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貯蓄率 - 東レ経営研究所
<経済用語解説> ちょっと教えて! 現代のキーワード 貯蓄率 「貯蓄好きの日本人」は過去の話? 貯蓄率とは、家計の貯蓄額を可処分所得で割った比率のことです。可処分所得のうち消 費に回される比率は消費性向と呼ばれ、貯蓄に回される比率が貯蓄率ですから、消費性向 と貯蓄率は足して1になる性格のものです。 日本の貯蓄率は、総務省「家計調査」ベースで捉えることもできますが、ここでは国際 比較が可能な国民経済計算ベースの貯蓄率を取り上げることにします。図表は OECD の統 計により主要国の貯蓄率の推移をグラフ化したものです。これを見ると、日本はかつては 貯蓄率が高い国でしたが、近年はほぼ一貫して低下し、今や貯蓄率の低い国の一つとなっ ています。 高齢化が進んで退職者が増えれば、貯蓄を取り崩して消費する人が増えるため、貯蓄率 が下がると言われています。しかし、日本と同様に高齢化が進んでいるドイツやイタリア では貯蓄率の低下傾向が明確ではないことから、日本の貯蓄率低下は必ずしも高齢化が原 因ではないようです。 景気との関連では、一般に景気が悪くなると将来不安が高まるため、消費の手控えムー ドが強まり、貯蓄率が上昇すると考えられます。 景気の停滞感が強く、将来の社会保障制度への国民の安心感も揺らいでいる状況にもか かわらず、所得を貯蓄に回す分別や余裕がなくて貯蓄率が下がり続けるとすれば、日本経 済の先行き懸念材料として警戒が必要でしょう。 東レ経営研究所「ちょっと教えて! 現代のキーワード」