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平成22年度研究開発実施報告書(PDF:1326KB)
社会技術研究開発事業 平成22年度研究開発実施報告書 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 研究開発プロジェクト 「環境モデル都市における既存市街地の低炭素化モデル研究」 宮崎 昭 (九州国際大学、大学院企業政策研究科長) 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 1.研究開発プロジェクト名 環境モデル都市における既存市街地の低炭素化モデル研究 2.研究開発実施の要約 ①研究開発目標 本研究開発は、八幡東区を対象にし、その既存市街地の活性化と低炭素化を図るため、 「街区の改修」と「移動・交流等の内部システムの改善」に大別される多様な方策を、地 域の実態に即して構想し、それぞれの有効性を推計すると共に効果的な手法を市民と共に 選択し、本格的な街づくり構想を構築するものである。 本研究開発においては、「2050年の地域設計」に沿って、そのありように近づけるため の低炭素化モデルを試行することを目的としており、3グループに分かれて研究開発を行う。 各グループの目標の概要は次の通りである。 ○研究総括グループ 1)循環型社会・共生型社会・長寿命(ストック)型社会・絆社会などの社会理念、社会 制度、調和的行動促進の動因等を社会システムの要素とした全体計画の策定に着手する。 2)社会企業の設立とコミュニティの形成、エリアマネジメント公益法人の設計と市民を 巻き込んだ試行・フィードバックを行う。 3)「社会企業」類似概念の収集と整理を行った。八幡東区を特徴的な小地域に区分しそ れぞれにふさわしい社会理念と低炭素化の方途について対比的にまとめた。また、地域の 市民団体「八幡東アカデミー協議会」との交流を開始した。 ○地域分析・地域設計サブグループ 1)2050年までの成り行きシナリオによる八幡東区の地域分析を行う。 2)人口構造、家歴構造、土地利用形態、ハザード情報等の収集と補足的な現地調査を行 う。 3)上記データの収集を行った。地域の劣化現象と衰退傾向が強くみられる。 ○有効性サブグループ 1)低炭素化効果と経済性効果の分析を行う。 2)街区の改修と移動・交流手段等の動的システムの改善の項目を整理する。 3)八幡東区を対象にした既存の炭素排出量データを入手し、また産業連関表を整備した。 3.研究開発実施の具体的内容 (1)研究開発目標 ○研究総括グループの研究開発目標 本サブグループの研究開発目標は次の通りである。 1)社会理念(循環型社会・共生型社会・長寿命(ストック)型社会・絆社会)、社会の 仕組みや制度(法制度・社会慣習・実施制度・ビジネスモデル等)、社会的イノベータ(社 会理念と調和した新しい「社会企業」・「公益法人」・ソーシャルアントレプレナー・公 的社会サービス機関・自覚した生活者等)、調和的行動促進の動因(帰属性・経済性・自 己実現性等のインセンティブ)を社会システムの要素として取り上げ、全体構想の策定に 1 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 着手する。 2)社会企業の設立とコミュニティの形成、「エリアマネジメント公益法人」の設計と市 民を巻き込んだ試行とフィードバックを行う。 ○地域分析・地域設計グループ 本グループの研究開発目標は次の通りである。 1)2050年までの成り行きシナリオによる地域分析 八幡東区全域を対象とした地域データ(人口構造、家歴構造、土地利用形態、ハザー ド情報等)の収集と現地調査を行う。これらの悉皆的データを用い、さらに、「街区の 改修」と「移動・交流等の内部システムの改善」とに係る課題項目の抽出と、その集積・ 分布状況の年代別把握を行う。これらの分析は下の地域設計の基礎となるため、平成23 年度末までには完了させる。 2)2050年までの地域設計 1)のデータを基にして、スケルトン、バッファーゾーンの区分を行い、地域スケル トンゾーンとバッファーゾーンごとに、あるべき「エリアマネジメント公益法人」を核 とした社会イノベーションシステムを構想する。 さらに、後年度、有効性評価グループによるアセスメント結果を踏まえ、市民と共に 区分案の見直しと課題項目の見直し、また地域特性を踏まえた多様なコンパクトコアと ネットワークのあり方について詰め、2050年八幡東区モデルの設計を行う。さらに、バ ックキャスティングによる移行プロセスの設計と移行方式の検討を行う。また3Dデータ の作成等によって、2050年のモデル設計に基づく今後40年間の変遷の可視化を行う。 ○有効性分析グループ 本グループは、低炭素化の分析と経済性分析及び評価を行う。さらに、課題項目ごと に以下のシミュレーションとアセスメントを行う 1)低炭素化の分析 技術進歩による効果、全LCA法によるアセスメント、集積度と社会的普及効果の分析 を行い、課題候補ごとに低炭素化に関するアセスメントを行う。 2)経済性分析 1)と同様に、課題候補ごとにコスト分析と地域経済効果分析を行う。 3)有効性アセスメント 後年度、方式ないし課題項目ごとの導入効果と持続効果を推計し、それらから総合的な アセスメントとしてまとめる。