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防府/防災ネットワーク推進会議 概要(PDF)

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防府/防災ネットワーク推進会議 概要(PDF)
防府/防災ネットワーク推進会議 概要
防府編
防府市の特徴
山口県内を震源地として、 1997年と2001年に M6.6、M6.7の地震が起きたが実害はなかった。防府市の海
岸部は埋め立て地であり、液状化が起きる可能性が高いと警戒されているものの、今まで地震被害を体験
している住民はほとんどいないのが現状である。また、防府市内を流れる佐波川では、昭和26年、昭和47
年の大規模な河川災害を経験したが、その後大きな河川災害が発生しておらず、地域住民の間には「佐
波川は安全な川」という認識が広がり、市民の間には「安全神話」が根付きつつあった。
佐波川の洪水の歴史
徳地町堀・堀島地川鉄橋付近(昭和26年)
防府市和字付近(昭和47年)
地域の安全神話と防災力の低下
近年、地球温暖化による気候変動の影響と思われる想定を超える雨量を記録する集中豪雨が相次ぎ、
各地で洪水被害が頻発している状況にあった。佐波川を管理する国土交通省では、佐波川は築堤事業
など水害対策の整備は未だ完了していない状況にあり、堤防強化などのハード整備だけでなく、安全性
について住民とともに避難方法などのソフト対策を考える必要があると考えていた。そのため、地域住民
住民とともに避難方法などの
ト対策を考える必要があると考えていた そのため 地域住民
とともに佐波川の防災について考える説明会や防災専門家などを呼んでのシンポジウムを開催したが、
「安全神話」が染みわたった地域住民たちの反応はいまひとつ芳しくなく、知識として理解出来ても、避難
などの実行動へと結びついていかなかった。
官民学の協働による防災菌の増殖
2005年1月、官民学がメンバーとして参加する「防府・防災ネットワーク推進会議」による初めての官民学
協働で防災訓練を実施した。以来、毎年防災訓練を実施し、年々参加者も増えている。前年の防災訓練
によって浮かびあがった課題を解決するためにさらに充実した訓練が実施されているのだ。防府市では
こうした防災意識の高まりを「防災菌の感染」と呼び、今も「防災菌」は増殖中である。防災訓練への参加
によって新たな「防災菌」が増殖し、行政や住民が参加する実働型防災訓練が継続して実施されている。
佐波川流域防災訓練 IN 小野地区 (2008)
会場(対策本部/避難所など)
土のう作り体験
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避難所運営訓練(給食)
活動の経緯
防府市で防災活動を行っている「防府/防災ネットワーク推進会議」は、2004年に防災訓練を行う実行委員
会として発足してから、行政と大学、市民団体が協働して、防災活動に取り組む市民団体として、継続的に
市民の防災意識を向上させる活動を行っている。
活動歴
2004年
発足
「防災」と「まちづく
り」の合体
2005年
防災ツールを使っ
て
防災学習
2006年
行政・学・民の協働
で
防災の実動訓練
2007年
シナリオ無しの
防災実動訓練
発災直後、どこに
逃げるのか?
