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有限要素法と多巻線回転機械の一般的理論を用いた 誘導電動機の動作
Akita University 秋 田大学工学資源学部研 究報告,第2 1 号 ,2 0 0 0 年1 0月 3 5 有限要素法 と多巻線回転機械の一般的理論 を用 いた 誘導電動機の動作解析法 田島克文*・谷 口敏幸* AnAnal yt i calMet hodf わrI nduct i onMot orUs i ngFEM andBas edon t heGener alTheor yofRevol vi ngM achi neswi t hW i ndi ngs Kat s ubu m iTa j i ma*andTos hi yukiTa ni guchi * Abs t r ac t Thi spa pe rpr o pos e sa na na l y t l C a lme t ho df o rpr e di c t ngt i hes t e a d yS t a t epe r f o ma r nc eofa ni nd uc t i o n mo t o rw it ht hef e r r i t ema gne t i cwe dge sa ndap ha s ec o n t r olc i r c ui t .Thi sme t hodus e st he2D 丘ni t ee l e me nt me t hoda ndi sba s e do nt hege ne r a lt he o r yofr e v ol vi ngma c hi ne swi t hwi ndi ngs .Thea na l y t i c a lr e s ul t sa g r e e we l lw it he xpe r i me n t lo a ne s ISo,i ti so bvi o ust ha tt hi sme t hodc a ne s t i ma t ed e c r e a s l nge fe c tofi r o nl os sby f e r r i t ema g ne t i cwe dgea ndt hepe r f o r ma nc eoft hemo t o rwh e nt heno ns i nus oi da lv ol t a gei sa ppl i e d. Andt he me t hodi sve r ys i mpl ea ndf a s tbyus eofFEM pr og r a m ANSYSa ndge ne r a l pu r pos ec i r c ui ts i mul a t i o n pr o g r a mPSPI CE. 1 . は じ め に とつ は,印加電源 の電圧 ・周波数 を負荷 に応 じて制 近年 ,地球温暖化 問題 対策 の一環 として,二酸化 御 す るな ど運転法 に関す るもので あ る(4).両手法 の 炭素排 出量 の抑制 が検 討 され , 電力分野 において も, 実用化 に関す る検討 は種 々行 われ てい るが,前者 の 電力消費量 を低減化す ることに よる火 力発電所発 電 材質 ・構造 の変更 と後者 の印加電圧制御 が,回転機 量の抑制が求め られ てい る. 特性 に与 える影響 を定量的 に把握 で き るこ とが必要 回転機 は家 庭 電 化 製 品 か ら産 業 用機 器 ま で広 く である. 使用 され ,その電力消費量 は我 が国の全電力消費 量 この よ うな手法 には以下の事項 が要求 され る. の 50%以上 を占め る(1). したが ってその省 エネル ギ ( 1 )回転機 の材 質 ・構 造 の変更 に よる磁 界分布 の変 化 を考慮できること. ー化 が全体 に及 ぼす影 響 は極 めて大 きい.既 に欧米 では小形 回転機 ( 1 0 0 W 以下) にまで効 率基準が定 め られ てお り(2),基 準 を ク リアで きない と製 品 を販 売で きない事態 となってい る。我 が国で も同様 な動 きがあ り,回転機 の高効 率化 が急務 となってい る. ( 2)電圧 制御 にはスイ ッチ ング素子 が使 われ るが, この場合 も定量解析 が可能 であるこ と. ( 3) 前記( 1 ) 、( 2)を満 た しつつ ,高速 高精度 で簡便 で あること. 