また、結果については情報ネットワークを通じ電子的に常 時他のグループとも共有する。 (2)実施方法・実施内容 本年度は研究開発プロジェクトの初年度であり、期限も6ヶ月と限られていることから、 各グループにおいて研究立ち上げのための調査を実施した。 研究総括グループは、市民自身による低炭素のまちづくりをめざして国内外の実例調査や 文献調査を開始した。 地域分析・地域設計グループは、地域分析に関し人口動態構造の分析から着手した。 効果分析グループは、地域の基礎データの収集から着手した。 2 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 (3)研究開発結果・成果 研究総括グループは、文献調査や国内の諸地域などの視察を行った。 文献調査としては、主としてアメリカのCIC (Common Interest Community)に関する調査 を行った。 アメリカでは、廃墟都市や荒廃したダウンタウンの出現と、これを都市縮小の手法に再 生しようという動きがあり、クリーブランドやバッファローが有名である。ここでは民間 活力が1960年代以降用いられており、その際に利用されるのがCIC (Common Interest Community)という手法である。アメリカでは、日本と同様に第二次世界大戦後にマンショ ンやコンドミニアムの大規模分譲が始まり、必要な法制度が整備されるようになった1。こ れらの所有形態は、主としてCIC、コンドミニアム、企業に大別される2。CICとは、「大 規模な宅地開発に際して、その地域の居住環境を維持向上するために、最初は開発業者が 中心になり、その後開発宅地の購入者全員が自動的に加盟させられるところの一種の私的 協同組合」であると定義される3。この私的協同組合では、「道路、下水等の維持管理のみ ならず、公園、教育施設、テニスコートなどのレクリエイション施設等をも共同で維持管 理し、さらに、個々の土地所有者に対して、建物の様式の制限、庭や樹木を一定の状態に 保持しておく義務、居住者の職業の制限等さまざまの土地利用の制限を課し、しかも、そ れらの違反に対しては、 associationによって強制力が行使されることも約されている」と いう特色がある。 CICは全米で急増中であり、CICの類似概念としては、次のようなものがある。 y CIC (Common Interest Community) y HOA (Home Owner’s Association) y RCA (Residential Community Association) y CA (Condominium Association) y CID (Common Interest Development) y PD (Planned Development) y COOP (Cooperative Housing) また、CICは、TerritorialなものとNon-Territorialに分類され、前者は日本のマンション 管理組合に類似するもので、建物及び付属施設・設備の管理だけを行う。これに対して後 者は道路、駐車場、プール、テニスコート、ビーチ、湖、公園までの管理を行い、居住者 の職業、宗教等に対しても制限を加えることがある。 自治体サービスの補完・代替としてのCICの機能については、1988年の調査4によれば、草 刈り、剪定、落ち葉清掃を行うものは90%以上、塵芥回収、外装補修、駐車場補修を行う ものは70%以上、街灯の維持管理を行うものは59%であった。 CICの問題点は、財産権の制限に関するものである。多くの居住者がライフスタイルの制 限(表現の自由の規制)に結びつくことを購入時に理解していない。居住者の継続的負担 は、当然のことであるがCIC居住者のほうが非CIC居住者よりも重い。また、居住者による 1 本田彰治郎「アメリカ合衆国における不動産法(1)~(3)」海外商事法務124~126号(1973年)、小澤英 明「アメリカのマンション法(上)(下)」判例タイムズ997号・998号(1999年)。 2 Robert Nelson, The Private Neighborhood, REGULATION, Summer 2004, 40 (2004). 3 安藤次男「アメリカ法の潮流 不動産法、動的物権法」アメリカ法1978年1号(1978年)150頁。 4 Advisory Commission on Intergovernmental Relations, Community Associations Institute, Joint Survey (1988). 3 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 CICのコントロールや、居住者とCICとの紛争、居住者間の紛争も問題となっている5。ま た自治体に対しては、Shadow GovernmentsやInvisible Kingdomsといわれることもある ように、私的団体の私的自治でありながら権力性を持つことが問題となっており、自治体 の条例、規制とCICの規則との衝突(横出し、上乗せ)が問題となっている。