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第 52 回 国立研究開発法人理化学研究所横浜事業所研究倫理委員会

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第 52 回 国立研究開発法人理化学研究所横浜事業所研究倫理委員会
第 52 回 国立研究開発法人理化学研究所横浜事業所研究倫理委員会 議事録
日
時:平成 27 年 6 月 8 日(月)10:00~12:00
場
所:国立研究開発法人理化学研究所東京連絡事務所 会議室
出席委員: 北川 昌伸
東京医科歯科大学大学院
教授(委員長)
井川 陽次郎 読売新聞東京本社論説委員会
論説委員
佐谷 秀行
慶應義塾大学医学部先端医科学研究所
教授
田村 京子
帝京平成大学薬学部薬学科
教授
神里 彩子
東京大学医科学研究所倫理支援室
特任准教授
野村 茂樹
奧野総合法律事務所
辯護士
莚田 泰誠
理化学研究所 統合生命医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ グループディレクター
鈴木 治和
理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター
機能性ゲノム解析部門オミックス応用技術研究グループ
グループディレクター
大野 博司
理化学研究所 統合生命医科学研究センター
粘膜システム研究グループ グループディレクター
立会い : 鈴木 貴
理化学研究所横浜事業所
所長
事務局 : 吉識 肇
理化学研究所横浜事業所安全管理室
室長
髙松 正博
理化学研究所横浜事業所安全管理室
日高 裕子
理化学研究所横浜事業所安全管理室
岩佐 幸美
理化学研究所横浜事業所安全管理室
青島 達之
理化学研究所本部安全管理室
副主幹
1.報告事項
・臨床研究の進捗状況
・
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改正に係る利益相反について
2.審査事項(研究計画 新規 6 件、変更 4 件)
【H17-32(25)】
「アトピー性皮膚炎病態関連遺伝子の解明」
統合生命医科学研究センター
呼吸器・アレルギー疾患研究チーム
チームリーダー 玉利真由美
【H18-22(12)】
「食物アレルギーの病態関連遺伝子の解明」
統合生命医科学研究センター
呼吸器・アレルギー疾患研究チーム
チームリーダー 玉利真由美
【H25-13(5)】
「グルパール 19S (旧茶のしずく抗原) によるアレルギー反応に関連する遺
伝子マーカーの探索」
統合生命医科学研究センター
呼吸器・アレルギー疾患研究チーム
チームリーダー 玉利真由美
【H17-27(20)】
「気管支喘息の病態関連遺伝子の解明」
統合生命医科学研究センター
呼吸器・アレルギー疾患研究チーム
チームリーダー 玉利真由美
【H27-3】
「核酸検出前処理法の開発研究」
社会知創成事業
予防医療・診断技術開発プログラム
プログラムディレクター 林崎良英
【H27-4】
「新規リガンドを用いた NKT 細胞標的がん治療」
統合生命医科学研究センター
免疫制御戦略研究グループ
グループディレクター 谷口克
【H27-5】
「患者検体を用いた自己免疫性皮膚疾患発症機序の解明」
統合生命医科学研究センター
統合ゲノミクス研究グループ
グループディレクター 小原收
1
【H27-6】
「膠芽腫治療薬の開発」
ライフサイエンス技術基盤研究センター
構造・合成生物学部門
創薬タンパク質解析基盤ユニット
上級研究員 田仲昭子
【H27-7】
「禁煙に関連するニコチン代謝遺伝子の DNA シークエンス解析」
統合生命医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ
グループディレクター 莚田泰誠
【H27-8】
「小児炎症性・先天性腸疾患における糞便移植」
統合生命医科学研究センター
消化管恒常性研究チーム
チームリーダー 本田賢也
3.報告事項
・
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改正に係る規程改正について
4.審議事項
・
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改正に係る申請様式の変更について
・
「横浜事業所研究倫理委員会運営規則」改正について
5.報告事項
・迅速審査結果、研究実施場所の追加・削除、所属変更に伴う変更
2
開会に先立ち、理化学研究所横浜事業所 安全管理室 事務局より挨拶があった。
1.報告事項
・ 臨床研究の進捗状況
(報告者入室)
北川委員長:久保先生、よろしくお願い致します。
久保副センター長:それでは、我々がやっている臨床研究について効果安全評価委員会か
ら報告が上がってきましたのでご報告します。
資料「1.報告 臨床研究の進捗状況」をご覧下さい。
1 ページのカルバマゼピンの薬疹に関する臨床研究の継続については、効
果安全評価委員会からの見解は「可」となっております。2 名の委員からは特
にコメントはなく、1 名の委員からテグレトール増量後に皮疹の出現があるの
で、副作用に関して周知徹底し、必要な受診を早期に行うことをお勧めします
と書かれております。
2 ページのワルファリンも臨床研究の継続は「可」となっております。3 名
の委員からは特に大きなコメントは頂いておりません。
この 2 つの臨床研究ですが、カルバマゼピンのほうが昨年 11 月に目標症例
数の 1200 例を登録して研究が完了しております。ワルファリンも昨年 8 月の
時点で 220 名ぐらい登録をして、こちらも研究を完了しております。ですの
で、今回の効果安全評価委員会のご報告が最終報告となります。
続いてその詳細ですが 3 ページをご覧下さい。カルバマゼピンの薬疹ですが、
左にあるシーケンシャルナンバー14 番、16 番及び 25 番の 3 名の方が薬疹を
発症しておられます。この 3 名について先程の効果安全評価委員会からコメン
トを頂いています。いずれも早期に治療がなされて、治療のための入院、また
入院期間の延長がありましたが、3 例とも回復しておられます。
またカルバマゼピンのこの研究では別に 11 番、12 番、15 番、23 番の4例
の方が亡くなられています。この 4 例の方ですが、11 番の方は肺癌を持って
いらして、その肺癌による死亡。12 番の方は急性心不全を起こされて亡くな
っておられますが、カルバマゼピン治療薬との関係はないとコメントを頂いて
おります。15 番の方はゼロ歳の方で、インフルエンザ肺炎で亡くなられまし
た。23 番の方は脳挫傷を起こされて亡くなられた方で、いずれも本研究との
因果関係はないとコメントを頂いております。
4 ページのワルファリンでは有害事象の報告が 3 件でした。そのうち 13 番、
14 番が本研究との因果関係がある症例で、実はこの登録 ID を見て頂くとわか
りますが同じ方です。この方は昨年の夏にお昼にお酒を飲まれた後に転倒され
て、外傷性の挫傷性の脳出血を 1 回起こされています。この 1 回目の脳挫傷
の時にはワルファリンを中止されて、ビタミン K を入れて回復して一度退院
3
されています。
この方が 11 月の時点でまたお昼にお酒を飲まれて、階段で転んだらしいの
ですが、夕方に病院に運ばれた際には頭蓋骨の広範な骨折があって、同じよう
な外傷性の脳挫傷で、同様にビタミン K の治療とかをされておられますが、
急速に悪化されて除脳硬直を起こされて亡くなられたという転帰をとってお
ります。
13 番目の時に同じような経過で一度治っておられて、ワルファリンですの
で研究との因果関係ありで、その時は軽快して退院ということですが、14 番
の時は広範な頭蓋骨の骨折と肺挫傷とかもあって、結局ワルファリンによるも
のなのか、転倒の影響のほうが大きいのか、いずれとも判別は付かないという
ことで主治医の報告からは因果関係は不明とご報告を頂いております。
北川委員長:ありがとうございました。委員の先生から何かご質問、ご付議等がございま
したらお願いします。
テグレトールの皮疹は、これまでも副作用として挙げられているような症状
ですね。
久保副センター長:そうです。色々なタイプの皮疹は起こしておられるようですが、いず
れも皮膚科を受診されて薬疹だという判断のもとに薬を中止されたという経
過をたどっております。
北川委員長:ワルファリンのほうですが、これは挫傷の後、出血が止まりにくかったとい
うようなことが因果関係ということでしょうか。
久保副センター長:多分 13 番の場合は、脳挫傷を起こされて出血の範囲がやや広かった
ということで、因果関係ありとご判断を頂いていると思います。
14 番の場合は頭蓋骨骨折や肺挫傷など、外傷性の影響がかなり大きいので
そちらが原因で亡くなられたのか、ワルファリンを飲んでいたことが原因なの
か、そこは判別が非常に付きづらいと臨床の担当の先生も仰られました。そこ
で不明という結果にはなっております。
ただし、ワルファリンを飲んでいなければこの方が生きておられたかどうか、
そこも判別が付かないということで「なし」とも「ある」とも言いづらいとい
うことで、担当医の先生からコメントを頂きましたので、こういう結論にさせ
て頂いております。
北川委員長:特にご家族というかご遺族の方とのトラブルはない。
久保副センター長:この 14 番のケースはございません。数カ月前に同じような転帰を 1
回とっていらっしゃいます。テニスに行ってお酒を飲んで転んだと、2 回とも
同じような経過をとっていらして、ご家族の方とも全くこの件はトラブルなし
と病院の先生に確認させて頂いております。
北川委員長:ありがとうございます。そのほか何かご質問はありますか。
4
井川委員:その脳挫傷と肺挫傷の転倒というのは一体どのように聞いていますか。
久保副センター長:正確に言うと、朝出かけて行って午前中テニスをやって、家に帰って
来るところだった。全然帰って来ないのでご家族の方が家の前の階段のところ
を見たら、階段から(落ちて)仰向けに転んでいる状態で発見されたという状
況です。
井川委員:階段から。
久保副センター長:階段からです。2 回ともそうです。1 回目の時は音がして気が付いて、
ご家族が下におりていったら倒れていたということらしいのですが、2 回目の
時は帰ってこないのでおかしいと思って外に出てみたら、階段の下で仰向けに
なって意識がなかったという状況のようです。
井川委員:1 点だけ確認です。ご家族が何も仰っていないということですが、ご家族はワ
ルファリンの臨床研究に参加されていることはご承知ですか。
久保副センター長:そうです。
北川委員長:そのほかに何かご質問等ございますか。よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。
久保副センター長:ありがとうございました。
(報告者退室)
・「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改正に係る利益相反について北川委員
長:それでは、引き続き報告事項 2 の利益相反について事務局からお願いします。
事務局:利益相反の説明について説明致します。
右肩に 1.報告「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改正に係る利益相反につ
いてという資料です。
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が 4 月に施行されましたが、
利益相反に関する管理について新たに項目が追加されております。これに対応す
る理化学研究所の利益相反管理の方針が決定されましたのでご報告します。
これまで理化学研究所では、利益相反状況の可能性があるという場合には、自
己申告で利益相反委員会にその報告書を提出しておりましたが、人を対象とする
研究をする研究実施者についてはすべて自己申告を行うことを決定しました。
自己申告をした研究実施者には、個々に利益相反委員会が審査結果を通知しま
す。審査結果の通知を受けた個々の研究実施者は、研究実施責任者にそれを報告
する。その報告を受けた研究実施責任者が研究計画書に係る利益相反の状態、も
し利益相反状態にあるという場合にはどのようにすればマネジメントできると
いったようなことを記載頂くというような形でこの方針を決定しました。
各事業所の研究倫理委員会には、研究計画書の改訂部分に利益相反の記載事項
の内容をご確認頂いて、研究倫理委員会の中で疑義が生じれば、利益相反委員会
5
に該当する資料を求めることができるといったような方針です。
2 ページ以降については、ガイダンスでどのようなことが求められているかが
記載されております。左上に教育・研修が記載されておりますが、利益相反に関
する教育に関しては、理研では平成 27 年度中に e-learning を作成して、研究実
施者には e-learning を受講させる予定にしております。
3 ページには研究計画書に研究実施責任者が記載する事項が具体的に記載され
ています。先程説明したとおり、4 ページに太文字で「→理研では」というとこ
ろで先程の e-learning を記載しております。
5 ページには倫理審査委員会の役割・責務等とガイダンスの抜粋をしておりま
すが、一番下に利益相反委員会と倫理審査委員会で疑義が生じれば、利益相反委
員会に倫理審査委員会は資料を求めることができるとしております。
6 ページ、7 ページはインフォームド・コンセントですが、もし利益相反状況
にあるといった場合には、インフォームド・コンセントについてもその内容を記
載しなければならないとガイダンスで求められております。この倫理委員会でも
もし利益相反の項目を見た時に、利益相反状態にあるという場合にはインフォー
ムド・コンセントの確認が必要になります。利益相反に関する方針については以
上です。
北川委員長:ありがとうございました。委員の先生方から何かご質問等ございますか。
e-learning というのは受講したことをご本人が申告するだけですか。受講番号
とか受講証とかそういうのはないですか。
事務局:ID でチェックをかける予定にしております。
北川委員長:チェック機構はあるんですね。ありがとうございます。
井川委員:これは厚労省が決めた時もよくわからなかったのですが、この利益相反委員会
と倫理審査委員会の判断の食い違いとかそういうことが起きた時は、誰がどうす
るのでしょうか。というのは、その利益相反委員会の仕組みがよくわからないの
