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プレスリリース全文(PDF/144KB)
プレスリリース
2011 年 9 月 7 日
報道関係者各位
慶應義塾
慶應義塾は、1996 年から医学・生命科学の領域において顕著かつ創造的な業績を挙げた研究
者を顕彰してきました。過去には、本賞受賞者からノーベル賞受賞者を 5 名輩出しており、国内
の大学において他に類を見ない顕彰制度です。第 16 回目を迎えた本年の慶應医学賞受賞者は財
団法人東京都医学総合研究所の田中啓二博士、米国スタンフォード大学教授の Philip A. Beachy
博士の 2 名に決定いたしました。
1.第 16 回慶應医学賞受賞者(詳細は、添付資料をご参照ください)
田中 啓二(たなか けいじ)博士
財団法人東京都医学総合研究所 所長
授賞研究テーマ 「蛋白質分解酵素複合体プロテアソームの発見と作動機構の解明」
Philip A. Beachy(フィリップ A. ビーチィ)博士
米国スタンフォード大学教授、ハワード・ヒューズ・メディカル・インスティテュート研究員
授賞研究テーマ 「Hedgehog 遺伝子の発見とその機能解明および医学的応用」
2.授賞式および受賞記念講演会について
授賞式ならびに受賞記念講演会を以下の通り開催致します。イベント欄への掲載並びに、
ご取材いただけますよう、お願い申し上げます。
時:2011 年 12 月 6 日(火)午後 2 時∼午後 5 時 30 分(予定)
場:慶應義塾大学信濃町キャンパス北里講堂(北里記念医学図書館 2 階)
(東京都新宿区信濃町 35 番地
交通:JR 総武線・信濃町駅下車徒歩 2 分)
参 加 費:無料(一般・研究者・学生の方を対象とします)
使用言語:授賞式(日本語・英語<同時通訳有>)
、講演会(英語<同時通訳有>)
日
会
※ご取材の際には、事前に下記までご一報くださいますようお願い申し上げます。
※本リリースは文部科学省記者会、科学記者会、厚生労働記者会、厚生日比谷クラブ、各社科学部・社会
部、科学系専門誌等に送信させていただいております。
<本発表資料に関するお問合わせ先>
慶應義塾医学振興基金事務室(後藤、村岡)
TEL: 03-5363-3609 FAX: 03-5363-3507
E-mail: [email protected]
http://www.ms-fund.keio.ac.jp/prize/index-j.html
<発信元>
慶應義塾大学信濃町キャンパス総務課(吉野)
TEL: 03-5363-3611 FAX: 03-5363-3612
E-mail: [email protected]
http://www.hosp.keio.ac.jp/
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添付資料(1)
慶應医学賞について
1.慶應義塾医学振興基金設置の経緯
1994 年秋に本学医学部の卒業生である坂口光洋(さかぐち みつなだ)氏(1940 年卒業)から「義塾に
おける医学研究の奨励と創造的発展に貢献するとともに、世界の医学の進歩に寄与する」ことを念願して
浄財 50 億円が寄付されました。これを受けて慶應義塾は、
『慶應義塾医学振興基金』を設置し、1995 年
4 月 1 日より活動を開始いたしました。さらに 1999 年 7 月には 20 億円の追加寄付を得て、総額 70 億円
をもとに慶應医学賞の授与、医学国際交流事業、医学研究奨励事業、医学研究助成事業、坂口光洋記念講
座、という基金事業を行っています。
2.慶應医学賞の目的
世界の医学・生命科学の領域において医学を中心とした諸科学の発展に寄与する顕著、かつ創造的な研究
業績をあげた研究者を顕彰することにより、世界の医学・生命科学の発展に寄与し、ひいては人類の幸福
に貢献することを目指します。
3.審査・選考および概要
世界各国の著名な研究者および研究機関から推薦された候補者の中から、数次にわたる厳正な審査を経て、
最終審査委員会で学内外 13 名の審査員が受賞者を決定しております。受賞者には、賞状とメダルおよび
賞金 1,000 万円が贈呈されます。授賞式は慶應義塾大学で行い、受賞者による受賞記念講演会等を開催い
たします。
4.主な歴代受賞者
第 1 回(1996 年)
Stanley B. Prusiner 博士:プリオンの発見とプリオン病の解明(1997 年ノーベル生理学・医学賞受賞)
第 4 回(1999 年)
