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郵政研究所月報 №173

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郵政研究所月報 №173
ISSN 0918-5062
2003.2
郵
政
研
究
所
月
報
郵政研究所月報
Institute for Posts and Telecommunications Policy (IPTP)
Monthly Report
2003.2
IPTP
INSTITUTE
FOR
POSTS AND
TELECOMMUNICATIONS
巻 頭 言
POLICY
無線技術の移り変わり
中川 正雄
視 点
シミュレーション
鳥居 昭夫
特 集
日本経済地域見通し(2002年度−2004年度)
寺谷 淳
小原 宏
藤重 雅哉
内藤 秀司
「情報通信の産業競争力:政府の役割、民間の役割」
(情報通信シンポジューム)の開催について
郵政研究所月報
第16巻 第2号 通巻173号 2003年2月1日発行
編集・発行 総務省郵政研究所
〒106-8798 東京都港区麻布台1-6-19
TEL:03-3224-7310 FAX:03-3224-7382
URL http://www.iptp.go.jp/ E-mail [email protected]
※本誌の無断転用、複写を禁じています。
本誌は再生紙を使用しています。
173
No.173
住尾健太郎
ていぱーく所蔵錦絵紹介(保永堂版b)
東海道五拾三次之内
ふたがわ
さる ヶ
二川
猿ヶ馬場(愛知県豊橋市)
ば
ば
とおと うみ
二川宿は遠 江と三河の国境を越えてから三河側の最初の宿場ですが、この図は国境を流れ
たて ば
る境川の遠江側にある猿が馬場という立場(街道で旅人が休息した所)から見た風景を描いて
います。
ご
ぜ
三味線を担いだ三人の瞽女(三味線の弾き語りをする盲目の女性芸人)が杖をたよりに、看
ちゃ みせ
せき ばく
たそ がれ
板に名物かしわ餅と書いた茶店に向かって歩いています。寂寞とした小松原の黄昏の風景に感
じられます。
ていぱーく所蔵資料紹介o
はかり
郵便局では創業の時から郵便物の重さを量るためのはかりが必要でした。当初は、金銀や薬などを量
さおばかり
る精密な竿 秤など日本古来のはかりが用いられていたようです。
西洋式のはかりが全国に配備されたのは、記録によると明治7年6月からとなっていますが、局に
よってはもっと早く導入されたところもあるようです。
図は駅逓局の刻印のある西洋式の書状掛秤(上皿棹ばかり)で、明治10年代に郵便局で使用されたも
のです。
(錦絵/資料解説:附属資料館
井上卓朗)
郵政研究所月報
目
巻
頭
№173
次
言
無線技術の移り変わり…………………………………………………………………………………2
なかがわ
慶應義塾大学理工学部教授
特
まさ お
中川 正雄
集
日本経済地域見通し(2
0
0
2年度―2
0
0
4年度) ………………………………………………………4
てらたに
あつし
第三経営経済研究部主任研究官
寺谷
淳
お ばら
こう
研究官
小原
宏
ふじしげ
まさ や
研究官
藤重 雅哉
ないとう しゅうじ
研究官
内藤 秀司
「情報通信の産業競争力:政府の役割、民間の役割」
(情報通信シンポジューム)の開催について…………………………………………………5
2
すみ お けん た ろう
通信経済研究部主任研究官
住尾健太郎
視
点
シミュレーション………………………………………………………………………………………9
6
とり い
あき お
横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授
鳥居 昭夫
マクロ経済指標・トピックス …………………………………………………………………102
第三経営経済研究部
小
径
経済予測に思う ………………………………………………………………………………………1
2
2
き が
しんいち
郵政事業庁総括専門官
氣駕 紳一
トピックス
米国のDMM5
7(国内郵便マニュアル)について ………………………………………………1
2
3
まつ だ
とう こ
第一経営経済研究部
松田 桃子
指定金融機関の今後について ………………………………………………………………………1
2
9
やまもと
かずよし
第二経営経済研究部主任研究官
山本 一吉
ウェブサイト・ユーザビリティの評価要素と当該要素の公的機関への適用に関する調査研究 …1
3
4
ふじ い
けいぞう
通信経済研究部主任研究官
藤井 啓造
にしむら
まさ と
研究官
西村 雅人
郵政研究所通信
表紙裏
裏表紙
初代広重「東海道五十三次(保永堂版)
」より東海道五拾三次之内二川【猿ヶ馬場】
(愛知県豊橋市)
ていぱーく 所蔵資料紹介 o
はかり
ていぱーく 展示場紹介 J 〈近代以前の通信〉コーナー
「わが国の通信制度の発達」∼中世の通信∼
学芸員雑記帳 「〒」マークについて
本誌に個人名で発表・掲載する研究内容や意見は執筆者個人に属し、総務省あるいは郵政研究所
の公式見解を示すものではない。また、いかなる誤謬も筆者個人の責任に属する。
巻 頭 言
「無線技術の移り変わり」
慶應義塾大学理工学部教授
中川
正雄
1
9
7
6年から無線通信の研究を自分なりに始めましたが、当時は通信と言えば、なん
と言ってもファイバー通信の研究が主力で、6
0年代に盛んであったマイクロ波無線中
継の無線技術はもう熟した技術になり、ディジタル移動通信の時代まではまだまだの
時代で、ちょうどエアーポケット的時代でした。先輩に無線を研究するんだと話をす
ると、「無線は大学で研究しても意味がない、電々公社の技術だ」と言われたりでさ
んざんでした。しかし、ともかく目標を見つけたうれしさもあり、始めることになり
ました。とは言っても、基礎知識もないので、提携校であるドイツはアーヘン工科大
学に留学し、助手としてイロハから教えてもらいました。当時そこでCDMAの研究
をしていましたが、軍用を目的にしない研究であり、ヨーロッパ中でも珍しかったと
思います。助手仲間は結局軍用にしか役に立たないなどと言っていま し た が、
CDMAでは複数ユーザが同じ周波数、同じ時間を利用できるところや干渉に強いこ
とが気に入りました。
7
7年に帰国後CDMAの研究に着手しましたが、8
0年ころに、CDMAのブームが来
ました。夢のセルラー通信方式として新聞の1面トップに載ったりしたのですが、数
年後にはブームも冷めてしまい、電々公社でも研究を停止します。郵政省電波研でも
縮小の方向でした。私は継続しているうちに企業や大学を集めてスペクトル拡散通信
研究会を電子情報通信学会で8
7年に他の仲間と共に組織しました。第1回目を慶應の
三田キャンパスで行ったのですが、人が来るわ、来るわ、1
0
0人の会場に倍ぐらい来
たのでした。参加企業はバラエティーに富んでいて、家電メーカ、自動車メーカ、部
品メーカが多く、通信のプロパーであるほうが少ないくらいです。
その時思いだしたのは先輩の「無線は電々公社の技術」という台詞であり、これを
「無線は消費者の技術」に入れ替えるのが、自分の使命なんだと心に決めて、「コン
シューマ通信」という造語をしました。そうこうしていると、米国のベンチャー企業
のカルコムがCDMAをセルラー標準に提案し、大きな話題になり、第2次CDMA
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0
0
3.
2
2
ブームになりました。当時、私はCDMAの中にPHSの技術を入れられないかと考え、
9
1年にTDD―CDMA(Time Division Duplex―CDMA)を提案し、これが後のIMT―
2
0
0
0の世界標準の一つのTD―CDMAの原型になりました。TDD方式は無線LANとセ
ルラー通信を結びつけるに最適な方式であり、今後の4G(第4世代移動通信)にも
必ず使われるものと確信しています。プライベートとパブリックという一見反するも
のを結びつける最適な技術になると思います。
無線通信の研究を2
6年間してきて、技術を理解するのに必要なのは、技術をどう見
るか、それも技術そのものだけでなく、社会が何を望んでいるかを知ることです。こ
の2
6年間はパブリックからプライベートな技術への変遷が正解でした。今後は、パブ
リックとプライベートな技術の融合の時代が来るものと思います。いかがでしょう
か?
3
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0
3.
2
特
集
日本経済地域見通し(2002年度―2004年度)
第三経営経済研究部主任研究官
研究官
研究官
研究官
寺谷
小原
藤重
内藤
淳
宏
雅哉
秀司
この見通しは、郵政研究所の調査研究の成果をとりまとめたものであり、総務省の公式見解を示すも
のではありません。
[要約]
「日本経済中期見通し」において予測した我が国の実質経済成長率と整合性を持たせ、2
002年か
ら2
0
0
4年度までの1
2郵政局管内別実質成長率を予測した。尚、県民経済計算は1999年度が直近判明
分であるため、2
0
0
0年度と2
0
0
1年度については推定している。各地域毎の経済見通しの概要は以下
の通りである。
1.北海道
域内生産に占める食料品工業のウェイトが高い。2002年度の民間設備投資は、弱含もう。民間住
宅投資は、2
00
1年度に大幅なマイナスとなったが、2002年度は回復が見込まれる。域内経済でウェ
イトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、20
0
2年度+0.
8%、2003年度−0.
6%、2004年度+0.
3%と、2003年度以降、
全国を下回る伸びが予測される。
2.東北
域内生産に占める電気機械工業のウェイトが高い。情報関連機器の需要が弱含むと見込まれるこ
とから、2
002年度の民間設備投資は低調に推移しよう。域内経済でウェイトの大きい公共事業は削
減傾向にあり、2
00
3年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、20
02年度0.
0%、2003年度−0.
4%、2
004年度+1.
6%と、2003年度まで全国
を下回る伸びが予測される。
3.関東
域内生産に占める電気機械工業と化学工業のウェイトが高い。2002年度の民間設備投資は大幅な
マイナスとなろう。域内経済で公共事業のウェイトは他地域ほど大きくないため、公共事業削減の
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0
0
3.
2
4
影響は限定的であろう。民間最終消費と政府最終消費が成長率を下支えするものと見込まれる。
実質GDP成長率は、2
0
0
2年度−1.
3%、2003年度+2.
7%、2
004年度+1.
1%と、全国を上回る伸
びが予測される。
4.東京
住宅建築の都心部回帰の流れが続くことから、2002年度の民間住宅投資は底固い推移を示そう。
都心部再開発関連投資が下支え役となり、2002年度の民間企業設備投資についても他地域に比べて
堅調となろう。域内経済で公共事業のウェイトは他地域ほど大きくないため、公共事業削減の影響
は限定的であろう。
実質GDP成長率は、2
00
2年度+2.
2%、2003年度+0.
3%、2004年度+0.
3%となろう。
5.信越
域内生産に占める電気機械工業のウェイトが高い。情報関連機器の需要が弱含むと見込まれるこ
とから、2
0
02年度の民間企業設備投資は低調に推移しよう。公共事業の削減が、2003年度の成長率
を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2
00
2年度+0.
5%、2
003年度+0.
6%、2004年度+1.
3%と、全国と同水準の
伸びが予測される。
6.北陸
2
0
0
2年度と2
0
0
3年度の民間住宅投資は連続してマイナスとなろう。2002年度以降、公共事業の削
減が成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2
0
02年度+0.
3%、2003年度+1.
5%、2004年度+0.
7%と、全国と同程度の
伸びが予測される。
7.東海
域内生産に占める自動車工業のウェイトが高い。自動車産業の設備投資が下支えするため、200
2
年度の民間設備投資は若干のマイナスに留まろう。自動車輸出が期待できる。域内経済で公共事業
のウェイトは他地域ほど大きくないため、公共事業削減の影響は限定的であろう。
実質GDP成長率は、2
00
2年度+1.
1%、2003年度+2.
0%、2
004年度+0.
2%と、全国を上回る伸
びが予測される。
8.近畿
域内生産で、一般機械工業や電気機械工業のウェイトのバランスがとれている。他の地域に比較
して、情報関連機器の需要低迷の影響はやや少ない。中小企業の収益不振から、2002年度の設備投
資は前年度とほぼ横這いとなろう。
実質GDP成長率は、2
0
02年度+0.
2%、2003年度+1.
6%、2004年度+0.
2%と、全国と同水準の
伸びが予測される。
9.中国
域内生産に占める化学工業と鉄鋼業のウェイトが高い。いずれも、生産能力設備調整を行ってい
るため、2
00
2年度の民間設備投資は、減少しよう。民間住宅投資は2003、2004年度とプラス成長が
見込まれるものの、大都市圏に比べてその勢いは弱い。域内経済でウェイトの大きい公共事業は削
5
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0
0
3.
2
減傾向にあり、2
00
3年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は2
002年度−0.
4%、2
003年度+1.
1%、2004年度−0.
2%と、全国を下回る伸び
が予測される。
1
0.四国
域内生産に占める紙パルプ工業や化学工業等、素材業種のウェイトが高い。これらの業種で生産
体制の再構築が進んでいることから、民間設備投資は、2002年度から2004年度まで低迷しよう。域
内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を
押し下げよう。
実質GDP成長率は、2
0
02年度−1.
4%、2003年度+0.
9%、2004年度+0.
8%と、全国を下回る伸
びが予測される。
1
1.九州
域内生産に占める食料品工業と電気機械工業のウェイトが高い。2002年度の民間設備投資はマイ
ナス成長となろう。民間住宅投資は2
0
0
2年度もマイナスとなるが、2003年度以降は回復しよう。域
内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を
押し下げよう。
実質GDP成長率は、2
0
0
2年度+0.
0%、2003年度+1.
0%、2
004年度+0.
7%と、全国と同水準の
伸びが予測される。
1
2.沖縄
域内経済で、観光を中心とするサービス業のウェイトが高い。製造業では、食品工業と石油製品
工業のウェイトが高い。2
0
02年度の民間設備投資が大幅減少となり、2002年度の民間住宅投資もマ
イナスとなろう。管内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナ
スとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2
002年度−1.
9%、2003年度−0.
2%、2004年度+1.
5%と、全国を下回る伸
びが予測される。
地域別実質GDP成長率見通し
年 度
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0
0
3.
2
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
日本全国
0.
8%
1.
3%
0.
6%
北 海 道
東
北
関
東
東
京
信
越
北
陸
東
海
近
畿
0.
8%
0.
0%
−1.
3%
2.
2%
0.
5%
0.
3%
1.
1%
0.
2%
−0.
6%
−0.
4%
2.
7%
0.
3%
0.
6%
1.
5%
2.
0%
1.
6%
0.
3%
1.
6%
1.
1%
0.
3%
1.
3%
0.
7%
0.
2%
0.
2%
中
四
九
沖
−0.
4%
−1.
4%
0.
0%
−1.
9%
1.
1%
0.
9%
1.
0%
−0.
2%
−0.
2%
0.
8%
0.
7%
1.
5%
国
国
州
縄
6
図表1
¿ 地域経済総合指標
地域経済総合指標の構成統計
統 計 名
郵政研究所では、郵政局管内別に景気動向を判
断する地域経済総合指標を作成している。これは、
内閣府で作成しているCIの地方版である。CIは、
景気の転換点とともに景気の強さを視覚的に判断
するために用いられる。地域ごとにCIを作成す
加 工 方 法
鉱工業生産指数
有効 求 人 倍 率
大型小売店販売額
新設住宅着工戸数
建築着工床面積
新車 販 売 台 数
季節調整値、前月比
季節調整値、前月差
店舗調整済、前年比
前年比
商工業・サービス用、前年比
乗用車、前年比
(出所) 郵政研究所
ることで、各地域の景気の強さや転換時期を横並
びで比較することができる。地域経済総合指標を
図表2
作成するにあたっては、統計データが制約要因に
地域別景気判断
2
0
0
1
なっている。全国レベルで発表される速報性のあ
2
0
0
2
る経済統計の数は多いが、都道府県別で発表され
7 8 91
01
11
21 2 3 4 5 6 7 8 9
る速報性のある経済統計の数が限られるからであ
北海道 × − − − × − ○ ○ × × − ○ − − −
る。地域経済総合指標では、図表1に示される統
東 北 × × × × × × × − − ○ ○ ○ ○ − −
計を加工して用いている。尚、沖縄のみは、観光
関 東 × × × × × × × × × × − − − − −
東 京 × × × × × × × × × × − − − − −
が地域経済に与える影響の大きさを考慮して、沖
信 越 × × × × × × × × × − ○ ○ ○ − −
縄への観光客数の前年同月比を加えた7指標を用
北 陸 × × × × × × − − ○ ○ ○ ○ ○ − −
いている。
東 海 × × × × × × × × − ○ ○ ○ ○ − −
これらの統計が採用された理由は、都道府県レ
近 畿 × × × × × × × × − ○ ○ ○ ○ ○ ○
ベルで作成され、月次統計で、一カ月から二カ月
中 国 − × × × × × × × − ○ ○ ○ ○ ○ ○
後に発表されるためである。従来は、消費の指標
四 国 × × × × × × × × − − − − − ○ ○
として総務省の家計調査による消費支出の伸び率
九 州 × × × × × × × × × − ○ ○ ○ − −
も用いていた。しかし、家計調査は、都道府県レ
沖 縄 − ○ × × × × ○ ○ ○ ○ ○ − × × ○
ベルでは、標本数が小さくなり、標本入れ替えの
(注) ○上昇、−横這い、×下降
影響が過大に出て、景気循環との一致性が悪いこ
とが判明した。そのため、採用統計から家計支出
図表3
を除外した。
景気動向指数(一致指数)
100
地域経済総合指標を用いた景気の転換点の判定
方法は、以下のように行っている。まず、三カ月
移動平均により不規則変動をならした上で、前月
比を計算する。その前月比が+1.
5%以上である
50
か、二カ月連続でプラスになっている場合は、上
昇との判断とする。逆に、前月比が−1.
5%以下
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
い場合は横這いとの判断とする。
1991
0
は、下落の判断とする。いずれにも当てはまらな
1990
であるか、二カ月連続でマイナス担っている場合
(注意) 網掛け部は景気後退期
(出所) 内閣府
図表2は、地域経済総合指標を用いた景気判断
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表4
の表である。北海道、沖縄は、2
0
0
2年初めに景気
上昇に転じた。2
0
0
2年3月には北陸、4月には東
130
北、東海、近畿、中国、四国が上昇に転じた。全
120
国的に、3月から4月頃から景気拡大への転換点
110
地域経済総合指標
北海道
東 北
関 東
東 京
100
となったことが伺える。
90
図表3は、内閣府が景気判断の材料としている
80
景気動向指数の一致指数である。一致指数で、三
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
致指数は、2
00
2年2月に5
0を超え、それ以降は50
1994
50
1993
連続で5
0を下回れば景気の下降局面とされる。一
1992
60
1991
70
カ月連続で5
0を超えれば景気の拡大局面、三カ月
(出所) 郵政研究所
以上の値となっている。全国レベルで見ても、景
気の転換点が2
00
2年の2月から4月頃にあり、地
域経済総合指標とほぼ合致している。
図表5
図表4は、北海道、東北、関東、東京を比較し
地域経済総合指標
130
信 越
北 陸
東 海
近 畿
120
気拡大に転じ、指数の値も他地域よりは大きく
州、四国、沖縄を比較している。沖縄は、2
001年
2001
50
はそれほど大きくなかった。図表6は、中国、九
2000
60
1999
れら4地域の動きは、パラレルであり、ばらつき
1998
70
1997
陸、東海、近畿を比較している。2
00
0年以降のこ
1996
80
1995
ため、景気動向に差が出た。図表5は、信越、北
1994
90
1993
100
地域よりも大きかった。地域の産業特性が異なる
1992
なっている。東京は、2
0
01年以降の落ち込みが他
1991
110
2002
ている。北海道が2
002年初には、他に先んじて景
(出所) 郵政研究所
の落ち込みが他地域よりも大きかったが、2
002年
初には回復に転じ、2
0
0
2年後半は、他地域よりも
指数の絶対値が大きくなっている。経済規模が小
図表6
さく、観光等に左右されるため、振幅が大きい。
130
他の地域は、2
00
1年以降、ほぼパラレルな動きを
120
した。
110
このように、地域経済総合指標のグラフで山と
100
谷は景気の転換点にほぼ合致し、指数の値は地域
90
ごとの景気の強さを示す。景気の転換点や地域特
80
中 国
九 州
四 国
沖 縄
70
性に応じた景気の強さを視覚的に比較することが
(出所) 郵政研究所
8
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
50
1991
60
できる。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
地域経済総合指標
図表7
À 地域別経済・産業動向と見通し
産業別GDP構成比
水準で、2
00
3年度以降は全国平均を下回る推移。
(%) 農林水産業
25
対民間非営利サービス
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
1.
1 概観
運輸・通信業
1
北海道
実質経済成長率:20
0
2年度+0.
8%、2
003年度
−0.
6%、20
0
4年度+0.
3%。2
0
0
2年度は全国と同
北海道の特徴は、全国に比して政府サービス、
北海道
全国
鉱業
製造業
建設業
電力・ガス・
水道業
卸売・小売業
不動産業
金融・保険業
建設業、農林水産業の比率が高く、製造業の比率
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
が低いことである。総じて公的依存度の高い経済
図表8
であると言える。製造業の中では食料品、パル
産業別GDP成長率(北海道)
(前年度比、%)
プ・紙・紙加工品が全国に較べて高い比率を占め
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
ており、農林水産業と関係の深い業種の占める比
2−11.
6 −7.
6
農 林 水 産 業 −2.
率が高いことに特色がある。
鉱
8.
3 −5.
8 −7.
1 −0.
3
業 −3.
2 −8.
0 −2.
6 −3.
7 −6.
4
0.
1 −5.
3
5.
2 −7.
5−11.
2 −5.
3
公的部門への依存度の高い経済であるため、全
製
造
業
7.
7
0.
6 −0.
6
国的に削減基調にある公的固定資本形成の減少が
建
設
業
2.
1
7.
4
域内成長力の押し下げ要因となる見込みである。
電気・ガス・水道業 11.
3
2.
2 −0.
6
卸売・小売業
9.
6
0.
9
金融・保険業
9.
5 −6.
1 −2.
1 13.
3 −3.
2 10.
9 −1.
4 −6.
5 −3.
4
不 動 産
1.
2
経済・産業の特徴
2.
0
0.
7 −0.
5
9.
5 −0.
8 11.
0
2.
8 −2.
4
0.
5 −1.
4 −2.
4
1.
2 −1.
3 −2.
8
0.
0−10.
2 −2.
9 −1.
6
0.
3
3.
3 −1.
6
0.
7
0.
2 −3.
4 −4.
1 −0.
6
業
5.
5
5.
8
8.
1
2.
7
0.
2
4.
1
0.
8
0.
5
当地域のGDP産業別構成比は、サービス業が
2.
8
運輸・通信業
4.
9
1.
5 −0.
4
1.
2
1.
7
6.
4 −1.
8 −2.
3
0.
2
2
0.
1%と最も高く、これに政府サービスと卸売・
サ ー ビ ス 業
9.
6
5.
3
6.
6
3.
5
3.
8
5.
3 −0.
6
1.
7
0.
3
小売業が共に1
3.
3%で続き、以下建設業1
2.
4%、
政府サービス
4.
3
4.
1
2.
1
2.
6
2.
0
1.
1
2.
8
0.
7
0.
7
不動産業1
1.
6%、製造業1
0.
8%の順番となってい
対家計民間非営利サービス
6.
4
5.
9
1.
3
5.
3
4.
2
4.
1
2.
5
4.
4 −3.
1
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
る。全 国 値 と 比 較 す る と、政 府 サ ー ビ ス が+
図表9
4.
9%、建設業が+3.
7%、農林水産業が+2.
1%
と高く、製造業が−1
2.
4%と低い。
4.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、食料品が
3.0
3
1.
6%(全国値比+2
3.
7%)と突出している。こ
2.0
れに続くのがパルプ・紙・紙工品8.
1%(全国値
1.0
実質GDP成長率
(%、前年度比)
推計
予測
0.0
比+5.
5%)、石油製品・石炭製品8.
1%(全国値
−1.0
比+5.
0%)、窯 業・土 石4.
9%(全 国 値 比+
−2.0
1.
9%)などの産業であり、素材型産業に重点が
−3.0
置かれた経済であると言える。これに対して化学
−4.0
工業や機械関連工業は構成比・全国値比共に低い
北海道
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
水準となっている。
9
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1.
3
経済の状況
図表10 地域経済総合指標
北海道の地域経済総合指標を見ると、山谷の動
140.0
きは全国に類似しているが、9
5年、9
7年頃を除い
(2000年=100)
120.0
ては全国よりやや低い水準で推移してきている。
100.0
鉱工業生産指数は全国と同様の動きで、9
4―96年
80.0
度及び9
9―20
00年度にプラスとなり、また2
002年
60.0
度は全国に先んじて若干ながらプラスに回復の見
40.0
込みである。有効求人倍率は、過去1
0年間緩やか
20.0
な低下傾向にあり、また一貫して全国より低い水
北海道
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
準で推移している。大型小売店販売額は9
5年度お
(出所) 郵政研究所
よび97年度以降はマイナスで推移しているが、
2
0
0
0年度以降は全国と同様にマイナス幅は減少し
ている。住宅着工は9
2―9
4年度、9
6年度、9
9年度
図表11 鉱工業生産指数
はプラスだが直近3年間はマイナスとなっている。
設備投資額は20
0
0年度に若干プラスとなったが
6.0
2
0
0
2年度大幅低下の見込みで、回復傾向にある全
4.0
(%、前年度比)
2.0
国の動向とは一致していない。
0.0
−2.0
1.
4
−4.0
経済見通し
−6.0
北海道の最近の実質GDP成長率は、99年度は
北海道
全国
−8.0
+0.
7%、2
0
0
0年度は−1.
4%、2
0
0
1年度は−0.
6%
−10.0
と推計された。99年度は、民間最終消費の増加
−12.0
(2.
8%)が目立ち、2
0
00年度は公的的固定資本
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
形成の減少(−6.
2%)と、前年高い伸びを記録
した民間最終消費の減少(−1.
7%)が大幅減少
の要因となった。20
0
1年度は、民間最終消費は
図表12 有効求人倍率
1.
3%のプラス成長に転じたが、民間住宅投資と
1.6
民間企業設備投資が大幅マイナスとなっことが減
(倍)
1.4
少の要因である。
北海道
全国
1.2
2
0
0
2年度は民間企業設備投資が大幅マイナスと
1.0
なるも民間住宅投資の回復を受けて+0.
8%の増
0.8
加を予想。2
0
03年度、2
0
04年度は地域経済で大き
0.6
0.4
なウェイトを占める公的固定資本形成が全国的な
0.2
削減基調に沿って大幅に減少すると見られ、実質
0.0
GDP成長率は−0.
6%、+0.
3%と 低 迷 す る 予 想。
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
0
1.
5
図表13 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
2
0
0
3年3月6日 に は つ い にJR札 幌 駅 南 口 に
1.0
(%、前年度比)
「JRタワー」が始動する。札幌駅高架化を契機
0.0
に始動したこの再開発の総事業費は約7
5
0億円。
北海道
全国
−1.0
地 上3
8階・地 下4階・延 床 面 積2
7.
6万m2の 大 型
−2.0
複合施設にホテル・オフィス・シネマコンプレッ
クス・ショッピングモールを含み、さらに大丸百
−3.0
貨店が進出。JR北海道は全体で年間2
00万人の入
−4.0
場・利用を想定している。大丸札幌店の売場面積
−5.0
94
95
96
97
98
99
00
01
は道内最大の4.
5万平方メートルとなるが、高い
集客力を誇ってきた札幌の中心街「大通地区」の
主要百貨店
02
(年度)
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
丸井今井、三越、パルコ等はこの脅
威に積極的な改装で対抗しようとしている。さら
図表14 住宅着工戸数
に札幌市はJR札幌駅と大通を結ぶ全長465mの
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
−5.0
−10.0
−15.0
−20.0
−25.0
−30.0
−35.0
地下街(総事業費2,
0
0
0億円・2
00
5年着工2009年
完成予定)建設を構想中である。なお、2
002年6
月施行の「都市再生特別措置法」に基づく都市再
生緊急整備地域(第2次)には、札幌駅・大通駅
周辺地域と、大規模工場の土地利用転換が予定さ
れる札幌北四条東六丁目周辺地域が指定された。
弱体製造業と公共投資への過度の依存から域際
収支が約2.