たとえばペッ トや駐車場、ごみ回収方法等について自治体が規制しているにもかかわらず、CICは私有地 であり私的管理を行っているのでそれに従わない例が見られる。またCIC自身の自治体化を めざす動きもある。その先例は1921年のKensington Association(ロングアイランド、ニ ューヨーク州)であり、Pennsbury Village Condominium(ペンシルバニア州)、Lake Waukomis(ミズーリ州)、Palos Verdes Estates(カリフォルニア州)等の例がある。こ のような情勢を背景として、CICに対して州が一定の規制を加えるようになってきており、 たとえばヴァージニア州ではCommon Interest Community Ombudsman、Office of the Common Interest Communityを置き、CICに関係する紛争についてのオンブズマン制度を 導入した。またCommon Interest Community Management Information Fund Regulation、 Virginia Real Estate Cooperative Act、Condominium Act、Non Stock Corporation Act、 Property Owners' Association Actで規制を行っている。他の州でも同様に規制を行うよう になっている6。 現地調査としては、平成22年12月に北海道夕張市の調査を実施した。 夕張市は、人口10807名(平成23年4月末)で、世帯数5939の小規模な旧・炭都である。 昭和30年代には10万人以上の人口を擁していたが(表1)、平成19年に財政再建団体となり、 財政破綻したことで全国的に有名となった。高齢化率は39.7%(平成20年度)に達し、財 政(平成17年度決算)は歳入109億6975万に対して歳出125億1329万で、実質収支はマイナ ス15億4518万であった。累積赤字は360億円に達している。収支悪化の主たる理由は税収 の落ち込みにあり、昭和59年度税収は21億6400万であったが、平成16年度税収は9億7400 万であった。 夕張市を視察対象としたのは、本研究開発の実施地域である八幡と相似点が多いからで ある。 夕張市は次のような特色を持つ。これらは八幡製鉄所の建設によって誕生した八幡と共 通する部分が多い。 y 人工のまち y 炭鉱業の発展により生まれた炭都 y 歴史や住民の自治意識に乏しい y 特定産業(炭鉱業)に強く依存 y 閉山後はリゾート観光業に傾斜 y 市域のインフラを産業(炭鉱)に依存 y 鉄道、商業施設、住宅、娯楽施設、その他 y 炭鉱最盛期は炭鉱従事者は相応に高収入 y 鉱夫は他業種転職が難しく閉山後の失業問題が深刻 Ben W. F. Depoorter & Francesco Parisi, Fragmentation of Property Rights: A Functional Interpretation of the Law of Servitudes, VOL. 3 [2003], NO. 1, ARTICLE 2 GLOBAL JURIST FRONTIERS 1 5 (2003). Peter Dunber & Charles Dudley, The Law of Florida Homeowners Association 8th ed. (2010). 6 4 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 表 1 夕張市年表 明治25年(1892) 採炭開始、北海道炭鉱鉄道開業 大正9年(1920) 第1回国勢調査、人口51604人 昭和18年(1943) 市制施行、夕張市 昭和35年(1960) 第9回国勢調査、人口116908人 昭和53年(1978) 北海道炭鉱汽船が東証一部廃止 石炭の歴史村着工 昭和54年(1979) 中田鉄治市長就任(以降、6期) 昭和56年(1981) 北海道炭鉱汽船夕張新鉱事故(死者93名) 昭和60年(1985) 三菱大夕張炭鉱ガス爆発事故(死者62名) 平成2年(1990) 三菱大夕張炭鉱閉山(炭鉱すべて閉山) 平成7年(1995) 北海道炭鉱汽船が会社更正法申請 平成13年(2001) 産炭地域振興臨時措置法失効 平成19年(2007) 財政再建団体 また地形も、夕張は夕張川沿いに沿った谷間に細長く蛇行し、炭鉱の坑口ごとに市街地 が5ブロックに分散している。夕張川沿いの突き当たりであり、夕張から他地点への通過が ない。これは急斜面に住宅が密集する八幡と共通する部分がある。 さらに他の産炭地と比較した場合、炭鉱の閉山の際に夕張市は多くの社会基盤(インフ ラ)を炭鉱に負っていたために、社会基盤の再生・維持に多くの費用を投じなければなら なかった。この点でも、主要インフラが官営八幡製鉄所以来、製鉄所によって建設・管理 維持が行われてきた八幡と共通している。 なお炭鉱の閉山に対して、たとえば三菱大夕張の場合は市に10億円の寄附を行った。し かし夕張で操業を行っていた北海道炭鉱汽船(北炭)の場合は、事業者が破綻し、市が膨 大な閉山跡処理対策費を支出した。市は閉山跡対策処理費の負担を強いられ、その中身は 次のようなものであった。 