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血中遊離 DNA による 癌の高感度遺伝子診断システムに関する基盤研究
第 1 回「血中遊離DNAによる癌の 高感度遺伝子診断システムに関する 基盤研究」 (事後評価)分科会 資料7-1 血中遊離 DNA による 癌の高感度遺伝子診断システムに関する基盤研究 周辺動向調査 平成 14 年 8 月 株式会社テクノリサーチ研究所 目 1. 次 ライフサイエンスの動向.......................................................................................... 1 (1) 歴史的経緯 ........................................................................................................ 1 (2) 我が国の政策..................................................................................................... 3 (3) 欧米の政策 ........................................................................................................ 4 2. 癌の診断技術の動向................................................................................................. 5 (1) 癌を中心とする疾病の動向............................................................................... 5 (2) 癌のメカニズム................................................................................................. 7 (3) 癌の診断法 ........................................................................................................ 8 (4) 腫瘍マーカー技術の現状 ................................................................................ 10 (5) 癌の遺伝子診断技術の現状............................................................................. 15 3. 国内外の主な関連研究の動向 ................................................................................ 16 (1) 国内 ................................................................................................................. 17 (2) 海外 ................................................................................................................. 22 4. 関連特許・文献の推移 ........................................................................................... 26 (1) 特許 ................................................................................................................. 26 (2) 文献 ................................................................................................................. 28 5. その他..................................................................................................................... 29 (1) 市場の規模 ...................................................................................................... 29 (2) 他技術の健康保険適用への道のり.................................................................. 30 (3) 癌自体の DNA 遺伝子異常の検索 .................................................................. 31 i 付帯資料 1. バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針(概要) .................................... 36 2. バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本戦略(概要) .................................... 37 3. バイオ産業技術戦略(概要) ................................................................................... 38 4. ミレニアム・ゲノム・プロジェクト ........................................................................ 40 5. 文部科学省:バイオリソースプロジェクト、タンパク 3000 プロジェクト ........... 41 6. 文部科学省:科学技術振興調整費、国研活性化プログラム関連プロジェクト....... 42 7. 厚生労働省:薬剤反応性遺伝子解析による疾病対策・創薬推進事業 ..................... 46 8. 厚生労働省:厚生科学研究費関連研究..................................................................... 46 9. 経済産業省関連プロジェクト ................................................................................... 50 10. その他機関の研究例.................................................................................................. 52 11. 血中遊離 DNA による癌診断関連の特許概要(日本) ............................................ 54 12. 血中遊離 DNA による癌診断関連の特許概要(海外):一部のみ記載 .................... 58 13. 文献の検索式............................................................................................................. 64 14. 参考文献 .................................................................................................................... 68 ii 1.ライフサイエンスの動向 本プロジェクト「血中遊離 DNA による癌の高感度遺伝子診断システムに関する基礎研 究」は、初期の癌を的確に診断できる技術を開発するもので、最近新たな分野として注目 されている遺伝子診断の手法を用いたものである。ここでは、近年のライフサイエンスの 動向を概観し、本プロジェクトの背景を探る。 (1) 歴史的経緯 ジェームス・ワトソンとフランシス・クリックが 1953 年に DNA 二重らせん構造を発見 し、遺伝の仕組みを分子レベルで明確に説明することが可能となった。 1973 年のコーエン、ボイヤーによる遺伝子組み換え技術の確立は、遺伝子工学の幕開け と位置付けられている。 1978 年には Y・W・カンによって DNA を利用した世界初の出生前診断が実施され、1983 年にはジム・ガゼラがハンチントン病の患者の DNA 断面に特有のパターンがあることを発 見している。 同じく 1983 年にはケリー・マリスが PCR 法を考案し、必要な DNA 断片を簡単な操作 で数時間の間に大量に増幅することが可能になった。現在は PCR 反応自体が自動化されて おり、スイッチ一つ押せば数時間後には 100 万倍に増量した DNA を入手できる。 1990 年には「ヒトゲノム解析計画」がスタートし、2001 年 2 月には国際ヒトゲノム計 画チームとセレラ・ジェノミクス社がヒトゲノムの解析結果を発表した(完全解読は 2003 年以降)。これによって、人類はゲノム情報によってつくりだされるタンパク質の構造や機 能を解明するプレテオミクスの時代に突入した。 また、バイオと情報技術の接点としてコンピュータ解析による遺伝子の構造・機能の解 析研究(バイオインフォマティクス)が盛んになってきており、その基盤としてバイオ情 報の共通データベースが重要性を増してきている。 このように理論的バイオ技術では、生物系の知識だけではなく、情報、電子、機械とい った共通基盤技術が重要になってきており、異分野の技術を融合し独自のアイデアを生み 出したベンチャー企業が技術革新を担っているケースが多い。 また、遺伝子はその有用な機能を解明することで特許化が可能であること、遺伝子の数 が有限であることから、世界中で特許取得に向けた競争が激化している。 1 図表 1 ライフサイエンスの近年の歴史的経緯 年 月 内 容 ジェームス・ワトソンとフランシス・クリックが、DNA 二重ら 1953 年 せん構造を発見 コーエン、ボイヤーが遺伝子組み替え技術を確立 1973 年 (遺伝子工学の幕開け) カリフォルニア大学 Y・W・カンが、DNA を利用した世界初の 1978 年 出生前診断を実施 神経科学者ジム・ガゼラにより、ハンチントン病の患者の DNA 1983 年 断片に特有のパターンがあることを発見 1983 年 ケリー・マリスが PCR 法を考案 フランシス・コリンズらが「ポジショナル・クローニング法」 1989 年 により嚢胞性線維症の遺伝子を発見 1990 年 9 月 NIH において世界初の遺伝子治療実施(ADA 欠失症) 1990 年 10 月 「ヒトゲノム解析計画」プロジェクトスタート 1995 年 日本初の遺伝子治療実施(ADA 欠失症) 米国民間研究所がインフルエンザ菌のゲノム解読終了 (最初の解読終了生物) かずさ DNA 研究所がラン藻のゲノム解読(最初の独立栄養生 1996 年 物) 1999 年 12 月 英米日の国際チームにより、ヒト 22 番染色体解読 2000 年 5 月 英米日の国際チームにより、ヒト 21 番染色体解読 4月 6月 2001 年 2 月 2001 年 2 月 2002 年 7月 2003 年 セレラ社がヒト全遺伝子の解読を終了したと宣言 国際ヒトゲノム計画チーム、全ゲノムの概要版(ドラフト)を 発表 『ネイチャー』誌に国際ヒトゲノム計画チームが「ヒトゲノムのド 「ヒトゲノムのド ラフト配列決定と分析」を発表 『サイエンス』誌にセレラ・ジェノミクス社がヒトゲノム解析結 ヒトゲノム解析結 果を発表 米国研究グループが解読されたヒトゲノムから、ポリオウイル スの合成に成功(人造生物への第一歩) 国際チームはゲノム完全解読目標 2 (2) 我が国の政策 我が国のライフサイエンス政策は従来戦略や統一性の欠如が問題点として挙げられてい たが、1997 年 8 月にライフサイエンス基本計画が策定され、1999 年 1 月には関係 5 省庁 によるバイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針が、7 月にはバイオテクノロジー産 業の創造に向けた基本戦略が策定され、11 月にはバイオ産業技術戦略が策定された。 バイオ産業技術戦略では、バイオテクノロジーの産業化は、まず医療及び製薬等医療関 連分野においてゲノム創薬として開花しつつあり、今後は更に、個人ゲノム情報に基づき 適切な患者に適切な治療を施す「テーラーメイド医療」 、個人の体質をゲノム情報レベルで 把握し未然に発病を防ぐ「予防医療」へと移行するとし、SNP などの遺伝情報を民間企 業が創薬研究や予防医療の研究に利用できるよう公共財として早急に整備することが必要 であるとしている。 また、1999 年 12 月にはこれらの方針を踏まえたミレニアム・ゲノム・プロジェクトが 策定され、2000 年度より 5 年間の期間で実施されている。2002 年 7 月には、内閣総理大 臣がバイオテクノロジー戦略会議を開催し、更なる戦略構築を目指している。 図表 2 我が国のライフサイエンス分野の近年の政策 年 月 政 策 1996年 7月 科学技術基本計画(1996-2000) 1997年 8月 ライフサイエンス基本計画(ライフサイエンス部会) 1999年 1月 ゲノム科学長期的考え方(ゲノム科学委員会) 1月 バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針(5省庁) 6月 平成12年度科学技術振興に関する重点指針(政策委員会) 7月 バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本戦略(5省庁) 2000年 11月 バイオ産業技術戦略(日本バイオ産業人会議) バイオ産業技術戦略 11月 ヒトゲノム多型情報に係る戦略 12月 バイオ・ミレニアム基本方針 6月 12月 2001年 3月 2002年 7月 平成13年度科学技術振興に関する重点指針(政策委員会) ポストゲノム戦略 科学技術基本計画(2001-2005) 内閣総理大臣がバイオテクノロジー戦略会議を開催 注)以下の付帯資料参照 1. バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針(概要) 2. バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本戦略(概要) 3. バイオ産業技術戦略(概要) 3 (3) 欧米の政策 1) 米国 1991 年2月、米国大統領競争力委員会がまとめた「国家バイオテクノロジー政策報告書」 で、遺伝子特許戦略が打ち出され、米国では遺伝子特許の取得基準がゆるいこともあり、 現在遺伝子特許申請が盛んに行われている。 2002 年度大統領予算教書では、全科学技術予算は前年比 6.1%増加している。特にブッシ ュ大統領が、大統領選で「積極的に支援する」と公約した DOD(国防総省)と NIH(国立 衛生研究所)は、前年予算を 10%以上も上回る予算を要求している。 2003 年度のバイオ関連政府機関の予算においても、 NIH は 273 億ドルの予算を得ており、 2002 年度比で 15.7%の増加となっている。バイオテロ対策に重点を置いているが、癌や糖 尿病等の研究にも力を入れており、競争的研究グランドにも 36 億 4100 万ドルが充てられ ている。 2) 欧州 2002年1月23日、欧州委員会は「欧州のライフサイエンスとバイオテクノロジー に関する戦略(Life sciences and biotechnology - A Strategy for Europe)」を発表し た。今後 10 年間で、IT と並ぶ最重要分野として位置付けている。 バイオ戦略は大きく「パート I(戦略編)」と「パート II(行動計画編) 」に分かれてお り、戦略編においては、ライフサイエンス及びバイオテクノロジーの有するポテンシャル の大きさとそれを活用するための欧州としての政策のあり方、さらに国際面への配慮(国 際協調、途上国協力)の必要性等についてまとめられており、行動計画編では、具体的に どういうタイムフレームで誰が何をするのかを、30の行動として整理して提示している。 医療関連では、ゲノムからドラッグデザインを重視し、特に英国等で強い新薬開発力の 更なる強化を狙っている。 4 2.癌の診断技術の動向 (1) 癌を中心とする疾病の動向 我が国における死亡率の推移を死因別にみると、1950 年頃から悪性新生物(癌) 、 心疾患、 脳血管疾患等の生活習慣病の死亡率が上位を占め、中でも悪性新生物の死亡率は増加の一 途を辿り、1980 年頃から死因の第 1 位となっている。 図表 3 死因別死亡率の推移(主な疾患) 人口10万対 350 300 250 200 150 100 50 0 1910 1920 1930 1940 悪性新生物 肺炎 1950 1960 心疾患 肝疾患 1970 1980 1990 2000 脳血管疾患 全結核 注 1)表題の死因名は IDC-10 による 注2)1994 年までの数値は旧分類によるものである。 「肺炎」←「肺炎及び気管支炎」 (分類変更) 、 「肝疾 患」←「慢性肝疾患及び肝硬変」 (分類変更) 注3)心疾患は高血圧性を除く。 資料)厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」 5 図表 4 性別にみた死因順位別死亡数(人口 10 万対) 総数 男 女 全死因 970,313 528,765 441,548 悪性新生物 300,586 (1) 181,354 (1) 119,232 (1) 心疾患 148,186 (2) 72,665 (2) 75,521 (2) 脳血管疾患 131,812 (3) 63,118 (3) 68,694 (3) 肺炎 85,265 (4) 45,735 (4) 39,530 (4) 不慮の事故 39,454 (5) 24,965 (5) 14,489 (6) 自殺 29,333 (6) 21,063 (6) 8,270 (8) 老衰 22,137 (7) 6,091 (11) 16,046 (5) 腎不全 17,675 (8) 8,195 (9) 9,480 (7) 肝疾患 15,837 (9) 10,902 (7) 4,935 (10) 慢性閉塞性肺疾患 13,063 (10) 9,665 (8) 3,398 (14) 200,000 男 女 150,000 100,000 50,000 そ の他 老衰 自殺 不 慮 の事 故 肺炎 脳血管疾患 心疾患 悪性新生物 0 資料)平成 13 年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省) 図表 5 死因別割合(2001 年) その他 22.0% 悪性新生物 31.0% 老衰 2.3% 自殺 3.0% 不慮の事故 4.1% 肺炎 8.8% 脳血管疾患 13.6% 心疾患 15.3% 資料)平成 13 年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省) 6 (2) 癌のメカニズム 癌は細胞内の遺伝子に変異が起こって発生する遺伝子の病気である。