め この 系統 回路 は図 6の 等価 回路 で表 せ る。 発 生 した 高調波 nxs j● LI IL XL j.Xし ―jX`ん 丁 ―jXて ん コン デ ンサ 設 図5 備 図6 系統図 表 拡大 リア ク タ ン ス 有無 比条 件 XC 五 >0 nxs 6 高調 波拡大現象 分流 の状況 説 X 濠五 ︲ n , 非拡 大 nX・ コンデ ンサ 回路 リアクタンス条件 等価回路 ⅨL 十 >0 (誘 導性 ) 明 コンデ ンサ 回路 を誘導性 に しておけば コンデ ンサ電源 回路共 に拡大 しない。最 も望 ま しい 条件 で あ り、直列 リアク トルの リアクタ ンス 選定 の 必要条件 で あ る。 電源 コンデ ンサ ︱. . 非拡 大 拡 大 54 XC nXt T=0 nx.― nxs XC nXt Tく nxs XC=0 (直 列共振 ) _2 nxt― とo ギ 評く (容 量性 ) コンデ ンサ 回路 が直列共振 の状態 で あ り、拡 大 は しないが 発生 した 高調波 はす べ て コンデ ンサ 回路 に吸 収 され る。 フ ィル タ ー としての 用途 以外 は避 けね ばな らな い。 電源側電流が拡大 され る電源 (母 線)電 圧 の ひずみ も増大す るので避けねばならない。 半導体電力変換器 が発 生す る高調波電流 とその対策 直 列 リア ク トル の 目的 PF 7 2kV G30A A S m C 0 V 2 が常 に誘導性 (プ ラス)に なって い る こ とが条件 とな る。 コンデ ンサ本体 のみの場合、 リアタタ ンス は誘導 性 (プ ラス)に ならないので、 リアタ トル を直列 に設 置 し高調波 に対 しては誘導性 にす る方法 が採用 され る。 この こ とが直列 リアク トル を使用す る主 目的 で あ ユ ︲ 。 圧 N 高 ﹂ 一 蝦 l 事故状況 A 断 V k 0 5 ︲ ︲ 一O N 高 圧進相 コンデ ンサ 設備 にお ける高調 波障害事例 式 一A V k C 9 S V ク ピ 薩 ・ R S る。 A S 0 F 卿 2 C 岬 独 V P G 高調波を拡大 させ ないためには、設置す る コンデ ン サ回路が対象 となる n次 高調波 に対 して リアクタンス 谷巾問閣M甲Ψ︲ヽ︲r土朔嚇 2 SR KR H(乾 式 ) 6kVA ∝ 100kVA 1991年 5月 11日 高圧 キ ュービクルに より異常音発生 との通報 が入 り調査 した ところ、No l直 列 リアク トル 3 測定場所 東京都内のA株 式会社高圧受電の某 ビルで測定 し 9 kVAが 異常音発生 しているのを発見 した。 ′二。 2 直列 リア ク トル 調査 報告 4 表 7 直列リアクトル調査結果 部 構 位 造 点検 内容 結 測定 回路 図 3相 (低 圧)、 試験端子、高圧 の場合 の接続図をそれ 果 損傷、過熱 の 有無 コイル表面 が過 熱炭化。又鉄芯 表 面 が 過 熱 に よ り変 色 して い る。 損傷、変形 の 有無 コイル 固定板 が 外れ てい る ぞれ図 8、 図 9、 図10に 示す。 第 1相 (U相 上部右側、W相 上 部両側 ) □ (R) 電源側 第 2相 (S) 第 3相 (T) 豊 R S T 電源 側 クランブ式CT (付 属 ) 電 源 測定 コー ド 高調波 モ ニ タ 図 8 3相 (低 圧 )の 場 合 の 接 続 図 55 職業能力開発報文誌 Vo18 No 2(16ヽ 1996 側相> 源 2S 電第て 麗 駐 曇尋1聟 lrz't,t 第 3相 (T) 黒 ク リップ □ 試験 端 r 豊 F'r,/t!e, ^?'ltr'? AC100V 図 9 試験端子の場 合の接続図 高圧進相 コンデ ンサ 図 10 高圧の場合の接続 図 5 高 調波 測 定結果 表 9 低圧 動力盤総合電圧 ひずみ率連続測定結果一覧表 調波電流 の流入 が原因 と推定 された ので、現地 で高調 測 ︲ 2 4 3 ︲ 2 4 0 ︲ 2 5 2 2 ︲ 7 lBDO:00-24:00 "0100-24:00 00:00∼ 24:00 (ハ 5月 22日 ● 00:00∼ 24:00 (%)は 、瞬時最大値 は表 8よ り、 115%(5月 19日 総合電圧 ひずみ率 (%) あった。