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B型肝炎ワクチンをめぐる諸問題

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B型肝炎ワクチンをめぐる諸問題
シ ン ポ ジ ウ ム
B型 肝 炎 ワ クチ ンを め ぐ る諸 問題
Recent problems on HB vaccine in Japan
第 41
2回新潟医学会
司
会
市田文弘教授 (
第三内科)
演
者
吉川
発言者
司会
明 (
第三内科),青柳
登坂尚志 (
巻病院
これか ら
日 時
0年 1
0月 1
9日 (
土)
昭和6
会
新潟大学医学部研究棟
場
豊 (
第三内科),吉谷徳夫 (
産婦人科).上村
桂 (
新潟県公衆緬生課)
内科)
「
B型肝炎 ワクチ ンをめ ぐる諸問題」
を分離精製 し,それに少量の ホルマ リンを添加 して不活
の シンポ ジウムを行い ます.先づ成人お よび小児に対す
化 し,現在の HB ワクチ ンの 原 型を作 った わ けです .
る HBワクチ ン接種に よる HBs抗体の反 応の状 態 お よ
9
7
6年に織 田敏次先生を班長 と して ,厚生省
わが国で は 1
び獲得 HBs抗体の 推 移 に ついて 吉 川 先 生に使用経験
B型肝炎 ワクチ ン開発協議会を発足 させ ま した.そ して
を話 して もらい ,つづいて合成 ワクチ ンの可能性につい
1
98
4
年には HB ワクチ ンの 安 全性 と有効性が確かめ ら
て青柳先生に文献的立場か ら解説を願い ます.そ して実
れて ,国の製造許可を得て ,来年の 1月か ら一般に使わ
際に現在行な ってい る HB ウイルスの母 児 間感染予防
れ るよ うにな るわけです .それでわが国の HB ワ ク チ
の臨床的研究について婦人科吉谷先生に ,それか ら来年
ンの特徴 とい うの は,欧米の もの と違 って HBe抗体陽
の 1月 1日か ら国の事業 と して行なわれ る母児問感染の
性 ,すなわ ち感染性が少ない血罪か ら HBs抗原を精製
予防対策 を行政的に新潟県で はどの よ うに考えてい るの
0o
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O時 間加 熱 しまして , そ れ か ら 1対
L,初め は6
か上村先生にお話を願 うわけで ござい ます. そ れ に 先
2,
0
0
0 の 割合に ホルマ リンを添加 してい ます .それか ら
立 って ,B型肝炎 ワクチ ンの歴史について少 しお話 しし
B型肝炎 ウイルスの混入を防 ぐために37
℃ 96時 間 で 処
ます.世界で最 も早 く取 りくんだのが 1
97
0年か ら7
3年に
uv
antと して 水 酸 化 アル ミニ ウムを 使 い ,
理 し.adj
HB ワクチ ンを作 ってい るわけです .しか し HBe抗体
かけて Kr
ugman 教 授がニュー ヨークの
Wi
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ookにある知恵遅れの子供達を収容 した施設で実施 した
陽性の血祭 は少 な く,原材料にす るには限界があるので,
人体接種実験 の成績です.それは HB ウイルスを多 く含
この 2年は ど前か ら HBe抗 原 陽 性 の 血 祭 を用い て も
MS-2株 とい うプール血清を生理的食塩水で 10倍
十分だ とい うことがわか り,一応許可を得 なが ら進め ら
んだ
に うすめ ,98o
C,1分間加熱 して不活化 した ものを子供
れてい る現況です .それに続 きま して ,最 近にな り,血
達に接種 したわけです .それによ って B型肝炎 ウイル ス
祭 ワクチ ンで はな く,組かえ操作に よ り HB ワ クチ ン
9
7
8
の感染を予防で きることを証明 しま した.その後 ,1
as
tワクチ ンが 登 場 して き ま した ・す で に
と して ,ye
年にな って メル ク研究所の Hi
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man 博士 らは B 型肝
この ye
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tワクチ ンの臨 床 研 究 もは じめ られ ,現在第
炎 ウイルス関連抗原の うちの小型球形粒子(
直径 2
2mm)
2相臨 床 試験 を行いつつあ ります .