y 関連企業の閉鎖、大量の失業者と人口流出による固定資産税、住民税、鉱山税の減少 y 炭鉱住宅の買収 26億円 y 市営住宅 1100戸建設 y 上水道の北炭からの買い取りと整備 15億円 y 社会基盤整備(住宅、水道、学校、道路、公衆浴場等) 583億円(うち補助金185 億円) y 観光整備 41億円 5 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 写真1 写真2 6 夕張市:随所で「道路終点」が見られる 極度の緊縮財政でほとんど照明を付けていない夕張市役所 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 夕張市は、財政状況の極度の悪化によって支出削減を迫られており、市職員の大幅な給 与カット等も行い、市役所も極度の支出削減で市民の来訪や来客のある部署を除いては証 明も消している(写真1)。また、市域のコンパクト化を公営住宅の再編成によって行おう としている。市域のコンパクト化にはさまざまな目的があるが、最大の目的は住民の居住 地域の集約化により行政の支出を削減すると同時に、最低限の住民サービスを維持しよう とするところにある。すでに冬期に公費で除雪を行う道路の削減は進められており、私道 としての維持管理を行わなくなった道路も増えている(写真2)。 公営住宅は各市街地に分散しており、合計管理戸数は約4200戸であるが、空き家は約3 割となっている。特に真谷地地区50%、清水沢地区42.5%となっている。公営住宅入居率 は、世帯数(約6000世帯)に比較して多い。 特色は、短期的視点と中長期的視点の組み合わせにある。「当面は地区ごとにまちのコ ンパクト化を図りながら、各地区の特性を活かしたまちづくりの継続」することとされて おり、「長期的には、例えば都市施設等の既存ストックがある南北縦軸に市街地を集約す ることが、持続可能な地域社会の構築に向けて必要と考えられます」という。具体的には、 市域の地理的な中間地域にあたる清水沢に市街地集約を想定している。 今後のコンパクト化は、第4次総合計画で定められる。今後の土地利用についてはマスタ ープランで策定されるが、都市計画法に基づく都市計画マスタープランにあたるもので、 夕張市まちづくりマスタープランと呼ばれる。策定委員会は平成22年11月18日に第1回委員 会を開催し、まちづくりにあたっての基本的な考えを審議した。議論の経緯はホームペー ジ上のまちづくりかわら版で公開される(緊縮財政で広報誌が廃止されたため)。 住民にとってのコンパクト化のインセンティブは、冬季の暖房費の著しい節減である。 公営住宅居住者に対するアンケート結果によれば、多くの住民が冬期にかなりの暖房費を 費やしており、住民の不満も暖房費の高さにある(図1)。散在した公営住宅に住んでいる よりも、一棟に集まって住む方が暖房費を節減できる。さらに、中長期的には各地に散在 した公営住宅に住んでいるよりも、一地域に集まって居住した方が高い水準の住民サービ スを受けられることになる。 7 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 図1 夕張市の公営住宅居住者のアンケート結果 出典:夕張市『夕張市営住宅再編計画』(2009年)より もとより課題もあり、日本一の高負担と日本一の低サービスという厳しい状況の中で、 市域のコンパクト化に市民の理解は得られるかが最大の問題点である。具体的には学校統 廃合には強い批判が早くも向けられており、夕張市まちづくりマスタープランの策定に当 たって策定委員会を中心として住民の民意形成を図る手法には、議会からの反発も強いと いう。議員は住民の代表としての自覚が強く、わが国の民主主義の基本理念について間接 代表制であることを強く主張し、「熟議」や「熟慮」という名の下に住民が直接政策形成 過程に参加することに否定的な態度をとりがちである。 もっとも、近時は夕張市の隣町の栗山町で「議会基本条例」を定めてあらためて「町民 に開かれた議会づくり」をうたうなど、変化の兆しも見えてきた。栗山町議会は、町民や 団体との意見交換のための議会主催による一般会議の設置、請願、陳情を町民からの政策 提案として位置づけ、重要な議案に対する議員の態度(賛否)公表などを議会基本条例で 定めている。すべての住民が政策決定過程に参加することは現実的ではないし、まちづく りの推進にあたって、二元代表制の下で議会が首長の監視役としての役割だけではなく、 市民と行政との協働の橋渡し役をするという役割も果たしていくことが期待される。 以上のような調査の結果、以下のような成果を得た。 8 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 市民自身が低炭素のまちづくりを推進するような政策実現手段としては、規制等の手段 だけではなく、インセンティブが有用である。一般的にインセンティブは①刺激、誘因、 動機、②目標達成のために提供する報酬、賞、その他の行為、③成績に応じて報酬等を支 払う出来高払いなどと定義されているが、行政におけるインセンティブ制度は、政策目標 を達成するための主として経済的な誘因による動機づけを与えるものである。 