なお、合有高調波電圧 は主 に第 5次 で あった。 ②低圧動力盤の総合電圧 ひずみ率 (%)は 、瞬時最 6%(5月 29日 22:37)で 、平 均 (12時 間)の 最大値 は57%(6月 2日 00:00∼ 24: 大値 は、表 9よ り、■ 平均値 11た 1`[ 最大値時刻 51 68 39 38 39 94 115 22:39 7 6 22 : 40 83 76 ③低圧動力盤 の高調波電流 は瞬時最大値 で603A 22 : 26 (5月 29日 22:35)で 、平均 (12時 間)の 最大値 は、 20: 49 22: 43 00)で あった。なお、含有高調波電圧は主に第 5次 で ある。 327A(6月 2日 00:00∼ 24:00)で あった。なお、 含有高調波電流 は、主に第 5次 である。 56 7 3 385 2 2 54 6 24 3 5 3 38 3 32 7 2 2 41 6 24 9 2 ︲ 7 52 7 25 0 5 2 ︲ 2 67 60 3 25 0 4 0 6月 40 2日 Ollll:00-24:Oll 57 3日 lD00:Ol∼ 15:∞ 45 ︲ 2 日 時 5月 20日 ケ 5月 21日 4 5 26 6 20:49)で 、平均 (12 時間)の 最大値 は68%(5月 19日 00:00∼ 24:00)で 5月 18日 ∈ЮO:00∼ 24:00 5月 19日 0:00-24:00 5月 31日 0“ “"0:00∼ ①受電点 の総合電圧 ひずみ率 表 8 受電点総合■圧ひすみ率通櫛測定結果一覧表 定 50 47 15)測 定結果の検討 点の電圧 、電流 受電′ )測 定結果 測 24:Oll │"値 最大値 1台 低圧動力盤の電圧、電流 “ 113 │100:lXl-24:Oll 5月 30日 ︲ 2 0測 定個所 高調波 モ ニ タ 6月 5月 20日 高調波電流 (A) 5 3 (2)使 用計測器 6月 1日 ul1 1 011∼ 24:Oll 90 71 66 7 3 000:00∼ 5月 23日 ● 17:00 5月 27日 015:00∼ 6月 3日 │り 16:00 1991年 5月 18日 116 2 2 し、連続測定 ) 最大値 7 3 (1)測 定 日時 (但 同 時 2 2 波 の測定 を実施 した。 定 値 刻 大 最 時 総合電圧ひずみ率(%) 値 刻 大 最 時 大 きな異常音 が発生 していることか ら推定 して、高 半導体電 力変換器 が 発生す る高調波電流 とその対策 6 Ⅵ ま とめ 機器 への影書と対策 単相負荷配電用 の三相 4線 式電路 に給電す る変圧器 現品 の調査結果 と現地で の高調波測定結果等 か ら考 えると、配電線路 か ら JIS規 格以上 の第 5次 高調波電 の 中性線 に流入す る過大電流現象 と、そ の対策 として、 流35%以 上 (第 5次 高調波電圧 ひず み率3.5%)の 流 入 以下 の項 目が ある。 が原因 と思われ る。従 って、高調波対策 としては、 (1)直 列 1 リアタ トルの リアクタ ンスを ア ップす る。なお、 三相 4線 式電 路の 中性 線 電 流 図Hの よ うに、 単相負荷 へ の電力供給 を 目的 として、 13%リ アク トル を設置す る場合、 コンデ ンサの端子電 圧 が約 15%上 昇す るため、 コンデ ンサ も定格電圧6600 変圧器 の二 次側結線を中性点付星形 とした二相 4線 式 Vの もので な く、7590Vの 特殊定格 の もの を使 用す 配線 が用 い られ る。