5兆円の赤字となっている産業構造か
ら、内発的発展により自立した産業構造への脱却
(%、前年度比)
北海道
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
を長期的に目指す「産業クラスター構想」は、
20
0
0年2月、
「産官学連携」のコーディネート機
関である「北海道産学協働センター(愛称:コラ
図表15 設備投資額
ボほっかいどう/北海道大学敷地内)
」の設置に結
4.0
2.0
0.0
−2.0
−4.0
−6.0
−8.0
−10.0
−12.0
−14.0
−16.0
実した。課題は多いが、2
00
1年1
2月までに大学発
ベ ン チ ャ ー が1
7社(内5
3%がIT関 連、35%が バ
イオ関連)設立され、大学教員自らがベンチャー
企業設立に主体的に関与し出資者となる傾向が全
国比多いことがその特色となっている。北海道庁
は北海道大学北キャンパスエリアを「ベンチャー
創出(産学官連携)特区」とする提案を2
002年に
行い、知的資源の活用・大学発ベンチャーの創出
のため様々な規制緩和の措置を検討している。
(%、前年度比)
北海道
全国
97
98
99
00
01
02
(年度)
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
1
1
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表16 産業別GDP構成比
2 東北
東北
全国
(%) 農林水産業
25
対民間非営利サービス
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度0.
0%、2
0
03年度−
0.
4%、2
0
0
4年度+1.
6%。2
0
03年度まで全国平均
を下回る推移。
鉱業
製造業
建設業
2.
1 概観
東北の特徴は、全国に比して建設業、政府サー
運輸・通信業
電力・ガス・
水道業
ビス、農林水産業の比率が高く、製造業、サービ
卸売・小売業
不動産業
ス業の比率が低いことである。製造業の中では電
金融・保険業
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
気機械器具が全国に較べて高い比率を占めている
ことが特徴的である。
図表17 産業別GDP成長率(東北)
北海道と同じく、公的部門への依存度の高い経
(前年度比、%)
済であるため、全国的に削減基調にある公的固定
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
資本形成の減少が地域成長力の押し下げ要因とな
0
農 林 水 産 業 −8.
5.
5−25.
2 27.
1−11.
5
0.
6 −8.
2 −9.
4 −1.
0
る見込みである。また、大手電気機械メーカーの
鉱
4.
0 −4.
9
2.
3
0.
4
2.
7 −3.
0 −9.
4 −5.
7
事業再編の動きが地域経済に引き続きマイナスの
影響を与える可能性が高い。
2.
2
経済・産業の特徴
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
1
9.
9%(全国値比−3.
3%)と全国の水準以下で
はあるが第1位で、これにサービス業が15.
8%
(全国値比−3.
8%)
、卸売・小売業が1
2.
1%(全
国値比−1.
0%)、不動産業が1
2.
1%(全国値比−
製
造
業
7.
0 −1.
8 −2.
6
1.
6
4.
2
3.
6
建
設
業
4.
0
3.
9
7.
2
4.
1
3.
2
5.
6−10.
1
0.
5 −1.
8
電気・ガス・水道業
9.
1
2.
2
0.
5 10.
9
6.
0
0.
2
0.
1
卸売 ・ 小 売 業
8.
0
1.
5
1.
4
金融 ・ 保 険 業
4.
1 −4.
3 −2.
0 14.
2 −3.
6 13.
5
0.
2 −2.
5
5.
9
不 動 産 業
5.
9
6.
1
6.
7
2.
5
1.
7
6.
7
4.
6
2.
4
1.
7
運輸 ・ 通 信 業
7.
0
3.
5
1.
4
2.
4
4.
6
5.
8
0.
7 −2.
3
0.
0
サービス業
7.
8
6.
9
6.
3
3.
4
3.
8
6.
8
1.
2
2.
5 −0.
6
政府 サ ー ビ ス
4.
9
3.
5
2.
4
2.
8
2.
4
1.
9
2.
5
1.
2 −0.
2
対家計民間非営利サービス
7.
1
6.
5
2.
2
6.
2
4.
4
5.
8
3.
9
7.
0 −2.
7
6.0
3.
0%、政府サービスが+2.
6%、農林水産業が+
1.
4
1.
9 −2.
8 −5.
2 −3.
2
(%、前年度比)
推計
5.0
1.
8%と高くなっていることが特徴的である。
予測
4.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、電気機械器
3.0
具が3
5.
5%(全国値比+1
5.
7%)と突出している
2.0
1.0
こ と が 特 徴 的 で あ り、こ れ に 続 く の は 食 料 品
0.0
1
1.
0%(全国値比+3.
1%)、飲料・たばこ・飼料
−1.0
6.
6%(全国値比+2.
9%)である。
−2.0
−3.0
なお、一般機械器具以外では、輸送用機械器具、
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
5.
0
1.
3
図表18 実質GDP成長率
ならないが、全国値と比較すると、建設業が+
比が全国値比低い水準となっている。
0.
8 −0.
6
1.
6 −3.
5
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
0.
3%)と続く。なお、産業別構成比では上位と
化学工業、鉄鋼業、出版・印刷・同関連等の構成
業 −0.
1
東北
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
1
2
2.
3
図表19 地域経済総合指標
経済の状況
東北の地域経済総合指標を見ると、全国に比べ
140.0
て山谷の振幅が大きく、特に景気低迷時の下げ幅
120.0
が大きい。鉱工業生産指数はほぼ全国と同様の動
100.0
きである。有効求人倍率は、9
1年度から9
3年度に
80.0
かけて急速に低下し9
4年以降も全国同様緩やかな
60.0
減少傾向。大型小売店販売額は9
6年度以外減少し
40.0
ているが、2
0
00年度以降全国と同様にマイナス幅
20.0
は縮小している。住宅着工は9
2から9
4年度と96及
東北
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
び99年度がプラスとなっているが直近3年間はマ
イナスとなっており、2
0
02年度もマイナス幅は拡
(2000年=100)
(出所) 郵政研究所
大する見込みである。設備投資額は9
9年度に大幅
なプラスとなったもののその後は低下、しかしな
図表20 鉱工業生産指数
がら2
0
0
2年度は全国の設備投資動向と同様にマイ
10.0
ナス幅が減少する見込みである。
(%、前年度比)
5.0
2.
4
経済見通し
0.0
東北の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
−5.0
1.
3%、20
0
0年 度 は+2.
8%、2
00
1年 度 は−2.
6%
−10.0
と推計された。9
9年度は民間企業設備投資と民間
東北
全国
−15.0
住宅投資が全県計を上回って推移し、2
0
00年度も
−20.0
IT機器関連需要の盛り上がりで民間企業設備投
資の伸びが大きく、移・輸出も電気機械器具を中
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
心として増加したことから全県計を上回る成長と
なっている。20
01年度はITブームの終焉で民間
設備投資が大きく減少し民間住宅設備投資も2年
図表21 有効求人倍率
連続減少となったことが響いて大きく減少した模
1.6
様である。
(倍)
1.4
2
0
0
2年度以降も電気機械器具関連の設備投資及
1.2
び移・移輸出が早期回復する可能性は低く、公的
1.0
固定資本形成が全国的な削減基調に沿って大幅に
0.8
減少すると見られることから、実質GDP成長率
0.6
0.4
は2
0
0
2年度0.
0%、2
0
0
3年度−0.
4%、2
0
04年度+
0.2
1.
6%と20
0
3年度まで全国を下回る伸び率を予測
0.0
する。
東北
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
1
3
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
2.
5
図表22 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
東北地域のリーディング産業は電気機械産業で
1.0
ある。
「工業統計表(従業者4人以上の事業所)
」
0.0
によれば、2
0
00年度の電気機械産業の構成比は出
−1.0
荷額で3
5.
5%、従業者数で2
8.
0%と共に第1位で
−2.0
(%、前年度比)
−3.0
あり、特に出荷額の構成比は9
5年の3
2.
1%から
−4.0
2
0
0
0年には35.
5%に上昇して金額ベースでも約
−5.0
5.
4兆円から約6.
4兆円と2割近い増加を示した。
−6.0
規模別に見ると従業者3
00人以上の大型工場の占
−7.0
東北
全国
94
95
96
97
98
99
00
01
める比率は出荷額で約3分の2、従業者数で約5
分の2と相当の部分を占め、またその大半が中央
02
(年度)
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
資本の電機メーカーの工場である。生産品目別で
見ると半分以上を電子部品が占め、また通信機器
図表23 住宅着工戸数
やコンピューターなど所謂IT関連製品の生産が
主流になっている。うち電子部品を品目別に見る
20.0
と抵抗器・コンデンサがほぼ4分の1を占め、つ
15.0
いで集積回路、スイッチ・コネクタなどの品目が
10.0
東北
全国
5.0
続く。集積回路の全国シェアは関東・九州・甲信
0.0
越より低く、東北は関連部品の生産拠点としての
−5.0
−10.0
色彩が強いといえる。
−15.0
地域産業をリードしてきた電気機械産業ではあ
−20.0
るが、地場資本ではなく中央資本の電機メーカー
−25.0
を中心とした産業構造となっていることから地域
経済が市場環境の大きな影響を受ける結果を招い
(%、前年度比)
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
ている。日本政策投資銀行の調査によれば、2
001
年以降のIT不況を受けて発表されたリストラ策
図表24 設備投資額
により、大手電機メーカー工場2
0か所の閉鎖が予
10.0
定されており、約1万人の雇用に影響が出る見込
みで雇用・税収・設備投資等地域経済に深刻な影
(%、前年度比)
東北
全国
5.0
響を及ぼす。工場閉鎖の要因としては、国内複数
0.0
工場の統合だけではなく、安価な人件費・土地代
−5.0
を求めた生産拠点の海外シフトも多い。今後、
NECカスタムテクニカ`を中心とした「米沢ビ
−10.0
ジネスネットワークオフィス」のような地域産業
−15.0
連携ネットワークの構築の重要性がますます高ま
るものと考えられる。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
97
98
99
00
01
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
1
4
02
(年度)
図表25 産業別GDP構成比
3 関東
関東
全国
(%) 農林水産業
30
対民間非営利サービス
20
政府サービス
10
実質経済成長率:20
0
2年度−1.
3%、2
003年度
+2.
7%、20
0
4年度+1.
1%。2
0
0
2年度は全国を下
回るが、2
00
3年度以降は全国平均を上回る推移。
鉱業
製造業
0
サービス業
建設業
3.
1 概観
電力・ガス・
水道業
運輸・通信業
関東の経済規模は全国計の約5分の1を占め、
1
2郵政局管内で最大である。全国に比べると製造
不動産業
業や不動産業の構成比がやや高く、卸売・小売業、
運輸・通信業、サービス業等の構成比が逆にやや
卸売・小売業
金融・保険業
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
図表26 産業別GDP成長率(関東)
低い。製造業の中では電気機械器具・輸送用機械
(前年度比、%)
器具・一般機械器具・化学工業の構成比が高い。
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
公的固定資本形成・政府消費の構成比は全国比
低く、全国に比してウェイトの高い民間消費や民
0 −4.
5
農 林 水 産 業 −3.
0.
2
鉱
4.
4−10.
9 −3.
0 −2.
7−13.
9
業
8.
7
造
業
1.
7 −5.
0 −3.
5
1.
1
0.
5 −0.
1 −5.
8 −1.
8
設
業
4.
5
0.
6 −3.
5 −5.
8 −5.
5
5.
1 −9.
2 −5.
4 −2.
9
電気・ガス・水道業
7.
3
2.
5
3.
9 −0.
9
2.
5
6.
7
1.
4 −4.
2
0.
3
2.
4 −4.
0 −2.
9 −0.
2
間住宅民間企業設備等の民間部門の支出が域内経
製
済を下支えする見込みである。
建
卸売 ・ 小 売 業
3.
2
経済・産業の特徴
金融 ・ 保 険 業
0.
1
0.
2 −5.
0 −0.
1 −5.
1 −2.
0 −3.
0
0.
2
1.
1
0.
3
12.
2 −9.
3 −6.
7 13.
9 −5.
4
5.
7
2.
8 −7.
6
0.
4 −0.
3
9.
5 −1.
4 −2.
9
3.
1
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
不 動 産 業
7.
4
9.
7
8.
2
6.
4
1.
3
3.
8
1.
0
0.
9
2
7.
7%と第1位(全国比4.
5%)で高いウェイト
運輸 ・ 通 信 業
9.
2
0.
0
0.
3
0.
6
4.
8
6.
1 −0.
6 −1.
0
0.
7
サービス業
9.
0
6.
6
5.
9
3.
9
4.
6
6.
9
0.
5
3.
3 −0.
4
政府 サ ー ビ ス
5.
4
4.
6
2.
8
3.
4
1.
7
3.
4
2.
5
1.
7
対家計民間非営利サービス
7.
2
7.
3
2.
7
6.
7
5.
5
6.
7
4.
7
2.
6 −2.
0
を占める。第2位にサービス業が1
7.
5%で続くが
全国値比を−2.
1%と下回っており、むしろ構成
比が第3位の不動産業のウェイトが1
5.
5%(全国
3.
3
0.
5
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
値比3.
1%)と住宅やオフィス需要の高さを反映
図表27 実質GDP成長率
して高めであることが特徴的である。
製造業の出荷額の構成比を見ると、電気機械器
4.0
具が2
0.
3%(全国値比+0.
5%)と全国並の水準
3.0
ではあるがトップであり、これに輸送用機械器具
2.0
1
2.
8%(全国値比−2.
0%)、一般機械器具1
2.
1%
1.0
(全国値比+2.
0%)が続く。第4位の化学工業
0.0
が1
0.
5%と全国値比より+2.
6%高いほか、石油
−1.0
製品・石炭製品、プラスチック製品、非鉄金属等
−2.0
の素材型産業の構成比が全国値比でやや高い水準
−3.0
となっている。
(%、前年度比)
推計
予測
関東
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
1
5
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
3.
3
経済の状況
図表28 地域経済総合指標
関東の地域経済総合指標を見ると、全国とほぼ
同様の山谷の動きだが9
9年度以降の水準は全国比
120.0
やや低く、若干遅行傾向がある。鉱工業生産指数
100.0
はほぼ全国と同様の動きである。有効求人倍率は、
80.0
全国と同様に9
1―9
3年度に急低下し9
4年度以降は
60.0
横ばいで推移している。大型小売店販売額は全国
40.0
とほぼ同様の動きであり、9
4年以降継続的に前年
20.0
度比マイナスとなっている。住宅着工も全国とほ
関東
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
ぼ同様の動きで推移しており、2
0
0
2年度は全国と
同様前年比マイナス幅が若干縮小するものと思わ
(2000年=100)
140.0
(出所) 郵政研究所
れる。設備投資額は2
00
0年度には全国を上回る水
準で大幅なプラスとなったもののその後は全国よ
図表29 鉱工業生産指数
り大きく低下、しかしながら2
0
02年度は全国と同
6.0
様に減少幅が減少する見込みである。
(%、前年度比)
4.0
2.0
3.
4
0.0
経済見通し
−2.0
関東の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
−4.0
0.
6%、20
0
0年 度 は+1.
6%、2
00
1年 度 は−2.
2%
−6.0
−8.0
と推計された。9
9年度は、民間最終消費・政府最
関東
全国
−10.0
終消費の伸びが全県計を下回ったが、民間住宅投
−12.0
資は全県計をやや上回り民間設備投資の減少も小
幅だった。20
00年度はIT関連需要の盛り上がり
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
から民間企業設備投資が大きく伸び、米国向けを
中心とする輸出も拡大している。2
00
1年度は民間
設備投資が減少に転じ、民間住宅投資も都心回帰
図表30 有効求人倍率
の影響もあって減少幅が拡大、さらに公的固定資
1.6
本形成も大きく減少して成長率を押し下げた。
(倍)
1.4
2
0
0
2年度は民間設備投資のマイナス幅拡大が大
関東
全国
1.2
きく影響し、実質GDP成長率は−1.
3%と全国を
1.0
大きく下回るものと思われる。2
0
0
3年度以降は、
0.8
比較的堅調に推移する民間最終消費に下支えされ
0.6
0.4
て、実質GDP成長率は、2
0
0
3年度+2.
7%、2
004
0.2
年度+1.
1%と全国を上回る伸びを予想する。
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
6
3.
5
図表31 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
茨城県が2
0
02年に提案した7つの構造改革特区
1.0
のひとつ、
「つくば・東海知的特区構想」は「筑
0.0
波研究学園都市」と日立市・東海村・水戸市など
−1.0
の県北・県央地区との連携を狙うものである。同
−2.0
(%、前年度比)
関東
全国
−3.0
学園都市は官民合わせて2
0
0以上の研究機関と約
−4.0
1万6千人の研究者を擁する世界的科学技術拠点。
−5.0
2
0
0
1年4月の国立研究所の独立行政法人化が契機
−6.0
となって、経済産業省系の研究機関である産業技
−7.0
94
95
96
97
98
99
00
01
術総合研究所が地元企業やベンチャー企業を呼び
込んで共同研究を行う制度が発足し、最近は特に
02
(年度)
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
医療・ITの分野を中心に実用的な成果が目立っ
ている。筑波大学からの研究成果をもとに設立さ
図表32 住宅着工戸数
れたベンチャー企業も1
3社を数え、国立大学では
東京大学と並ぶ実績である。日本の原子力セン
15.0
ターである「東海・那珂」では、日本原子力研究
10.0
5.0
所が2
00
7年3月に完成する大強度陽子加速器が生
0.0
命科学や物質科学研究に飛躍的発展をもたらすこ
−5.0
とが期待されており(
「サイエンスフロンティア
−10.0
2
1構想」
)
、また、企業城下町である日立市でも日
−15.0
関東
全国
−20.0
立製作所グループの協力企業が市の支援を受けて
−25.0
小型風力発電機の試作を開始、独自の製品開発に
乗り出している。
「つくば」の問題点と言われて
(%、前年度比)
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
きた「コーディネーター不在」についても茨城県
が対応し、20
01年につくばの産学官を結集した
「つくば連絡会」を設置、
「つくば発新事業創出
図表33 設備投資額
プログラム」で行動計画を明らかにし、3年間で
10.0
ベンチャー企業を1
0
0社設立し、1
0社の株式公開
関東
全国
5.0
を目指している。
東京の秋葉原とつくば約5
8kmを4
5分間で結ぶ
0.0
「つくばエクスプレス(常磐新線)
」も2005年度
−5.0
開通予定である。都心回帰の流れの中、オフィス
−10.0
と人材の東京への流出を防ぐべく、この沿線地域
−15.0
に未来型情報都市を実現しようとする茨城県の
−20.0
「スマートコリドール(情報回廊)構想評議会」
も県内外の百社以上が参加している。
(%、前年度比)
97
98
99
00
01
02
(年度)
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
1
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表34 産業別GDP構成比
4 東京
東京
全国
(%) 農林水産業
30
対民間非営利サービス
25
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度+2.
2%、2
003年度
+0.
3%、20
0
4年度+0.
3%。2
0
0
2年度は全国を上
回るが、2
00
3年度以降は全国平均を下回る推移。
鉱業
製造業
建設業
4.
1 概観
東京の経済規模は全国計の約1
7%を占め、12郵
運輸・通信業
電力・ガス・
水道業
政局管内で関東に次いで第2位である。全国に比
不動産業
べるとサービス業や卸売・小売業の構成比が高く、
製造費の構成比が低い。製造業の中では出版・印
卸売・小売業
金融・保険業
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
刷・同関連の構成比が極めて高いことが特徴的で
図表35 産業別GDP成長率(東京)
ある。
(前年度比、%)
公的固定資本形成の構成比は全国比半分以下で
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
あり、民間中心の経済であるものと言える。民間
農 林 水 産 業 −8.
5−13.
7 −9.
5
最終消費や民間企業設備投資が域内経済を下支え
鉱
する。
4.
2
経済・産業の特徴
当地域のGDP産業別構成比は、サービス業が
いウェイトを占める。第2位には卸売・小売業が
1
7.
6%(全国値比+4.
5%)で続くが、第3位の
製造業(1
6.
7%)が全国値比で−6.
5%と低い水
1.
2 −4.
4 −0.
9
3.
1 −8.
0 −6.
0 −3.
3
業
3.
8 −3.
6 −2.
8 −0.
4
建
設
業
8.
6
1.
5 −9.
1−10.
5 −7.
8
1.
6 −5.
4 −6.
0 −0.
8
電気・ガス・水道業
5.
3
5.
1
6.
2
2.
9
0.
2
2.
3
卸売 ・ 小 売 業
2.
6 −0.
5 −0.
6 −2.
9
0.
1
1.
3
0.
4 −5.
5 −2.
4
1.
2
1.
6 −0.
6
0.
0 −4.
7 −2.
8
2.
7
4.
3 −1.
4 −2.
2 −4.
1
0.
0
0.
7
不 動 産 業 −9.
6
0.
6 −7.
0
4.
5 −2.
3
0.
8
4.
9
運輸 ・ 通 信 業
5.
6
2.
3 −1.
1
0.
5
3.
1
3.
5
0.
7 −1.
1 −0.
2
サービス業
0.
4
0.
8 −0.
7
0.
4 −0.
4
3.
5
2.
4
0.
4
0.
4
政府 サ ー ビ ス
4.
5
2.
4
2.
1
3.
1
1.
6
1.
3
1.
6
0.
4
0.
6
対家計民間非営利サービス
5.
8
5.
4
0.
5
5.
2
3.
6
4.
8
2.
3 −1.
6 −4.
7
6.
1
1.
0
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
図表36 実質GDP成長率
設業は6.
7%(全国値比−1.
6%)と低い水準であ
4.0
り、民間部門・非製造業中心の経済である。
3.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、出版・印
2.0
刷・同関連が2
9.
0%(全国値比で+2
4.
8%)と大
1.0
きいシェアを占めることが特徴的で。第2位の電
0.0
気機械器具も2
6.
6%(全国値比+6.
8%)と高い
−1.0
−2.0
シェアを占める。この上位2業種で域内製造業の
−3.0
半分以上の出荷額となるために、その他の業種の
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
9.
8
造
サービス生産者は5.
8%(全国値比−2.
6%)、建
以外では全国値より低くなっている。
9.
1−22.
8
0.
2 −6.
0−14.
0−12.
1
製
業1
0.
1%で全国値比+2.
8%となっている。政府
構成比は、精密機械器具、なめし革製品・毛皮等
12.
3
金融 ・ 保 険 業 −3.
9−16.
3 −7.
0 −0.
1
2
8.
0%と第1位で全国値比を+8.
4%上回り、高
準であることに特色がある。第4位は運輸・通信
業
(%、前年度比)
推計
東京
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
1
8
予測
4.
3
図表37 地域経済総合指標
経済の状況
東京の地域経済総合指標を見ると、一貫して水
(2000年=100)
140.0
準は全国比で低く、特に景気低迷時の下げ幅が大
120.0
きい。鉱工業生産指数は、全国がプラス回復した
100.0
9
9、2
0
0
0年度も前年度比マイナスに留まり、その
80.0
後の回復も弱い予想。有効求人倍率は、全国同様
60.0
9
1から9
3年度に急速に低下し9
9年度まで横ばいで
40.0
推移したが、2
0
00年度からは持ち直して全国より
20.0
やや高い水準。大型小売店販売額は9
7年度の大幅
東京
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
前年比割れ以降、全国に先んじて減少幅が縮小し
(出所) 郵政研究所
たが、2
00
2年度は減少幅が拡大の見込み。住宅着
工の推移は全国と似るが、最近は全国に比べて底
固い推移となっている。設備投資額は2
0
0
0年度を
図表38 鉱工業生産指数
除いて全国を上回る水準で推移しており、特に
6.0
4.0
2.0
0.0
−2.0
−4.0
−6.0
−8.0
−10.0
−12.0
−14.0
2
0
0
2年度は大幅プラスに転じる見込みである。
4.
4
経済見通し
東 京 の 最 近 の 実 質GDP成 長 率 は、99年 度 は
0.
0%、20
0
0年 度 は+0.
7%、2
00
1年 度 は−0.
3%
と推計された。9
9年度は、民間最終消費や民間住
宅投資が全国をやや下回り、2
0
0
0年度は民間住宅
投資はプラスに転じたが、民間企業設備投資の回
復は緩やかだった。2
0
01年度は民間企業設備投資
(%、前年度比)
東京
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
の減少幅が全国比小さく、民間住宅投資も分譲マ
ンションや貸家の着工が好調に推移して減少幅が
小さく、公的固定資本形成もプラスだったために、
図表39 有効求人倍率
全国を上回ったと推測される。
1.6
都心部の再開発関連投資が民間企業設備投資を
(倍)
1.4
下支えし、民間住宅投資も都心回帰の流れを受け
関東
全国
1.2
て堅調で、2
0
02年度の成長率は、+2.
2%と全国
1.0
を大きく上回るものと推計される。但し、2
003年
0.8
度以降は公的固定資本形成の減少や民間企業設備
0.6
0.4
投資の落ち込みを受けて200
3年度+0.
3%、2
004
0.2
年度+0.
3%と全国を下回る伸びになると予想さ
0.0
れる。
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
1
9
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
4.
5
図表40 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
2
0
0
2年6月施行の「都市再生特別措置法」に基
2.0
づく都市再生緊急整備地域(第1次)には全国17
(%、前年度比)
1.0
地域(3
5
1
5ha)
、うち東京では7地域(2370ha東
0.0
京駅・有楽町周辺・大崎駅周辺など)が指定され
−1.0
た。元々は東京都及び石原都知事が先導する形で
−2.0
国に要請していたもので、東京の都市としての魅
−3.0
力と国際競争力の向上のため、都市再生に民間の
−4.0
力を振り向け、又、バブルで虫食い状態になった
−5.0
東京
全国
94
95
96
97
98
99
00
01
土地の流動化による不良債権の解消を目的として
02
(年度)
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
いる。都市計画のイニシアチブを時間・場所を
限って自治体から国に移し、規制の大幅緩和・手
続の短縮、金融支援制度により民間の力を誘導し
図表41 住宅着工戸数
ようとする意図がある。
時を同じくして2
00
2年9月には東京駅前の「丸
15.0
ビル」
、1
2月には汐留地区の「カレッタ汐留」が
10.0
(%、前年度比)
5.0
竣工、2
0
0
3年には「六本木ヒルズ」
、
「品川グラン
0.0
ドコモンズ」も竣工予定で、大規模な再開発プロ
−5.0
ジェクトが次々に完成を迎える。賃貸ビル大手森
−10.0
−15.0
ビルの調査によれば2
00
3年には東京2
3区内で事務
東京
全国
−20.0
所部分の延床面積が1万m2以上の大規模オフィ
−25.0
スビルが4
0件完成し、その床面積は2
1
8万m2に達
−30.0
する。年間の新規供給としては平均的な年の3倍
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
にあたり、東京ドームのグラウンド面積の1
67倍
に相当するが、うち4割強が1
99
8年前後に国鉄清
算事業団が売却した旧国鉄用地である。
「2003年
図表42 設備投資額
問題」とはこれらに自社ビルが占める部分が7
6万
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
−2.0
−4.0
−6.0
−8.0
−10.0
−12.0
m2と大きいため、その移転による賃貸オフィス
の空室率上昇・賃料下落が懸念されているもので
ある。一方、再開発特需の恩恵は建設業界に加え、
物流・ビルメンテナンス・オフイス家具・保険・
IT関連・外食関係と幅広い。都心回帰の流れの
中、東京オリンピック以来4
0年ぶりといわれる大
規模再開発が東京を国際都市として再生するか、
居住環境を省みないミニバブルの惹起に留まるか、
総合的な都市戦略の有無が問われている。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
(%、前年度比)
東京
全国
97
98
99
00
01
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
2
0
02
(年度)
図表43 産業別GDP構成比
5 信越
(%) 農林水産業
25
対民間非営利サービス
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度+0.
5%、2
003年度
+0.
6%、20
0
4年度+1.
3%。期間中の平均は全国
とほぼ同水準。
信越
全国
鉱業
製造業
建設業
5.
1 概観
運輸・通信業
信越の特徴は、公的需要及びそれとの関係が深
い建設業のウェイトが高く、次いで電気・ガス・
電力・ガス・
水道業
不動産業
卸売・小売業
金融・保険業
水道業、製造業が高いことである。製造業の中で
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
はIT関連が含まれる電気機械器具が突出して高
図表44 産業別GDP成長率(信越)
くなっている。
(前年度比、%)
2
0
0
2年度以降は、公的需要及びIT企業の設備
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
投資動向が注目される。このうち、前者は、公共
農 林 水 産 業 −5.
5 −0.
3 −5.
2 9.
3−17.
1 0.
9 −7.
9 −1.
8 −5.
8
事業の削減傾向が続くことから、GDPに対して
鉱
業
9.
6 13.
0 −5.
6 −2.
7 −2.
9 10.
6 −0.
3−10.
7 −4.
9
造
業
4.
2 −3.
3 −3.
2 0.
5 5.
9 3.
5 1.
8 −4.
8 −0.
3
設
業
5.
2
押し下げ要因となる可能性がある。また、後者は、
製
IT関連需要の低迷から民間企業設備投資が低調
建
に推移する公算が大きいことから、GDPに対し
電気・ガス・水道業
5.
