Comments
Description
Transcript
米国農務省(USDA)
Ⅰ 穀物 1 小麦 (1) 国際的な小麦需給の概要(詳細は右表を参照) 表-1 世界の小麦需給(米国農務省) (単位:百万トン) <米国農務省(USDA)の見通し> 年 度 【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比 - 生産量は、EU、中国等で前年度より増加するものの、カナダ、米国、豪州等で減 少することから、世界全体で史上最高であった前年度を下回り、697.0百万トンとな る見込み。 【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比 - 消費量は、EU等で増加するものの、飼料用需要の減少により中国、インド、米国 等で減少することから、世界全体で前年度を下回り、696.2百万トンとなる見込み。 【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比 - 世界全体の貿易量は、前年度より減少し、151.8百万トンとなる見込み。 国別には、輸出は、ロシアで前年度より増加するものの、EU、カナダ等で減少す る見込み。輸入は、EU等で増加するものの、イラン、ブラジル、アルジェリア等で 減少する見込み。 【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比 - 期末在庫量は、生産量が消費量を若干上回るため前年度より増加し、世界全体では 187.4百万トンとなる見込み。 国別には、カナダ、インド、米国で在庫が取り崩されるものの、中国、EU等で積 み増しされる見込み。 世界全体の期末在庫率は26.9%と前年度より上昇する見込み。 図-1 世界の小麦のシェア(2014/15年度) 生産量 7.0億トン その他 25% EU 21% 豪州 4% カナダ 4% 輸出量 1.5億トン 中国 18% ロシア 7% 米国 8% インド 13% アルゼン チン カザフス4% タン 5% ウクライ ナ 6% 豪州 12% その他 12% EU 18% 米国 17% ロシア 12% 生 産 量 EU 中国 インド 米国 ロシア カナダ 豪州 消 費 量 うち飼料用 中国 EU インド 米国 ロシア パキスタン エジプト 貿 易 量 (輸出) 米国 EU カナダ 豪州 ロシア ウクライナ カザフスタン (輸入) エジプト インドネシア ブラジル アルジェリア 日本 イラン EU 期末在庫量 中国 インド 米国 EU カナダ ロシア イラン 期末在庫率 2012/13 2013/14 (見込み) 657.3 133.9 121.0 94.9 61.7 37.7 27.2 22.5 679.2 136.6 125.0 119.5 83.8 38.3 33.6 23.9 18.7 137.2 714.0 143.3 121.7 93.5 58.0 52.1 37.5 27.0 702.8 133.0 123.5 117.0 93.9 34.1 34.0 24.1 18.9 162.0 27.4 22.6 19.0 18.7 11.3 7.2 6.3 144.3 8.3 7.1 7.4 6.5 6.6 6.6 5.3 175.3 54.0 24.2 19.5 10.6 5.1 5.0 4.1 25.8% 32.3 30.0 22.0 19.0 18.2 9.5 8.0 154.8 10.5 7.2 7.4 6.7 6.2 5.5 3.8 186.5 58.2 17.8 15.9 10.7 9.8 6.0 6.4 26.5% 2014/15 予測値 697.0 144.9 123.0 94.0 53.4 52.0 28.5 25.5 696.2 128.1 121.0 121.5 92.1 33.1 33.5 24.4 19.2 151.8 25.9 27.5 21.0 18.5 19.0 8.5 7.0 149.9 10.8 7.3 6.5 6.0 6.0 4.5 5.5 187.4 62.2 16.3 14.7 12.1 8.1 6.7 6.5 26.9% 前月予測 からの変更 - ▲ 2.4 1.1 1.1 0.5 ▲ 7.8 ▲ 0.2 ▲ 24.0 ▲ 5.6 ▲ 0.9 ▲ 3.7 ▲ 2.0 3.8 ▲ 2.0 ▲ 3.1 ▲ 1.5 1.2 1.6 ▲ 6.3 - ▲ 19.8 ▲ 8.3 ▲ 4.5 ▲ 2.6 4.4 ▲ 10.5 ▲ 12.5 ▲ 3.2 2.9 1.4 ▲ 12.2 ▲ 10.4 ▲ 3.2 ▲ 18.2 44.7 0.5 6.9 ▲ 8.6 ▲ 7.3 12.9 ▲ 18.0 11.6 1.6 0.4 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) カナダ 14% - 1 - 対前年度 増減率(%) (2) ア 小麦の主要生産・輸出国等の需給状況 米国 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、前年度より減少し、53.4百万トンとなる見込み。 消費量は、飼料用需要が減少することから前年度より減少し、33.1百万ト ンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、25.9百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、5年連続で減少するものの、輸出量が前年度より減少する ことから期末在庫率は25.0%と上昇する見込み。 