ですが、利益相反委員会は恐らく相当多数のものを審査しておられて、恐らく形
式的に判断基準を設けて判断されているケースが多くて、その場合、そちらでは
基準上は何の問題もないという判断になったとして、こちらとして見ていて何か
倫理的にはいかがなものか。あるいは、倫理はあまり基準があってなきが如しの
ところがあります。こういう研究をするといいのかもしれないけれども、世間か
ら疑惑を招きかねないのでどうかというご意見があったような時は、なかなか判
断が難しい時があると思います。そういうのはどう整理しているのか教えて頂け
ればありがたいです。
事務局:そのような場合にはこちらの委員会から利益相反委員会に意見を上げて、利益相
反委員会からまた回答があってというような形で折り合いをつけるというよう
なことです。
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井川委員:行ったり来たりということですね。
事務局:そうですね。少し時間がかかるかもしれません。利益相反委員会はやはり審査課
題も多くなっておりますので、1 カ月に 1 回程度開催するという話を聞いており
ます。
井川委員:やってみないとわからないというところですね。
事務局:そうです。
北川委員長:よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは、報告事項は以上です。2 番の審査事項に移ります。
2.審査事項
【H17-32(25)】
「アトピー性皮膚炎病態関連遺伝子の解明」
【H18-22(12)】
「食物アレルギーの病態関連遺伝子の解明」
【H25-13(5)】
「グルパール 19S (旧茶のしずく抗原) によるアレルギー反応に関連する遺
伝子マーカーの探索」
【H17-27(20)】
「気管支喘息の病態関連遺伝子の解明」
統合生命医科学研究センター
呼吸器・アレルギー疾患研究チーム
チームリーダー 玉利真由美
(申請者入室)
北川委員長:まず初めに変更ですね。
【H17-32(25)】
「アトピー性皮膚炎病態関連遺伝子の
解明」【H18-22(12)】「食物アレルギーの病態関連遺伝子の解明」【H25-13(5)】
「グルパール 19S(旧茶のしずく抗原)によるアレルギー反応に関連する遺伝
子マーカーの探索」
【H17-27(20)】「気管支喘息の病態関連遺伝子の解明」のす
べてについて同じ研究者でいらっしゃいますので、まとめてご説明頂きたいと
思います。
先生、申し訳ないですが、お名前とご所属を教えて頂けますか。
玉利 TL:統合生命医科学研究センター呼吸器・アレルギー疾患研究チームの玉利と申し
ます。
北川委員長:玉利先生、それではご説明をよろしくお願い致します。
玉利 TL:よろしくお願い致します。
本日は 4 件の変更申請をさせて頂きました。前の 3 つは関連遺伝子の解明を
それぞれ進めてきましたが、関連遺伝子がある程度複数同定されてきておりま
すので、その機能解析を目的として理研で採血を行って、末梢血の機能解析を
行うことを申請させていただきました。
インフォームド・コンセントの説明用紙や同意書などは、既にアレルギー性
鼻炎と副鼻腔炎の関連遺伝子の解明などで、この委員会でご承認頂いておりま
7
す説明用紙・同意書をもとに作成させて頂きました。
1 つ目はその機能解析とそれに伴う個人情報の管理の更新、共同研究機関の
情報更新です。
2 つ目の食物アレルギーも機能解析として理研で採血を行うことが主な変更
点であり、その他共同研究機関の更新も少々行っております。
3 つ目のグルパール 19S のアレルギー反応についても、機能解析を目的とし
た理研での採血が主たる変更点になります。それに伴う個人情報、ヒト由来情
報管理の更新、部屋の削除、共同研究機関の情報更新を同時に変更申請させて
頂いております。
4 つ目の気管支喘息の病態関連遺伝子の解明ですが、これについては共同研
究機関の情報更新、共同研究機関での研究方法の追加が主たる変更点になりま
す。
既に承認されている国立病院機構相模原病院において、本年度から国立病院
機構全体で NSAIDs、アスピリン喘息といわれている病態についての研究を目
的として、相模原病院が試料採取機関として、その国立病院機構の複数の病院
から試料を収集して下さるということで、それの遺伝子解析を理研で担当させ
て頂きたいということで変更申請をさせて頂きました。
それに伴い試料の追加、一度承認されていた理研の同意説明文書に研究資金
また廃棄の方法など記載されていませんでしたので、少々追記させて頂いてお
ります。以上、4 課題です。
北川委員長:ありがとうございました。委員の先生方からご質問等ございますか。
野村委員:最初の 3 つですが、これは理研での血液採取は新鮮な血液サンプルが必要で、
それはどうしてかというと血球とか血清を使った機能解析がしたいということ
ですね。
玉利 TL:少量の細胞からの機能解析で見つかります。
野村委員:当初申請した時はそういう機能解析はする予定ではない形で出ていたという理
解でよろしいですか。
玉利 TL:市販の細胞などを使って機能解析を行うということで申請させて頂いていまし
た。
野村委員:ただ、色々進んだ結果、そういう機能解析をもっと進めたいということでこう
いう変更申請になったということですね。
玉利 TL:はい、そうです。
野村委員:あともう一つ、4 番目のオックスフォード大学が抜けた理由はどういうことで
すか。
玉利 TL:当初は共同研究をやる予定でしたが、当初から実績がないということで外させ
て頂きました。
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北川委員長:よろしいですか。そのほかはいかがでしょうか。
神里委員:今回健常人を加えるということですが、健常人の定義などがされていません。
今回はアトピー性だとか食物アレルギーを持っている人はそれなりに多いかと
思いますが、一定程度何か問診をするなどして、除外基準を設けなくても大丈
夫なものなのでしょうか。
玉利 TL:そうですね。理研ではなかなか検査もできないですので、やはり問診でなるべ
く健常者ということでやりたいと思っております。
神里委員:そうなると多分説明文書のところで、例えば問診をさせて頂くなら問診をさせ
て頂きますということを書くとか、あるいは食物アレルギーの診断が既に下っ
ている方に関しては、今回は入りませんというようなことなど、何か限定を作
って頂いたほうがいいかとは思います。
玉利 TL:はい。
神里委員:それとすごく細かいことですが、やはり理化学研究所の情報に古いところが幾
つかまだ残っているようです。例えば、カウンセリング体制なども現状とは恐
らく違う状況になった記載で、以前の中村祐輔先生がおられたころの形のまま
になっていると思います。多分これは古川先生がやって下さるかと思いますの
で、そこも変えて頂ければと思います。
玉利 TL:変更致します。
北川委員長:ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
鈴木委員:聞き漏らしかもしれないですが、1 から 3 番目は健常者の血液を採りますが、
この 1 つの課題のみならず、ほかの課題にも使うという意味ですか。
玉利 TL:いえ、もし例えばアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの研究で使うならば、2 枚、
1 つずつご説明して頂くことはあるかと思います。
鈴木委員:サンプルとしては区別して採取するということですか。
玉利 TL:何回も刺すのは非常に侵襲があると思いますので、例えば 2 つの課題で使いた
い場合は、2 つの説明書できちんとご説明して納得頂けましたら、1 つのサンプ
ルから 2 つの課題に使うことも考えております。
北川委員長:ありがとうございます。そのほかはよろしいですか。
それでは、一旦退室して頂いて少し議論させて頂きます。
(申請者側退室)
いかがでしょうか。幾つか変更していただいた形で条件つきの承認というこ
とでよろしいでしょうか。
(
「異議なし」の声あり)
では、そのような形でお呼び頂けますか。
(申請者側入室)
北川委員長:どうもありがとうございました。
9
それでは、問診をする内容についても説明文書に記載をして頂きたいという
こと。
それから、理研の情報が古いということですね。それも新しいものに変更し
て頂くようにするということで、条件付きの承認としたいと思います。よろし
くお願いします。どうもありがとうございました。
玉利 TL:失礼致します。
(申請者退室)
【H17-32(25)】
「アトピー性皮膚炎病態関連遺伝子の解明」
【H18-22(12)】
「食物アレルギーの病態関連遺伝子の解明」
【H25-13(5)】
「グルパール 19S (旧茶のしずく抗原) によるアレルギー反応に関連する遺
伝子マーカーの探索」
○条件付きで承認する
条件:
健常者を対象者とする際の除外基準を明確にし、その選定にあたり問診を行う旨を
同意説明文書に明記すること。
【H17-27(20)】
「気管支喘息の病態関連遺伝子の解明」
○条件付きで承認する
条件:
1.健常者を対象者とする際の除外基準を明確にし、その選定にあたり問診を行う旨を
同意説明文書に明記すること。
2.東京大学医科学研究所のカウンセリング体制について、情報の更新を行うこと。
統合生命医科学研究センター
呼吸器・アレルギー疾患研究チーム
チームリーダー 玉利真由美
【H27-3】「核酸検出前処理法の開発研究」
社会知創成事業
予防医療・診断技術開発プログラム
プログラムディレクター 林崎良英
北川委員長:続いて【H27-3】
「核酸検出前処理法の開発研究」のご説明を向後泰司先生に
お願いします。
(説明者入室)
北川委員長:先生、申し訳ありませんが、ご所属とお名前を教えて頂けますか。
向後マネージャー:私は向後泰司と申します。理研の社会知創成事業の予防医療・診断技
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術開発プログラムの薬事統括マネージャーをしております。
北川委員長:では、ご説明をよろしくお願い致します。
向後マネージャー:お手元の黄色い資料をご覧下さい。
我々が只今、倫理申請している課題が「核酸検出前処理法の開発研究」です。
背景として SmartAmp 法という等温増幅法に関してインフルエンザ研究でか
なりの成果が出ておりまして、それを水平展開する意味も込めて、臨床検体を
直接核酸検出試薬に資するその仕組みが非常に重要ということで、それを開発
するために臨床研究の申請をさせて頂いております。
臨床研究の概要は向かって左手が○●、右手が●●と◎●を対象にしており
ます。適切な同意取得をした後に臨床検体と症例報告書を連結可能匿名化のも
と、個人情報を得ない形で理研に頂き、~~~~~を研究開発して、核酸増幅
系での検証に至り、最終的には POCT 検査法などに必要な前処理法の開発を
行うというスキームです。非常に簡単ですが以上です。
北川委員長:どうもありがとうございました。委員の先生方からご質問等ございますか。
野村委員:これは知財等によって共同研究機関との間でもう契約は結んでおられるという
理解でよろしいですか。
向後マネージャー:一部においては結んでおります。向かって左手においては過去 3~4
年前に結んでいる契約がございまして、それをもとに知財などの権利に関して
は理研の基準に基づいて適切に契約を組ませて頂いています。向かって右手に
おいては今後倫理の承認を頂いた後に、先程ご説明したような理研の基準に基
づいた適切な契約を結ぶ予定です。
田村委員:○○医院とか○○大学とか出てくるのですが、これはどのような関係になるの
でしょうか。
向後マネージャー:先程申し上げた 3~4 年前に既に共同研究契約が組まれておりまして、
その流れというか、そのご縁で先方の先生から是非やりましょうという流れで
ご紹介頂いています。
田村委員:○○大学は……。
向後マネージャー:今回はそれにおきましては理研との○○協定に基づいてご紹介頂いて
いるという背景がございます。
田村委員:理研の書類の中に出てきていますかね。
向後マネージャー:その出てきているというのはどちらですか。一番後ろに共同研究機関
という形で明記させて頂いております。
田村委員:○○大学は出てきていますか。
向後マネージャー:○○大学は、今回は出てきておりません。
田村委員:そうですか。そうするとこの一番最後の○○病院の説明文書に出てくる○○大
学は関係ないのですか。
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向後マネージャー:指導・助言する形で参画頂く予定でおります。また、予定というか、
今後の研究の進捗にもよるのですが、上手く行き始めると多分 2 施設では足り
なくなりますので、ご高配頂けたらという趣旨もございます。
ただ、私は病院名を挙げない配慮をしています。やはりこういう研究という
のは企業がかなり関わっていることもあり、先方の先生方の秘密保持、守秘義
務の範囲という配慮もありまして、なるべく挙げないという状況もございます。
ですから、ここは倫理委員会の場なので○○医大と○○病院、○○病院に関し
ては○○大学とも関係がございますので、今後広げていけたらという予定もご
ざいます。
北川委員長:いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
田村委員:すみません。よく理解できない。名前を挙げない理由は企業との関わりですか。
向後マネージャー:我々はないのですが、先方の先生方は治験などをする病院もございま
すので、なるべく挙げない配慮をして頂きたいというご助言みたいなコメント
を頂いていますので、そこに関しても皆さんのご高配を頂けたらと思います。
実用研究においてはそういうところは非常にタッチーでして、企業がこういう
ところの議事録をもとに競合他社の情報などをとるというようなこともあり
ます。さらには知財にかかわることも記載されているようなこともありますの
で、そういうところは実用研究をやる我々の部隊においては、かなり神経質に
配慮させて頂いているのが実情です。
田村委員:議事録には載せないという形で書類上は書くことはできますか。
向後マネージャー:はい、できます。議事録で公開されない形で書くことはできます。
田村委員:公開を望まない項目という形にして頂いて、やはり理研の書類としては(書く
べき)
。