回転機 の 中で,誘 導機 の高効率化 の手段 としては ( 1 ) に対 して は一般 に有 限要 素法 の適 用 が考 え られ 主に次の 2手法が提案 され てい る.ひ とつ は回転機 鉄 心 に用 い る磁性材 料 の低損失化 (3),磁性 くさび の るが ,( 2) を考慮 して磁 界解析結果 か ら回転機 特性 を 2) に対 しては線形回路理 求め る必要があ る.また ,( 適用 な ど材質 ・構造 に関す る方法である(4). も うひ 論 に基づ く簡単 な手法 の適用 は困難 で あ り,従来, 状態変数 法(5)な ども適 用 され て きたが取扱 い が複雑 2000年 7月 28 日受理 で精度 もさほ ど高 くなかった. * 秋田大学工学資源学部電気電子工学科.De p a r t me n to f 以上 よ り,本論文 では,有限要素法 と多巻線 回転 , F a c u l t y o r El e c t r i c a l a n d El e c t r o ni c En g i ne e r l n g 機械 の一般理論 (6)に基づ く解析 モデル を組み合 わせ En g in e e r l n ga n dRe s o u r c eSc i e n c e , Ak i t aUni v e r s l t y た誘 導機 の解析法 を提案す る.本 手法 で用 い る解析 Akita University 3 6 田島克文 ・谷口敏幸 モデル は電源 にスイ ッチ ン グ素子 を用 いた場合 も定 量解析 が可能 で あ り,そ のモデル パ ラメー タを有限 本モー タでは損失低減 のため,Fi g. 2に示す よ うに 磁性 くさび を固定子溝 開 口部 に打 ち込 んでい る.磁 要素 法 に よる磁 界解 析 結 果 よ り得 る こ とに よ り,回 性 くさびは,溝部 での空隙磁 束密度分布 の脈動 を平 転機 の材 質 ・構 造 も考慮 した解析 が可能 で あ る.ま 滑化 させ る作用が あ り,鉄損 の一部 で あ る歯脈動 損 た,解析 プ ログラムには ANSYS,PSPI CEな どの市 を減少 させ る他 ,励磁 リア クタンスを増大 させ てモ 販 の有 限要素法 プ ログラム, 回路解析 プ ログラムが ー タ電流 を減 少 させ銅 損 も抑 え る こ とが で き る (4). 使 用 でき るため,簡便 で あ り比較 的高速 高精度 で あ る. く さび 寸 法 は a -2. 05 mm, b-3. 2mm, d -1 . 4mm, ∫ -90 mm である. 本論文で は誘 導機 の一例 と して,商用 単相 電源 で この特性 改 善効 果 は く さび材 質 の磁 気 特性 に依 駆動 可能 な コンデ ンサモ ー タを解析 対象 と して本解 析 法の妥 当性 を検証 した. 存す る.Fi g. 3に,試作磁性 くさび に用 い られ た フェ ライ トの磁 気特性 を示す .図 中の くさび A,B,C の三種類 について,実験 的検討 を行 な った結果 ,正 弦波 定格電圧 印加 時 で無負荷 の場合 の鉄損 は Ta bl e 2.コンデ ンサ モー タの基本特性 g.1に示す よ うに主巻線 と コンデ ンサモー タは Fi 2 に示す よ うになった. これ よ り飽和磁 束密度 が高 補助巻線 の 2巻線 よ り構 成 され る二相誘 導電動機 で いほ ど,鉄損 の低減効果 が大 き く,磁性 くさび の適 あ る.両巻線 は単相 の 同一電源 に接続 され るが補助 用 には材質 の磁気特性 と損失低減効果 との関係 を明 確化で きる手法が必要であることがわか る. 巻線 には直列 に コンデ ンサ が挿 入 され るため両巻線 の印加電圧 には位 相 差 を生 じ,二相機 と して動作す る.電圧制御 を行 な うた め,本論 文 で は トライア ッ クは破 線 の位 置 に接 続 し,これ に よ りモ ー タ印加 電 圧 を位相制御 す る もの と した .Ta bl elに供試 モー タ の諸 元 を示す .