発癌に関与する遺 伝子には癌遺伝子と癌抑制遺伝子があり、多段階的にそれらの遺伝子に変異が蓄積するこ とが、癌の発生ないし悪性化の原因である。 遺伝子が変異する確率は遺伝的要因や環境要因によって異なるので、癌になり易さは個 体差があり、また、発癌の予防も可能である。未分化な細胞が増殖しつづける癌の病態が、 個々の遺伝子異常との対応で理解され始めており、その結果を基にして、癌の遺伝子診断 法、遺伝子治療法の開発が進んでいる。 遺伝的な要因は家族性腫瘍の研究からわかってきた。癌を起こしやすい家系の解析から、 その原因遺伝子として多くの癌抑制遺伝子・癌遺伝子が見つかっている。多段階発癌過程 に必要な複数遺伝子変化のうち、1つの変異が遺伝的に受け継がれることによって、癌が 起こり易くなった状態と考えられる。 また、自然突然変異が起こりやすい人がいれば、その人も癌を起こしやすい。自然突然 変異の確率は DNA 合成酵素による DNA 複製と読み間違いを修復する DNA 修復酵素の活 性によって決まっており、DNA 合成酵素あるいは DNA 修復酵素の活性に個体差があれば、 癌が起こる確率も各個人によって違うことになる。 一方、環境要因としては食べ物やタバコの中に含まれる発癌物質による遺伝子変異の誘 発がある。 図表 6 癌のメカニズム 環境的要因 遺伝的要因 ・癌遺伝子の活性化 癌遺伝子の活性化 点突然変異 遺伝子増幅 遺伝子再構成(転座) ・癌抑制遺伝子の不活性化 癌抑制遺伝子の不活性化 点突然変異 塩基の欠失・挿入 染色体の欠失 ・DNA修復酵素遺伝子の DNA修復酵素遺伝子の 不活性化 変異 ・環境中の発癌物質による 環境中の発癌物質による 遺伝子変異の誘発 多 段 階 発 癌 たばこの煙に含まれるベンツピレンは、 癌抑制遺伝子「p53遺伝子」の246番目 の塩基を別の塩基に置き換える →肺がんを誘発 カビが作る「アフラトキシン」毒素は、 癌抑制遺伝子「p53遺伝子」の249番目 の塩基を別の塩基に置き換える →肝臓ガンを誘発 癌化 資料)横田淳編集「癌化のメカニズムを解く」を基に TRI 作成 7 (3) 癌の診断法 癌の診断法は癌の種類によって異なるが、大きく病理形態学的診断、腫瘍マーカーによ る診断、遺伝子診断に分けられる。 図表 7 癌の診断法(肺癌のケース) 《病理形態学的診断》 喀痰検査、レントゲン検査、経皮的肺針生検 気管支ファイバースコープ、気管支電子スコープ、 CT、MRI、ヘリカル CT(三次元的画像、X 線被爆量の減少) コンピュータによる画像処理(X 線被爆量の減少、遠隔診断) きょうくうきょう 胸 腔 鏡 (手術)検査他 《腫瘍マーカーによる診断》 血液検査、尿検査により一部の癌の診断が可能 血清中の ProGRP を測定し、肺癌中の小細胞がんの補助診断に用いる (陽性率 50∼70%) (1996 年 5 月、健康保険適用が認められる) 《遺伝子診断》 癌と関連する遺伝子変異を利用した診断 また、癌の診断技術における本研究の位置付け並びに成果は次図のようになる。 8 図表 8 癌の診断技術と本研究の位置付け並びに成果 癌 の 診 断 技 術 生 検 サ ン プ ル 血 液 mRNA 遺伝子変異 遺伝子発現 ・シークエンサー ・シークエンサー ・DHPLC法 ・DNAマイクロアレイ ・タンパクマス 血中遊離 DNA タンパク 血中 タンパク質 高感度定量 遺伝子変異 ・PCR ・シークエンサー ・腫瘍マーカー分析 ・Intra-Alu-PCR ・DHPLC法 (定量PCR装置) ・DNAマイクロアレイ ・タンパクマス スペクトロスコピー 9 DNA診断 画 像 手法 ・DNAマイクロアレイ ・腫瘍マーカー分析 スペクトロスコピー ・ロボットシステム 半自動化 新規変異と疾病の 関係の発見 Intra-Alu-PCRによる超高感 度定量技術の確立 担癌患者と健常人群との境 界値を設定できた (用語解説)マススペクトロスコピー:質量分析 血中遊離DNA中 の癌特異的遺伝 子変異の高感度 検出 本研究の位置づけ 本研究の成果 (4) 腫瘍マーカー技術の現状 腫瘍マーカーは正常細胞ではほとんど産生されず腫瘍細胞に特異的に産生される物質、 または腫瘍細胞が生体内にあることによって産生される物質である。 腫瘍マーカー技術の概要を以下に示す。 図表 9 腫瘍マーカーの概要 腫瘍マーカーとは、 正常細胞ではほとんど産生されず腫瘍細胞に特異的に産生される物質(タンパク) または腫瘍細胞が生体内にあることによって産生される物質 現在、どのように利用されているか ① 癌の補助診断 ② 病期の判定 ③ 治療効果の判定 ④ 経過観察 ⑤ 予後推定 腫瘍マーカーの問題点 ① 使用するキット間で基準値が異なる(CEA、CA19-9 等) 。また互換性も無いので同一施 設内、同一キットでしか比較できない。 ② 基準値として、低いカットオフ値と高いカットオフ値を設け、その間をグレーゾーンと しているが、グレーゾーンの幅が広くスクリーニングには適さない。 低いカットオフ値より低い ⇒ ほぼ健常 高いカットオフ値より高い ⇒ かなり進行した胆癌状態 グレーゾーン ⇒ 画像診断等による確認が必要 ③ 腫瘍マーカーは癌を発見できる指標ではなく、臨床状態または他の検査で腫瘍が高い確 率で疑われる場合に検査するものである。 ④ 一般に腫瘍マーカーは進行癌にならなければ血中濃度は増加しないため、早期の発見に つながらない。 ⑤ 多くの腫瘍マーカーは癌以外の病気でも上昇することがあるため、画像診断等の補助診 断として実施する。 資料)臨床検査データブック 2001-2002 他 10 現在臨床検査に利用されている腫瘍マーカーは 50 種類近く存在するが、その内の代表的 なものについてその概要を次表に示す。検体量としては血清や尿を 0.2∼5ml、検査日数と しては 1∼6 日となっている。臓器特異性の高いものもあるが、幅広い癌に対応するものも ある。 図表 10 代表的な腫瘍マーカー 腫瘍マーカー CEA AFP CA19-9 CA50 ProGRP DU-PAN-2 検体量 (ml) 網神 膜経 検査日数 芽 お 細よ (日) 胞び 腫 院内 1 院外 2-4 院内 1 血清 0.2 院外 2-4 血清 0.5 3-5 血清 0.3 血清 0.2 3-5 血清 0.3 血清 0.2 甲 食 肺 乳 肝 胃 膵 胆 結 腎 子子 卵 状 道 癌 癌 細 癌 癌 嚢 腸 癌 宮宮 巣 体頚 腫 ・ ・ 胞 腺 癌 癌癌 瘍 胆 直 癌 髄 管 腸 様 癌 癌 癌 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ○ 3-5 POA ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ ◎ ◎ ○ 血清 0.3 2-6 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ CA72-4 血清 0.5 3-5 ○ ○ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○ CA125 血清 0.5 3-5 ○ ○ ◎ ◎ ○ ◎ CA130 血清 0.5 2-8 ○ ○ ○ ○ ◎ CA15-3 血清 0.5 3-5 ○ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ BCA225 2-4 ○ ○ ○ ◎ ◎ サイトケラチン19 NSE ○ ○ ◎ ○ ○ 血清 0.3 ○ ○ STN SCC抗原 絨胚 毛細 性胞 腫腫 瘍瘍 ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ○ ○ 前 立 腺 癌 ○ ○ ○ ◎ ○ ○ 血清 0.3 2-5 PSA、αSm、PAP 血清 0.5 3-5 ◎ ○ ◎ ポリアミン 尿 5 2-4 ○ ○ フェリチン 血清 0.3 2-4 ○ IAP 血清 0.3 2-4 TPA 血清 0.5 3-5 BFP 血清 0.3 尿 0.5 3-5 ○ ○ ○ α2mG ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ は陽性率が50%以上のもの ○ は陽性を示すが陽性率50%未満のもの 資料)腫瘍マーカーハンドブック、臨床検査データブック 2001-2002、MediPro 他 11 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ また、代表的な腫瘍マーカーCEA 他の陽性率を以下に示す。 図表 11 CEA(癌胎児性抗原)の特徴と陽性率 癌胎児性抗原(CEA)は分子量18万∼20万、糖を50∼60%含む糖蛋白であり、Gold らが1965年に報告して以来、最も広く臨床応用されている腫瘍マーカーである。 悪性腫瘍において広く陽性を示すが、臓器特異性はあまりない。 癌の進行に伴って高値を示すが、早期癌の診断には適さない。 一般にほかの腫瘍マーカーとのコンビネーションアッセイで、癌の補助診断また はスクリーニングの感度を上昇させる目的として測定する。 臨床的に癌の進行度と転移の有無にある程度比例し、治療前に高値の症例では手 術、化学・放射線療法などの治療効果の評価および癌再発のモニタリングに有用 である。 悪性腫瘍 0 陽性率(%) 50 100 陽性率(%) 50 100 結腸直腸癌 大腸癌 膵癌 胆道癌 食道・胃癌 胃癌 肺癌 乳癌 甲状腺癌 肝細胞癌 子宮・卵巣癌 尿路系癌 良性疾患 0 肝硬変 肝炎 大腸炎 閉塞性黄疸 胃炎 糖尿病 慢性呼吸疾患 注)陽性率の上段は MediPro、下段は腫瘍マーカーハンドブック記載データ 12 図表 12 AFP(αフェトプロテイン)の特徴と陽性率 αフェトプロテイン(AFP)は、癌胎児性抗原で分子量6.8万、糖を3∼4%含 む等電点4.9の酸性糖蛋白であり、1963年、Abelevらが肝癌移植マウス血中にAFP が出現することを初めて見出した。その翌年Tatarinovらがヒト原発性肝癌患者 の血清中にAFPを検出し、原発性肝細胞癌の腫瘍マーカーとしての利用を報告し た。AFPは卵黄嚢腫瘍と肝細胞癌等の患者において高い血中濃度の上昇が認めら れ、臓器指向性の高い腫瘍マーカーの一つである。 日常検査として、肝細胞癌発生のハイリスクグループである慢性肝炎・肝硬変患 者の早期発見のための定期的スクリーニング、AFP産生腫瘍の診断、経過観察、治 療効果判定、再発の指標として用いる。 悪性腫瘍 0 陽性率(%) 50 100 0 陽性率(%) 50 100 原発性 肝細胞癌 肝芽腫 卵黄嚢腫瘍 転移性肝癌 胃・胆道・ 膵・結腸癌 胃・膵癌 肺癌 良性疾患 肝硬変 肝炎 乳児肝炎 先天性胆道 閉塞症 奇形腫 奇形児 妊娠時 注)陽性率の上段は MediPro、下段は腫瘍マーカーハンドブック記載データ 13 図表 13 CA19−9 の特徴と陽性率 CA19-9は大腸癌培養細胞SW1116を用いて作製されたモノクローナル抗体NS19-9に より認識するⅠ型糖鎖抗原で、CEA、AFPと共に最も利用される腫瘍マーカーであ る。CA19-9は膵癌、胆道系癌患者血清中に著名な増加を示すが、早期発見よりも 各種治療効果の判定や術後再発のモニタリングに有用である。正常な膵管、気管 支腺、卵胞、唾液腺等でも産生されるため、これらの良性疾患で血中レベルが増加 する。 0 陽性率(%) 50 100 0 陽性率(%) 50 100 悪性腫瘍 膵癌 膵管癌 胆道系癌 肝癌 食道・胃癌 結腸・直腸 大腸癌 泌尿器系癌 婦人科癌 肺癌 良性疾患 膵炎 胆道系炎症 肝炎・肝硬変 卵巣嚢腫 注)陽性率の上段は MediPro、下段は腫瘍マーカーハンドブック記載データ 14 (5) 癌の遺伝子診断技術の現状 1) 遺伝子診断とは 癌は複数の遺伝子異常が多段階的に蓄積された結果、細胞増殖調節機構に破綻をきたし、 正常細胞が段階的に癌細胞へ変化すると考えられている。癌の遺伝子診断は、このような 発癌メカニズムに関する情報に基づき癌関連遺伝子の変異を利用して、診断するものであ る。 2) 遺伝子診断の目的による分類と現状 ① 発症前のリスク発癌診断: 体の細胞から DNA を抽出し、ジデオキシ法により目的とする遺伝子の塩基配列を決定 する。現在、塩基配列はシークエンサーと呼ばれる機械で決定している。 家族性大腸腺腫症、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC) 、家族性乳癌等の遺伝性 癌の保因者の診断(遺伝子の異常を検査)に利用されている。 ② 癌細胞の検出を目的とした診断:本プロジェクトはこの分類に属する 本プロジェクトはこの分類に属する PCR 法を用い異常遺伝子を特異的に増幅し、癌細胞を検出する。従来の病理診断では 検出感度以下の癌細胞の存在を調べることを目的とする。 癌細胞または壊れた癌細胞からの変異遺伝子が体液中(血液、喀痰、膵液、腹水、胸水等) に流れ込んだ時に、PCR 法を用いて高感度で検出することが可能である。 [現在までの報告例] ・ 白血病の染色体転座に伴うキメラ遺伝子の検出 ・ 点突然変異を起こした K-ras 遺伝子の検出 ・ 腹腔洗浄液からの微小転移診断 ③ 癌の個性の評価: 同一の臓器で発生した癌でも、それぞれ遺伝子の変化の状態には差があるため、癌の 性質を分子生物学的に判断する。これにより転移・湿潤能、細胞増殖の速さ、化学療法や 放射線療法の感受性などを判断する。 しかし現在のところ、臨床に応用された例は報告されていない。 15 3.国内外の主な関連研究の動向 主要なプロジェクトの動向を以下に示す。 図表 14 プロジェクト線図 80 90 2000 2010 ヒトゲノム解析計画 国 際 NIHを中心とした癌関連研究 米 国 91 国家バイオ政策報告書 EU枠組み計画を中心とした癌関連研究 欧 州 2002 欧州ライフサイエンス・バイオ戦略 日 本 2000 04 ミレニアムプロジェクト 政府 98 2000 ゲノムDNA情報の構造生物学的解析 98 04 ゲノムフロンティア開拓研究 文部科学省 99 01 がん細胞標的治療プロジェクト 02 06 タンパク3000プロジェクト 02 08 バイオリソースプロジェクト 厚科研費研究 厚生労働省 2000 04 薬剤反応性遺伝子解析 84 87 光化学反応がん診断・治療 85 88 免疫学的がん診断装置 86 89 がん治療用ハイパーサミア 92 95 定位的がん治療装置 95 経済産業省 99 高感度DNA光検査 95 2000 微量細胞情報検出 99 01 本プロジェクト 2000 微小電極利用遺伝子情報計測システム(医工連携) 16 02 (1) 国内 国内では以下に示すような機関で血中遊離 DNA、血中 mRNA、血中遊離癌細胞を用いる 遺伝子診断関連研究が行われている。担癌患者の血中遊離 DNA が増加していること、また 担癌患者の血中遊離 DNA に癌遺伝子が見られることの報告はあるが、定量的に測定してい る報告はない。 金沢大学医学部第 1 外科の前田一也等は、末梢血中に存在する癌関連遺伝子の hypermethylation の有無による癌再発診断の可能性を検討している。食道癌で APC 遺伝 子の hypermethylation(HMAPC)を観察し、食道癌 86 検体(扁平上皮癌、SCC、32 検 体・腺癌、ADE、54 検体)、Barrett 食道 43 検体、正常粘膜 57 検体(食道粘膜 20 検体、 胃粘膜 37 検体)を対象とし、各検体から genomic DNA を抽出するとともに、末梢血より 遊離 DNA を分離している。HMAPC の有無は、real-time MSP 法により判定しており、 DNA を bisulfite 処理した後、APC 遺伝子の promotor 領域に methylation が存在する場 合にのみ特異的に増幅を開始する primer および probe を用いて PCR を行っている。結果 として、HMAPC は、SCC で 19/32(59%) 、ADE で 48/51(94%) 、Barrett 食道で 15/43 (35%) 、正常胃粘膜で 12/37(37%)に認められ、正常食道粘膜はいずれも HMAPC 陰性 である。一方、末梢血中遊離 DNA の HMAPC は、ADE の 14/54(26%)でのみ陽性で、 SCC や Barrett 食道ではいずれも陰性であったと報告している。結論として、末梢血遊離 DNA の HMAPC は、食道腺癌再発の指標になるものとしており、更に胃癌と大腸癌に関し 再発の指標に用いる遺伝子を検索している。 同様に、大阪大学大学院医学系研究科病態制御外科や秋田大学医学部臨床検査医学講座 においても血中遊離 DNA による癌の遺伝子診断の研究が行われている。 京都大学医学部泌尿器科の呂家駒等は、尿路上皮癌患者末梢血液中の UP II mRNA 陽性 細胞の検出を試み、微小転移癌の検出法としての有用性を検討している。同科で治療中の 17 例の尿路移行上皮癌患者、10 例の遠隔転移を有する腎細胞癌患者および3名の健常人よ り末梢血 5 ml を採取し、nested RT-PCR 法により UP II 遺伝子 mRNA 陽性細胞の有無を 解析している。その結果、検出感度としては、健常人末梢血 5 ml 中に 1 ヶの陽性コントロ ール HT1197 細胞まで検出可能であったとしている。7 例の尿路移行上皮癌原発巣および1 例の剖検で得られた 6 ヶ所の転移巣組織の UP II mRNA を調べ、全てのサンプルで陽性で あると報告している。尿路移行上皮癌患者血液では 17 例中 5 例で UP II mRNA 陽性細胞 が検出され、10 例の有転移腎細胞癌患者、3 名の健常人では陰性であると報告している。 UP II mRNA 陽性を示した 5 例の尿路移行上皮癌患者のうち 4 例は肺などの遠隔転移陽性 例で 1 例は腎盂癌の所属リンパ節陽性例である。UP II mRNA は遠隔転移もしくは所属リ ンパ節転移陽性 9 例中 5 例で陽性、非転移の 8 例(Ta:2 例、Tis:1 例、T1-4:5 例)は 全例陰性である。 東京医科大学泌尿器科の伊藤貴章等は、PSA の mRNA を RT-PCR 法を用い前立腺癌患 者の血中より検出し、前立腺癌細胞が血中を循環していることを証明し、微小転移を予測 17 し、surgical failure やホルモン療法後の再燃の予後因子となりうるかを検討している。対 象は、stage B、C 未治療前立腺癌 23 例で、治療法は 10/23 例で LH-RH analogue + flutamide の CAB 療法後前立腺全摘が施行され、13/23 例は CAB 療法単独である。それ ぞれ surgical または biochemical failure となったかどうかと PCR 法の結果を比較検討し ている。その結果、stage B は 8 例中 1 例で陽性、7例で陰性、stage C は 15 例中 7 例が 陽性、8 例が陰性であったと報告している。PCR 陽性であった 8 例中 6 例で surgical failure または biochemical failure を起こしていたのに対し、陰性例では 15 例中 3 例のみである (P=0.0086)。初診時血清 PSA 値、臨床病期、分化度、PCR 法の結果を多変量解析にて比 較すると、PCR 法の結果が最も有意に surgical または biochemical failure と関連していた としている(p=0.0172)。以上の結果から、RT-PCR 法による PSA の mRNA の検出は、前 立腺全摘における surgical failure やホルモン療法後の biochemical failure の予測に有用で ある可能性が示唆されたとしている。 