2008年
防災活動の核となる
人づくりの輪が広がり
防災への課題を抽出
し解決策を模索中
2004年は日本に台風が10回も上陸し、中越地震も起きて、
全国的に防災意識が高まった年であった。防府ではまちづ
くりの市民団体が連携して防災訓練を開催することになっ
た。行政・大学・市民団体が協働する実行委員会が組織さ
れ、中心母体として「防府/防災ネットワーク推進会議」を
結成
結成。
1月、官民学の協働による初の実働型防災訓練を実施。
以後、市民団体をネットワークして、官民学の協働による
防災シンポジウムや防災学習イベントを開催。地域の自然
を学びながら子どもや大人がともにT-DIG(災害図上訓練)
を使って、楽しく防災意識を高めていく。
佐波川中流域で、土砂災害への実働型防災訓練を実施。
避難所運営訓練、災害時要援護者の避難・救助活動、
行政(国、県、市)同士の情報伝達訓練。その他,T-DIG(災
害図上訓練)を使って、流域各地の住民達に地域の危険
性に気づかせ 防災意識を高める防災学習を開催した
性に気づかせ、防災意識を高める防災学習を開催した。
佐波川下流域(防府市内の商店街)で、市民・行政・学の
協働による実働型防災訓練を実施。主目的は「避難場所
はここ!」という想定シナリオを作成せず、破堤したら、参
加者自身がどこへ逃げるか考え、実際に避難する。シナリ
オのない訓練を通して、災害発生直後のイメージづくりと直
後の対応を個々が検討・検証する。避難者の予想外の動
きを見て、今後の防災対策、避難計画、地元の自主防災
組織を見直し、ゼロから組織し直すという防災訓練。
佐波川中流域での行政・学・市民協働による防災訓練。
過去の防災訓練と図上防災訓練を使ったワークショップに
よって防災意識が高まっている住民達が多数参加した。
T-DIGを使って、2度のワークショップを開催。図上で想定
した避難路や場所を確認して修正するなど、図上訓練での
結果を実際に動いて実証。地域住民の中から防災の核と
なるメンバ が浮かびあが て来た 彼らが新たな地域の
なるメンバーが浮かびあがって来た。彼らが新たな地域の
防災への課題を抽出し、解決策へと行動を始めている。
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1.タイミング(きっかけづくり)
防府編
2004年は台風が日本に10個上陸し、水害が多発したうえに前線による集中豪雨で各地の堤防が決壊す
るなど、洪水への防災が高まった年であった。また、その年の秋には新潟県中越地震が起きて、全国に
大きな衝撃が走った。山口県でも防災への機運が高まり、防府市では市内を流れる佐波川の破堤を想定
して 防災訓練を行うことになった この防災訓練は 当初 行政主導の防災訓練の予定であったが 佐
して、防災訓練を行うことになった。この防災訓練は、当初、行政主導の防災訓練の予定であったが、佐
波川を舞台に市民活動を行っているグループや地域の活性化に取り組むなど、まちづくりの市民団体が
連携して、行政と協働で開催することになった。これが防災とまちづくりが合体するきっかけであり、地域
の人材や防災施設など、地域のリソースを活用する絶好のタイミングになった。
防府 災 事情
防府の災い事情
市内を流れる佐波川は、昭和26年に大水害を起こした暴れ川であったが、昭和47年に洪水被害を起こし
て以来、水害がなく母なる恵の川として市民に愛され、たくさんのグループが市民活動の場としていた。
2004年、各地で被害をもたらした大水害をきっかけに、河川管理者である国土交通省は佐波川の安全性
について知ってもらい、共に被害を少なくすることを目的に防災訓練を実施することにした。
佐波川
防災活動母体の誕生
佐波川を活動の場にして、川の特性をよく知るNPOなどの市民団体に働きかけ、防災訓練の実行委員会
を立ち上げた。官民学が参加して協働を行う「防府/防災ネットワーク推進会議」である。この市民団体
が結成されたことをきっかけに、防府市では、防災活動が継続して行われるようになった。
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防府編
2.コンビネーション(共同作業)
防府市内にはNPO法人など市民団体が参加する「市民活動支援センター」が組織されている。そこに登
録している市民活動グループがネットワークを組み、連携して防災訓練を行うことになった。行政の防災
担当者や河川管理者、大学から防災専門家なども、その実行委員会に参加し、官・学・民が所属する防
