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化粧が感情に与える影響 - My Schedule

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化粧が感情に与える影響 - My Schedule
化粧が感情に与える影響
○河島三幸・引間理恵(非会員)
(花王株式会社 感性科学研究所)
キーワード:感情,スキンケア,メイクアップ,化粧
Effects of cosmetics on emotional states in women.
Misaki KAWASHIMA, Rie HIKIMA
(Kansei Science Research, Kao Corporation)
Key Words: emotion, skincare, make-up, cosmetics
目 的
化粧はスキンケアとメイクアップに大別され,スキンケア
製品では化粧水や乳液など,メイクアップ製品ではファンデ
ーションや口紅など詳細なアイテムが存在する。そして化粧
時,女性は多様な感情を経験している。本研究では化粧時に
女性が経験する感情について,複数の化粧品アイテム使用時
の特徴を明らかにするマップを作成した。また,化粧時に生
起した感情が触覚や視覚などいずれの感覚情報によるものか,
各感覚がどの程度寄与しているのかを探索的に検討した。
研究 1) 化粧品アイテム使用時の感情マップ
方法 35~54 歳女性 1061 名(平均年齢 44.52 歳)を対象にイ
ンターネット調査を行った。参加者は複数の化粧品アイテム
について普段の使用有無を回答した。その結果に基づき,参
加者は普段使用していると回答した化粧品アイテムのうち 1
品を割り当てられ,使用時の感情について化粧版感情評価尺
度(河島・引間,2013)に「0:全くあてはまらない」
,
「5:
かなりあてはまる」の 6 件法で回答した。化粧品アイテムは
19 品目であった。
結果 化粧品アイテム毎に化粧版感情評価尺度の 12 感情因
子の平均値を算出し,行に 12 感情因子,列に 19 の化粧品ア
イテムの平均値行列を用いて対応分析を行った(Figure1)
。そ
の結果,イナーシャの寄与率は 2 次元の累積で 79.3%であっ
た。感情因子とアイテムの布置状態から第 1 次元は快-不快,
第 2 次元は覚醒-鎮静を反映する次元と考えられた。
考察 対応分析の結果から,スキンケアは鎮静方向にメイク
アップは覚醒方向に布置され,各アイテムの布置はそれぞれ
の製品特徴を反映していると考えられる。スキンケアでは,
化粧水やオールインワン化粧品等がリフレッシュ因子の近く
に布置され,乳液やクリームが幸福・満足因子や贅沢感因子
の近くに布置されていた。一般的な感触特徴として乳液やク
リームは粘度が高く塗布する際ののびは重い。乳液やクリー
ムの方が化粧水等よりも使用時にしっかりと手で肌に触れな
がら塗布し,塗布時に
丁寧に肌に触れている
と考えられ,幸福・満
足因子や贅沢感因子の
近くに布置されたと考
えられる。メイクアッ
プでは,口紅が活動的
快因子,チークが活力
感因子,アイシャドウ
が好緊張因子の近くに
布置されている。一般
的に口紅を塗布するこ
とで印象は大きく変化
Figure1.対応分析による化粧品アイテム
するため,“華やいだ”
使用時の感情マップ
等から構成される活動的快因子の近くに布置され,チークは
頬に塗布し血色をよく見せることから“活力がわく”等から
構成される活力感因子の近くに布置されたと考えられる。さ
らにアイシャドウは陰影をつけ目を大きく見せるためにも使
用されることから,
“きりっとする”等から構成される好緊張
因子の近くに布置されたと考えられる。以上のように,スキ
ンケアアイテム使用時には感触特徴を反映する感情が生起し,
メイクアップアイテム使用時には役割を反映する感情が生起
していると考えられる。ただし同じアイテムであっても感触
や色,使用状況により生起する感情は異なると考えられ,本
研究で得られた結果の再現性については今後の課題となる。
研究 2) 化粧時における感情生起への各感覚の寄与
方法 20~69 歳女性 542 名(平均年齢 44.54 歳)を対象にイ
ンターネット調査を行った。調査項目は化粧時にこれまでで
最も気持ちが変化した経験について,その経験の「状況」
「理
由」
「生起した感情」であり,参加者は自由記述で回答した。
結果 感情変化経験はスキンケアについて 381 名,メイクア
ップについて 421 名が回答した。各記述について,感情変化
に関連したと考えられる感覚情報を研究担当者 2 名が協議し
分類した。上記の経験のうち肯定的な感情変化経験について,
感情変化に関連した感覚が分類可能な記述中の,各感覚の割
合(複数選択)を図に示した(Figure2,3)
。感情変化に関連し
た感覚情報として,スキンケアでは「肌を触った時」や「手
触り」
「弾力のある」等の肌に関する触覚が 72.5%と最も高く,
メイクアップでは「鏡を見た時」
「仕上がりを確認した時」等
の視覚が 99.1%と非常に高い割合であることが示された。
考察 感情変化に関連した感覚情報としてスキンケアでは肌
に関する触覚が,メイクアップでは視覚が最も高い割合であ
り,化粧による変化を実感した時に感情が生起すると考えら
れる。本研究の結果は回答者が感情生起に関わったと自覚的
に考えている要因であり,実際に感覚情報がそれぞれどの程
度寄与しているかは今後実験で確認する必要がある。
Figure2. スキンケアについて
寄与した感覚分類記述中の
各感覚の割合(肯定的変化)
Figure3. メイクアップについて
寄与した感覚分類記述中の
各感覚の割合(肯定的変化)
引用文献
河島三幸・引間理恵(2013)
.化粧版感情評価尺度の開発
77 回日本心理学会発表論文集,863.
第
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