もっとも、政策実現手段としてのインセンティブについて明確な定義があるわけではなく 、 民間企業が政策目的の達成に自主的に協力し、行政の誘導する政策目標の方向に自発的に 適合するように行動した場合、低減額の一部が企業側に付与されるという経済的利益が得 られるというスキームもありうる。 厳しい自治体の財政状況を踏まえると、ストック型社会の形成にあたり、行政が多額の 補助金を出したり住み替え先となる長寿命型住宅を大量に用意したりすることは現実的で はない。また、国からの各種の助成金・交付金等を受けたとしても、これらの助成金・交 付金の多くは全額補助ではないため、自治体の財政負担が伴うことになる。このため、行 政は交付する補助金や交付金などの新たな財源を用意する必要はなく、行政の政策目的に 適合的な行動を取った場合に何らかの経済的利益が生まれ、住民に対する強い誘因となる ようなインセンティブ制度を構築する必要があることが判明した。ただし、それは住民に 対して行政の財政負担によって直接経済的利益を給付するのではなく、夕張市において住 民の暖房費削減がインセンティブになっているように、行政の政策目的に適合的な行動を 取った場合に住民に何らかの経済的利益が生まれるようなインセンティブとする必要があ る。 しかし、どのようなインセンティブ制度を創出することができるか、どのような種類の インセンティブが最も効果的な誘因となるかについて探究する必要があることも判明し、 次年度以降の課題となっている。 地域分析・地域設計グループは、当該地域の人口動態分析を行い、以下の知見を得た。 八幡東区は図2にみられるように、かつて人口の激変に見舞われ、1974年の八幡区から八幡 東区、八幡西区に分区したのでグラフ上でみえる。八幡区は1960年頃をピークに八幡東区 (1974年以降の呼称)は八幡製鐵所の新鋭工場が全国に設置され、そのために従業員が釜 石、千葉、堺、大分等へ転勤となりピ-ク時4万人いた従業員が現在では3000名を切ってい る。家族や関連企業の従業員も全国に移動していった。その結果、北九州市全体からみて も人口減少化、高齢化が高く、住宅の空家率も高い。人口オ-ナス社会に移行し、このま まの成行きであれば、社会負荷、社会負担の一層の増加につながるものと考えられる。 9 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 図2 八幡東区の人口動態と世帯数動態 人口(人) 0~19歳 20~34歳 35~64歳 65~74歳 75歳以上 総数のみ 総 数 世帯数(世帯) 世帯数 400000 160000 353,183 347,063 350000 140000 1.2% 332,163 3.4% 1.6 4.2 300000 120000 286,241 30.2% 261,309 33.6 97,546 250000 100000 高齢化社会 7%OVER 高齢社会 90,075 210,051 208,629 14%OVER 超高齢社会 200000 80000 21%OVER 77,380 27.8% 168,218 28%OVER 27.4 151,378 150000 7%over(1975年以前) 60000 61,925 53,862 14%over(1985年以前) 123,824 118,376 2.8 6.2 107,880 46,191 100,235 100000 21%over(1995年) 38,713 42,478 4.1 7.5 37.1 36,493 35,647 5.5 27,079 6,460 1,249人 1,295 0 10.3 10.9 14.1 75175 69288 63142 13.6 17.7 27.5 25.5 14.4 38.4 16.1 29.1 22.9 19.2 18.0 17.1 37.0 17.7 15.4 15.8 14.5 37.8 20000 34852 23.8 13.4 37.2 45%over(2070年) 39667 22.6 16.6 38.7 17.6 45065 20.1 16.4 39.9 40%over(2045年) 50855 18.3 14.9 42.0 21.0 56930 16.3 14.6 43.7 24.8 33.2 28,573 14,939 9.9 42.9 37.4% 22,320世帯 40000 91,146 85,40534,043 7.1 33,62980,608 32,959 33,355 12.3 39.8 53,365 50000 28%over(2005年) 98,579 8.6 36,450 34,398 30612 23.4 14.4 22.9 16.9 38.4 38.7 14.2 13.3 12.9 12.9 13.9 13.1 112.5 11.9 12.3 11.7 11.3 11.1 37.2 23.6 18.5 26779 23244 19990 17108 14622 12511 10709 35.8 11.3 10.9 9150 7809 6662 5689 0 図3にあるように、生産人口(20~64歳)と従属人口(0~19歳および65歳以上)の2区 分の比率が2015年~2035年にかけてはほぼ同率の1:1で推移し、2035年以降に従属人口 が上回り55%台で推移していくものとみられる。 2050年以降は生産人口と高齢者人口が均衡し、その後高齢者人口が生産人口を上回る状況 へと推移するとみられる。 