本論文 で は 50Hz, 1 00V の商用電 源 を使用す るもの と した. なお,次節 以降の実験 お よび解析 には くさび A の み を使用 してい る. b ⊂ こコ E〒 ≒ ≡ ≡ ∃ J α d 運 転 用 コンデ ンサ Fi g・ l Sc he ma t i cofac a pa c i t o rmo t o rwi t hat r i a c . me ns i onsoft hemot o r . Ta bl e1 Di 5 0 6 0 1 0 0 / 2 0 0 1 0 0 / 2 0 0 [ A ] 1 2 . 6 / 6 . 3 1 0 . 8 / 5 . 4 力 [ W ] 7 5 0 致 [ 棲 1 4 運転用コ ン デ ン サ [ 〟 F 1 4 0 固定子 ス ロ ッ ト 数 [ 個 ] 3 6 固定 子 内 径 【 m m 】 ¢ 4 5 固 定 子 外径 [ m m ] ¢ 7 3 固定子スロットピッチr] 1 0 周波数[ H z ] 電圧[ ∨ ] 電流 出 極 回転子スロット数[ 個1 回転子外径 [ mm] ギャップ幅[ mm】 44 ¢ 44. 7 0. 3 5 00 0 1 000 磁界の強 さ H【 〟m】 Fi g.3 Ta bl e2 Ma gne t i cpr o pe r t i e soft hewe dgema t e r i a l s . 1 r o nt os s e soft hemot o rwi t ha ndwi t hou t f e r r i t ema g ne t i cwe d ge s . くさび なし Akita University 有限要素法 と多巻線 回転機械 の一般 的理論 を削 、 た誘導電動機の動作解析法 5. 多巻線 回転機械 の一 般 的理 論 に基 づ く誘導機 の 解析モデル スイ ッチ ン グ素 子 に よ り誘 導機 を電 圧 制 御 す る 37 本式 に基づ けば,トライ ア ックに よる位 相制御 時 も 状態変数法 を適用 して解析 で きる. しか し, この方 法は取扱 いがい ささか複雑 となる点が問題 であ る. 場合 ,そ の印加電圧 とモ ー タ電流 は非正弦 波 とな る そ こで本論文 では, 式( 1 )を等価 な電気 回路 に置 き換 た め,その解析 は容 易で はない. え, これ を市販 の回路解析 プ ログラム PSPI CE で解 本論文では,回転機 械 を各 々が磁 気 的 に結合 され 析す るもの とした. この とき ,PSPI CE 上では既 に た多巻線 リア ク トル 系 とみ なす ,い わ ゆ る多巻線 回 トライア ックの解析 モデルが用意 され てい るた め, 転機械 の一般 的理論 (61 に着 目 し,本理論 に基づ いて 誘 導機 の解析 モデル を導 出 した. 位相制御 時の解析 も取扱 いは簡 単 とな る.Fi g. 5に コ ンデ ンサモー タの解析モデル を示す。 図 中の電圧源 3. 1解析モデルの導 出 には PSPI CEで用意 されてい る非制御形電圧源 を使 本論文で解析 対象 とす る コンデ ンサモー タを,対 称 二相巻線 を有す る二相誘 導 電動機 とみ なせ ば,多 巻線 回転機械 の一般 的理 論 よ り F i g. 4 の等価 回路が 袴 られ る.ただ し,か ご形 回転子 は これ と等価 な二 相巻線 に置 き換 えてい る, 図において dq 変換 に よ り回転子巻線 を これ と等 価 の固定子巻線 に等価 変換すれ ば次式 に示 す コンデ ンサモー タの回路 方程 式 が得 られ る.ここで R m, Ra, Rr は主巻線 ,補助 巻線 及 び 回転子巻線 の抵抗 ,Lm , L。 ,L,は主巻線 ,補助 巻線 及 び回転子巻線 のイ ンダ ク タンス,Mm, Ma は 主巻線 と回転 子巻線 間,補助 巻線 と回転子巻線 の相 互 イ ンダク タンスで あ り, ( 1 -S)c oは回転子の回転 角速度 で あ る.ただ し, Wは Fi g. 4 Eq u i v a l e n tc i r c u i tf o rac a pa c i t o rmo t o rba s e d o nt h et h e o r yo rg e n e r a li n v o l v i n gma c hi n e . T r i a 定格 角速度 を示す .