6 −0.
4 5.
4 4.
3 3.
0 6.
5 13.
0 −3.
1 −1.
2
卸売 ・ 小 売 業
4.
2
て押し下げ要因として働こう。
金融 ・ 保 険 業
9.
8 4.
7 5.
3 7.
6 2.
9−17.
0 −0.
4 −1.
5
0.
2 −1.
5 −1.
5 −0.
7 0.
5 −4.
7 −5.
0 −2.
5
13.
8−10.
4 −3.
1 15.
4 −5.
2 7.
7 0.
6
0.
7 6.
5
不 動 産 業
7.
3
6.
5 7.
8 5.
4 5.
4 9.
6 6.
4 −5.
1 6.
7
運輸 ・ 通 信 業
13.
9
0.
9 −0.
5 0.
9 −1.
3 4.
1 4.
5 −0.
2 −3.
9
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
サービス業
8.
4
5.
1 6.
6 1.
5 6.
0 7.
6 0.
9
2.
6 0.
3
2
4.
6%と最も高く、サービス業1
6.
3%、不動産業
政府 サ ー ビ ス
4.
6
3.
2 2.
9 3.
0 1.
7 3.
1 0.
1
1.
5 0.
0
対家計民間非営利サービス
7.
1
9.
3 −0.
3 5.
8 3.
6 6.
4 4.
1
4.
4 −2.
1
5.
2
経済・産業の特徴
1
2.
5%と続いている。また、全国値と比較すると、
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
建設業が+3.
2%ポイントと高く、電気・ガス・
図表45 実質GDP成長率
水道業が+1.
7%ポイント、製造業が+1.
4%ポイ
ントと続いている。
6.0
(%、前年度比)
推計
5.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、電気機械器
予測
4.0
具が3
7.
8%と突出しており、一般機械器具1
3.
2%、
3.0
食料品9.
4%と続いている。全国値と比較しても
2.0
電気機械器具が+1
8.
0%ポイントと高く、一般機
1.0
0.0
械器具+3.
1%ポイント、精密機械器具+2.
7%ポ
−1.0
イントと続いている。
−2.0
−3.0
信越
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
2
1
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
5.
3
図表46 地域経済総合指標
経済の状況
信越の地域経済総合指標を見ると、9
1年度、97
140.0
年度及び2
0
0
1年度前後にピークがあり、直近は上
(2000年=100)
120.0
昇に転じている。全国値とほぼ一致した動きであ
100.0
るが、谷が深い傾向がある。鉱工業生産指数は、
80.0
9
4―9
7年度及び9
9―2
00
0年度でプラスとなってい
60.0
る。直近はマイナス幅が縮小しているが、全国値
40.0
を若干下回っている。有効求人倍率は9
1―2002年
20.0
度の間、若干の変動はあるもののほぼ低下傾向に
信越
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
あり、一貫して全国値を上回っている。大型小売
店販売額は9
4年度からマイナスで推移しているが、
(出所) 郵政研究所
9
9年度を境にその幅が縮小傾向にある。住宅着工
は93―9
6年度及び9
9年度にプラスとなっており、
図表47 鉱工業生産指数
以後低下傾向にあって、直近は全国値を下回って
6.0
4.0
2.0
0.0
−2.0
−4.0
−6.0
−8.0
−10.0
−12.0
−14.0
いる。設備投資額は9
7年度及び2
0
0
0年度がプラス
であり、直近はマイナス幅が縮小している。
5.
4
経済見通し
信越の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
1.
0%、20
0
0年 度 は+1.
3%、2
00
1年 度 は−1.
9%
と推計された。これは、9
9年度は民間最終消費及
び民間住宅投資が高成長となったこと、2
000年度
はIT関連機器需要の拡大から民間企業設備投資
(%、前年度比)
信越
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
が大幅な成長となったこと、2
0
0
1年度は逆に民間
企業設備投資が大幅なマイナス成長になったほか、
民間住宅投資のマイナス幅拡大が要因である。
図表48 有効求人倍率
2
0
0
2年度以降については、公的資本形成のマイ
2.5
ナス成長が持続するとみられるほか、IT関連需
要の低迷から民間企業設備投資が低調に推移する。
(倍)
2.0
この結果、実質GDP成長率は、冒頭のとおり
信越
全国
1.5
になると予想される。
1.0
0.5
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
2
2
図表49 大型小売店販売額(店舗数調整済)
5.
5 地域トピック
新潟県では、北東アジアの交流拠点としての国
1.0
際都市実現に向けた動きがある。2
0
0
2年1月には
(%、前年度比)
0.0
同県等主催の「北東アジア経済会議」が開催され、
−1.0
北東アジア輸送回廊作りを柱にした宣言が採択さ
−2.0
信越
全国
−3.0
れた。また、8月には「新潟国際経済交流特区」
−4.0
を国に申請しており、その目的は、地域産業の技
−5.0
術力・営業力の向上や海外企業との提携を積極的
−6.0
に支援する機能の集積、海外企業の日本進出や外
−7.0
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
資の導入等の制約となる各種規制の緩和により、
同県における人、物、資本、情報の交流を促進し、
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
経済の活性化を図ることである。経済交流支援機
能の集積が期待される信濃川河口の万代島地区で
図表50 住宅着工戸数
は再開発が進められており、国際会議場・展示
15.0
ホールからなるコンベンションセンターと、ホテ
(%、前年度比)
10.0
ル・オフィスの複合ビルの整備が総事業費約4
50
5.0
億円で実施され、2
00
3年5月の開業予定となって
0.0
−5.0
いる。同センター利用には一部県の補助があり、
−10.0
県内のコンベンション関連企業も紹介可能となる。
−15.0
長野県では、IT関連需要の低下に伴う関連製
−20.0
造業の停滞などもあり、新たな事業の創出が待た
−25.0
−30.0
れる状況である。同県では従来から産・学・官に
より事業が推進され、産業集積が行われているが、
信越
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
さらに2
00
1年に「新事業創出に関する基本構想」
を策定し、新規事業創出支援体制を構築し、総合
的かつ効率的な事業展開を図ることとした。日本
図表51 設備投資額
銀行松本支店によれば、同県は中小企業に大学と
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
−5.0
−10.0
−15.0
−20.0
−25.0
の共同開発経費の一部を助成する制度を新設する
など、支援強化に努めている。それらにより、96
―20
0
1年度の間で信州大学への共同研究又は受託
研究は6
0件強から1
3
0件強へと倍増し、新建材や
新繊維素材の開発が受注や販売に結びついた事例
が報告されている。一方で、コーディネート機能
の不足、連携企業の権利の帰属問題等の指摘があ
るため、今後、それらを克服して県内経済の活性
化に貢献することが望まれる。
(%、前年度比)
信越
全国
97
98
99
00
01
02
(年度)
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
2
3
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表52 産業別GDP構成比
6 北陸
北陸
全国
(%) 農林水産業
30
対民間非営利サービス
25
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度+0.
3%、2
003年度
+1.
5%、20
0
4年度+0.
7%。全国とほぼ同水準で
推移。
鉱業
製造業
建設業
6.
1 概観
運輸・通信業
北陸の特徴は、公的需要のウェイトが高く、産
業別では電気・ガス・水道業、建設業、製造業が
電力・ガス・
水道業
不動産業
卸売・小売業
金融・保険業
高いことである。製造業の中では伝統的産業であ
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
る繊維工業、金属製品、化学工業などが高くなっ
図表53 産業別GDP成長率(北陸)
ている。
(前年度比、%)
2
0
0
2年度以降も引続き、公的需要及び繊維工業、
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
金属製品、化学工業といった産業の動向が注目さ
6
農 林 水 産 業 −5.
れる。このうち、前者については、公共事業の削
鉱
業
7.
1−11.
4 13.
0−17.
1 −1.
6−13.
1 −6.
6 −5.
9
15.
8 −1.
9 −4.
0
3.
1 −7.
3
減傾向が続くことから、GDPに対して押し下げ
製
造
業
要因となる可能性がある。
建
設
業
−1.
2
2.
5
6.
8
電気・ガス・水道業
14.
7
4.
4
6.
0 −1.
7
6.
2
経済・産業の特徴
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
3.
9 −2.
1 −3.
8 −1.
0
0.
3
7.
5 −4.
8 −0.
8
8.
4
2.
4
5.
3 −0.
1 −4.
3 −4.
2
5.
7
2.
0 −8.
7
0.
7 10.
0
6.
0 −2.
8 12.
4 −0.
1 −3.
6
卸売 ・ 小 売 業
5.
8 −4.
8 −0.
7 −2.
5 −6.
4
4.
8 −4.
4 −8.
3 −2.
7
金融 ・ 保 険 業
1.
2 −2.
9 −3.
8 11.
7 −4.
7
7.
6 −0.
4 −6.
7
5.
9
0.
1
不 動 産 業
5.
8
5.
7
6.
4
4.
1
2.
1
3.
4
2
5.
1%と最も高く、サービス業1
6.
1%、不動産業
運輸 ・ 通 信 業
7.
5
0.
9
2.
7
1.
7
3.
1
5.
2 −3.
5 −5.
2 −4.
5
1
1.
6%と続いている。全国値と比較すると、大型
サービス業
7.
9
6.
6
6.
0
2.
9
4.
1
6.
0
0.
2
3.
3 −1.
0
発 電 所 の 存 在 等 か ら 電 気・ガ ス・水 道 業 が+
政府 サ ー ビ ス
4.
1
4.
1
3.
0
3.
6
1.
6
3.
2
1.
9
0.
9
対家計民間非営利サービス
6.
4
6.
8
1.
9
6.
1
4.
7
5.
0
3.
4
5.
8 −1.
6
3.
5%ポイントと高く、建設業が+2.
0%ポイント、
伝統的産業である繊維工業等を含む製造業が+
2.
0
1.
5
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
図表54 実質GDP成長率
1.
9%ポイントと続いている。
製造業の出荷額の構成比を見ると、電気機械器
6.0
具が2
1.
1%で最も高く、一般機械器具1
2.
6%、金
5.0
(%、前年度比)
推計
予測
4.0
属製品1
0.
3%と続いている。全国値と比較すると
3.0
繊 維 工 業 が+5.
4%ポ イ ン ト と 高 く、金 属 製 品
2.0
5.
2%ポイント、非鉄金属及 び 一 般 機 械 器 具 が
1.0
0.0
2.
5%ポイントと続いている。
−1.0
−2.0
−3.0
北陸
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
2.
9
2
4
6.
3
図表55 地域経済総合指標
経済の状況
北陸の地域経済総合指標を見ると、9
1年度、97
140.0
年度及び2
0
0
1年度前後にピークがあり、直近は上
120.0
昇に転じている。全国値とほぼ一致した動きであ
100.0
るが、谷が深い傾向がある。鉱工業生産指数は、
80.0
9
4―9
6年度及び9
9―2
00
0年度前後並びに2
002年度
60.0
でプラスとなっている。特に、直近は全国値を大
40.0
きく上回っている。有効求人倍率は9
1―2
002年度
20.0
の間、若干の変動はあるもののほぼ低下傾向にあ
北陸
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
り、一貫して全国値を上回っている。大型小売店
販売額は9
5年度からマイナスで推移しているが、
(2000年=100)
(出所) 郵政研究所
2
0
0
2年度はその幅が大幅に縮小している。住宅着
工は92―9
4年度、9
6年度及び9
9年度にプラスと
図表56 鉱工業生産指数
なっており、直近はマイナスであるがその幅が若
干縮小している。設備投資額は、9
9年度にプラス
15.0
になった後マイナスが続いたが、2
0
0
2年度は大き
10.0
くプラスに転じている。
(%、前年度比)
5.0
0.0
6.
4
経済見通し
−5.0
北陸の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
北陸
全国
−10.0
0.
4%、20
0
0年 度 は+2.
3%、2
00
1年 度 は−0.
7%
−15.0
と推計された。これは、9
9年度は、政府最終消費
及び民間住宅投資が全国値を上回るプラス成長と
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
なったこと、2
0
0
0年度は、民間企業設備投資がプ
ラス成長に転じたことに加え、政府最終消費が他
地域より高い伸びとなったこと、2
00
1年度は、政
図表57 有効求人倍率
府最終消費支出等が比較的高い伸びとなったこと
2.5
が要因である。
(倍)
2.0
2
0
0
2年度以降については、他地域と同様に公的
資本形成のマイナス成長が持続するとみられ、
北陸
全国
1.5
GDPに対して押し下げ要因として働こう。
1.0
この結果、実質GDP成長率は、冒頭のとおり
0.5
になると予想される。
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
2
5
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
6.
5
図表58 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
2
0
0
5年の愛知万博に向けた取組みが当地域も含
1.0
めて行われている。具体的には、幅広い産業集積
(%、前年度比)
0.0
を背景とした、新たな価値創造の担い手としての
−1.0
ものづくり技術の発展的継承として北陸3県にお
−2.0
ける各地のこの分野の振興策が進められている。
−3.0
また、名神高速道路から北陸自動車道に通ずる
−4.0
東海北陸自動車道の工事が進みつつあり、東海か
−5.0
ら当地域へのアクセスが改善されつつある。具体
−6.0
北陸
全国
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
的には、2
0
0
2年1
1月に岐阜県白川郷から富山県五
箇山までの間1
5.
2kmが開通したことにより、全
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
長18
5kmのうち未開通区間は26kmとなった。完
成後は愛知県一宮市から岐阜県を通って富山県小
図表59 住宅着工戸数
矢部市までが約2時間4
0分で結ばれ、また、2005
20.0
年開港の中部国際空港へのアクセスも向上するこ
15.0
ととなることから、当地域の産業、経済、文化交
北陸
全国
10.0
流及び中部山岳地域を含む沿線地域の活性化に寄
5.0
0.0
与するものと期待されてる。
−5.0
さらに域内各県では2
1世紀初頭の県の基本とな
−10.0
る総合計画が策定され、実現に向けた取組みがな
−15.0
されている。例えば富山県では、県づくりの目指
−20.0
−25.0
すべき方向と実現方策を明らかにするため「水と
緑といのちが輝く元気とやま」を計画の基本目標
(%、前年度比)
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
とし、同県の魅力を発揮して国内外に誇るオン
リーワンの県づくりを進めるため、2
00
1年から10
年間の「富山県民新世紀計画」を策定した。基本
図表60 設備投資額
目標を実現するため、人材、生活、環境、産業、
10.0
国際の「五つの立県構想」を柱とし、総合的に各
(%、前年度比)
5.0
施策を展開していくこととしている。このうち、
0.0
例えば国際の立県構想では、国際立県環日本海交
−5.0
流の中央拠点づくりを謳い、世界に開かれた県づ
−10.0
くりのために国際化の基盤整備として、空港、港
−15.0
湾、高速交通体系、情報通信基盤等の国際化基盤
北陸
全国
−20.0
の整備を進め、環日本海地域を中心に世界各地と
−25.0
の交流の拡大を促進する、としている。
97
98
99
00
01
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
2
6
02
(年度)
図表61 産業別GDP構成比
7 東海
東海
全国
(%) 農林水産業
40
対民間非営利サービス
30
実質経済成長率:20
0
2年度+1.
1%、2
003年度
+2.
0%、20
0
4年度+0.
2%。全国を上回る水準で
20
政府サービス
推移。
鉱業
製造業
10
0
サービス業
建設業
7.
1 概観
運輸・通信業
東海の特徴は、民間企業設備投資需要が高く、
産業別では製造業が際立って高いことである。製
電力・ガス・
水道業
不動産業
造業の中では自動車関係が含まれる輸送用機械器
具が突出して高く、プラスチック製品、繊維工業
卸売・小売業
金融・保険業
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
図表62 産業別GDP成長率(東海)
が続いている。
(前年度比、%)
2
0
0
2年度以降は、民間設備投資の大幅減が回避
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
され、輸出の堅調さもあって、GDPに対して押
農林水産業
し上げ要因となろう。一方、公共事業の削減傾向
鉱
2.
3 −4.
6
0.
8
0.
8 −1.
8 −0.
1 −7.
6
1.
5 −2.
5
業
12.
4 −1.
7 −7.
0 −3.
7
が続くことから、この面ではGDPに対して押し
製
造
業
4.
4 −5.
3 −6.
4 −0.
6
4.
5
7.
3 −4.
3 −2.
0 −2.
6
下げ要因となる可能性があるが、依存度が低いこ
建
設
業
0.
8
4.
6 −4.
2
2.
2
0.
5
5.
1 −7.
3 −6.
4
電気・ガス・水道業
7.
0
2.
5
3.
1 −0.
9
卸売 ・ 小 売 業
7.
8 −0.
7 −0.
5 −1.
6 −2.
4 −0.
4 −4.
6 −2.
8 −2.
9
金融 ・ 保 険 業
3.
7 −7.
5 −5.
9 13.
7 −5.
4
7.
8 −1.
0 −3.
4
6.
7
不 動 産 業
6.
8
8.
0
9.
7
2.
5
1.
5
5.
6
1.
2
運輸 ・ 通 信 業
8.
6
0.
1
1.
4
0.
2
4.
1
3.
6 −5.
7 −1.
4 −2.
9
サービス業
9.
8
5.
1
4.
1
2.
1
3.
2
5.
4
1.
2
3.
2
政府 サ ー ビ ス
4.
9
4.
5
3.
0
3.
0
1.
9
3.
0
2.
6
0.
9 −0.
1
対家計民間非営利サービス
9.
4
6.
3
1.
5
5.
5
3.
8
5.
8
3.
7
1.
7 −2.
1
とから、影響もそれに見合ったものとなろう。
7.
2
経済・産業の特徴
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
3
3.
6%と突出して高 く、サ ー ビ ス 業15.
8%、卸
売・小売業1
1.
7%と続いている。また、全国値と
比較すると製造業が+1
0.
4%ポイントと圧倒的に
1.
8
1.
9 −0.
9 −1.
1 −8.
0 −3.
9
2.
8
4.
6
3.
0
2.
5
2.
5 −3.
5
3.
2
0.
3
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
高く、1
2地域中の第1位である。このシェアが大
図表63 実質GDP成長率
きいため、次の鉱業が±0%ポイント、その他は
すべてマイナスとなっている。
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
−1.0
−2.0
−3.0
−4.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、自動車関係
を含む輸送用機械器具が3
4.
6%と突出しており、
電気機械器具1
3.
6%、一般機械器具8.
8%と続い
ている。全国値と比較しても輸送用機械器具が+
1
9.
9%ポイントと高く、大きく離れてプラスチッ
ク製品0.
7%ポイント、繊維工業0.
3%ポイントと
続いている。
(%、前年度比)
推計
予測
東海
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
2
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
7.
3
経済の状況
図表64 地域経済総合指標
東海の地域経済総合指標を見ると、9
1年度、97
(2000年=100)
140.0
年度及び2
0
0
1年度前後にピークがあり、直近は上
120.0
昇に転じている。全国値と比べて若干の遅行傾向
100.0
と、谷が深い傾向がある。鉱工業生産指数は、94
80.0
―97年度及び9
9―2
00
0年度でプラスとなっている。
60.0
直近はマイナス幅が縮小している。有効求人倍率
40.0
は91―2
00
2年度の間、若干の変動はあるもののほ
20.0
ぼ低下傾向にあり、一貫して全国値を上回ってい
東海
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
る。大型小売店販売額は9
6年度にプラスとなった
(出所) 郵政研究所
後マイナスで推移しているが、2
0
0
0年度を境にそ
の幅が縮小傾向にある。住宅着工は9
2―9
4年度、
9
6年度及び9
9―2
0
0
0年度がプラスとなっており、
図表65 鉱工業生産指数
以後低下傾向にあって、直近は全国値を下回って
いる。設備投資額は9
7年度及び2
0
0
0年度がプラス
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
−2.0
−4.0
−6.0
−8.0
−10.0
−12.0
となっており、直近はマイナス幅が縮小している。
7.
4
経済見通し
東海の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
1.
0%、20
0
0年 度 は+1.
5%、2
00
1年 度 は−1.
7%
と推計された。これは、9
9年度は、民間企業設備
投資が全国値を大きく下回ったものの、民間住宅
投資と純移出入が高かったこと、2
00
0年度は、民
(%、前年度比)
東海
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
間企業設備投資がプラス成長に転じたほか、米国
向け輸出の拡大に伴って純移出入がプラスで推移
したこと、2
0
01年度は、民間企業設備投資がプラ
図表66 有効求人倍率
ス成長を継続したものの、純移出入がマイナスに
2.5
転じたことが要因である。
2
0
0
2年度以降は、主要産業である自動車関連の
(倍)
2.0
状況を反映して、他地域と比べると民間設備投資
東海
全国
1.5
の大幅減が回避され、輸出の堅調さもあって、
1.0
GDPに対して押し上げ要因となろう。また、公
共事業の削減傾向が続くものの、全国よりも依存
0.5
度が低いため影響もそれに見合ったものとなろう。
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
2
8
7.
5 地域トピック
図表67 大型小売店販売額(店舗数調整済)
東海では、2
0
05年3月開港に向けて建設が進ん
1.0
でいる中部国際空港(愛称:セントレア)
、およ
0.0
び同年3月から9月の開催に向けて準備が進んで
−1.0
いる国際博覧会(略称:愛知万博、愛称:愛・地
−2.0
球博)が注目される。
−3.0
(%、前年度比)
−4.0
前者は、国の第7次空港整備計画(9
6年12月閣
−5.0
議決定)において早期に事業推進を図ることとさ
−6.0
れたもので、愛知県常滑市沖の海を埋立てること
−7.0
東海
全国
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
で空港施設面積4
7
0haを確保するもの。総事業費
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
は、空港整備関係のほか、空港近接部整備、鉄
道・道路アクセス等にかかる埋立てや建設も含め
て合計約1兆2,
00
0億円強と見込まれている。
図表68 住宅着工戸数
後 者 は、9
7年6月 の 博 覧 会 総 会 国 際 事 務 局
20.0
(BIE)において開催が決定されたもので、愛知
(%、前年度比)
東海
全国
15.0
県長久手町の愛知青少年公園及び豊田市の科学技
10.0
術交流センター予定地の約1
7
3haを会場とし、来
5.0
0.0
場者数1,
5
00万人が見込まれている。総事業費は
−5.0
会場建設費のほか、新交通システム、鉄道、道路
−10.0
等の関連インフラの整備を含めて約3,
4
0
0億円強
−15.0
と見込まれている。開催まで3年を切ってからは、 −20.0
−25.0
域外も含めて開催イベントが実施されている。
これらのプロジェクトは建設・整備の直接費用
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
のほか、開港・開催に伴う利用・来場者による需
要創出、生産誘発や粗付加価値誘発効果も見込ま
れる。栄・名古屋両駅周辺等では百貨店の増床や
図表69 設備投資額
オフィス・商業ビル等の建設も行われている。
4.0
さらに、中・長期的にみると、名古屋市内から
(%、前年度比)
2.0
3
0分程度で2
4時間離発着可能な利便性の高い空港
0.0
にアクセスできることは、世界との時間距離が短
−2.0
縮することを意味するので、旅客・物流需要の増
−4.0
加に伴う地域の発展や産業振興等も想定され、博
−6.0
−8.0
覧会を通じた知名度の向上ともあいまって中長期
東海
全国
−10.0
的には域内GDPの押し上げ効果が期待される。
−12.0
なお、この場合、空輸が前提であるので、生産物
の付加価値をより高めていくことが課題となろう。
97
98
99
00
01
02
(年度)
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
2
9
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表70 産業別GDP構成比
8 近畿
近畿
全国
(%) 農林水産業
25
対民間非営利サービス
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度+0.
2%、2
003年度
+1.
6%、20
0
4年度+0.
2%。全国とほぼ同水準で
推移。
鉱業
製造業
建設業
8.
1 概観
電力・ガス・
水道業
運輸・通信業
近畿の特徴は、需要項目でみると公的需要が若
干低いもののその他はほぼ全国と同水準にあり、
卸売・小売業
不動産業
金融・保険業
産業別構成比では不動産業、卸売・小売業、製造
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
業が高いことである。製造業の中では一般機械器
図表71 産業別GDP成長率(近畿)
具、化学工業、金属製品が若干高くなっている。
(前年度比、%)
なお、域内には製造業の中で中小企業の占める割
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
合が全国の最高レベルである地域があることから、
景気停滞の影響を受け易い構造でもある。
農林水産業
3.
8 −6.
4 −0.
9
2.
7 −6.
7
2.
2−13.
0 −5.
0 −3.
8
鉱
業
1.
1−13.
7
4.
4 −9.
2 −2.
0
7.
3−16.
9 −0.
5−16.
2
2
0
0
2年度以降は、他地域と比べて公的需要及び
製
造
業
4.
9 −4.
2 −5.
3 −2.
9
IT関連産業の依存度が低いことからその影響が
建
設
業
限定的なものと見込まれるが、域内の特性から所
電気・ガス・水道業
得面での弱含み推移が予想され、また、民間最終
消費も僅かな伸びに留まるとみられることから、
2.
5
1.
2 −1.
4 −5.
8 −3.
7
4.
2
9.
3 −0.
3 −3.
4 19.
4
0.
5 −9.
4−14.
6 −1.
9
7.
5
1.
7
1.
6
卸売 ・ 小 売 業
9.
1
2.
2 −5.
6 −4.
1 −2.
2
金融 ・ 保 険 業
3.
2−10.
7 −8.
0 11.
2 −5.
2
9.
2 −3.
2 −4.
6
2.
5
1.
4
1.
5
不 動 産 業
8.
2
8.
8 10.
5
これらがGDPに対して押し下げ要因として働く
運輸 ・ 通 信 業
5.
2
可能性がある。
サービス業
8.
2
経済・産業の特徴
4.
6
2.
8
0.
2 −1.
4
4.
9 −6.
7 −3.
6 −1.
7
0.
5
2.
1
2.
6
2.
1
1.
4
0.
3
0.
9 −2.
9
6.
2
6.
1
1.
1 −2.
8 −1.
8
7.
8
5.
7
6.
2
1.
6
3.
2
8.
2
0.
1
2.
8
1.
5
政府 サ ー ビ ス
5.
0
4.
0
3.
0
3.
5
0.
8
3.
3
2.
5
1.
1
0.
5
対家計民間非営利サービス
6.
6
5.
3
1.
1
5.
5
2.
4
3.
8
2.
6
5.
2 −2.
9
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
図表72 実質GDP成長率
2
3.
9%と最も高く、サービス業1
9.
4%、卸売・小
売業1
4.
5%と続いている。また、全国値と比較す
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
−1.0
−2.0
−3.0
−4.0
ると、大きく乖離する項目はないが、不動産業が
+1.
9%ポイント、卸売・小売業+1.
4%ポイント、
製造業が+0.
7%ポイント高くなっている。
製造業の出荷額の構成比を見ると、電気機械器
具が1
9.
5%と高く、一般機械器具1
2.
5%、化学工
業9.
5%と続いている。全国値と比較すると、一
般機械器具が2.
4%ポイント、化学工業及び金属
製品が1.
6%ポイント上回っている。
(%、前年度比)
推計
3
0
予測
近畿
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1.
8
8.
3
図表73 地域経済総合指標
経済の状況
近畿の地域経済総合指標を見ると、9
1年度、97
年度及び2
0
0
1年度前後にピークがあり、直近は上
120.0
昇に転じている。全国値とほぼ一致した動きであ
100.0
るが、概ね全国を下回る水準で推移している。鉱
80.0
工業生産指数は、9
4―9
7年度及び9
9―2
0
0
0年度で
60.0
プラスとなっている。直近はマイナス幅が縮小し
40.0
ている。有効求人倍率は9
1―2
0
02年度の間、ほぼ
20.0
低下傾向にあり、一貫して全国値を下回っている。
近畿
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
大型小売店販売額は9
6年度にプラスとなった後マ
イナスで推移しているが、2
0
0
0年度を境にその幅
(2000年=100)
140.0
(出所) 郵政研究所
が縮小傾向にある。住宅着工は9
2―9
6及び99年度
がプラスとなっており、2
00
0年度以後はマイナス
図表74 鉱工業生産指数
幅が縮小傾向にある。設備投資額は2
00
0年度がプ
6.0
ラスとなっており、その後ほぼ全国と同様の動き
(%、前年度比)
4.0
となっている。
2.0
0.0
8.
4
−2.0
経済見通し
−4.0
近畿の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
−6.0
0.
2%、20
0
0年 度 は+0.
7%、2
00
1年 度 は−0.
5%
−8.0
と推計された。これは、9
9年度は民間住宅投資が
−10.0
−12.0
マイナス成長となったこと、2
0
0
0年度は公的資本
形成が−1
0.