向後マネージャー:理研の書類には全部書かせて頂いております。
田村委員:○○大学は出てきましたか。
向後マネージャー:○○大学は共同研究機関としてまだ出てきていないのですが、○○病
院の共同研究機関としては書いてあるという状態です。理研とは直接まだ契約
も研究計画も真っ白な状態で、今後の研究の進捗に応じてもしかしたらという
状況です。
田村委員:そうすると変更申請を出されるということですか。
向後マネージャー:その度、迅速審査の共同研究機関の追加ということで、適切な倫理申
請をさせて頂く予定でおりますので、ご安心頂けたらと思います。
北川委員長:よろしいでしょうか。こういう処理法の開発という時に、臨床検体を使う必
要性というのはどうなのでしょうか。細胞を用いた実験ではだめなのでしょう
か。
向後マネージャー:昔、内閣府の緊急研究でインフルエンザの開発をした時に、非常に貴
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重な経験をさせて頂きました。やはり机上の論理で臨床検体を使わないでやる
ことは、論文はゴールにできるのですが、薬事承認とか医療現場で本当に活用
頂けるようなロバストなテクノロジーを作ろうとしますと、想定外の不純物や
阻害物質という同定が非常に重要となりますので、完璧に医療現場の患者様の
生命、財産に関わるような検査をする。最終的には体外診断用医薬品というこ
とになるかと思いますが、そのようなものを開発する場合は、当初から適切な
臨床検体を使うことが、遠回りのようであって近道であることを経験させて頂
いております。
井川委員:これは最終的に実用化されるというか、治験みたいなものは必要になるのです
か。
向後マネージャー:はい。私は薬事の経験や PMDA の出向の経験もあるのですが、それ
を踏まえて、少し難しい情報が入ってきてしまうのですが、検査試薬は体外診
断用医薬品といいます。それは治験という用語ではなく臨床性能試験という、
GCP 省令という法律から適用外で運用されるので治験ではないのですが、治
験に近い形でデータをとることが可能です。
井川委員:気になるのは、先程「企業様の」というのはもちろん重要でしょうけれども、
この性能について客観的なデータがないと、もし実用化された場合は非常に問
題が生じるケースも考えられることを踏まえると、今回はあくまで臨床研究の
前段階の試験である。実用化の時には先程のような企業様へのご配慮を除いて、
客観的にデータを集めるというシステムがないと、今回のデータを使い回すと
いう言い方は悪いのですが、そういう事態になるとすると責任重大となってし
まう。ですので、今回はあくまでも前段階の試験であって、実用化段階ではよ
り法律に従って、一定企業等に配慮がなく客観的なデータを取り得る形態でや
られるという担保はあるのですか。
向後マネージャー:ご指摘の点は非常に重要なことと考えております。我々は当初という
か、世の中の流れも変わってきておりますので、論文がゴールというよりは世
の中に還元される、本件ですと医療現場で使えるような技術をゴールに置きな
がら研究する、実用研究が非常に重要という認識でおります。その中で文科省
も含めて橋渡し研究、トランスレーショナルリサーチという考えをもとに企業
に利益相反などがないように、適切な配慮をもとに基礎研究の段階と臨床研究
の段階、トランスレーショナルリサーチの段階で、薬事に関係する段階という
のをそれぞれ踏まえて行っていくことが非常に大事だと考えております。
今回の件はご指摘のとおり、基礎の臨床研究という段階でして、まだ企業様
が出てくるような予定は一切ございません。
井川委員:しつこいようですが確認です。実用化に際しては再度これの有効性について、
試験研究についてシステムの設計からそのデータの確実性というか信頼性に
13
ついて、どこかでちゃんと審査の上、実用化されるという理解でよろしいです
か。
向後マネージャー:そうです。それに関してはレギュラトリーサイエンスの概念という言
葉が今叫ばれていますが、品質と有効性を担保しながら世のために役立つよう
な客観的なデータを担保するような形で申請させて頂いて、理研の名誉の為に
というか、国益に資する研究を頑張らせて頂けたらと思っております。
北川委員長:ありがとうございます。そのほかはよろしいでしょうか。
では、一旦退室して頂けますか。
(申請者側退室)
いかがでしょうか。
井川委員:臨床においては別途やると仰っているので……。
北川委員長:その時はまた別にもう一回審査するということですね。
田村委員:そうですね。何か追加申請だけでぱっと迅速で出てしまうと、何もわからない
まま行ってしまうことになる。
井川委員:ちょっと不安ですけれども、最終的な担保は多分これは2つあって、侵襲がな
い検体提供であること。それと実用化においてはまた別途ゼロからの試験をや
られるということの担保をとっているので、その前段階であるとするならば、
円滑に進めて頂くという観点からある程度資金については、配慮し得る可能性
があるのか。
北川委員長:基礎研究で見れば田村先生がご心配のようなことは、まだ今のところはない
ということでよろしいでしょうか。
田村委員:そうすると、議事録に念押しみたいな、それはあまり失礼ですかね。
井川委員:でも、議事録にはあって、伏せ字にしたほうがいいでしょうね。
鈴木委員:基礎研究ですよね。
井川委員:そうおっしゃっていたんです。
鈴木委員:人数が 150 名でちょっと多いような気もしますよね。
井川委員:データの使い回しはないとおっしゃっていましたので、そこは担保しているの
で、もしやった場合は虚偽の申告なのでこちらはどうしようもない。
鈴木委員:多めに数字を出しているのだろうとは思いますけれども、そこを念押ししてと
いう形が(良いかもしれません)
。
井川委員:そうでしょうね。こういう検査方法は恐らく病気の質から見て、迅速かつ信頼
性が高いという検査法が出るというのはいいことです。
莚田委員:説明文書には核酸検出前処理法の開発を行うと書いてありますので、これは臨
床における医学的有用性を検証する前の前の段階ですので、そこまでは念を押
さなくても大丈夫かなと思います。
井川委員:念を押すのはいいと思いますけれども。やるなといっているわけではないし、
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田村先生のご懸念もあるわけですから。
北川委員長:それでは、お呼び頂けますか。
(申請者側入室)
北川委員長:どうもありがとうございました。
只今議論した結果、今回の研究については基礎的なところを押さえるという
研究ですので、先程お話がありましたように、その先の応用の部分に進んでい
らっしゃる場合には、別途また倫理申請を出して頂いて、そこでまた検討した
いと思います。迅速審査で変更というような流れで行かないように、新規で出
して頂ければと思いますのでよろしくお願い致します。
向後マネージャー:ありがとうございます。
北川委員長:それと利益相反については、すべての課題について書類を提出して頂くこと
に変わりましたので、それについてもよろしくお願い致します。それが通って
から最終的な承認ということになりますのでよろしくお願い致します。どうも
ありがとうございました。
向後マネージャー:どうもありがとうございました。
(説明者退室)
【H27-3】「核酸検出前処理法の開発研究」
社会知創成事業
予防医療・診断技術開発プログラム
プログラムディレクター 林崎良英
○条件付きで承認する
条件:
利益相反に係る報告を確認した後、承認することとする。
なお、本研究が進展し実用化に向けた内容が加わる際には、別途新たに申請すること。
【H27-4】「新規リガンドを用いた NKT 細胞標的がん治療」
統合生命医科学研究センター
免疫制御戦略研究グループ
グループディレクター 谷口克
北川委員長:次は【H27-4】
「新規リガンドを用いた NKT 細胞標的がん治療」の説明を谷
口先生にお願い致します。
(申請者入室)
谷口 GD:よろしくお願い申し上げます。
北川委員長:申し訳ありませんが、お名前とご所属を教えて頂けますでしょうか。
谷口 GD:谷口克です。理化学研究所統合生命医科学研究センターのグループディレクタ
15
ーをしております。
北川委員長:どうもありがとうございます。それでは、課題についてご説明をよろしくお
願い致します。
谷口 GD:時間も限られておりますので、このパワーポイントの一枚紙を使ってご説明し
ます。
課題は「新規リガンドを用いた NKT 細胞標的がん治療」です。これは平成
27 年の AMED 橋渡し研究加速ネットワークプログラムのシーズBで、慶應大
学の TR 拠点のプログラムに今年から採択されています。
NKT 細胞を標的にした癌治療です。これはいわゆるアジュバント細胞といっ
て、直接癌を攻撃する細胞ではなくて、患者の中にいる癌に対する免疫細胞す
べてを活性化するキーの細胞となっています。
この細胞はすべての人に共通の受容体を持っておりますので、これを活性化
することによって、誰にでも、どんな癌でも基本的には治療できます。
これは治験薬を開発するプロジェクトですので、人の細胞を使う必要がござ
います。臍帯血あるいはボランティアの健康人の末梢血からとった樹状細胞を
使おうと考えております。
裏面をご覧頂くとその研究手法が書いてあります。1 つはその NKT 細胞の活
性化をインビトロで見るための NKT 細胞株をつくるのが一番上、2 番目は本体
である末梢血単球から樹状細胞をつくります。この樹状細胞に我々が開発した
NKT 細胞合成リガンドをパルスして、これを患者さんに投与するものです。
下は患者さんに投与する前に、ヒト化マウスを我々のセンターで開発してお
りますので、このヒト化マウスの中で腫瘍排除モデルが見えるかどうかを検討
することが第 3 のテーマです。
共同研究機関は慶應大学の拠点と、●●が共同研究相手になっておりますが、
現在共同研究契約は進行中です。
しかし、少なくとも今ご説明申し上げた課題は、理化学研究所の中で単独で
行います。以上です。
北川委員長:ありがとうございます。それでは、委員の先生方からご質問、コメント等ご
ざいましたらよろしくお願い致します。
井川委員:これは表題が治療となっているのですが、どの段階にあるご研究ですか。
谷口 GD:これは、実は治験薬開発は最初に non-GLP の試験をやり、開発プロセスの規格
化を行う段階にあります。それから次に GLP の非臨床試験をやります。この時
はまだ患者さんは使わないわけですが、それが全部終了して PMDA とディスカ
ッションして、これでよろしいということになると実際に患者さんに使うとい
うステージに入ります。
井川委員:まだまだ何年もかかるという理解でよろしいですか。
16
谷口 GD:我々の今の計画では、今年度の最終段階で慶應大学の施設を利用して、non-GLP
のプロセスが上手く行くかどうかという検定試験をやります。それが通ります
と、次は GLP の試験ですが、それは来年行うことになっています。それが上手
く行くことになりますと、来年の終わりか再来年の初めから臨床試験をスター
トするというのが現在の計画です。
井川委員:では、このタイトルになっているのは相当臨床レベルに近いという趣旨でこう
いうことになっているのですね。
谷口 GD:そうです。
井川委員:もうほとんど治験の一歩前ぐらい。
谷口 GD:特に AMED のこの橋渡しプログラムというのは治験が対象になっておりますの
で、我々も治験で行う計画です。
北川委員長:そのほかはいかがでしょうか。
神里委員:説明文書が通し番号の 13 ページからついていると思いますが、そこに何をお
願いしたいのかが明記されていません。研究目的と方法のところで、
「みなさま
より提供頂いた血液より」という文言が入っていますが、明確にご協力頂きた
いこととして、血液の提供をお願いしたい。その量もどのぐらいかということ
で、場合によっては 200 採ることも記載されていて、また更に場合によっては
複数回採血をお願いするということですので、それについても記載をお願いで
きればと思います。
谷口 GD:具体的にはこの 13 ページのどこにそれを入れればよろしいですか。
神里委員:研究目的と方法のところか、あるいはもう一つ何か項目をつけて、ご協力頂き
たい内容という見出しをつけるか。
谷口 GD:具体的に協力して頂きたい内容ですね。
神里委員:はい。何をお願いしたいのか。
井川委員:もう一つだけ伺ってよろしいでしょうか。治験に近いということになると、こ
ちらでは前段階のものですが、出口というか実用がそれだけ目指されているの
であれば、この研究のこのレベルまで達成しなければいけないというのが恐ら
くあっておやりになるのでしょうから。
谷口 GD:そうです。年ごとのステージゲートを作っています。
井川委員:つまり、実用化する時にはこのレベルに達成していないとまずいというのが、
この中には恐らくあると思いますが、そういったものは示されていますか。
谷口 GD:計画書には臨床応用に入るまでの各段階のステージゲートが全部書いてありま
す。今やろうとしているのは細胞を製品化する初期プロセスである non-GLP 日
臨床試験の部分をご説明した次第です。
井川委員:多分接続するためには、この研究でどのレベルまで達していないといけないと
いう基準があるわけですよね。
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谷口 GD:それは、これから PMDA と相談しながらいくのですが、そのまま PMDA との
相談の中で形が決まってきます。ですから今我々がこうしようと思っていても、
PMDA からの要望が出てきた場合には、それをクリアしなければいけないこと
になっています。そういう意味では既にちゃんと決まったもののデザインがあ
るわけではなくて、現在これに近いものは先進医療Bで千葉大学と国立病院機
構で走っています。この計画は先端医療 B に近いものなので、我々としてはど
のようなところをクリアすればいいのかというのは大体わかるのですが、ここ
に使おうとしている●●●は新規化合物ですから、どういうリクエストが
PMDA から来るかは、面談をしてみないとわからないところがございます。
佐谷委員:この計画書の中にはまだ理研ベンチャーの記載はありませんが、それは契約が
進んでいないから記載していないということでよろしいでしょうか。
谷口 GD:そうです。
佐谷委員:そうすると契約が入った場合は、利益相反について明確にする必要はあると思
います。
谷口 GD:もちろんです。
