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テレビ放送電波はどんな形?(その5・多重化)

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テレビ放送電波はどんな形?(その5・多重化)
No47
Shu-chan の
テレビ放送
放送ネットワーク
道しるべ
東海道(由比宿)
<テレビ放送電波はどんな形?(その5・多重化)>
映像
デジタル化
多
音声
デジタル化
重
データ
外
符
号
化
階
層
分
割
内符号
キャリア変調
内符号
キャリア変調
内符号
キャリア変調
階
層
合
成
時
間
イ
ン
タ
|
リ
|
ブ
放送局における信号処理
今回掲載の個所は次の表示部分です。
☆
O
F
D
M
フ
レ
|
ム
I
F
F
T
ガ
|
ド
イ
ン
タ
|
バ
ル
付
加
周
波
数
イ
ン
タ
|
リ
|
ブ
O
F
D
M
信
号
・
送
信
機
へ
多重化方式の基礎
・
多重化と放送サービス
デジタル放送では、一つの電波のチャンネルで複数のサービスを放
送することができます。ここでいう「サービス」とは、NHK 総合テレ
ビや教育テレビのようなこれまでの編成チャンネルの概念を意味しま
す。さらに、サービスには映像・音声やデータなど複数のコンポーネン
ト信号をも含められています。このように、多くのサービスや多くの
コンポーネント信号を一つのチャンネルで伝送できるようまとめる技
術が多重化方式です。
1
受信サービス株式会社
http://www.jushin-s.co.jp/
・
MPEG-2 Systems
多重化方式の基本となっているのは、MPEG(エムペグ)-2 Systems
です。MPEG-2 Systems では、TS(Transport Stream)と PS
(Program Stream)という 2 種類の多重信号を規定しています。PS
は、誤りが発生しにくい環境での伝送や蓄積に適したパッケージメデ
ィアに利用されています。デジタル放送の多重化方式は、伝送途中で
の連続した雑音等によるトラブルが多いことから TS による多重化の
方式が採用されています。
☆
多重の仕組み
デジタル放送の多重化方式である MPEG-2 Systems の基本は次の通
りです。
・
TS パケットの多重
多重の対象となる符号化されたコンポーネントは、必要に応じて分
割された上で、188 バイトの固定長の TS パケット(Packet:小包)に
まとめられます。こうしてできた TS パケットの列は、他のコンポーネ
ントの TS パケットの列と合成し、多重信号としての TS となります。
各コンポーネントは、再び、分離できるように、TS パケットのヘッダ
ーにある PID(Packet Identifier:小包番号)を付して識別できるよ
うにしておきます。PID は単なるラベルなので、具体的な多重信号の
構成などは、後述する PSI で指定されています。この PSI もコンポー
ネントとして TS に多重されます。図 1 に TS における多重の概要を示
します。
映像 PES
184バイト
184バイト
PES
ヘッダー
188バイト
TS
音声 PES
TS
ヘッ
ダー
TS
ヘッ
ダー
TS
ヘッ
ダー
PES
ヘッダー
図 1 TS における多重の概要
2
受信サービス株式会社
http://www.jushin-s.co.jp/
TS
ヘッ
ダー
TS
ヘッ
ダー
・
PES の伝送
映像や音声などのコンポーネントは、符号化されて ES(Elementary
Stream)と呼ばれる符号化データの列になります。その後、デコード
や提示に都合の良い塊に区切れらたうえで、パケットという長さが可
変 な パ ケ ッ ト に ヘ ッ ダ ー を 付 け 、 PES ( Packetized Elementary
Stream)というパケットに収められます。最後に、PES パケットは細
かく分けられ、固定長の TS パッケットに納められ、他のコンポーネン
トとともに多重され TS が作られます。
一つの TS パケットには、一つの PES やその断片のみが納められま
す。PES パケットの先頭が納められた TS パケットでは、ペイロード
ユニット開始インジケーターを1としてそれを示し、最後の TS パケッ
トで過不足なく PES パケットが納まるよう、アダプテーションフィー
ルドで調整します。PES の配置手順を 図2 に示します。
ペイロードユニット開始インジケータ=1
TSヘッ
ダー
PES
ヘッダー
ペイロードユニット開始インジケータ=0
TSヘッ
ダー
ペイロードユニット開始インジケータ=0
TSヘッ
ダー
スタッフィング
(アダプテーションフィールド)
・一つの TS パケットには一つの PES パケットのみを配置
・最初の TS パケットではペイロードユニット開始インジケータ=1
・最後の TS パケットではアダプテーションフィールドでスタッフィング
図2
PES の TS パケットへの配置
3
受信サービス株式会社
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・
セクションの伝送
データなどのコンポーネントは、セクションと呼ばれる可変長の集
団に符号化されます。セクションは、固定長の TS パケットに納められ、
他のコンポーネントとともに多重化され TS が作られます。
一つの TS パケットは、複数のセクションを納めることができます。
セクションの先頭を含め TS パケットは、ペイロード開始インジケータ
ーを1として開始を示すとともにペイロードの先端にポインターフィ
ールドを配置し、セクションの開始位置を示します。最後の TS パケッ
トでは過不足なくセクションが納まるように、アダプテーションフィ
ールドを調整する方法のほか、余ったペイロードを 0xFF(2 進数で
「11111111」)で埋めることもできます。セクションの配置の手順を