鹿児島大学医学部第一外科と鹿児島共済会南風病院では、臨床病理学的検索、遺伝子学 的検索(血中遊離癌細胞検出)を行い、術中の血中遊離癌細胞検出の臨床的意義に関して 検討している。胃癌手術症例(根治後 AB)373 例に対し臨床病理学的検討を、更に治癒切 除例 57 例に対しては CEA-mRNA specific nested RT-PCR を行い、術中血中遊離癌細胞を 検出し、結果として 373 例中血行性再発は 32 例、血行性再発は深達度とリンパ節転移に相 関を示すことを報告している(p<0.001 & p<0.0001)。また、ly, v 共に血行性再発と相関を 示したが(p<0.0001 & p<0.0001)、脈管侵襲陰性例(ly0 & v0)の 144 例中 3 例 (2.1%)に血 行性再発を認め、36.8%の症例で CEA-mRNA の発現を認め、脈管侵襲陰性 (ly0 & v0)の 31 例中 4 例で血中 CEA-mRNA 発現が陽性、57 例中 4 例に血行性再発を認め(全例で CEA-mRNA 陽性)、 血行性再発と CEA-mRNA 発現との間に相関を認めている (p=0.029)。 以上より、脈管侵襲陰性例でも血中遊離癌細胞の検出例が認められたこと、血行性再発と 遊離癌細胞検出との間に有為な関連が認められたことより、RT-PCR 法による血中遊離癌細 胞の検出は血行性再発の予知により有用であると報告している。 鹿児島大学医学部では RT-PCR 法を用いた食道癌手術症例の血中遊離癌細胞検出につい ても研究を行い、食道癌手術症例では術中に高頻度に血中の遊離癌細胞が RT-PCR を用い ると検出され、これは麻酔や手術操作の影響が考えられ、術後や外来 follow-up 時に陽性と なる場合は、再発の危険性が高いと報告している。 一方、愛媛大学医学部歯科口腔外科では口腔癌患者の末梢血、骨髄液中における循環癌 細胞の検出に関する検討を行い、現段階では RT-PCR の結果がそのままマーカーとはなり にくいと報告している。 燕労災病院外科では胃癌における門脈血の分子生物学的検索を行い、進行度に伴いその 検出率が上昇する傾向にあり、異時性遠隔転移の予測因子となりうる可能性を示唆してい る。 京都府立医科大学消化器外科では RT-PCR 法を用いた大腸癌患者末梢血中の癌細胞検出 18 を行い、大腸癌は systemic disease の可能性があり、手術操作により癌細胞は血液内に流 入していくと考えられ、RT-PCR による末梢血癌細胞陽性所見は肝転移の predictor になり 得るとしている。同様に原発巣における sLex の発現の意義についても検討を行い、原発巣 に sLex を発現しているものは高率に肝転移を発生しやすくその予後は悪いとしている。 同様の研究は、京都大学腫瘍外科、信州大学医学部、杏林大学医学部、東北大学医学部 等でも行われている。 図表 15 血中遊離 DNA を用いる遺伝子診断関連研究例 実施者 内容 金沢大学医学部第 1 外科 末梢血遊離癌関連遺伝子 hypermethylation の有無によ 大村健二、川上和之、石田善敬、前田一也、金平 る癌再発の診断 永二 金沢大学医学部第 1 外科 大腸癌患者の血中遊離 DNA における癌関連遺伝子プロ 前田一也 モータ領域の hypermethylation 大阪大学大学院医学系研究科病態制御外科 膵臓癌の血中遊離 DNA 検出 秋田大学医学部臨床検査医学講座 末梢血液中遊離 DNA による悪性腫瘍診断に関する研究 京都大学医学部泌尿器科 末梢血液中 Uroplakin II mRNA を指標とした尿路上皮 呂家駒, 筧善行, 高橋毅, 小川修 癌の転移診断 東京医科大学泌尿器科 RT-PCR 法による前立腺癌患者末梢血中の前立腺特異 伊藤貴章, 大久保雄平, 相澤卓, 秋山昭人, 山本 抗原(PSA)mRNA の検出 真也, 三木誠, 大野芳正 鹿児島大学医学部第一外科 1) 胃癌治癒切除例における血中遊離癌細胞検出の臨床的 鹿児島共済会南風病院 2) 意義−血行性再発の予知可能性− 宮薗太志 1), 夏越祥次 1), 帆北修一 1), 山田一隆 2), 馬場政道 1), 末永豊邦 2), 高尾尊身 1), 愛甲孝 1) 鹿児島大学医学部 RT-PCR 法を用いた食道癌手術症例の血中遊離癌細胞 中島 三郎, 夏越 祥次, 松本 正隆, 宮薗 太, 馬 検出とその意義 場 政道, 高尾 尊身, 愛甲 孝 愛媛大学医学部歯科口腔外科 口腔癌患者の末梢血、骨髄液中における循環癌細胞の検 住田 知樹、善 啓史、浜川 裕之 出に関する検討(口腔癌患者 26 名の新鮮組織及び末梢、 骨髄より血液を採取し、conventional 及び TaqMan RT-PCR 法にて SCCA、CK13 の mRNA 発現を検討) 20 燕労災病院外科 胃癌における血中遊離癌細胞の検出(Cytokeratin 山口和也、宮下薫、大橋泰博、浅海信也、轟木秀 の primer を用いた nested RT-PCR により、胃癌患者 一、斎藤義之、北原光太郎、大黒善彌 の末梢血、門脈血中の遊離癌細胞の検出) 19 実施者 内容 京都府立医科大学消化器外科 RT-PCR 法を用いた大腸癌患者末梢血中の癌細胞検出 小池浩志, 北村和也, 谷直樹, 西田智樹, 市川大 の臨床的意義 輔, 岡本和真, 大辻英吾, 上田祐二, 糸井啓純, 萩原明於, 山岸久一 京都府立医科大学消化器外科 RT-PCR 法による大腸癌患者末梢血癌細胞の検出と原 谷直樹, 北村和也, 小池浩志, 西田智樹, 市川大 発巣における sLex の発現の意義 輔, 岡本和真, 上田祐二, 糸井啓純, 萩原明於, 山口俊晴, 山岸久一 京都大学腫瘍外科 食道癌におけるリンパ節微小転移と血中浮遊癌細胞の 嶋田裕 臨床的意義 信州大学医学部 Nested 及び Semi Nested RT-PCR 法を用いた前立腺癌 川上雅子 患者末梢血の前立腺癌細胞の検出 杏林大学医学部 Nested RT-PCR 法による血中前立腺癌細胞の検出 桶川隆嗣 東北大学医学部 CEA 特異的 RT-PCR 法による大腸癌腫瘍流出血中遊離 石井誠一 癌細胞の同定とその臨床的意義 資料)日本癌治療学会遺伝子診断部会演題抄録(1999 年∼2001 年) 、MEDLINE(最近 5 年間)他 遺伝子診断に関連する大きなプロジェクトとしてはミレニアム・ゲノム・プロジェクト があり、癌に関しては疾患・薬剤反応性遺伝子の解析と治療応用などが行われている(付 帯資料 4) 。 文部科学省のバイオリソースプロジェクトでは、バイオリソースの体系的な収集・保存・ 提供を行う体制整備が図られている。また、同省のタンパク 3000 プロジェクトでは、平成 14年度からの5年間でタンパク質の全基本構造の1/3(約3000種)以上のタンパク 質の構造及びその機能を解析し、特許化まで視野に入れた研究開発を推進するとしている (付帯資料 5) 。 文部科学省の科学技術振興調整費、国研活性化プログラム関連プロジェクトでは、がん 細胞の標的治療のための先端基盤技術の開発、ゲノム比較と系統的相互作用解析に基づく 遺伝子・分子ネットワークの解明、ヒト完全長cDNAクローンの単離とそのバンク化、 及び、それらを用いた多型マーカー開発並びに発現情報解析方法の確立のための研究、次 世代DNAマイクロアレイシステムの開発、多型マイクロサテライトの収集とヒトゲノム 多様性に関する研究他が行われている(付帯資料 6)。 厚生労働省では、薬剤反応性遺伝子解析による疾病対策・創薬推進事業が行われており、 薬剤の薬効や副作用の発現に影響を与える分子を対象に、個体差発現の原因となる一塩基 20 多型(SNP)等の遺伝子多型を明らかにする研究が行われている(付帯資料 7) 。 また、厚生科学研究費による21世紀型医療開拓推進研究事業がん研究分野、がん克服 戦略研究事業、ヒトゲノム・再生医療等研究事業・ヒトゲノム分野、高度先端医療研究事 業・治療機器等開発研究分野では、様々な角度から癌医療に関する研究が行われている(付 帯資料 8) 。 経済産業省では、医療福祉機器技術研究開発事業で微量細胞情報検出システム、高感度 DNA光検査装置研究開発、定位的がん治療装置、光化学反応がん診断・治療装置、免疫 学的がん診断装置、がん治療用ハイパーサーミア装置などが行われており、医学・工学連 携型研究事業では、微小電極利用遺伝子情報計測システムなどが行われている(付帯資料 9) 。 その他、埼玉県立がんセンターではステロイドホルモン依存性癌の発生と進展の分子機 序の研究等、九州大学生態防御医学研究所では子宮体癌発生の分子機構等、日本医科大学 老人病研究所ではヒト癌の遺伝子診断による悪性度の評価・ヒト癌抑制遺伝子の研究等が 行われている(付帯資料 10) 。 21 (2) 海外 「MEDLINE」データベースによって最近 5 年間の文献検索を実施した。調査日は 2002 年 7 月 19 日である。 「MEDLINE」は医学分野で世界最大の文献データベースで、1966 年から NLM(米国 国立医学図書館)でデータ収集が始まり、現在毎月約 3 万件の文献が新たに追加されてい る。現在では、米国を中心に約 70 ヵ国から,900 万件を超える文献が収録されている。 以 下のキーワードで検索した結果の件数を示す。 ① DNA & Diagnosis & Cancer 19,209件 ② DNA & genetic Diagnosis & Cancer 4,807件 ③ Plasma DNA & genetic Diagnosis & Cancer 75件 ④ Plasma DNA & Human & genetic Diagnosis & Cancer 66件 ここで④の文献を調べたところ、担癌患者の血中遊離 DNA が増加していること、また担 癌患者の血中遊離 DNA に癌遺伝子が見られることの報告はあったが、定量的に測定してい る報告はなかった。海外における血中遊離 DNA を用いる遺伝子診断関連研究例について最 近 5 年間と、過去における代表的なものについて次表に示す。 一部日本の文献も含む。 図表 16 海外における血中遊離 DNA を用いる遺伝子診断関連研究例 内 容 実 施 者 Wong IH, Lo YM, Johnson PJ. Lo YM. Fleischhacker M. Epigenetic tumor markers in plasma and serum: biology and applications to molecular diagnosis and disease monitoring. Ann N Y Acad Sci. 2001 Sep;945:36-50. Review Circulating nucleic acids in plasma and serum: an overview. Ann N Y Acad Sci. 2001 Sep;945:1-7. Review. The 2nd International Symposium on Circulating Nucleic Acids in Plasma and Serum (CNAPS-2), Hong Kong, February 20-21, 2001. Eur J Med Res. 2001 Aug 27;6(8):364-8. Shao ZM, Wu J, Shen ZZ, Nguyen M. p53 mutation in plasma DNA and its prognostic value in breast cancer patients. Clin Cancer Res. 2001 Aug;7(8):2222-7. Prognostic significance of circulating microsatellite markers in Taback B, Fujiwara Y, Wang HJ, the plasma of melanoma patients. Foshag LJ, Morton DL, Hoon DS. Cancer Res. 2001 Aug 1;61(15):5723-6. Automated fluorescent detection of microsatellite instability. Hirst GL, Illand M. Mol Biotechnol. 2001 Mar;17(3):239-47. Anker P, Stroun M. Allan JM, Hardie LJ, Briggs JA, Davidson LA, Watson JP, Pearson SB, Muers MF, Wild CP. Circulating DNA in plasma or serum. Medicina (B Aires). 2000;60(5 Pt 2):699-702. Review. Genetic alterations in bronchial mucosa and plasma DNA from individuals at high risk of lung cancer. Int J Cancer. 2001 Feb 1;91(3):359-65. 22 内 容 実 施 者 Gonzalez R, Silva JM, Sanchez A, Dominguez G, Garcia JM, Chen XQ, Stroun M, Provencio M, Espana P, Anker P, Bonilla F. Microsatellite alterations and TP53 mutations in plasma DNA of small-cell lung cancer patients: follow-up study and prognostic significance. Ann Oncol. 2000 Sep;11(9):1097-104. Botezatu I, Serdyuk O, Potapova G, Shelepov V, Alechina R, Molyaka Y, Ananev V, Bazin I, Garin A, Narimanov M, Knysh V, Melkonyan H, Umansky S, Lichtenstein A. Burchill SA, Selby PJ. Genetic analysis of DNA excreted in urine: a new approach for detecting specific genomic DNA sequences from cells dying in an organism. Clin Chem. 2000 Aug;46(8 Pt 1):1078-84. Jahr, S. et al. DNA fragments in the blood plasma of cancer patients: quantitations and evidence for their origin from apoptotic and necrotic cells. Cancer Res. 61, 1659-1665 (2001). Serum, plasma and paraffin-embedded tissues as sources of DNA for studying cancer susceptibility genes. Carcinogenesis 18, 1271-1275 (1997). Analysis of circulating tumor DNA in plasma at diagnosis and during follow-up of lung cancer patients. Cancer Res. 61, 46754678 (2001). Detection and quantification by homogeneous PCR of cell-free fetal DNA in maternal plasma. Clin. Chem. 47, 336-338 (2001). Molecular detection of low-level disease in patients with cancer. J Pathol. 2000 Jan;190(1):6-14. Review. Sozzi G, Musso K, Ratcliffe C, Detection of microsatellite alterations in plasma DNA of nonGoldstraw P, Pierotti MA, Pastorino small cell lung cancer patients: a prospect for early diagnosis. U. Clin Cancer Res. 1999 Oct;5(10):2689-92 Anker P, Mulcahy H, Chen XQ, Detection of circulating tumour DNA in the blood Stroun M. (plasma/serum) of cancer patients. Cancer Metastasis Rev. 1999;18(1):65-73. Review. Silva JM, Dominguez G, Garcia JM, Presence of tumor DNA in plasma of breast cancer patients: Gonzalez R, Villanueva MJ, Navarro clinicopathological correlations. F, Provencio M, San Martin S, Cancer Res. 1999 Jul 1;59(13):3251-6. Espana P, Bonilla F. Takeda S, Nakao A. Genetic detection and clinical applications in patients with hepatocellular carcinoma Nippon Geka Gakkai Zasshi. 2002 Jun;103(6):472-5. Japanese. Leon, S.A., Shapiro, B., Sklaroff, D.M. Free DNA in the serum of cancer patients and the effect of & Yaros, M.J. therapy. Cancer Res. 37, 646-650 (1977). Shapiro, B., Chakrabarty, M., Cohn, Determination of circulating DNA levels in patients with benign E.M. & Leon, S.A. or malignant gastrointestinal disease. Cancer 51, 2116-2120 (1983). Stroun, M. et al. Isolation and characterization of DNA from the plasma of cancer patients. Eur. J. Cancer Clin. Oncol. 23, 707-712 (1987). Bloemeke, B., Bennett, W.P., Harris, C.C. & Shields, P.G. Sozzi, G. et al. Wei, C., Saller, D.N. & Sutherland, J.W. 資料) 「MEDLINE」データベースによる最近 5 年間の文献検索結果およびその他代表的な文献 23 また、Anker らが 2002 年 8 月に発表した文献1において、血中核酸のこれまでの成果を まとめ、血液検査による癌の検出の可能性について検討しているものを以下に紹介する。 海外においても血液検査で癌を発見する方法についての研究が続けられている。1970 年 代にすでに、様々な悪性腫瘍患者の血漿における血中遊離 DNA の増加が確認された。