佐谷委員:契約が成立した時点でもう一度利益相反を明確にして、追加の審査を行うとい
うほうがよろしいかと思います。
谷口 GD:そういうふうに我々としても考えております。まだ不確定なものですから、こ
こに資料が出ておりませんが、慶應との間の共同研究契約と●●の間の共同研
究に関しては既に理研利益相反委員会で審査を受けており、委員会の審査結果
を受けてその都度変更して、AMED にも報告していますが、共同研究が成立し
た段階で、こちらに再度提出することにしております。
北川委員長:ありがとうございます。そのほかにございますか。
それでは、事務局から利益相反に関する審査結果についてご説明頂けますか。
事務局:先程事務局から利益相反について説明しましたが、旧様式ではその利益相反に係
る項目がありません。ですから、先程研究実施者一覧を委員の方々にお送りし
たと思いますが、そちらで実験者それぞれについて実際に利益相反の確認をし
て、一覧の右にチェックが入っていると思います。チェックがなされているも
のは利益相反の審査の確認が終わった形となります。
実験参加者の一覧の次のページに、利益相反から各研究者に対して利益相反
の審査結果の通知となっております。それは模範となる 1 枚を付けていますが、
実際にはこの課題の研究者については、その利益相反の審査の結果、利益相反
に係る内容は問題がなかったということで審査結果が出ているので、利益相反
条項に関する審査は全ての研究者について終わっている状況となっております。
北川委員長:ありがとうございました。ということで、本研究は現時点での内容について
は既に利益相反の審査が終了している。追加がある時にはまた追加で出して頂
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くことになると思いますが、現時点のものは終了しています。
そのほかはよろしいでしょうか。では、谷口先生、申し訳ないですが一旦退
室して頂けますか。
谷口 GD:どうもありがとうございました。
(申請者側退室)
北川委員長:いかがでしょうか。確かに癌治療までいっていないですが、そういう壮大な
計画の最初の部分ということだと思います。
井川委員:でも、すごいスピードですね。
北川委員長:29 年度から治験を始めたいと書いてありますからね。
井川委員:アメリカではすさまじい速度でやっているらしいからあれですけれども。
北川委員長:よろしいでしょうか。
莚田委員:この審査には関係ないのですが、事務局、これが新しいフォーマットになるわ
けですか。
事務局:後々に指針改正後の横浜事業所の申請書の様式改訂の説明をさせて頂きますが、
その新様式では利益相反に係る項目を追加しております。よって今回は旧様式
でその項目がなかったため暫定措置としてそのような形とさせて頂きましたが、
新様式になりましたら利益相反に関する項目があるので、そこの部分で研究実
施責任者の方がまとめてチェックをして、倫理審査委員会ではそこの項目のと
ころで確認をして頂くという形をとらせて頂く予定です。そのことについては
後々改めて説明させて頂きます。
莚田委員:と言いますのは、このチェックだけでは意味がわからないのではないかと思い
ましたのでお聞きした次第です。別紙にこういうチェックの項目があるだけで
はわからないという意味の質問でした。ありがとうございました。
北川委員長:ありがとうございます。
井川委員:結局何の意味が(あるのですか)
。出しているという意味。
北川委員長:出して承認されたということだけが知らされている。議論の内容は書いてい
ない。
井川委員:わからない。
井川委員:これは審査結果がだめでもチェックが付くだけですか。
事務局:利益相反がありだった場合は新様式では「あり」にチェックが入る形になります。
井川委員:つまり、研究に影響を与えず理研の基準に合致していることを確認したという
意味ですか。あるいは、利益相反のところでは問題あると出てもチェックは付く
のですか。
事務局:利益相反の結果によるのですが、新しい様式でしたら「あり」にチェックが入っ
て、その内容が書かれている状況です。その「あり」の状態で、倫理審査委員会
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で倫理的な部分で審査をして頂いて、それで何か疑義があるようであれば、先程
事務局から説明にもあったように、その内容をまた利益相反委員会とやり取りを
して、どうかというような形になると思います。
北川委員長:よろしいでしょうか。
井川委員:添付書類の問題はなかったという部分を信用するということですか。
北川委員長:そうですね。
井川委員:基本的にはそれだけですね。
佐谷委員:現実には利益相反委員会の書類がどのような形でこの倫理委員会に上がってく
るかを見てみないとわかりませんが、もしかすると今、井川先生が言われたよう
に、利益相反委員会で問題なしとして上がってくると、我々の中ではもう議論す
ることはできないと思います。
事務局:今回は利益相反委員会から出てきた通知書類をつけた形にさせて頂いています。
後で説明させて頂きますが、新様式になったら利益相反に関する項目があって、
研究実施責任者がその課題に携わる研究者全員の利益相反結果をまとめて、その
まとめた結果はこうでしたというような形で計画書に反映します。ですので、そ
この部分で見て頂くということなので、利益相反の中身については「あり」だっ
た場合は、そこの計画書に内容が書かれる形にはなるものの、「なし」であれば
まとめた形で計画書に反映されると思います。
北川委員長:よろしいでしょうか。では、お呼び頂けますか。
(申請者側入室)
北川委員長:谷口先生、どうもありがとうございました。
それでは、本課題に関しては、説明文書中にサンプルの採取等に関する具体的
な内容を少し追記するところを修正して頂くことで、条件付きの承認とさせて頂
きます。どうもありがとうございました。
谷口 GD:どうもありがとうございました。
(申請者退室)
【H27-4】
「新規リガンドを用いた NKT 細胞標的がん治療」
統合生命医科学研究センター
免疫制御戦略研究グループ
グループディレクター 谷口克
○条件付きで承認する
条件:
同意説明文書について、試料採取等に係る具体的な内容を加筆すること。
【H27-5】「患者検体を用いた自己免疫性皮膚疾患発症機序の解明」
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統合生命医科学研究センター
統合ゲノミクス研究グループ
グループディレクター 小原收
北川委員長:続いて【H27-5】
「患者検体を用いた自己免疫性皮膚疾患発症機序の解明」を
3 名の先生方にご説明を頂きたいと思います。
(申請者側入室)
北川委員長:申し訳ありませんが、ご所属とお名前を教えて頂けますでしょうか。
小原 GD:理化学研究所統合生命医科学研究センター統合ゲノミクス研究グループの小原
でございます。
渡辺上級研究員:同じく統合ゲノミクス研究グループの渡辺と申します。よろしくお願い
します。
山上講師:慶應義塾大学医学部皮膚科の山上と申します。よろしくお願いします。
北川委員長:よろしくお願い致します。それでは、研究計画についてご説明をよろしくお
願い致します。
小原 GD:では、研究計画について内容の説明をさせて頂きます。お手元の資料の私ども
の取り扱う疾患名ですが、自己免疫性の皮膚疾患と書いてありますが、実際に
は自己免疫性の水疱症をターゲットにして研究を行います。お手元の資料に示
しておりますように、これは皮膚の構成成分に対する自己抗体による自己免疫
疾患です。自分の体の中で自分の体の成分に対する抗体ができて、それが皮膚
において水疱を生じるという疾患です。
この疾患に関しては、天疱瘡群と類天疱瘡群があります。後でご説明します
が、理化学研究所の今回の研究では、特に天疱瘡に重点を置いて研究を進める
ことを考えております。
次の資料は慶應義塾大学の皮膚科の先生方のご研究の成果です。天疱瘡発症
の原因が自分自身の体の中でできた自分自身の組織の成分に対する抗体が皮膚
自体を攻撃する。それがデスモゾームのデスモグレインというところの構造体
を壊すことにより、その水疱が形成されてくるところまでは、これまでの研究
で明らかにしておられました。
次に示すのは今回ここでお諮り頂く、理化学研究所で行う研究の内容です。
特に天疱瘡の患者様由来の自己反応性の B 細胞の一細胞の中に、どういう抗体
のレパートリーといいますか、種類のものが発現していて、それが実際にご自
身の体の中の蛋白の成分をどう攻撃していくのかという機序を解析しようとい
うのが今回の実験計画です。
最終的にはその自己反応性の B 細胞は一体どこにどのぐらいの量あって、ど
ういった類の攻撃性の B 細胞をつくっているのかを調べるのが、実際の研究の
内容になります。
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次の資料は実験の手法を簡単にご説明しております。疾患の対象としては、
先程申し上げたように天疱瘡をフォーカスして研究します。実際に行う研究と
しては、幾つか検討が必要ですが、自己反応性の B 細胞を濃縮した後に、1 つ
ずつの細胞から免疫グロブリンをつくる抗体の配列を解析するということです。
免疫グロブリンとは、同じ人の体の中でもそれぞれの B 細胞が違った抗原認識
部位の配列を持ちますので、それを 1 つずつの細胞を単離した後に決めていく。
この作業を理化学研究所で今回は行うことを計画しております。
次は実際の研究体制をお示ししておりますが、患者様からの同意書の取得や
検体を採取して頂く作業、免疫学的な解析もしくはもっと全部のゲノムの解析
とか機能解析の部分は、これまでの研究を進めて来られた慶應義塾大学医学部
皮膚科の天谷先生のお部屋でメインに行われます。
理化学研究所においては、特に今回は単一細胞に由来する抗体の配列解析を
行います。この部分での技術の供与を行って、その結果を慶應義塾大学医学部
皮膚科と共有しながら、この疾患の発症の機構の解明並びにその治療法の開発
に結び付けていきたいというのが全体の流れです。
理化学研究所の中の皮膚恒常性研究チームで、天谷教授が兼務でチームを作
っておられます。このチームの方々は、今回のプロジェクトに関しては慶應義
塾大学とのインターフェースをとって頂くということで、天谷先生自身はこち
らの単一細胞由来の抗体の遺伝子構造解析には直接にはタッチされない形にな
っております。
最後の資料は実際の倫理的な問題が発生し得るヒト由来の試料の取り扱いで
すが、ここに書いてありますように、ほとんどの作業は慶應義塾大学医学部皮
膚科で行われます。それで最初の対象者の選択基準に関しては、臨床、病理、
免疫組織化学的に天疱瘡と診断された患者様をまず調べていくことになります。
試料の採取機関も慶應義塾大学でお願いして、末梢血を採取させて頂きます。
理化学研究所にはこの末梢血の中でも恐らくはリンパ球の提供を慶應義塾大
学から受ける形で、実験を進めて行くことになります。個人情報保護、匿名化
の方法に関しても、理化学研究所に来る前の段階で匿名化が終わり、私どもの
理化学研究所には連結可能な情報は一切来ない、匿名化された ID だけが来ると
いう形での実験の進め方になります。
実験後は実際に実験に供するのは単一細胞の 1 つずつですので、実験をやる
と全ての細胞は壊れているわけですが、廃棄の仕方としては感染性の廃棄物と
して廃棄して、理化学研究所では保存しません。あとはインフォームド・コン
セントの履行並びに患者様から頂くという作業も、慶應義塾大学でやって頂く
という形の全体の流れになっております。概略の説明は以上です。
北川委員長:ありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメント等
22
ございましたらよろしくお願い致します。
井川委員:サンプルは廃棄してしまうのですか。
小原 GD:私たちの部分に関しては採った細胞を全部溶かしてしまいますので。
井川委員:もとが慶應にもある。
渡辺上級研究員:血清は保存するようにはなっていますが、細胞に関しては同意が得られ
て可能であればという範囲内です。
小原 GD:理研に来る部分に関しては廃棄しますが、慶應義塾大学でそれは必要に応じて
保存されるケースがあろうかと思います。
鈴木委員:今のことに関連してですが、シングルセルの解析ということは、十分量の細胞
いると思いますが、解析した細胞は当然壊れてしまいますからいいですけれど
も、残りの細胞も廃棄するということですか。
小原 GD:対象外だった部分に関して、仮に私どもの手元で FACS なり何なりかけて、対
象外の細胞に関してもやはり同様に廃棄すると思います。
鈴木委員:対象となる細胞とは?
小原 GD:自己反応性の B 細胞以外の細胞ですね。
鈴木委員:
(もう一度伺いますが)シングルセルの解析をするための細胞は、十分量を採る
と思いますが、解析して残った細胞も捨てるということですか。
小原 GD:自己反応性でない細胞ですか。
鈴木委員:自己反応性の細胞。
小原 GD:それは恐らく細胞の数がどれだけ採れるかによりますが、捨てる数が恐らく半
分以上にはならないだろうと思っております。実は末梢血からどれだけ採れる
かというのはこれからの課題なので、逆にそんなに沢山採れるとはあまり楽観
していません。
大野委員:全部使ってしまうということですよね。
小原 GD:恐らく。
大野委員:倫理と関係ないのですが、どうやって自己反応性を調べるのですか。
小原 GD:それが 1 つの課題でして、今のところは攻撃する対象の抗原がわかっています
ので、それでまず濃縮してみるというのが第一かなとは思っています。一体そ
の自己免疫性の抗原を産生している B 細胞がどこにあるのかということですが、
今は患者様に非侵襲に採ろうとすると、当面は末梢血というのが第一選択肢に
なりますので、末梢の血液の中からどのぐらいの細胞がそこから得られるかと
いうのがまず第一の課題になるかと思います。
大野委員:倫理と関係ないのですが、サーフェスのイムノグロブリンポジティブ、つまり
もう IgM ではなくなって、IgG とかになっているけれども、多分高産生、ハイ
プロデユーサーだと、何かサーフェスポジティブだと FACS で染まるとかと言
われているようですが、そういうものを相手にして抗原とくっつくような細胞
23
を採ってくるということですか。それとも何か ELISA ではないですが、まいて
……。
山上講師:ELISOT みたいな形でしょうか?
