Comments
Description
Transcript
進化するハードディスクを より高い精度で超精密洗浄する
●サンヨー ･ プロダクト ･ トピックス● 進化するハードディスクを より高い精度で超精密洗浄する ハードディスク基板製造工程用水系洗浄剤 『ケミクリーンPR』 シリーズ 去る七月二四日、地上波テレビのアナログ 放送は正午をもってデジタル放送に移行しま した。東日本大震災で大きな被害を受けた岩 手、宮城、福島の三県を除いて、すべての地 方局で二五日午前〇時までにはアナログ電波 の送信を停止したとのことです。 地上デジタル放送の利点は幾つかあります が、最も大きいのは映像の鮮明さでしょう。 そのほかにはデータ放送やスポーツ中継が延 長されても定時から次の番組を見ることがで きるマルチ編成、携帯電話で楽しめるワンセ グ放送があります。また、画面で見られる電 子番組ガイドにより録画も楽になり、録画機 能を内蔵したテレビも販売されています。 使用範囲が広がるハードディスク この録画機能を担っているのがハードディ スクです。ハードディスクは磁性材を塗布し たガラスやアルミニウム製の円盤で、ハード ディスクドライブ︵ＨＤＤ︶内で高速回転さ せデータの読み書きを行います。最初は主に パソコンで使われましたが、記録容量の大容 量化や書き込み速度の高速化、ＨＤＤ自体の 小型化が進んだことで、さまざまな用途で使 われるようになりました。例えばＨＤＤレコー ダー、録画機能付きテレビ、ノートパソコン などの大容量ストレージを必要とする製品や、 今後拡大が予想されるクラウドコンピュー 21 2011 秋 No.468 ハードディスクドライブ ティング用サーバに使用されるなど、使用範 囲は大きく広がっています。 ハードディスクの製造工程では、成形加工 されたガラス基板やアルミニウム基板を研削、 研磨し、その表面を平坦化します。次にガラ ス基板はそのままの状態で、アルミニウム基 板は表面にニッケル リ - ンめっきを施したあ とに鏡面状に研磨されます。そしてこの表面 に、磁性膜を蒸着したり潤滑膜などを形成さ せて製品化します。この各製造工程では研削 くず、研磨材、大気中に浮遊する無機物、有 機物といった、パーティクルと総称される微 細なごみが付着します。このパーティクルは、 工程ごとに徹底的に除去され、その洗浄精度 が製品品質を左右します。 要求される高い洗浄力 リーズを紹介します。 ﹃ケミクリーンＰＲ﹄シリーズは、三洋化成 が得意とする界面活性剤の合成技術を駆使し、 人体への安全性や地球環境意識の高まりなど から水系へシフトされる傾向を受けて独自に 開発した水系洗浄剤で、①界面活性剤を用い ることで、基板とパーティクルとの電荷の反 発により、パーティクルの再付着を防止でき る、②適度なエッチング性を有し、パーティ 三洋化成ニュース 22 今回は、三洋化成のハードディスク基板製 造工程用水系洗浄剤﹃ケミクリーンＰＲ﹄シ ハードディスク基板 ■『ケミクリーン PR』シリーズの洗浄機構（ライトエッチングと電気的な反発力により、基板上に強固に付着したパーティクルに対しても洗浄力が向上） ライトエッチング （固着した汚れを基板から引きはがす） パーティクル 吸着層が強くマイナスに帯電 開発した界面活性剤 基板 電気的反発 ■『ケミクリーン PR』シリーズの主な製品 酸性 ケミクリーン PR-403F 研磨で発生したパーティクルの付着防止性に優れる アルカリ性 アルミ基板 ケミクリーン PR-025 特に酸化セリウムの除去性に優れる 特に酸化セリウムの除去性に優れる。ケミクリーン PR-403 の高品質グ レード品 ガラス基板 酸性 ケミクリーン PR-403 特 長 液 性 洗浄対象基板 製品名 クルの除去性を向上させるが、基板表面を粗 くしないなどのほかに、③基板上に洗浄剤成 分が残留しにくい、④ＰＲＴＲ︵環境汚染物 質排出・移動登録制度︶非該当などの特長が あります。 三洋化成は﹃ケミクリーンＰＲ﹄の製造を クリーンルームのようなクリーン化した環境 で行っています。また、ハードディスクは近 年ではマレーシア、シンガポールなどの東南 アジアが主な生産地となっており需要が広 がっています。これに対応して、将来的には 三洋化成のタイにおける関係会社、サンヨー カセイ︵タイランド︶リミテッドでも﹃ケミ クリーンＰＲ﹄の生産・供給を強化し、複数 拠点化することで、供給先への安定供給を実 現していきます。 ＨＤＤは、ハードディスクをわずかな透き 間を空けて何枚も重ね合わせ、その透き間に 磁気ヘッドが挟み込まれた構造になっていま す。ＨＤＤの小型化、高機能化によりこの構 造も高密度化され、ハードディスクの各製造 工程でもさらなる微細化が進み、従来のパー ティクルよりも微細なパーティクルを除去で きる洗浄剤が求められています。 三洋化成は、長年培ってきた界面活性剤の 合成技術を生かし、今後もさまざまなニーズ に対応した優れた洗浄剤の開発を進めていき ます。 23 2011 秋 No.468