1999 年 Y. M. Dennis Lo らのグループが、血中のウイルス DNA の正確な定量法を開発し、彼ら は上咽頭癌の血漿/血清中に EBA DNA を確認し、EBA DNA と癌の再発の関係について検 討した。実時間定量 PCR 法を用い調べたところ、癌再発者 10 人の EBA DNA の平均濃度 は 32,350 copy/ml であるのに対し、寛解者 15 人は 2 年後においても 0 copy/ml であった。 また臨床症状が悪化する 6 ヶ月前に、すでに血清中の EBA DNA が上昇していたことも確 認された。血清中の EBA DNA が低濃度、又は検出されなかった患者は、寛解状態を継続し ている。このことから、NPC 患者のモニタリングのツールとして、血中の EBA DNA の定 量は有用であると考えられた 2。 また最近では、癌患者の血漿/血清中に含まれる癌関連 RNA の研究が活発になっている。 これには、チロシナ−ゼmRNA、テロメラーゼコンポーネント、様々の癌関連遺伝子にエン コードされたmRNA、ウイルス RNA の研究などがある。Kopreski MS らは、悪性黒色腫の 患者の血清から、RT-PCR を用いてチロシナ−ゼmRNA の抽出を試みた。健常者 20 名か らは一人もチロシナ−ゼmRNA が検出されなかったのに対し、悪性黒色腫の患者 6 名のう ち 4 名からチロシナ−ゼmRNA を抽出することに成功した。このように、最近では血清中 から mRNA を抽出し、増幅して検討することが可能になった 3。 血中遊離mRNA マーカーが血中遊離 DNA マーカーより注目されているのには、検出感 度が高いことがあげられる。Dasi らは、テロメラーゼ活性がヒト癌を検出する分子マーカ ーに適しているとし、血清中のテロメラーゼmRNA の発現を分析した。血清中の hTERT 発現の定量的測定法として、実時間定量 RT-PCR(qRT-PCR)に基づき、グリセルアルデ ヒド-3-フォスフェイト・デヒドロゲナーゼ(GAPDH)発現を用いて、RNA のインプット 量を標準化した。この結果、結腸直腸癌者(9 名中 8 名)と濾胞性リンパ腫の患者(9 名中 9 名)は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素にポジティブ、健常者(10 名中 10 名) )はネガテ ィブを示し、識別することに成功した 4。 また Ng らは、2002 年に血漿中の DNA と RNA について、健常者と肝細胞癌患者で比較 したところ、肝細胞癌患者では RNA 量が健常者より明らかに増加していることを確認した 5。今後は血中遊離 DNA、及び RNA を利用して、癌の非侵襲的検出法を確立することがで きると考える。 1.Philippe Anker and Maurice Stroun , Progress in the Knowledge of Circulating Nucleic Acids: Plasma RNA Is Particle-Associated. Can It Become a General Detection Marker for a Cancer Blood Test? Clinical Chemistry. 2002;48:1210-121 24 2.Y. M. Dennis Lo2, Lisa Y. S. Chan, Anthony T. C. Chan, Sing-Fai Leung, Kwok-Wai Lo, Jun Zhang, Joseph C. K. Lee, N. Magnus Hjelm, Philip J. Johnson and Dolly P. Huang,Quantitative and Temporal Correlation between Circulating Cell-Free Epstein-Barr Virus DNA and Tumor Recurrence in Nasopharyngeal Carcinoma Cancer Research 59, 5452-5455, November 1, 1999 3.Kopreski MS, Benko FA, Kwak LW, Gocke CD. Detection of tumor messenger RNA in the serum of patients with malignant melanoma. Clin Cancer Res 1999;5:1961-1965 4.Dasi F, Lledo S, Garcia-Granero E, Ripoll R, Marugan M, Tormo M, et al. Real-time quantification in plasma of human telomerase reverse transcriptase (hTERT) mRNA: a simple blood test to monitor disease in cancer patients. Lab Invest 2001;81:767-769 Lab Invest. 2001 May;81(5):767-9 5.Ng EKO, Tsui NBY, Lam NYL, Chiu RWK, Yu SCH, Wong SCC, et al. Presence of filterable and nonfilterable mRNA in the plasma of cancer patients and healthy individuals. Clin Chem 2002;48:1212-1217 25 4.関連特許・文献の推移 (1) 特許 1) 国内の動向 国内における最近 10 年間の血中遊離 DNA による癌診断関連の特許は 10 件で、全血液 検体からの DNA 抽出方法、血液中の腫瘍マーカーなどが出願されている。特許の出願番号、 要約、出願人などは付帯資料 11 に示す。 一方、より広い範囲である DNA による癌診断関連特許は 273 件であった。この出願の推 移をみると、1998 年までは増加傾向を示していたが、その後減少している。 図表 17 国内の関連特許 期間 PATOLIS 特許・出願:1991 年 1 月 1 日~2000 年 12 月 31 日まで(公開日 2002 年 5 月 15 日まで) 検索式 A FK=(血中+血液) B FK=DNA C FK=(癌診断+(癌+ガン+がん)*診断) 検索式①:A*B*C 特許 10 件(血中遊離 DNA による癌診断) 検索式②:B*C 特許 273 件(DNA による癌診断) DNAによる癌診断(日本) 出 願 件 数 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 出願年 26 1997 1998 1999 2000 2) 海外の動向 海外における最近 10 年間の血中遊離 DNA による癌診断関連の特許は、米国と欧州 3 カ 国(英、独、仏)への出願件数がほぼ同様の傾向を示しており、1996 年以降急増している。 我が国が 10 年間で 10 件であるのに比較し、欧米では 2000 年だけでも 100 件を超える出 願がある。これらの特許の概要を付帯資料 12 に示す。 図表 18 海外の関連特許 期間 WPI 特許・出願(優先権主張):1991 年 1 月 1 日~2000 年 12 月 31 日 検索式 D (PLASMA+BLOOD)*(DNA+DEOXYRIBONUCLEIC(W)ACID+DEOXYRIBO(W)NUCLEIC(W)ACID+ DEOXY(W)RIBO(W)NUCLEIC(W)ACID) E CANCER F DIAGNOSIS G AC(出願国)=US+AC=WO(国際出願)*DS(指定国)=US H AC=(DE+FR+GB)+AC=(EP(欧州特許庁出願)+WO)*DS=(DE+FR+GB) 検索式①:D*E*F*G 特許 273 件 検索式②:D*E*F*H 特許 250 件 出願年は優先権主張年とする 欧州は、イギリス、ドイツ、フランスへの出願特許とする (GB:イギリス、DE:ドイツ、FR:フランス) 血中DNAによる癌診断(欧米) 140 120 100 出 願 80 件 60 数 40 米国 欧州 20 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 出願年 27 (2) 文献 日本及び米国における最近 11 年間の血中遊離 DNA による癌診断関連の文献数の推移を 調査した。使用したデータベースは日本が JMEDICINE(一部 JOIS も含む)、米国がME DLINEである。 結果として日本 91 件、米国 225 件の文献を抽出したが、データベースが異なるため、こ の両国の文献数を相対評価することはできない。あくまでも推移をみることが目的である。 結果として、文献数はほぼ増加傾向を示している。尚、検索式は付帯資料 13 に示す。 図表 19 日本及び米国における血中遊離 DNA による癌診断関連の文献数の推移 45 40 35 日本 米国 30 文 25 献 数 20 15 10 5 0 1991 1993 1997 年 1995 28 1999 2001 5.その他 (1) 市場の規模 腫瘍マーカーの市場規模についての正確な統計データはないが、1998 年4月に(株)富 士経済が「‘98 特殊検査市場」というレポートを出し、その中で一部の腫瘍マーカーの市 場規模を推計している。その中で、現在も使用されているものをピックアップしたものが 次表である。 図表 20 腫瘍マーカーの売上高(単位:億円) 腫瘍マーカー種類 サイトケラチン 19 1995 年 1996 年 1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 (予測) (予測) (予測) (予測) (予測) 1.24 2.66 2.55 2.87 3.25 3.75 4.10 4.45 ProGRP − 0.70 1.40 1.50 1.55 1.60 1.65 1.70 CSLEX − − 0.04 0.16 0.40 0.80 1.20 1.60 GAT − − 0.05 0.20 0.50 1.50 2.50 3.50 AFP−L3 − 1.00 3.00 6.00 10.00 15.00 20.00 25.00 フラグメント(シフラ) 資料) (株)富士経済「 ‘98 特殊検査市場」 、1998 年4月 これら 5 種類の腫瘍マーカーの 2002 年売上予測合計は約 36 億円となっている。 一方、これら 5 種類に含まれない CEA、PSA、CA125、CA19-9、PA などの代表的な腫 瘍マーカーも、人間ドッグのオプション検査として利用されており、腫瘍マーカー全体で は数百億円規模の市場が存在すると推定される。 (参考:腫瘍マーカーを含む体外診断用医 薬品の国内生産金額は約 1870 億円(平成 11 年薬事工業生産動態統計年報) ) 血中遊離 DNA による癌の診断法が確立し、現状の腫瘍マーカー市場の 10%のシェアを 獲得すると仮定した場合、市場規模は数十億円規模となる。 29 (2) 他技術の健康保険適用への道のり 診断法や新薬が承認されてから健康保険に適用されるまでの期間は、過去においてはヘ リコバクターピロリ除菌療法などのように 10 年以上も経過したケースもあったが、最近は かなり短縮化している。次表に示した例では、2 ヶ月∼3 年で健康保険適用に至っている。 但し、海外との競争が激しい分野であり、更なる審査スピードの向上と専門性の強化、 優先審査制度などの柔軟な運用を望む声も強い。 また、承認に至るまでの期間も海外に比較して長く、我が国の大手製薬会社は新薬の開 発拠点を海外に移しているケースが多い。審査過程で臨床試験の実施基準違反が指摘され る、必要な臨床データが得られないため追加臨床試験データが求められるなどによって開 発コストがかさむため承認を断念するケースもある。 図表 21 健康保険適用までの経緯例 診断法、新薬など 健康保険適用までの経緯 1994 年 国立がんセンター山口らが優れたマーカーであることを示す 1995 年 より広い臨床応用を目的に測定用キットを開発し、全国 16 施設 腫瘍マーカーProGRP で研究会が組織され、健常者と肺癌患者の比較検討から肺小細胞癌での有 東燃(株) 、テルモ(株) 用性を確認 1996 年 5 月 健康保険適用 メルボルン大学(グレアム・クラーク博士)が発明し国家プロジェクトで 開発後、世界 80 カ国で使用 人工内耳ニュークレアス 22 1985 年 12 月 (株)日本コクレア社 1991 年 1 月 医療用具として厚生省より承認 1994 年 4 月 健康保険適用 我が国で最初に臨床応用 改良品ニュークレアス 22 は 1999 年 7 月承認、2000 年 1 月健康保険適用 1998 年 輸入承認申請(米国ダイジーン社製) HPV 遺伝子検査試薬 2000 年 3 月 米国 FDA 承認 三菱化学メディカル(株) 2002 年 1 月 輸入承認(欧米で広く臨床の場で使用) 2002 年 4 月 HPV 遺伝子検査試薬発売、保険適用申請中 1999 年 8 月 申請 インフルエンザ治療薬 1999 年 12 月 承認(前年のインフルエンザによる死者 1152 人を踏まえ) グラクソ・スミスクライン社 2000 年 12 月 販売(保険適用を待ったが見切り発車) インフルエンザ治療薬 日本ロシェ社 2001 年 2 月 健康保険適用 2000 年 8 月 申請 2000 年 12 月 2001 年 2 月 承認 健康保険適用 資料)各種資料を基にTRI作成 30 医薬品の研究開発費の中で臨床試験にかかる費用の占める割合は高い。我が国での臨床 試験の数は、新規制の乏しい新薬の価格算定の厳密化や薬価引き下げ、新 GCP(医薬品の 臨床試験の実施の基準(省令)が 1997 年 4 月 1 日に施行され臨床試験に参加する患者は文 章による同意が必要になるなど基準が厳しくなり法的罰則も設けられた)施行や外国臨床 データ受け入れ拡大などの影響もあり、減少している。 また、我が国の臨床試験は、遅い、質が悪い、費用が高いとの指摘もあり、前述のよう に日本企業は海外での臨床試験を急増させている。 日本での臨床試験が進まない理由としては以下が指摘されている。 ①患者のインセンティブが低い(臨床試験の意義が浸透していない、国民皆保険で経済的 インセンティブが低い) 。 ②実施研究者のインセンティブが低い(臨床試験に対する学問的評価、経済的インセンテ ィブが低い)。 ③臨床試験の実施体制が弱い(臨床試験の実施体制が整っており医療機関が少ない、医師・ 協力者の養成が不十分) 。 一方、厚生労働省は全国治験活性化 3 ヵ年計画(2003-2005)を策定し、大規模治験セン ターの創設、医療機関の治験実施体制の充実などの施策を、また、薬事制度の改善によっ て承認審査の迅速化と体制強化、承認・許可制度の見直しを推進するとしている。 (3) 癌自体の DNA 遺伝子異常の検索 本プロジェクト実施中に行われた「新規異変と疾病の関係の発見」に関する論文の概要 を以下に示す。 参考までに論文が掲載された雑誌のインパクトファクターを「雑誌 IF」として右欄に記 載する。インパクトファクターは学術雑誌がいかに学会に対して影響を持ちえたかを引用 という視点で数値化したもので、Gerfield によって設立されたアメリカの ISI 社(Institute for Scientific Information)から発行されている Journal Citation Reports に掲載されてい る。これは英文雑誌の指標であって、和文雑誌は対象とはなっていない。 ここで記載した概要の文章および雑誌 IF は本プロジェクト実施者清水先生の提供による。 インパクトファクターは最近引用された文献が多い程高い値になる。また、レビュー誌 が高い傾向を示すため、学問的価値をそのまま反映するものではなく、あくまでも参考値 である。算出式は以下。 A(year) = (B(year - 1) + B(year - 2)) / (C(year - 1) + C(year - 2)) Year:特定の暦年、A(year):year 年の Impact factor 値、B(year - 1):year 年の前年に発 表された論文が year 年に引用された数、B(year - 2):year 年の前々年に発表された論文が year 年に引用された数、C(year - 1):year 年の前年に発表された論文数、C(year - 2):year 年の前々年に発表された論文数 31 図表 22 本プロジェクトの「新規異変と疾病の関係の発見」に関する論文の概要 No. 論 名 概 要 Tanino, M., Matsuo, M., Uenaka, A., マウス白血病細胞 RL♂1 で活性化している Tsukuda, K., Ouchida, M., Nakayama, E. RL-akt 遺伝子が実際に細胞の癌化及びアポ and トーシスの回避に重要な機能を果たすこと Shimizu, K.: Transforming 1 文 RL-akt を cDNA の発現実験から明らかにした。マウ Activated by ス白血病細胞 RL♂1 では、 RL-akt 遺伝子の Long Terminal Repeat Insertion in Murine 通常は非翻訳領域が翻訳されて癌排除抗原 Leukemia RL♂1 Cells. となっているが、抗原形成だけでなく、白血 Gene, Activity a c-akt of Gene Mol. Carcinogenesis, the 26, 286-297, 雑誌 IF 3.10 病発症の過程に本遺伝子が積極的に関与し た可能性を示した。 1999. 渡辺和英、谷口律子、川上英治、荒木博陽、 薬剤の代謝に重要な機能を果たす P450 遺 2 五味田裕、清水憲二: 伝子の個人差(遺伝的多型)を判定する際に CYP2C 遺伝子型判定における制限酵素消 問題となる内部対照を全く新しい方法で導 化の陽性対照の設計. 入する方法を開発し、有効な結果を得た。 TMD 研究、17 (1), 17-23, 2000. Ichimura, K., Hanafusa, H., Takimoto, H., RB 関連癌抑制遺伝子候補である p107 遺伝 Akagi, T. and 子の全構造を初めて明らかにし、我々が発見 Shimizu, K.: retinoblastoma- したヒトリンパ腫細胞株における本遺伝子 related p107 gene and its intragenic の異常がヒト Alu 配列間の異常組換えによ deletion in a B-cell lymphoma cell line. る、エクソン5個を含む 15 kbp の領域の欠 Gene, 失であることを見い出した。RB 関連癌抑制遺 Structure of the human 3 ― 251, 37-43, 2000. 2.46 伝子候補である p107 遺伝子のヒト悪性腫 瘍における遺伝子異常を世界最初に発見し た論文である。 4 Gunduz, M., Ouchida, M., Fukushima, K., 染色体 13q34 領域における高頻度の欠失を Hanafusa, H., Etani, T., Nishioka, S., 頭頸部癌で発見し、この領域にある癌抑制遺 Nishizaki, K. and 伝子候補 ING1 の全構造を決定してプロモ Shimizu, K.: Genomic Structure of the Human ING1 ーター領域を特定すると共に、3種の異なる Gene and Tumor- specific Mutations 転写産物があること、ING1 タンパクの活性 Detected in Head and Neck Squamous を喪失させるミスセンス変異が原発頭頸部 Cell Carcinomas. 