【生育進捗状況及び作柄】 米国農務省「Grain:World Markets and Trade」(2014.5.9)によれば、米国 産小麦の生産量は、硬質赤色冬小麦(Hard Red Winter wheat,HRW)の生育地域 (カンザス州、オクラホマ州等)での寒波による凍害や乾燥による作柄の悪化 のため、前年度より7.8%減の53.4百万トンとなる見込み。 米国農務省「Crop Progress」(2014.5.19)及び「Weekly Weather and Crop Bulletin」(2014.5.20)によれば、5月18日時点の生育進捗状況は次のとおり。 <冬小麦> 主要18州では、出穂進捗率はほぼ平年並みの57%(平年同期58%)、作柄は 「良からやや良」の割合が先週(28%)よりわずかに低下して29%。 オクラホマ州(「良からやや良」の割合は5%)とテキサス州(同12%)の乾 燥による被害が著しい地域では、小麦を干草とする作業が続けられている。 <春小麦> 主要6州の作付進捗率は49%と平年(68%)を下回っている。地域別では、 太平洋北西部では平年より作付けが早いものの、ミネソタ州やノースダゴタ 州及びサウスダコタ州では作付けが平年より遅れている状況。 主要6州の発芽進捗率も24%と平年(40%)を下回っている。 【貿易情報・その他】 米国農務省「World Agricultural Supply and Demand Estimates」(2014.5. 9)によれば、2014/15年度の消費量は、食料用需要と種子用需要が増加するも のの、飼料用需要が減少することから、前年度から1.0百万トン減の33.1百万 トンとなる見込み。これは、他の飼料用穀物の供給が多く、価格も低いこと から、夏期の飼料用小麦の消費は限定的になると見られるため。 2014/15年度の輸出量は、他の主要輸出国の供給量が多く、米国国内での硬 質赤色冬小麦(HRW)の供給量のひっ迫により、前年度から6.4百万トン減の25. 9百万トンとなる見込み。 米国農務省「U.S.Export Sales」によれば、2014.5.15時点での2013/14年度 (2013年6月~2014年5月)の輸出成約高の累計は28.9百万トン、国別には、中国 が4.1百万トン(前年同期0.7百万トン)、ブラジルが4.0百万トン(同0.4百万ト ン)、メキシコが2.8百万トン(同2.7百万トン)、日本が2.6百万トン(同3.4百 万トン)。 また、米国農務省「Grain:World Markets and Trade」(2014.5.9)によれば、 2014/15年度の輸入量は、カナダ産小麦の生産量が減少するため、前年度より 減少する見込み。 - 2 - 我が国の輸入先国シェア1位(2013年数量ベース 52.1%) 世界の生産量シェア 4位(2014/15年度 7.7%) 輸出量シェア 2位(2014/15年度 17.0%) 表-2 米国の小麦需給(市場年度:6月~翌年5月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2 0 12 / 1 3 61.7 38.3 10.6 27.4 3.3 19.5 29.7% 2 0 13 / 1 4 (見込み) 58.0 34.1 6.0 32.3 4.8 15.9 23.9% 2 0 14 / 1 5 予測値 53.4 33.1 4.6 25.9 4.4 14.7 25.0% 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) - (参考) 収穫面積 (百万ha) 19.80 18.27 18.59 単収(t/ha) 3.12 3.17 2.87 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) 写真-1 ▲ 7.8 ▲ 3.1 ▲ 22.7 ▲ 19.8 ▲ 8.6 ▲ 7.3 1.0 1.8 ▲ 9.5 カンザス州コルビー地方(2014年4月25日撮影) -かなり乾燥した冬小麦畑- 写真提供:Dan O'Brien Extension Grain Economist, Department of Agricultural Economics Kansas State University イ カナダ【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、前年度より減少し、28.5百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、9.8百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、21.0百万トンとなる見込み。 輸入量は、ほぼ前年度並みの0.5百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率は26.2%に低下する見込み。 【生育進捗状況及び作柄】 国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.4.25)によれば、2014/ 15年度は、国内価格の低迷や前年度の期末在庫が高水準であることから、作付 面積は対前年度比6%減の9.8百万ヘクタールとなる見込み。生産量は、単収 が平年並みであれば、史上最高であった前年度(37.5百万トン)から23%減少し て29.0百万トンとなる見込み。 カナダ統計局「Principal field crop areas」(2014.4.24)によれば、3月 末時点の生産者の作付意向面積は、対前年度比4.8%減の10.2百万ヘクタール。 