0%を下回ったものの、民間企業設備
近畿
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
投資が大幅に拡大したこと、2
0
0
1年度は電気機械
やサービス業の落込みを中心に民間企業設備投資
がマイナス成長に転じたものの、民間最終消費や
図表75 有効求人倍率
政府最終消費が比較的堅調に推移したことが要因
1.6
である。
(倍)
1.4
2
0
0
2年度以降は、他地域と比べて公的需要及び
近畿
全国
1.2
IT関連産業の依存度が低いことからその影響が
1.0
限定的なものと見込まれるが、地域特性から所得
0.8
面での弱含み推移が予想され、また、民間最終消
0.6
0.4
費も僅かな伸びに留まるとみられることから、こ
0.2
れらがGDPに対して押し下げ要因として働く可
0.0
能性がある。
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
3
1
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表76 大型小売店販売額(店舗数調整済)
8.
5 地域トピック
近畿では、構造改革特区の提案や都市再生緊急
2.0
整備地域の指定などに伴って、バイオメディカル
1.0
やナノテクノロジー関連の研究・事業化への取組
0.0
(%、前年度比)
近畿
全国
−1.0
みや、都市再開発の流れが進行している。
−2.0
このうち前者では、大阪北部(彩都:国際文化
−3.0
公園都市)エリア、京都地域、神戸地域における
−4.0
取組みが挙げられる。彩都エリアは2
00
4年の街開
−50
きに向けて整備が進められているが、このエリア
−6.0
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
を大阪圏におけるライフサイエンスの国際拠点と
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
位置付け、バイオメディカル分野の基礎研究から
企業育成までを推進して、集積を図ることとして
おり、同年に医薬基盤技術研究施設が開設予定で
図表77 住宅着工戸数
ある。京都地域では、2
0
01年に設置された京都大
学国際融合創造センターを核としてナノテクノロ
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
−5.0
−10.0
−15.0
−20.0
−25.0
−30.0
ジー関係の育成が図られている。また神戸地域で
は、ポートアイランド西地区を中心として周辺地
区でのバイオメディカル産業等の集積を図る医療
産業都市構想が進行しており、その中核機能とな
る先端医療センターの整備が進められている。
一方後者では、都市再生緊急整備地域を定める
政令により大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺地域
をはじめとする1
6地域が指定され、地域活性化の
(%、前年度比)
近畿
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
ための再開発等が開始されている。このうち、難
波・湊町地域についてみると、業務・商業・文
化・情報発信・居住等の多機能複合市街地を形成
図表78 設備投資額
し、鉄道ターミナル及び高速道路と直結したバス
5.0
ターミナルを有する複合交通センターを中心とし、
快適で質の高い交通拠点機能を強化し、それらが
0.0
一体となった国際交流拠点を形成することが期待
−5.0
されている。具体的な取組みをみると、2
003年秋
−10.0
に開業予定の「なんばパークス」の第一期計画が
−15.0
進行している。ランドマークとなる高層ビルのほ
−20.0
か、民間の開発によるものとしては国内最大級と
−25.0
いわれる広さ1万ßに及ぶ屋上公園の整備のため、
約4万株の植物が植えられつつある。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
(%、前年度比)
近畿
全国
97
98
99
00
01
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
3
2
02
(年度)
図表79 産業別GDP構成比
9 中国
中国
全国
(%) 農林水産業
30
対民間非営利サービス
25
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度−0.
4%、2
003年度
+1.
1%、20
0
4年度−0.
2%。全国平均をやや下回
る水準で推移。
鉱業
製造業
建設業
9.
1 概観
運輸・通信業
中国の特徴は、瀬戸内工業地帯に代表される製
造業、政府サービスのウェイトが高い一方で、金
電力・ガス・
水道業
卸売・小売業
不動産業
金融・保険業
融・保険業、不動産業、サービス業が低いことで
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
ある。
図表80 産業別GDP成長率(中国)
2
0
0
2年度以降は、公的固定資本形成の動向が注
(前年度比、%)
目される。今後、公共事業の削減傾向が続くこと
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
から、GDPに対して押し下げ要因となる可能性
がある。また、IT関連需要低迷の影響を比較的
農 林 水 産 業 −4.
7 −0.
2−10.
1
8.
3 −5.
7 −4.
9−11.
6 −4.
0 −6.
4
鉱
1.
4 −5.
4
受けにくい産業構造であるものの、9
9年後半から
製
2
0
0
0年における当地域の製造業を引っ張ってきた
建
のは電気機械であり、経済成長力を引き上げる力
は弱まるものと思われる。民間企業設備投資の回
復力も限定的となるであろう。
9.
2
経済・産業の特徴
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
2
6.
2%と最も高く、サービス業1
6.
9%、卸売・小
業
7.
8
2.
2 −3.
6
造
業
7.
2
0.
1 −6.
9 −1.
2
2.
0 −0.
5 −1.
6 −2.
7 −1.
9
設
業
6.
4
7.
4 −0.
3 −4.
1
2.
7
8.
7 −9.
4 −2.
7 −3.
9
2.
4
1.
6
2.
6
4.
2−12.
6 −5.
9 −3.
9
電気・ガス・水道業
4.
4 −0.
1 −2.
7
4.
5 −0.
2
卸売 ・ 小 売 業
5.
1 −1.
3 −1.
5 −1.
0 −1.
6 −0.
7 −3.
8 −7.
0 −5.
6
金融 ・ 保 険 業
3.
7 −0.
3 −1.
8 11.
3
1.
7
7.
4 −2.
4 −3.
2 −0.
7
不 動 産 業
4.
8
6.
8
6.
1
3.
9
2.
5
5.
4
3.
0
運輸 ・ 通 信 業
6.
6
3.
1
1.
6
1.
2
4.
3
2.
7
0.
6 −1.
0 −0.
5
サービス業
5.
0
4.
9
4.
4
3.
3
4.
1
6.
2
2.
0
2.
8
政府 サ ー ビ ス
5.
0
3.
9
2.
7
3.
0
2.
0
2.
6
2.
3
0.
3 −0.
1
対家計民間非営利サービス
6.
0
6.
6
1.
5
5.
6
6.
2
4.
9
2.
9
4.
8
1.
9
1.
0
3.
5
1.
7
0.
0
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
売業1
2.
5%、不動産業1
0.
6%と続いている。また、
図表81 実質GDP成長率
全国値と比較すると、製造業が+3.
0%ポイント
と高く、政府サービス+1.
5%、建設業+0.
4%と
4.0
続いている。
推計
3.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、輸送用機械
2.0
が1
5.
9%、電気機械1
3.
4%、化学1
2.
5%、鉄鋼業
1.0
1
0.
2%と続いている。製造業の中では、従来、化
0.0
学、鉄鋼、輸送用機械が上位であったが、9
8年度
−1.0
以降は電気機械が鉄鋼に替わっている。全国値と
−2.0
比較すると、鉄鋼業が+6.
2%ポイントと最大で、 −3.0
化学+4.
5%、石油・石炭製品+4.
5%、輸送用機
械+1.
2%と続いている。
(%、前年度比)
予測
中国
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
3
3
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
9.
3
図表82 地域経済総合指標
経済の状況
中国の地域経済総合指標を見ると、1
9
9
0年代半
ば以降、全国値を若干下回るポイントで推移して
120.0
おり、2
00
2年度以降上昇傾向にある。鉱工業生産
100.0
指数は、全国値の動きとほぼ連動しているが、
80.0
IT不況の際は、当地域の製造業は素材型業種が
60.0
中心的役割を担っている特色から、全国値よりも
40.0
落ち込みは小さかった。2
00
2年度以降上昇傾向に
20.0
ある。
中国
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
有 効 求 人 倍 率 は、9
8年 度 以 降0.
7倍 近 辺 を 横
這っている。大型小売店販売額は、2
00
1年度以降
(2000年=100)
140.0
(出所) 郵政研究所
横這い傾向にあり、全国値で上昇している状況と
比べ、厳しい状況と言える。住宅着工戸数は、
図表83 鉱工業生産指数
2
0
0
1年度を底に2
0
0
2年度は全国値以上に上昇し、
3年ぶりに対前年度比でプラスに転じた。設備投
6.0
資は、2
00
2年度も製造業、非製造業ともに減少す
4.0
(%、前年度比)
2.0
る見込みである。
0.0
−2.0
9.
4
−4.0
経済見通し
−6.0
中国の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
−8.0
0.
5%、20
0
0年 度 は−0.
8%、2
00
1年 度 は−1.
5%
−10.0
と推計された。これは、9
9年度は民間企業設備投
−12.0
資が全国値をかなり下回ったものの、公的固定資
中国
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
本形成や民間住宅投資が高い伸びを示したこと、
2
0
0
0年度は民間企業設備投資はプラスに寄与した
ものの、公的固定資本形成や民間最終消費がマイ
図表84 有効求人倍率
ナスに寄与したこと、2
0
01年度は民間企業設備投
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
資はプラスに寄与したものの、民間住宅投資がマ
イナスへの寄与を拡大させたことが要因である。
2
0
0
2年度以降については、公的固定資本形成が
減少傾向にあること、IT関連需要低迷の影響が
想定されること、民間設備投資の大幅な回復を見
込むことができる要素がないことから、冒頭に記
すとおり、やや全国値を下回った推移が予想され
る。
(倍)
中国
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
3
4
9.
5
図表85 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
平成1
3年工業統計速報によると、当地域の2001
1.0
年 度 出 荷 額 は1
9兆5,
81
0億 円、う ち、山 陽 地 区
(%、前年度比)
0.0
(岡山、広島、山口)の出荷額が8
9%を占めてい
−1.0
る。山陽地区は、従来から当地域を牽引する輸送
−2.0
機械、化学、鉄鋼業の出荷額が高く、2
0
0
1年度も
−3.0
同様である。出荷額がトップの輸送機械は、主体
−4.0
となっているのはマツダ自動車と三菱自動車であ
−5.0
り、両社ともに業績は低迷している。特に、広島
−6.0
中国
全国
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
県に本社を持つマツダは、関連企業を含めて地域
経済に与える影響は大きい企業であるが、生産台
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
数も9
0年と20
01年を比べるとほぼ半減しており、
国内自動車販売台数に占める同社の割合も逓減し
図表86 住宅着工戸数
ている。山陰地区は、電子部品・デバイス電子計
算機等の増加から電気機械の構成比が4割と高く
30.0
なっている。
20.0
中国では、産学共同研究への取組が顕著で、96
(%、前年度比)
中国
全国
10.0
年度、当地域の産学共同研究数は1
26件であった
0.0
が、2
0
0
1年度は3
41件に増加している。特に山口
−10.0
大学は、99年に山口TLO(技術移転機関)を設
−20.0
立し、2
0
01年9月現在、企業へのライセンシング
−30.0
件数は全国5位であり、2
0
0
0年度の共同研究数は
全国国立大学中第8位という高さであるなど、中
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
国の産学共同研究を牽引している。
山陰の島根・鳥取両県にまたがる宍道湖・中海
の淡水化事業中止が決定された。同事業は、中海
図表87 設備投資額
に約2,
5
0
0haの干拓を行うとともに、宍道湖・中
5.0
海の残水域を淡水化して、干拓地及び周辺農地の
農業用水確保を目的として、6
3年に開始された。
(%、前年度比)
0.0
しかし、国の減反政策で当初の事業目的が失われ
−5.0
た上に、水質・生態系悪化を懸念する反対運動も
−10.0
起こるなどの状況から、8
8年に凍結されていた。
着工から現在までに約8
5
1億円が投入されたが、
中国
全国
−15.0
2
0
0
2年1
2月、中止が発表された。今後は、既に完
−20.0
成している水門や堤防等の淡水化に伴う施設の撤
去方法や、費用負担等が問題となる。
97
98
99
00
01
02
(年度)
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
3
5
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表88 産業別GDP構成比
1
0 四国
四国
全国
(%) 農林水産業
25
対民間非営利サービス
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度−1.
4%、2003年度
+0.
9%、20
0
4年度+0.
8%。全国平均を下回る水
準で推移。
鉱業
製造業
建設業
1
0.
1 概観
四国の特徴は、四方を海に囲まれている上に平
電力・ガス・
水道業
運輸・通信業
地面積が少ないため、工業用地の平均価格が高い
が高いことがあげられる。農林水産業、政府サー
卸売・小売業
不動産業
こと、他地域と比較して域内企業による立地割合
金融・保険業
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
ビス、建設業のウェイトが高い一方で、製造業、
図表89 産業別GDP成長率(四国)
卸売・小売業、サービス業が低い。なかでも公的
(前年度比、%)
部門への依存度は高い。
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
農林水産業
2
0
0
2年度以降は、公的固定資本形成の動向が注
鉱
目される。今後、公共事業の削減傾向が続くこと
から、GDPに対して押し下げ要因となる可能性
がある。また、製造業でウェイトが大きいパル
6.
2 −9.
7 −0.
5
1.
7−10.
8
3.
1−13.
8 −2.
4 −7.
2
1.
3 −8.
5 −2.
0 −4.
5
業 −0.
7
1.
6 −6.
7
2.
9 −3.
9
製
造
業
1.
7
2.
6 −0.
1
1.
3
建
設
業
2.
0
7.
0
2.
4 −1.
4
8.
8
3.
9 −0.
3 −1.
9
0.
1 −4.
5
2.
1 −5.
1 −1.
8 −7.
1
電気・ガス・水道業
6.
8
0.
4 −1.
4
5.
6 10.
0 −3.
0
プ・紙・紙加工品、電気機械の製造設備増強等が
卸売 ・ 小 売 業
9.
3
0.
1 −2.
3
2.
7
一段落するなどの影響を受け、民間企業設備投資
金融 ・ 保 険 業
2.
9 −7.
5 −5.
8 11.
4 −0.
4
9.
7
0.
0 −2.
1
4.
9
はいっそう低調に推移するものと思われる。
不 動 産 業
4.
3
4.
9
6.
8
1.
9
0.
0
5.
9
2.
7
1.
6
運輸 ・ 通 信 業
5.
4
1.
8
1.
0
3.
1
3.
6
6.
6 −0.
4 −2.
7 −2.
0
サービス業
7.
6
6.
7
6.
5
2.
6
3.
6
5.
3
1.
5
3.
3 −0.
2
政府 サ ー ビ ス
4.
9
4.
3
3.
6
2.
6
2.
0
3.
0
2.
6
1.
0
対家計民間非営利サービス
6.
1
7.
5
2.
3
6.
3
5.
3
5.
3
3.
1
6.
3 −1.
0
1
0.
2
経済・産業の特徴
当 地 域 のGDP産 業 別 構 成 比 は、製 造 業 が
2
1.
6%と最も高く、サービス業1
7.
4%、卸売・小
3.
3%ポイントと高く、農林水産業が+1.
6%と続
4.0
いている。
3.0
0.
2
(%、前年度比)
推計
予測
2.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、電気機械が
1.0
1
3.
1%、化 学1
1.
1%、パ ル プ・紙・紙 加 工 品
0.0
1
0.
8%、食料品1
0.
4%と続いている。全国値と比
−1.0
較すると、パルプ・紙・紙加工品が+8.
2%と大
−2.0
きく、石油・石炭製品+3.
5、化学+3.
1%ポイン
−3.0
−4.0
トと続いている。他方、輸送用機械、電気機械、
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
2.
9
図表90 実質GDP成長率
また、全国値と比較すると、政府サービスが+
構成比はかなり低くなっている。
1.
4 −1.
4 −4.
9
2.
6 −2.
4 −5.
5 −4.
5
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
売業1
2.
4%、政府サービス1
1.
7%と続いている。
一般機械、精密機械等の機械産業系や鉄鋼業等の
2.
7
四国
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
3
6
1
0.
3
経済の状況
図表91 地域経済総合指標
四国の地域経済総合指標を見ると、1
9
9
8年度以
(2000年=100)
140.0
降、ほぼ全国値を下回るポイントで推移して、
120.0
2
0
0
2年度底打ち後、上昇傾向にある。鉱工業生産
100.0
指数は、全国値の動きとほぼ連動しているが、
80.0
IT不況の際は、電気機械の当地域の出荷額構成
60.0
比は全国値を大幅に下回るため、全国値より落ち
40.0
込みは小さかった。2
002年度は上昇傾向にあるが、
20.0
全国値の動きを下回っている。有効求人倍率は、
四国
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
9
9年度以降0.
6倍近辺を横這っている。大型小売
(出所) 郵政研究所
店販売額は、2
0
01年度に底打ち後、2
00
2年度は全
国値を上回る上昇を示している。住宅着工戸数は、
2
0
0
1年度に底打ち後、2
0
02年度は全国値を上回る
図表92 鉱工業生産指数
上昇を示し、3年ぶりに対前年度比でプラスに転
じた。設備投資は、2
00
1年度に全国値より激しい
6.0
落ち込みを示し、2
00
2年度は上昇傾向にはあるが
4.0
(%、前年度比)
2.0
引き続き全国値を大きく下回っている。
0.0
−2.0
1
0.
4
−4.0
経済見通し
−6.0
四国の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は−
四国
全国
−8.0
1.
5%、20
0
0年 度 は+1.
0%、2
00
1年 度 は−3.
0%
−10.0
と推計された。これは、9
9年度は民間住宅投資及
−12.0
び民間最終消費はプラスに寄与したが、ウェイト
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
の大きい民間設備投資及び公的固定資本形成がマ
イナスに寄与したこと、2
0
0
0年度は、民間設備投
資はプラスに転じたが、民間住宅投資及び民間最
図表93 有効求人倍率
終消費がマイナスに転じたこと、2
00
1年度は、民
1.6
間設備投資や民間住宅投資がマイナスに寄与した
(倍)
1.4
ことが要因である。
四国
全国
1.2
2
0
0
2年度以降については、公的固定資本形成が
1.0
減少傾向にあること、ウェイトの大きいパルプ・
0.8
紙・紙加工品、電気機械といった業種でも設備投
0.6
0.4
資が減少となることから、冒頭に記すとおり、全
0.2
国値を下回る推移が予想される。
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
3
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
0.
5
図表94 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
99年、本州と四国を結ぶ本州四国三架橋が開通
2.0
した。しかし、開通後2
0
00年度には自動車輸送・
1.0
通行台数、瀬戸大橋線輸送人数は前年比マイナス
0.0
となり、2
0
0
1年度も引き続きマイナスとなった。
−1.0
(%、前年度比)
−2.0
政府の道路関係四公団民営化推進委員会の最終報
−3.0
告で本州四国連絡橋公団の処理策が示され、本四
−4.0
架橋の通行料金値下げと同公団の有利子負債処理
−5.0
の追加負担が、関係地公体に求められた。同架橋
−6.0
四国
全国
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
の開通後、同公団による計画交通量は下方修正を
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
続けており、関係地公体の負担は増加する見込み
である。利用が計画ほど延びない理由として、交
通量の推計自体に問題があるとも言われているが、
図表95 住宅着工戸数
通行料金の高さも要因の一つと言えよう。通行料
金を値下げした場合、関係地方自治体への負担が
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
−5.0
−10.0
−15.0
−20.0
−25.0
−30.0
更に増加する可能性がある。問題解決へのハード
ルは高い。また当地域では、架橋完成により域外
企業の誘致を図ったが、前述の通行料金の他に工
場用地価格の高さが阻害要因となり、効果が見ら
れない。当地域の工場用地価格は、近隣の中国や
九州と比較しても高い。経済産業省「工場立地動
向調査」によると、企業の立地地域選定理由は、
(%、前年度比)
1位「用地面積の確保が容易」、2位「地価」と
四国
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
なっており、こうした面からも競争力が弱い。
域外企業の誘致が厳しい状況がある一方、域内
企業を中心とした産業集積の取組が活発である。
図表96 設備投資額
伝統的な産業では、徳島市の木製家具、高松市の
10.0
漆器、丸亀市の団扇、今治市のタオル等、従来か
(%、前年度比)
5.0
ら企業の集積がなされている。域内でウェイトが
0.0
高い農業でも、高知県の柚子や徳島県のすだちな
−5.0
ど加工販売関連産業を含む集積が推進されている。
−10.0
新しい分野の産業としては、高知県室戸市の海洋
−15.0
−20.0
深層水関連産業があげられる。当地は、8
5年に深
層水に関する研究が日本で最初に行われた地域で
−30.0
あり、商業利用も含め、他地域に先行して集積形
成が図られている。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
四国
全国
−25.0
97
98
99
00
01
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
3
8
02
(年度)
図表97 産業別GDP構成比
1
1 九州
九州
全国
(%) 農林水産業
25
対民間非営利サービス
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度0.
0%、2
0
03年度+
1.
0%、20
04年度+0.
7%。全国平均とほぼ同水準
で推移。
鉱業
製造業
建設業
1
1.
1 概観
九州の特徴は、人口規模及び県内総生産が地方
電力・ガス・
水道業
運輸・通信業
圏として大きいこと、地理的にアジア諸国との経
産業、サービス業のウェイトが高い一方で、製造
卸売・小売業
不動産業
済関係が強いことである。政府サービス、農林水
金融・保険業
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
業、不動産業、金融・保険業が低い。また、公的
図表98 産業別GDP成長率(九州)
部門への依存度は高い。
(前年度比、%)
2
0
0
2年度以降は、公的固定資本形成の動向が注
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
目される。今後、公共事業の削減傾向が続くこと
農 林 水 産 業 −8.
3
1.
2 −9.
8
6.
1 −3.
7 −1.
5 −5.
7 −2.
4 −8.
8
から、GDPに対して押し下げ要因となる可能性
鉱
6.
9 −4.
8
がある。また、民間企業設備投資は、輸送機械は
製
好調であるが、IT関連需要の低迷などの影響か
建
らウェイトの大きい電気機械が抑制基調となる見
る。
経済・産業の特徴
当地域のGDP産業別構成比は、観光を中心と
し た サ ー ビ ス 業 が2
0.
7%と 最 も 高 く、製 造 業
1
7.
3%、卸売・小売業1
3.
9%、不動産業1
1.
4%、
1.
7
1.
9 −3.
8
造
業
6.
4
0.
9 −1.
3 −0.
3
設
業
−0.
3
6.
5
5.
2
電気・ガス・水道業
14.
3
0.
6
1.
6
卸売 ・ 小 売 業
込みであり、緩やかな成長に止まるものと思われ
1
1.
2
業
1.
5 −5.
7 −0.
4
3.
8 −4.
3
3.
4 −7.
8 −0.
9
4.
6
0.
0
0.
2
1.
0
6.
9 −1.
3 −2.
3
1.
5 −0.
8 −0.
4 −0.
5 −6.
1 −2.
9
3.
2−10.
2 18.
7 −3.
3
8.
0 −0.
4 −3.
0 −3.
4
不 動 産 業
7.
6
8.
5
8.
5
1.
1
1.
2
4.
5
3.
0
運輸 ・ 通 信 業
2.
0
1.
8
1.
6
1.
4
1.
7
5.
5
0.
1 −2.
0 −1.
8
サービス業
8.
3
6.
2
5.
5
3.
9
4.
4
6.
7
2.
5
4.
8
0.
3
政府 サ ー ビ ス
3.
9
3.
7
2.
7
3.
0
1.
0
2.
3
2.
0
0.
7
0.
5
対家計民間非営利サービス −1.
6
5.
9
1.
4
5.
9
4.
1
4.
9
3.
3
4.
8 −2.
4
2.
7
1.
8
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
図表99 実質GDP成長率
値と比較すると、政府サービスが+2.
0%ポイン
5.0
ト と 高 く、農 林 水 産 業+1.
4%、サ ー ビ ス 業+
(%、前年度比)
推計
4.0
1.
1%、卸売・小売業+0.
8%と続いている。
予測
3.0
製造業の出荷額の構成比を見ると、電気機械が
2.0
2
0.
5%、食料品1
2.
9%、輸送用機械1
0.
9%、一般
1.0
機械9.
0%と続いている。全国値と比較すると、
0.0
食料品が+4.
9%、飲料・たばこ・飼料+3.
7%、
−1.0
窯業・土石製品+2.
2%、電気機械+0.
7%ポイン
−2.0
−3.0
トと続いている。全国と比較した製造業のウェイ
額などは全国の生産拠点となっている。
2.
0
金融 ・ 保 険 業 −3.
7
政府サービス業1
0.
4%と続いている。また、全国
トは低いものの、個別では鋼船建造量やIC生産
7.
4 −0.
9 −0.
4
2.
6
2.
6−13.
0 −8.
0 −5.
2
九州
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
3
9
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
1.
3
図表100 地域経済総合指標
経済の状況
九州の地域経済総合指標を見ると、概ね全国値
(2000年=100)
140.0
を下回るポイントで推移しており、2
00
2年度底を
120.0
打った後、緩やかな上昇傾向にある。鉱工業生産
100.0
指数は、全国値の動きとほぼ一致しており、2001
80.0
年に底を打った後、全国値並みの上昇を示してい
60.0
る。有効求人倍率は、全国値を下回る推移を示し
40.0
ており、9
8年度以降0.
4∼0.
5倍を横這っている。
20.0
大型小売店販売額をみると、2
0
00年度に底を打っ
九州
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
た後、全国値を大きく上回る推移を示し、2
002年
(出所) 郵政研究所
度には9
6年度以来の対前年度プラスに転じた。住
宅着工戸数をみると、9
8年度以降上昇基調にあり、
2
0
0
1年度には下降したものの、2
0
0
2年度には全国
図表101 鉱工業生産指数
値を上回る上昇を示した。設備投資をみると、
6.0
IT不況の影響から20
0
1年度に全国値より激しい
(%、前年度比)
4.0
落ち込みを示し、2
00
2年度も上昇傾向にはあるが
2.0
引き続き全国値を大きく下回っている。
0.0
−2.0
1
1.
4
−4.0
経済見通し
−6.0
九州の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
−8.0
0.
4%、20
0
0年 度 は+0.
5%、2
00
1年 度 は−1.
3%
−10.0
−12.0
と推計された。これは、9
9年度は民間住宅投資は
プラスに寄与したが、民間最終消費がマイナスに
九州
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
寄与したこと、2
00
0年度は民間企業設備投資はプ
ラスに寄与したが、民間住宅投資がマイナスに転
じ、民間最終消費も横這いだったこと、2
001年度
図表102 有効求人倍率
は民間最終消費はやや成長率を高めたとみられる
1.6
が、民間企業設備投資、民間住宅投資がともにマ
(倍)
1.4
イナスに寄与したことが要因である。
九州
全国
1.2
2
0
0
2年度以降については、公的固定資本形成が
1.0
減少傾向にあること、ウェイトの大きい電気機械
0.8
の製造設備抑制から民間企業設備投資の大幅な回
0.6
0.4
復を見込むことが難しく、冒頭に記すとおり、全
0.2
国値と同水準の推移が予想される。
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
4
0
1
1.
5
図表103 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
製造業では、鉄鋼、化学、造船等の従来の重厚
1.0
長大型工業に加えて、加工組立型工業の集積が進
(%、前年度比)
0.0
んでいる。特にICや自動車は既に域内の基幹産
−1.0
業となっている。IC関係では、域内における半
−2.0
導体産業の競争力強化を図るため、九州経済産業
−3.0
局を中心に各種取組が行われており、九州シリコ
−4.0
ン・クラスター計画推進のため2
0
0
1年8月に地域
−5.0
の産学からなる「九州地域産学半導体イノベー
−6.0
九州
全国
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
ション研究会」を設置、2
00
2年3月に九州地域半
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
導体クラスターの発展戦略を策定し、同年5月に
は産学等連携の「九州半導体イノベーション協議
会」が設立され、半導体産業の発展戦略の具体化
図表104 住宅着工戸数
へ向けて動き出している。当地域は民間企業の設
15.0
10.0
5.0
0.0
−5.0
−10.0
−15.0
−20.0
−25.0
−30.0
−35.0
備投資も活発で、最近では、東芝が半導体事業の
競争力強化に向け、20
03年度以降4年間で総額
3,
5
0
0億円の設備投資を行い、当地域の大分工場
と東海の四日市工場にそれぞれ最新のLSIとメモ
リーの新棟を建設するという情報がある。
自動車関係では、トヨタ自動車、日産自動車の
自動車工場、本田技研工業の二輪車工場に加えて、
2
0
0
4年にはダイハツ車体の乗用車工場も操業予定
となっている。全国比では低いものの、当地域に
(%、前年度比)
九州
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
立地する自動車関連産業の約5割は域内企業が占
めているなど、自動車関連産業の集積が進んでお
り、九州経済に与える影響はますます大きくなる
図表105 設備投資額
ものと思われる。
10.0
また、九州では環境産業に対する取組が活発で
ある。以前は重厚長大型の工業都市であった北九
(%、前年度比)
九州
全国
5.0
州市、大牟田市、水俣市はそれぞれエコタウン
0.0
(全国で1
6地域)に指定され、環境産業の集積を
−5.0
進めるとともにエコタウン事業に取り組んでいる。
−10.0
エコタウン事業とは、すべての廃棄物を新たに他
の産業分野の原料として活用し、あらゆる廃棄物
−15.0
をゼロにするゼロ・ミッション構想の実現を目指
し、資源循環型経済社会の構築を図る事業である。
97
98
99
00
01
02
(年度)
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
4
1
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表106 産業別GDP構成比
1
2 沖縄
沖縄
全国
(%) 農林水産業
25
対民間非営利サービス
20
15
政府サービス
10
5
0
サービス業
実質経済成長率:20
0
2年度−1.