癌で少なくとも3ヵ所あることを発見した。 Cancer Res., 60 , 3143-3146, 2000. 本遺伝子が癌抑制遺伝子であることを初め て証明した業績で多くの引用がある。 32 8.46 論 No. 5 文 名 概 要 Naito, N., Kawai, A., Ouchida, M., 固定病理組織からの骨軟部腫瘍の分子診断 Dan'ura, T., Morimoto, Y., Ozaki, T., のために、標本から RNA を抽出し、腫瘍特 Shimizu, K. and Inoue. H. 異的遺伝子融合を RT-PCR 法で検出する新 A しい方法を開発し、鑑別診断の困難だった滑 Reverse Transcriptase-Polymerase Chain Reaction Assay in the Diagnosis of 雑誌 IF 3.51 膜肉腫症例を確定診断した。 Soft Tissue Sarcomas. Cancer, 89 6 (8), 1992-1998, 2000. Matsubara, N., Yoshitaka, T., Matsuno, T., 大腸癌患者で高度の遺伝的不安定性を示し、 Ikeda, M., Isozaki, H., Tanaka, N. and かつ複数の癌を持つ多重癌患者で転写因子 Shimizu, K. E2F4 遺伝子のコーデイングマイクロサテ Multiple tumors and a novel E2F-4 ライトにおける新しい変異を発見した。 1.78 mutation. a case report. Digestion, 62 (2-3): 213-216. 2000. Tsukuda, K., Tanino, M., Shimizu, N. and 発結腸癌から原癌遺伝子 K-ras のこれまで Shimizu, K. A novel activating 7 gene 新開発の蛍光標識 SSCP 法により、ヒト原 in mutation of the K-ras human primary colon 報告のなかった新しい部位(第 22 コドン) における活性化点突然変異を発見し、更にそ adenocarcinoma の変異遺伝子が実際に細胞を癌化できるこ Biochem. Biophys. Res. Commun., 278 とを証明した。 3.06 (3):653-658, 2000. Toyooka, S., Ouchida, M., Jitsumori, Y., ラット細胞による新しい癌遺伝子検索の過 Tsukuda, K., Sakai, A., Nakamura, A., 程で、これまで報告のなかった新しいタンパ Shimizu, N. ク質チロシン脱リン酸化酵素の遺伝子を発 HD-PTP: 8 and A Phosphatase Kenji Shimizu Novel Gene Protein Tyrosine 見し、25個のエクソンから成る遺伝子全構 on Human 造を決定すると共に、これが多くの癌で欠失 Chromosome3p21.3. を示す染色体 3p21 領域に位置すること、信 Biochem. Biophys. Res. Commun., 278 , 号伝達やアポトーシス制御に関わる重要な 671-678, 2000. ドメイン構造を持つことなどから新しい癌 抑制遺伝子候補であることを見い出した。 33 3.06 No. 論 名 概 要 Ito, S., Sakai, A., Nomura, T., Miki, Y., 癌遺伝子 c-raf の研究から派生した新しい Ouchida, M., Sasaki, J. and Shimizu, K. 遺伝子の発見で、蛋白間相互作用に関わる A Novel WDC146, 9 文 WD40 Highly Spermatogenesis Protein, WD40 リピートを7個含む 146kDa の蛋白質を during 指令し、精巣、脾臓、胸腺、特に減数分裂期 Stage-specific の精細胞に高い発現があることから、DNA の Repeat Expressed in a Manner. 組換えに関与する可能性が示唆された。最 Biochem. Biophys. Res. Commun., 280 , 近、ドイツの研究グループが本蛋白質をクロ 656-663, 2001. マチンリモデリング複合体から検出し、転写 雑誌 IF 3.06 や組換えの過程に関与する可能性が高くな った。 10 Takashima, H., Matsumoto, Y., 以前我々は遺伝的不安定性を示す大腸 Matsubara, N., Shirakawa, Y., 癌や胃癌の約 60% に細胞周期制御に関 Kawashima, R., Tanino, M., Ito, S., 与する転写因子 E2F4 遺伝子内の Isozaki, H., Ouchida, M., Meltzer, S. (CAG)13 反復配列の癌特異的変異 J., Shimizu, K. and ((CAG)11 12)を発見していた。この変 Tanaka, N. Effect of naturally occurring E2F-4 異 E2F4 は実際に癌遺伝子としての性質 alterations on transcriptional を示し、転写活性化能や細胞増殖能が大 activation and proliferation in 幅に昂進すること等を明らかにした。 4.17 transfected cells. Lab. Investig., 81 , 1565-1573, 2001. N., 早期大腸癌では低頻度遺伝子不安定性 T., を示す例が進行大腸癌よりも有意に多 Notohara, K., Yoshino, T., Isozaki, H., いことを初めて明らかにした。これは進 Sharp, G., Shimizu, K., Jass, J. and 行癌に進展する際の経路が複数存在し、 Tanaka, N.: High frequency of low 癌組織中の限られたクローンから進行 level microsatellite instability in early 癌が生じることを示したもので、国際的 colorectal cancer with invasion limited にも注目すべき知見である。更に、ある to submucosa. 特定の染色体領域の欠失 (LOH) が患者 Cancer Res., 61 , 7743-7746, 2001. の予後に密接に関連することを明らか Kambara, T., Nakagawa, 11 H., Matsubara, Nagasaka, にし、大腸癌患者の術後ケアに重要な情 報をもたらした。 34 8.46 No. 論 名 概 要 Kobayashi, K., Ouchida, M., Tsuji , T., REIC (DKK3) 遺伝子は不死化した細胞株 Hanafusa, H., Miyazaki , M., Namba, や癌細胞株でその発現が著しく減少す M., Shimizu, N. and る遺伝子として発見された。本研究で Shimizu, K.: the 様々な癌組織における発現を検討した gene by promoter- 結果、肺癌や胃癌の原発癌の約半数でも hypermethylation in human tumor 発現の減少が実証された。更に、この発 cells. 現の低下は遺伝子の発現制御に関わる Gene, 282 , 151-158, 2002. プロモーター領域の高度メチル化によ Reduced 12 文 expression REIC/Dkk-3 of 雑誌 IF 2.46 ることを実証した。 13 Terada, K., Tamiya, T., Daido, S., グリオーマでは 10q 領域に高頻度の欠失 Kambara, H., Tanaka, H., Ono, Y., が観察されるが、この領域に想定されて Matsumoto, K., Ito, S., Ouchida, M., いる 3 種の癌抑制遺伝子の欠失と脳腫瘍 Ohmoto, T. and Shimizu, K. 患者の病態や予後との関連を詳細に解 Prognostic value heterozygosity of loss around of three 析したところ、特に PTEN 領域の欠失が 1.58 最も予後との相関が高かった。 candidate tumor suppressor genes on chromosome 10q in astrocytomas. J. Neuro-Oncol., 58 , 107-114, 2002. 14 Gunduz, M., Ouchida, M., Fukushima, 頭頸部癌をはじめ多くの固形癌で高頻 K., Ito, S., Jitsumori, Y., Nakashima, 度の欠失を示す 7q31 領域に癌抑制遺伝 Y., Nagai, N., Nishizaki, K. 子 ING1 と極めて類似した ING3 遺伝子を and Shimizu, K. 発見し、そのゲノム構造を明らかにし Allelic loss and reduced expression of た。更に、頭頸部癌の約 60% がこの領域 the ING3, に欠失を持つことを実証すると共に、本 a candidate tumor suppressor gene at 7q31, in human 遺伝子の大幅な発現低下が見られるこ head とを発見し、ING3 が有力な癌抑制遺伝子 and neck cancers. Oncogene, 21 , 4462-4470, 2002. 候補であることを示した。この領域は他 の癌でも高頻度の欠失を示すので重要 な知見である。 35 6.49 付帯資料 1. バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針(概要) 1999年1月29日 (1)将来展望 平成22年(2010年)に、バイオテクノロジー関連市場の市場規模が25兆円程 度、バイオテクノロジー関連の新規事業者の創業数が1,000社程度まで増大する ことを展望して環境整備を目指す。 (2)産業化の加速的促進のための施策 1)ゲノム解析等の基礎的・基盤的研究の加速的推進 2)事業化支援の強化 3)バイオテクノロジーの実用化に向けた技術開発の強化 4)大学等におけるバイオテクノロジー研究の推進と利用の促進 5)ネットワーク化の推進等産学官の連携の強化 6)適正な安全確保と規制の適正化 7)知的財産の適切な保護 8)国民的理解の促進 (3)推進体制 関係省庁(旧称:科学技術庁、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省)は、本方針 の考え方に基づき、具体的な施策を推進することとし、本方針の実施のための具体的 な計画を共同で策定する。当該計画の実施に当たっては、バイオテクノロジー関係省 庁連携会議において密接な連携を確保するとともに、「経済構造の変革と創造のため の行動計画」の見直し作業を活用して毎年度フォローアップを行う。 36 2. バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本戦略(概要) 1999年7月13日 [基本戦略] 「バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針」を受け、概ね5年程度を見越した 基本戦略を策定し、これらを関係省庁一丸となって強力に推進する。 [所要資金の確保] 基本方針における将来展望を踏まえつつ、研究開発、事業化支援等の資金の大幅な 拡充を図る。 [産業化の加速的促進のための具体的施策] <産業創造のための基盤整備> (1)ゲノム解析等の基礎的・基盤的研究の加速的推進 ①ヒトゲノム解析の加速化 ・ヒト(ヒトモデル動物)完全長cDNA解析 ・ヒトゲノム多様性解析(SNPs構想) 標準SNPsの開発及び標準的多型解析 疾患関連遺伝子等の解析(疾患等関連多型解析) 薬剤反応性関連遺伝子の解析 ・ヒトゲノムの全塩基配列の決定 ②我が国の産業上重要な生物のゲノム解析の加速化 ・イネゲノム解析 ・動物(家畜)ゲノム解析 ・産業有用微生物ゲノム解析 ③機能解析のための共通技術の開発強化 ・タンパク質の構造・機能の体系的解析 ・遺伝子機能の発現・制御解析 (2)知的基盤の充実とネットワーク化の推進 ・生物遺伝資源の供給体制の整備・充実 ・遺伝子改変生物の開発及び供給体制の整備・充実 ・ネットワーク化の推進による産学官の連携の推進 (3)バイオインフォマティクス技術の開発 ・中核的研究拠点の整備 ・民間能力を活用した研究開発の推進 ・ゲノム解析成果の利用環境の高度化に向けたデータベース開発 <技術開発の推進と事業化支援の強化> (1)実用化に向けた技術開発の強化 ・国立試験研究機関等における実用化に向けた技術開発の推進 ・民間の研究開発能力を結集した技術開発の強化 (2)事業化資金支援の拡充 ・新規事業者に対する資金供給制度の拡充 ・TLOの設立支援や国等の制度の活用による研究成果の特許化支援、 成果の利用促進 ・バイオ企業の集積地点の整備 <バイオテクノロジーに関連する環境整備> (1)独創的成果の創出のための研究開発システムの強化 ・先端的研究拠点の整備 ・競争的研究資金の拡充 (2)技術の移転に資する制度の整備 ・国立大学教官等の役員兼業の取扱い ・国の委託研究開発の成果の民間移転 (3)安全の適正な確保と規制の適正化 ・組換えDNA技術に関する指針の充実、運用の改善 ・バイオテクノロジー応用医薬品・医療用具の実用化に対応した 安全性確保体制の整備・充実 ・医薬承認期間の短縮 ・バイオテクノロジー応用食品への対応 (4)知的財産の適切な保護 ・バイオテクノロジー分野における特許制度・運用の国際的調和 ・特許微生物寄託体制の充実 <国民的理解の促進> ・国民に対する情報提供の充実 37 3. バイオ産業技術戦略(概要) 平成11年11月24 日 戦略1.研究開発及び産業化のプロセスを効率化するための基盤整備 (イノベーション加速化戦略) バイオテクノロジー分野は、研究開発、産業化の両面で世界的に天下分け目の大決戦が 繰り広げられており、まさに「スピードとアイデアが命」といった状況である。バイオテ クノロジーは基礎的研究と産業化が近接しているものの、上市までの孵卵期間が長いため、 イノベーションを加速化するための戦略が不可欠である。 (1)基礎的な研究の充実 現在ゲノム情報が蓄積されてきたため、今後は遺伝子機能解析、タンパク質構造解 析、プロテオーム解析、細胞工学などを重点的に進める。 (2)人材育成 我が国においては大学や大学院で生物系の教育を受けた人材を拡充することが必 要であり、特に、バイオインフォマティクスや生物統計学など新たな分野や融合領 域の研究人材を強化する。 (3)ベンチャー企業への支援策の多様化と拡大 ベンチャーファンド・バイオ専門のアナリストの育成、エンジェル税制の抜本的拡充、 大学・企業間の知的ネットワーク構築等。 (4)知的財産権の確保 バイオ分野における審査官を増員、新分野・融合分野に即応した判断基準の提示研究 者の意識改革等。 (5)生物遺伝資源や研究情報の公共財としての整備 生物遺伝資源や研究情報を公共財として整備、開発途上国との国際的な互恵関係を 構築等。 (6)新規利用分野に対応した安全性及び生態系への影響評価基準の策定 戦略2.「人々の多様な幸せへの願い」を実現する産業分野への重点化戦略 (ニーズ指向型産業化戦略) (1)医療及び製薬等医療関連分野の戦略 バイオテクノロジーの産業化は、まず医療及び製薬等医療関連分野においてゲノ ム創薬として開花しつつあり、今後は更に、個人ゲノム情報に基づき適切な患者に 適切な治療を施す「テーラーメイド医療」、個人の体質をゲノム情報レベルで把握し 38 未然に発病を防ぐ「予防医療」へと移行すると考えられる。このため、SNP など の遺伝情報を民間企業が創薬研究や予防医療の研究に利用できるよう公共財として 早急に整備することが必要である。医薬品については、ゲノム情報やプロテオーム 情報を新規の創薬標的分子の同定に活用患者個人の遺伝子情報を基に薬剤の応答性 や副作用発現リスクを予測し、病態に的確に反応する新規作用を有する独創的医薬 品の開発が重要である。医療分野については、遺伝子治療技術の研究開発、組織工 学等を利用した再生医療等の開発、それらの品質確保及び安全性評価の方法につい ての研究、遺伝子組換え技術やクローン技術等を駆使した動物・植物を用いた有用 物質(ワクチン等)の製造技術の開発などの新たな分野を推進し、産業化につなげ ることが重要である。また、併せて、ゲノム創薬によって創製された候補化合物を 適切な臨床試験で評価するために、国際基準に対応できる臨床試験のスムーズな実 施のための体制を早急に整備することが必要である。 (2)食品・農水産業分野の戦略 機能性食品の分野での日本の競争優位を確固としたものにする。また、イネゲノム 研究を加速的に進める。 (3)環境・工業プロセス・製品分野の戦略(グリーンバイオ革命の推進) グリーンバイオプロセスやグリーンバイオプロダクトの開発等。 (4)電子機器・情報解析・精密計測技術の活用戦略 DNA チップとその解読装置、タンパク質情報等生物関連情報のデ−タベ−ス化等 戦略3.バイオテクノロジー産業の発展がもたらす利益を国民・社会が享受できる 環境を整備すること (1)安全性の確保と国民の理解の増進 生態系への影響に関する研究、食品の安全性モニタリング組織の整備等。 (2)生命倫理に関するルールの確立 (3)プライバシーの保護に関するルールの確立 (4)国民・社会が求めるメリットを提供することを重視した取り組み 戦略4.国全体としてバイオテクノロジーの産業化を推進する体制の構築 戦略4.国全体としてバイオテクノロジーの産業化を推進する体制の構築 (1)国全体としてバイオテクノロジーの産業化を推進する体制の構築 (2)バイオ関連政府予算の拡充 明確かつ野心的な目標に向けた研究開発テーマ、独創的手法等を提案している人 に着目して競争的かつ重点的に研究開発資金を配分する等。 (3)産学官の連携の推進 (4)地域における主体的取り組み 自治体による充実したソフト面の支援等。 39 4. ミレニアム・ゲノム・プロジェクト 2000-2004 研究期間 中村祐輔 東京大学教授医科学研究所ヒトゲノム解析センター(長ヒトゲノム多様性解析)、 廣橋説雄 国立がんセンター研究所長(疾患遺伝子) 、五條堀孝 国立遺伝学研究所教授 生命 情報研究センター(長バイオ・インフォマティクス)、西川伸一 京都大学大学院医学研究科 実施者 教授(発生・分化・再生) 、桂直樹 農業生産資源研究所長(イネゲノム) 痴呆、がん、糖尿病、高血圧等の高齢者の主要な疾患の遺伝子の解明に基づくテーラーメイド 医療(原因となる遺伝子は個々人で異なる為その遺伝子疾患に対応した治療等を行う医療) 医療(原因となる遺伝子は個々人で異なる為その遺伝子疾患に対応した治療等を行う医療)を (原因となる遺伝子は個々人で異なる為その遺伝子疾患に対応した治療等を行う医療)を 実現し、画期的な新薬の開発に着手するとともに、生物の発生等の機能の解明に基づく、拒絶 実現し、画期的な新薬の開発に着手する 目標 反応のない自己修復機能を利用した骨、血管等の再生医療を実現する。 疾患予防、健康維持のための植物の高品質化によるアレルゲンフリー等高機能食物及び農業使 用の少ない稲作を実現する。 