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平成22年度 ニュービジネス振興事業 活動報告書

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平成22年度 ニュービジネス振興事業 活動報告書
 平成22年度 ニュービジネス振興事業 活動報告書 平成23年3月 社団法人21世紀ニュービジネス協議会 目 次 第1章 中小企業によるロボット産業への参入関する研究 1.ロボット産業の現状について 2.長野県内中小企業における「ロボット産業参入に関する現状」 3.中小企業の参入における課題 4.ワークショップ「ロボット技術活用による鳥獣被害防止について」 5.中小企業によるロボット産業への参入モデルの提案 6.まとめ 第2章 農商工連携による地域農産物マーケティングの研究 1.地域農産物及び加工食品販売に関する現状について 2.県内直売所、観光地におけるニーズ調査結果 3.地域農産物及び加工食品におけるマーケティング事例 4.ワークショップ「農産物直売所のこれから」 5.今後のマーケティング展開の提案 6.まとめ 資料編 委員会開催経過 委員名簿 1 第1章 中小企業によるロボット産業への参入関する研究 1.ロボット産業の現状について (1)ロボットの定義について ロボットという言葉の語源は、1920 年にチェコの劇作家であるカレル・チャペックが戯
曲「ロッサム万能ロボット製造会社RUR」において、人間に変わって労働する人造人間
として描かれている。チェコ語の「robota(労働)」という単語を基にした造語である。 日本工業規格(JIS)によると、「産業用ロボット」は、「自動制御による マニピュレー
ション機能または移動機能を持ち、各種 の作業をプログラムによって実行でき、産業に使
用される機械」と定義されている。 産業用ロボットという言葉は定義されているものの、
「ロボット」という言葉の明確な定
義はなされていない。アニメで活躍する人型ロボット、人造人間を想像する場合も多い。
しかし、ニュービジネスを考える上では、狭義のロボットではなく、幅広く日常生活や事
業を支えるロボットを産業化していくことが重要といえる。 このような現状を踏まえ、「ロボット」とは、「一定の条件において自律的な反応が可能
となる機能を有した機械」と広義的に規定することとする。 人間とロボットの機能比較 運
人 間 ロボット 知 能 情報・情報処理 腕(アーム) 手・工具 エンドエフェクタ (ハンド・ツール) 筋肉 アクチュエータ 脚 移動機構 腕 動
感 覚 センサ (外界センサ・内界センサ) 資料:若松、佐藤編集「知能ロボット」オーム社 1984 年 6 月 2 (2)日本におけるロボット産業 現状におけるロボット産業は、
「産業用ロボット産業」といえる。国際競争力が高いとい
われている自動車産業および電気機械産業が中心的なユーザーとなり、発展してきた産業
である。 1970 年代は、スポット溶接ロボットが中心となり、自動車産業への導入が進んでいった。
その後、電気機械器具製造業向けにスカラ型ロボットが、さらに低コストな直角座標軸型
ロボットが普及した。また、電子部品実装用ロボットの普及などにより、1990 年までは、
順調に生産額伸びていきました。 バブル崩壊によりその生産額が3割減少したものの、エレクトロニクス製品の日本企業
による海外生産の拡大、IT 化の流れの中で、再び順調に生産額が伸びてきたものの、2000
年の IT バブル崩壊により、再び3割の生産額減少となった。 その後、労働コストが安い中国などとの国際競争に打ち勝つ必要性から、生産性向上の
ため産業用ロボットの生産額は著しく伸びた。ところが、再度、リーマンショックが 2008
年に発生し、世界的な経済問題が発生したことから、2009 年は前年比5割を割込む生産額
となっている。 マ
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日本における産業用ロボット生産額の推移 資料:社団法人日本ロボット工業会 3 (3)世界のロボット産業 1970 年代より産業用ロボットが工場に普及した日本は、1995 年まで稼働している産業用
ロボット(マニュピュレーティングロボットのみ)の台数が急速に伸び、2000 年がピーク
となっている。しかし、2000 年以降は、稼働台数が減少傾向にある。これは、国内で生産
していた製品が海外の現地工場での生産に変わるなどした結果と考えられる。 一方、ヨーロッパはじめ海外では、1990 年代まではロボットの稼働台数の伸びは大きく
なかった。しかし、2000 年以降、特にヨーロッパにおいては、その稼働台数が急激に増加
し、2009 年には、日本の稼働台数を超えるまでとなった。また、北米においても、2000 年
以降ロボットの稼働台数が大きく伸びている。
1995 年と 2009 年の稼働台数を比較すると、
ヨーロッパは、2.6 倍、北米は 2.9 倍と大きく伸び、日本は 15%減と稼働台数を減少させ
ている。 一方、中国、韓国、台湾など、アジアの国々でも、ロボット稼働台数が伸びている。特
に、中国では、2000 年には 930 台であったロボット稼働台数が、2009 年には 37,312 台と
急拡大し、稼働台数でも台湾の 24,365 台を抜いた。台湾、韓国とも、1995 年と 2009 年の
稼働台数を比較すると、6.3 倍、4.4 倍と飛躍的に増加している。 (#!$!!!""