また ,d軸 は主巻線 ,q軸 は補助 , c 巻線 に対応す るもの と し, vms,i mSは主巻 線 電圧 ・電 v a s ,i a sは補 助巻 線 電圧 ・電 流 を表 して い る. v ml ,l m rは d q変換 に よ り固定子 主巻線 に等価変換 さ れ た回転子巻線 の電圧 ・電流 ,v a r ,i a rは固定子補助 C 流 を, ・ i ・: : 巻線 に等価変換 され た 回転子巻線 の電圧 ・電流で あ る(5). 本式 は,すべ り S で回転 してい る ときの各部 の電 圧 と電流の関係 を表す連 立微分方程式 とな る. V 弓 Ri ニ+拷 - V弓 o Ri - M ( a )固定子主巻線回路 a% )・Mai a -M〃 意 i ). - - (1 1 S ) wMa i i ・ 〔r 計 Rr i n r " ( 1 -s bL , i d r 護 I( 1S ) w L r i " r Z・(Rr i a r・ L r %〕 i " r , ラ _ 早. 土 / 肌… ヽ ( 1) ( bl 固定子補助巻線回路 i a r > R, L , % Mm ( 1 -) a , L , i ; -( 1IS ) a, L, i o r a Mm i ; ( 1 -S ) -( 1IS ) aM a i ; o-( 1s bM-i " M ( cl 回転子主巻線回路 ( d個 転子補助巻線回路 Fi g . 5 An a l y t l C a l mo d e l o fac a pa c i t o rmo t o r ・ Akita University 3 8 田島克文 ・谷 口敏幸 用 してい る.本図 では さらに,鉄損 の影響 も考慮す るため鉄損抵抗 RIも導入 した (7). 以上 よ り得 られ た解析モデル において各モデルパ とな り,拘束試験 の結果 と Rm の実測結果 よ り,R, , Lm + L, 2Mmを得 ることができる. 3. 2. 3 無負荷試験 ラメー タが与 え られれ ば コンデ ンサモー タの特性算 同様 に補 助 巻線 を開放 して 主巻線 のみ で無 負 荷 定が可能 とな る.本稿 では先ず,供試モー タに各種 試験 を施す こ とに よ りモデルパ ラメー タを求 め, こ 試験 を行 った場合 ,v a s -0,i a s -0,S 0 とな るため次 式が成立す る. れ よ り得 られ るモー タ特性 の計算結果 と実験値 を比 較す ることに よ り,その妥 当性 を検証 した. + i ; 3. 2 試験 によるモデルパ ラメー タの決定 i :( L r -M + -) こ こで は供 試 モ ー タ よ り前 述 のモデ ル パ ラ メー タを求める手順 について述べ る(7). 3. 2. 1 主巻線の抵抗測定 主巻線抵抗 Rm を測定す る. 3. 2. 2 拘束試験 {1 補助巻線 を開放 し,主巻線 のみ に電圧 を印加 して a s -0,i a S 0,S -1が成立す 拘束試験 を行 った場合 ,v ( R m・ R , ) ● ● L Z-l Ri - ai)・Mai o Fi g・ 6 Equi va l e ntc i r c ui tf わrl oc ke dr ot ort es t ・ ( 2) % ・(Rin r l ・L r %) o-M m ●● v : ・I' .; , :A ,J l 暮 . + ' ヽ● ヽ ● Ii : V = . v L-( Ri L・ m% )+Mm% = コ ■ ● _■ ●● ■ ∩ ることか ら,式 ( 1 )は次 に示す よ うになる. m ( L m .L , _2Mm) 定 r L (R i - v m m i )・Mmi 0- ai ・( Rri a r・Lri) a g M 0、 -( Ra i - ai )+M これ ら 4式の うち,主巻線 に関す る 1番 目と 3番 目 ( 5) の式 を書 き換 える と次式が得 られ る V= ,-(Rm i - %(Rr i L"r計 0- m M m%) ・ M",i = a Mm i ニ + a ) L , i ニ + ( R r i - 0 I(M-i -Mm% ) ( 3) r a r i) ここで , 3番 目と4番 目の式 をベ ク トル表記す る と, %) 0-M-% ・( Rr i ; , ・Lr I(M n l i -M " 7 i ) この 2式 で示 され る関係 は Fi g. 6上に示す回路 で 表す ことがで きる.