府/防災ネットワーク推進会議が発足した
府/防災ネットワ
ク推進会議が発足した。
行政・教育機関(学)・市民団体がコンビネーションを組む防災活動組織は、防災訓練後、山口大学の瀧
本浩一准教授が議長、防府市役所の中谷剛士氏が副議長、民間企業に勤務し川づくりなどの市民活動
を行う山崎隆弘氏が事務局長に就任した。以来、会員32名で「学・官・民」協働による防災活動を行って
いる。
「防府/防災ネットワーク推進会議」組織図
活動のコンセプトは、自然災害に対して、民・官・学が協働して “どう備えるか?” である。地域で行う
防災訓練の実施がゴールではなく、継続的に防災意識を高め、災害に強い地域づくりをめざしている。
そのためには・・・
○山口県防府市で発生する可能性のある「災」(地震、津波、台風、高潮、洪水、浸水、土砂崩れ等)
にどう備えるのかを学(山口大学)に学び、小学校や中学校で防災教育を行う。
○地域の市民活動グループや住民との緊密なコミュニケーションとネットワーク化によって住民ひとり
ひとりの防災意識を向上させる。防災とまちづくり活動の合体。
○官(国、県、市)が管理する防災資源や施設、人的パワーを活用する。
など、官・民・学の連携と協働が欠かせないと考えている。
まちづくり系市民活動団体
時空の樹会(トキノキカイ)」
地域づくり系市民活動団体
NPO法人
市民活動さぽーとねっと
河川環境系市民活動団体
小野水辺の楽校
空間利用を考える会
水の自遊人しんすいせんた
い アカザ隊
福祉系市民活動団体
防府市聴覚障害者災害対
策協議会
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3.リソース(地域資源)
防府編
地域資源の活用として、防府では地域の自然と、人材の発掘と育成がある。「暴れ川」と呼ばれていた佐
波川で多くの人々が市民活動を行っていた。佐波川流域を舞台に子どもたちに自然教育を行い、川辺に
整備されたサイクルロードを使って、大人も子どももサイクリングを楽しみ、同時に地域の歴史を学ぶなど
の市民活動である こうした地域の資源である川の自然や歴史を知る“まちづくり”市民活動グループが
の市民活動である。こうした地域の資源である川の自然や歴史を知る
まちづくり 市民活動グル プが
連携し、防災に取り組む組織「防府/防災ネットワーク推進会議」が発足した。その活動の中で、防災組
織の中核になる人材が発掘され、継続的な防災活動を展開している。
地域資源の活用
防府市内を流れる佐波川は、近年大きな災害がなく、「母なる川」として、防府市民に愛されてきた。いくつ
もの市民団体が連携して、河川管理者である国と佐波川の自然や「水辺の楽校」などの施設を活用して、
官民協働でさまざまな活動を行い、川づくりによる地域の活性化に取り組んできた。
防災の人的資源の育成
防府/防災ネットワーク推進会議は、市内各地で川づくり・まちづくり活動の市民グループと連携しながら
ネットワーク化して、地域の大人や小学生への防災学習や自然学習などの活動を行った。
市民活動グループ連携
『体験活動型環境学習』
華城小学校防災学習「図上防災訓練」
華城小学校防災学習
「浸水棒でどこまで浸かるかナ」
水中昆虫調査
華城小学校の防災学習を指導
華城小学校における防災学習からはじまり、地域の幼稚園児から高校生20人が参加する防災活動グ
ループ「水の自遊人しんすいせんたいアカザ隊」を結成。2007年、8年と連続して「ぼうさい甲子園」に出
場、大賞(小学生部門)を受賞している。
川沿いに整備されたサイクリングロードを走り、地域の歴史や地理などの理解を深めたり、地域の「あぶ
ないところMAPづくり」などの防災学習会を通じて、地域防災の中心となる人材を発掘している。
サイクルツアー推進モデル事業
「自転車を使った地域活性化」
地域防災学習
「あぶないところMAPづくり」
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4.ツール(物、道具、方法論)
防府編
地域資源を活用して、防災組織の人材発掘と育成に使われているのが防災学習ツールのT-DIG。 山口
大学の瀧本浩一准教授が開発した地域防災図上訓練ツールである。防府/防災ネットワーク推進会議
では、「ちゃぶ台からの防災文化」をいうキャッチフレーズのもと、このツールを使って住民たちが地域の災
害をシミ レ ションし 防災意識を向上させ 継続的に防災訓練を行 ている