大野委員:そんな感じで採るんですか。
山上講師:この辺は条件をこれから詰めないといけないところですが、過去にやったこと
があるのは、リコンビナントの蛋白と PBMC にした末梢血のリンパ球を反応さ
せて、B 細胞の表面に特異的なイムノグロブリンが発現していますので、その
IgG にクラススイッチした B 細胞と反応させて、その B 細胞を何らかの形で、
蛍光色素を使うとかそういった抗体を二次的に使うか、FACS でソートしてく
るというプロジェクトで、その効率に関しては今後また詰めないといけないと
ころですが、そういうプランを漠然と考えております。
大野委員:どうもありがとうございました。
北川委員長:慶應大学の倫理審査は、申請書はございますがまだ承認はおりていない。
山上講師:もうこれはおりています。
田村委員:全く関係ない質問で恐縮ですが、出典でウィキペディアを使っていらっしゃい
ますが、学生には参考にするのはいいけれども、ウィキペディアを使うなと教
育しています。
逆にウィキペディアはみんなが見ているからすごく情報として確かだという
話もあって、先生の場合は確かだということですか。
小原 GD:一般の方々にご説明する時に、逆に中々ここまで簡単な絵を描いているのがな
かったものですから、逆にあえて使ったというと怒られますが、変な専門書か
らではなくて、一般の方に認識されているような形の情報を今回ご提供してし
まいました。仰るようにウィキペディアを鵜呑みで信じるというのは非常に危
険ですので、もちろん専門家の目でベリファイされたものを使うというのは正
しいです。
田村委員:ありがとうございます。
大野委員:出典を書いておけばいいのではないでしょうか。
小原 GD:だから今みたいなご質問も頂けるので。
大野委員:関係ないですが、レポートで自分が書いたかのようにして出すからいけないの
であって、出典を書いておけば多分(いい)
。
井川委員:出典もグーグルだとさすがに新聞だと使えない。今回のケースはご専門の方が
この図は使ってもいいという専門的な判断の上で、ウィキペディアはよく描い
てあるじゃないかという意味で使われているので多分いいのだろうということ
です。
田村委員:そこが難しいところです。
井川委員:学生が知らずにこれでもいいだろうと使うと、おまえは大丈夫かと(なる)
。
24
田村委員:そうです。それだから何といいますか。
井川委員:だから、今回の場合は専門的に見て、ウィキペディアが正しく描いてあるのを
見て、うまく描いているので使ったという解釈で。
小原 GD:ありがとうございます。
田村委員:それはよくわかるのですが何て言ったらいいか。これはやはり難しいですね。
ありがとうございます。
北川委員長:ありがとうございます。そのほかにございませんか。よろしいですか。
それでは、一旦退室していただけますか。
(申請者側退室)
いかがでしょうか。
大野委員:対象を絞ったほうがよろしいのではないですか。
北川委員長:対象を絞る。類天疱瘡群をやらないなら抜きなさいということですか。
井川委員:これは、一部は入ってきてしまうのではないですか。
大野委員:多分天疱瘡しかいない。
井川委員:天疱瘡と類天疱瘡は部位が近接だから完全に区別が付くのですか。僕はよくわ
からないですけれども。
北川委員長:いや、診断上は区別が付きます。
大野委員:多分自己抗体を染めて。
井川委員:診断で区別がつくにしても、恐らく皮膚がかゆくなってぐちゃぐちゃになって
いるところもあるだろうから、多分 100%、この線でなんて区別がつくのかな
と僕は素人ながら思いました。
大野委員:僕も皮膚科ではないですが、自己抗体なのでどこに反応するかというのは組織
を染めればわかるので混在している人はいないと思う。先生に聞かなければわ
からないですけれども、どうなのかな。
井川委員:あるいは下手したら両方出る人だっているわけですよね。
大野委員:いや、どうですかね。
井川委員:僕もよくわからなかったのですが。
大野委員:多分僕はいないだろうと思います。どうですか。いますか。自己抗体ができる
ので両方に対して、つまり表皮と皮下の両方に対する自己抗体を併せ持ってし
まっている人がもしいれば、両方出る可能性もあるけれどもそういう人がいる
のかな。
井川委員:この絵を見るとかなりはっきり分かれない人が結構あるのではないかと思って
しまいます。
大野委員:でも、どうですかね。
井川委員:アレルギー的な免疫疾患は色々なのがかなり混在するんですって。
大野委員:アレルギーとは全然違って、天疱瘡というのは表皮に対する自己抗体で、表皮
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の中で水疱ができて、類天疱瘡はもう皮下に水疱ができるというのが診断基準
なので、両方に水疱ができるという人がいたら多分そういう人でしょうけれど
も、あの先生に聞けば一発でわかるんじゃないですか。
井川委員:いや、水疱なんて大きくなるとどちらかというと浸潤していく人もいる。
北川委員長:そのほかはよろしいでしょうか。では、お呼び頂けますか。
(申請者側入室)
北川委員長:ありがとうございます。
患者検体について今回は天疱瘡に限ってとお話しされていたのですが、類天
疱瘡はやらないのであれば抜いたほうがいいということです。これはもう現に
違う疾患ですよね。違いますか。
山上講師:このプロジェクトではやりません。
北川委員長:やらないということでよろしいですか。
では、抜いたほうがすっきりすると思います。
小原 GD:わかりました。
鈴木委員:厳格に分けられるのかという議論になっているのですが、併発する人とかはい
ないですよね。そういう人もいるのですか。
井川委員:自己免疫疾患だから両方出てしまうのも結構あるのではないかと思います。
山上講師:普通はいないですね。ほぼゼロです。ただ、検査上、類天疱瘡の患者さんの中
にその天疱瘡の自己抗原であるデスモグレインに対する抗体が検出された方は、
何人か見たことがあります。しかし、そういう場合は類天疱瘡として扱われる
ので、デスモグレインに対する抗体があるからといって天疱瘡にはならないの
で、診断基準としては明確に分けられます。
北川委員長:では、そこの部分を少し修正して頂くということと、利益相反についての記
載をこれからは必ずして頂くことになりましたので、それについても後日修正
して頂くという形で条件つきの承認とさせて頂きます。どうもありがとうござ
いました。
一同:どうもありがとうございました。
(申請者側退室)
【H27-5】「患者検体を用いた自己免疫性皮膚疾患発症機序の解明」
統合生命医科学研究センター
統合ゲノミクス研究グループ
グループディレクター 小原收
○条件付きで承認する
条件:
1.「1.概要 対象とする疾患名」について、本研究の対象としない類天疱瘡群を削除するこ
と。
26
2.利益相反に係る報告を確認した後、承認することとする。
【H27-6】
「膠芽腫治療薬の開発」
ライフサイエンス技術基盤研究センター
構造・合成生物学部門
創薬タンパク質解析基盤ユニット
上級研究員 田仲昭子
北川委員長:
【H27-6】
「膠芽腫治療薬の開発」を田仲先生にお願いします。
(申請者入室)
北川委員長:ご所属とお名前を教えていただけますか。
田仲上級研究員:ライフサイエンス技術基盤研究センターの田仲昭子です。
北川委員長:よろしくお願い致します。
田仲上級研究員:よろしくお願い致します。
北川委員長:それでは、課題について内容をご説明頂けますか。
田仲上級研究員:お手元にパワーポイントが 1 枚配布されていると思いますのでそちらで
説明させて頂きます。
私たち創薬医療技術基盤プログラムという全理研横断組織で、薬物開発の
研究を進めております。この中でグリオブラストーマ、いわゆる膠芽腫に対
する治療薬の開発を●●大学分子●●●研究所の●●先生と一緒に進めて
おります。
この薬物を開発する上では、どうしてもこの薬物の効力を評価するための
患者さん由来細胞を扱うことが必要です。
一方、●●大学●●学部付属病院●●科では、平成 19 年からいわゆる治
療切除で不要になった患者さん由来組織を使って、グリオブラストーマ等の研
究や治療薬の開発をするプロジェクトが進んでおりました。
そこで我々は、この●●大学●●学部付属病院の倫理委員会にこちらと共同
研究をしたいという申請を出し、この 3 月に理化学研究所の参加が受理されま
した。そこでこの細胞を実際に使うライフサイエンス技術基盤センターの創薬
タンパク質解析基盤ユニットの私とスタッフの津金沢が、まずは研究参加者と
して登録して、この細胞を●●大学から受け入れ、培養し、創薬医療技術基盤
プログラムの研究に使えるかどうかまず検討したいということで本提案に至り
ました。
さらに手短に研究内容をご説明します。グリオブラストーマのゲノムは非常
に高くヒドロキシメチル化される、修飾されているということが知られていま
す。このヒドロキシメチル化をする遺伝子を阻害してしまうと、このグリオブ
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ラストーマ細胞は生きられないことが●●大学の●●先生らの研究で公表され
ています。
そこで私たちは、この蛋白質を阻害する化合物を新規に合成して、患者さん
に対する薬として開発をしたいという研究を進めております。酵素活性等でも
検討しますが、最終的にはやはり患者さんの細胞に効くかどうかという効力検
討をしたいので、ヒト由来細胞を●●大学から受け入れて研究をしたいという
計画を持っております。以上です。
北川委員長:ありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメント等
ございましたらよろしくお願い致します。
莚田委員:申請書の 5 ページの 6.代諾の「これらの提供者の協力を受けなければならな
い理由」ですが、
「判断能力、意識レベルの低下が発生するため」と書かれてい
るのは、代諾を行う理由ですので、ここは、本来は代諾を必要とする人を対象
とする理由を記載して頂きたいのですが、例えばこれは未成年の患者さんの数
が多いとか、やはりそういう理由でしょうか。
田仲上級研究員:グリオブラストーマはお子さんに発生するものもあり、非常に予後が悪
くて亡くなってしまうことが多いので、基本的に代諾が必要となります。ただ、
この辺は●●大学の倫理委員会を通っている書類をそのまま持ってきたという
のが実情です。
北川委員長:莚田先生が仰るように、聞かれている内容と書いてある内容がずれています
よね。
田仲上級研究員:はい、訂正致します。
井川委員:これは研究チームの責任者の方が●●先生ですか。
田仲上級研究員:創薬医療技術基盤プログラムでは、テーマリーダーという研究を推進す
る立場の方として●●先生が入っています。
井川委員:最終的な責任者と申しますのは、この●●●研究所の倫理委員会というのは関
係ないのですか。
田仲上級研究員:●●大学の倫理委員会の中で●●先生は研究メンバーとして入っていら
っしゃいます。
井川委員:いや、●●●研究所にも倫理委員会があるはずですが、そちらはスルーしてい
るのですか。
田仲上級研究員:私は●●大学のことはよくわかりませんが、私たち理研も●●先生も同
じように●●大学の倫理委員会で通っているように思います。
井川委員:いやいや、それはないと思います。
田仲上級研究員:ないんですか。
井川委員:●●●●研究所についてはここでは関係ないですが、様々な問題が一時期指摘
されたことがあって倫理委員会があるはずだと私は認識しています。書類を拝
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見すると、責任者の方の所属しているところの倫理審査は何か一切やっていな
い気配ですよね。
田仲上級研究員:私たちもそのように聞いています。
井川委員:これは一体どうなっているのかよくわからない。●●学部とは全く違う組織な
のでそれが不透明かな。それと企業等は秘密にしておきたいと申請書上はなっ
ていますが、●●大学の倫理審査書を見ると色々な企業が既にノミネートされ
て入っていますよね。
田仲上級研究員:●●大学●●学部●●科は、11 年間という非常に大がかりな共同研究の
体制を組んで研究計画を出していらっしゃいます。その中のごく一部分が私た
ちの関与する部分です。ここで私たちが企業等のというのは、これが通った後
に企業の共同研究相手を探して、実際に連携して薬を作って頂く企業のことを
指します。
井川委員:薬を作っていくというか、この幹細胞を使って薬の開発に利用されるというこ
とですね。
田仲上級研究員:この細胞を使って評価をします。
井川委員:それは別途営業みたいなことをするのですか。
田仲上級研究員:医療技術基盤プログラムという理研の組織としては、薬の非常に初期の
開発はできますが、実際に例えば難病の患者さんに届けることは非常に大きな
研究になってしまって、とても理研の一組織ではできないということで、国内・
国外の色々な会社にパートナーを求めます。そういう組織も創薬医療技術基盤
プログラムの中にあって、そこがパートナーを探してきてくれます。
北川委員長:そのほかはよろしいでしょうか。それでは、一旦退室して頂けますか。
田仲上級研究員:ありがとうございます。
(申請者側退室)
北川委員長:いかがでしょうか。●●●研究所の倫理審査もとらないとだめな可能性があ
るということですね。
井川委員:わからないですけれども、●●●研究所には●●●研究所の倫理委員会があっ
て、共同研究者としてこれだけどんと一番トップに出ている方がよくわからな
いんですね。
大野委員:●●先生の名前はここにある。つまり、●●科の中の共同研究者みたいな感じ
で入っているということですよね。
井川委員:役割分担がいま一つ。培養するところなんですね。
大野委員:これは説明文ですが、この理研の中のさっき言った創薬何とかプログラムでは
この人が入っているけれども、●●大学の中ではこの人は one of them という
感じですね。
井川委員:ただ、そうなるとこの理研の共同研究の相手としては、●●先生を非常に重要
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なパートナーと位置づけておられる。
大野委員:そういうことでしょうね。
井川委員:しかもこれを見ると、幹細胞を培養した上に診療情報を保管したり、解析デー
タを保管したり、かなり重要なことをおやりになっている。しかも診療情報を
保管というのは、連結か非連結かもこの申請書だとよくわからないですが、ど
のように保管されているのかこの書類上からは全くわからないですよ。この●
●先生のところでどういう形でどういう目的でおやりになっているのか。
佐谷委員:あくまで予想ですが、まず●●大学の●●科で患者さんの腫瘍組織をとって、
そこで細胞を樹立しているのだと思います。この樹立した細胞に関しては、患
者さんの情報も●●大学の●●科で保管している。その細胞を●●先生が受け
取って、研究目的に使われていたのだと思います。
本当は●●大学の●●科と直接共同研究の形をとったほうがシンプルに見え
ますね。
大野委員:倫理上はそうなっているのではないですか。
佐谷委員:そうですね。だから、パワーポイントの説明がいけないのですね。