内訳は、春小麦7.3百万ヘクタール(対前年度比5.6%減)、デュラム小麦2.0百 万ヘクタール(同2.6%減)、冬小麦0.8百万ヘクタール(同2.7%減)。 カナダ農務省「Outlook For Principal Field Crops」(2014.5.16)によれば、 種類別・州別の作付状況は次のとおり。 《デュラム小麦》 2014/15年度の作付面積は、カナダ全体では対前年度比3%減となり、主産 地のサスカチュワン州では同1.5%減に留まるが、アルバータ州では同11%減 となる見込み。 《デュラム小麦を除く普通小麦》 2014/15年度の冬小麦の作付面積は、カナダ全体で対前年度比5%減となり、 東部では同11%減だが西部では前年度並みとなる見込み。凍害により他作物の 再作付けを要する面積は、前年度を下回るものの、3月下旬時点で冬小麦作付 面積の8%に上っており、その大半がサスカチュワン州とアルバータ州となる 見込み。また、直近の報告では、オンタリオ州の冬小麦作付面積の15%で他作 物の再作付けが必要となる見込み。 2014/15年度の春小麦の作付面積はカナダ全体で対前年度比6%減となり、 サスカチュワン州では同9%減となるが、マニトバ州では同4%減、アルバー タ州では同1.5%減に留まる見込み。 米国農務省「Wheat Outlook」(2014.5.13)によれば、前年度に比べて降雪量 が少なく温暖で雪解けも早いため、春小麦は例年よりかなり早い時期に作付け が可能となる模様。冬小麦は、プレーリーで乾燥型の天候が続き、オンタリオ 州でも枯死率が高くなっているが、カナダ全体の小麦の収穫量に大きな影響を 与えるほどではないと見られる。 - 3 - 我が国の輸入先国シェア2位(2013年数量ベース 27.1%) 世界の生産量シェア 6位(2014/15年度 4.1%) 輸出量シェア 3位(2014/15年度 14.0%) 表-3 カナダの小麦需給(市場年度:8月~翌年7月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2012/13 27.2 9.6 4.4 19.0 0.5 5.1 17.7% 2014/15 2013/14 (見込み) 予測値、( )はAAFC 37.5 11.2 6.0 22.0 0.5 9.8 29.6% 前月予測 からの変更 28.5 (29.6) 9.8 (9.5) 4.5 (4.8) 21.0 (22.2) 0.5 (0.0) 8.1 (9.4) 26.2% (29.7%) - (参考) 収穫面積(百万ha) 9.50 10.44 9.80 (9.83) 単収(t/ha) 2.86 3.59 2.91 (3.01) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) AAFC 「Outlook For Principal Field Crops(16 May 2014)」 写真-2 対前年度 増減率(%) ▲ 24.0 ▲ 12.9 ▲ 25.0 ▲ 4.5 2.1 ▲ 18.0 ▲ 3.4 ▲ 6.1 ▲ 18.9 カナダ中西部 サスカチュワン州メドステッド地方 (2014年5月5日撮影) -作付前の春小麦畑- 写真提供:Dr. Neal Blue, Consultant, Columbus, OH ウ 豪州 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、前年度より減少し、25.5百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、6.6百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、18.5百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は23.8%に上昇する見込み。 【生育進捗状況及び作柄】 米国農務省「Wheat Outlook」(2014.5.13)によれば、2014/15年度は、土壌 水分量が十分であることと小麦価格が高くなるとの予測から、作付面積は前年 度よりわずかに増加し、世界第3位の13.6百万ヘクタールとなる見込み。一方、 天候が平年並みに推移すれば、生産量は豊作であった前年度から1.5百万トン 下回る25.5百万トンとなる見込み。 豪州産冬小麦は、例年5月から7月にかけて作付けが行われるが、小麦産地 の大半の地域において夏期 (※) の降水量が十分であり、土壌水分量が増加して いる。ただし、ニューサウスウェールズ州北部とクィーンズランド州南部との 州境では、必要な土壌水分量の確保には更なる降雨が必要。 (※) 南半球では12月~2月 現地情報会社によれば、2014年4月30日時点の冬小麦の作付進捗率は、クィ ーンズランド州で40%、ニューサウスウェールズ州で30%、ビクトリア州で20 %、サウスオーストラリア州で30%、ウェスタンオーストラリア州で30%。 現時点では、生産者は小麦と菜種との価格を比較して小麦を作付するかどう かを判断しているため、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、サウスオ ーストラリア州では、小麦の作付面積の増加に伴い、なたねの作付けが減少し ている。 クィーンズランド州では、土壌水分不足やエルニーニョ現象の影響への懸念 から、比較的リスクが低い大麦やえん麦等の作付けが先に進められ、小麦の作 付けが遅れている状況だが、今後、降雨により土壌水分量が十分に確保できれ ば作付けが進むものと見られる。 ニューサウスウェールズ州では、最近の降雨により州中部や南部で適切な土 壌水分量を確保できており、現在、小麦の作付けが進められている。 