本 回路 は主巻線 のみ に電圧 を加 えた拘束試験 時の等価 回路 であ る.ただ し,本 回路 Lm Mm ) よ り十分大 きい と考 え られ る にお いて Mmが( g. 6下の回路 に簡 略化 できる・この とき,拘 ため ,Fi 束試験時の回路の全イ ン ピー ダンスは, zJ-( Rm+R, ) +jo( Lm+L,12Mm) wLi r ( 4) ja Mm l " S , +( R ,+ja ' L, ) 1 " r , -a , L, j a r-o ( 6) a Mm l n s , +a , L , I n r , +( R,+ja ' L, ) j a r=o ( 7) 今,式 ( 7)に ノを掛 けて式 ( 6)か ら引けば次式が得 ら れ る. I こ=j I u r , Z u r--j I こ ( 8 ) これ を式( 6) に代入すれば, ・ m% ・(Rri n r " Lr% ) -0 ( 9) Akita University 3 9 有限要素法 と多巻線回転機械の一般的理論 を用いた誘導電動機の動作解析法 以上 よ り式 ( 5) の第 1式 と式 ( 9)を書 き換 えれ ば次 式 を得 る. V ,+ i ; + i n r , 〕 +m% = 7-(R i 二 7+堵 M n7 I( m% -Mm% ) M %) Fi g. 7 0- m% ・(Rr i " r l ・2Lr M Equi va l e ntc i r c ui tf わrnOl oa dt e s t . Ta bl e3 ・( M m% -M m% ) この 2式 の関係 を電気 回路で表現すれ ば Fi g.7の 回路 とな る。 この回路 は主巻線 のみ に電圧 を加 えた 無負荷試験 の等価 回路 とな る.ただ し,鉄 損 を表現 Mode lpa r a me t e r sofma i nc i r c ui t . Rm [ Q] Rr[ Q] Lm( L r )[ H] Mm [ H] くさびA くさびなし 0. 71 6 0. 71 6 0. 956 0. 938 0. 0692 0. 0629 0. 0665 0. 0609 lを挿 入 して す るた め電源 電圧 と並列 に鉄損抵抗 R い る. この回路 か ら無 負 荷試 験 時 の 回路 のイ ン ピー ダ ンス Zoを求める と, α( R, Rt +α)+a' 2 p伊+R I ( Mm+L2 ) ) ( R, RI'a) 2.a , 2 ( p'R, ( Mm'L2 ) ) 2 l l ) R, 2( p R -α( Mm+L2 ) ) トL / E E ) ( R, R,+α) 2+a , 2 ( p+R , ( Mm +L2 ) ) 2 となる。 ただ し,L l L m Mm ,L 2 2 L r Mm であ り, ( , α -Rn , Ra ' 2 ( Ll ( Mm+L2) + m p-R, ( Mm+Ll ) +Rm( Mm+L2 ) i , M L2) ここで,主巻線 と回転子巻線 との巻数比 は 1: 1とし てい るので L m i.,よって無負荷試験 の実験値 と先 の拘束試験 の結果 よ り Mm,Lm,R.を求 め ることが で きる. 以上の過程 よ り主巻線 のモデルパ ラメー タ Rm,R r , Rl , L m , Mmが求 め られ た .同様 に補助巻線 の み の拘 束試験 ,無負荷試験 か ら Ra ,R, ,La ,Maを求 めるこ Fi g・8 Fl o wc ha r toft hec a l c ul a t i o n・ ともで きるが,対称 二相巻線 とい う前提 が あ るた め, 主巻線 に対す る補助巻線 の巻数比 A -1 . 68 9 によ り 主巻線 のパ ラメー タか ら換算す るもの とした. Ta bl e3にモデルパ ラメー タを示す .これ よ り磁性 くさび適 用時 には鉄損抵抗 の増大,巻線 イ ンダクタ ンスの増加 が生 じてい ることがわか る. 3. 3 特性算定例 g.8に基づいて行 った・ モー タ特性 の算定は Fi 先ず ,正弦波電圧 印加 時 において くさびが有 る場 合 と無い場合 のすべ りと入出力電力の関係 を示す. Fi g.9 よ り計算値 は実験値 と良好 な対応 を示 し,本 モデル に よ り磁性 くさび の効果 を検証可能 で あ るこ とがわか る. 