単相の電気機器 には、表 10繊 日本 る。 電機 工 業会 の調査結果 より、第 3次 調波電流 を発生す (2)隣 接 の バ ンク品 について も13%リ アク トル品に交換 るものが多 いが、三相 4線 式電路 における基本波電流 す る。 (3)全 バ ンクの コンデ ンサ回路用電カ ヒューズ も今回 の と第 3次 調波電流 の関係を図 12に 示す。平衡負荷で、 かつ基本波電流 のみの場合は、各 ライ ンに流れ る電流 事故発生 に伴 い、劣化 している こ とが予想 され るので、 は大 きさが 同 じで向 き (位 相 )が 120度 ずつ ずれて い る 合わせて交換す る。 ので、それ らの ベ ク トル和 で あ る中性線電流 は ヽ=0 とな り、中性線 に電流 は流れ ない。 しか し、第 3次 調 波 が含 まれている場合 には、図 12に 示す通 り各 ライン 二 次側 182V/105V η w 〕 Ю 一 「 L Pl ヽ← \o W P2 │ 図 11 三 相 4線 式配電 表 10 主な家電 (単 相 )の 全負荷電流 に 対する第 3調 波成分の 割合 第 3次 調 波 ― ァ た 毛 布 デ イ ンハ ー タ ェ ア コン イ ン パ ー タ蛍 光 灯 556% 486% 361% 629% 540% 168% 69 9% 811% 361% 667% 733% 982% (0日 本 電機工業会 の調査 よ り) 図 12 基本波 電流と第 3次 調波電流 57 職業能力開発報文誌 Vo1 8 N0 2(16),1996 U ゝツ 工D W ハ υ A u一 ︲ 二 次側 105V P3 iW=i3 i2 il,i2,i3:Pl,P2,P3 に相 当す る負荷 電 流 W一 ︲ 図 13 二 相 3線 式配電 に流 れ る第 3次 調波 電流 は いず れ の瞬 間 を とって もそ の大 きさ と向 き (位 相 )が ま った く同一 で あ る。 した が って中性 線 に は、各 ライ ンに流 れ る電流 の 3倍 の第 3次 調波 電流 が 流 れ る。 この現 象 は第 3次 調波 だ け で な く、 3n(1、 2、 …整数 )高 調波 電流 の場 合 に も に)配 線 の容量 ア ップ 中性 線 の配 線 を太 くして通 電容量 を増 や し、配 線過 熱 を防 ぐ。 Ⅶ 起 こる。す なわ ち、中性 線電 流 ちは各 ライ ンに流 れ る 3 高調波抑制対策ガイ ドライン制定およ び事故 防止対策 n次 調 波電流 の合計 した もの と、基本波 の不 平衡 分 と 資源 エ ネル ギ ー庁公益事業部 よ り平成 6年 10月 3日 が重 な った もの とな る。 仮 に表 11の カ ラーテ レ ビを例 付けで「 高圧 または特別高圧 で受電す る需要家 の高調 に 中性 線電 流 を計 算す る と、 中性 線 は ライ ン電 流 の約 波抑制対策 ガイ ドライ ン」 お よび「家電・ 汎用品高調 波抑制対策 ガイ ドライ ンJ力 ` 通達 された。 17倍 に な る。 近年 の パ ワーエ レ ク トロニ クス技 術 の進 歩 に よっ 表‖ 全 て、半導体応用機器 が広 く使 われ るよ うになって きた ライン電流 電 流 が、 これ らの機器 か ら発 生す る高調波 に より、配電線 100 i‐ 基 本 波 成 分 it=699 第 3次 調波成分 i`=556 第 6次 調波成分 i。 第 9次 調波成分 i,-590 =0492 第12次 調波成分 i,2=0221 i。 =3× vL′ +I♂ +I,2+122 等 の電力系統 の電圧 が歪み、そ の結果、高圧用・ 特別 ‐3× v5562+04922+592+0221′ 高圧用機器、低圧用機器 に障害 が発生 しているので、 =168 0。 