ヒトゲノム多様性解析:ヒト完全長 cDNA 構造・機能解析(12・13 年度、経済産業省) 、標準 SNPs 解析(12・13 年度、文部科学省、経済産業省) 、体系的疾患 SNPs 研究(12∼16 年度、 文部科学省) 疾患遺伝子:疾患・薬剤反応性遺伝子の解析と治療応用( 疾患・薬剤反応性遺伝子の解析と治療応用(12 疾患・薬剤反応性遺伝子の解析と治療応用(12∼ 12∼16 年度、国立医療機関、大学 内容 等)で癌も対象 等)で癌も対象 バイオ・インフォマティクス:ヒトゲノム関連データベース整備(12∼16 年度、文部科学省、 厚生労働省、経済産業省)とバイオ・インフォマティクス技術の開発 発生・分化・再生:自己修復能力を用いた治療法の実現(12∼16 年度、厚生労働省)他 ヒトゲノム多様性解析(H12 評価結果):既に 10 万の標準 SNP が発見されるなど、達成度は目 標どおり成果を上げており、順調にプロジェクトを実施中。サンプルは日本人集団に特化。タ イピング速度も、米の2000万 SNP/年に対し1億 SNP/年であり5倍。 疾患遺伝子(H12 評価結果):痴呆、がん、糖尿病等の疾患関連遺伝子及び薬剤反応性関連遺伝 痴呆、がん、糖尿病等の疾患関連遺伝子及び薬剤反応性関連遺伝 子について、SNPs 子について、SNPs 解析手法や、発現異常の網羅的解析法等を用いて解明し 解析手法や、発現異常の網羅的解析法等を用いて解明し、新たな治療法、 創薬に関する研究に着手し 創薬に関する研究に着手し、遺伝子解析を行う上でのガイドラインを 、遺伝子解析を行う上でのガイドラインを確立。 確立。 成果 バイオ・インフォマティクス(H12 評価結果):ヒトゲノム関連データベース、標準多型データ ベース、生物遺伝資源に関するデータベース等を構築し、ゲノム研究成果の共通研究基盤とし て、DNA データバンクを含めてネットワーク化するとともに、バイオテクノロジー関連の膨 大なデータの利用環境の高度化を図るため、統合データベースの開発・提供に着手。 発生・分化・再生(H12 評価結果):初期発生、組織・細胞の分化等の基礎研究(発生のしくみ 及び分化・再生のしくみの領域)から、ヒトの組織等の再生医療や遺伝子治療等を視野に入れ た臨床臨床応用(医療への応用の領域)まで、体系的に着手。 40 5. 文部科学省:バイオリソースプロジェクト、タンパク 3000 プロジェクト (1)ナショナルバイオリソースプロジェクト 2002-2008 研究期間 実施者 2002.2 より公募中 ライフサイエンスの総合的な推進を図る観点から、実験動植物 実験動植物( 実験動植物(マウス、シロイヌナズナ等) マウス、シロイヌナズナ等)や、 目標 ES 細胞などの幹細胞、各種生物の遺伝子材料等のバイオリソースのうち、国が戦略的に整備 することが重要なものについての体系的な収集・保存・提供等を行うための体制を整備する。 することが重要なものについての体系的な収集・保存・提供等を行うための体制 実験動植物や、ES 細胞などの幹細胞、各種生物の遺伝子材料等のバイオリソースのうち、国 内容 が戦略的に整備することが重要なものについての体系的な収集・保存・提供等を行うための統 合的なシステムを構築する。 (2)タンパク 3000 プロジェクト 2002-2006 研究期間 理化学研究所、東京大学大学院農学生命科学研究科、北海道大学大学院理学研究科、北海道大 学大学院薬学研究科、横浜市立大学大学院総合理学研究科、高エネルギー加速器研究機構物質 実施者 構造研究所、京都大学大学院理学系研究科、大阪大学蛋白質研究所生体分子解析センター、大 阪大学大学院理学系研究科 我が国発のゲノム創薬の実現等を目指し、我が国の研究機関の能力を結集して、平成14年度 平成14年度 目標 からの5年間でタンパク質の全基本構造の1/ からの5年間でタンパク質の全基本構造の1/3(約3000種)以上のタンパク質の構造及び その機能を解析し、特許化まで視野に入れた研究開発を推進する。 その機能を解析し、特許化まで視野に入れた研究開発を推進する。 タンパク質基本構造の網羅的解析プログラム:cDNA を活用してタンパク質の基本構造を大量 内容 かつ迅速な手法で網羅的に構造・機能解析を実施。タンパク質の個別的解析プログラム:タン パク質の多様な構造・機能に着目して、個別的に構造・機能解析を実施。 41 6. 文部科学省:科学技術振興調整費、国研活性化プログラム関連プロジェクト 6.1 科学技術振興調整費 (1)総合研究 1)がん細胞の標的治療のための先端基盤技術の開発に関する研究 研究期間 第Ⅱ期:1999∼2001 国立がんセンター研究所、奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科、(独)放射 線医学総合研究所、東京大学医科学研究所、東京大学大学院農学生命科学研究科、東京大学分 実施者 子細胞生物学研究所、(財)癌研究会癌研究所、大阪大学蛋白質研究所、大阪大学大学院医学系 研究科バイオメディカル教育研究センター、大阪大学大学院医学系研究科、京都大学医療技術 短期大学部、京都大学大学院理学研究科、京都大学ウイルス研究所 がん細胞の生物的特質に基づいて特定の細胞・分子等を標的とする技術を確立することによ がん細胞の生物的特質に基づいて特定の細胞・分子等を標的とする技術を確立 目標 り、既存の治療法では限界が見えてきた難治がん、進行がんの克服に向けた新しい概念に基づ くがん治療戦略を築く。 分子標的について焦点を絞り、がん細胞の増殖・細胞死の制御機構や浸潤・転移能を標的とし 内容 た治療法の開発に向けた基盤的研究を行う。 第Ⅰ期においては、がん細胞に特徴的な増殖制御機構や信号伝達系、細胞間・細胞間質間相互 作用、プログラム細胞死の信号伝達経路等の解明について研究を進め、p53 のリン酸化部位の 成果 同定や TGF-β シグナル伝達系の解明、細胞表面のプロテアーゼの制御機構の解明、細胞死に関 する Fas リガンドやカスパーゼの関与等、がん治療の分子標的について多くの基礎的成果が得 られた。 42 (2)ゲノムフロンティア開拓研究 1)ゲノム比較と系統的相互作用解析に基づく遺伝子・分子ネットワークの解明 1998-2002 研究期間 京都大学化学研究所、東京大学医科学研究所、九州大学大学院生物資源環境化学、宝酒造(株) 実施者 バイオ研究所、クラクソ・スミスクライン(株)筑波研究所、金沢大学がん研究所、理化学研究 所播磨研究所、京都大学大学院生命科学研究科、東北大学大学院生命科学研究科 ゲノムの全配列データ、マイクロアレイによる遺伝子発現プロフィールデータ、2ハイブリッ ドや質量分析によるたんぱく質間相互作用データ、さらに細胞機能に関する知識を統合し、ゲ ゲ 目標 ノムからネットワークの情報構築原理を明らかにすると同時に、多数の未知遺伝子の機能につ ノムからネットワークの情報構築原理を明らかにする いて系統的予測を行う。 らん藻、酵母、枯草菌、大腸菌でマイクロアレイによる発現プロフィール解析を行い、またら ん藻と酵母については2ハイブリッドシステムと質量分析によるタンパク質間相互作用デー 内容 タをも加え、遺伝子・分子ネットワークを明らかにする。これらの解析を通じて、生命システ ムの情報構築原理解明を目指し、同時にらん藻ゲノム中の多数の未知遺伝子について、系統的 機能予測を行う。 2000 年までにネットワーク再構築の情報処理技術とマイクロアレイ関連の実験技術を確立し、 成果 らん藻、枯草菌、酵母等の生物種で実際の解析を行っている。 2)ヒト完全長cDNAクローンの単離とそのバンク化、及び、それらを用いた多型マー カー開発並びに発現情報解析方法の確立のための研究 1998-2002 研究期間 東京大学医科学研究所・癌ウイルス研究部、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター、 実施者 武田薬品工業 開拓第2研究所、 (財)癌研究会癌化学療法センター、九州大学生体防御医学研 究所遺伝情報実験センター 遺伝子の発現量の差(遺伝子発現プロフィール)や遺伝子産物の機能的性質の差(翻訳領域に 目標 おける遺伝子多型や遺伝子のスプライシングの差)を体系的に解析し、これをもとに疾患、あ おける遺伝子多型や遺伝子のスプライシングの差)を体系的に解析 るいは、特異な病態との関連を調べて遺伝子機能を類推していく。 ヒト遺伝子機能研究、疾患関連遺伝子研究を効率的に進めていく観点から計画されたものであ り、(1)研究の基盤材料となる完全長 cDNAクローンバンクの構築、(2)遺伝子発現プロ フィールを効率よく検索する方法の確立、(3)疾患遺伝子研究のための基盤情報となる特に 内容 遺伝子発現に影響を与える遺伝子多型情報の収集とデータベース化、(4)得られた完全長c DNA配列、それらの発現プロフィール、SNP配列とその多型頻度を統合したデータベース を構築し、インターネットを通じて公表する、の4個の柱から構成される。 43 3)次世代DNAマイクロアレイシステムの開発 1999-2003 研究期間 実施者 早稲田大学、九州大学、日本レーザー電子、理化学研究所 DNA二本鎖に特異的に結合する縫い込み型インターカレーターに、ユウロピウムなどの遅延 目標 型蛍光物質を組み合わせた新しい染色剤を開発し、これを使った次世代マイクロアレイシステ ムの技術開発を行い、最終的に実用化することを目指す。 新しい蛍光ラべリング法およびセンシング法の原理の確立とそれによるマイクロアレイシス 内容 テムの実証を行う。 テムの実証 優れた要素技術の開発が行われているが、マイクロアレイの技術開発競争は予測以上であり、 成果 新たなコンセプトに基づくシステム開発も始まっている。したがって、本研究により開発され た技術の実用化を目指して、応用検証研究を加速する必要がある。 4)多型マイクロサテライトの収集とヒトゲノム多様性に関する研究 2000-2004 研究期間 実施者 島津製作所、東海大学医学部、国立遺伝学研究所生命情報研究センター 世界的に進行しようとしているヒトゲノム多様性プロジェクトの標的であるSNP(single nucleotide polymorphism : 単一ヌクレオチド多型;遺伝子内の一塩基置換、欠失、挿入によ る差異にもとづく多型)に比べ、多型に富み、したがってより精度の高いマッピングが可能な マイクロサテライトに注目し、大量のマイクロサテライトについて、その繰り返し多型を質量 目標 分析法により検索しうるDNAチップ技術(MSチップ)を開発し、続いてこの技術を用いて ゲノムワイドにヒトの多型マイクロサテライト 30,000 個を収集し、さらにマイクロサテライ トを多型遺伝マーカーとする相関解析により、複合遺伝疾患の原因遺伝子など、ヒト表現型を 規定している遺伝要因を同定することを目的とする。 第Ⅰ期では、1)DNA チップによるマイクロサテライトの繰り返し多型の検索技術の開発、 2)ゲノムワイドな 30,000 個の多型マイクロサテライトの設定 第Ⅱ期では、1)第Ⅰ期に設定された 30,000 個の多型マイクロサテライトと第Ⅱ期に開発さ 内容 れたDNAチップによるマイクロサテライ多型の検索技術を用いた複合疾患の原因遺伝子の マッピングと同定、2)第Ⅰ期に設定された 30,000 個の多型マイクロサテライトのデータベ ースの構築 44 5)マウス遺伝子多型情報に基づいた遺伝子機能解析システムの開発 1998-2002 研究期間 東京都臨床医学総合研究所、理化学研究所ゲノム科学総合研究センター、国立遺伝学研究所、 実施者 熊本大学発生医学研究センター 我が国が独自に開発した遺伝学的にユニークなマウス系統と従来の標準的近交系の間に存在 目標 する遺伝子多型を基盤として、マウスの高次生命体機能を制御する遺伝子機能と遺伝子発現制 御機構を体系的に効率良く解明するためのゲノム解析システムを開発する。 多型マーカー情報の整備と亜種間単一交配に基づいたそれらの遺伝的地図作製、完全長 cDN AクローンのSNP情報の開発とそれらの遺伝的地図作製、遺伝子多型情報のデータベース構 内容 築と公開、マウス亜種間コンソミック系統の樹立とそれらを用いた遺伝子機能解析システムの 開発、日本固有の実験用マウス系統のBACゲノムライブラリーの構築とその応用等。 マイクロサテライトの多型情報の整備については、体系的な方法論を開発し多型情報の量産化 と多型データベースの構築と検索システムの基本設計が確立し、その一部についてはデータベ 成果 ースを一般に公開している。また、新しい実験用マウス系統であるコンソミック系統とスピー ドコンジェニック系統については、戻し交配が順調に進展し、一部の系統については導入染色 体(遺伝子)のホモ化も完了している。 6.2 国研活性化プログラム (1)ゲノムDNA情報の構造生物学的解析 1998-2000 研究期間 実施者 目標 任期付研究員:舘野 賢(独立行政法人産業技術総合研究所) ゲノムの全塩基配列内の遺伝子を高精度に同定する。 計算アルゴリズムを創出するとともに、同定された遺伝子の構造を情報科学的及び理論構造生 内容 物学的手法により解析を行う。 情報科学と構造生物学の融合という意欲的な取組みであり、遺伝子同定の計算アルゴリズムの 成果 開発と半自動解析のための情報システムの開発が行われるなど、一定の研究成果がある。 45 7. 厚生労働省:薬剤反応性遺伝子解析による疾病対策・創薬推進事業 2000-2004 研究期間 実施者 国立医薬品食品衛生研究所 薬剤の薬効や副作用の発現に影響を与える分子を対象に、個体差発現の原因となる一塩基多型 目標 内容 (SNP)等の遺伝子多型を明らかにする。 遺伝子診断法を開発し、投薬法の改良を行う。 8. 厚生労働省:厚生科学研究費関連研究 以下の研究課題は全て平成13年度厚生科学研究費によるもの。 8.1 21世紀型医療開拓推進研究事業 がん研究分野 研究課題 実施者 実践的な医療手順のあり方に関する研究 国立がんセンター中央病院 胃がん治療に関する具体的な医療手順に関する研究 金沢大学医学部附属病院がん局 所制御学分野 肺がん標準治療のためのクリティカルパス作成に関する研究 県立愛知病院 乳がん治療に関する具体的な医療手順に関する研究 関西労災病院外科 化学療法の試験実施計画書を普及するための具体的な医療手順に関す 国立がんセンター東病院 る研究 質の高いがん医療の普及のための診療技術の向上に資する教育カリキ 国立がんセンター中央病院 ュラム及び教育マニュアルの在り方に関する研究 CTによる新たな肺がん罹患率高危険度群の解明に関する研究 国立がんセンター中央病院 ポリープ切除の大腸がん予防に及ぼす効果の評価と内視鏡検査間隔の 国立がんセンター中央病院内視 適正化に関する前向き臨床試験 鏡部消化器科 血清学的スクリーニングによる胃がん検診の効果と効率に関する研究 東邦大学医学部 がんの罹患高危険群の抽出と予後改善のための早期診断及び早期治療 大阪府立成人病センター研究所 に関する研究 限局期小細胞肺がんの予後改善を目指した集学的治療の研究 国立がんセンター中央病院放射 線診断部 局所限局非小細胞肺がんの予後改善を目指した外科切除を含む集学的 東京医科大学外科学第一講座 治療の研究 胃癌の分子診断に基づいた術前化学療法の確立に関する研究 九州大学大学院 術前化学療法による高度進行胃がんの予後改善に関する研究 国立がんセンター中央病院第一 領域外来部 再発高危険度群の大腸がんに対する術後補助療法の研究 国立がんセンター中央病院総合 病棟部 46 膵癌に対する新しい補助化学療法に関する研究 国立がんセンター中央病院外科 再発高危険度群の乳がんの予後改善を目指した補助療法の研究 埼玉県立がんセンター内科 進行卵巣がんの予後改善を目指した集学的治療の研究 筑波大学臨床医学系 浸潤性膀胱がんの予後改善をめざした集学的治療の研究 札幌医科大学医学部 難治性悪性リンパ腫に対する分子標的治療薬を用いた薬物療法の研究 国立がんセンター中央病院特殊 病棟部 「外科的手術手技の技術導入評価及び標準化のための研究」として消化 国立がんセンター中央病院外科 管悪性腫瘍に対するリンパ節郭清の意義に関する研究 放射線治療の技術評価及び品質管理による予後改善のための研究 国立がんセンター東病院放射線 部 癌患者全体の全身体力消耗状態に対するリハビリテーション技術の研 愛知医科大学 究 がん診療の質の向上に資する院内がん登録システムの在り方及びその 国立がんセンター研究所がん情 普及に関する研究 報部 短期(治療後5年以内。)がん生存者を中心とした心のケア、医療相談 国立がんセンター研究所 等の在り方に関する調査研究 がん医療における緩和医療及び精神腫瘍学の在り方とその普及に関す 国立がんセンター研究所支所 る研究 肝がんに対する肝移植の有効性とその適応基準の確立に関する研究 信州大学医学部 慢性肝障害合併肝癌の治療適応決定のための肝炎・肝硬変DNAチップ 九州大学生体防御医学研究所 の開発 肝炎対策としての肝がんの研究 東京大学大学院消化器内科 新しい肝がん発症予防法および治療法の開発に関する研究 京都大学大学院 既存の肝がん治療法の有効性に関する研究 国立がんセンター中央病院内科 肝がんの発生予防に資するC型肝炎検診の効率的な実施に関する研究 広島大学医学部衛生学 8.2 がん克服戦略研究事業 研究課題 実施者 ヒト多段階発がんの基盤となる遺伝子異常の総合的把握によるがんの特 国立がんセンター研究所 徴の解明と診療への応用 がん発生に関与するゲノム不安定性と、がん関連遺伝子の機能の解明に関 国立がんセンター研究所 する研究 がん細胞における悪性形質獲得の分子機構の把握およびその制御機構の 国立がんセンター研究所 解明 新しいがん免疫療法の研究 国立がんセンター研究所 47 動物モデルを用いた発がん感受性に関する研究 国立がんセンター研究所 発がんの高危険度群を対象としたがん予防に関する基礎及び臨床研究 国立がんセンター研究所 ウイルスを標的とした発がん予防に関する研究 国立国際医療センター研究所 疫学に基づくがん予防に関する研究 愛知県がんセンター研究所 ME機器の進歩に基づく新しい診断法の開発に関する研究 国立がんセンター中央病院 がん治療のための新技術の開発 国立がんセンター中央病院 新しいがん薬物療法の研究 国立がんセンター中央病院 がん情報の体系化に関する研究 国立がんセンター研究所 機能を温存する外科療法に関する研究 国立がんセンター東病院 がん患者のQOL向上を目指す支持療法に関する研究 国立がんセンター研究所支所 ヒトがんウイルスによる発癌の分子機構と免疫学的治療法の開発 国立感染症研究所エイズ研究 センター SNPs(Single Nucleotide Polymorphi 新潟大学医学部 sm)を用いた相関解析による家族性卵巣癌関連遺伝子の単離と解析 ヒト腫瘍の分子病態の解析と臨床応用のための基盤研究 愛知県がんセンター研究所 ヒトがんの発生ならびに転移を抑制する遺伝子の解析 千葉県がんセンター 小児がんの遺伝的・発生生物学的特性の解明と診断への応用 国立小児病院 分子生物学、分子免疫学を駆使した微小残存、転移病変の評価ならびに適 財団法人癌研究会附属病院 切な集学的治療と予後推測法の開発 がんの浸潤・転移に関する病理学的及び分子生物学的研究 神奈川県立がんセンター臨床 研究所 浸潤、転移の分子機構に基づいた転移の予防及び新しい治療法の開発 大阪府立成人病センター病院 大規模地域・職域検診データに基づくがん予防とがん対策への活用と評価 名古屋市立大学医学部 院内がん登録の整備拡充とがん予防面での活用に関する研究 大阪府立成人病センター 婦人科がんの発生・進展の分子機構解析に基づいた新しい分子診断・治療 佐々木研究所附属杏雲堂病院 法の開発 DNAチップを用いた新たな白血病診断法の確立 自治医科大学医学部 患者の視点も含めたがん診療情報ネットワークの有用性評価と機能向上 国立病院四国がんセンター に関する研究 がん関連遺伝子異常を利用したがんの診断と予後予測の研究 埼玉県立がんセンター がん細胞の増殖制御による総合的分子療法の開発 国立国際医療センター研究所 国立病院・療養所呼吸器ネットワークを利用した、肺癌に対する新しい治 国立療養所近畿中央病院 療法(癌ワクチン療法を加えた)の開発 成人T細胞性白血病(ATL)への同種末梢血幹細胞による骨髄非破壊的 移植療法の検討 48 国立病院九州がんセンター 8.3 ヒトゲノム・再生医療等研究事業 ヒトゲノム分野 研究課題 実施者 GM-CSF 遺伝子導入自己複製能喪失腫瘍細胞接種による遺 東京大学医科学研究所 伝子治療法の開発と臨床研究 難治固形癌に対する局所的ベクター投与による遺伝子治療の 岡山大学医学部第一外科 基礎的・臨床的研究 乳癌に対する癌化学療法の有効性と安全性を高めるための耐 (財)癌研究会癌化学療法センター臨床部 性遺伝子治療の臨床研究 ヒトゲノム研究に基づく腫瘍免疫細胞療法の開発研究 東京大学医学部附属病院(無菌治療部) 注)癌に関連するもののみ記載 8.4 高度先端医療研究事業 治療機器等開発研究分野 研究課題 実施者 集束超音波による Thermal Abalation 効果を利用した新しい低侵襲が 千葉大学 ん治療システムの開発に関する研究 心疾患及びがん疾患遺伝子の SNPs 解析と ECA チップによる遺伝子診 国立循環器病センター病因部 断システムの確立 遺伝子診断法ならびに遺伝子診断システムの実用化研究 国立がんセンター外科 術中にがんを可視化することで、5年生存率を 20%向上させるシステ 東京女子医科大学脳神経外科 ムの臨床開発に関する研究 磁気応用診断・治療機器装置の開発及び肺癌診療への適用 国立がんセンター中央病院 エンドマイクロスコープを用いた癌の新しい診断についての研究 昭和大学横浜市北部病院消化器 センター 注)癌に関連するもののみ記載 49 9. 