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世界のロボット稼働台数の推移(マニピュレーティングロボットのみ) 資料:International Federation national robot associations and UNECE of Robotics (IFR) 4 このような結果から、全世界で稼働するロボットの台数が増える一方、日本での稼働台
数が減少している。そのため、日本の相対的なロボット稼働台数割合は、1985 年には 67.2%
と全世界の3分の2のロボットが日本で稼働していたこととなる。1990 年代は、若干の変
動があるものの、全世界のほぼ6割台のロボットが日本で稼働していた。 ところが、2000 年以降は、その割合が低下し、2009 年には 32.6%と、約3分の1のロ
ボットが日本で稼働している状況となった。その一方で、約2割程度であったヨーロッパ
の稼働割合が、2009 年には3割を超えている。 2000 年以降は、アジアの台頭も大きく、韓国、台湾、中国をはじめ、シンガポール、タ
イなどでもロボット稼働台数が増加している。そのため、2009 年には、日本、韓国、台湾、
中国という4カ国で全世界の 46.4%の稼働割合に達している。また、アジア全体では
49.1%と、全世界のほぼ5割のロボットがアジアで稼働していることとなる。 㻝㻜㻜㻑
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世界のロボット稼働割合推移資料 :International Federation national robot associations and UNECE of Robotics (IFR) 5 (4)ロボット産業の今後について 現状のロボット産業は、産業用ロボットの生産がほとんどとなる。2009 年に大きく落ち
込んだ産業用ロボット生産額も、2010 年にはある程度まで回復したとみられている。その
一方で、非製造業向けのロボット生産額は約 100 億円と、非常に小さな市場規模と推計さ
れている。 対象となるロボット市場 製
造
業
向
ロボット
溶接・塗装系
アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボッ ト、バリ取りロボット
組立・搬送系
スカラロボット、小型垂直多関節ロボット、垂直多関節ロ ボット(スリム・高
速・双腕タイプ)、パラレルリンクロ ボット、卓上型ロボット、パレタイジングロ
ボット、取り出 しロボット
アクチュエータ系
単軸ロボット、直交ロボット、電動スライタ
クリーン搬送系
ガラス基板搬送ロボット、ウエハ搬送ロボット
構成部材
非
製
造
業
向
ロボット
ロボット用ケーブル、精密制御減速機、ロボット用サーボ モータ
家事/生活支援
掃除ロボット、セキュリティロボット、ホビーロボット
医療・介護・福祉
パワーアシスト・増幅スーツ、セラピーロボット、手術ロ ボット
業務
荷役・搬送ロボット、水中作業ロボット、受付・案内ロボッ ト、ヒューマノイドロ
ボット、施設点検ロボット、レス キューロボット、業務用セキュリティロボット
農業
収穫ロボット
※資料:株式会社富士経済「2011 ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望」より 非製造業向け市場の内訳としては、「家事・生活支援」分野が約6割と最も多く、次に、
「医療・介護・福祉」の約3割となる。特に注目される分野は、手術ロボットとパワーア
シスト・増幅スーツといえる。 業務!"((%
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非製造業ロボットの国内市場割合 ※資料:株式会社富士経済「2011 ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望」より 6 今後成長が期待されるロボット産業ということで、経済産業省と独立行政法人新エネル
ギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が協力し、その将来市場の推計を発表している。
産業用ロボットを中心とした市場規模を、2005 年度約 7,000 億円とする中、2035 年には、
9.7 兆円まで成長すると予想している。 産業用ロボット中心とした製造分野の市場は、今後とも順調に成長していくと予想され