これに対す る対策が示 された もので ある。 =ヽ ‐t=,と する) l 制定 に至 る経 緯 高調波 に よって電力使用機器 へ の障害 な ど電力利用 2 環境 の悪化 を防止す る見地 か ら「電 力利用基盤強化懇 中性 線 電 流 へ の対応 (1)二 相 談会」 の報告書 では、電力系統 の高調波環境 目標 レベ 3線 配電 高調波負荷 が予想 され る場合には、図13に 示す よ う ル を、総合電圧歪教率において6 6kV配 電系 5%お よ に三相 3線 式 100V配 電 とし、中性点 を設 けない方式 び特高系 3%が 妥当であるとして い る。 「 高調波専門委 とす る。三相 3線 式配電 では、負荷 Pl、 員会 Jに おいて、前記方針 に沿 って高調波 の発生量 の ければA、 B、 P2、 P3が 等 し C点 よ り電源側 には第 3次 調波電流 は 流れ る。実際 には、各線間 の負荷 はア ンバ ラ ンス(P]≠ P2≠ P3)し ているので、そ の差分 の第 3調 波電流 が電 抑制 目標値 として、現状 か ら総量 で家電・汎用品25%、 需要家50%の 抑制 が示 された。 これ らを踏 まえ、① 日 本電気協会 が、 ガイ ドライ ン制定 のための調査検討 を 源側 に流入す る こ とになるが、そ の値 は最 も大 きい線 行 い、報告書 として取 りまとめた。以上 の経緯 を経 て、 間負荷 の第 3次 調波電流 よ り小 さ くなる。 前期「 ガイ ドライ ン」 が制定 された もので ある。特定 12)定 格 ア ップ 需要家 につい ては、新設、増設、機器更新時、契約電 高調波負荷 による中性線電流 を計算 して、中性線電 力変更時 か ら、家電・ 汎用品 につい ては、新製品 の設 流 に対 しても余裕 を持 った定格 の変圧器を選定す る。 計・ 製造時 か らガイ ドライ ンの遵守 を 目指す こ とにな 13)中 性線電流 の削減 負荷 の不平衡 を無 くして、基本波 の不平衡電流を無 くし、中性線電流 を減 らす。 58 る。 2 「高圧または特別高圧で受電する需要家の高 半導体電力変換器 が発 生す る高調波電流 とその対策 4 調波抑制対策ガイドライン」の概要 高圧 また は特 別 高圧 の需要 家 の うち、高 調波発 生機 器 の容量 (等 価 容量 換 算 )が 、 (1)高 圧 系統 6 6kVで 50 kVA (21特 別 高 圧 系 22∼ 33 kVで 300kVA、 高調 波 による事故 の状 況 名古屋市 の科学館 において、平成 6年 3月 に高圧進 相 コンデ ンサ用直列 リアク トル (定 格容量 6%)が 、 機器 の外部 か ら進入 した高調波 によ り、定格容量 を超 66kV以 上 で えた電流が流れたため 、焼損爆発事故 と負傷者 1名 の 2000kVAを 超 え る場 合 に、この ガ イ ドライ ンが適 用 事故 が発生 した。 この よ うな焼損事故や絶縁破壊、加 され る。 熱 または異常音発生 の技害 が最近多 く発生 して い る lkW当 た りの 高 調 波 流 出電 流 上 限 値 が (例 えば、電気保安協会 の受託需要家 において 6%以 表 12の とお り定 め られ て い る。 これ を超 える場 合 は、 下 の リアク トル設置軒数約7200に 対 し、都市部 を中心 対策 を講 じる こ とが必要 とな る。 に 5年 度 42軒 の何 らかに被害が発生 している。) 契約電 力 5 表 12 契約電力 l kw当 た りの高調波流出電流上 限値 (単 位 受電電圧 5次 6 6kV 23次 超過 11 25 高調波障害防止 の抜本対策 は、高調波発生源 か らの 抑制 を進め る こ とであ り、具体的 な事故防止対策 は、 当面保安確保 の観点 か ら次 の こ とが考 えられ る。 