9%、2003年度
−0.
2%、20
0
4年度+1.
5%。全国平均を下回る水
準で推移。
鉱業
製造業
建設業
1
2.
1 概観
沖縄は、戦後、米国の占領下に置かれ、3
0年前
電力・ガス・
水道業
運輸・通信業
に我が国に復帰した歴史を持つ。復帰後から現在
卸売・小売業
不動産業
まで、本土との各面における格差是正のため、国
金融・保険業
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
主導による振興策が取り組まれてきた。また、我
が国唯一の亜熱帯海洋性気候という自然的特性も
図表107 産業別GDP成長率(沖縄)
ある。以上を背景に、政府サービス、サービス業、
(前年度比、%)
1
9
9
11
9
9
21
9
9
31
9
9
41
9
9
51
9
9
61
9
9
71
9
9
81
9
9
9
建設業のウェイトが高い一方で、製造業、金融・
保険業、不動産業が低い状況にある。公的部門へ
の依存度が高いといえる。
2
0
0
2年度以降は、公的固定資本形成の動向が注
農 林 水 産 業 −6.
0 −1.
8 −0.
6 −3.
1 −0.
4 −2.
4
2.
8 −5.
6
6.
2
鉱
6.
3 −3.
0
4.
8
業 −2.
9
3.
3 −3.
5 −9.
7 18.
1 10.
5
製
造
業
5.
9
0.
0
3.
1 −0.
7
0.
1
2.
8 −3.
4 −2.
1 −3.
4
建
設
3.
1−17.
1 −1.
3
業
3.
1
5.
1
4.
0 −1.
0
0.
5
目される。今後、公共事業の削減傾向が続くこと
電気・ガス・水道業
8.
1
3.
0
4.
7 10.
8
4.
1 −2.
7
から、GDPに対して押し下げ要因となる可能性
卸売 ・ 小 売 業
4.
6
4.
3
2.
2 −2.
8 −0.
3
がある。民間企業設備投資は、製造業、非製造業
金融 ・ 保 険 業
9.
7
4.
9
0.
3
5.
2 −3.
4 11.
7
2.
2 −0.
3
4.
7
ともに減少基調が見込まれる。民間需要は弱含み
不 動 産 業
4.
2
3.
1
3.
2
0.
8
5.
2
6.
5
運輸 ・ 通 信 業
6.
7 −3.
8
0.
7 −1.
0
3.
1 −0.
7 −1.
2
0.
1 −1.
1
サービス業
8.
1
3.
3
9.
6
4.
7
3.
8
5.
8
2.
5
4.
1
政府 サ ー ビ ス
3.
8
3.
3
3.
1
3.
7
1.
6
4.
6
1.
5
2.
2 −1.
1
対家計民間非営利サービス
9.
7
8.
6
3.
8
8.
3
6.
0
9.
0
7.
1
7.
3 −1.
5
ながらもプラス成長をするものと思われる。
1
2.
2
経済・産業の特徴
当地域のGDP産業別構成比は、観光を中心と
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
−1.0
−2.0
−3.0
−4.0
建設業1
1.
4%と続いている。また、全国値と比較
すると、政府サービスが+8.
3%ポイントと高く、
サービス業+4.
9%、建設業+3.
1%と続いている。
製造業の出荷額の構成比を見ると、石油・石炭
製品が3
1.
5%と突出しており、食料品2
2.
6%、飲
料・たばこ・飼料1
2.
8%、窯業・土石製品1
1.
0%
と続いている。全国値と比較すると、石油・石炭
製品が+2
8.
3%ポイントと高く、食料品+1
4.
7%、
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1.
4 −3.
2
3.
5
4.
1 −5.
4
3.
2
0.
6
図表108 実質GDP成長率
ス1
6.
7%、卸売・小売業1
2.
8%、不動産業1
1.
7%、
8.
1%と続いている。
4.
6
3.
5
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
したサービス業が2
4.
5%と最も高く、政府サービ
飲料・たばこ・飼料+9.
2%、窯業・土石製品+
0.
8
1.
6
5.
4
(%、前年度比)
推計
沖縄
全国
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(年度)
(出所) 内閣府「県民経済計算年報」
推計、予測は郵政研究所作成。
4
2
予測
1
2.
3
図表109 地域経済総合指標
経済の状況
沖縄の地域経済総合指標を見ると、全国値を下
回るポイントで推移している。20
0
1年度末から
120.0
2
0
0
2年度初めに上昇したが、その後下降気配であ
100.0
る。鉱工業生産指数は、全国値と比較してフラッ
80.0
トな動きを示している。これは、機械産業系の業
60.0
種のウェイトが低く、ウェイトの高い業種は石
40.0
油・石炭製品、食料品などIT景気の影響が少な
20.0
い産業のためで、2
00
2年度は9
2年度以来の前年度
沖縄
全国
0.0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
比プラスが見込まれる。有効求人倍率は、全国値
を 下 回 っ て お り、2
0
00年 度 以 降0.
3倍 近 辺 を 横
(2000年=100)
140.0
(出所) 郵政研究所
這っている。大型小売店販売額は、2
00
1年度に底
打ちの後、2
0
02年度は9
6年度以来の前年度比プラ
図表110 鉱工業生産指数
スが見込まれる。住宅着工戸数は、9
9年度以降前
年度比プラスで推移している。設備投資は、2002
6.0
年度は前年度の反動から全国値の推移とは逆に落
4.0
(%、前年度比)
2.0
ち込むであろう(沖縄金融公庫による設備投資動
0.0
向 調 査 に よ る と、2
0
0
1年 度 実 績 は 全 産 業 で−
−2.0
1
1.
3%、2
0
0
2年度は+1
2.
1%となっている。
)。
−4.0
−6.0
沖縄
全国
−8.0
1
2.
4
経済見通し
−10.0
−12.0
沖縄の最近の実質GDP成長率は、9
9年度は+
1.
2%、20
0
0年 度 は−2.
7%、2
00
1年 度 は+1.
9%
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」
と推計された。これは、9
9年度は民間家計部門の
需要が大きかったこと、2
0
0
0年度は民間最終消費
がマイナスに転じたことや民間企業設備投資が低
図表111 有効求人倍率
調に推移したこと、2
0
01年度は民間企業設備投資
1.6
及び民間住宅投資がプラスに寄与したことが要因
(倍)
1.4
である。
沖縄
全国
1.2
2
0
0
2年度以降については、民間企業設備投資及
1.0
び民間住宅投資の見通しが不透明であること、公
0.8
的固定資本形成が減少傾向にあること、民間需要
0.6
0.4
は弱いながらもプラス成長を確保していくと思わ
0.2
れることなどから、冒頭に記すとおり、全国値を
0.0
下回る推移が予想される。
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 厚生労働省「一般職業紹介状況」
4
3
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
2.
5
図表112 大型小売店販売額(店舗数調整済)
地域トピック
沖縄は9
8年に情報通信産業を2
1世紀に向けた中
3.0
核産業と位置づけ、同産業の集積・振興を図る
2.0
「沖縄県マルチメディアアイランド構想」を策定
1.0
した。構想中で域外企業誘致の誘因となっている
0.0
(%、前年度比)
沖縄
全国
−1.0
「通信コスト低減化支援事業」により、コールセ
−2.0
ンター等情報通信業の立地が著しい。9
8年度以前
−3.0
は企業 数9社 雇 用 者 数35
8人 で あ っ た も の が、
−4.0
2
0
0
2年7月末現在、企業数63社雇用者数4,
337人
−5.0
94
95
96
97
98
99
00
01 02
(年度)
となっている。当地にコールセンターを設立する
(出所) 経済産業省「商業販売統計」
メリットとしては、
「失業率が高く、若い優秀な
人材が確保できる」
「通信費補助・若年層の雇用
図表113 住宅着工戸数
コスト負担等の支援策がある」
「人件費が安い」
30.0
があげられる。
沖縄は、前述のような情報関連の他、地場資源
20.0
を活かした健康食品関連、特別自由貿易制度を活
10.0
用した加工交易関連、自然保護のための環境関連
0.0
の産業立地・集積が進みつつある。これらの分野
(%、前年度比)
−10.0
からさらに成長が期待できるところの研究開発、
沖縄
全国
−20.0
新商品開発、市場開拓へ積極的に取り組んでいる
−30.0
ベンチャー的要素の強い企業等をOKINAWA型
クラスターと位置づけ、支援を図るOKINAWA
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年度)
(出所) 国土交通省「建築着工統計」
型産業振興プロジェクトが2
0
01年度から実施され
図表114 設備投資額
ており、2
0
0
3年度を目処に新規事業立ち上げ、ク
ラスター企業の成長を図っている。
40.0
広大な米軍施設・区域の存在も、沖縄の特性と
(%、前年度比)
30.0
いえる。県経済への影響も大きく、基地で働く日
沖縄
全国
20.0
本人従業員の給与、土地を提供する地主の軍用地
10.0
料、軍人・軍属・その家族の消費活動など軍関係
0.0
受取合計が県民総支出に占める割合は5%近辺で
−10.0
推移している。広大な基地が地域に与える影響も
−20.0
大きく、交通網の整備や事故・事件、環境問題で
−30.0
97
98
99
00
01
県民生活への大きな不安要因となっている。今後、
2
0
0
7年度頃までに県内施設面積の2
1%削減が計画
(出所) 日本政策投資銀行「設備投資計画調査」
されており、返還された施設用地の有効活用は今
後の経済振興に大きい影響を与えると思われる。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
4
4
02
(年度)
4
5
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
移出
移入
統計上の不突合
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
移出入(純)
・統計上の不突合
県内総支出
年度
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
2
9
0,
1
3
8.
7
8
7,
4
9
7.
0
2
0,
2
3
2.
0
8
9,
3
0
0.
0
3
7,
4
5
5.
9
−1,
7
9
0.
1
1
2
8.
0
1
2,
7
2
8.
8
2
9
2,
6
8
8.
8
8
9,
3
8
3.
7
1
8,
9
4
3.
2
8
5,
1
9
3.
7
3
4,
0
3
7.
1
−5,
4
9
5.
0
−2.
0
1
0,
3
3
7.
9
2
9
5,
6
1
5.
7
9
1,
1
7
1.
4
1
8,
5
6
4.
3
8
1,
3
6
0.
0
3
3,
0
1
6.
0
−3,
5
0
0.
0
1
0
0.
0
1
3,
1
2
5.
8
2
9
7,
9
8
0.
6
9
2,
9
9
4.
8
1
8,
5
6
4.
3
8
3,
4
3
4.
7
2
9,
5
4
9.
3
0.
0
1
0
0.
0
1
3,
4
5
3.
9
3
0
0,
3
6
4.
5
9
4,
8
5
4.
7
1
8,
7
5
0.
0
8
1,
7
6
6.
0
2
8,
6
6
2.
8
3
0
0.
0
0.
0
1
4,
5
5
9.
4
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
0.
5%
9
9
2
6
9,
0
1
3.
82
8
8,
3
2
4.
82
8
3,
8
7
3.
92
8
6,
2
9
8.
32
9
0,
4
9
6.
62
9
2,
4
7
7.
5
2
4
9,
0
2
7.
62
6
5,
7
1
0.
42
6
1,
4
7
1.
82
6
3,
7
8
0.
62
6
7,
7
7
8.
72
6
9,
6
6
5.
1
3
0,
0
9
3.
5 2
7,
7
4
0.
7 2
7,
0
7
5.
1 2
8,
8
8
0.
3 2
8,
8
9
1.
1 2
9,
7
7
9.
6
−0.
3%
−1.
2%
−5.
7%
−1.
8%
2
0
0
1
7.
2%
6.
7%
−7.
8%
−1.
5%
−1.
6%
−2.
4%
−0.
1%
1.
2%
2.
5%
1.
8%
−1.
5% −6.
4%
9.
3% −2.
4%
−7.
4% −8.
4%
***
***
*** −7
8.
1%
0.
5% −1.
7%
1.
3%
2
0
0
3
6.
6%
1.
9%
1.
0%
2.
0%
−2.
0%
−4.
5%
−3.
0%
***
***
2
7.
5%
0.
8%
2
0
0
2
0.
6%
2
0
0
4
3.
0%
1.
5%
0.
6%
2
0
0
4
0.
7%
02―04平均
単位:前年度比%
2.
5%
2.
5%
0.
8%
0.
8%
2.
0%
2.
0%
0.
0%
1.
0%
2.
6%
−2.
0%
−1
0.
5%
−3.
0%
***
***
0.
0% −1
0
0.
0%
2.
5%
8.
2%
1.
3%
2
0
0
3
単位:前年度比%
0.
9%
0.
9%
6.
7%
1.
5%
1.
5%
0.
0%
0.
7%
0.
7%
3.
1%
1.
0%
1.
0%
3.
3%
1.
0%
0.
8%
0.
8%
0.
9%
2.
0%
2.
0%
2.
0%
2.
0%
−2.
0%
0.
0%
1.
0% −0.
3%
−4.
5%
2.
6% −2.
0% −1.
3%
−3.
0% −1
0.
5% −3.
0% −5.
5%
729.
7% 15,
729.
7%
***
*** 15,
2
7
9.
3%
0.
0% −7
2.
2%
6
9.
0%
3.
9%
0.
4%
1.
9%
2.
1%
0.
3%
2
0
0
2
−8.
0%
−4.
7%
−1.
3%
2
0
0
1
9.
4%
9.
6%
−0.
1%
1.
3%
4.
4%
2.
6%
−1.
5%
−8.
0%
9.
3%
−4.
7%
−7.
4%
−6.
7%
***
***
6
7.
9% −1
0
1.
6%
8.
7% −2
0.
1%
1.
7%
2
0
0
0
1.
0%
2
0
0
0
5.
4%
6.
2%
2.
1%
5.
1%
5.
2%
−0.
3%
−0.
7%
***
***
2.
7%
1.
9%
9
9
2
5
3,
5
6
4.
22
5
3,
3
4
8.
12
5
6,
4
4
7.
82
5
9,
0
1
2.
32
6
1,
0
8
4.
42
6
3,
1
7
3.
0
1.
4%
4
4,
6
7
0.
3 4
5,
7
7
8.
3 4
6,
5
8
3.
8 4
7,
5
1
5.
5 4
8,
4
6
5.
8 4
9,
4
3
5.
1
2.
0%
1
8,
9
8
9.
5 1
8,
7
0
5.
8 1
7,
5
0
7.
2 1
7,
1
5
7.
1 1
7,
1
5
7.
1 1
7,
3
2
8.
6
4.
3%
7
0,
7
3
5.
7 7
7,
3
1
0.
5 7
5,
4
4
8.
0 7
2,
0
5
2.
9 7
3,
8
9
0.
2 7
2,
4
1
2.
4 −2.
5%
3
7,
1
3
3.
3 3
4,
3
8
5.
4 3
1,
4
8
1.
8 3
0,
5
3
7.
3 2
7,
3
3
0.
9 2
6,
5
1
1.
0 −0.
8%
−1,
2
6
4.
0 −1,
4
3
8.
4 −4,
7
1
4.
8 −4,
0
8
0.
1
6.
1
9
7
1.
8 −9
0
6.
0%
−3
4.
2
1
2
1.
4
2
6.
6
1
0
1.
0
1
0
1.
0
2
8.
1
***
5
0,
0
7
9.
7 5
0,
3
5
5.
0 4
9,
4
7
7.
2 5
1,
3
9
8.
0 5
1,
6
0
9.
0 5
2,
5
9
2.
0
0.
8%
4
7
3,
8
7
4.
54
7
8,
5
6
6.
24
7
2,
2
5
7.
74
7
3,
6
9
3.
94
7
9,
6
4
4.
54
8
2,
4
5
2.
1
9
9
単位:9
0暦年価格1
0億円
5
4,
6
7
3.
9 5
9,
8
2
4.
8 5
5,
1
3
7.
7 5
8,
7
7
6.
8 6
0,
2
4
6.
2 6
2,
0
5
3.
6
4
2,
9
6
7.
8 4
7,
0
9
6.
0 4
4,
7
9
9.
8 4
5,
6
5
1.
0 4
6,
7
9
2.
3 4
7,
4
9
4.
2
■全県計(単純合計、6
8SNA)
財貨・サービスの輸出
財貨・サービスの輸入
2
0
0
0
単位:9
5暦年価格1
0億円
5
2
6,
9
5
0.
55
3
5,
6
9
0.
35
2
5,
0
8
7.
45
2
9,
4
5
3.
25
3
6,
0
7
7.
75
3
9,
2
5
7.
4
9
9
民間最終消費
2
9
0,
3
8
6.
2
政府最終消費
8
3,
8
3
5.
1
民間住宅投資
2
0,
5
3
8.
8
民間企業設備投資
8
1,
7
0
5.
6
公的固定資本形成
4
0,
4
4
9.
2
民間在庫品増加
−1,
7
4
6.
8
公的在庫品増加
7
6.
2
財貨・サービスの純輸出 1
1,
7
0
6.
2
国内総支出
年度
■全国(国民経済計算、9
3SNA)
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
4
6
年度
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
1
2,
5
7
5.
6 1
2,
3
5
7.
3 1
2,
5
1
4.
2 1
2,
5
5
6.
9 1
2,
6
4
4.
7 1
2,
7
3
5.
6
2,
6
5
6.
4 2,
6
7
2.
9 2,
7
0
3.
6 2,
7
3
2.
4 2,
7
8
4.
4 2,
8
3
6.
8
7
0
9.
9
7
2
7.
4
6
2
8.
4
6
4
1.
3
6
3
5.
6
6
4
4.
9
2,
0
6
4.
6 2,
0
5
9.
2 1,
9
9
6.
2 1,
7
3
0.
7 1,
7
6
5.
7 1,
7
2
7.
1
1
8,
3
1
5.
2 1
8,
0
6
4.
5 1
7,
9
5
8.
0 1
8,
1
0
5.
4 1
7,
9
9
9.
7 1
8,
0
4
8.
3
9
9
単位:9
0暦年価格1
0億円
2.
8%
0.
9%
4.
3%
−4.
7%
0.
7%
9
9
5,
9
9
5.
6 6,
3
4
3.
6 6,
1
6
3.
4 6,
2
4
0.
4 6,
3
4
4.
3 6,
4
3
5.
6
9,
0
0
2.
2 9,
4
3
1.
3 9,
4
7
7.
8 9,
3
1
7.
8 9,
4
6
7.
4 9,
6
6
0.
9
4
0
8.
8
6
1
0.
9
8
7
7.
0
8
7
2.
0
8
7
6.
6
9
2
5.
2
年度
注:特になし
移出
移入
統計上の不突合
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
単位:9
0暦年価格1
0億円
1
7,
7
5
2.
3
4,
1
2
5.
2
1,
1
7
7.
7
4,
8
9
9.
4
3,
1
7
0.
0
−3
8
4.
9
−2
8.
9
2,
0
3
3.
5
1
7,
9
1
4.
5
4,
2
1
0.
1
1,
1
5
1.
7
4,
5
5
0.
9
3,
1
2
1.
1
−2
3
3.
1
6.
8
2,
0
3
5.
6
1
8,
0
4
6.
6
4,
2
9
5.
9
1,
1
4
8.
4
4,
7
0
7.
0
2,
7
9
6.
7
2
5.
8
2.
4
1,
6
0
1.
7
1
8,
1
8
3.
1
4,
3
8
2.
5
1,
1
6
1.
5
4,
6
1
3.
9
2,
7
1
6.
1
7
4.
2
0.
6
2,
0
3
0.
7
2
0,
6
2
2.
2 2
2,
7
0
2.
8 2
2,
0
5
3.
4 2
2,
2
6
6.
6 2
2,
3
2
7.
7 2
2,
8
9
0.
3
1
9,
2
9
2.
9 2
0,
8
3
6.
7 2
0,
1
2
8.
8 2
0,
3
6
5.
1 2
0,
8
5
8.
6 2
0,
9
9
4.
7
−3
0
2.
6
6
4.
6
1
0
8.
9
1
3
4.
1
1
3
2.
5
1
3
5.
2
1
7,
5
2
1.
9
3,
9
7
6.
4
1,
2
6
7.
2
5,
5
7
1.
9
3,
4
8
8.
4
−1
1
8.
6
−2
6.
6
1,
9
3
0.
6
3
2,
7
0
7.
2 3
3,
6
1
1.
1 3
2,
7
4
4.
3 3
2,
7
5
7.
7 3
2,
6
2
4.
5 3
3,
1
6
2.
6
9
9
民間最終消費
1
7,
5
8
5.
0
政府最終消費
3,
8
4
6.
9
民間住宅投資
1,
3
5
8.
7
民間企業設備投資
5,
1
3
4.
9
公的固定資本形成
3,
8
3
3.
3
民間在庫品増加
−9
4.
7
公的在庫品増加
1
6.
4
移出入(純)
・統計上の不突合 1,
0
2
6.
7
県内総支出
■東北
注:2000、2001年度の需要項目(移出・移入を除く)は、北海道庁による早期推計値。
移出
移入
統計上の不突合
−0.
6%
2
0
0
1
0.
8%
−1.
2%
***
0.
8%
2
0
0
2
2.
8%
2
0
0
0
5.
8%
4.
8%
4
9.
4%
−2.
6%
2
0
0
1
−2.
8%
0.
5%
4
3.
6%
−6.
2% −4.
6%
1
3
1.
6% −3
5
5.
0%
***
***
***
***
1
0.
1%
8.
0%
***
−2.
9%
−3.
4%
6
8.
7%
0.
7%
1.
9%
1.
5%
−2.
2%
0.
3%
2
0
0
4
0.
6%
1.
6%
0.
9%
−4.
5%
0.
2%
02―04平均
−0.
4%
2
0
0
3
1.
7%
1.
6%
0.
5%
1.
5%
0.
7%
1.
8%
1.
6%
2
0
0
4
0.
4%
02―04平均
単位:前年度比%
1.
4%
2.
0%
5.
5%
−9.
9% −2.
4% −4.
4%
4
4.
4%
7
5.
2%
5
9.
8%
0.
3% −7
2.
3% −3
6.
0%
***
***
***
0.
7%
1.
9%
−0.
9%
2.
0%
−0.
6%
2
0
0
3
単位:前年度比%
1.
0%
1.
2%
2
3.
1%
0.
3%
2.
4%
−1.
2%
2.
5%
0.
7%
2.
0%
1.
3%
1.
4%
8.
0%
0.
9%
0.
7%
0.
8%
0.
8%
2.
1%
2.
0%
2.
0%
2.
0%
−2.
2% −0.
3%
1.
1% −0.
4%
−7.
1%
3.
4% −2.
0% −1.
9%
−1.
5% −1
0.
4% −2.
9% −4.
9%
***
*** 1
8
7.
4% 1
8
7.
4%
*** −6
4.
2% −7
4.
3% −6
9.
2%
0.
1% −2
1.
3%
2
6.
8%
1.
9%
0.
0%
2
0
0
2
1.
2%
−1.
7%
−0.
6%
−0.
8%
***
***
***
−1.
7%
1.
3%
0.
3%
0.
6%
1.
1%
1.
1%
2.
5% −1
3.
6%
2.
1%
−0.
3% −3.
1% −1
3.
3%
−1.
4%
2
0
0
0
0.
8% −0.
4%
1.
3%
1.
9%
3.
4%
3.
7%
6.
9% −6.
7% −7.
1%
1.
0%
8.
5% −1
2.
1%
−2.
6% −9.
0% −9.
1%
***
***
***
*** −2
6
2.
2%
***
1
5.
0%
8
8.
0%
5.
3%
1.
3%
9
9
1.
0%
1.
1%
−2.
3%
公的固定資本形成
2,
9
1
0.
4 2,
7
2
8.
8 2,
6
0
3.
8 2,
5
8
2.
3 2,
3
2
6.
2 2,
2
7
1.
4 −0.
9%
民間在庫品増加
1.
8
4.
2
−1
0.
7
5
0.
7
7
3.
1
1
2
8.
2 −9
7.
6%
公的在庫品増加
−5.
8
−8.
6
−4
0.
1
1
6.
3
1
6.
4
4.
5 −1
2
7.
7%
移出入(純)
・統計上の不突合 −2,
5
9
7.
8 −2,
4
7
6.
8 −2,
4
3
7.
4 −2,
2
0
5.
3 −2,
2
4
6.
5 −2,
3
0
0.
1
***
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
県内総支出
■北海道
4
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
6
1,
6
0
8.
8
9,
2
8
0.
9
4,
4
1
2.
8
1
4,
0
7
3.
0
1.
2%
0.
8%
5.
2%
−0.
2%
8
1,
2
2
5.
0 8
9,
4
2
8.
5 8
8,
1
9
6.
2 8
8,
9
5
8.
4 9
0,
2
4
5.
9 9
0,
6
4
2.
5 −1.
5%
7
9,
9
0
4.
4 8
6,
6
7
8.
2 8
6,
1
5
8.
1 8
7,
1
8
8.
7 8
8,
5
1
2.
4 8
9,
1
2
3.
0 −3.
0%
−5
5
9.
1 −1,
6
1
7.
3 −2,
0
7
1.
4 −2,
0
6
1.
4 −1,
4
1
6.
7 −9
4
9.
9 −3
5
9.
3%
6
1,
0
2
9.
8
9,
0
9
3.
9
4,
3
7
6.
9
1
4,
2
4
4.
2
年度
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
2
9,
7
9
2.
3
7,
0
2
5.
7
2,
3
7
6.
4
1
2,
3
9
4.
9
2,
7
8
8.
7
1
1
4.
0
−2
3
8.
4
2
6,
7
4
7.
6
3
0,
1
8
5.
2
7,
1
6
7.
0
2,
5
2
5.
6
1
2,
8
3
0.
5
2,
5
8
8.
7
−3
6
2.
8
1
2
5.
1
2
7,
7
4
7.
6
3
0,
4
9
2.
9
7,
3
1
6.
2
2,
5
0
6.
2
1
3,
1
9
5.
6
2,
3
1
5.
7
−1
8
2.
8
1
1
0.
2
2
7,
2
6
3.
3
3
0,
7
5
8.
2
7,
4
6
6.
9
2,
5
4
1.
0
1
2,
9
1
1.
4
2,
2
4
5.
0
−1
3
1.
4
2
9.
3
2
7,
4
4
5.
3
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
0.
0
2
7,
6
7
2.
6 2
7,
1
1
6.
6 2
6,
7
4
7.
6 2
7,
7
4
7.
6 2
7,
2
6
3.
3 2
7,
4
4
5.
3
2
9,
4
9
7.
9
7,
0
4
4.
4
2,
4
1
4.
1
1
2,
5
1
4.
7
2,
7
1
5.
4
7
0.
9
−1
4
8.
3
2
7,
1
1
6.
6
注:東京の移出・移入額は0。2000、2001年度は(民間最終消費を除き)東京都庁による早期推計値。
移出
移入
統計上の不突合
2
0
0
0
単位:9
0暦年価格1
0億円
8
0,
6
2
6.
8 8
1,
2
2
5.
7 8
1,
0
0
1.
2 8
2,
8
0
6.
8 8
3,
0
1
7.
3 8
3,
2
6
5.
7
9
9
民間最終消費
2
9,
0
8
3.
9
政府最終消費
6,
9
8
9.
9
民間住宅投資
2,
3
0
4.
7
民間企業設備投資
1
2,
0
4
0.
4
公的固定資本形成
2,
6
4
7.
9
民間在庫品増加
−1
3
3.
9
公的在庫品増加
2
1.
3
移出入(純)
・統計上の不突合 2
7,
6
7
2.
6
県内総支出
■東京
0.
7%
2
0
0
0
1
0.
1%
8.
5%
***
−0.
7%
3.
0%
−0.
1%
1
4.
5%
***
***
−3.
5%
***
***
−2.
0%
1.
5%
1.
4%
3.
7%
0.
8%
−0.