大野委員:ここにこういうことが書いてあることが問題で、これは理研内のプログラムと
しては●●先生と共同研究しているけれども、倫理上はこの●●大学付属病院
とやっているということでこれは結構混乱を招くのですが、これは補足資料な
ので……。
佐谷委員:あくまで●●大学の●●科との間ですね。
大野委員:自分たちはプログラムとしてはこの人とやっているけれども、本当の相手は●
●先生ではない。
佐谷委員:●●大学の●●科ですよね。
井川委員:研究実施者一覧の中にも入っていないというのは、●●先生は名前だけみたい
な人ですかね。
大野委員:研究実施者というのは。
井川委員:通し番号。
大野委員:こちらの(一覧)ですか。それは理研の人ではないからじゃないですか。
井川委員:そうじゃないから入っていない。
佐谷委員:そうですね。申請書を見ると●●大学の人ですね。
大野委員:●●大学の中には入っていて、全体の大きな●●大学の中の直接共同研究の相
手は●●先生だけれども、実際にはその傘の中で●●先生とやっている。
佐谷委員:これは分析が全く絡んでいないですね。
井川委員:分析には絡んでいないんですね。
佐谷委員:絡んでいないですね。
井川委員:●●先生は、だから何なんだ。
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大野委員:ここはどうなんですかね。
佐谷委員:これは共同研究ですね。
大野委員:●●大学の中なら平気なんですかね。つまり、理研がそうやるとしたら、今こ
うやっていると同じように、●●大学の中であっても●●●研究所の許可は要
らないということですかね。
井川委員:何かこういう見方は、本当はいけないんだろうけれども、やはり最近の●●大
学の●●学部並びに●●●研究所では少なからず問題が表面化しておって、そ
ういう時期にこの理研としてここら辺のあいまいな資料が出てくる。僕があい
まいにしか見られないのかもしれないけれども、整理されていないのが出てく
ると、本当にいいのかと(思ってしまう)
。
大野委員:確認して、●●先生ではなくて、この●●●先生とやるという認識でやって下
さいという確認をしていけばよろしいのではないですかね。
井川委員:そうですかね。
大野委員:この紙も直さなければいけないですね。
北川委員長:これは外には出ていかないのかもしれません。
井川委員:行かないにしても、そういう説明を受けてしまっているのは議事録にはあるだ
ろうから。
大野委員:そうです。混乱を招きますよね。
北川委員長:わかりました。では、お呼び頂けますか。
(申請者側入室)
北川委員長:どうもありがとうございました。
先程も議論になったのですが、●●●研究所の●●先生との関係ですが、こ
の頂いたパワーポイントの絵を拝見すると、●●大学付属病院から●●先生の
ところに一旦細胞が行って、そこから理化学研究所が供与を受けるような形に
なっています。そうすると、●●●研究所自体は何をしているのかという倫理
審査も必要になるかもしれないので、実際には●●大学●●学部付属病院から
直接細胞をもらっているのと同じことではないでしょうか。
●●大学の研究グループの中に●●先生がいらっしゃって、そこから理研が
サンプルを頂くのですよね。
田仲上級研究員:実際に物の出入りとしてはそれが正しい流れです。
北川委員長:●●大学があって、●●●研究所があって、理研があるという必要は特にな
いということでよろしいのでしょうか。
田仲上級研究員:組織としては素通りしているという形ですね。
北川委員長:●●大学の中に共同研究者として●●先生がいらっしゃる。
田仲上級研究員:はい。
北川委員長:その大きい(枠の)●●大学の中から理研がサンプルを提供して頂く。
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田仲上級研究員:はい。そうですね。この右側の絵は、実は●●大学の追加申請の時に、
●●大学の●●学部の倫理委員会に出された絵をそのまま使っていますので、
私たちの立場から見た絵とは違うかもしれません。追加になりましたという絵
です。
北川委員長:ですから、この絵もできれば修正して頂いて、こちら向きには●●大学から
理研に……。
田仲上級研究員:そうですね。下の2つの枠を大きな枠で囲うというのが正しいですね。
北川委員長:いや、上の2つを大きな枠で(囲う)
。
田仲上級研究員:上の2つを囲む。
北川委員長:だめですか。上の2つ。
田仲上級研究員:囲うんですか。
井川委員:いや、どちらの理解なんですか。
北川委員長:●●先生は理研の非常勤になっていらっしゃるということですか。
田仲上級研究員:そんなことないです。
井川委員:●●先生と理研との関係とは一体何ですか。
田仲上級研究員:共同研究契約です。
井川委員:契約しているのですか。
北川委員長:●●先生は●●大学の中ではだめですか。
田仲上級研究員:いえ、大丈夫です。●●大学の教授でいらっしゃいます。
北川委員長:●●大学ではこの共同研究者に●●先生が入っていらっしゃいますよね。
田仲上級研究員:はい、入っています。
北川委員長:だから、その大きな●●大学のくくりから理研がサンプルを頂くという形に
すると、●●大学の倫理審査も通っているという形でシンプルですけれども。
田仲上級研究員:すみません。直します。
北川委員長:よろしいでしょうか。
田仲上級研究員:はい。
北川委員長:間違っていなければそのようにしてください。
田仲上級研究員:間違っていないです。
北川委員長:あと、文書の書き方で先程ご指摘があった代諾のところを少し工夫して頂き
たいということ。
それと利益相反についてこれから新しいシステムになって、全ての申請課題
について新しい書類をつけて頂くことになると思いますので、それについても
修正して頂く。
田仲上級研究員:はい。今日の午後に書類が来ることになっております。
北川委員長:そうですか。それもよろしくお願い致します。そういうことで条件付きの承
認ということでよろしくお願い致します。
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田仲上級研究員:ありがとうございました。
(申請者退室)
【H27-6】「膠芽腫治療薬の開発」
ライフサイエンス技術基盤研究センター
構造・合成生物学部門
創薬タンパク質解析基盤ユニット
上級研究員 田仲昭子
○条件付きで承認する
条件:
1.「6.代諾 これらの提供者の協力を受けなければならない理由」について、その趣旨を踏
まえ修正すること。
2.利益相反に係る報告を確認した後、承認することとする。
【H27-7】
「禁煙に関連するニコチン代謝遺伝子の DNA シークエンス解析」
統合生命医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ
グループディレクター 莚田泰誠
北川委員長:続いて【H27-7】
「禁煙に関連するニコチン代謝遺伝子の DNA シークエンス
解析」を莚田先生にお願いします。
(莚田委員、説明者席へ移動)
莚田 GD:統合生命医科学研究センター ファーマコゲノミクス研究グループの莚田でご
ざいます。お手元の【H27-7】という配付資料に沿ってご説明します。
禁煙に関する研究ですが、喫煙習慣の本質というのはニコチン依存症である
ことは皆様も御存じのとおりです。従いまして、禁煙はニコチン依存症の治療
ですので、本人の意思の力だけでは中々難しいということがございます。その
ために禁煙補助療法が 2 種類ございます。
まず、ニコチン代替療法は、ニコチンパッチあるいはニコチンガムを使う治
療法ですが、喫煙以外の方法でニコチンを補充して、医師のアドバイスに従っ
て生活習慣を改善しながら、ニコチンの摂取量を減らしていくものです。
ただ、問題点としてはニコチンの代謝が速い人、遅い人がいらっしゃいまし
て、代謝が速い人ではニコチンの消失が速い。その為にニコチンの補充が間に
合わないために禁煙に失敗しやすいと言われています。
2 つ目の方法が経口禁煙補助薬を使う方法です。バレニクリンという錠剤が
2008 年に日本でも承認されています。これはドーパミンの分泌を増加させます。
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ドーパミンといいますのは、ニコチンによって分泌される快楽物質ですので、
喫煙者の幸せの正体といっていいと思います。
それに加えてニコチンの作用を邪魔するという働きを持っておりますので、
喫煙による満足感を抑制する作用があります。ですから、従来のニコチンパッ
チに比べて優れているという評価があります。ただ、吐き気、頭痛、便秘など
の副作用が問題となっておりまして、どうしてもこのバレニクリンが向かない
という喫煙者もいらっしゃいます。
そこでこの従来のニコチンパッチと新しい経口禁煙補助薬を使い分けできな
いかと考えまして、今回の共同研究機関であるペンシルバニア大学を中心に、
PNAT2 study というのが 2012 年から 2014 年にアメリカ、カナダで行われて
います。この臨床研究では、事前の血液検査によりニコチン代謝が速い人と遅
い人に振り分けて、禁煙補助薬 2 種類の効果を比較しています。
その結果、ニコチン代謝が速い人ではバレニクリンのほうが有効であり、代
謝が遅い人ではニコチンパッチのほうが有効であるという結果が得られており
ますので、事前にニコチン代謝を調べればいい。では、血液検査で十分なので
はないかということになりますが、この血液検査というのは血清中のニコチン
とニコチンの代謝物を測定しますので、煩雑であったり時間がかかったり、あ
るいはコストが高いということがありまして、臨床に導入するのはなかなか難
しいという事情がございます。
そこでスライドの 2 枚目ですが、今回の研究の目的と成果をお話しします。
この上の図の肝臓においてニコチンはコチニン、これは間違いではありません
で、コチニンという代謝物に変換されます。実はこの変換においては、大体遺
伝子の種類がわかっておりまして、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6 という遺伝
子がクローズアップされております。
そこで本研究では先程申し上げた PNAT2 study に参加した喫煙者の DNA 試
料を用いて、ニコチン代謝に関連することが考えられている、先程申しました
候補遺伝子の DNA シークエンス解析を実施します。全ゲノムを調べるわけで
はありません。
それによりニコチン代謝活性と関連する遺伝因子を同定することができれば、
事前に血液検査をしなくても、個々の喫煙者のニコチン代謝活性を知ることが
でき、効率的で安全な禁煙補助療法の確立につながることが期待されておりま
す。
裏面に研究体制・試料の流れをお示しします。アメリカ、カナダにある PNAT2
study の参加施設において IC 取得、採血が行われます。この PNAT2 study の
中核研究機関のペンシルバニア大学に臨床情報と血液試料が収集され、血液サ
ンプルからの DNA 抽出は PNAT2 study 参加施設の 1 つであるトロント大学で
34
行われます。
理化学研究所統合生命医科学研究センターには、個人情報以外の臨床情報、
1682 名分の DNA 試料が送られてきまして、それについての DNA シークエン
ス解析を行います。その結果を遺伝情報として先方にお返しするのが今回申請
する研究の流れです。以上です。よろしくお願い致します。
北川委員長:どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメ
ント等よろしくお願い致します。
井川委員:これは直接倫理審査とは関係ないかもしれないですが、これは、人種差はない
のですか。
莚田 GD:ございます。
井川委員:酒だってアメリカ人と日本人では違う。アメリカ人といっても色々な人種がい
ますけれども。
莚田 GD:大体先程説明で申し上げた CYP2A6 という遺伝子がその禁煙の効果には大事と
言われておりますが、この CYP2A6 の働きに関係する遺伝子多型は、白人と日
本人ではかなり違っているということで、あくまでもこの研究は白人における
禁煙の補助療法に対する効果を調べるという目的です。
ただ、その裏づけがとれるということで、もちろんその遺伝子を調べればよ
いということが、日本人を含めるアジア人にも適用できる話ですので、今後そ
ういった日本人における研究への発展にもつながるのではないかとは思ってい
ます。
鈴木委員:これは 2012 年から 2014 年のものなので、サンプルはもうあるわけですよね。
莚田 GD:既存試料ということになります。
鈴木委員:そうするとペンシルバニア大学で集めたこのサンプルについて、遺伝子の解析
をするということは、サンプルを集める段階でちゃんと計画されていて承認され
ているということでよろしいですか。
莚田 GD:IC 文書の 42 ページに遺伝子検査を行うということは記載されておりますし、
こういった理化学研究所のような外部機関で遺伝子検査を行うことを考慮した
審査及び承認ということが、ペンシルバニア大学の IRB で行われています。
北川委員長:ありがとうございます。これは健常者というか、非喫煙者の DNA は必要な
いのですか。PNAT2 study にはそれも入っているのですか。
莚田 GD:エントリーされる患者さんは全員喫煙者です。
北川委員長:非喫煙者は必要ないのですか。
莚田 GD:基準に合致しませんので PNAT2 study には参加されていません。
北川委員長:ほかにご質問はございませんか。よろしいですか。
では、一旦退室をお願いします。
(申請者側退室)
35
いかがでしょうか。理研はちょっとお手伝いするという感じです。よろしいで
すか。
では、よろしくお願いします。
(申請者側入室)
北川委員長:どうもありがとうございました。
それでは、承認ということにさせて頂きますが、利益相反に関しては別途配ら
れたように……。
事務局:配らせていただいた実験者一覧のところですべて、利益相反の審査結果で問題な
しと結果が得られております。
北川委員長:どうもありがとうございました。では、承認ということにさせて頂きます。
よろしくお願いします。ありがとうございました。
莚田 GD:ありがとうございました。
(莚田 GD、委員席へ移動)
【H27-7】「禁煙に関連するニコチン代謝遺伝子の DNA シークエンス解析」
統合生命医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ
グループディレクター 莚田泰誠
○承認する
【H27-8】「小児炎症性・先天性腸疾患における糞便移植」
統合生命医科学研究センター
消化管恒常性研究チーム
チームリーダー 本田賢也
北川委員長:次は【H27-8】
「小児炎症性・先天性腸疾患における糞便移植」を渡辺先生に
お願いします。
(説明者入室)
北川委員長:それでは、ご所属とお名前を教えて頂けますか。
渡辺 JRA:よろしくお願いします。理化学研究所統合生命医科学研究センター 消化管恒
常性研究チームの渡辺と申します。
北川委員長:それでは、案件についてのご説明をよろしくお願い致します。