Elizabeth Helen Blackburn 博士:テロメアとテロメラーゼ(2009 年ノーベル生理学・医学賞受賞)
第 7 回(2002 年)
Barry J. Marshall 博士:ピロリ菌に対する診断、治療法を確立(2005 年ノーベル生理学・医学賞受賞)
第 9 回(2004 年)
Roger Y. Tsien 博士:生きた細胞内のシグナル伝達の可視化と計測技術の開発(2008 年ノーベル化学賞
受賞)
第 11 回(2006 年)
Thomas A. Steitz 博士:リボソームの構造解明及びそれに基づく次世代抗菌薬の開発(2009 年ノーベル
化学賞受賞)
第 15 回(2010 年)
審良静男 博士:自然免疫システムにおける微生物認識と免疫応答機構の解明
Jules A. Hoffmann 博士:昆虫における自然免疫システムと Toll 受容体の発見
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第 16 回慶應医学賞受賞者紹介
添付資料(2a)
田中 啓二(たなか けいじ)
財団法人東京都医学総合研究所 所長
1949 年 4 月 10 日生まれ(徳島県出身)
1.授賞研究テーマ 「蛋白質分解酵素複合体プロテアソームの発見と作動機構の解明」
生命現象を支える中心的機能性分子である蛋白質は、mRNA で定められた秩序に従って細胞内で合成さ
れ、一定時間の後に速やかに分解されます。従来の蛋白研究の主力は専ら、その合成系でありましたが、
現在では合成・分解のいずれが破綻しても生命現象には重大な支障が生じることがわかっています。田中
啓二博士は、蛋白質分解機構の重要性にいち早く注目し、細胞内の不要な蛋白質を選択的に分解する ATP
依存性の蛋白質分解酵素を発見し、プロテアソームと命名し、プロテアソームの構造・機能・病態生理に
関する先駆的研究で世界を席巻しています。さらに細胞性免疫における自己・非自己識別に関与する免疫
プロテアソームの発見や、胸腺での T 細胞分化に関与する胸腺プロテアソームの発見は、分子免疫学の発
展に大きく貢献しました。最近ではプロテアソームと並ぶ細胞内蛋白質分解機構であるオートファジーの
研究においても先進的な成果を挙げており、博士の業績は極めて広範な領域の細胞生物学・医学研究に影
響を与えております。
2.略歴
1972 年 3 月
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1980 年 3 月
1981 年 5 月
1995 年 6 月
1996 年 4 月
2002 年 10 月
2006 年 4 月
2011 年 4 月∼現在
客員教授(現在)
徳島大学医学部栄養学科卒業
徳島大学大学院医学研究科博士課程中退
徳島大学酵素研究施設・助手
医学博士
米国ハーバード大学医学部・研究員(2 年間)
徳島大学酵素科学研究センター・助教授
(財)東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所分子腫瘍学研究部門・部長
(財)東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所・副所長
(財)東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所・所長代行
(財)東京都医学総合研究所・所長
東京大学・新潟大学・東京医科歯科大学・お茶の水女子大学・筑波大学
3.受賞者からのコメント
本年度慶應医学賞を受賞できましたことは、身に余る光栄であります。私は過去四半世紀以上に亘って、
細胞内タンパク質分解、特にプロテアソーム(巨大で複雑なタンパク質分解装置)を中心にその作動機構
の解明と病態生理に関する医学研究に邁進して参りました。一人の研究者がその興味の赴くままに進めて
きた研究が、このような栄誉に輝いたことは、望外の歓びであります。勿論、本成果は私一人で成し遂げ
たものでなく、多くの優れた先輩、同僚、後輩たちの惜しみない支援の賜物であり、これらの方々に深謝
すると共に今後もこの名誉ある国際賞に恥じない研究を続けてわが国の生命科学の発展に貢献していき
たいと思っています。
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添付資料(2b)
第 16 回慶應医学賞受賞者の紹介
Philip A. Beachy(フィリップ A.ビーチィ)