4%
4.
7%
0.
3%
3.
9%
3.
8%
2.
5%
***
***
*** −7
9
6.
6%
−3.
5% −2.
0%
0.
0%
9
9
注:茨城の98年度民間在庫品増加と公的在庫品増加の値は不明なので、在庫品増加計をウェイトで割り振った。
移出
移入
統計上の不突合
6
0,
4
6
8.
0
8,
9
0
8.
6
4,
3
6
1.
3
1
3,
8
7
9.
8
1.
6%
2
0
0
0
−1.
3%
2
0
0
2
0.
9%
2.
1%
0.
8%
−1.
2%
1.
1%
2
0
0
4
1.
0%
2.
1%
−0.
4%
−3.
3%
0.
9%
02―04平均
2.
2%
2
0
0
2
0.
9%
1.
2%
***
0.
3%
2
0
0
3
1.
4%
1.
5%
***
0.
9%
1.
1%
***
0.
3%
2
0
0
4
0.
9%
02―04平均
単位:前年度比%
0.
4%
0.
7%
***
***
***
−1.
4%
***
***
3.
7%
***
***
−1.
7%
***
***
0.
7%
***
***
0.
9%
1.
0%
1.
3%
1.
0%
0.
9%
1.
1%
−0.
3%
2.
0%
2.
1%
2.
1%
2.
1%
−1.
6%
6.
3% −0.
8%
1.
4%
2.
3%
−1.
0%
3.
5%
2.
8% −2.
2%
1.
4%
2.
7% −7.
2% −1
0.
5% −3.
1% −6.
9%
6
0.
7% −4
1
8.
4%
***
*** −4
1
8.
4%
***
*** −1
1.
9% −7
3.
4% −4
2.
7%
−1.
4%
3.
7% −1.
7%
0.
7%
0.
9%
−0.
3%
2
0
0
1
−1.
4%
−0.
6%
***
0.
9%
2.
1%
0.
4%
2.
6%
2.
7%
2
0
0
3
単位:前年度比%
−3.
5% −1
1.
2% −3.
7% −6.
1%
***
*** 1
1
6.
7% 1
1
6.
7%
*** −4
0.
5% −7
6.
7% −5
8.
6%
***
***
7
9.
8%
7
9.
8%
1.
6%
1.
2%
3.
8%
2.
1%
−4.
8% −2.
5%
−3.
6% −1
1.
3%
−2.
2%
2
0
0
1
6,
0
5
6.
8 5,
3
7
5.
3 4,
7
6
8.
9 4,
6
0
3.
0 4,
0
8
9.
6 3,
9
3
7.
6 −2.
5% −1
1.
3% −1
1.
3%
−4
1
3.
2 −4
5
9.
8 −1,
1
9
5.
7 −9
8
0.
3
2
7
0.
3
5
8
5.
8 −2
8
0.
2%
***
***
5.
2
−4
5.
9
−4
2.
3
3.
7
2.
2
0.
5 −6
7.
0% −9
8
4.
6%
***
7
6
1.
6 1,
1
3
3.
0
−3
3.
3 −2
9
1.
8
3
1
6.
8
5
6
9.
6 1
0
6.
0%
4
8.
8% −1
0
2.
9%
5
9,
7
7
8.
0
8,
7
2
5.
4
4,
4
7
2.
3
1
5,
6
4
4.
1
0.
6%
9
9
公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
移出入(純)
・統計上の不突合
5
8,
8
3
1.
0
8,
4
0
6.
4
4,
6
9
9.
9
1
6,
2
2
8.
2
9
2,
6
9
7.
8 9
4,
1
6
8.
1 9
2,
1
1
7.
4 9
0,
9
5
2.
5 9
3,
4
2
3.
7 9
4,
4
6
9.
0
9
9
5
9,
2
4
2.
2
8,
1
6
4.
7
4,
7
0
5.
5
1
4,
1
7
5.
0
年度
単位:9
0暦年価格1
0億円
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
県内総支出
■関東
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
4
8
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
年度
注:特になし
移出
移入
統計上の不突合
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
移出入(純)
・統計上の不突合
県内総支出
■北陸
注:特になし
移出
移入
統計上の不突合
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
5,
9
7
2.
2
1,
1
3
6.
3
4
9
8.
0
1,
8
9
9.
1
1,
2
2
0.
4
−3
9.
7
1
8.
1
1,
4
2
6.
7
6,
0
4
9.
6
1,
1
7
9.
4
4
4
0.
4
1,
9
2
4.
5
1,
0
8
8.
2
−1
4
9.
7
1
3.
3
1,
5
0
5.
5
6,
1
0
3.
9
1,
2
0
4.
2
4
3
6.
2
1,
8
3
6.
4
1,
0
4
8.
6
−8
7.
9
−1.
2
1,
5
5
1.
1
6,
1
4
8.
1
1,
2
2
9.
3
4
3
3.
6
1,
8
7
1.
4
9
4
6.
0
1
8.
7
−0.
7
1,
6
2
2.
8
0.
4%
9
9
−8.
8%
***
***
1
1.
9%
−0.
4%
−0.
3%
***
−0.
7%
2
0
0
1
6.
7%
7.
4%
***
−1.
2%
−1.
8%
1
0
4.
7%
0.
7%
1.
9%
0.
4%
2.
5%
0.
6%
2
0
0
3
0.
8%
1.
8%
0.
8%
−1.
5%
1.
3%
2
0
0
4
0.
8%
1.
9%
−0.
2%
−3.
6%
0.
8%
02―04平均
単位:前年度比%
0.
3%
2
0
0
2
0.
8%
0.
8%
8
3.
5%
0.
7%
1.
4%
0.
3%
0.
5%
1
2.
0% −2
2.
3%
0.
7%
2.
1%
−0.
6%
1.
9%
−9.
8%
***
***
4.
6%
1.
5%
2
0
0
3
1.
5%
1.
5%
−3.
9%
1.
3%
1.
1%
3
0.
1%
0.
8%
02―04平均
0.
3%
0.
0%
2
8.
4%
0.
8%
0.
3%
6.
0%
0.
7%
0.
8%
2.
1%
2.
1%
1.
3% −0.
1%
−2.
5% −1.
7%
−2.
2% −5.
2%
1
3
0.
8% 1
3
0.
8%
*** −1
0
8.
7%
3.
3%
3.
6%
0.
7%
2
0
0
4
単位:前年度比%
1.
5%
0.
9%
1
0.
6%
−4.
2% −1
0.
4% −2.
9% −5.
8%
***
*** 1
6
0.
6% 1
6
0.
6%
*** −5
6.
8% −7
4.
8% −6
5.
8%
2
4.
1% −1.
0%
1
1.
3%
1
1.
5%
0.
0%
1.
3%
0.
9%
3.
0%
3.
8%
2.
1%
−3.
8% −1
1.
6% −1.
0%
6.
7%
1.
3% −4.
6%
−8.
2% −1
0.
8% −3.
6%
***
***
***
*** −2
6.
6% −1
0
8.
7%
1
9.
3%
5.
5%
3.
0%
2.
3%
2
0
0
0
0.
5%
2
0
0
2
1.
3%
0.
9%
3.
5%
1.
9%
−6.
4% −1.
8%
−9.
5% −1
1.
8%
−1.
9%
2
0
0
1
0.
3%
7.
3%
0.
7%
1.
2%
3.
9% −1.
8%
1
7.
6% −5
3.
5% −3
8.
3%
6,
1
9
3.
9
1.
0%
1,
2
5
4.
6
3.
4%
4
3
9.
3
6.
9%
1,
8
2
5.
2 −0.
2%
9
2
4.
8
1.
7%
4
3.
1 −6
6
6.
5%
−0.
2
***
1,
6
7
6.
1 −4.
0%
8,
6
5
3.
1 9,
2
3
0.
1 9,
1
2
3.
6 9,
1
8
5.
8 9,
3
1
4.
7 9,
3
4
6.
4
7,
3
0
6.
4 7,
8
4
4.
2 7,
7
0
1.
7 7,
7
2
8.
4 7,
7
6
4.
6 7,
7
6
3.
6
−1
5
0.
6
4
0.
9
8
3.
6
9
3.
6
7
2.
7
9
3.
3
5,
9
7
2.
9
1,
1
0
3.
3
5
1
7.
6
1,
7
7
9.
6
1,
3
2
9.
4
−4
1.
1
−1.
4
1,
1
9
6.
1
1
1,
8
5
6.
6 1
2,
1
3
1.
1 1
2,
0
5
1.
3 1
2,
0
9
1.
4 1
2,
2
6
9.
2 1
2,
3
5
6.
9
9
9
単位:9
0暦年価格1
0億円
1
3,
4
8
0.
1 1
4,
4
6
0.
5 1
4,
5
5
9.
4 1
4,
6
6
9.
1 1
4,
8
9
3.
6 1
5,
1
1
8.
8
1
3,
4
1
9.
5 1
3,
9
4
6.
2 1
3,
6
9
1.
7 1
3,
8
0
5.
6 1
4,
0
1
9.
5 1
4,
1
4
1.
3
1,
2
5
1.
2
5
8
1.
6
3
5
9.
1
6
5
9.
1
6
3
3.
3
7
0
0.
5
0.
9%
3.
4%
−3.
3%
1
7.
2%
1.
3%
2
0
0
0
2,
0
1
8.
9 1,
8
9
7.
5 1,
7
2
9.
9 1,
6
5
7.
2 1,
4
8
5.
3 1,
4
4
2.
7
1.
1% −6.
0%
−7
7.
1
−5
3.
5 −1
8
2.
0 −1
0
9.
1
1
5.
6
4
0.
7 −7
3
8.
0%
***
6.
0
−1
6.
0
−2
0.
2
2.
9
1.
2
0.
3
*** −3
6
7.
0%
1,
3
1
1.
8 1,
0
9
6.
0 1,
2
2
6.
8 1,
5
2
2.
5 1,
5
0
7.
3 1,
6
7
8.
0
5.
7% −1
6.
5%
2.
6%
1.
2%
1
2.
9%
−6.
6%
1.
0%
9
9
公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
移出入(純)
・統計上の不突合
1
7,
0
3
8.
7 1
7,
2
6
4.
0 1
6,
9
3
0.
1 1
7,
0
1
9.
4 1
7,
1
2
1.
1 1
7,
3
4
4.
0
9
9
8,
7
6
4.
2 8,
8
3
9.
3 8,
9
5
6.
9 9,
0
4
0.
0 9,
1
0
7.
5 9,
1
7
7.
4
1,
6
0
6.
7 1,
6
6
1.
5 1,
7
1
9.
9 1,
7
5
2.
1 1,
7
8
4.
5 1,
8
1
7.
2
7
6
0.
5
7
3
5.
2
6
8
8.
4
6
7
6.
1
6
7
8.
6
6
8
4.
1
2,
6
4
7.
8 3,
1
0
4.
1 2,
8
1
0.
4 2,
4
7
7.
9 2,
5
4
0.
9 2,
5
0
3.
5
年度
単位:9
0暦年価格1
0億円
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
県内総支出
■信越
4
9
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
年度
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
2
8,
2
7
7.
7
4,
4
4
7.
9
2,
4
2
8.
3
9,
2
8
0.
1
2
8,
5
0
2.
7
4,
5
1
8.
1
2,
4
2
8.
6
9,
5
5
5.
2
2
8,
6
3
6.
9
4,
2
9
0.
5
2,
2
5
7.
5
1
0,
5
1
7.
4
2
8,
9
1
0.
9
4,
3
8
9.
7
2,
1
3
3.
3
1
0,
4
3
4.
8
2
9,
1
3
4.
0
4,
4
9
0.
2
2,
1
4
8.
6
1
0,
7
3
2.
0
2
9,
3
6
4.
5
4,
5
9
1.
9
2,
1
6
2.
3
1
0,
4
2
8.
7
5
9,
9
3
4.
6 6
0,
8
2
1.
7 5
9,
7
9
4.
5 6
0,
4
5
8.
1 6
1,
6
7
4.
0 6
1,
7
9
0.
2
9
9
単位:9
0暦年価格1
0億円
1.
4%
1.
3%
7.
2%
−8.
0%
1.
0%
9
9
3
6,
8
3
2.
8 3
8,
4
7
7.
7 3
7,
7
3
6.
1 3
8,
0
9
8.
9 3
8,
8
1
5.
1 3
9,
0
3
2.
0
2
5,
8
0
5.
5 2
7,
2
6
9.
6 2
7,
1
6
2.
8 2
7,
3
5
2.
9 2
7,
7
1
4.
3 2
7,
9
4
5.
7
1,
1
0
1.
4 1,
1
8
9.
7 1,
3
1
1.
5 1,
5
1
1.
5 1,
4
3
7.
6 1,
4
8
0.
2
1.
7%
−0.
2%
4
7.
1%
年度
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
4
2,
8
5
9.
8 4
3,
3
2
9.
9
6,
5
1
9.
9 6,
7
5
7.
3
2,
8
6
6.
1 2,
6
7
4.
5
1
2,
1
8
2.
1 1
1,
6
6
7.
5
4,
6
4
7.
7 4,
1
1
2.
2
−5
0
8.
8 −1,
0
1
1.
8
1
6
0.
0
1
8
4.
1
9,
0
6
0.
3 9,
6
9
0.
8
4
3,
6
4
9.
0
6,
8
9
0.
6
2,
6
2
6.
1
1
1,
7
0
9.
3
4,
0
2
8.
6
−9
3
6.
2
−3
5.
1
9,
6
5
8.
7
4
3,
9
0
8.
8
7,
0
2
5.
2
2,
6
2
2.
3
1
1,
9
6
4.
3
3,
6
1
8.
3
4
5.
4
−1
9.
8
9,
6
3
2.
5
4
4,
1
7
8.
6
7,
1
6
1.
0
2,
6
5
0.
5
1
1,
6
4
8.
0
3,
5
2
2.
0
1
9
9.
3
−4.
5
9,
5
7
6.
5
1.
0%
2.
3%
−5.
5%
−0.
8%
1.
1%
2
0
0
2
0.
8%
2.
3%
0.
7%
2.
8%
2.
0%
2
0
0
3
0.
7%
2
0
0
0
4.
5%
5.
7%
8.
0%
−0.
5%
2
0
0
1
−1.
9%
−0.
4%
1
5.
2%
0.
2%
2
0
0
2
1.
0%
0.
7%
1
5.
2%
1.
6%
2
0
0
3
1.
9%
1.
3%
−4.
9%
−1.
1%
−3.
3%
***
0.
7%
1.
1%
***
1.
4%
1.
8%
***
2.
3%
0.
1%
1.
1%
0.
7%
0.
6%
1.
9%
3.
2%
3.
6%
2.
0%
2.
0%
−1.
1% −4.
7% −6.
7% −1.
8% −0.
1%
−3.
3%
1
1.
7% −4.
2%
0.
4%
2.
2%
−2.
4% −1
0.
4% −1
1.
5% −2.
0% −1
0.
2%
***
***
***
***
***
***
***
1
5.
1% −1
1
9.
1%
***
−2.
7% −2.
4%
7.
0% −0.
3% −0.
3%
0.
2%
9
9
0.
5%
−5.
0%
−7.
0%
1
0.
1%
−1.
7%
2
0
0
1
−4.
3% −1
0.
1% −4.
6% −1
1.
0%
*** −
***
***
*** 1,
4
2
5
8
9
3.
5
1% −1
1
0.
4%
***
2.
2% −4.
1%
3.
1%
2.
3%
0.
8%
1.
6%
0.
0%
3.
0%
1.
5%
2
0
0
0
4
3,
2
3
8.
2 4
6,
0
9
0.
8 4
5,
5
6
2.
3 4
5,
8
7
1.
3 4
6,
5
1
1.
5 4
6,
6
6
8.
4 −0.
6%
6.
6%
3
4,
0
1
4.
9 3
6,
9
1
2.
3 3
5,
7
0
8.
9 3
6,
0
9
9.
9 3
6,
7
4
7.
9 3
6,
9
6
6.
4 −0.
7%
8.
5%
5
6.
2 −1
1
8.
2 −1
6
2.
6 −1
1
2.
6 −1
3
1.
2 −1
2
5.
5 −8
0.
4% −3
1
0.
3%
注:兵庫・奈良の移出・移入額は0。
移出
移入
統計上の不突合
2
0
0
0
単位:9
0暦年価格1
0億円
7
7,
2
3
4.
6 7
7,
7
8
7.
0 7
7,
4
0
4.
5 7
7,
5
9
1.
1 7
8,
7
9
6.
9 7
8,
9
3
1.
4
9
9
民間最終消費
4
2,
7
9
8.
3
政府最終消費
6,
3
1
9.
3
民間住宅投資
3,
0
0
6.
3
民間企業設備投資
1
0,
9
0
9.
0
公的固定資本形成
5,
1
8
9.
9
民間在庫品増加
−2
1
4.
1
公的在庫品増加
−5
3.
5
移出入(純)
・統計上の不突合 9,
2
7
9.
4
県内総支出
■近畿
注:2000年度については(移出・移入を除き)静岡県庁、岐阜県庁、愛知県庁、三重県庁による早期推計値。
移出
移入
統計上の不突合
公的固定資本形成
3,
4
7
9.
2 3,
3
3
0.
8 2,
9
9
5.
0 2,
8
5
7.
1 2,
5
4
3.
8 2,
4
5
4.
6 −1.
6%
民間在庫品増加
−9
2.
9
7
3.
6 −8
7
0.
5 −5
1
6.
5
9
1.
6
2
2
2.
6 −1
9
9.
6%
公的在庫品増加
−1
4.
5
1
4.
8
8
2.
9
−8.
7
−4.
6
−1.
1
***
移出入(純)
・統計上の不突合 1
2,
1
2
8.
6 1
2,
3
9
7.
9 1
1,
8
8
4.
8 1
2,
2
5
7.
5 1
2,
5
3
8.
4 1
2,
5
6
6.
6
9.
2%
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
県内総支出
■東海
0.
8%
2.
3%
−1.
4%
−0.
3%
1.
1%
02―04平均
1.
1%
1.
0%
4.
4%
0.
7%
02―04平均
0.
3%
0.
6%
***
0.
8%
1.
2%
***
0.
6%
0.
6%
1.
9%
2.
0%
1.
1% −0.
3%
−2.
6%
0.
0%
−2.
7% −5.
0%
3
3
8.
7% 3
3
8.
7%
*** −1
1
9.
1%
−0.
6% −0.
4%
0.
2%
2
0
0
4
単位:前年度比%
0.
6%
0.
8%
3.
0%
−3.
5% −6.
4%
1
4
3.
1% 1
4
3.
1%
*** −1
1
0.
4%
0.
2%
1.
9%
0.
8%
2.
3%
0.
6%
−2.
8%
0.
2%
2
0
0
4
単位:前年度比%
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
5
0
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
年度
注:特になし
移出
移入
統計上の不突合
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
移出入(純)
・統計上の不突合
県内総支出
■四国
注:特になし
移出
移入
統計上の不突合
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
7,
5
4
9.
8
1,
6
3
5.
7
4
8
5.
9
2,
0
4
9.
4
1,
4
6
6.
2
−3
5.
7
1
9.
5
−1
8
1.
2
7,
6
3
7.
2
1,
6
9
8.
3
4
4
0.
9
1,
7
3
6.
8
1,
3
2
8.
2
−1
1
6.
9
1
0.
1
−1
3
0.
0
7,
7
1
6.
9
1,
7
3
9.
4
4
0
3.
5
1,
4
1
8.
7
1,
3
0
0.
2
−9
1.
3
−0.
6
−6
0.
3
7,
7
6
5.
7
1,
7
7
0.
8
4
0
5.
4
1,
4
4
5.
6
1,
1
6
3.
1
−2.
5
−0.
6
−3.
8
1.
0%
2
0
0
0
3.
1%
4.
6%
***
−3.
0%
2
0
0
1
−1.
8%
−1.
5%
6
4.
9%
1.
2%
2.
6%
−9.
6%
4.
5%
−1.
5%
2
0
0
1
−1.
4%
2
0
0
2
0.
6%
0.
9%
5.
7%
1.
1%
2.
3%
−6.
2%
−3.
1%
−0.
4%
2
0
0
2
0.
9%
2
0
0
3
1.
3%
1.
2%
−5.
3%
0.
7%
1.
9%
0.
1%
1.
7%
1.
1%
2
0
0
3
7.
1%
5.
1%
***
−1.
8%
−1.
6%
***
1.
1%
2.
0%
0.
9%
1.
4%
4
3
5.
1% −1
2.
4%
7,
8
1
6.
4
2.
0% −1.
2%
1.
2%
1.
0%
0.
6%
1,
8
0
7.
6
1.
8%
3.
5%
3.
8%
2.
4%
1.
8%
4
0
8.
5
8.
3% −6.
9% −9.
3% −8.
5%
0.
5%
1,
4
3
8.
4 −6.
0%
9.
5% −1
5.
3% −1
8.
3%
1.
9%
1,
1
2
7.
6 −0.
4% −8.
5% −9.
4% −2.
1% −1
0.
5%
4
9.
3 −1
6
7.
9%
***
***
***
***
789.
4% −4
8.
4% −1
0
5.
7%
***
−0.
1
*** 15,
−2.
5
***
***
***
***
***
−1.
5%
9
9
−0.
7%
−1.
8%
***
9,
5
5
9.
5 1
0,
2
3
8.
7 1
0,
0
5
2.
0 1
0,
1
5
8.
4 1
0,
3
6
6.
1 1
0,
4
3
1.
9 −0.
7%
9,
8
5
9.
2 1
0,
3
5
8.
7 1
0,
1
9
3.
5 1
0,
2
8
0.
2 1
0,
4
2
3.
9 1
0,
4
9
1.
7 −0.
4%
−1
5.
6
−6
1.
3
1
1.
5
6
1.
5
5
3.
9
5
7.
3 −1
1
1.
2%
7,
6
4
5.
2
1,
5
8
0.
6
5
2
1.
7
1,
8
7
1.
6
1,
6
0
1.
7
−4
1.
4
0.
1
−3
1
5.
3
1
2,
8
6
4.
4 1
2,
9
8
9.
8 1
2,
6
0
4.
5 1
2,
4
2
6.
4 1
2,
5
4
3.
8 1
2,
6
4
5.
1
9
9
単位:9
0暦年価格1
0億円
2
4,
3
2
8.
5 2
5,
0
8
2.
0 2
4,
6
2
2.
9 2
4,
7
7
5.
5 2
5,
0
9
6.
4 2
5,
1
6
9.
4
2
3,
1
5
6.
1 2
4,
2
2
5.
3 2
3,
8
7
0.
3 2
4,
0
8
2.
9 2
4,
3
8
0.
8 2
4,
5
4
4.
7
−5
5.
7
5
3.
5
8
8.
3
9
3.
3
8
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02―04平均
0.
1%
02―04平均
0.
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0.
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***
***
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***
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4
単位:前年度比%
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0.
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2%
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2,
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4 2,
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0 2,
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0.
7 2,
4
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5.
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2.
8 2,
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6% −2.
2% −1
0.
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1%
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8
9.
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5.
1 −4
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0.
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2.
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9
9
公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
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2
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1
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9
9
単位:前年度比%
1
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8.
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0.
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5,
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5,
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5.
2 2,
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2.
8 3,
0
7
5.
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5.
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3
3.
7 3,
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9
7.
6
9
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8.
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6
9.
5
8
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6.
7
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2.
7
8
2
3.
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3
1.
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3,
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2
8.
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4
0
6.
5 4,
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0
4.
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6
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3
6.
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3.
9
年度
単位:9
0暦年価格1
0億円
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
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■中国
5
1
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4
年度
注:特になし
移出
移入
統計上の不突合
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
移出入(純)
・統計上の不突合
県内総支出
■沖縄
注:福岡の90年度移入額は0。
移出
移入
統計上の不突合
2
5,
3
3
6.
4
4,
8
5
8.
4
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1
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3.
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0.
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1.
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2% −7.
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0.
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***
***
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0
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1.
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0.
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単位:9
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公的固定資本形成
民間在庫品増加
公的在庫品増加
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9
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4,
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0
2.
2
1,
5
3
0.
3
6,
4
5
2.