渡辺 JRA:まず説明に先立ちまして、本日は急遽という形になりましたが、倫理審査を受
けさせて頂きましてありがとうございます。私が作成した A4 のスライドを
ご覧下さい。
今回の目的ですが、●●病院からの依頼で、当施設と連携して研究を行わ
せて頂く形になっております。手短に内容をご説明します。
36
●●病院に IBD の患者さんがおられます。患者さんは 17 歳の男性で、2
年前に発症しました。内科的治療にも奏効せず、あらゆる手段を尽くしたよ
うですが、なかなか寛解まで至らず、治療をやめると悪くなってしまいます。
現段階では外科的手術の適用になり、大腸全摘術を外科の医師からも勧めら
れているようですが、その前に可能な限りやれることをやりたいという本人
と親御様の申し出があり、さきの消化器内科から依頼がありました。
内容は糞便移植というもので、最近になって話題になっている治療法です。
元々クロストリジウム・ディフィシルの偽膜性腸炎というような病気に対し
て使われるような治療法です。IBD の患者さんに対してはまだコンセンサス
は得られていない状況ですが、そのような中で患者さんと親御さんのご希望
がありやらせて頂くという内容になっております。
インフォームド・コンセントは向こうでやって頂き、患者と今回の健常者
である親御さんの便を採取してこちらに送って頂く。患者情報の匿名化等は
向こうでやって頂きます。
当研究所では主に私が担当させて頂きますが、送られてきた検体は鍵のか
かる冷蔵庫で保存します。便からバクテリア DNA を抽出して、研究所では
その解析がまだできませんので、外部委託機関である●●大学に依頼して、
そちらで 16S のメタ解析を行って頂きます。
結果をフィードバックして頂き、こちらで解析結果の分析を詳細に行います。
その結果を●●病院に提示する形になります。その治療で悪くなることはない
と思いますが、よくなった場合には患者および健常者から採取した便から細菌
を単離培養して、ノトバイオートマウスを作成して、分子生物学的な機構の解
明に努めたいと思っています。以上が説明になります。ありがとうございまし
た。
北川委員長:ありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメント等
ございましたらお願い致します。
そうすると、これは IBD の患者さんに対しては本邦初の治療ということにな
るのでしょうか。
渡辺 JRA:成人では何例かやられているようです。全世界的に 16 歳未満が小児にあたる
わけですが、17 歳ということなので極めて成人に近い患者さんということで、
初ではないですが、学会レベルでもまだ症例報告レベルでしかないというよう
な状況です。
井川委員:それは何例ぐらいですか。
渡辺 JRA:成人に関してはその数はまだ把握していないのですが、例えば 15 歳以下の小
児であれば今まで 9 例ほどされています。その内 3 分の 1 は寛解まで持ってい
った。3 分の 1 はあまり効かなかった。残りの 3 分の 1 は少しよくなったとい
37
うような報告はあるようです。
井川委員:成人についてはどうですか。
渡辺 JRA:すみません。成人についてはかなり数が多いので。
井川委員:かなり数が多いのですか。
渡辺 JRA:はい。実は 2 年前にオランダの医師がこの治療を始めたようですが、それはさ
きに申しましたとおり、偽膜性腸炎という別の病気にされました。その報告で
は 16 例中 15 例が寛解されたということですが、IBD の患者さんに対する数は
現状では把握できていません。
北川委員長:これは糞便そのものを移植するのですか。
渡辺 JRA:糞便そのものというのは移植しづらいので、それを簡単に言うと布みたいなも
ので濾して水溶性のものにして、大腸内視鏡を挿入して大腸に散布していくと
いうような形になります。
北川委員長:バクテリアだけにしてということはないわけですね。
渡辺 JRA:仰るとおりで、そこが僕らの最終的な目標になります。ただ、沢山のバクテリ
アの中でどれが有効なのかは今だにわかっていません。最近では例えばクロス
トリジウム 17 株が Treg を誘導する、またはセグメンタルバクテリアが Th17
を誘導するとかがわかってきたというような状況なので、先生のおっしゃると
おり、そういうことが目標になります。それができれば一番倫理的にも問題な
いのですが、そこまでの過程には相当なハードルがあるのですが、僕らはその
ような治療を目指して研究を行っている状況です。
北川委員長:いかがでしょうか。本委員会ではあまりこういう臨床の現場に近いような審
査案件はあまりないのですがいかがでしょうか。
渡辺 JRA:よろしくお願いします。
佐谷委員:効果があった場合は繰り返し行うのでしょうか。
渡辺 JRA:そこもまだコンセンサスが得られていない状況になりますが、定期的に観察を
しつつ、悪くなってくればまた同じような方法で行っていくことになると思い
ますが、向こうの●●病院の医師と相談しながら(行う)というような方向に
なっていくと思います。
佐谷委員:今回は何をもって評価を行うのですか。
渡辺 JRA:今回の場合はやはり臨床的な側面からの判断になりますが、移植をしてから定
期的にもちろん採血、内視鏡での視覚的な評価、IBD のスコアがありますので、
それに照らし合わせて定期的に行っていくというような状況です。
井川委員:資金の調達方法の科学研究費というのは一体何ですか。
渡辺 JRA:科研費です。
井川委員:頭に何か、文科省の科研費なのか、厚労科研費なのか。これは何の科研費です
か。
38
渡辺 JRA:厚労科研費です。すみません。また確認をしてご提示させて頂きます。
井川委員:科学研究費というのは何かいろいろあるでしょうから、これだとよく(わから
ない)
。
渡辺 JRA:もう一回調べさせて頂きます。
井川委員:いずれにせよ公的な資金。
渡辺 JRA:そうです。
北川委員長:そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
では、一旦退室してください。
渡辺 JRA:ありがとうございました。
(申請者側退室)
北川委員長:いかがでしょうか。こういうのはちょっと荷が重いですけれども。
井川委員:荷が重いですけれども、これは早くやらないといけないんでしょう。
北川委員長:早くやらないと手術しないといけない。
井川委員:腸をとるかとらないかという 17 歳の男子だから、人生にとっては重大な岐路
ですよ。
北川委員長:そうですね。害がないというのであれば……。
井川委員:重篤な有害事象の報告はないということで。
北川委員長:よろしいですかね。では、お呼び頂けますか。
(申請者側入室)
北川委員長:どうもありがとうございました。
それでは、一応内容については承認させて頂きたいと思いますが、先程の科
研費についての記載を少し修正して頂くこと。
それと利益相反に関しては、新しい書類を全部出すことになっていますので、
そちらもご協力をお願い致します。
では、条件付き承認ということでよろしくお願いします。ありがとうござい
ました。
渡辺 JRA:ありがとうございました。失礼します。
(説明者退室)
【H27-8】「小児炎症性・先天性腸疾患における糞便移植」
統合生命医科学研究センター
消化管恒常性研究チーム
チームリーダー 本田賢也
○条件付きで承認する
条件:
1.「11.研究資金の調達方法」について、資金の出所が明確になるよう修正すること。
2.利益相反に係る報告を確認した後、承認することとする。
39
北川委員長:どうもありがとうございました。それでは、審査事項はこれで終了ですが、
報告事項がありますのでよろしくお願いします。
3.報告事項
・
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改正に係る規程改正について
事務局:
「人を対象とする研究に関する倫理規程類の改正について」ということで、医学系
指針が今年度より施行されておりますので、その改正に伴う所内の規程の改正内
容についてご説明します。
3.報告の資料です。本件については 3 月 9 日に研究倫理協議会(各事業所研究倫理委員
会の親委員会)で規程の改正等について協議し、4 月 8 日付でこの規程類を改正
しました。改正した規程については、人を対象とする研究に関する倫理規程類、
その細則、研究倫理委員会等設置細則、研究申請書の記載事項についてです。
1 ページの下の改正点を簡単にご説明します。
まず、改正点の 1 つ目は倫理規程の第 1 条です。この第 1 条でこの規程に係る
研究について定義しております。ヒト iPS 細胞を用いた臨床研究については、ト
ランスレーショナルリサーチの範疇で、倫理規程の中から除外しておりましたが、
再生医療等の安全性の確保等に関する法律が施行され、ヒト iPS 細胞を用いた研
究は、新しい再生医療新法の中で規制されますので、再生医療新法に係る特定細
胞加工物の製造も除外しました。
改正点 2 は、
倫理審査委員会の委員等への教育が第 6 条 3 項に追加されました。
第 9 条は前回の組織改編時、本来ならば「理事長」と記載すべきところを「所
長」が残っておりましたので、この修正になります。
改正点 3 は、第 11 条に新たに倫理委員会が調査を行うことができるという条
項が追加されましたので、第 11 条 6 項に「委員会は、調査のほか必要と認める
事項について調査を行うことができる」、第 7 項には「理事長は、委員会が行う
調査に協力しなければならない」を追加しました。
第 12 条にはインフォームド・コンセントについて記載されておりますが、新
しい指針では研究対象者のリスク負担により、必ずしもインフォームド・コンセ
ントを受けることを要しないものが規定された為、
「原則として」という文言を
追加しました。なお、国の指針等に従って実施すること。
「国の指針等の適用を
受けない研究においては、指針等に準じて行うものとする」という文言を追加し
ました。
改正点 4 は、第 12 条のインフォームド・コンセントですが、新しい指針では
40
文章による同意を必ずしも要しないが、あらかじめ同意を得ることが求められて
いるので、この「文書による」という言葉を「あらかじめ」に置き換えました。
改正点 5 は、同意撤回が困難な場合の但し書きを新しい指針に合わせてて追記
しました。
第 15 条は、誰がどのような教育を行うのかを委員及びその事務に従事する者
に対する教育について、3 項に追加しました。
それ以降は細則の改正です。細則の第 3 条第 2 項第 3 号に、他の研究機関と共
同して実施する研究に係る研究計画において、各研究機関の長からの依頼に基づ
き、一つの倫理審査委員会において、研究全体について一括審査する場合につい
て、理研の倫理委員会で改めて審査する必要がないという項目を追加しました。
例えば●●大学の大きなプロジェクトに参画するといった場合、●●大学の倫
理委員会で承認されていれば、こちらは確認で良いといったような内容になると
思います。
細則の改正点 2 は、第 4 条はまた前回組織改編時に修正漏れで、本来「理事長」
とすべきところを「所長」という文言が残っておりましたので修正しました。
第 8 条は「バンク」という言葉が新たに「試料・情報の収集・分譲を行う機関」
という言葉に変わりましたのでその修正です。
委員会設置細則の改正点は、委員会の構成要件、成立要件が大幅に変わりまし
た。ほぼこの新しい指針に規定された委員構成を反映しておりますが、こちらの
委員会ではヒト ES 細胞、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に係る審査も行っており
ますので、この委員構成と齟齬がないように調整し、記載としました。
研究計画申請書の記載事項は、規程・細則の改正点について現状にあわせて第
1 項には、MRI と PET を用いて、被験者を対象とする研究については別表第 4
に追加する。または PET という文言が加わりました。
第 5 号はバンクです。収集・分譲を行う機関における研究計画書を新たに追加
しました。
改正点 2 は、研究計画の記載事項についてそれぞれの計画申請書にこの赤文字
で記載のとおり、新たに加わった項目を追記しております。共同研究機関は名称
だけしかなかったのですが、責任・役割といったもの、従前から記載されている
ものもありますが、こちらは赤文字のものを改めて指針にあわせて追記しており
ます。
改正点 3 も、バンク事業に係る計画書への記載事項を新たに別表で追加しまし
た。以上です。
北川委員長:どうもありがとうございます。何かご質問等ございますか。
鈴木所長:委員会の委員に教育を行うと書いてあるところがありますが、委員会の委員の
先生は既にそういう知識を持っている人だと思うので、そういう人に関して教育
41
を行うというのは何となく違和感があるのですが、これは指針上でこういう使い
方をするのですか。
事務局:そうですね。指針のとおりになるのですが、主に想定しているのは委員会の場で、
理化学研究所の規程等について情報提供ですとか、最近の倫理に係るような情報
の提供をできましたら、それを教育・研修といった形に変えさせて頂ければいい
のかなと考えております。それぞれの委員会のやり方にもよると思いますが、委
員会によってはあらかじめ 1 時間とっておいて、講師を呼んでといったことをし
ているところもあるそうです。
鈴木所長:何となく感覚としては情報提供とか、教育というよりも今仰られたようにそう
いう感じかなという気がしますよね。
事務局:そうですね。
井川委員:同僚でこれを担当しているのに聞くと、この審議の場では全国の倫理委員会の
質が悪いから、こういう不祥事が相次ぐんだというご指摘が結構あったらしく、
それは本来寄って立つべきヘルシンキのことも御存じないとか、あるいは逆に専
門家、非専門家の立場で参加している人は正に僕ですが、研究の有用性とか学術
的な意義であるとかそういったことがわからないことが多い。それに新規技術が
出てくるとそれについては、iPS とか ES はもう既に大分広く知れ渡っています
が、今後また全くわからないような新規のものが出てくると、ご専門の方はご承
知でも、ほかの人にはわからず、大事なんだからやらせてねと言われて「はあ」
と言っているだけだといけないということもあるのでしょうからという趣旨の
ようです。
鈴木所長:ありがとうございます。
北川委員長:ありがとうございました。では、よろしいでしょうか。
では、次の議事次第の 4 番、審議事項についてもよろしくお願いします。
4.審議事項
・
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改正に係る申請様式の変更について
事務局:それでは、医学系指針の施行に伴う横浜事業所の研究計画書の申請書の様式変更
について簡単にご説明します。
基本的には極力他の事業所と様式を合わせる形で、特に和光事業所の様式に即
した形で内容を変えさせて頂いております。
実際に 3 ページの下のヒト由来試料情報については、取得機関ごとにわかるよ
うにカラムをつけた形で様式を変更しています。
4 ページから 5 ページにかけて、横浜は共同研究機関が多い事情もありまして、