次に位相制御 を行 った場合 について検証す る. Fi g. 1 0 に位相制御 時 において, トライ ア ック直後 のモー タ電圧及び全電流波形 の計算値 を観 測波形 と 比較 して示 した. これ をみ る と両者 はほぼ一致 し, 本特性算定法が位 相制御 時の コンデ ンサモー タ及び トライア ックの動作 を正確 にシ ミュ レー トしてい る ことがわか る.なお,一回の計算 に要す る時間 はパ Akita University 4 0 田島克文 ・谷口敏幸 ソコン( CPU: I nt eli 80 486DX266MHz ) 上 で,正弦波 電 圧 印加 時 に約 25秒 ,トライ ア ックに よる位 相制御 時 に約 300秒程 で あ り,短 時間 で特性 算 定が可能 で あ った(7). 以 上 よ り本 解 析 モ デ ル を用 い た解 析 は妥 当で あ モータ印加電 圧波形 観 測波 形 波高値 1 51 . 2 V 実 効値- 91 . 9 V る と言 え る. ここで,本解析 モデル のモデルパ ラメ ー タを解 析 的 な手法 で得 る こ とがで きれ ば,佳 意 の 材 質 ・寸 法 の誘 導機 の特性 算 定が可能 とな る.次節 にお いて有 限要 素法 に よ る磁 界解 析結果 か らのモデ 計 算 波形 波高値-1 499V 実効 値- 937V モータ全電涜 波形 ルパ ラメー タの導 出法 につ いて述べ る. なお, この よ うな解 析 モデル は コンデ ンサモー タ だ けでな く他 の多相誘 導電動機 に対 して も同様 な過 程 に よ り導 くこ とがで きる. 観測 波形 99A 波高値-1 実効値 -1 22A 計算 波形 4 .有限要素法 を用 いた磁界解析 4. 1 コンデ ンサ モー タの磁界解析 (8) A-I 8. 4A i GS i 実効 値-l ll A ( くさび無, 点弧角7 0 0.すべり49 %) 有 限 要 素 法 に よ る二 次 元 静磁 場解 析 を行 な うも g.11に示す解析 モデル を設 定す る. の と し,Fi Fi g.1 0 Wa ve f br msoft hemo t oru nde rt r i a cc o nt r ol . g.1 2に主巻線 の巻 ここで固定子 巻線 につ い て ,Fi 線配 置図 を ,Ta bl e4にそ の巻数 を示 し,Fi g.1 3に補 bl e5にその巻数 を示 す . 助巻線 の巻線 配 置 図 を ,Ta の節 点 に周期境 界条件 を設 定 した. なお , 固定子鉄 解析 対象 とな るモー タは 4極 なので同 じ磁 束分布 心 の外周 か ら磁 束 の漏 れ はない もの と し, くさび の が1 /4領域 ご とに周期 的 に現れ る. このた め,モー 1 5 00 タ断 面 の l / 4領域 のみ のモ デル と し,X 軸 と Y 軸 上 磁 気飽和 は考慮 した ものの, ケイ 素鋼 を使 用 した鉄 心の磁気飽 和 は考慮 していない. 解析 モデル の要素分割 の際,磁 束密度 の変化 が激 入 しい と予想 され る空隙部分 は精度 を増 す た めに細 か 出1 0 00 力 く分割 し,要 素 の数 を増や した . ここで,全体分割 g.1 4に示 し,そ の枠 で囲ん だ空隙部 分 の拡 大 図 を Fi 鷲 した もの を Fi g.1 5に示す .解析領 域 での全 要素数 は 1 01 5 0,全節 点数 は 51 1 3で あ る.解 析 精度 を向上 さ 力 5 0 0 [ W] 0 せ るため,空隙部分 は二層 に分割 してい る. 2 0 4 6 すべ り S[ %】 入 出 1 00 0 力 電 力 5 0 0 【 W】 0 ∩ Fi g. 9 2 4 すべり S[ %] Loa dc ha r a c t e r i s t i c s ( 1 ) . Fi g.l l Ana l yt i c a lmode lort hemot orf わrFEM Akita University 41 有限要素法 と多巻線 回転機械 の一般的理論 を用 いた誘導電動機の動作解析法 Fi g.12 Ar r a nge me ntorma i nwi ndi ngs . Ta bl e4 Numbe roft ur nsofma i nwi ndi ngs . スロット 巻数 スロット 巻数 番号 [ ¶ 1 . -9 2-8 3. -7 3 6 1 8 5 3 6-2 8 3 5-2 9 3 6 1 8 スロット 巻数 スロット 巻数 [ ¶ 番号 1 9. -2 7 2 0-2 6 3 6 1 8 番号 番号 1 8. -1 0 1 7-l l Fi g・ 14 Me s he dmodel . [ ¶ [ ¶ 3 6 1 8 Fi g.15 Expa nde dvi e wofFi g・14・ ただ し, 固定子巻線 部 の面積 は,モデル の固定子 の ス ロ ッ ト番 号 が 1, 9, 10, 18, 19,27,28,36 では 4. 39×1 0 5 m2で あ り,それ 以外 で は 5. 75×1 0 5m2 で あ る.以上 よ り巻線 電流 を与 えれ ばベ ク トル ポテ ンシャル分布 を求 め るこ とがで きる. 4. 2 磁界解析結果か らのモデルパ ラメー タの導出 ここで,モデ ルパ ラメー タの うち,自己イ ンダクタ Fi g・13 ンス と相 互イ ンダ クタンスの算 出方法 を説 明す る, A汀a nge me ntOra uXi l i a r ywi ndi ngs ・ イ ンダ ク タンスは有 限妻 素法 に よ り磁 界解 析 を行 な Ta bl e5 Numbe roft u msofa uxi l i a r ywi ndi ngs ・ スロット 巻数 スロット 巻数 番号 【 T] 番号 [ T] 1 7 一 一2 0 1 6-21 1 5. -2 2 7 l l 1 4 2 9. -2 6 3 0. -2 5 31 . -2 4 7 l l 1 4 スロット 巻数 [ T] スロット 巻数 [ T】 って得 られ るベ ク トル ポテ ンシ ャル を用 い て次 の よ うに算 定で き る(9).た だ し, 固定子 ス ロ ッ ト内 の要 42A とした. 素 に与 える電流 は定格電流 の 17. g. 11の よ うに 自己イ ンダ ク タンス につ いて ,Fi 固定子 ス ロ ッ ト内 の巻線 部分 の節 点 を Nl,N2, 番号 3 5-2 3 4-3 3 3-4 7 l l 1 4 番号 日. -8 1 2-7 1 3-6 1 4. -5 , N36 に代表 させ た場 合 ,磁 界解 析 よ り得 られ た各節 7 l l 1 4 7 ,A2, 点 のベ ク トル ポテ ンシャル の値 を A】 ,A36 とすれ ば ,Fi g.12 にお い てス ロ ッ ト2- 35間の鎖 交 磁 束量 ◎ lは, また本解 析 で は, 固定子 ス ロ ッ ト内の要素 に各巻線 ◎1 -( A2-A3 5 )・nl・l・P/a ( 1 4) と計算 で き る.ただ し, nlはス ロ ッ ト2- 3 5間の 電流 を用 いて電流密度 を次 の よ うに与 えた. 巻数 ,lは鉄 心長 , Pは磁 極数 ,aは並列 回路数 を意 味す る. ここでベ ク トル ポテ ンシ ャル A2と A3 5は, ( 電流密度) -( 巻数 ×電流 )/ ( 固定子巻線部 の面積 ) ( 1 3) 符 号 が逆 で,大 き さは同 じなので次式 の よ うに書 き Akita University 田島克文 ・谷口敏幸 4 2 換 え られ る. ( 1 5) 量 を求 め る と次式 が得 られ る. ◎2 -2・A3・n2・l・P /a WL ー ◎4 -2・A5・n4・l・P /a L 有限要素法 試 験 結 果 より 験値 ㌢V㌢ン ′ ○ ●0. ● 0 0 5 ◎3 -2・A4・n3・l・P /a l l 一 l l入 I力 I電I力l l 出力 L電 L 0 0 0 同様 に して 3-3 4間 ,4-33間 ,5-32間 の鎖 交磁 束 人 出 力 電 力 ◎1 -2・A2・nl・l・P/a したが って , 1/ 4領 域 の磁 束 量 は ◎lか ら ◎4の和 にな り,固定子全領 域 で の総鎖 交磁 束量 ◎は次 の よ うに求 ま る. ンダクタンス Lm を次式 の よ うに算 出で きる. Lm -◎/L l 2 0 ◎-4(◎1 +◎2 +◎3 +◎4 ) ( 1 9 ) ここで総鎖 交磁 束 量 中 と電流 iとの関係 よ り自己イ 4 6 すべり S【 %] Fi g.1 6 Loa dc ha r a c t e r i s t i c s ( 2) . ( 20) また,相 互イ ンダ クタ ンスにつ いては ,Fi g.1 1の よ うに固定子 ス ロ ッ トに対 して ギ ャ ップ を挟 んだ回 転子巻線 の節 点 を N' 1 ,N' 2 ,・ ・ . ,N' 3 6に代表 させ た 5 .