1
年度
単位:9
0暦年価格1
0億円
民間最終消費
政府最終消費
民間住宅投資
民間企業設備投資
県内総支出
■九州
特
集
「情報通信の産業競争力:政府の役割、民間の役割」
(情報通信シンポジューム)の開催について
通信経済研究部主任研究官
住尾健太郎
昨年1
2月1
6日
(月)
、慶應義塾大学三田校舎において、総務省、総務省郵政研究所及び慶應義塾大学の
主催、日本経済団体連合会、œ情報通信学会、情報通信ネットワーク産業協会及びIEEE Engineering
Management Society(Japan Chapter)の後援により、情報通信シンポジューム「情報通信の産業競争
力:政府の役割、民間の役割」を開催いたしました(別紙の開催要項参照)
。総務省にとって、旧郵政
省時代を通じ、大学と共同で、シンポジュームを開催することは初めての試みです。
開催経緯
平成1
3年3月∼平成1
4年7月の間、総務省郵政研究所において、
「情報通信分野における国際競争力
の研究会」
(座長:許斐慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)を開催し、官民の役割分担について
検討いたしました。我が国における「情報通信分野における国際競争力」は脆弱であり、情報通信の国
際競争力が日本経済に及ぼす影響が大きいとの危機意識から、共同でシンポジュームを開催し、幅広く、
問題を提起し、危機意識を共有するとともに、問題解決の方向を議論し、少しでも、前向きに努力する
ことが大切との認識に至り、シンポジュームの共同開催することとなりました。
背 景
「情報通信分野における国際競争力の研究会」において、我が国の情報通信機器等のシェアを調査し
た結果、情報通信が属地的性格を有することを考慮するとしても、日本の情報通信分野は国際競争力が
乏しいことがわかりました。具体的には、次のことが明らかになりました。
1)成長率の高い製品(ハード)やサービスは主に米国企業に押さえられていること
2)これまで日本が得意としてきた組み立てや設計の分野においても、韓国や台湾などの新興国の追
い上げが厳しく、人件費などのコスト面からだけでなく、技術面におきても苦戦を強いられつつあ
ること(スマイルカーブ的収益構造への変化が必然であること)
「政府の役割」に関する肯定的と否定的な意見が激しく錯綜する時代です。政府は、様々な意見があ
ることを踏まえ、多様なオプションを用意した上で、十分に比較検討を行い、政策を決定していかなけ
ればなりません。また、技術や社会の状況変化に応じて、柔軟に政策を見直すことも必要となります。
政府には、政策を目利きし、取捨選択する能力が求められています。同時に、第3世代携帯電話の標準
化のプロセスが象徴するように、政府や国際機関が果せる役割にも大きな限界があることも官民ともに
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
5
2
自覚しなければなりません。
また、現在のオープン型産業構造の下では、技術的な能力だけで競争優位が決まるわけでなく、市場
獲得のためには事実上の標準(デ・ファクト)を獲得することが重要となっています。事実上の標準を
獲得するためには、自社製品の市場創設、広告宣伝、企業買収などの「企業戦略」が鍵となります。
本シンポジュームは、今後とも、現状を踏まえ、具体的問題点や課題を明らかにするだけではなく、
それらに対する、官民、それぞれの具体的役割についても幅広く議論し、提言をいただくためのキック
オフ・イベントと位置付けています。
5
3
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
(別紙)
情報通信シンポジューム開催要項
「情報通信の産業競争力:政府の役割、民間の役割」
(主 催)
総務省、総務省郵政研究所、慶應義塾大学
(後 援)
日本経済団体連合会、œ情報通信学会、情報通信ネットワーク産業協会、
IEEE Engineering Management Society(Japan Chapter)
(開催日時等)
日時:1
2月1
6日
(月)
(9:3
0∼1
8:0
0)
場所:慶應義塾大学三田校舎
(テーマ等)
あいさつ(9:3
0∼9:5
0)
鍋倉 眞一 総務省総合通信基盤局長
黒田 昌裕 慶應義塾大学商学部教授(慶応義塾常務理事)
(郵政研究所顧問)
セッション1(1
0:0
0∼1
1:4
5)
「情報通信分野における国際競争力の分析:現状と原因」
モジュール化への対応、
アーキテクチャーの欠如、
マーケティング内容の日米の相違、
標準化対応等
西岡 郁夫 モバイル・インターネットキャピタル–代表取締役社長(元日本インテル代表取締役会長)
松本 孝利 アカデミー・キャピタル・インベストメント–代表取締役(元シスコシステムズ代表取締役会長)
田中善一郎 日経BP常務取締役
新宅純二郎 東京大学大学院経済学研究科助教授
田中 辰雄 慶應義塾大学経済学部助教授、
(コーディネーター)
青井 倫一 慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長
セッション2(1
3:1
5∼1
5:0
0)
「技術開発における産官学の役割」
現状分析、日米の比較、人材育成など
宮原 秀夫 大阪大学大学院情報科学研究科長
加納 貞彦 早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
江崎
浩 東京大学大学院情報理工学系研究科助教授
高橋
修 富士通テン常務取締役(郵政研究所客員研究官)
寺崎
明 総務省大臣官房参事官
(コーディネーター)
許斐 義信 慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授(郵政研究所客員研究官)
セッション3(1
5:3
0∼1
7:3
0)
「ブロードバンド推進における課題」
現状分析、規制問題、インフラの在り方など
鈴木 幸一 –インターネットイニティアティブ(IIJ)代表取締役社長
ダリル・E・グリーン ジェイフォン–代表取締役社長
真野
浩 ルート–代表取締役社長
中村伊知哉 スタンフォード日本センター研究所長(郵政研究所客員研究官)
林
哲史 日経バイト編集長
山川 鉄郎 総務省情報通信政策局総合政策課長
(コーディネーター)
山田
肇 東洋大学経済学部教授(郵政研究所客員研究官)
総 括(1
7:3
0∼1
8:0
0)
安西祐一郎 慶應義塾 塾長
月尾 嘉男 総務省官房総務審議官
注)肩書きはシンポジューム開催時のものです。
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4
1)
各セッションの議論の概要等
あいさつ(9:3
0∼9:5
0)
鍋倉
眞一 総務省総合通信基盤局長
黒田
昌裕 慶應義塾大学商学部教授(慶応義塾常務理事)(郵政研究所顧問)
総務省総合通信基盤局
鍋倉局長のあいさつ(概要)
●情報通信分野は技術進歩が激しいこともあり、パブリックコメント等を通じ、政策に対して、様々な
ご意見をいただいているが、時代に見合った、あるいは時代を先取りした政策の立案を行うためには、
これまで以上に、多様なオプションを用意した上で、十分に比較検討を行うことが必要となっている。
本シンポジュームは、このような必要性に応えるための新たな試みと考えている。
●シンポジューム終了後も、シンポジュームでのご議論を踏まえ、シンポジューム参加者以外の方にも
加わっていただき、電子メールやウエッブを活用して、情報通信ビジネスの将来像、技術開発の在り
方等、幅広いテーマを議論していきたいと考えている。時代に見合った政策を選択するために、政策
立案者がより多様な考え方を知る機会とさせていただきたい。
●総務省は、新たなe―Japan戦略の策定に貢献していきたいと考えているところであり、ご協力いた
だくみなさまのご意見を真摯に受け止め、政策決定に役立てるように最大限努力していきたい。
慶應義塾大学商学部
黒田教授のあいさつ(概要)
●2
0世紀の後半、世界はIT化という大きな技術革新の波を迎えたが、IT化による生産性の向上に関し、
欧米、特にアメリカと日本とを比較した場合、IT化の効果が本当の意味で日本の国際競争力や産業
の技術革新、生産性に結びついている度合いは少ないという分析結果が出ている。どういう点が日本
のIT化の効果を遅らせているかを分析することは、これから日本経済が国際競争力を保っていく上
でも、非常に重要な課題であると考えている。
●ITにより、これまでアントレーダブルなグッズであったサービスがトレーダブルになった。教育も
そのひとつであり、これまではその場に行かないと教育を受けられない状況にあったが、IT化が進
んだことにより、どこにいてもサービスを受けることができるようになり、トレーダブルなグッズと
なった。教育についても、メガ・コンペティションを強いられる時代となっている。
●慶應義塾では、トレーダブルとなった教育サービスのクオリティの向上にむけ、大学が産官連携を行
いつつ、情報発信できるシステムをどのように作るかを検討する等、教育の改革をいろいろ進めてい
る。大学がいかなる形で社会に貢献できるか、社会の国際競争力を保持するために、大学がいかなる
役割を果たすことができるかについても、非常に大きな関心を持って考えている。
1)「議論の概要等」は筆者の責任でまとめたものです。
5
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5)
「情報通信分野における国際競争力の分析:現状と原因」
モジュール化への対応、
アーキテクチャの欠如、
マーケティング内容の日米の相違、
標準化対応など
西岡
郁夫
モバイル・インターネットキャピタル`代表取締役社長(元日本インテル代表取締役会長)
松本
孝利
アカデミー・キャピタル・インベストメント`代表取締役
(元シスコシステムズ代表取締役会長)
田中善一郎
日経BP常務取締役
新宅純二郎
東京大学大学院経済学研究科助教授
田中
慶應義塾大学経済学部助教授
辰雄
(コーディネーター)
青井
倫一
慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長
[討議で指摘された課題]
(日本企業)
1
ビジネスのスピードが遅く、変化に対応できていない
2 「ビジョン」と「戦略」を持たないが故に、自ら変えられない
3
経営者がリスクをとらない(真のアントレプレナーの不足)
4
マーケティングが弱い上、自ら市場を創ろうとしない
5
国際的視点が不足
6
システム・アーキテクチャーの重要性を十分に認識していない
7
柔軟で臨機応変な企業提携が不十分(自社完結型の垂直統合を好む企業体質)
8
産官学とも制度が疲労しているにも関わらず、変化させようとする気概が不足
(行政)
1
規制緩和促進による市場開放が不十分
2
公平で自由な市場主義原理を促進するための環境整備が不十分
[競争力強化のための処方箋](上記課題と処方箋とは完全にリンクしていません)
1
更なる競争原理の導入
2
戦略を示し、経営を引っ張れる人材の育成
3
成功体験にとらわれず、自ら変革に取り組むリーダーの出現(リーダーの意識改革)
4
実績に見合った報酬制度(ハイリスク、ハイリターン)の導入
5
人材流動の活性化(エネルギーがあり、発想豊かな新卒者のベンチャー創設/参加)
6
マーケティング・オリエンテッドで、スピーヂィーな商品/サービス開発への変革
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[プレゼンテーション概要]
青井
倫一
慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長
●「国際競争力」の定義は人によって異なる。従来は、主に、
「国外での日本の企業の競争力」を意味
していたが、今後は、
「日本国内における日本の企業の競争力」が問題となる可能性が高い。同時に、
情報通信分野においては、企業だけの問題ではなく、行政の役割がどのように位置づけられるかが重
要になってくる。こうした点を踏まえ、各パネリストにプレゼンテーションをお願いしたい。
松本
孝利
アカデミー・キャピタル・インベストメント`代表取締役
(環境の変化:地球規模の巨大で高速な仮想市場の出現)
●地球規模の巨大で高速な仮想市場が出現しており、顧客ニーズも多様化し、すばやく変化している。
そのため、ビジネス・スピードが高速化するとともに、ビジネスが完全にグローバル化し、地球規模
で熾烈な企業間競争が行われ、企業の統廃合が行われる等、ビジネス形態や産業構造は変化している。
新しい産業と雇用が創造されなければならないし、教育の重要性は更に高まることとなる。
(
「徹底した資本主義経済」や「変化のスピード」に対応できない日本企業)
●変化の方向は徹底した資本主義経済(市場経済)であり、ネットワークによって顧客の価値観が変
わっていく。こうした変化に対し、まだ日本企業はきちんと対応できていない。21世紀型の企業は、
一言で言うとスピードにどれだけ対応できるか、自ら変革をして、スピード上げていくということが
できるかどうかが問われる。経営の基本は、いかなる企業文化を作れるか、今の企業文化をスピード
が出る企業文化に変えられるかという点にある。一般論としては、日本企業はビジネス・スピードが
非常に遅い。また、多くの日本企業はITを活用した高効率経営ができていない。ITをツールとして
活用し、高い生産性を上げることは非常に重要なテーマである。
●すべての面において、日本は、どちらかというと社会主義経済に近く、競争原理がないと言える。社
会の中に競争原理をきちんと作っていく必要がある。世界中から、ネットワーク経済の市場特性によ
り、徹底した資本主義経済で攻められると競争に勝てない。
(
「ビジョン」と「戦略」を持たないが故に、自ら変えられない日本企業)
●ビジョンがなければ戦略は作れないはず。3年、5年と、先を見たときに、経済がどう変わり、社会
がどう変わり、世界がどう変わっていくかという、間違っていてもいいからある種のビジョンを持ち、
その上で戦略を作るべきである。日本企業にはこの点も少し欠けているし、アイデンティティも明確
ではないように思える。日本にはビジョンがないから自らを変えられない。外圧によっていやいや変
えられるのでは遅れてしまう。
(リスクをとらない日本企業の経営者⇒リスクを取るインセンティブが必要)
●経営者のリーダーシップは、いかなるリスクが取れるか、取る覚悟はできるか、また、取れるような
環境をいかに作るかということと考える。日本企業では、経営者がサラリーマン化している。アメリ
カの経営者とは違う。確かに、日米の経営者の報酬が大きな格差のある現状では、日本の経営者はリ
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スクを取りにくい。努力をして、社長になり、例えば4年間で任期が無事に終われば、それなりの退
職金をもらい、ハッピー・リタイアメントとなるため、ミスを犯すことを恐れる。あの給料ではリス
クを取れない。こうした仕組みを変えると、経営にスピードも出てくる。
(日本企業はマーケティングが弱い)
●市場経済では顧客のニーズが短期間にどんどん変わり、多様化していく。日本企業、特に大企業は
マーケティング力をもっと強化しなければいけない。いろんなベンチャーのビジネスモデルを審査す
るが、9
0%以上はマーケティングの分析が非常に弱いという印象を持っている。
(国際的視点及び国際人の不足)
●国際化の点でも、日本企業には大きな課題がある。グローバルスタンダードをきちんと理解した上で、
非常に合理的に判断して行動を起こすことが非常に弱い。
●アメリカのベンチャーは、国内マーケットの状況がよくないため、最初からアジアやヨーロッパの
マーケットに狙いを定めてビジネスをやっている。アジアのベンチャーも、世界のマーケットは1つ
という見方で日本に進出している。しかし、日本のベンチャーが国外に出て行くケースは非常に少な
い。日本で成功してから海外と考える。視点が狭い。世界が1つのマーケットだと考え、大企業も含
め、日本企業は世界的な規模のマーケティングを真剣に考えるべきである。
(行政の役割:)更なる規制緩和による市場開放、*公平で自由な市場競争原理の環境整備)
●国には、もっと積極的に規制緩和をし、新しい市場を開放することを期待する。開放しなければ、ベ
ンチャーも育たないし、モチベーションも湧かない。なんでもかんでも国がやるというのはいいとは
思っていない。また、公平で自由な市場競争原理の環境整備が非常に重要。市場環境を国際化し、大
企業を主体とした政策はやめるべきである。また、評価に対するコンペンセーションというのが非常
に重要であり、それによって組織というのはどうにでもなってしまう。活性化も、停滞も、スピード
も、すべて評価に対するコンペンセーション次第であると強く思うが、国民または企業に対する評価
制度は税制である。税制の見直しも非常に大事だという印象は持っている。
田中善一郎
日経BP常務取締役
(アークテクチャを創り出せない日本企業)
●7
0年代後半∼8
0年代、情報通信の分野において、日本企業には元気があり、トップを走っていた分野
もあった。しかし、必ずしも主導権を握ってロードマップを描いてきた訳ではない。マーケティング
をベースにしたアーキテクチャは日本から生まれてこなかった。システムのアーキテクチャやものづ
くりのアーキテクチャなど、いろいろなアーキテクチャがあるが、システムのアーキテクチャを指し
ている。
●アーキテクチャの原点はIBMの36
0。IBMはインターフェースを規定し、20∼30年の間、上位レイ
ヤーの互換性を保ってきた。そのため、ユーザーはソフト資産を継承できた。上位互換を保つために、
テクノロジーの進歩、マーケティングによるニーズ見極め等、非常に努力してきた。その一方、日本
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8
企業はシステム・アークテクチャという概念や重要性を理解していなかった。
●携帯電話は非常に機能が多機能化し、1
0年ぐらい前のパソコンと同じような性能が要求され始めてお
り、アーキテクチャの時代に入ってきた。携帯電話においても、ベースはアームのアーキテクチャが
デ・ファクト・スタンダードとなっている。アームは設計しかやらない会社で、3
60アーキテクチャ
や、インテル、マイクロソフトのやり方をよく学習している。設計しかやらないという中立性も追い
風となった。国際競争力をつけるためには、マーケティングを重視し、システム・アーキテクチャを
抑えることが重要となる。
(コアコンピータンスへの集中)
●IBMやインテル等のアメリカ企業は、日本企業の先を走っているが、例えば、IBMは非常に最先端の
ところだけは自分たちのテクノロジーを使い、ものを作っているが、普通のLSIなどは全部アウト
ソーシングしている。強いところだけを必ず残している。
(臨機応変な企業提携)
●おそらく水平分業やモジュール化という流れは止められない。ただ水平分業にも弱さがあり、垂直統
合にも強さがある。これまでのように1社ですべてやるのでは垂直統合の強さは実現できない。例え
ば、ソニーが東芝とIBMが組み、IBMの最先端デバイステクノロジーを利用し、東芝の生産技術を利
用するというように、いろんな企業と臨機応変に手を組む形で垂直統合を実現する時代となっている。
したがって、当然、そのときそのときで垂直統合の相手も変わることとなる。ただ、テレコムの世界
を見ると、例えば、NTTのレゾナントコミュニケーションはNTTグループ内での垂直統合を行おう
としているように見える。こうしたことが時代の流れにあっているのか、皆さんの意見を聞きたい。
田中
辰雄
慶應義塾大学経済学部助教授
(モジュール化への対応の遅れ)
●情報通信分野ではモジュール化という現象が非常に目に付く。モジュール化の定義はいろいろあるが、
ここでは、簡単に一つの財、サービスをいくつかのユニットに分け、組み合わせやインターフェース
を固定して、一般にも公開することと定義する。
●モジュール化により次の現象が起きる。
)1個1個の部品あたりの参入が容易になるため、ベンチャー企業が盛んに増える
*インターフェース部分を特定の企業がコントロールする場合、その企業の製品が標準になり、競争
上有利となるため、ウィナー・テークス・オール的になる
●日本企業はモジュール化に適応できなかったが、ドイツ企業等も同様である。適応に成功した企業は
むしろ少数であり、アメリカやイギリスの企業くらいである。
(モジュール化への対応策)
●対応策として、次の方策が考えられる。
)モジュール化を前提にして、オープン化の中でモジュール化を担っていくベンチャーを育成するよ
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うな方策
*日本企業でフォーラムを作り、技術を世界に売り込むことで、技術標準を獲得する方策
+必ずしもモジュール化の方向だけに動いているわけではない。したがって、日本の企業がモジュー
ル化ではなく、反対の統合化に強みがあるならば、統合化で勝負するという方策
新宅純二郎
東京大学大学院経済学研究科助教授
(モジュール化と統合化の揺れ動きに関係なく、自らの強みを活かす戦略が必要)
●図1のように、製品やビジネスがモジュール化されているか、否かというだけではなく、アーキテク
チャやインターフェースが業界全体にオープンにされているか、あるいは、意図的もしくは結果的に、
特定企業で囲い込まれたものになっているかどうかという観点も問題となる。
●田中先生から、情報通信はクローズドで組み合わせていく構造を持っており、その中でどう戦うか方
策を考える提案と、日本企業が得意と考えられる統合型の分野に移行させて勝負してはどうかという
提案があったが、個人的には、必ずしもアーキテクチャ全体を動かす必要はないと考える。図2のよ
うに、アーキテクチャや製品はシステムであるため、階層性を持っている。例えば、PCでは、中身
にはいろんな汎用電子部品、一般電子部品、DRAM、MPU、OSソフトといったものにモジュール化
され、それぞれについて企業活動が行われている。IBMのガースナーはモジュール化された部品では
なく、階層を上げ、一体としたシステムで勝負した。構成要素は全部IBM製である必要は必ずしもな
いというポジショニングの転換をやった。
図1
Closed
囲い込み
製品アーキテクチャ
自動車
オートバイ
小型AV製品
図2
アーキテクチャの階層性
コンピュータ
システム
メインフレーム
工作機械
レゴ
インテグラル
Open
業界標準
×
パソコン、Linux
オーディオコンポ
自転車
新金融商品
Integral
擦り合わせ
Modular
組み合わせ
大型コンピュ
ータ
PC
ネットワーク
機器
モジュラー
電子部品 DRAM MPU OS ソフト
出所:藤本
インテグラル
●自分たちが作るものの内部構造がどうなっているか、製品市場がどういう構造になっているかという
ことを見て、戦略的にビジネスを行うことが勝敗を分ける鍵となる。
●図3のように、商品は、製品市場の性格、さらに、内部構造がモジュール化か擦り合わせか、否かに
より、4種類に大別できる。自らの強みにより、戦略的に、企業はポジショニングを変えていく必要
がある。例えば、デルのように、内部構造はモジュールによる組み合わせだが、売り方を変え、市場
を変えていくことで、ポジショニングの変更をすること(図3の右上から左上の動き)も可能である。
その一方で、同じ製品階層のレベルに止まり、内部構造を変えていくこと(図3の上下の動き)も可
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図3
内
部
構
造
アーキテクチャのポジショニング戦略
A:構造モジュ
BTOのPC
PC、DVD ラー化戦略
自動車メーター
Modular
スターター D〈価格競争〉 B:汎用品市場
組み合わせ
工作機械
開拓戦略
C
A
C:部品特化戦
シマノ自転車部品
略・構造イ
自動車部品
Integral
B 一般電子部品 ンテグラル
超小型PC
擦り合わせ
インテルMPU
化戦略
〈高コスト〉
二次電池
D:カスタマイ
特殊品
汎用品
ズ戦略
(ニッチ市場、顧客仕様)
製品市場
能である。モジュール化と統合化の揺れ動きはあるだろうが、そうした動きに関係なく、自らの強み
を活かす戦略が重要となる。
西岡
郁夫
モバイル・インターネットキャピタル`代表取締役社長
(垂直統合か水平統合かは結果論)
●垂直統合か水平統合かは結果論。企業体質、市場特性を考え、いちばん有効な戦略が当時IBMにとっ
て垂直統合だったということ。一方、インテルは、体力がないため、IBMのように垂直統合を目指せ
なかった。そのため、自分たち以外のところは任せざるを得なかった。任せやすいようにどんどん
オープンにし、自分達のアーキテクチャの中でやってくれということを言わざるを得なかった。その
結果が上手くいったのであり、アンディ・グローブの頭の中に「水平統合」という言葉はなかったは
ず。
(日本を変えようする気概が大切)
●日本人はーキテクチャを自分で考える能力を持っているはず。現在は創造性を伸ばす教育をやってい
ないが、例えば信長までさかのぼれば日本というのはすごくクリエーティブだった。今のような日本
社会になったのは3
00年ぐらい前から。日本を破壊し、新たに作りあげようという気概があれば、日
本は変わる。
●ゴーンのように、はじめから日産を変える目的を持って来ていれば別だが、大変な苦労をして、
NECや富士通などの大企業の社長になれば、しばらくは静かにしておいて欲しいと思うのが人情。
トップが会社を変える意欲を持つような仕組みが必要。
●大学においても、一度国立大学の教授になれば、逮捕されない限りは辞めなくていい。15年間、工学
部でまったく同じ講義をした先生を知っている。それでも定年になれば私立大学に行け、70とか7
5ま
で定年が保証されている。そうした環境では、リスクをとって変えるという気にはなれない。
●スウェーデンには、エリクソン出身で技術力のあるベンチャーが多くある。しかし、日本ではNTT
出身のベンチャーはほとんどいない。日本の大企業の研究者は、経営幹部にはなれなくても、肩たた
きされて国立大学の教授になれる。リスクを冒してベンチャーをやるはずがない。
●官僚については国家公務員上級試験という筆記試験で選抜される。官の役割は、民をいかに活性化さ
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せて、上手に海外と交渉し、国益をもたらすことにある。交渉術やリーダーシップが重要であり、
IQの世界ではないにも関わらず、依然知識の有無が重要視されているように見える。
●企業も、大学も、行政も、制度疲労の中にどっぷりと浸かっている。モジュール化への対応等という
各論では、日本は競争力は上がらない。みんなが腹をくくる必要がある。
(日米におけるマーケティングの違い)
●日本のマーケティングとアメリカのマーケティングは全然違う。日本のマーケティングは市場ありき
で、市場を徹底的に分析して、市場に受け入れられる製品企画し、開発をする。アメリカでは市場を
作ることをマーケティングという。日本でもマーケティングが変わってきているが、まだ変わりきれ
ていない。
(ベンチャーの育成)
●大企業で行われているリストラはものすごく悪いリストラ。40歳や4
5歳以上の人に特別優遇制度を利
用して辞める人は能力のある人。特別優遇制度でもらえるお金で一生は食べていけない。辞めたら自
分はもう次に行けないなという人は嵐が過ぎ去るまで静かにしている。そういう意味で、人材の流動
性が出ており、ベンチャー育成には追い風である。
●アメリカで多くのベンチャーが成功した理由は、政府がベンチャーを育成したからではない。インテ
ル、マイクロソフト、シスコなどが成功し、成功体験が新たなベンチャーを輩出してきた。日本でも、
成功するベンチャーが出てくることが必要。
2)
[パネリストによる討議](以下、敬称略)
ベンチャー育成の障害
(田中
(辰)
)
●日本におけるベンチャー育成の障害は何か。
(西岡)
●歴史的に言えば、ベンチャーに対する支援が全くなかった時期が長く続いた。ジャストシステムが株
式公開までに会社設立から1
9年を要している。当時の店頭公開市場はベンチャーを支援する市場では
なかったんです。むしろ卒業証書を渡す場所だった。それが悪い時代。そこから一気にベンチャーに
日があたり、3
0ページの事業計画書に、ベンチャーキャピタルが何の調べずに何億円も出資する時代
が続いた。こうしたことがベンチャーをスポイルした。石にしがみついても黒字にするという努力を
せずに、赤字になったらまた資本が来ると考えた。今はバブルがはじけてものすごく厳しくなった。
ベンチャーを評価し、選択するよい状況になった。
●ITベンチャーの場合は、大企業に商品やサービスを購入してもらわなければ、売り上げを伸ばせな
い。しかし、大企業は実績の乏しいベンチャーからは製品を買わない。こういう点が存続の障害とな
る。
2)ただし、各セッションにおいて、初めて発言される場合には敬称をつけています。
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●日本には技術力を持ったベンチャーがほとんどない。ハイテクの技術開発はほとんど大企業に偏在し
ている。これまで、大企業の研究者は終身雇用制度で守られ、リスクをとらってこなかった。今後、
リストラされた優秀な企業の研究者や大学の研究者をベンチャーにうまく導くことが課題。
(松本)
●テクノロジーの芽は結構たくさんある。特に大企業の研究所にたくさんのシーズがある。技術開発し
た人にスピンアウトしてもらい、一緒にやれないかと誘うが、結局、企業の研究所にいる研究者はサ
ラリーマンであり、スピンアウトする勇気はない。彼らの研究成果は、社内レポートを書き、社長賞
などをもらうことで終わってしまっている。
「もう50代なのに辞めて、リスクを取り、またゼロから
やるというのはとてもできない。余計なことでかき回さないでください」と言われる。これが日本の
サラリーマン世界の一つの形。
●日本には、本当の意味でのアントレプレナー、社長になれる人材がいない。アメリカのベンチャーや
ベンチャーキャピタルも訪問し、しみじみ思ったことは、ベンチャー企業が成功するか否かの50%以
上は社長にかかっている。みんなも異口同音にいう。そういう人材が日本には育っていない。また、
技術があっても、ビジネスモデルを作れない。ビジネスモデルを作るためには、マーケティングや営
業の力を持っている人、また市場がわかっている人たちが必要。市場のニーズが予測できる人たちが、
有望なテクノロジーを見つけ、一緒にビジネスモデルを作らないと会社にならない。そうした人材も
少ない。製造立国として日本が成功していたときには、リスクをとり、ベンチャーをやる必要はな
かった。それ故、この3
0年間ぐらいはベンチャーの歴史が日本にはなかった。ベンチャーを経営でき
る人が育っていないことは由々しき問題。
(田中
(善)
)
●アメリカ企業はインターフェースを公開してきた。一方、日本ではそうではない。例えば、iモード
も垂直統合。公式サイトにコンテンツを載せるか、否かはすべてドコモが決める。価格設定もそうだ
し、コンテンツの中身もドコモが決める。そのため、自分たちで勝手に自由にサービスをやることは
できない。基本的に、iモードを利用したビジネスはドコモとタイアップした企業でないとできない。
上のレイヤーまでもコントロールする。こうした環境では、ベンチャー企業が上手く育つ余地がない。
モバイル社会のグランドデザインの必要性
(西岡)
●携帯電話が普及し、決済機能を持つ等、様々なサービスが利用できるようになってきた。いろんな
ITベンダーが、そういうところを組み、いろんなことが進んでいる。しかし、すべて部分最適であ
り、利用者にとっては必ずしも便利ではない。モバイル社会はどんな社会であるべきかというグラン
ドデザインが日本にはないことを危惧している。
大学の意識改革の必要性
(西岡)
●中国では産学連携が非常に進んでいる。8
6年の3月にï小平が改革開放をしたときに、
「大学はもう
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自分で食っていけ、国家予算は金を呼ぶ企業のほうに集中する」という方針を決めた。そのため、大
学は食っていくために食っていける研究を一生懸命やった。また、歴史的に、中国では、研究は大学、
生産は企業という分業化がきちんとされていた。そのため、企業は何か新しいことをやるためには自
社に研究所がないので、大学に頼らざるを得ない。一方、日本では、大企業は自らの研究所を持って
いる。博士もいっぱいる。そのため、大げさに言えば、日本の企業は大学に頼らなくてもよい。大学
は企業にほとんど頼りにされていない。頼られていない大学は象牙の塔と化してきた。その結果、産
学連携といっても、企業と一緒にやれるような研究テーマのタネがなかなかない。今はどんどん意識
が変わっているが、相当意識してやらなければ、企業に頼られるような大学へと脱皮できず、産学連
携は掛け声倒れに終わる。
国際競争力強化のための処方箋
(青井)
●情報通信の国際競争力を強化するために、日本の社会に不足しているものは何か。また、不足してい
るものを作り出す仕組みを作らなければ、非常に厳しい状況となっているが、それを担うのは、大学
か、企業か、行政か、こうした点について、各人の意見を伺いたい。
(田中
(辰)
)
●競争が働く領域を増やすということに尽きる。モジュール化、オープン化の流れへの対応、ベン
チャー育成なども、十分に競争原理が働いていれば、生き残るために企業は対応するはず。競争促進
という観点では行政が介入する余地はある。
(新宅)
●一番重要なことを挙げるとすれば、経営者の育成。経営者といっても調整型の人材ではなく、戦略を
示し、経営を引っ張っていくことのできる人材の育成。ベンチャーの育成に際しても、問題はいろい
ろあるかもしれないが、まず経営者がないと話にならない。人材育成を産学で取り組むことがますま
す重要となる。
(田中
(善)
)
●垂直統合と水平分業は状況に応じ、振り子のように動いていく。いずれの場合でも、研究者を含め、
もっと市場をよく見て、絶えず分析しながらものごとを進めていく必要がある。また、人の流動性も
重要。更に人が流動しなければ、日本は活性化しない。
(松本)
●政治も含め、リーダーの意識改革が一番必要。日本は80年代の大成功を味わったために、成功体験が
大きく意識の中に残っており、なかなか自ら変えられない。もう1つは、大企業の中で教育され、カ
ルチャーが植え付けられ、優秀だった学生が何十年か経つと普通の人になってしまう。そういう意味
では、ベンチャーを育成するためには、大学を卒業したばかりで、エネルギーがあり、発想が豊かな
人たちが流動化してくれたほうがよい。もう1つ加えると、日本企業はマーケティング・オリエン
テッドに変わらなければならない。市場経済であり、市場のニーズは短い間にはコロコロ変わるので、
すばやくニーズを捕らえ、ニーズがある間に製品化して市場に投入することが重要。日本企業のよう
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に市場を分析し、何年も時間をかけて製品を開発して売れる時代はもう終わった。同時に、マーケ
ティングでは、ニーズを捕らえるも大事だが、ニーズを創り出すことも重要。3年、5年のスパンで
市場を作っていくというマーケティングに変わっていかなければ、非常に競争の厳しい世界の中では
生き残れない。そういう意味で、日本企業はマーケティング・オリエンテッドに変わっていかなけれ
ばならない。
(青井)
●トーマス・フリードマンの言葉を使えば、日本の社会のOSをもう一度書き換える必要があるのでは
ないか。いくら良いアプリケーションソフトがあっても、OSが悪ければ機能しない。OSを再設計す
るためには、どのような日本社会を創っていくのかというグランドデザインが重要となる。
[質疑応答]
(国領
二郎
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)
●生き残るべきベンチャーをどのように支援すればよいと考えるか。
(西岡)
●ベンチャーにも2種類ある。1つは新しいベンチャーで、技術は持っているおり、チャンスはあるが、
もうすぐつぶれるという企業。もう1つは、社長が60、70歳台の高齢で、自転車操業ながら、20年ぐ
らい経営してきた中小企業だが、ものすごく面白く、新しい技術を手に入れたという企業。後者の場
合が難しい。その理由は、ベンチャーキャピタルが新しい技術を評価して投資して場合、資金が古い
商売に使われてしまうことが多いため。したがって、新しい技術を活かすためには、古い会社はつぶ
し、新しい事業を切り出して支援していく必要がある。社長は個人補償のために破産し、非常に厳し
い状況に追い込まれることがあるが、新しい事業の技術顧問とし、ストックオプションで報いる。こ
のような支援方法がある。いずれにしても、支援は簡単ではないが、工夫をしながら、みんなで助け
る仕組みを作りたい。
(青井)
●ほかに無いようなので、セッション1を終わります。
6
5
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2
セッション2(1
3:1
5∼1
5:0
0)
「技術開発における産官学の役割」
現状分析、日米の比較、人材育成など
宮原
秀夫
大阪大学大学院情報科学研究科長
加納
貞彦
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
江崎
浩
東京大学大学院情報理工学系研究科助教授
高橋
修
富士通テン常務取締役(郵政研究所客員研究官)
寺崎
明
総務省大臣官房参事官
(コーディネーター)
許斐
義信
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授
[指摘された主な課題等]
1
ビジネス展開を考えながら、産学が一緒に研究開発を行うこと
2
インターネットに関し、公的機関がどの程度関与するべきかという基本的方針の選択
3 「民間任せ」ではなく、
「民間主導」である重要性
4 「国内市場」から「グローバル市場」への主戦場の変更
5
セグメント別市場を創造する努力
6
これまで以上に、アーキテクチャ創造や標準化のための戦略の重要視
7
常駐の若手専門家による研究開発方針(グランドデザイン)の策定
8
戦略的な研究開発費の使用
9 e-Japan計画を補完する新しい形のJapan Inc. の実現
1
0 人材育成に向け、大学院学生に対する経済支援システムの改善
1
1 アジアの優秀な学生の取り込み
1
2 産学官連携参加者の目標意識あわせ
1
3 産学官連携における開発・事業化責任者の明確化
1
4 オープンへの偏重是正(戦略的オープン化の必要性)
1
5 官主導の研究開発における高い目標設定
1
6 関連する技術・製品の同期化した開発
1
7 マーケットの視点による評価
1
8 国は基礎研究だけを担当すべきとの認識の変更
1
9 大学における研究開発資金の柔軟な活用
2
0 立案企画・評価への公的資金投入
2
1 産官学による人材交流
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[プレゼンテーション概要]
許斐
義信
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授
●政府、企業とも財務状態が厳しい中、国際競争力を回復していくために、どのように技術開発を行っ
ていくかは非常に大きな課題となっている。政府、企業及び大学がどのような役割を果たべきかとい
う観点から、各パネリストに意見をお聞きしたい。
江崎
浩
東京大学大学院情報理工学系研究科助教授
(学界と産業界が一緒に研究開発を行うモデルを採用)
●ワイドプロジェクトでの取り組みを紹介したい。伝統的な研究モデルは、学問的研究成果を基礎とし
て、企業が実用的研究を行い、商品開発を通じ、社会に貢献するというものである。ワイドでは、学
界と産業界が一緒になり、政府を巻き込みながら研究を行い、社会に直接貢献するというスタイルを
採っている。そのために、論文数が非常に少ない団体となっている。
(社会と消費者に技術を受け入れもらえることが重要)
●技術評価を行うのは、研究者、ベンダー、オペレーター、会社の経営者とユーザーである。研究者は
カッティングエッジの技術が求めており、資金的な縛りをかけず、できるだけ自由に研究できる環境
を作ることが重要である。ベンダーの方は作ることが楽しくて仕事をしているので、資金を与えると、
お金になるようなものもたまに作るので、儲けが出ることとなる。ネットワークやシステムを動かす
オペレーターは、非常に保守的であり、動かないというアウテージを非常に嫌がるため、新しい技術
を入れたがらない。従って、新しい技術を導入するに際し、オペレーターをその気にさせることが非
常に重要だと考えている。こうしたこともあり、意図的に、研究者とオペレーターが一緒に研究開発
を行う仕組みにしている。また、会社の経営者は利潤を追及しており、儲からない研究にはお金を出
さない、技術がある程度成熟していてもビジネスモデルがないとだめだという。そのために、いかに
経営者を説得するかがエンジニアの仕事となる。一番重要な判断者は「ユーザー」となる。研究者に
とってはベンダーが「ユーザー」であり、ベンダーにとってはオペレーターが「ユーザー」であった
りするが、最終的には社会と消費者が技術を受け入れるかどうかという勝負になる。
(ビジョンを持ち、ビジネス展開を考えながらのオペレーションが必要)
●ワイドプロジェクトが上手くいっている理由は、産と学から優秀なエンジニアに加わってもらったこ
とに加え、プロジェクトの方向付けを行う人がビジョンを持って引っ張ったこと、プロジェクトの出
口としてビジネスを考えつつオペレーションしてきたことがあげられるように思う。
(公的機関がどの程度関与するべきかという基本的方針の選択が重要)
●インターネットの仕事をするに際し、)護送船団でいくか、*インターナショナルでいくか、+グ
ローバルでいくかをよく考える必要がある。)護送船団の場合、
「鎖国主義」か「帝国主義」のどち
らかにならざるを得ない。例えば、コンテンツ業界はグローバルだが、放送システムは護送船団式で
ある。3つの中で「規制」の影響が一番大きく、重要となる。*インターナショナルとは、ITU―T/
6
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3.