経済産業省関連プロジェクト 9.1 医療福祉機器技術研究開発事業 (1)微量細胞情報検出システム 1995-2000 研究期間 実施者 目標 医療福祉機器研究所、住友電気工業、藤沢薬品工業、旭テクネイオン 疾病の本態である細胞レベルの情報を総合的に取得して、疾病の早期発見を可能にする。 感染後直ちに提示される細胞レベルの変化情報(表面・内部の分子変化、形態変化)を微量な 内容 生体試料の中から直接総合的に取得する。細胞前処理部、光学的分析部、特定細胞分離/単離部、 画像解析部、制御/データ解析部、表示/出力部からなる装置。 (2)高感度DNA光検査装置研究開発 1995-1999 研究期間 実施者 医療福祉機器研究所、オリンパス光学工業、富士レビオ 感染の早い段階で検出可能で検体の前処理から検出までを自動化した安全・簡便な装置を開発 目標 する。 光センサ技術を用いてセンサチップ上に特異的に結合したウイルスのDNAやRNA量を光 内容 量の変化として測定する。 (3)定位的がん治療装置 1992-1995 研究期間 実施者 目標 医療福祉機器研究所、日立メディコ、日立製作所 病巣周囲の正常組織に殆ど障害を与えずに、病巣部に高いX線量を与える装置の開発。 X線CT等による画像情報から病巣部の位置や必要な照射線量を求める治療計画装置、呼吸等 内容 による癌病巣部の動きに連動して患者に定位置的・定量的にX線照射を行う照射ヘッド等から なる装置の開発。 (4)光化学反応がん診断・治療装置 1984-1987 研究期間 実施者 医療福祉機器研究所、浜松ホトニクス、富士写真光機、電総研 コンパクトで尖頭値の大きいパルスレーザーを導入することによって非侵襲、深部治療、早期 目標 癌診断可能な装置の開発。 内容 癌親和性物質 HpD などとレーザーによる光化学反応の組み合わせによる癌診断・治療。 50 (5)免疫学的がん診断装置 1985-1988 研究期間 実施者 目標 医療福祉機器研究所、日立製作所、協和発酵工業、製品科学研 高精度の癌診断装置の開発。 測定試料の反応部に活性の高い抗体を結合させた多孔性の反応媒体を用い、反応効率の高い、 分離操作が簡単な、ごく微量の腫瘍マーカーも高感度・短時間で測定可能な、それぞれの腫瘍 内容 マーカーに対して高い選択性を持って反応するモノクロール抗体などの免疫試薬と組み合わ せた装置。 (6)がん治療用ハイパーサーミア装置 1986-1989 研究期間 実施者 医療福祉機器研究所、島津製作所、松下技研、電総研 目標 癌組織を 42∼45℃に選択的に加温できる装置の開発。 内容 非侵襲的に加温部の温度をモニタしつつ、加温パターンを適宜制御する装置。 9.2 医学・工学連携型研究事業 微小電極利用遺伝子情報計測システム 2000-2002 研究期間 実施者 目標 筑波大 小型の装置で感染症や癌などを簡便、迅速、高精度に診断可能なシステムの開発。 超高感度型微小電極 DNA チップ ECA(電気化学アレイ)を用いた遺伝子診断システムの研究 内容 開発。 51 10.その他機関の研究例 (1)核酸・タンパク質一次構造の解析 研究期間 1982-2001 実施者 埼玉県立がんセンター 遺伝子やタンパク質の一次構造(核酸配列やアミノ酸配列)を解析するための理論的方法を確 目標 立する。 2つないしはそれ以上の配列の間の比較、類似配列の検索、同定、アライメント及び高次構造 内容 の予測に係る解析法を開発する。 (2)ステロイドホルモン依存性癌の発生と進展の分子機序 研究期間 1995- 実施者 埼玉県立がんセンター 目標 ホルモン関連癌の発生と進展の分子機構を研究 内容 生化学的、分子生物学的観点からの研究 (3)子宮体癌発生の分子機構 研究期間 1989-1999 実施者 九州大学生態防御医学研究所 子宮体癌の発生に関与する遺伝子変化を同定し、予後、進行度、組織学的所見と比較し、癌の 目標 遺伝子診断を確立する。 癌の遺伝子診断並びに子宮体癌発生に重要な役割を果す遺伝子異変をターゲットとした遺伝 内容 子治療も開発する。 (4)免疫診断および免疫療法の基礎的研究 研究期間 1993-1999 実施者 愛知県がんセンター研究所 目標 癌の免疫療法、遺伝子診断の開発 内容 マウス TL 抗原をモデルとした癌免疫療法の基礎研究。 (5)ヒトおよび動物癌転移の分子病理学的研究 研究期間 1997- 実施者 愛知県がんセンター研究所 目標 微小転移に関する遺伝子診断の開発 胃癌を対象とした CEA を指標とするリアルタイム RT-PCR 法を確立し、腹腔洗浄中の遊離癌 内容 細胞の高感度検出法等。 52 (6)ヒト癌の遺伝子診断による悪性度の評価・ヒト癌抑制遺伝子の研究 研究期間 1995-2000 実施者 日本医科大学老人病研究所 目標 癌の遺伝子診断法の確立 内容 新規遺伝子のクローニング、新規癌関連遺伝子の同定他。 (7)甲状腺細胞の放射線応答性とがん化機序の解明 研究期間 進行中 実施者 長崎大学医学部付属原爆後障害医療研究施設 目標 疾患の遺伝子診断及び細胞機能解析 内容 疾患の責任遺伝子とその機能異常を明らかにする。 (8)サイトカイン、成長因子の生理作用解析 研究期間 進行中 実施者 長崎大学医学部付属原爆後障害医療研究施設 目標 疾患の遺伝子診断及び細胞機能解析 心血管及び内分泌臓器における PTHrP 作用の解明、PTHrP 発現トランスジェニックマウス等 内容 の作成。 (9)内分泌系腫瘍やがんの遺伝子治療の開発 研究期間 進行中 実施者 長崎大学医学部付属原爆後障害医療研究施設 目標 疾患の遺伝子診断及び細胞機能解析 内容 放射線起因疾患、遺伝子異常を伴う疾患の責任遺伝子と機能異常を明らかにする。 53 11. 血中遊離 DNA による癌診断関連の特許概要(日本) NO 出願番号 54 1 出願番号 特願平04-350818 出願日 H 4.12. 4 公開番号 特開平06-205676 公開日 H 6. 7.26 登録番号 特登3018802 登録日 H12. 1. 7 2 出願番号 特願平06-281466 出願日 H 6.10.21 公開番号 特開平08-119999 公開日 H 8. 5.14 3 出願番号 特願平07- 34966 出願日 H 7. 2.23 公開番号 特開平08- 38197 公開日 H 8. 2.13 発明(考案) の名称 全血液検体か らのDNA抽出 方法及び抽出 キツト 抗フコシルトラ ンスフエラ- ゼ抗体、抗フ コシルトランス フエラ-ゼモノ クロ-ナル抗 体を産生する ハイブリド-マ 及び該抗体を 用いたフコシ ルトランスフエ ラ-ゼの測定 生検サンプル 中のIRF-1 特異性RNA の分析による 癌、前癌状態 又は他の型の 疾患に対する 感受性の診断 方法 要約(抄録文) 【目的】(J)全血液検体に界面活性剤を加えて血球細胞を破壊し、界面活性剤と 蛋白質分解酵素で核膜、核蛋白質を破壊後カオトロピツク剤でDNA鎖を遊離、 沈澱させ、損傷、汚染を防いで標記DNAを得る。£出生前診断、B型肝炎ウイル ス、ヒトパピロ-マウイルス、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、PCR法【構 成】全血液検体に非イオン性界面活性剤(例;ポリオキシエチレンオクチルフエニ ルエ-テル等)等の界面活性剤を接触させて血球細胞の細胞膜を破壊し、露出 した細胞核を集め、更に、陰イオン性界面活性剤(例;ドデシル硫酸ナトリウム等) 等の界面活性剤と蛋白分解酵素(例;プロテイナ-ゼK等)で処理しで核酸及び 核蛋白質を破壊する。これを、カロトロピツク剤(例;よう化ナトリウム等)と接触さ せてDNA鎖を遊離させ、次いで、この遊離されたDNA鎖を含む溶液にアルコ- ル類(例;イソプロパノ-ル等)を加えてDNA鎖を沈澱させることにより、抽出過程 でのDNA鎖の損傷、汚染を抑えて、遺伝病、癌等の遺伝子診断用等のDNAを 【目的】(J)フコシルトランスフエラ-ゼに反応する、血液中の腫瘍マ-カ-である フコシルトランスフエラ-ゼ量の免疫学的測定法に用いられ、癌診断の補助検 出、癌発生機序の研究等に有用な新規標記抗体。£シアリルルイスA、シアリル ルイスX、シアリルトランスフエラ-ゼ、カテプシン様プロテア-ゼ、ゴルジ体【構 成】ヒト培養細胞より抽出したゲノムDNAを、ヒトα-(1,3/1,4)フコシルトラ ンスフエラ-ゼ遺伝子の一部からなる塩基配列をプライマ-にしてPCR法により クロ-ニングし、得られたフコシルトランスフエラ-ゼ遺伝子を組換えDNA技術に より宿主細胞中で発現させ、組換えヒトα(1,3/1,4)フコシルトランスフエラ- ゼを得る。次に、これをアジユバントと共にBALB/cマウスに投与して免疫し、 最終免疫後に膵臓細胞を採取してマウス骨髄腫細胞と融合後、HAT培地で選択 培養してハイブリド-マを得、次いで、これを限界希釈法でクロ-ニングし、抗体 産生株を培養して、目的の新規抗フコシルトランスフエラ-ゼ抗体を得る。 【目的】(J)血液または他の生検材料から得られたサンプルにおいて、インタ-フ エロン-調節因子特異的RNAを分析することにより、造血系等の癌、前癌状態 または他の型の疾患に対する感受性を診断する。£分子マ-カ-、末梢血単核 細胞、骨髄細胞、白血病、腫瘍サプレ-サ-遺伝子【構成】血液または他の生検 材料から得られたサンプルにおいて、サンプルよりグアニジン-チオシアネ-ト法 等によりRNAを分離し、式†1~†3で表わされるオリゴヌクレオチドの少なくとも一 つをプライマ-として使用し、逆転写/ポリメラ-ゼ鎖反応により、インタ-フエロ ン-調節因子(IRF-1)特異的RNAを増巾してクロ-ニングする。次いで、この 増巾cDNAを分析し、全長IRF-1特異性RNA分子がIRF-1遺伝子のエクソン 2またはエクソン2及びエクソン3の相対量を測定し、造血系等の癌、前癌状態ま たは他の型の疾患に対する感受性を診断する。 フリーキーワード 出願人 全血液,検体,DNA 抽出,方法,抽出,キツト,界面 活性剤,血球 細 27-351724 和 胞,破壊,蛋白質 分解 酵素,核膜,核蛋白質,カオトロピツク剤,DNA 光純薬工業 鎖,遊離,沈殿,損傷,汚染,DNA,出生,診断,B型 肝炎 ウイルス,ヒト, (株) パピロ-マ,ウイルス,ドデシル,トリ メチル アンモニウム,臭化物,P CR,非イオン性 界面 活性剤,ポリ オキシ エチレン オクチル フエニル エ-テル,接触,細胞膜,露出,細胞核,陰イオン性 界面 活性剤,ドデシル 硫酸 ナトリウム,蛋白 分解 酵素,プロテア- ゼ,K,処理,核酸,カ,トロピツク剤,ヨウ化,ナトリウム,溶液,アルコ-ル, イソプロパノ-ル,抽出 過程,遺伝病,癌,遺伝子(デオキシリボ核酸, トリメチル,トリメチルアンモニウム,メチルアンモニウム,オキシエチレ ン,オクチルフエニルエ-テル,フエニルエ-テル,ポリオキシエチレ ン,ラウリル硫酸ナトリウム,硫酸ナトリウム,イソプロピルアルコ-ル, 抗,フコシル,トランスフエラ-ゼ,抗体,モノクロ-ナル 抗体,産生,ハ 13-359762 富 イブリドマ,測定 方法,反応,血液,腫瘍 マ-カ,量,免疫学 測定,癌 士レビオ 診断,補助,検出,癌発生,機序,研究,有用,新規,シアリル,ルイス,シア (株) リル トランスフエラ-ゼ,カテプシン,プロテア-ゼ,ジ体,ヒト,培養 細胞,抽出,ゲノム DNA,α,遺伝子,一部,塩基 配列,プライマ-,PC R,クロ-ニング,組替 DNA 技術,宿主 細胞,発現,組替,アジユバ ント,BAL,B,マウス,投与,免疫,最終,膵臓 細胞,採取,マウス 骨髄 腫 細胞,融合,HAT 培地,選択 培養,限界 希釈,抗体 産生,株, 培養,目的(デオキシリボ核酸) 生検,サンプル,IR,F,特異性,RNA,分析,癌,前癌 状態,型,疾患,感受 性,診断 方法,血液,材料,インタ-フエロン,調節 因子,特異的,造 血,診断,分子,マ-カ,末梢 血単核,細胞,骨髄 細胞,白血病,腫瘍, プレ-サ,遺伝子,グアニジン,チオ シアネ-ト,分離,式,†1,†3,オリゴ ヌクレオチド,1つ,プライマ-,使用,逆転写,ポリメラ-ゼ,鎖,反応,増 幅,クロ-ニング,cDNA,全長,エクソン,相対量,測定(リボ核酸,チオ シアネ-ト,オリゴヌクレオチド,デオキシリボ核酸) DE-197463 ベ -リンガ- イ ンゲルハイム INTERN G MBH NO 出願番号 発明(考案) の名称 要約(抄録文) フリーキーワード 出願人 55 4 出願番号 特願平07-161701 出願日 H 7. 6.28 公開番号 特開平09- 9967 公開日 H 9. 1.14 核酸合成法 【目的】(J)試料中の遺伝子包含体もしくは試料を特定pHの遺伝子増巾反応液と 混合し、不純物が存在しても核酸増巾が阻害されないポリメラ-ゼ連鎖反応法に より反応して、試料中の目的遺伝子を核酸合成する。£DNAタイピング、親子鑑 定、遺伝病、伝染病、ガン診断【構成】試料中の目的とする遺伝子を増巾する核 酸合成法において、試料中の遺伝子包含体もしくは試料そのものを、25°Cの 温度条件下でpHが8.9以上となるpH緩衝能力を有するpH緩衝液を用いた、プ ライマ-、デオキシリボヌクレオチド類及び熱安定性ポリメラ-ゼ等を含む遺伝子 増巾反応液を混合して、ポリメラ-ゼ連鎖反応法(PCR)により目的の核酸を増 巾反応させることにより、試料、特に血液試料の前処理が簡便、迅速に行なうこと ができ、不純物の存在下でも核酸増巾が阻害されることなく、試料中の目的とす る遺伝子をPCR法で核酸合成して増巾する。 核酸 合成,試料,遺伝子,包含体,特定,pH,増幅,反応液,混合,不純 26-000199 島 物,存在,核酸,阻害,ポリメラ-ゼ,連鎖 反応,反応,目的,DNA,タイピ 津製作所: ング,親子,鑑定,遺伝病,伝染病,ガン 診断,温度 条件,pH 緩衝能, (株) 力,pH 緩衝液,プライマ-,デオキシ リボ ヌクレオチド,熱安定性, PCR,血液 試料,前処理,簡易,迅速(デオキシリボ核酸,デオキシリ ボ,デオキシリボヌクレオチド,リボヌクレオチド) 5 出願番号 特願平08-282948 出願日 H 8.10. 4 公開番号 特開平09-154575 公開日 H 9. 6.17 テロメラ-ゼ 【目的】(J)特定分子量を有し、ヒト染色体末端部分テロメアNDA部分の3′末端 をプライマ-にして、繰り返し配列の一本鎖を延長する活性を有する、癌の診断 薬や癌治療薬の開発、研究用等の新規標記酵素を得る。£血液幹細胞、生殖細 胞、ヒドロキシアパタイト、原生動物、逆転写酵素【構成】ゲル濾過法による推定 分子量が約300kであり、SDS-PAGE(還元条件下)による推定分子量が、少 なくとも約140k,80k及び50kの構成蛋白からなる会合体であり、ヒト染色体末 端部分テロメアDNA部分の3′末端をプライマ-にして、繰り返し配列の一本鎖 を延長する活性を有する、RNA蛋白質である新規ヒトテロメラ-ゼであり、その 活性の測定は癌の診断に有用であり、テロメラ-ゼに対する阻害剤或はそのm RNAに対するアンチセンス鎖は癌に対する治療薬として有用である。この酵素 は、ナマルバ細胞(テロメラ-ゼ高産生株)を培地に培養後、細胞をホモジナイズ して抽出し、抽出後を濃縮してカラムクロマトグラフイ-にかけて得られる。 テロメラ-ゼ,特定 分子量,ヒト 染色体,末端 部分,テロメア,NDA, 13そ- 部分,末端,プライマ-,繰返し,配列,1本鎖,延長,活性,癌,診断剤,癌 せい:(株) 治療薬,開発,研究,新規,酵素,血液,幹細胞,生殖,細胞,ヒドロキシ ア パタイト,原生 動物,逆転写 酵素,ゲル 濾過,推定,分子量,SDS,P AGE,還元 条件,構成,蛋白,会合体,DNA,RNA,蛋白質,ヒト,測定, 診断,有用,阻害剤,mRNA,アンチ,センス,鎖,治療剤,ナマルバ 細 胞,産生株,培地,培養,ホモジナイズ,抽出,濃縮,カラム クロマトグラ フイ(ヒドロオキシ,ヒドロキシアパタイト,ラウリル硫酸ナトリウム,デ オキシリボ核酸,リボ核酸) 6 出願番号 特願平09-335748 出願日 H 9.12. 5 公開番号 特開平11- 46777 公開日 H11. 2.23 登録番号 特登3016756 登録日 H11.12.24 ヒトB細胞分化 【目的】(J)特定アミノ酸配列をもつヒトB細胞分化因子等をコ-ドするDNAを含 因子の製造方 むベクタ-で形質転換された宿主細胞を培養することにより、免疫不全症、感染 法 症、癌等の診断、治療用等の標記因子を得る。£自己免疫疾患、マイトゲン、ニ ツクトランスレイシヨン法、サザ-ンブロツトハイブリダイゼイシヨン、ジデオキシ法 【構成】成人性T細胞白血病患者の血液より樹立したヒトT細胞株ATL-2を培養 した後、常法に従い、ポリ(A)↑+RNAを調整し、これを用いてcDNAライブラリ -を作成し、これをマウスB細胞分化因子の部分遺伝子からなるプロ-ブを用い てスクリ-ニングを行ない、式†1(Xは存在しないか、式†2を有するアミノ酸配列) を有するヒトB細胞分化因子(ヒトBCDF)またはその前駆体をコ-ドする遺伝子 をクロ-ニングする。次に、この遺伝子をベクタ-に組み込んだ後、この組換え発 現ベクタ-を宿主細胞に導入して形質転換し、この形質転換された宿主細胞を培 養し、培養物から生産物を採取することにより、目的のヒトBCDFまたはその前駆 体を得る。 ヒトB,細胞 分化,因子,製造 方法,特定,アミノ酸 配列,コ-ド,DN 26A,ベクタ-,形質 転換,宿主 細胞,培養,免疫 不全症,感染症,癌, 佑 診断,治療,自己免疫 疾患,マイトゲン,ニツク,トランス,比率,ブロツト, ハイブリダイゼ-シヨン,ジ デオキシ,成人性,T細胞,白血病,患者, 血液,樹立,ヒト T細胞,株,ATL,常法,ポリ,RNA,調整,cDNA ライブ ラリ-,作成,マウス,B細胞 分化 因子,部分,遺伝子,プロ-ブ,スク リ-ニング,式,†1,存在,CDF,前駆体,クロ-ニング,組込,組替 発現 ベクタ-,導入,培養物,生産物,採取,目的(アミノカルボン酸,デオキ シリボ核酸,ジデオキシ,リボ核酸) 本庶 NO 出願番号 発明(考案) の名称 要約(抄録文) フリーキーワード 出願人 56 7 出願番号 特願平09-516392 出願日 H 8.10.22 公開番号 特表2000-500329 公開日 H12. 1.18 癌罹病性の診 【目的】患者から採取した核酸を含む試料を,その領域がマ-カ-D10S541等 癌,病,性,診断,治療,患者,採取,核酸,試料,領域,マ-カ,S,定義,DNA, 断およびその で定義されたDNAによつて境界付けられる第10染色体の領域と選択的にハイ 境界付け,第1,染色体,選択的,ハイブリダイズ,接触 処理,感受性, ブリダイズできる核酸と接触処理することにより,癌に対する患者の感受性を判 判定,接触,前立腺癌,前立腺,組織,血液,精液,尿,酵母,人工,YAC,H, 治療 定する。