6
34
新潟医学会雑誌
第 1
00巻 第1
1
号 昭和61
年1
1
月
1) 成人におけ る HB ワクチ ンの接種試験
新潟大学第三内科 吉川明・市田文弘
B 型 肝 炎 ウイルス (HBV)感 染 を受 け ると 40日か
ら 6ケ月の潜伏期を経て B型急性肝炎を発症す る.多 く
は一過性の感染で治癒するが 2- 6%の頻度で劇症肝炎
験では GOT,GPT を各々追加検 査 した.なお ,HBs
抗原は RPHA 法とRI
A 法 ,HBs抗体は PHA 法と
RI
A 法 ,HBc抗 体は RI
A 法 にて 測定 した.
とな り,不幸な転帰をとる例が存在す る.感染経路は血
副作用に関 してはワクチ ン接種時毎に副反応調査表を
行性であ り,汚染源は HBV キ ャ リアの血液をは じめ
配布 し,ア レルギー反応 ,発熱 ,悪心 ,局所痛,発赤等
とす る体液である.医療従事者にあ っては HBV キャリ
の発現の有無を記入 して貰 った.
アの血液に汚染 された諸々医療器具が汚染源となりうる.
HbV キ ャリアの家族は汚染を受け易い環境にあるが ,
成
らと くに医療従事者を中心に HB ワクチ ンを 投 与 し,
した .
1. 第 1相 就 験
抗体産生に及ぼす効果を検討 したので報告す る.
①
方 法 と 対 象
1) 使用 した HB ワクチン
績
第 1相試験か ら第 3相試験 までの最終結果を蓑 1に示
と くにその配偶者は高率に感染を受ける.以上の ことか
HB ワクチ ン20/
上
g投与群
初回投与で 1
5
名中 2名 (
1
3%)
,2回 目投与で 1
5
名中
1
0例 (
6
7
%),3回 目投与で全例陽転 した (
表1)
.
HBs抗 原 陽性で同時に HBe抗 体 陽性 の ヒ トプー
ル血祭か ら HBs抗 原 (小 型および梓 状粒子)を精製
抗体陽転例中相 27 以 上 (高力価)例 ,24 6(
中等度力価)
し,加熱 さらにホルマ リン処理で不活化 し,ア ジュバ ン
低 力 価)例の比率は 5:2:3であ った.
例 ,21 3 (
抗体陽転率 と力価の推移を図 1に示 した.最終 2
8週 目
トと して水酸化アル ミニウムを加えた ものである.本 ワ
㊥ HB ワクチ ン4
0J
L
g投 与 群
クチ ンは ミドリ十字よ り供与 された.
初回投与で 2
4%,2回 投 与で 6
5% ,3回 投与で8
8%が
2) 対
象
第 1相試験はボランテ ィア3
2
名に投与 し,安全性 ,育
効性試験を行 った.第 2相試験では医療関係者で接種を
希望 した 1
9
9名 ,第 3相試験では 3
5
6名に対 象を拡大 し
3) 投
与
量
0
[
h」
的H Jq
uV
4) 投与方法 と採血時期
0週後の計 3回接 種 した.
ワクチ ンは初回 ,4過後 ,2
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ンを授与 した.
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0
〃gワ ク チ
る抗体反応の差違をみた.第 3相で は全例 2
0
T山
第 1相 と第 2相試験では含有 HBs抗原蛋白 2
0
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gワ
0/
帽 ワクチ ン接 種の 2群に分け,投 与 量によ
クチ ンと4
(
% ) aso
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た.
いずれ も皮下注である.採血は初回 ワクチ ン接種後 ,罪
1相では 2週 毎に ,8週 目以 降は 4週 間 隔で ,2
8
過まで,
8
週 まで ,第 3相ではワクチ
第 2相はすべて 4過間隔で 2
4過後の 4回行 った.
ン接種 日と2
5) 検 査 項 目
各相 とも HBs抗 原 ,HBs抗体の測定を必須 と し,
第 1相 試 験で は HBc抗 体 ,GOT,Gpワ,総 蛋 白 ,
A/
G 比.総 コレステロール ,BUN,検血を,第 2相試
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B型肝炎 ワクチ ンをめ ぐる諸問題
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PHA)
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図
2
が陽転 した (
表 1)
.
④ HB ワクチ ン40〟g投与群
男性 1
2
9名 ,女性 2
7名 の計 1
5
6名を対 象 した.