図3 八幡東区/人口推移2区分高齢化率(65歳以上) 10 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 図4 八幡東区/人口6区分推移 また、その生産人口の内訳(20~34歳:前期生産人口、35~49歳:基幹生産人口、50~64 歳:後期生産人口)も現状では概ね 前期人口:基幹人口:後期人口≒1:1:1であるが、 その後概ね2:3:4で推移する(図4)。 この人口構造の推移から派生してくる課題は極めて大きい。 社会活動、経済活動等に少なからず影響のでる人口減少、超高齢化、生産人口減少 と生産人口の高齢化の傾向が顕著に表れている。 図5は八幡東区の町丁ごとの人口密度を示す。2010年では東区全体として67人/haと低 下しており、グレ-の町丁は40人/ha未満で過疎化が進行している。ブル-の町丁は40~ 59人で過疎化の予備軍化している。概ねグレ-、ブル-の町丁は高齢化も進み30%以上で ある。通常40人/ha未満は非DID(非人口集中)地区として分類され都市機能が維持でき なくなるとされている。 人口密度の低下に起因する空家の発生率が異常に高いことを示すのが図6である。また、 八幡東区での住宅戸数の半分の建設年度が1980年以前(1981年新耐震基準施行)である。 11 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 図5 八幡東区地区別人口密度 図6 八幡東区住宅建設年度ストック及び空家率 街なかでは逆スプロ-ル化が顕在化しはじめている。それに伴って生活支援施設群等の 緩やかな減少がみられる。これらの減少から都市機能低下、生活支援施設群の減少、公共 サ-ビスの低下等が今後時間を追って顕在化しはじめ、住みにくい街になっていき、加速 度的に衰退化が早まっていくことが考えられる。 12 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 有効性分析グループは、地域特性を把握するための基礎的データを収集し、以下のよう なデータを得た。 建築物関係データとして、木造家屋の用途別戸数・床面積の年度ごとの推移、新築住宅 の形態別・利用目的別の戸数および床面積の年度ごとの推移、同資金別新築戸数・床面積 の年度ごとの推移、用途別着工建築物の床面積と工事費予定額の年度ごとの推移、構造別 着工建築物の床面積と工事費予定額の年度ごとの推移、非木造家屋の種類別床面積の年度 ごとの推移。 CO2関係のデータとして、発生源別単位当たりCO2発生量と総発生量の5年ごとの推移。 新エネルギー導入実績。 北九州市による開発・活性化計画として、中心市街地活性化計画、再開発事業地区の概 要、主な企業誘致実績。 北九州市の産業連関表と、それを用いた先行的なエコタウン事業の経済効果分析。また、 ごみ処理関係のデータ。 これらのデータを基に、上記の地域分析・地域設計グループの項で述べた特徴以外の八 幡東区の特徴を概観すると以下のようになる。 分析対象地域である八幡東区にはいくつかの特徴的な地区が存在する。①逆スプロール 化の進んだ古くからの商業地区、②平坦地の多くは工場用地と老朽化し使用を停止した労 働者用集合住宅地が占め、③一部に再開発された新規戸建住宅地区もあるが中間所得者層 の住替え居住に適した戸建て住宅は極度に少ない、④中間所得者層の多くは傾斜地に居住 してきたが老齢化の進行に伴い傾斜地での居住困難者が増えてきている。 一方、有効性分析に関しては、今年度はそのための枠組みについて整理した。家屋のリ ノベーションを事例として説明すると、そのイベント(この場合「家屋のリノベーション」 という行為)導入に伴う低炭素化効果を模式的に図7と図8に示すように、1次効果とその 他の高次効果に分けて考える。1次効果は、イベント導入前後の差に相当し、高次効果と しては、2次効果(イベントを可能にする設備・装置の導入と運用に伴う効果)、持続効 果(イベントの寿命に係る効果)、3R効果、副次効果(イベント導入に伴い外界に惹起さ れる波及的効果)等を想定し、イベントの総合的ライフサイクル効果を算定する枠組みを 可能な限り拡大して構想した。構想するにあたっては、担当者らによる先行研究(「LC全 コスト指標による政策形成:各種発電技術を事例として」、矢澤信雄、平澤 泠、研究技 術計画15(214-226)、2000)における経験を踏まえておこなった。 また、他方で2050年までのそれらイベントの普及シナリオを想定する枠組みを、成り行 きシナリオと促進シナリオに分けて構想した。構想の過程で、以下の諸点を整理した。① 効果分析に先立ち、地域の低炭素化効果だけではなく、社会経済的活性化ないしその活性 の維持に係る効果も併せて考慮すべきこと。この具体的な内容については次年度において 展開する。②地域特性を規定する指標(たとえば「総人口」と「人口構造」)を取り上げ、 地域特性の成り行きシナリオ(特別な対策をとらないで現在のトレンドのままに放置した 場合のシナリオ)に従って推移する場合の地域の状況を把握する。③成り行き状況のネガ ティブな内容ないし部分を回避し、地域特性を活かして改善するための統合的な「再生社 会理念」(たとえば、「絆社会」「低炭素社会」「環境産業都市」等)を構想する。