図3 に示します。
ペイロードユニット開始インジケータ=1
TSヘッ
ダー
ポインタ
セクション1
ペイロードユニット開始インジケータ=0
TSヘッ
ダー
ペイロードユニット開始インジケータ=1
TSヘッ
ダー
ポインタ
セクション2
セクション3
スタッフィング
・一つの TS パケットに複数のセクションを配置可能
・ セクションが始まっている TS パケットではペイロードユニット開始
インジケータ=1とし開始位置をポインタで指示
・ 最後の TS パケットでは 0xFF でスタッフィング
(アダプテーションフィールドも可能)
図3
セクションの TS パケットの配置
4
受信サービス株式会社
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☆
多重化の構造
ここでは、多重に関する信号形式について述べます。
・
TS(Transport Stream)
188 バイトの TS パケットが隙間なく連続した信号が TS です。TS
パケットに 16 バイトの誤り訂正符号を付ける領域を含んだ信号を、
インターフェースとして利用することがしばしばあります。厳密な
意味では、MPEG-2 の TS とは異なりますが、これを TS と呼ぶこ
ともあります。
・
TS パケット
TS パケットは、図4 に示すように 188 バイトの固定長のパケット
です。
TSパケット
パケットヘッダー
アダプテーションフィールド
および/またはペイロード
(32 ビット=4 バイト)
同期
バイト
1
1
1 (パケット識別子)2
13
ベイロードユ
ンジケーター
アダプテー
トランスポ
ートスクラ
1
不連続性インジケータ
4
ールド制御
ヘッダー
ベイロード
ヘッダー
アダプテーションフィールド
10
ヘッダー
フラグ
オプション
13
フィールド
1 1
アダプテーシ
ョンフィールド
スタフィック
バイト
エレメンタリ-ストリーム優先度インジケータ
ランダムアクセスインジジケータ
図4
単位の指定の無い
数字の単位はビット
11
ションフィ
ンブル制御
アダプテーション
フィールド長
8
連続性
指標
2
01
トランスポ
ート優先度
ニット開始イ
アダプテーション
フィールド
184 バイト
PID
8
トランスポー
トエラーイン
ジケーター
188 バイト
TSパケットの構造
5
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ベイ
ロード
このパケットは、4 バイトの TS ヘッダーと 184 バイトのアダプテー
ション領域およびペイロードからなっています。
PES パケット
・
PES パケットは 図 5 に示すように、PES パケット開始コード
プリフィックス、ストリーム ID、PES パケット長、PES ヘッダーオ
プション、PES パケットデータバイトから構成されたバイト単位の可
変長パケットです。
PES
パケット
パケット開始コード
プリフィックス
24
2
2
1
PTS
DTS
33/33
ストリーム
ID
8
1
1 1
ESCR
33+9
図5
・
8
PES
パケット長
16
PES
データ長
8
7フラグ
8
8
PES
ヘッダー
オプション
7
スタッフ
バイト
PESパケット
データバイト
オプションフィールド
CRC
16
5フラグ
8
オプション
PES パケットの概要
セクション
セクションは、テーブル ID で始まるバイト単位の可変長の集団に
なっています。
☆
多重信号の同期
・
PCR(Program Clock Reference )
デジタル放送では、送信側と受信機側の基準時計の同期を合わせる
必要があります。基準時計は、27MHz で動作する 9 ビット(300 カウ
ント)の下位カウンタと、90kHz で動作する 33 ビット(233 カウント)
6
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の上位カウンタで構成される合計 42 ビットの時計で、STC(System
Time Clock)と呼ばれています。STC の同期は、約 27 時間で、この
STC の校正データを TS で伝送することによって送受信側双方の基準
時計の同期を合わせることができます。
この校正データは、PCR(Program Clock Reference)と呼ばれ、
TS パケットのアダプテーションフィールドで伝送されます。STC や
PCR はサービスごとに設定できます。したがって、一つの TS で複数
のサービスを提供している場合においてもサービスのクロックや同期
はそれぞれ独立して設定できます。
・
PTS(Presentation Time Stamp )
クロック同期が合わせられたら、つぎに、映像や音声などのコンポ
ーネント間の同期をとる必要があります。STC を基準にして符号化信
号に「この符号化データはデコードしたら〇時〇分に提示しなさい」
という指示時刻を付加します。この提示時刻情報を PTS(Presentation
Time Stamp)といいます。
PTS は、オプション PES ヘッダーに記述され、その PES データバ
イトに格納された符号化データを表示する時刻を STC を基準に示して
います。また、PTS とともに DTS(Decoding Time Stamp)という時
刻情報が示される場合があります。この場合、DTS は、
「この符号化デ
ータは〇時〇分にデコードしなさい」というデコード時刻を指示しま
す。この動作は、SDT(System Target Decorder)という仮想的な理
想でコードをベースに、DTS、PTS にしたがってデコードまたは提示
を行う限りにおいてバッファーのオーバーフロー、アンダーフローは
起きないことが保証されています。
7
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