ビクトリア州では、4月中に適度な降雨に恵まれ、土壌水分量も十分な状態。 サウスオーストラリア州では、4月の降水量は平年を上回り、土壌水分量が 完璧な状態で作付時期を迎えている。州内で最も乾燥している州南東部でも4 月は降水量が38mmと平年を1mm上回った模様。 ウェスタンオーストラリア州では、4月初旬の降雨により必要な土壌水分量 が確保できたことから、生産者は作付けを進めるものと見られる。 我が国の輸入先国シェア3位(2013年数量ベース 15.5%) 世界の生産量シェア 7位(2014/15年度 3.7%) 輸出量シェア 5位(2014/15年度 12.2%) 表-4 豪州の小麦需給(市場年度:10月~翌年9月) (単位:百万トン) 年 度 2014/15 2013/14 2 0 1 2/ 1 3 前月予 測 ( 見 込 み ) 予 測値、( ) はABARES から の変更 対前 年度 増減率 (%) 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 22.5 6.7 3.4 18.7 0.1 27.0 7.0 3.6 19.0 0.1 25.5 6.6 3.2 18.5 0.1 (24.8) (…) (…) (19.1) (…) - ▲ 5.6 ▲ 5.0 ▲ 11.1 ▲ 2.6 7.7 期末在庫量 4.3 5.4 6.0 (…) - 9.7 期末在庫率 16.8% 21.0% 23.8% (…) - 2.8 (参考) 収穫面積 (百万ha)※ 12.77 13.50 13.60 (13.64) 0.7 単収(t/ha) 1.76 2.00 1.88 (1.82) ▲ 6.0 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) ABARES「Agricultual commodities(March quarter 2014)」(※ABARESは作付面積) 図-2 オーストラリアの土壌水分量平年対比 (2014年5月1~15日) -産地の土壌水分量は概して十分だが一部では不足- クィーンズ ランド州 ウェスタン オーストラリア州 サウスオース トラリア州 ニューサウス ウ ェールズ州 ビクトリア州 資料:JAXA提供の「AMSR-E/AMSR2土壌水分プロダクト」を農林水産省 にて加工。 - 4 - エ EU 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、前年度より増加し、144.9百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より増加し、121.5百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、27.5百万トンとなる見込み。 輸入量は、前年度より増加し、5.5百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は8.1%に上昇する見込み。 【生育進捗状況及び作柄】 欧州委員会「Crop monitoring in Europe」(2014.5.12)によれば、2014年4 月の気温は欧州の大半の地域で平年を上回った。バルカン地域では平年より降 雨量が多いものの穀物への被害はそれほどではない。欧州中央部と東部では生 育状況は概して良好。英国及びドイツの土壌水分量は冬穀物には十分な状況。 一方、欧州西部及び北東部では平年より乾燥型の気候となっており、フランス では、東部で3月以降まとまった雨が降っておらず、同地域の一部の小麦の生 育に悪影響を与えているが、他の地域の生育状況は問題がない模様。スペイン 及びベネルクス南部での温暖乾燥型の気候は、まだ穀物の生育に影響を与えて いないものの、近々の降雨が待たれている状況(図-3)。 欧州全体の単収は前回予測(2014.4.14)を上回り、普通小麦は5.8トン/ヘク タール(対前年度比1%減、対平年比4%増)、デュラム小麦は3.2トン/ヘクタ ール(同2%減、同1%減)となる見込み。 国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.4.25)によれば、2014 年4月は欧州西部及び中央部の大半で乾燥型の気候であったが、東部では降雨 も見られた。フランス、ドイツ及びバルト諸国の一部では更なる降雨が必要で あるものの、小麦の生育状況は良好と報告されている。2014/15年度の作付面 積は、大豆からの転作等により対前年比3%増の26.4百万ヘクタールとなる見 込み。生産量は、対前年度比2%増の144.8百万トンとなる見込み。これは前 年度に収穫が少なかった英国やスカンジナビア地域での生産量の回復が著しい ため。 