これ らの目標理念を具体化するために次項以下の手順でブレークダウンを行う。なお、このア プローチについては、たとえば以下の文献で述べた。平澤 泠、「総合科学技術会議の実 績をふまえて「科学技術戦略本部(仮称)」のあるべき姿を考える」、科学、Vol. 80 No. 13 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 3 p306、岩波書店、(2010.3)④「再生社会理念」を実現するために必要な「機能」を想 定し、その機能(通常複数)に対応し、それぞれを担う「社会技術」(複数)を想定する。 ⑤各「社会技術」を支える「工学系技術」(通常複数)を想定する。⑥「社会技術」およ び「工学系技術」を担う「アクター」(「エージェント」)を想定する。⑦「エージェン ト」間のインセンティブ関係をチェックし、全ての「エージェント」が互いにいずれかの 「エージェント」とインセンティブで結ばれ(「インセンティブ鎖」という)、そのつな がり(「インセンティブ連鎖」という)がループ(「インセンティブループ」という)と なるように、必要なら補助的なアクターや制度を付加し、全体として調和的に発展する「社 会経済的システム」を構築する。なお、インセンティブシステムの構築事例については、 たとえば次の文献で述べた。林隆之、平澤 泠「技術の社会的形成概念に基づく公共技術 支援政策形成に関する研究」第12回 研究・技術計画学会年次学術大会、271-276(1997)。 ⑧「社会経済的システム」の普及シナリオを立て、これを「促進シナリオ」とする。なお、 このような枠組みは、次年度具体的な課題について適用し、その有効性を確認すると共に、 必要ならば適用する課題の特性に合わせカスタマイズする予定にしている。 14 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 図7 イベント導入に伴う1件あたりの低炭素化のアセスメント(1次効果) 低炭素型住宅 太陽光発電システム の導入 高耐久性 高断熱性・高遮光性 建設時のCO2排出量 ・ /・ 2 O C ‐・ ・ 設備 加工 材料 省エネルギー型 給湯機器 在来型 敷地内緑化 省エネ型製品 低炭素型 運用時のCO2排出量 省エネ家電 r ae y/ 2 O C ‐t 電気自動車等 電力販売 ガス消費 電力消費 在来型 低炭素型 図8 イベント導入に伴う1件あたりの低炭素化のアセスメント(高次効果) イベントの費用想定 低炭素型住宅の費用ベクトル 01農林水産業 02鉱業 03食料品 04繊維製品 05パルプ・紙・木製品 06化学製品 07石油・石炭製品 08窯業・土石製品 09鉄鋼 10非鉄金属 11金属製品 12一般機械 13電気機械 14輸送機械 15精密機械 16その他製造工業製品 17建設 18電力・ガス・熱供給 19水道・廃棄物処理 20商業 21金融・保険 22不動産 23運輸 24通信・放送 25公務 26教育・研究 27医療・保健・社会保障 28その他の公共サービス 29対事業所サービス 30対個人サービス 31事務用品 32分類不明 間接的排出量の計算 -1 C = ĉ ê T I - A J C :CO2排出量 ĉ :燃料種別CO2排出原単位 ê :燃料種別単位発熱量 T:燃料種別部門別燃料消費量 -1 I - A :レオンチェフ逆行列(波及過程) J :低炭素型住宅の費用ベクトル 低炭素型住宅の構造別間接的CO2排出量 600 2 500 m /2 400 O 300 ‐C gk 200 100 ‐ 北九州市地域間産業連関表の部門分類に 基づく費用想定 15 木造住宅 1.採掘 2.素材 SRC住宅 3.加工組立 RC住宅 S住宅 4.エネルギー転換 5.輸送 CB住宅 6.その他 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 (4)会議等の活動 年月日 2010年11月12日 名称 打ち合わせ会議 場所 九州国際大学 概要 ①計画書の実行計画、②予算の執行につ いて、③作業メンバーの確認、③1月29 日のシンポジウムの件 2011年1月29日 打ち合わせ会議 九州国際大学 ①研究代表者交代の件、②研究開発実施 者一覧の変更、③来年度の計画について 2011年2月13日 打ち合わせ会議 九州国際大学 ①定量化説明会の件、②分析項目につい ての提案、③次回シンポジウムについて 2011年3月11日 打ち合わせ会議 九州国際大学 ①今年度予算の執行状況、②来年度の計 画について 2011年3月12日 打ち合わせ会議 九州国際大学 ①シンポジウムの直前確認、②来年度の 事業計画について 4.研究開発成果の活用・展開に向けた状況 今年度は事業初年度にあたり研究開発期間も半年間であったことから、研究開発成果の 活用・展開の準備段階であり、具体的な活用・展開は行っていない。 5.