お わ り に 以 上,有 限要 素法 と多巻線 回転機械 の一般 的理論 を用 いた誘 導電動機 の解析 法 につ いて述べ た. 場合 ,固定子巻線 電流 に よ り生 じた磁 束 が回転子 に 本 論 文 で提 案 した解 析 モ デ ル は印 加 電 圧 が 非 正 鎖交す る磁 束量 は,先 に述 べ た固定子 の場合 と同様 弦波 の場合 で も簡便 ・高速 で高精度 の解 析 が可能 で に して計算す る と, あ り,そ のモデルパ ラメー タの一部 を FEM に よ り ◎' -2・A' 2・nl・l・P/a ( 21 ) 推 定 で きる. したが って残 りのパ ラメー タで あ る 2 ◎' っ -2・A' 3・n 2・/・P/a ( 22) 次抵 抗及 び鉄損抵抗 の推 定法 を確 立すれ ば,鉄 心 の ◎' 3 -2・A' 4・n3・/・P/a ( 23) 材 質 ・寸法 のみの情報 か ら電 動機 特性 を推 定す るこ ◎' 4 -2・A' 5・n4・l・P /a ( 24) とが可能 であ り,誘 導電動機 の設 計 ・高効 率化 に有 1か ら ◎' 4の したが って , 1/ 4領 域 の磁 束量 は ◎' 和 にな り,固定子全領 域 での総鎖 交磁 束 量 ◎' は次 の 2 次抵抗及 び鉄損抵抗 の推 定法 につ い て は今後 , 検討 を行 う予定であ る. よ うに求 ま る. ◎' -4(◎' l +◎' 2 +◎' 3 +◎' 4 ) 用 と考 え られ る. ( 25 ) 参 ここで総鎖 交磁 束 量 ◎' と電流 iとの関係 よ り相 互 イ 文 献 ( 1 ) 資源 エネル ギー庁( 1 997 ):電力需給概 要 ンダクタンス 九 ㍍ を次式 の よ うに算 出で きる. Mm -◎' /i 考 ( 26) 以上 の過程 よ り,モデルパ ラメー タの うち Lm( Ll ), ( 2) OHM( 1 998 ): オー ム社 ,1 998年 4月号 ,pp. 3235. ( 3) 開道 ,溝 上 ,藤 倉 ,永井 ,本 田, 山崎 ( 2000): ル左 を決定す る こ とが で き る. 本 モー タにお い ては く 日本応用磁気学会誌 ,vol . 2 4,pp. 81 98 22. Ll ) -0. 0 5 5 4H, Mm-0. 05 4 4H, さび無 しの場合 に Lm( ( 4) Ra ga ,A. ,Ana z a wa ,Y.a ndTa j i ma ,K・ ( 1 992) :I EEE L. ) -0. 05 92H, Mm0. 0 5 7 4H くさび有 りの場合 に Lm( Tr a ms . Ma g n. ,Vol . 28, No・5, pp・ 299 42996・ とな り,Ta bl e3に示す試 験 結果 と同様 ,磁性 くさび ( 5) 尾 崎 ( 1 978):電 気 学 会 論 文 誌 ,Vol .98B2, 適用 に よ りイ ンダ クタ ンスが増加 してい る こ とが わ pp. 1 471 5 3・ か る. ここで,固定子巻線抵 抗 ,2 次抵抗 ,鉄損 抵抗 を 試験結果 と同 じ値 と した場合 のモー タ特性 の計算例 g.1 6に示す .これ を見 る と磁 界解 析 よ り導 出 し を Fi たモデル パ ラ メー タを用 いて も,試験 結果 よ り得 ら ( 6) 穴 山 ( 1 997):エ ネ ル ギ ー 変 換 工 学 基 礎 論 , pp. 1 7722 4,丸善株 式会社. ( 7)田島,穴揮 ,小 向( 1 997):電気 学会 回転機研 究会 資料 ,RM9791 . れ た計算結果 と同様 ,実験結果 と良好 な一致 を示 し ( 8 )常本 ,田島,小 向( 1 999):電気学 会 回転機研 究会 資料 ,RM9997. てお り,磁 界解析 に よ るモデルパ ラメー タ導 出が有 ( 9)伊藤 ,奥 田,高橋 ,宮 田( 1 979):電気 学会論 文誌, 効 であるこ とがわか る. Vol . 99B6,pp. 41 48.