ている。その一方で、サービス分野でのロボットの活用が進み、市場規模としても製造分
野を大きく超えていくと予想されている。 サービス分野としては、医療、介護・福祉、健康管理、清掃、警備、受付・案内、荷物
搬送、移動支援、重作業支援、食品産業、物流、検査・メンテナンス、教育、アミューズ
メント、レスキュー、探査、ホビー、家事支援など多岐に渡っている。 2035 年の分野別予測市場規模 分 野 規模 製造分野 2.7 兆円 ロボテク(RT)製品分野 1.5 兆円 農林水産分野 0.5 兆円 サービス分野 4.9 兆円 資料:NEDO「将来市場予測の概要」より 2035 年までのロボット産業の将来市場予測 資料:NEDO「将来市場予測の概要」より 7 (5)中小企業によるロボット産業への進出事例 ①株式会社テムザック 所在地:福岡県宗像市江口465番地 代表者:髙本 陽一 H P:http://www.tmsuk.co.jp/ 2000 年に設立されたテムザックは、機械メーカーであるテムス(北九州市門司区)のロ
ボット開発部門が独立する形で設立された。1992 年より、テムスの1研究部門として案内
ロボットやイベント用ロボットなどの開発・製造を行っていた。これらの製品の実用化・
商品化を目指すため分社化された。 母体であるテムスは、食品メーカー向けベルトコンベヤーを得意としていた。操作が簡
単でワンタッチでベルトを着脱できることから、衛生的なラインを維持・管理するため、
多くの食品加工業者に採用された。 このベルトコンベヤーや搬送装置のコンピュータ制御技術を活用し、受付案内ロボット
「テムザック1号」を平成5年に開発。以降、国内では初めてのPHSによる遠隔操作を
可能としたアシスタントロボットを開発した。 現在は、受付・案内ロボットをはじめ、家庭用留守番ロボット、レスキューロボット、
警備ロボットなどを開発し、製造・販売している。 受付・案内ロボット レスキューロボット「T-53 援龍」 家庭用留守番ロボット「ロボリア」 8 ②ダブル技研株式会社 所在地:神奈川県藤沢市長後 903‐3 代表者:和田 博 H P:http://www.j-d.co.jp/ 1977 年に有限会社和田製作所として設立された同社は、1983 年自動車メーカー向け「自
動溶接機」を開発・製造した。自動化、省力化、量産化設備の開発から製造・販売に至り
一貫して取り組んできた。これらの経験を活かし、福祉業界での新商品、システムの提案、
開発、製造、販売に取り組んだ結果、自動ページめくり機「りーだぶる」となって結実し
た。 自動ページめくり機「りーだぶる」は、平成 10 年6月に発売された。文庫本からA4サ
イズの本まで読むことができるだけでなく、リモコンボタンを使い自分のペースでめくる
ことができる。別途、サブスイッチを接続することにより、呼気、タッチ・ビックボタン、
音声スイッチなどによる操作も可能となる。 健常者には何ら問題のない行為となる本を読むということが、障害者や介護者にとって
は大きな負担となることから開発されている、障害者のQOL向上を目指した画期的な製
品である。また、1998 年には、福祉機器コンテストで「最優秀賞」受賞をした。 自動めくり機「りーだぶる」 9 ③サイバーダイン株式会社 所在地:茨城県つくば市学園南 D25 街区 1 代表者:山海 嘉之 H P:http://www.cyberdyne.jp/ 筑波大学大学院システム情報工学研究科の山海嘉
之教授の研究成果を、多くの方に利用いただけるよ
うにと、2004 年6月サイバーダイン株式会社が設立
された。 ロボットスーツというアニメチックなものを、実
用化、商品化し、主に福祉用としてレンタルしてい
る。ロボットスールHALは、人間が筋肉を動かそ
うとした際に、脳から筋肉へと伝わる生体電位信号
を皮膚表面より読み取り、装着したパワーユニット
を制御するシステムである。 このシステムをより多くの方に利用してもらえる
ようにするため、福祉分野に焦点を絞り、施設への
レンタルによる拡販を目指している。単なる、シス
テムの販売でなく、運用や機能改善指導を含めたソ
フトも提供していく計画である。そのため、自社で
も「HAL FIT」を開設し、専門のトレーニングスタッフによるトレーニングサービ
スを実施している。 「HAL FIT」の様子 10 
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