我が国の輸入先国シェア5位(2013年数量ベース 0.9%) 世界の生産量シェア 1位(2014/15年度 20.8%) 輸出量シェア 1位(2014/15年度 18.1%) 表-5 EUの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 年 度 2 0 1 2/ 1 3 2 01 3 / 1 4 (見込み ) 2 0 14 / 1 5 予測値、( )はEU 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 133.9 119.5 51.0 22.6 5.3 143.3 117.0 49.0 30.0 3.8 144.9 121.5 53.0 27.5 5.5 期末在庫量 10.6 10.7 12.1 期末在庫率 7.4% 7.3% 8.1% 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) (142.1) (118.2) (45.0) (27.5) (3.9) - 1.1 3.8 8.2 ▲ 8.3 44.7 (9.1) - 12.9 (6.2%) - 0.8 (参考) 収穫面積 (百万ha) 25.94 25.75 26.49 (…) 2.9 単収(t/ha) 5.16 5.57 5.47 (…) ▲ 1.8 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) EU 「Balance Sheets For Cereals and Oilseeds and Rice」(25 April 2014) 図-3 欧州地域の土壌水分量平年対比(2014年4月) バルト 諸国 ベネルクス ドイツ 【貿易情報・その他】 米国農務省「Wheat Outlook」(2014.5.13)によれば、2014/15年度のEUか らの輸出量は前年度を下回るものの依然として大きな割合を占め、27.5百万ト ンと史上2番目となる見込み。ただ、EU域内での小麦の価格が高いことから、 通貨安による恩恵を受けるウクライナやロシアといった輸出国に比べれば、競 争力は制約を受けると見られる。 フランス バルカン 地域 スペイン 資料:JAXA提供の「AMSR-E/AMSR2土壌水分プロダクト」を農林水産省 にて加工。 - 5 - オ 中国【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、前年度より増加し、123.0百万トンとなる見込み。 消費量は、飼料用需要が減少することから前年度より減少し、121.0百万ト ンとなる見込み。 輸出量は、前年度並みの1.0百万トンとなる見込み。 輸入量は、前年度より減少し、3.0百万トンとなる見込み。 期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率は51.0%に上昇する見込み。 【生育進捗状況及び作柄等】 国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.4.25)によれば、華北 平原や東北部の冬小麦の大半は、成熟期の降雨により土壌水分が改善。 米国農務省「Wheat Outlook」(2014.5.13)によれば、冬小麦の生育は平年よ り1週間程度早く、南部では収穫が始まっているが、華北平原ではまだ成熟期 である。小麦の生育は概ね良好で、一部地域では干ばつの懸念があったものの、 降雨によりその影響は緩和し、枯死率も最小限に留まった。 なお、中国産小麦の大半は冬小麦であり、春小麦の作付けは例年全体の5~ 10%程度だが、今年度はそれをわずかに上回る見込み。 中国産小麦の単収は非常に安定しており、2009年のわずかな低下を除けば、 2000年以降は順調に上昇しており、今年度も前年度に比べてわずかではあるが 上昇する見込み。 【政府備蓄等】 中国農務省は、2014年4月25日、優良品種補助政策として、小麦の栽培面積 1ムー(6.7アール)当たり10元(約162円)の補助金を支給すると発表。 (世界の生産量シェア2位(2014/15年度 表-6 中国の小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 2014/15 2013/14 2012/13 前月予測 (見込み) 予測値、( )はIGC からの変更 121.0 121.7 123.0 (120.0) 125.0 123.5 121.0 (121.1) 25.0 23.0 20.0 (22.0) 1.0 1.0 1.0 (0.4) 3.0 7.0 3.0 (3.0) 54.0 58.2 62.2 (61.9) - 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 42.8% 46.7% 51.0% (50.9%) 対前年度 増減率(%) 1.1 ▲ 2.0 ▲ 13.0 0.0 ▲ 57.1 6.9 - 4.2 - 0.2 単収(t/ha) 4.99 5.04 5.08 (4.94) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) IGC 「Grain Market Report」(25 April 2014) 0.8 (参考) 収穫面積(百万ha) 写真-3 24.27 24.15 24.20 (24.3) 中国華北 河北省唐山市(2014年5月9日撮影) -開花期を迎えた冬小麦- また、現地報道(2014.5.22)によれば、国家発展改革委員会(NDRC)等6部門 は、5月20日、2014/15年度の小麦(三等品)の最低買取価格を1.18元/斤 (約 38,232円/トン)に引き上げると発表(前年度1.12元/斤)。 【貿易情報】 国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.4.25)によれば、2014/ 15年度の輸入量は前年度に比べて大幅に減少し、3.0百万トンとなる見込み。 これは、前年度は製粉用の高品質な小麦の国内供給がひっ迫したが、今年度は 生産量が増加し、消費量も縮小するため。 税関(海関)統計(2014.5.21)によれば、2014年1月から4月までの小麦の輸 入量は、対前年同期比147.8%の221.7万トンであり、国別の内訳は、豪州が 109.3万トン(シェア49.3%)、米国が58.8万トン(同26.5%)、カナダが30.9万 トン(同13.9%)となっている。 