8% ,2回 目投与で 81
%,3回 目投与で 91
初回投与で 3
抗体陽転 した く
表 1)
.2
0J
`
g群 同 様 ,陽 転 率 と力価 の
推移を国 2に示 した.最 終 的 に 27 以 上 例 ,24
6例 と
21 3 例の 比 率 は 4:2:4で あ った.
2
. 第 2相 試 験
① HB ワクチ ン2
仙 g投 与 群
男性 2
2
名 ,女性 21
名の計 4
3
名を対象 と した.
6%,2回 目投与で7
9% ,3回 投 与で 91
%
初回投与で 1
%が抗体陽転 した (
表 1)
.
以上のよ うQ
T
_
第 1相 と第 2相試験成績 を総計す ると抗
0pg投与群で 5
4/
58名 (
9
3.
1%),4
0叩 投
体陽転率が 2
与群で 1
5
7/1
73名 (
90.
8%)と有意差はみ られなか った.
3. 副 作 用 (
表 2)
①注射時 :局所痛 ,発熱 (
最高3
7.
5
℃ ),発赤と硬結,
0%以下にみ られた.4
0pg
頭痛 .悪心 .倦怠感 などが 1
6
3
6
新潟医学会雑誌
第 1
0
0巻
第1
1
号
昭和61
年1
1
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投与群でよ り高率であ った ことか ら接種量の差 (
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0才代以降 は 1
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21名 (
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5% )
,4
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)によるものと考 えられた.
0.
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その他重篤なア レルギー反応や ショック症状はみ られ
と若干低率であ った.
なか った.
(
勤男 性 群 (
図 4)
2
6
5名で投与 開始 し,抗体陽転率は初回投与で42/245
T.GPTの 一 過 性 の 軽度上昇を
④生化学検査 :GO
名 (
1
7.
1
%)
,2回 目投 与で 1
1
2
/
2
4
2名 (
4
6.
3%)
,3回 目
示 した例はあ ったが,持続的に異常を示 した例はなか っ
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9/
1
98名 (
8
0.
3%)であ った.年 代 別 では 1
0
才
投与で 1
た.
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8名 (
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o劣)
,2
0才代で 5
6/
6
3(
8
8.
9%),3
0才
代では 8
③ HBc抗体 : HB ウイルス感染の証在 となる HBc
抗体の出現は全例み られなか った.
4. 第 3相 試 験
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gと 4
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g投 与 群に
第 1相 ,2相 試験の結果か ら2
3/
6
2名 (
8
5.
5% ),4
0才代が 2
3/
2
9名 (
7
9.
3
%)
,5
0
代で 5
才代で 1
3
/
2
3(5
6.
5%)
,6
0才 代以降が 6/1
3名 (
4
6.
2
%)
と加令とともに低率であ った.
5. 獲得 HBs抗体の消長 (
図 5)
おける抗体陽転率には有意差がなか った ことか ら第 3相
HB ワクチ ン 3回 接 種 後の獲 得 HBs抗体を追跡調
は2
0J
L
gに 統一 して接種 された.また,性差および年令
査 し,その PHA 抗 体 力価の推 移を図 5に示 した.比
による抗体反応の差違が認め られたためそれ らに分別 し
9
例を HB ワクチ ン 3回 接 種 後
較的長期間追跡 し得た 1
6
5名を対象 と した.内訳
て成績をまとめた.最終的に 3
8ケ月後 と約
に最高 PHA 力価を 獲 得 した時 点か ら約 1
は女性 1
6
7名 ,男性 1
98名である.
3
2ケ月後の 2回採血 し,各々の抗体価をプ ロッ トした,
(
事女 性 群 (
図 3)
大部分の例は経過 とともに漸時減少 した ことか ら最小 2
2
6
6名で投与 開始 し,初 回投与で 1
1
1
/
2
32名 (
47.
8% ),
乗法で抗体の半減期を算出 した結果,低 力 価 群 (23以
2回 目投与で 1
6
3/
1
6
7名 (
9
7.
6%)が抗体陽転 した.年代
下)では約 2年 ,中等度力価群 (
24-6)では約 3年 ,高
0代が 8
8/
8
8名 ,2
0才代が 2
4/
2
4名 ,3
0才代が3
/
3
別では1
27以上)では約 4年間は血中抗体 を持続するも
力価市 (
名 ,4
0
才代が 1
1
/11名 と 1
0
0% 陽転 した. しか し,50才
の と推測 された.