研究開発実施体制 (1)研究総括グループ ①湯淺 墾道(九州国際大学副学長、法学部教授)) ②実施項目 1)循環型社会・共生型社会・長寿命(ストック)型社会・絆社会などの社会理念、社 会制度、調和的行動促進の動因等を社会システムの要素とした全体計画の策定 2)社会企業の設立とコミュニティの形成、エリアマネジメント公益法人の設計と市民 を巻き込んだ試行・フィードバック (2)地域分析・地域設計グループ ①岡本久人(九州国際大学、客員教授) ②実施項目 1)2050年までの成り行きシナリオによる地域分析 2)2050年までの地域設計 (3)有効性分析グループ ①平澤 泠(九州国際大学、客員教授) ②実施項目 1)低炭素化の分析 2)経済性分析 3)有効性アセスメント 16 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 6.研究開発実施者 研究グループ名:研究総括グループ 氏名 フリガナ 所属 役職 担当する実施項目 (身分) ○ 湯淺 平澤 墾道 泠 ユアサ ハルミチ ヒラサ ワリョウ 九州国際大学 九州国際大学 副学長・ 1 循環型社会・共生型社会・ 教授 長寿命(ストック)型社会・ 客員教授 絆社会などの社会理念、社会 制度、調和的行動促進の動因 等を社会システムの要素とし た全体計画の策定 2 社会企業の設立とコミュ ニティの形成、エリアマネジ メント公益法人の設計と市民 を巻き込んだ試行・フィード バック 全体の統括、地域におけるイ ノベーションのあり方の研究 研究グループ名:地域分析・地域設計グループ 氏名 フリガナ 所属 役職 担当する実施項目 (身分) ○ 岡本 久人 オカモト ヒサト 九州国際大学 客員教授 2050年までの成り行きシナ リオ策定と地域設計 岩下 陽市 イワシタ ヨウイチ 九州職業能力 教授 成り行きシナリオに基づくま ちづくりの基盤整備 開発大学校 研究グループ名:有効性分析グループ 氏名 フリガナ 所属 役職 担当する実施項目 (身分) ○ 平澤 泠 ヒラサワ リョウ 九州国際大学 客員教授 炭素削減量の測定 山本健太 ヤマモト ケンタ 九州国際大学 特任准教授 低炭素化の経済分析 経済学部 17 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 7.研究開発成果の発表・発信状況、アウトリーチ活動など 7-1.ワークショップ等 年月日 2011年1月29日 名称 シンポジウム 場所 九州国際大学 参加人数 49名 概要 (株)レスポンスアビリティ代表取 「生物多様性 締役の足立直樹氏の基調報告と、九 経営の時代へ」 州国際大学教授の野村政修教授と 宮崎昭教授によるコメント、そして 全体討論を行った。 2011年3月12日 シンポジウム 九州国際大学 23名 萩原ヨシトキ氏の基調講演に基づ 「社会企業の いて、氏が携わった富山の事例から 考え方と事例」 得られる教訓などを議論。 7-2.社会に向けた情報発信状況、アウトリーチ活動など y 次世代システム研究会例会 湯淺墾道「アメリカにおけるCIC(Common Interest Community)の現状と課題」平成22年9月11日 場所:九州国際大学マルチメディア 教室 y 平成22年度環境省委託事業【サスティナブル都市再開発促進モデル事業】効果的な CO2削減まちづくり第4回タウンミーティング 湯淺墾道「市民で考える低炭素街 づくり・ご当地ルール」平成23年1月19日 場所:環境ミュージアム(八幡東区東田 2丁目2-6) y すこやか住宅推進協議会研修会 講演 2011年4月11日・13日(2日間同一内容) ・ジャパンシンドロームと地域で出来る対応は/岡本久人 ・人口オーナス社会での住宅を考える/岩下陽市 北九州市立男女共同センター「ムーブ」2F大ホール 北九州市建築都市局 y 八幡東区市民アカデミー/八幡東区役所まちづくり推進課 2010年9月より月1回 もとは市民の勉強会であったが、当該テーマの履修後に双方向のアカデミー(つまり 研修者自身がまちづくりに参画する)への転換もめざして、23年度以降のアカデミー の進め方を協議してきた。/岡本、岩下、岩本 y 日中経済問題先端フォーラム2010-IN九州国際大学 2010年12月11日 「ポスト金融危機時代におけるアジア地域の協力と競争」 講演/岡本:「ストック型社会への転換/環境・経済・生活・人口動態等の諸課題に対 する統合的政策」 18 社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」 平成22年度 「(プロジェクト名)」 研究開発プロジェクト年次報告書 7-3.論文発表(国内誌 2 件、国際誌 1 件) y 岡本久人/低炭素経済発展報告 第24章「日本北九州市的低碳社会模式」 Annual Report on Chinese Low-Carbon Economic Development(2011) April 2011 y 岡本久人/「持続型社会論」九州環境技術創造道場 テキスト 北九州市 2011年3月 y 岡本久人「ストック型社会論/The Theory of Stock-type Society」 Journal of Life Cycle Assessment, Japan 日本LCA学会誌 Vol.6 No.2 April,2010 7-4.口頭発表(国際学会発表及び主要な国内学会発表) 招待講演 (国内会議 件、国際会議 件) 件、国際会議 件) 口頭講演 (国内会議 件、国際会議 件) ポスター発表(国内会議 7-5.新聞報道・投稿、受賞等 新聞報道・投稿 受賞 その他 19