なお、2014年4月の小麦輸入量は、37.4万トン(対前年同期比83.7%)。 提供:アイ・シー・ネット(株) - 6 - 17.6%)) カ インド 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、作付面積の拡大を受けて前年度より増加し、94.0百万トンとな る見込み。 消費量は、前年度より減少し、92.1百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、3.5百万トンとなる見込み。 輸入量は、前年度並みとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率は17.1%に低下する見込み。 【生育進捗状況及び作柄】 米国農務省「Wheat Outlook」(2014.5.13)によれば、小麦の収穫面積は5 年連続で増加し、2014/15年度は30.6百万ヘクタールに達する見込み。これは、 インド政府による小麦やコメの最低支持価格(Minimum Support Price, MSP) の引き上げが作付けへのインセンティブとなっているとともに、作付時期の 多雨により十分な貯水レベルが確保され(同国の小麦の灌漑率は90%以上)、 土壌水分も補充されたことを受けて単収の増加が見込まれたため。 2014年2月から3月にかけての成熟期には、パンジャブ州、ハリヤナ州、 ウッタル・プラデーシュ州、ラジャスタン州の天候は良好であった。しかし、 マディヤ・プラデーシュ州、ウッタル・プラデーシュ州では3月の多雨、パ ンジャブ州、ハリヤナ州、ウッタル・プラデーシュ州では4月の多雨を受け て収穫が数週間遅れており、その一部では倒伏や穂発芽といった被害が出て おり、単収の低下や品質の悪化が懸念されている(写真-4参照)。 【貿易情報・その他】 民間調査会社によれば、インド産小麦にとって、2014年7月以降、黒海地 域からのロシアとウクライナの小麦が世界市場に流通し始めるまでは、好況 な状況が継続すると見られる。このため、民間の輸出業者は、政府の最低支 持価格 (MSP)を上回る価格で積極的に調達を進めており、このことが政府の 公的分配システム(※)による調達の妨げとなっている模様。 世界の生産量シェア3位(2014/15年度 輸出量シェア9位(2014/15年度 表-7 インドの小麦需給(市場年度:4月~翌年3月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2014/15 2013/14 2012/13 前月予測 (見込み) 予測値、( )はIGC からの変更 94.9 93.5 94.0 (95.0) 83.8 93.9 92.1 (93.4) 3.4 4.8 4.5 (5.5) 6.8 6.0 3.5 (4.5) 0.0 0.0 0.0 (0.0) 24.2 17.8 16.3 (16.9) 26.7% 17.8% 17.1% (17.3%) - (参考) 収穫面積(百万ha) 29.86 30.00 30.60 (31.5) 単収(t/ha) 3.18 3.12 3.07 (3.02) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) IGC 「Grain Market Report」(25 April 2014) 写真-4 インド中央部 マディヤ・プラデーシュ州 (2014年4月第3,4週に撮影) -倒伏の被害を受けた小麦畑- ※「公的分配システム」(Public Distribution System, PDS) ①低所得層や社会的弱者への食料安全保障の提供、②緩衝在庫による不 測の事態への備え、かつ価格の安定化、③政府買上価格の設定による生産 者へのインセンティブ、の3つを目的とした制度。 インド食料公社 (Food Cooperation of India, FCI)は、生産費、買上必 要量、需給状況等を考慮して農業費用価格委員会が設定した買取価格の勧 告を受けて、最低支持価格(MSP)を決定し、生産者から同価格で買い上げる (買上数量は上限なし)。 写真提供:Agriwach Research Team - 7 - 13.5%) 2.3%) 対前年度 増減率(%) 0.5 ▲ 2.0 ▲ 6.3 ▲ 41.7 0.0 ▲ 8.6 ▲ 0.8 2.0 ▲ 1.6 キ ロシア 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、前年度よりわずかに減少し、52.0百万トンとなる見込み。 消費量は、飼料用需要が減少することから前年度より減少し、33.5百万ト ンとなる見込み。 輸出量は、ウクライナの輸出減を受けて前年度より増加し、19.0百万トン となる見込み。 輸入量は、前年度並みの1.2百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は12.8%に上昇する見込み。 【生育進捗状況及び作柄】 <冬小麦> 国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.4.25)によれば、ロシ ア南西部を襲った2014年4月初旬の寒波による穀物への大きな被害は報告され ていない。 現地報道(2014.4.29)によれば、ロシア水文気象環境監視センター(Hydrometeorological Center of Russia)は、南部の穀倉地帯での十分な積雪(スノ ーカバー)と穏やかな天候により、2014/15年度の冬穀物の越冬は順調であった 旨を公表。