637
B型肝炎 ワクチ ンをめ ぐる諸問題
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38
新潟医学会雑誌
第 1
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0巻 第1
1号
昭和61
年1
1
月
見通 しがついている.
考
案
HB ワクチ ンの開発は 1
9
71
年 Kr
ugmanlJ らによっ
て B型肝炎発症因子含有血清を 9
8℃ 1分 間 熟 処 理 した
l
l
eman2),Maupas3) など
ことに始 まる.その後 ,Hi
の努力によ り,現在行なわれてい る HBs抗原の精製,
不活化過程を経た ワクチ ンが作成 され るに至 った.
欧米における HB ワクチンの接種成績 4〉516)をみ ると
投与量は 5-4
0
pg と若干相違 してい るが ワクチ ン 3回
A 法で 8
9%∼9
6% で あ る.
接種後の抗体陽転率は RI
参
考
文
献
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ugman,S.
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今回の我々の成績は PHA 法で8
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6.
が RI
A 法に比 し,感度が若干劣ることを考えるとほぼ
4)Maupas,P.
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∴
満足 し得 る成績 と思われ る.
HB ワクチ ンによる抗体反応には明 らかに性差が認め
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られわ.女性での抗体陽転率が男性に比 し高 く.とくに
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抗体産生能の高い ことは自己免疫性疾患が圧倒的に多い
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ことか ら推測 され るが,この ことは女性 ホルモ ンが関与
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しているとの報告 7
)もある.3回接 種で ようやく陽転 し,
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さらに獲得抗体価の低い,いわゆる l
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6名に さらに 3回の追加接種を行 ったところ 3名 に 抗 体
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反応が認め られた. したが って ,3回 接 種で抗体反応が
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81.
7)池本吉博,他: HBV 感 染 者の抗 体 産 生に及ぼす
み られな くとも頻回に追加接種を行 うとともに接種量を
増加す ることによ り抗体反応を期待 し得 るであろ う.敬
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sponder に お け る
女性 ホルモ ンの影響について ,第69
回 日本消化器病
HBs抗 原 添 加による リンパ球幼弱化試験成績で もこれ
9
8
3.
学会総会講演,於,大阪 ,1
らの細胞性免疫の成立が不十分であるとす る結果を得て
いる.
司会
ど うも有難 うございま した. 主と して成人に
獲得 した血中抗体は半永久的に持続するのではないか
espons
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使 ってい るわけで, そ して HBs抗体の r
と考え られていたが,追跡調査の結果か ら比較的短期に
ついて血繋 ワクチ ンと ye
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tワクチ ンについて話 され
減衰することが知 られた.獲得抗体価が高いほど長期に
as
tワクチ ンは第 2相 臨床試験に
たわけです ・現在 ye
持続す ることは予想 し得たが約半数が中等度以下の力価
入 っているところで ござい ます ・何かご質問 ございます
であ り,4年後 にはほぼ半 数が pHA 法で は陰 性 化す
で しょうか .ど うぞ .
る.あ らゆる様式の HB ウイルス感 染を防禦す るため
には少 くとも PHA 法で検出 し得 る抗 体 価 を保有す る
登坂
HB ウイルスに感染する危険性のある医療従事
者に対 して もワクチ ンを使 ってみたいと思い ますが ,ワ
必要があると思われる.この ことか ら追加接種時期は低
クチ ン接種の時期,また何時頃か ら実施が可能か教 えて
力価群では約 2年 ,中等度力価群では約 3年 ,高力価群
下さい .
では約 4年後が妥当ではないかと考える.
吉川
追加接種時期の問題に関 しましては,厚生省の
HB ワクチ ン材料の供給を HBV キャ リア血 清に頼
HB ワクチ ン開 発 協 議 会で既 に問題にな っていること
らざるを得ない ことから現在遺伝子工学による r
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で ございます .今後の ワクチ ンの供給量 とからめまして,
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neの 製造が行われ,臨床試験に入 ってい
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はっきりとデータを出さなければ ダメだとい うことで現
る.3- 4年 後 には実用化 され ることが確実視 されてお
在検討中で ござい ます .欧米の報告をみ ます と大体 3年
り,引き続 き HB ウイルス根絶 とい う目標を継続 し得る
か ら 5年の間 くらいが追加接種の時期 じゃないかとい う
B型肝炎 ワクチ ンをめ ぐる諸問題
6
3
9
ことですが,日本での報告を合わせ考えますと恐 らくそ
いと思い ます .繰 り返 し授与 し 6回目で よ うや く出た方
うい う結論が今後得 られ るので は な い か とい う感触は
が約半数お りますので ,真の意味の nor
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sponderは,
もってお ります .