米国スタンフォード大学教授、ハワード・ヒューズ・メディカル・インスティテュート研究員
1958 年 10 月 25 日生まれ
1.授賞研究テーマ 「Hedgehog 遺伝子の発見とその機能解明および医学的応用」
ヒトなどの多細胞生物は一個の受精卵として誕生し、細胞分裂・分化、形態形成など様々な過程を経て、
複雑な体制をもつ個体へと発生します。どのようにして秩序ある身体が形成されるのかという発生・分化
の分子メカニズムは、多くの生命科学者をとらえた大きな命題でした。Beachy 博士は、その発生・分化
の過程で特に重要な役割を果たす Hedgehog 遺伝子を同定し、その機能をショウジョウバエや哺乳動物を
用いて明らかにしてきました。さらに、博士は、Hedgehog 分子が正しく機能するためにはコレステロー
ルによる修飾を受ける必要があることを見出し、Hedgehog 分子の重要な生化学的性質を明らかにしまし
た。このように、Beachy 博士による Hedgehog 遺伝子の発見は、発生・分化研究にブレークスルーをも
たらし、その分子メカニズムの理解を大いに進めました。近年は、がん細胞の増殖において Hedgehog シ
グナルが重要な役割を果たしていることを見出し、さらに、このシグナルが cyclopamine という植物由来
の天然化合物によって特異的に阻害されることを発見しています。この発見により難治性の脳腫瘍である
髄芽細胞腫や皮膚の基底細胞がんの治療薬の開発が進んでいます。
2.略歴
Carnegie Institution of Washington
1986 年∼1988 年
Staff Associate, Department of Embryology
Johns Hopkins University School of Medicine
1988 年∼1993 年
Assistant Professor, Department of Molecular Biology and Genetics
1993 年∼1998 年
Associate Professor, Department of Molecular Biology and Genetics
1998 年∼2006 年
Professor, Department of Molecular Biology and Genetics
2004 年∼2006 年
Professor, Department of Oncology
Stanford University School of Medicine
2006 年∼現在
Professor, Department of Developmental Biology
2007 年∼現在
Ernest and Amelia Gallo Professor in the School of Medicine
2011 年∼現在
Professor, Department of Biochemistry
HHMI
1988 年∼1996 年
Assistant Investigator, Johns Hopkins University School of Medicine
1996 年∼2000 年
Associate Investigator, Johns Hopkins University School of Medicine
2000 年∼2006 年
Investigator, Johns Hopkins University School of Medicine
2006 年∼現在
Investigator, Stanford University School of Medicine
3.受賞者からのコメント
このたびは、慶應医学賞を受賞することができ、大変光栄に思います。授賞を決定して下さいました選考
委員会に、心より感謝申し上げます。本賞では、胚の発生と成長、成体臓器の再生、がんに関連する異常
増殖におけるヘッジホッグシグナル伝達の機序およびヘッジホッグシグナル伝達径路の役割を理解する
ための、我々の研究を評価して下さいました。私は、数多くの驚くべき発見を有能な多くの同僚ならびに
共同研究者と分かち合えたことを幸運に思っております。この研究に携わることができたことは私の喜び
であり、名誉でもあります。この研究活動から個人的なやりがいが得られたのみならず、研究が評価に値
することも認めて頂き、感謝の念に堪えません。
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