今年の冬は、ロシアのヨーロッパ地域北側より南側(黒土地帯やロ ストフ州)で雪が多い珍しい年となった模様。また、フョードロフ農業大臣は、 過去10年間の冬穀物の枯死率の平均は9.1%だが、今年は5%以下になるだろ うと発言。 <春小麦> ロシア農務省によれば、5月20日時点の春小麦の作付済面積は、前年同期比 2.9百万ヘクタール増の7.4百万ヘクタール、作付進捗率は56.1%。 IGC「Grain Market Report」(2014.4.25)によれば、土壌水分過多で作付減 となった冬小麦の分を春小麦の作付けが埋め合わせることが期待されている。 世界の生産量シェア5位 輸出量シェア4位 表-8 (2014/15年度 7.5%) (2014/15年度 12.5%) ロシアの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2014/15 2013/14 2012/13 前月予測 (見込み) 予測値、( )はIGC からの変更 37.7 52.1 52.0 (51.0) 33.6 34.0 33.5 (35.8) 11.9 12.5 12.0 (13.5) 11.3 18.2 19.0 (15.7) 1.2 1.2 1.2 (0.5) 5.0 6.0 6.7 (6.0) 11.0% 11.6% 12.8% (11.7%) - (参考) 収穫面積(百万ha) 21.30 23.40 23.75 (24.50) 単収(t/ha) 1.77 2.23 2.19 (2.08) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) IGC 「Grain Market Report」(25 April 2014) 図-4 ▲ 0.2 ▲ 1.5 ▲ 4.0 4.4 0.0 11.6 1.3 1.5 ▲ 1.8 カザフスタンからロシアへの主な小麦輸送ルート ロシアへは、ペトロハヴロフスク、コスタナイ、アクトベ 等からに輸送されている。 【貿易情報・その他】 民間調査会社によれば、カザフスタン産小麦の一部はロシアを経由で輸出(ト ランジット輸送)されており、2014年4月末時点の2013/14年度(2013年7月~ 2014年6月)のカザフスタン産小麦のトランジット輸送量累計は、ほぼ前年度 並みの約150万トンとなっている。 一方、カザフスタン産小麦のロシアへの輸入量は年々増加しており、2014年 4月末時点の2013/14年度の輸入量累計(鉄道経由)は、約70万トンと、前年同 期に比べて約15万トン増加している。なお、この他にもトラックでの輸入もあ り、市場関係者によれば、2014年3月末時点の2013/14年度のトラックでの輸 入量累計は約40~60万トン。 ※ 各輸送ルートのうち、実線は稼働中、点線は未稼働。 提供:(株)JSN - 8 - 対前年度 増減率(%) ク ウクライナ 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、収穫面積の縮小と単収の低下から前年度より減少し、20.0百万 トンとなる見込み。 消費量は、前年度並みの11.5百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、8.5百万トンとなる見込み。 輸入量は、前年度並みの0.1百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度よりわずかに増加し、期末在庫率は20.3%に上昇す る見込み。 【生育進捗状況及び作柄】 <冬小麦> ウクライナ農業政策・食料省によれば、2014年5月8日時点の冬小麦は、播 種面積7.8百万ヘクタールのうち、良好及び並が7.3百万ヘクタール(94%)、不 良が0.4百万ヘクタール(5%)、枯死状態が0.1百万ヘクタール(1%)。 米国農務省「World Agricultural Production」(2014.5.9)によれば、ウク ライナ水文気象センター(The Hydromet Center of Ukraine)の報告では、ウク ライナ産小麦の大半を占める冬小麦はとても良い状況で、人工衛星による観測 でも、2013年秋の作付時期には好天に恵まれ、冬期の被害も少なく、4月30日 時点の状態は2008年以来で最高となっている。 しかし、米国農務省は、営農資金不足で春の施肥や農薬散布が不十分となる との見方から、2014/15年度の単収は3.17トン/ヘクタール(対前年度比6.4%減、 対平年比3.6%増)と見込んでいる。 <春小麦> ウクライナ農業政策・食料省によれば、5月16日時点の春穀物(小麦、大麦、 とうもろこし)の作付進捗率は89%となっており、春小麦及び春大麦の作付面 積は合わせて2.7百万ヘクタール。 【貿易情報・その他】 ウクライナ農業政策・食料省によれば、2013/14年度(2013年7月~2014年6月) の小麦の輸出量は、5月21日時点で8.9百万トン。 ロシアの現地報道(2014.5.13)によれば、米国農務省は、2014/15年度のロシ アからの穀物輸出量の増加要因のひとつはウクライナからの輸出量の減少見込 みであると見ており、政治・社会情勢が不安定なウクライナでは、通貨グリブ ナの相場が下落し、肥料などが値上がりする中、2014/15年度の穀物収穫量は 対前年度比12.7%減、穀物輸出量は同14%減となる見込み。ウクライナの専門 家らも、生産量は同8~9%減となると予測。 - 9 - 我が国の輸入先国シェア4位(2013年数量ベース 4.3%) 世界の輸出量シェア 6位(2014/15年度 5.6%) 表-9 ウクライナの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2014/15 2013/14 前月予測 (見込み) 予測値、( )はIGC からの変更 15.8 22.3 20.0 (20.0) 11.4 11.5 11.5 (12.3) 3.1 3.4 3.5 (4.0) 7.2 9.5 8.5 (8.0) 0.1 0.1 0.1 (0.0) 2.6 4.0 4.1 (2.8) 13.9% 18.9% 20.3% (13.6%) - 2012/13 対前年度 増減率(%) ▲ 10.2 0.0 2.9 ▲ 10.5 0.0 2.5 1.4 (参考) 収穫面積(百万ha) 5.63 6.57 6.30 (6.40) 単収(t/ha) 2.80 3.39 3.17 (3.13) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) IGC 「Grain Market Report」(25 April 2014) 写真-5 ウクライナ中部 ドニエプロペトロフスク州 (2014年5月3日撮影) -出穂期を迎える冬小麦- ▲ 4.1 ▲ 6.5 ケ カザフスタン コ アルゼンチン (世界の輸出量シェア 8位(2014/15年度 4.3%)) 表-11 アルゼンチンの小麦需給(市場年度:12月~翌年11月) (世界の輸出量シェア7位(2014/15年度 4.6%)) 表-10 カザフスタンの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2014/15 2013/14 2012/13 前月予測 (見込み) 予測値、( )はIGC からの変更 9.8 13.9 14.5 (15.0) 6.8 6.8 7.3 (7.4) 2.0 2.0 2.5 (2.2) 6.3 8.0 7.0 (7.6) 0.0 0.0 0.0 (0.0) 2.9 2.1 2.3 (2.2) 22.5% 14.1% 16.0% (14.7%) - (参考) 収穫面積(百万ha) 12.40 12.95 12.70 (13.50) 単収(t/ha) 0.79 1.08 1.14 (1.11) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) IGC 「Grain Market Report」(25 April 2014) 対前年度 増減率(%) 4.0 7.4 25.0 ▲ 12.5 0.0 9.6 1.9 ▲ 1.9 5.6 カザフスタン農業省によれば、春穀物(麦類)について、2014/15 年度の作付計画面積647.9万ヘクタールのうち、2014年5月15日時 点の作付進捗率は15.6%(100.8万ヘクタール)と前年同期(36.5%) より低い状況(ただし、穀倉地帯であるアクモラ州とコスタナイ州 のデータがまだないため不十分なデータとなっている)。北部では これから本格的な作業が始まる見通し。 民間調査機関(2014.5.23)によれば、春穀物の作付けは高温乾燥 型の天候により遅れており、専門家は、小麦の作付けが減少し、菜 種や亜麻仁などの油糧種子の作付けが増加するとみている。 現地報道(2014.4.23)によれば、2013/14年度の輸出に関し、カザ フスタンはイランと中国向けの穀物輸出を拡大し、イランには120 万トン、中国には 37万トンを輸出する見込み。これは、ウクライ ナ情勢の悪化により黒海経由の小麦輸出の見通しが不透明になって いることを受けて、カザフスタンが新たな輸出先を模索しているた めで、貿易業者は将来的には中国経由での東南アジアへの小麦輸出 も検討している模様。 - 10 - (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2014/15 2013/14 2012/13 前月予測 予測値、( )はIGC (見込み) からの変更 9.3 10.5 12.5 (11.9) 6.2 6.1 6.2 (5.5) 0.3 0.1 0.1 (0.4) 3.6 2.0 6.5 (7.0) 0.0 0.0 0.0 (0.0) 0.3 2.7 2.6 (0.9) 3.0% 34.0% 20.6% (7.5%) - (参考) 収穫面積(百万ha) 3.60 3.50 4.20 (4.00) 単収(t/ha) 2.58 3.00 2.98 (2.99) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(9 May 2014) IGC 「Grain Market Report」(25 April 2014) 対前年度 増減率(%) 19.0 1.7 0.0 225.0 … ▲ 5.1 ▲ 13.5 20.0 ▲ 0.7 アルゼンチンの小麦の作付けは、例年4月下旬から5月中旬に 行われる。 ブエノスアイレス穀物取引所週報(2014.5.15)によれば、サルタ 州、コリエンテス州、コルドバ州北中部、ブエノスアイレス州南 部では作付けが開始され、小麦の作付面積は、厳しい干ばつで激 減した前年度より増加し、4.3百万ヘクタール(対前年度比18.8% 増)となる見込み。ブエノスアイレス州の小麦地帯である南東部 や南西部での小麦の作付けは、大麦の作付けが減少したことによ り増加すると見られる。一方、北西部では土壌水分量が不足して いるため作付けが遅れている模様。 アルゼンチン農牧漁業省月報(2014.5.22)によれば、土壌水分量 が十分なこと、輪作上の必要性、価格予測等を受けて、小麦の作 付面積は4.5百万ヘクタールとなる見込み(前年度は3.65百万ヘク タール)。