登坂
その際の反応みたいなものは,おわか りにな り
ますか .
吉川
恐 らく 5%弱になるのではないかと考 えてお ります.た
だ しその 5%弱の no r
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ponderを ど うす るかとい う
ことにな ります と,今の ところは特に,これ とい った対
まず 1回の追加接種で抗体反応があるとい うこ
策 は持 って ません .ただ反応の悪いのは,何が原因かわ
とは,もちろん想像 されてお ります し,今回 も boos
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かればい いと思 うのですが ,現在のところは免疫遺伝学
をかけた方で抗体の上昇をみてお ります し,これ もまた
に もあま りは っき りした HLA における l
ocusの差は
近 々結果がでると思い ます ・私事にな りますが,私自身
ないと,また他の教室の成績を見 まして も各 l
ocusの
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rをかけてお りますが ,1回 で また もとの
も boos
陽性率には相違がみ られ るのが現状です .リンパ球 は確
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erに 戻 ってお ります ・ですか ら 1回の接種で十分だ
かに感作 されてはいるので しょうけれ ども,非常に反応
ろ うと思います .
が低いとい うのは先程の bl
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s の 成 績 でわ
か っています .免疫能をいかに高めるかは難 しい問題で
司会
やは りブースター効果を期待 して 1回だけです.
今の ところはそ うい う具合に考えてい って ,B型肝炎 ワ
すが,ただ大阪市立大学か ら,女性があれ程反応がいい
クチ ン開発協議会で これについて検討 してお ります .そ
のは,やは り女性 ホルモ ンに関係 してい るのではないの
れで ,これはまたの ち程の母子間感染の予防に際 して も
か とい う成績が出ているのです .ただし,nor
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の方に女性 ホルモ ンを打ちなが らや るかとい うよ うな こ
やは り問題にな って くるわけです .追加 ワクチ ンをいつ
や るかとい うことについてはアメ リカで は現在 3年 とい
とは.非常 に人道的に問題がございます し,一寸実現の
うことをい っておるのですが ,人によ っては 5年で もい
可能性は少ない とい うことで,今のところ,私 自身は対
い とい う人 もいます .これはもちろん接種後の HBs抗
策は一寸ない と言 った方がいいのではないか と思 ってお
体の力価に左右 され ,高い人は消失するのが遅いわけで
ります.
すか ら,その辺のところにも問題があ りますがその都度
司会
大体何蕗位いるのですか.
HBs抗体の力 価を測 るわけにはい きませんので ,大体
吉川
うちは 6人打 って 3人出ま したので大体半数位
平均 して何年位の間隔で追加接種す るかは残 された大 き
な問題だ と考えてお ります. また. 人によっては HBs
抗体の力価 よ りもリンパ球が既にメモ リーをもっている
ので追加接種が必要でないとい う説 もあ ります.どなた
か ござい ますか.ど うぞ.
吉谷
我々も,l
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rに 対す る対策には,
だ と思われ ます .
司会
接種量が足 らなか ったんだとい う考え方なんで
すね .
青谷
そ うですね .母児間感染予防については,ここ
1年 位 は ワクチ ンの供給が ,思 うようにいかない状態で ,
何回 も接種す るわけにはいかなか ったのですけれ ども,
非常に頑を痛めてい るところです .l
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rに
44例 中 2例 が 4回 の ワクチン接種で も反応 して来ない,
対す る異体的な対策 と して ,ワクチ ン投与回数を増やす
か ,あるいは,1回 投 与量 を増やす ことによ り,ある程
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rで あ りま した .
司会 どなたか他に ござい ませんか .大事な根本的な
度 は反応は して くれ ると思 うのですけれども,先生の方
問題だと思 うのですが .ないよ うで した ら今度は合成 ワ
はどのよ うに考えてい らっしゃるので しょうか .
吉川 nor
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sponder とい うのは ,3[
司接種 して も抗
体反応のない人を便宜的に nor
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r とい って い
ますが,それは本当の意味での nor
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ponder ではな
クチ ンについて ,生化学的にみて本当に可能性があるの
か どうかとい うことを,青柳先生にお願い したい と思い
ます .
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