どの機関のことを言っているのかわかりづらいというところもあったため、極力
理研で行うべきことは理研の本体の計画書、共同研究機関で行うことは共同研究
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機関で別紙に書くような形で、どの機関がどのようなことをやっているのかがわ
かるような形の様式変更としています。
それ以外に関しては、7 ページの解析結果等の開示においては、理研でサンプ
ルを採取する場合については理研の責任にチェックをする。相手先であれば相手
先の共同研究機関の責任で判断するにチェックするという形で、組分けしている
状況です。
7 ページの 5 番では、ヒト由来試料及び情報を共同研究機関以外の外部へ提供
する場合という記載となり、旧様式では委託する場合となっておりましたが、共
同研究機関以外の外部へ提供することもあり得るので、その内容も加味した記載
としております。
8 ページの 6 番は、先程事務局からも説明しましたが、
「バンク機関」という名
称から新指針では「試料・情報の収集・分譲を行う機関」という言い方になって
いるので文言を変えています。
8 ページの 7 では、研究期間終了後の理研でのヒト由来試料及び情報保管・廃
棄については、こちらも先程のヒト由来試料・情報と同じように、取得機関ごと
にカラムを分けて、各機関で終了後どういう保管または廃棄の体制になっている
のかというような組分けとした様式としております。
更に 9 ページの 8 の研究資金の調達方法は、公的、民間と分けるようにチェッ
クボックスを作っております。また、利益相反委員会における審査状況というこ
とで、先程も説明しましたが、旧様式では今回のとおり研究実施者一覧に利益相
反の結果の模範を付けさせて頂きました。この新様式が運用されて以降は、この
利益相反委員会における審査状況で研究実施責任者が、当課題の研究実施者につ
いて利益相反の結果を集約して、こちらの項目に反映させる形をとらせて頂けれ
ばと思います。
更に 10 ページでは、理事長への報告内容及び方法、また 11 の提供者及びその
関係者からの相談等への対応については、先程事務局からも報告があったとおり、
新しい指針になって計画書に記載すべき事項に追加された内容なので、同じくこ
の計画書にもその項目を追加しております。
研究実施参加者一覧の記載内容はこのような形をとらせて頂きます。
さらに 12 ページは別紙の共同研究機関で、共同研究機関で行う役割について
記載して頂く形です。また、解析結果の開示についても相手先でどうかというこ
とでこのような形にしました。
こちらの新様式の運用については、こちらで調整を図ってまとまった段階で、
この新様式で運用をさせて頂ければと思います。また、この様式の微調整につい
ては、事務局にご一任頂ければ幸いです。簡単ですが以上です。
北川委員長:ありがとうございました。こちらの細則のほうはいいのですか。
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事務局:細則のほうもこの様式の件で、特にご意見等がなければ進めさせて頂ければと思
います。
北川委員長:ありがとうございました。それでは、只今のご説明についてご審議をよろし
くお願い致します。
井川委員:新様式の例えば 8 ページに、理研がバンク機能を果たして試料を提供するケー
スについて、提供者から同意を得ている必要があるというのが「*」の後にある
のですが、これは一般ルールとしては、この色々な倫理規程類の改正の中には「原
則として」というのがあるんですよね。
何を言いたいかというと、こういう「原則として」とか、もうそれを守らなけ
れば一切アウトかどうかというのと、色々な条件を加味してできる場合とをしっ
かり書いてあげないと、この「原則として」が入っているか、入っていないかで
医学データとか医学試料というのは流通が滞って研究できないことが結構ある
んですよね。
やはり倫理審査は研究を止めるためではないので、健全に進めて頂くためのも
のであるという趣旨からすると、これは全部チェックされて、原則としてなのか
絶対だめなのかというので誤認が起きないように、
「原則として」とかのものは
ちゃんと落とさないようにしないと、何か止めるための倫理審査みたいなことに
なってしまいます。細かい点ですが、そこは申請する段階で研究者の人がひるん
でしまうようなものになってしまうとよろしくないと思いました。
北川委員長:ありがとうございます。
事務局:ありがとうございます。
北川委員長:そのほかご意見はございますか。
神里委員:様式自体についてではないのですが、もう一回教えてください。迅速審査に関
してこれは使わないのですか。
事務局:迅速審査についてもこちらで調整を図って、かたまりましたらこの新様式のほう
でやらせて頂くのですが、もちろん今まで承認された内容がありますので、その
内容をこの新様式のほうに移して、それで改めてその課題で変更が出た時に、こ
の新様式の運用が始まりましたら、この新様式で迅速審査も(やりたいと思いま
す)
。
神里委員:昔のものも全部こちらに移してもらうということですね。
事務局:そういう予定ではおります。
神里委員:それと、迅速審査の範囲というのが、こちらの先程の審議事項4のところを見
る限りですと、まさに指針どおりの文言が入っているわけですが、実際の文言は
多分これよりも狭めているんですかね。先程も主たる研究機関で通っていたもの
がここに来ていたと思いますが、実際の運用はどのようにしたのか基準を教えて
頂けますか。
44
事務局:基本的には新規で行う研究については、倫理委員会で審査をして頂くというよう
な状況ですが、迅速審査の申し合わせ事項を以前こちらの倫理委員会にかけて、
要は主たる研究が共同研究機関にあり、理研では研究の一部を行うだけで、その
相手先の共同研究機関の研究実績も過去にある共同研究機関であれば、それが新
規の課題であっても迅速審査で対応するなど、迅速審査の申し合わせ事項の条件
に一致するものについては、新規でも迅速審査で対応するような形にしておりま
す。
それ以外の既に承認されている研究での軽微な変更、共同研究機関の追加や研
究方法の更新とか、そういったことについては迅速審査でかけているという状況
です。
神里委員:わかりました。ありがとうございます。
北川委員長:そのほかはいかがでしょうか。
それでは、さらに文言等でお気づきの点がございましたら、事務局にご連絡を
頂きたいと思いますので是非よろしくお願い致します。
・
「横浜事業所研究倫理委員会運営規則」改正について
事務局:運営規則の改正について簡単にご説明致します。
こちらについては指針が改正されたことに伴って、運営規則も反映させている
形となりまして、具体的には第 3 条の委員会の成立要件で、以前は、委員会は人
文・社会科学面または一般の立場の委員が 1 名以上出席し、かつ委員の過半数の
出席により成立するというような形になっておりましたが、指針が施行されてこ
の記載のとおり、イからハに掲げるものについては、それぞれ他を同時に兼ねる
ことはできないとなっておりますので、そのような形で新しい指針に即して運営
規則の記載も変更しております。
申し訳ございません。イの「生物学に関する有識者、医学に関する有識者」の
後、ロ、ハも同様に「を含むこと」という文言が抜けていますので、そちらは訂
正させて頂ければと思います。
次ページの上段で、審査の判定についても新しい指針に即して記載内容を変更
しております。審査の判定は出席委員の 3 分の 2 以上であったのが、
「全員の合
意を原則とする」と書いております。「ただし、審議を尽くしても意見がとりま
とまらない場合に限り、大多数の合意をもって委員会の意見とする」という記載
に変更しております。以上です。よろしくお願い致します。
野村委員:まず 3 条は、もともとは委員会の運営規則のいわゆる定足数の話です。記載の
仕方だと思うけれども、これだと何か選任要件みたいに読めるので、例えばこれ
は 5 名以上を必要とする。ただし、その 5 名の中には必ずイ、ロ、ハの各 1 名、
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男性・女性が参加していることというような形にしたほうが(良い)。これだと
選任要件のように読めますが、選任要件はもっと上位の規範で決まる話です。こ
れは定足数の話だと思うので、記載の仕方としては変更した方がよいと思います。
あと 5 名以上というのは、今は 9 名なので要するに過半数ということだと思い
ます。上位規範を読んでいないのですが、上位規範が仮にこの倫理委員会で例え
ば 8 名以上となっていたとすると、15 名、20 名が選任される可能性もあります。
そうすると 5 名以上というのが本当に適切かは、そこを確認していないから何と
も言えないのですが、もし 9 名と上位規範で確定しているなら 5 名以上でいいの
ですが、そうでなければ過半数としたほうが運営規則としてはいいと思います。
4 条 4 項の大多数というのは、これは解釈によるので、例えば 9 名が確定して
いるなら 7 名以上とか 8 名以上としないと、何をもって大多数というのかわから
ないので、ここは法律家の立場としてはどうかと思います。
あわせて 6 条の議事録の非公開議決という議決要件も、多分 4 条 4 項と同じだ
とすれば、そこも明確にしたほうがいいと思います。以上です。
北川委員長:ありがとうございます。事務局、よろしいですか。
事務局:はい。こちらについては各事業所とすり合わせをした結果、このような文言でや
らせて頂いているのですが、今ご意見を頂いたことを含め、その検討をさせて頂
ければと思います。
北川委員長:正に仰るとおりですから直さないといけないのではないでしょうか。
事務局:はい。
事務局:ちなみに 5 名以上については、人を対象とする医学系の倫理指針のほうでそのよ
うに書かれていますので、過半数という文言ではございません。
野村委員:当委員会の委員は 9 名と確定人数で、上位規範で決まっているのですか。例え
ば、それが何名以上となっていると、この 5 名以上というのは過半数の意味、今
は9名で 5 名というのは過半数とわかるんです。
事務局:そうですね。そういう書き方ではないので、ここは 5 名以上という書き方でも差
し支えないと思います。
野村委員:ですから、上位規範の中で当委員会の委員会が 9 名と確定人数で定まっている
なら安心なんですよ。それが例えば、上位規範の中で委員が 8 名以上となった時
に、仮に 15 名が上位規範で選任されることがあり得るじゃないですか。そうし
たら 5 名以上というのは、委員会の定足数としては全く(足りない)
。
事務局:設置細則の中で委員会の構成要件として 10 名以内。
事務局:それは以内です。
野村委員:10 名以内ということが書いてあるのですか。そうであれば 5 名以上でわかりま
すが、3 条の書き方は何か選任要件に見えるので、繰り返しますが定足数の形を
意識した文言にして頂くことをお願いしたいと思います。
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事務局:ありがとうございます。
北川委員長:そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、大変失礼致しました。5 番の報告をお願い致します。
5.報告事項
・迅速審査結果、研究実施場所の追加・削除、所属変更に伴う変更
事務局:迅速審査結果について報告します。資料の報告 5 をご覧下さい。
平成 27 年 4 月 20 日に平成 27 年度第1回迅速審査が行われ、計 12 件の変更
申請の審査が行われました。これら 12 件の変更申請については、横浜事業所研
究倫理委員会運営規則第 4 条第 7 項の「既に承認されている研究計画の軽微な変
更」に該当すると判断され承認となりました。
資料の中で「※」のついている 4 件については、迅速審査で条件つき承認と判
断された後に、条件に対応し承認された課題です。条件が付いた課題【H17-16】
は共同研究機関となっている機関との間に利益相反がないことを確認すること
をもって承認することとするという条件が付きました。
【H17-32】は、共同研究機関の削除に伴い、理研の計画書上で予定人数の削除
がないのか確認するという条件と、共同研究機関の研究計画書について研究終了
後の理研でのサンプル保管についての記載を削除し、研究終了後は共同研究機関
において保管する旨、記載を修正するということです。
【H17-33】はこちらも同様に共同研究機関の削除に伴い、理研の計画書上で予
定人数の削除がないのか確認するという条件が付いております。
【H21-15】は、理研の計画書上で既に共同研究機関となっている●●●●から
理研にサンプルを提供してもらい、その解析したデータが今回追加される●●●
●に提供されることについて、●●●が了承しているのかを確認することをもっ
て承認することとするという条件と、●●●の倫理審査承認書を確認することを
もって承認することとするという条件がつき、それぞれ条件に対応し承認されま
した。
5 ページ以降については、研究実施場所の追加・削除が 5 件と、6 ページが所
属に伴う変更計 4 件について所内稟議にて承認されました。詳細は資料をご確認
下さい。簡単ではございますが、報告は以上です。
北川委員長:ありがとうございました。以上でよろしいでしょうか。
井川委員:利益相反を厳しく見るようになったとして、この研究資金の調達方法の追加だ
とか、製薬会社から資金が加わりましたとかいうのは、今後も報告事項で終わり
ですか。それは底抜け脱線ゲームみたいなことになってしまって、最初は理研研
究費で出しておいて後からドカドカ、製薬会社から来ましたといって、それは研
究資金調達方法の改善として書かれてしまうとどうしようもない。それはいかが
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なものかという感じがします。
北川委員長:そうですね。今後については、それはだめだと思います。それはこの委員会
か利益相反の委員会かわからないですけれども、ちゃんともう一回審議しなけれ
ばいけないと思います。
井川委員:今のように機械的な基準だと後でトラブルの原因になりかねない気がします。
検討願えればと思います。
北川委員長:ありがとうございます。
事務局:では、その点については迅速審査から外すほうがよろしいですか。
井川委員:一律に言われてもちょっと困ってしまうんですけれどもね。
事務局:では、北川先生にご判断頂いて。
北川委員長:どこに振るかを考えます。終わったものというか、これはまだそれが出てく
る前の話ですので、これはもう仕方ない。
井川委員:あくまで今後です。
北川委員長:今後はそうしないといけないと思います。
よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
鈴木所長により、閉会に際し挨拶があった。
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