【構成】患者から核酸を含む試料を採取し,この試料の核酸をその領域 F,B(デオキシリボ核酸) がマ-カ-D10S541およびD10S215によつて定義されたDNAによつて境界 付けられる第10染色体領域と選択的にハイブリダイズできる核酸と接触させる。 これによつて,癌に対する患者の感受性を判定するとともに,患者の癌を診断す る。患者の癌の具体例には前立腺癌があり,患者から採取する試料には前立腺 組織,血液,精液,尿等がある。また,核酸の具体例には,酵母人工染色体(YA C)746-H-8,821-D-2,831-E-5,921-F-8,738-B-12,7 96-D-5等がある。 GBイン ペリアル キヤ ンサ- リサ -チ テクノロ ジ- LTD 8 出願番号 特願平10-539812 出願日 H10. 3.12 公開番号 特表2001-509816 公開日 H13. 7.24 血管新生内皮 細胞を標的と した陽イオン 脂質組成物 血管 新生,内皮 細胞,標的,陽イオン,脂質 組成物,脂質,阻害剤, 含有,多様,疾患,異常,治療,診断,適用,癌,創傷 治癒,慢性 炎症,有 用,複合体,対応,正常,比較,血中,高さ,親和性,検出 可能,標識,成分, B,影響,ヌクレオチド 配列,ヌクレオチド,選択的,活性化,促進剤,FL T,遺伝子,FL,K,ホン,ウイル,ブランド,因子,群,選択,機能,結合,DNA 配列(デオキシリボ核酸) US-184684 ユ ニバ-シテイ オブ カリフオ ルニア 9 出願番号 特願平11-174965 出願日 H11. 6.22 公開番号 特開2001- 190 公開日 H13. 1. 9 タンパク質およ 【目的】(J)特定アミノ酸配列を含むタンパク質ヒトWAVE2、そのホモロ-グから 蛋白質,遺伝子,特定,アミノ酸 配列,ヒト,WA,VE,ホモ,ロ-,動物,臓 びその遺伝子 なる、ヒトや動物の臓器・組織・細胞に由来し、造血・血液系疾患等を含む各種疾 器,組織,細胞,由来,造血,血液,疾患,診断,治療,新規,鉄欠乏性 貧 患の診断・治療に役立つ新規タンパク質。£鉄欠乏性貧血、白血球減少症、原発 血,白血球 減少症,原発性,免疫 不全症,アルツハイマ-型,老人 性免疫不全症、アルツハイマ-型老人性痴ほう、パ-キンソン病【構成】式に記 性 痴ほう,パ-キンソン氏病,式,記載,全部,一部,部分,ペプチド フ 載のアミノ酸配列の全部を含むタンパク質ヒトWAVE2、そのホモロ-グ、または ラグメント,フラグメント,ホロ,モ-,免疫,脳,生体,各組,織,細胞 増殖, アミノ酸配列の一部を含むその部分ペプチドフラグメントまたはそのフラグメントの 運動,形態,機能,維持,関与,脳神経系 疾患,内分泌,癌,有用,ES,デ ホロモ-グからなる新規タンパク質であり、造血・血液系、免疫系、脳等の生体各 -タ ベ-ス,検索,塩基 配列,作製,プロ-ブ,cDNA ライブラリ-, 組織において、細胞増殖、細胞運動、細胞の形態・機能の維持等に関与し、造 スクリ-ニング,発現,組込(アミノカルボン酸,デオキシリボ核酸) 血・血液系疾患、免疫系疾患、脳神経系疾患、内分泌系疾患、癌等の診断・治療 等に有用である。このタンパク質は、ヒトESTデ-タベ-スから検索した塩基配列 から作製したプロ-ブを用いて、各種組織のcDNAライブラリ-をスクリ-ニング し、得られた遺伝子を発現系に組み込んで発現させることにより得られる。 【目的】陽イオン脂質と血管新生の阻害剤とを含有することにより,多様な異なる 疾患及び異常の治療並びに診断に適用でき,特に癌の治療,創傷治癒及び多様 な慢性炎症疾患に有用な,複合体を得る。【構成】(A)陽イオン脂質と(B)血管新 生の阻害剤とを含み,対応する正常な内皮細胞と比較して血管新生内皮細胞に 対して,血中でより高い親和性を有する。尚,更に(C)検出可能な標識を含有し, 特に成分Aと成分Bに影響を及ぼすヌクレオチド配列とを含むヌクレオチド/陽イ オン脂質複合体であつて,前記ヌクレオチド配列が,血管新生内皮細胞内で選択 的に活性化されるプロモ-タ-で,選択的にはFLT-1遺伝子プロモ-タ-,FL K-1遺伝子プロモ-タ-及びフオン・ウイルブランド因子遺伝子プロモ-タ-か らなる群より選択されるプロモ-タに機能的に結合しているDNA配列であること が,好ましい。 10免疫 生物研究所: (株)13竹縄 忠臣 NO 出願番号 10 出願番号 特願2000-171081 出願日 H12. 6. 7 公開番号 特開2001- 17190 公開日 H13. 1.23 発明(考案) の名称 ヒトパピロ-マ ウイルス18の タンパク質に おける血清反 応性エピト- プ 要約(抄録文) 【目的】(J)特定アミノ酸配列を含むヒトパピロ-マウイルス18のE7タンパク質に おける血液反応性エピト-プである抗原決定部位からなる、上記ウイルス起因性 疾患の予防、診断、治療用等の新規ペプチド。£ワクチン、診断用キツト、T4DN Aポリメラ-ゼ、ウエスタンブロツト法、抗血清【構成】式†1及び式†2のアミノ酸配 列のうち1つで表されるヒトパピロ-マウイルス18のE7タンパク質における血清 反応性エピト-プである抗原決定部位からなる新規ペプチドであり、ヒトパピロ- マウイルス18起因性疾患である肛門性器路の良性病変、子宮頚部、ペニス及び 膣の悪性腫瘍等の予防、診断及び治療における補助等として有用である。この ペプチドは、ヒトパピロ-マウイルス18DNAを超音波剪断した後DNア-ゼ処理 し、断片をフア-ジ発現ベクタ-に結合してシヨツトガン発現バンクを作製し、これ をモノクロ-ナル抗体等でスクリ-ニングし、得られたE7タンパク質遺伝子をベク タ-に組み込んで大腸菌等に導入して発現させることにより得られる。 フリーキーワード 出願人 ヒト,パピロ-マ,ウイルス,蛋白質,血清 反応,性,エピト-プ,特定,ア DE-166574 ベ ミノ酸 配列,血液,反応性,抗原 決定 部位,起因,疾患,予防,診断, -リングベル 治療,新規,ペプチド,ワクチン,診断 キツト,DNA ポリメラ-ゼ,ウエ ケ AG スタン,ブロツト,抗血清,式,†1,1つ,肛門,性器,良性,病変,子宮 頚部, ペニス,膣,悪性 腫瘍,補助,有用,DNA,超音波,剪断,DN,ア-ゼ,処 理,断片,フア-ジ,発現 ベクタ-,結合,シヨツト,ガン,発現,バンク,作 製,モノクロ-ナル 抗体,スクリ-ニング,遺伝子,ベクタ-,組込,大 腸菌,導入(アミノカルボン酸,デオキシリボ核酸) 57 12. 血中遊離 DNA による癌診断関連の特許概要(海外):一部のみ記載 56/8/1 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 014614716 Thomson Derwent. All rts. reserv. **Image available** WPI Acc No: 2002-435420/200246 XRAM Acc No: C02-123671 XRPX Acc No: N02-342752 Number of Countries: 096 Number of Patents: 001 Title Terms: INTEGRATE; SYSTEM; BIOMEDICAL; APPLY; PERFORMANCE; SEQUENCE; PROCESS; TASK; ACTIVE; CHIP; MULTI; FORCE; CHIP Derwent Class: B04; D16; P41; S03; S05; X25 International Patent Class (Main): B01J-019/00 International Patent Class (Additional): B01L-003/00; B03C-005/02; C12N-013/00; C12Q-001/68; G01N-033/53 File Segment: CPI; EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S03-E13D1; S03-E14A; S03-E14H; S03-E15; S05-C; X25-P02 56/8/2 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 014604050 WPI Acc No: 2002-424754/200245 Related WPI Acc No: 1997-202888; 1998-447242 XRAM Acc No: C02-120269 Number of Countries: 001 Number of Patents: 001 Title Terms: NEW; POLYPEPTIDE; COMPRISE; IMMUNOGENIC; PART; LEISHMANIA; ANTIGEN; USEFUL; TREAT; PREVENT; DIAGNOSE; LEISHMANIA Derwent Class: B04; C06; D16 International Patent Class (Main): A61K-039/008 International Patent Class (Additional): A61K-038/00; A61K-039/00 File Segment: CPI 56/8/3 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 014573646 58 WPI Acc No: 2002-394350/200242 XRAM Acc No: C02-111050 Number of Countries: 097 Number of Patents: 001 Title Terms: NOVEL; ENCODE; FAMILY; MEMBER; USEFUL; DIAGNOSE; TREAT; CANCER ; CARDIOVASCULAR; IMMUNE; DISORDER Derwent Class: B04; D16 International Patent Class (Main): C12N-015/00 File Segment: CPI 56/8/4 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. 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All rts. reserv. 014531006 WPI Acc No: 2002-351709/200238 XRAM Acc No: C02-099885 Number of Countries: 096 Number of Patents: 002 Title Terms: NEW; ISOLATE; POLYPEPTIDE; HUMAN; ANION; TRANSPORT; POLYPEPTIDE; USEFUL; REAGENT; TARGET; TREAT; ULCER; COLITIS; CIRRHOSIS; CANCER; OBESITY; CACHEXIA Derwent Class: B04; D16 International Patent Class (Main): C07H-021/02; C12N-015/00 International Patent Class (Additional): C07H-021/04 File Segment: CPI 63 13.文献の検索式 【JOIS 検索】 SSNO 件数 検索式 [ 1] 107,090 [ 2] 9,217 KW:"血液" [ 3] 9,216 KW:"DNA診断" [ 4] 163,546 KW:"DNA(核酸)" KW:"腫よう" JICSTでは癌のKWは:"腫よう"を使 用することになっている。 [ 5] 6 血中DNA [ 6] 0 血中遊離DNA [ 7] 0 血液中遊離DNA [ 8] 4 1*2*3*4 [ 9] 31 [ 10] 222,555 [ 11] 12 10*4*1*2 [ 12] 39 9+11 [ 13] 102,336 [ 14] S: 8 [ 15] S: 16 [ 16] S: 41 2*3*4 KW:"診断" 癌& 1*2*10*13 2*3*13 9+11+14+15 【JMEDICINE 】 ( 1990.01 - 2002.04 ) 1,768,436 ( 2002.07.04 UPDATE ) JST COPYRIGHT S: 質問を開始します U: 2002.07.23 15:31:21 質問番号 GYR31A05 ¥step 072301,st [ 1] S: 28,522 KW:"DNA(核酸)" [ 2] S: 9,283 [ 3] S: 14,097 [ 4] S: 321,092 [ 5] S: 10 [ 6] S: 0 血中遊離DNA [ 7] S: 0 血液中遊離DNA [ 8] S: 12 KW:"血液" KW:"DNA診断" KW:"腫よう" 血中DNA 1*2*3*4 64 [ 9] S: 60 [ 10] S: 453,851 [ 11] S: 22 10*4*1*2 [ 12] S: 70 9+11 [ 13] S: 118,146 2*3*4 KW:"診断" 癌& [ 14] S: 9 [ 15] S: 32 2*3*13 [ 16] S: 73 9+11+14+15 [ 17] S: [ 18] S: 46,371 30,171 1*2*10*13 DNA 血液 [ 19] S: 14,289 DNA診断 [ 20] S: 86,586 腫瘍+腫用+癌+ガン [ 21] S: 10 [ 22] S: 521,858 [ 23] S: 118,146 [ 24] S: 92 血中DNA+血中遊離DNA+血液中遊離DNA AL:"診断" 癌& ((17*22+19)*18+21*22)*(20+23) ((DNA*診断+DNA診断)*血液+(血中DNA+血中遊離DNA+血液中遊離DNA) *診断)*(腫瘍+腫よう+癌&+ガン) [ 25] S: 92 NA=JPN [ 26] S: 92 24 [ 27] S: 0 [ 28] S: 92 [ 29] S: 0 [ 30] S: 92 [ 31] S: 0 [ 32] S: 92 [ 33] S: [ 34] S: [ 35] S: [ 36] S: [ 37] S: [ 38] S: [ 39] S: [ 40] S: [ 41] S: [ 42] S: 21 92 1 92 0 92 3 92 7 92 NA=USA 25 PD=1990 25 PD=1991 25 PD=2000 25 PD=1992 25 PD=1993 25 PD=1994 25 PD=1995 25 65 [ 43] S: 4 [ 44] S: 92 [ 45] S: 9 [ 46] S: 92 [ 47] S: 13 [ 48] S: 92 [ 49] S: 16 [ 50] S: 92 [ 51] S: 21 [ 52] S: 92 [ 53] S: 16 [ 54] S: 92 [ 55] S: 1 [ 56] S: 91 [ 57] S: 1 U: PD=1996 25 PD=1997 25 PD=1998 25 PD=1999 25 PD=2000 25 PD=2001 25 PD=2002 55+53+51+49+47+45+43+41+39+37+35+31 54#56 ¥p a 66 【MEDLINE】 検索式: A and B and C and D and E A:(PLASMA OR BLOOD) B :( DNA OR DEOXYRI B ONUCLEIC(W)ACID OR D EOXYRIBO C:CANCER D:DIAGNOSIS E : UNITED STATES Set I tems De scription S1 86 6242 PL ASMA OR BLOOD S2 440 176 DNA DEOXYRIBO(W)NUCLE IC (W)ACID S3 45622 S 1 AND S2 S4 24 1578 CA NCER S5 66 0835 DI AGNOSIS S6 399 S 3 AND S4 AND S5 S7 2502739 CP =UNITED STATES S8 228 S 6 AND S7 S9 38 7224 PY =1991 S10 389204 PY =1992 S11 395470 PY =1993 S12 403854 PY =1994 S13 413902 PY =1995 S14 419284 PY =1996 S15 428487 PY =1997 S16 442764 PY =1998 S17 453123 PY =1999 S18 479763 PY =2000 S19 530661 PY =2001 S20 283813 PY =2002 S21 4 S 8 AND S9 S22 8 S 8 AND S10 S23 8 S 8 AND S11 S24 8 S 8 AND S12 S25 11 S 8 AND S13 S26 14 S 8 AND S14 S27 17 S 8 AND S15 S28 27 S 8 AND S16 S29 26 S 8 AND S17 S30 41 S 8 AND S18 S31 42 S 8 AND S19 S32 19 S 8 AND S20 67 OR (W) NUCL E IC(W)ACID) DEOXYRIBONUCLEI C( W)ACID OR 14.参考文献 1. 関係閣僚申合せ、バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針、H11.1.29 2. 5省庁、バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本戦略、H11.7.13 3. 日本バイオ産業人会議、バイオ産業技術戦略、H11.11.24 4. 厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」 5. 平成 13 年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省) 6. 横田淳編集、癌化のメカニズムを解く 7. 高久史麿監修、臨床検査データブック 2001-2002 8. 石井勝編、腫瘍マーカーハンドブック 9. MediPro ウエブサイト 10. 日本癌治療学会遺伝子診断部会演題抄録(1999 年∼2001 年) 11. MEDLINE 12.(株)富士経済、 ‘98 特殊検査市場、1998 年4月 13. 野島博、遺伝子工学への招待 14. 中村祐輔、改訂先端のゲノム医学を知る 15. 21 世紀のバイオ産業立国懇談会、21 世紀のバイオ産業立国懇談会報告書。H10.10.22 16. 池田豊、欧米に立ち遅れる承認、医薬経済 5.1、2001 17. 日本バイオ産業人会議、b-Japan 計画詳細提言サーマリー、2002.5.27 18. がん克服への最前線、Newton 2002.5 19. 首相官邸ウエブサイト 20. 経済産業省ウエブサイト 21. 厚生労働省ウエブサイト 22. 文部科学省ウエブサイト 23. 製薬会社ウエブサイト 24. Philippe Anker and Maurice Stroun , Progress in the Knowledge of Circulating Nucleic Acids: Plasma RNA Is Particle-Associated. Can It Become a General Detection Marker for a Cancer Blood Test? Clinical Chemistry. 2002;48:1210-121 68