害をシミュレーションし、防災意識を向上させ、継続的に防災訓練を行っている。
この防災ツールの特徴は、大人も子どもも、時には行政の防災担当者も、同じテーブルに着き、対等に防
災について話し合い、互いに防災への知識やモチベーションを高められることにある。地域の人と人のつ
ながりをもたらす接着剤の効果があり、継続して防災意識を向上させることが出来るのだ。防府では、こ
の現象を防災菌の増殖と呼んでいる。
T-DIGの使い方
T-DIGは、参加者が地図を囲み、書き込みを行いながら、楽しく論議することで、わがまちに起こりうる災
害像をより具体的にイメージすることができる防災教育の一つの手法。
さらに、このT-DIGを通して参加者同士の距離が近づき、まちづくりをする上での重要な人と人とのつなが
りも育まれる しかし T DIGは1回行えばよいというものでもない 最初のステ プとして 基本的
りも育まれる。しかし、T-DIGは1回行えばよいというものでもない。最初のステップとして、基本的なマップ
づくりからはじめ、地域の課題を徐々に見つけて、より具体的な災害対応へと話を深めていき、指揮所訓
練、発災型防災訓練へと発展させていくことができる。
T-DIG(地域防災図上訓練)の使い方
■課題抽出編
T-DIG(地域防災図上訓練)について、進め方、目的などを解説。
1.小野地区佐波川右岸(Rテーブル)左岸(Lテーブル)
に分かれる。
【小野地区全体の地図4m】→【佐波川浸水域マップ】を使用。
作業1.自宅から学校までの道順を透明シート№1に黒色で記入。
作業2.地元参加者(大人)の自宅にポイントシール(白)を貼り
付けてサインを記入。
作業3.透明シート№1を壁際に移動させる。
作業4.透明 ート№2をAテ
作業4.透明シ
№2をA ーブルに設置し
設置 コーナーマーキング
をして、瀧本先生の指示に従い道路や河川、公的な施設
などをマーカーで塗り込んでいく。
2.Rテーブル(①②班)Lテーブル(③④班)に分かれる。(子ど
も達8名+大人6 名+スタッフ2名構成)
【奈美地区・小野小学校周辺の地図】
→【土砂災害危険箇所マップ】を使用。
作業5.透明シートⅡ№1を奈美地区の地図上に貼り付ける。
(道路・河川を記入)指示にて捲る。
作業6 透明 ートⅡ№2を奈美地区の地図上に貼り付ける。(公
作業6.透明シ
Ⅱ№2を奈美地区の地図上に貼り付ける (公
的施設、避難場所等をポイントシールで貼付)
作業7.透明シートⅡ№3を奈美地区の地図上に貼り付ける。(浸水
域, 土砂災害危険箇所をマーキング)
3.子どもたちから自分たちの地域の強い所と弱い所の印象、どう行
動するかなどについて聞き取り。
地域の方々から「災害にどう対応」「何をしなくてはいけないか」
意見交換を行う。
T-DIGに関しては、瀧本浩一准教授のホームページを参照。
http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~takimoto/t-dig/t-dig.html
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防府/防災ネットワーク推進会議 実践への方法論
防府編
~防災まちづくり実践へのステップアップ~
防府市で行われている防災活動は官民学の協働で実践されて、民
間の母体はまちづくりのグループであることが大きな特徴である。
「防府//防災ネットワーク推進会議」の議長を務める瀧本浩一山口
大学大学院准教授に防災まちづくりの方法論について聞いた。
瀧本浩一(山口大学准教授)
①防災は幽霊探しから始まる どんな幽霊がいるのか見つけ出そう!
①防災は幽霊探しから始まる。どんな幽霊がいるのか見つけ出そう!
防災とは何か?それは普段は見えない地域の幽霊(ハ
ザード:災害)を見つけ、それが姿をあらすときに備えて何
らかの手立て(防災対活動)を見出すことである。
例えば、そこで暮らす人々が「ここで洪水が起きて破堤した
ら、我が街はどうなるのか?」を考える。「(幽霊が出たら)
どうなるのか?」がわかれば、次に「どうすればよいの
か?」を考え、「前もって、やっておくべきことはないのか?」
を考えることができる。また、幽霊が何かに憑依することで
実体を得て、行動するのと同様に取り憑く先(地域)によっ
て その実体(災害の様相と防災活動)は異なる。
て、その実体(災害の様相と防災活動)は異なる。
②防災ツールで幽霊を見つけ、防災菌を増そう!