0 76 0 70 (1)需 要家 へ の周知、特定需要家 の個別管理、温度監 0 82 0 69 0 53 0 47 0 39 0 36 視、高調波電流 の測定等を行 い、高調波 の合有率 に 0 86 0 55 0 46 0 35 0 32 0 26 0 24 0 56 0 42 0 27 0 23 0 17 0 16 0 13 0 12 応 して、高調波耐量 (高 調波 に よる発熱等 に対す る 強度)が 十 分 な コンデ ンサ、 リアク トル を使用す る。 019 0 10 1 3 12 77kV :mA/kW) 高 調 波 による 事故 防止 対策 1 3 0 50 0 36 0 23 0 15 0 13 0 11 リアク トル付 き コンデ ンサ を設置す る。 (3)夜 間 (終 業時 )力 率改善用 コンデ ンサ を開放す る。 (2)低 圧側 に 14)温 度監視 3 リレー、高調波監視 リレーなどによ り、 「家 電・ 汎用 品高 調 波抑 制 対策 ガイ ドライ ン 」 異常時 に 自動的に電路 を遮断 し機器 の保護 を行 う。 の概 要 なお、 リアク トルを外 し、 コンデ ンサだ けで使用す 家電汎用品機器 を設計・ 製造す る際に必要 となる。 る ことは、 突入電流 によ り機器損傷 の恐れ が あるはか、 「 発生す る高調波電流 の抑制 レベル」 と「 測定方法」 高調波を拡大 させ る こ とがあるので望 ましくない。 し が示 されてお り、300V以 下 の商用電源系統 に接続 し て使用す る定格電流の20/相 以下 の電気 。 電子機器 (家 たがって、焼損す ると思われ るものに対す る緊急処置 電・ 汎用品)に 適用 され る。機器 が A∼ Dク ラスに分 として、改善 され るまでの間、一時的 に リアク トル、 コンデ ンサ を取 り外 してお く等 の措置 については、 よ 類 され、それぞれ のクラスご とに定め られた高調波電 く関係者 と協議す る こ とが必要である。 流発生 の限度値以下 とす る こ とが必要 となる。 クラス Ⅷ おわりに C(照 明機器 が該当)の 場合 は、表 13の とお りとなる。 パ ワーエ レク トロニ クス技術 の急速 な進歩 によ り、 高調波対策 が大 きな問題 となってい る中で、進相 コン 表 13 クラス Cの 限度値 デ ンサ設備 へ の影響 と高調波許容限度、高調波障害事 照 明装置 の基本波 入力電流 の百 分率 とし て表 され る最大値 (%) 例、高調波抑制対策 ガイ ドライ ン制定 および事故防 止 ‐ i11 11 2 2 奇数高調波 (参 考 文献 ) 30× え' 5 10 7 7 9 5 ≦一 3 ll≦ n 対策 につい て、 まとめてみた。高調波問題 の影響 と対 策 について、皆様 の一助 となる ことを期待 している。 .: (1)電 気共同研究第37巻 第 3号 「 配電系統 の高調波障 害防止対策」 ① 日本電機 工業会「主 な家電 (単 相 )の 全負荷電 3 λ は回路 の力率 流 に対す る第 3調 波成分 の割合 資源 エ ネル ギ ー庁公益事業部「高圧 または特別高 59 職業能 力開発報文誌 VoL 8 No 2116),1996 圧 で受電す る需要家 の高調波抑制対策 ガイ ドライ ンJ「 家電・ 汎用品高調波抑制対策 ガイ ドライ ンJ 平成 6年 10月 3日 付 14)電 気工事技術情報 、0電 気工事技術講習 セ ン ター 働 高調波問題 の現状 と対策 三菱電機佛 (6)高 調波抑制対策 ガイ ドライ ン と特定需要家 におけ る高調波対策 (7)JIS C 4081 (8)JIS C 4902 60 三菱電機い