災害が「幽霊」のように見えない中、「防災」への関心を高めるために「ちゃぶ台から生まれる防災文化」
をキャッチフレーズに、防災図上訓練教材「T-DIG」をツールに「防災菌」を増殖させている。テーブルの
上に地域の地図を広げ、その上に過去の災害の事例、川や山などの街のつくり、道路や線路、建物など
の施設を色分けして重ねていき、大人も子どもも、みんなが一緒に参加して自分たちが住む街にはどん
な特性の幽霊(防災・災害)が潜み、どんな危険があるのか、住民同士、行政も対等に参加して話し合い、
意見交換をするのである。
このようにして防災への
関心、魅力にとりつかれ
た防災菌保菌者は そ
た防災菌保菌者は、そ
気づき
施設 設備 人
施設、設備、人
のはった根(人脈)を通
街のつくり
じ、あるいは地域や企
業の会合で胞子を飛ば
して、菌(防災意識)を
旧地形
増殖させようとする傾向
にある。これを「防災菌
地図
増殖中」というキャッチフ
レーズで表現している。
T-DIG(地域防災図上訓練)
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③「防災菌」を発酵させる杜氏(リーダー)を発掘
「地域防災は地酒造りに似ている」
日本各地には、その土地でしか造れない日本酒がある。その土地でしか造られない地酒づくりと同じよ
うに活発な防災活動を継続させるには、防災菌に感染して防災への備えが必要なことに気づいた人々
にその土地ならではの麹(地域の特徴、行事活動)を使って、巧みにかつ持続的に発酵を促し、よい酒
(防災活動)をつくり出す「杜氏」とも言える防災リーダーが必要になる。杜氏は地域外から連れてくるの
ではなく、その土地の歴史や地理、住民気質をよく知り、住民たちにも知られている人物をその土地に
住む人々の中から防災リーダーたちが自然に浮かび上がるよう、活動の場とチャンスを与えることが重
要であり、T-DIGはそのためのツールとしても機能している。つまり、リーダーはつくるものではなく、地
域の組織や自治会などに潜在している中から発掘するのである。
防府市の防災リーダーたち
④防災力の前提となる地域づくりは 綿菓子づくり」と同じである
④防災力の前提となる地域づくりは「綿菓子づくり」と同じである
持続可能な防災活動創出は「綿菓子つくり」に似ている
地域力創出を綿菓子づくりに例えてみる。綿菓子機のドラムの部分が地域であり、その中心にザラメ(人
材)を投入して熱を加えると(人材育成という作業)、砂糖の綿がドラムの中に散っていく、そこに例えば
割り箸をさし入れると(防災活動やイベントを開催しようとすると)、そこに綿がからみついてくる(活動を
手伝い、支援しようとする人が集まる)。ほどよい加熱(公と学による人材育成支援)があると、立派な綿
菓子ができる。そして、その割り箸をもって温度を適温に保ちつつ地域の中を上手にかき回し、綿菓子を
作ることができるのが地域のリーダー(民)である。防府の防災活動はこうした形で支えられている。
官民学の協働による自助・共助・公助
広い範囲で同時多発的に発災する大災害のときには行政の防災・救助活動はすべてに及ばなくなり、
住民を救助する活動には限界が生じる。住民には自助、共助が求められる。そのときどうするのか?
「学」の防災理論に基づく「
「学」の防災理論に基づく「T-DIG」を使って、行政と住民が一緒になって知恵出しをして、そこで浮かび
」を使 て 行政と住民が 緒にな て知恵出しをして そこで浮かび
上がる課題をどう解決するか、行政と住民・市民、学が協働して実働型防災訓練を行うのである。
「備えあれば憂い無し」の前提となる「安きにありて危うきを思う」ことから始まるまちづくり
「備えあれば憂い無し」を実現させるためには、「安きにありて危うきを思う」こと、すなわち見えないもの
を見ようとすることが大切であり、それによって初めて「思えばすなわち備えあり」のように備えが出てくる。
そして、日々の生活にあわせて、例えば炊き出し訓練は、毎年行うお祭りのときの炊き出し等で身につく
ものであり、日頃の活発な地域活動がそのまま災害に強い地域づくりへとつながっているといえる。
安きに居りて危きを思う 思えばすなわち備えあり 備えあれば患い無し
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