2
Rのような公的な国際機関で定められたルールに従って動くというもの。電話システムがその例。
「規制」はある意味重要な要素となる。+グローバルとは、IETFやW3Cのような公的な強制力を持
たない国際機関で定められたルールに従って動くというもの。「規制緩和/廃止」が必須となる。
IEEE8
0
2.
1
1bはグローバルな無線技術であり、グローバルの例に当てはまる。
●当然、会社の経営者は利潤が最大となる方法を選ぶので、囲い込みにつながる。その場合、互換性の
ない製品やサービスがたくさんでき、ユーザーが不利益を被るので、いかに、みんなが同じプラット
フォームで協力をしながら市場を作っていくかを考えることが非常に重要となる。上手く動かすため
には、ITU、IETFようなテストベッドやコマーシャルのオペレーションが必要であり、その中で、
この4者が相互にインタラクションすることが必要と考える。
(
「民間任せ」ではなく、
「民間主導」が重要)
●完全に民間任せにした結果、利潤追求に走り、間違った方向にいくことがよくある。こうしたことを
防ぐため、官と学が上手くリーダーシップをとる必要がある。
「民間任せ」と「民間主導」とは異な
る。出口としてのビジネスは経営的課題であり、企業が責任を持ってやることである。ただ、技術を
実用化し、ビジネスにする際、多少のリスクヘッジがなければ難しい場合もある。すべて競争でやれ
ばいいとか、民間に任せればいいという議論はあるが、リスクヘッジとして官による予算的支援はど
こかで必要となることが多い。民間主導するために、きちんと戦略を持って、官は支援すべきである。
(産の研究開発者が加わり、最先端の技術を追求するテストベッドが必要)
●種子島でロケットの発射を見てきたが、ロケット発射を成功させるために、産と学の非常優秀なエン
ジニアが一緒になって最先端の技術を追求している。商用展開前の技術開発に産の研究開発部門が入
り、最先端の技術を追求するテストベッドとなっている。税金による資金的支援があるから人を派遣
するというのではなく、夢のある「ビッグビジネス」に人を派遣し、技術開発をしている。このよう
なテストベッドが必要である。
(リーダーシップをとれる人材の育成が重要)
●技術開発はビジネスに寄りすぎても失敗する。リーダーシップが必要な場面が多くあるので、リー
ダーシップをとれる人材の育成が重要である。
加納
貞彦
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
(国内市場からグローバル市場への主戦場の変更が必要)
●これまでは国内通信キャリア向け叉は主導の市場で、情報通信関連企業はビジネスを行い、十分儲け
ることができた。しかし、今後はグローバル市場に目を向ける必要がある。したがって、国内市場で
はなく、グローバル市場で売れる製品やサービスを開発するための実用的研究に変化させなければな
らない。すでにオペレーターで海外に展開し、痛い目に遭ったために、縮小撤退する方向になり始め
ているが、それでも引き続き、グローバル市場のニーズを把握し、海外企業(事業者)との関係を確
立していく努力が必要である。国内市場も外国企業(キャリア、メーカー)の参入によりグローバル
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市場の一部とすでになっている。国内市場を守るにしてもその最大の防御策は、外へ出て行くことで
ある。
(セグメント別市場を創造する努力が必要)
●ヘルスケア、若者マーケット等、各セグメントで、企業は、ユーザーと一体化した研究開発体制をと
る必要がある。つまり、市場調査に止まるのではなく、いろんなセグメントのユーザーと一緒になり、
新たな情報通信技術の使い方を確立し、探索していく必要がある。
(これまで以上にアーキテクチャ創造や標準化のための戦略が重要)
●グローバルな展開やセグメント別のマーケティングを行うに際し、これまで以上に、アーキテクチャ
創造や標準化のための戦略が非常に重要になってくる。企業には、共通化すべきプラットフォームと
個別に対応するべき部分を区別し、どのように作っていくかという戦略が必要となる。
(これまで以上に大学の担うべき領域が拡大)
●これまで大学は企業への人材の供給及び基礎研究を行うことが役割とされてきた。技術やマネジメン
ト手法の変化が激しいだけではなく、厳しい国際競争のために、企業内で再教育を行う余力が少なく
なっているために、今後は新卒者を供給するだけでなく、人材の再教育もやらなければならない。ま
た、同様に、企業の経営悪化のために、研究開発費が削減される方向にあるため、大学は基礎研究だ
けではなく、研究成果の実用化も必要となる。
(企業と大学間の人材交流が必要)
●大学が新たな役割を担うためには、大学と企業の両方で経験を持つ人が必要となる。そのためには、
人材交流を容易にし、2∼3年の間、行き来できる仕組みを作らなければいけない。
(常駐の専門家による研究開発方針の策定等が必要)
●行政は、研究開発方針の策定、実施及び資金提供の方法を変える必要がある。これまでの審議会方式
では限界があり、常駐の専門家が研究開発方針を策定し、プロジェクト・マネジメントを行い、評価
する機関や仕組みが必要と考える。
(新しい形でのJapan Inc. の復活も重要)
●国際競争力強化を支援するための政府の具体的政策として、もう一度、新しい形のJapan Inc. を作る
必要があると考える。図4の政府関係研究投資の流れを見れば明らかなように、アメリカにはUSA
Inc. があるというような気がする。例えば、1
999年度の政府関係の研究開発投資は、日本が3.
1兆円
に対し、アメリカは8.
3兆円。この差は、ほぼGDP比といえる。ただし、日本では産業界に流れるお
金は、全体の1
0%で0.
3
1兆円であるのに対し、アメリカでは4
2%の3.
6兆円であり、日本に比べて1
2
倍のお金が政府から産業界に流れている。
●大学の研究費自体は、1.
3兆円と1.
6兆円でほぼ同じであるが、産業界を経由して大学に流れるお金は、
アメリカでは大学予算の1
5%と大きいが、日本ではその三分の一の5%でしかない。絶対額もアメリ
カの2
4
0
0億円に対して日本は7
3
0億円と3.
3倍になっている。産業界経由で来る金額の差が、アメリカ
6
9
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3.
2
図4 政府関係研究投資の流れに見るUSA Inc.
米国における産業界の重視
1.政府研究開発投資の日本10%、米国42%
2.絶対額 日本0.31兆円、米国3.6兆円
(日本の12倍)注)GDP比 2.3倍
3.産業界経由大学へ
(大学の日本5%、米国15%)
3.1兆円
8.3兆円
米国
産業界→大学
3%(2,400億円)
日本
産業界→大学
2%(730億円)
政府研究
開発投資
10%
42%
48%
(0.31兆円)(1.3兆円)(1.5兆円)
産業界
大学
政府研究
開発投資
政府機関
42%
20%
38%
(3.6兆円)(1.6兆円)(3.1兆円)
産業界
大学
政府機関
数字(1
9
9
9年度)の出典:経済産業省「我が国及び産業の研究開発活動の動向」平成1
3年8月
の大学における産業界に役立つ研究の実用化志向に現れ、日本では産業界と無関係な基礎研究が多い
という形になって現れている。
宮原
秀夫
大阪大学大学院情報科学研究科長
(情報通信分野の学位取得者の日米差)
●IT戦略会議において、2
00
5年までに修士、博士号の取得者を米国の水準にまでにすることが目標と
されている。NSFの統計によれば、アメリカでは、情報通信分野で、博士が毎年約2,
000人出ている。
日本では、毎年約3
5
0人で、1
0分の1程度しか出ていない。人口比で補正しても、アメリカでは学部
卒で1.
6倍、修士で3.
2倍の取得者がいる。
(時代や社会の要請により、学科定員の比率を柔軟に変えることのできない日本の大学)
●情報通信分野に関しては、学部よりも修士、修士よりもドクターが役に立つ。特に、今日のように、
会社で社内教育ができない状況になっているときに、修士あるいはドクターが非常に重要な存在とな
る。しかし、IT関係が重要でも、日本の大学では工学部の中で情報系学科の定員を増やすことがで
きない。一方、アメリカの大学の場合、時代や社会の要請により、学科定員の比率を柔軟に変えられ
る。日本で定員比率を変えるためには、非常に複雑で手間暇のかかる手続きが必要となる。
(機能しない学生に対する経済支援システム)
●文部科学省はドクターの定員増を認めてくれたが、経済的な問題があり、ドクターの学生は定員に満
たない状況にある。アメリカの場合には、TA、RAシステムがあり、授業料を払った後に、月約
2,
0
0
0ドル、年間で2万ドル∼3万ドルの給料を手にしている。自ら授業料を負担しているドクター
の学生はいないばかりか、給料までもらっている。日本にも、TA、RAシステムはあるが、時給
1,
4
0
0円。しかも、週何時間までという事実上の上限がある。渡せる時間数を増やして欲しいとお願
いすると、
「いつ勉強するのか」と言われる。こうしたことから、学生の手に渡るのは年間で4万円
程度に過ぎない。また、企業からファンドを取ってきた場合でも、そのファンドを使って学生に給料
を出すことができないことになっている。博士課程の3年間、経済的支援があれば定員問題は解決す
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0
3.
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7
0
る。
●ポストドック1
0万人計画といって、博士号を取得した学生を雇用するシステムがある。物理などはポ
ストドックがたくさんおり、ある意味ではオーバードクター状態にある。しかし、情報系はニーズに
対して絶対数が少ないため、ドクターに行った場合でも途中から企業に持っていかれてしまう。した
がって、ポストドックはいない。ポストドックを雇うお金は文部科学省がくれるが、ポストドックは
いないので、ドクターの学生に使わせてくださいと言っても、これもだめだと言われる。
●お金がない訳ではない。企業からもある程度研究費としてもらっているし、科学研究費ももらってい
る。ただ、その中から人件費を出すことができない。そのシステムだけ変えて欲しい。そうすれば、
ドクターに進む学生は増えるし、優秀な学生も残る。優秀な学生を企業に送り込むことができる。残
念ながら、優秀な学生がドクターまで残るインセンティブがない。システムが今は上手く機能してい
ない。
(アジアの優秀な学生を採ろうとしない日本)
●大学から奨学金をもらっている学生の大部分は中国からの優秀な学生らしい。もし日本で同様なこと
が起これば、奨学金を留学生に出していいかという議論に必ずなる。優秀なアジアの学生を日本に採
るということを全然考えていない。優秀なアジアの学生はアメリカに行く。日本には、二番手、三番
手しか来なくなってきている。これも大きな問題。
高橋
修
富士通テン常務取締役
(現状では、日本での技術開発は非常に難しい)
●議論を喚起するために、多少極端な話をさせていただく。今のままでは日本での技術開発は非常に難
しい。企業には技術開発を行う資金的余裕がない。一方、ベンチャーそのものの問題もあるが、日本
にはベンチャーが育つ仕組みがない。ベンチャーの仕組みがない、同時に、日本の官主導の産学官連
携は上手くいっていない。メーカーの立場からその理由を挙げてみたい。
(官主導の産学官連携参加者の目標意識が異なること)
●第1に、参加者の目標意識が違う。産業界は事業化や製品化が目標。極端に言うと、官の方は技術開
発ができればよい。商品になろうが売れようが、とにかく当初立てた計画どおりに技術開発ができれ
ばいい。国からの補助金による研究は、中間報告では、ほとんどのものが上手く行っているとされて
いるが、結果的に、本当に商品になり、事業化されたものはほとんどない。また、学の方は、若いひ
との意識は変わってきたが、基本的には、論文が出したいとか、製品化の目処が立てばいいという感
じに見える。目標意識が違うことが大きな理由。
(官主導の産学官連携では、開発・事業化責任者が明確でないこと)
●第2に、開発・事業化責任者が明確でない。これが一番大きな問題。成功するかどうかのポイントは
1番目が人、2番目がマーケット、3番目が技術。日本の官主導の研究開発は逆をいっているように
見える。誰がやるかはメーカーの人の顔を見て決めなければいけないので、まず技術がものになるか
7
1
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3.
2
どうかだけを考える。技術偏重傾向にある。まず、誰が責任を持って事業化するのかを明確にしなけ
れば成功しない。
(オープンへの偏重)
●IT業界と自動車業界はどちらがグローバルか。国際標準、規格等については圧倒的にIT業界が採用
している。自動車業界はほとんど仕様は開示していない。しかし、グローバルな売上額の点では、自
動車業界が勝っている。オープン化=グローバル化ではなく、オープンにしなくても、上手くビジネ
スをやる方法があるように思える。自動車業界で行われているグローバル化とは部品調達。必ずしも、
インタフェースをオープンにすることだけがグローバル化ではなく、いろいろな形のグローバル化が
ある。インタフェースをオープンにするビジネスモデルでは、日本にはあまり勝ち目がないように思
う。オープンに偏重せず、見せるところは見せる、隠すところは隠すということが重要である。ただ、
そのさじ加減は非常に難しい。
(成功への私案:テーマの設定)
●産学官によるグランドデザイン作成が大事。決め方のポイントは2つ、「専任」と「若手」。専任メン
バーで、3
0∼4
0代の若手が、メーカーや大学から籍を抜いてもらい、死にものぐるいでグランドデザ
インを作成し、テーマを設定する。毎年、そのグランドデザインはアップデートする。メンバーは3
∼4年で交代する。このような仕組みの下、
「あるべき姿」ではなく、
「ありたい姿」
、つまり「高い
目標」を掲げる。企業の研究開発で高い目標を掲げず、成功したものはない。できない場合、官の方
に迷惑をかけるので、本当は1
0
0ぐらいやりたいが5
0ぐらいのスペックを書いておくということはや
めたほうがいい。高い目標は成功の絶対条件。また、研究開発のキーワードは「融合」と「豊かな社
会」だと考える。いろんなものが垣根を越えてつながる時代になる。だから「融合」
。そして、お年
寄りや障害者を含め、国民が豊かさを実感できる社会作り。そのために必要な技術の開発。例えば、
環境技術では、メーカーは全然儲かっていない。こうした技術こそ、国で考え必要がある。もう少し、
「融合への技術」と「豊かな社会への技術」に重点を置くべき。
(成功への私案:実施方法)
●開発・事業化責任者が明確することに加え、関連する技術・製品を同期化して開発しなければならな
い。例えば、ITSは普及したものの、全然車にETCが付いていない。車作りの同期化が重要である。
また、省庁の垣根を越え、実用化へのサポート・プログラムやサポート・チームも作る必要がある。
(産官学の役割)
●産業界には技術の垣根は低くする発想が必要。企業がこれほど競争力を失っても、依然として垣根意
識がある。垣根を越えた発想を持つことが重要。
●官の役割は技術を開発・普及させる環境整備。例えば、事業を実施し、拡大させるための「電波の確
保」など。また、
「枠組みの指針づくり」
、スペックづくりではなく指針づくりが重要。例えば、有線
/無線、広帯域/狭帯域網など、各種インフラのインタフェースのオープン化が技術開発・普及の環
境整備となる。さらに、消費者の保護と観点からは、いろんな技術を競争させて、競合技術のいずれ
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が普及しても利用者を困らせない仕組みを国と考えて欲しい。最後に、産業構造の変化点を乗り切る
ためには、リスクを背負う必要がある。リスクを背負ってチャレンジしたひとには、5年なり10年な
り、セーフティネットで救済してあげるという仕組みがあれば、リスクを背負ってチャレンジするひ
とがもっと出る気がする。
●学に対しては、未来への見識とキーとなる国際競争力のある基礎技術開発をお願いしたい。大学は基
礎技術か応用開発、どちらを担当すべきかという議論がありますが、個人的には未来への見識を持っ
た基礎技術を期待したい。
(事業化できた技術がよい技術)
●開発と事業化の距離は非常に大きい。事業化できた技術がよい技術と考える。
(チャレンジすることが大事)
●成功体験は人材を育てる。失敗の体験では次の成功を生む。したがって、チャレンジが大事。チャレ
ンジをなくして先には何もない。
(評価はマーケットの視点で見る)
●評価はマーケットの視点で見て欲しい。以前、研究マネジメントを担当した際、テーマの15%を切っ
た。役員レベルには止めさせる考えがなかったため、散々言われた。マーケットの尺度(市場の大き
さ、差別化の重さ)で評価し、研究開発を止める勇気が必要。会社をクローズする勇気も同じ。
寺崎
明
総務省大臣官房参事官
(平成1
3年度から平成1
7年度の5年間における日本の研究開発費は約24兆円)
●科学技術基本計画において、日本政府全体で、平成8年度から12年度までの5年間で約17兆円研究開
発費を用意している。したがって、現実には、加納先生が提示された数字よりも少し多い。現在は第
2期に入っており、平成1
3年度から平成1
7年度の5年間では約24兆円を費やすということになってお
り、年間5兆円弱となることから、研究開発費の額ではアメリカに比べるとまだ少ない。24兆円とい
う金額を決めた際には、侃々諤々の議論をすることなく、決まった部分がある。このような長期計画
を作る際には、一層の国民的な議論が必要と考える。
(NTTの研究開発費は減少傾向)
●情報通信分野では、研究開発において、これまでNTTが果たしてきた役割は大きいが、1
985年から、
NTTの研究開発費は減少してきている。また、研究開発要員数については、全体の数に大きな変化
はないものの、ハード要員が激減し、ソフト要員が多くなってきている。今後、情報通信分野の研究
開発をどのように行っていくかを考えなければならない。
(研究者数の構成比率において、研究機関や大学の比率が低い)
●分野ごとの研究者数の構成比率に関して、情報通信関係では、研究機関や大学のパーセントが著しく
低い。逆に言うと、民間が一生懸命研究開発をしているということかもしれない。また、基礎研究か
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3
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2
応用研究といった多層的な研究という観点から見ると、応用研究の分野は市場として広がってきてい
るので、大学の学科別の定員を決める際にも、こうした点を加味する必要があるのではないか。
(日本では、国は基礎研究だけを担当すべきとの認識が強い)
●日本では、大学が基礎研究をやり、民間企業が実用化/商業化研究をやるという流れできているが、
今日では、基礎研究と応用研究を厳密に区別することは難しい。ただ、一般的に、基礎研究と応用研
究との間には大きな死の谷があり、さらに実用化に近づいたときにもダーウィンの海があるといわれ
ている。バリアとなる谷や海を埋めるために、アメリカでは、研究開発投資の制度をいろんな点から
検討しながら、運用してきている。アメリカで、政府の多額の研究開発資金が産業界に流れていると
されているが、バリアとなる谷や海を埋めるという意味もあると考える。一方、日本では、こういう
点が十分であるか、否かの評価があまりされていない。ただ、財務当局は、国は基礎研究を担当すべ
きであり、実用化/商業化研究をやる必要はないという認識。したがって、切れ目なくいろんな研究
開発を行うためには、民間のレベルでも、国はこういうことをもってやらなければいけないというこ
とを、かなり大きな声で言っていただきたい。
(日本企業のシェアは重要かについて、議論が必要)
●日米欧の技術水準を比較した場合、日本は端末系などは強いが、ソフト関連では弱い。また、コン
ピュータやネットワーク関連の技術に関しては、外資系企業のシェアが高い。外国のいいものはその
まま利用すればよく、これからの時代はこうしたシェア問題は関係ないという考え方や、先端的なも
のを作る以上は、日本の技術がなんらかの形で貢献し、日本企業もシェアをとるべきという考え方な
ど、いろいろな考え方がある。このような点についても、更なる議論が必要。
(日米において、特許1件あたりの科学論文の引用件数に大きな差)
●情報通信分野における基礎研究と産業の結びつきを科学論文の引用件数で評価することが妥当かとい
う議論はあるが、特許1件あたりの科学論文の引用件数という観点から見ると、米国と日本では大き
な差があり、更に開きつつある。知的所有権についても、もっとセンシティブにならないといけない。
(夢のある技術を開発したい)
●最終的に、何を研究開発するのかがポイント。昨今の役所では、マトリックスを作り、この分野ごと
に国際比較を行い、穴がある部分をやろうという議論になる。こうしたことは重要であるが、一方で、
情報通信技術には夢がないといけない。情報通信に関しては、新しいニーズは基本的になく、ニーズ
が出てくるようなものを作ることが大切。月にロケットを上げるような夢を描いた上で、具体的なも
のを作っていかなければいけない。
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[パネリストによる討議](以下、敬称略)
オープン化戦略
(許斐)
●パネリストがディスカッションをする前に、国領教授にコメントをいただきたい。
(国領
二郎
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)
●単独では非常にいい技術を社会の中に送り出していくためには、ビジネスモデル含めたシステムが必
要となり、明らかにいろんな要素を複合する。アーキテクチャで、日本が全くリーダーシップを取れ
ていないという話とつながる。日本では、それぞれに非常にいい技術をつなぎ合わせ、社会システム
を作り、世の中に語りかけながら、いろんなプレイヤーが運用していくという組織化が弱い。例えば
個人情報の問題も当てはまるが、テクノロジーが開発され、実用化の域に到達してから、ようやくほ
とんどの人がそのテクノロジーの意味を理解しはじめた。直線的に技術が開発し、最後にビジネスモ
デルとなり、世の中に出ていくというリニアなモデルではなく、今後は、もっとコンカレントなモデ
ルが必要となる。
(江崎)
●例えば、セキュリティ問題については実際に動かしてみないとわからない。そういう意味でも、テス
トベッドを作り、実際に当事者が動いていかなければならないが、最初からオープンにすると、いろ
いろなひとがいろいろなことをいうために、それに引きずられ、システムは全く動かなくなる。標準
化のプロセスでよく起こること。バランス感覚を持ち、技術を開発しながら、また実際のシステムで
動かす前に、本当に重要な問題を早めに解決することはすごく大事。ただ、最初からフル・オープン
にするのではなく、デザインチームは小さくし、実証する場から大きくしていく形の方が上手くいく
と考える。
●グローバルとオープンに関し、トヨタはクローズドだが、グローバルだということはその通り。どの
時点で、フル・オープンにし、競争を行うかは戦略。例えば、最初、トヨタは全部クローズにしてい
たが、コストダウンできないので、グローバル展開するときに際に、選択肢を増やすために、部分的
にグローバルにしていったのではないか。
(高橋)
●自動車産業が上手くいき、ITが上手くいかなかった理由のキーワードは、
「信頼性と安全」
。自動車
業界は一見クローズドで、中が少しだけオープンであることに、みんなが納得した理由は「信頼性と
安全」にある。日本車は信頼性が高い。安全性を確保するために、クローズドである必要があるとい
う理屈。しかし、中のインタフェースは結構オープンにやっている。上手にリークしていると言った
ほうが正しい。そのあたりのさじ加減はマーケットによって異なるため、技術ごとに適当なやり方が
あるはず。技術開発についても、産官学の枠組みについても、画一的な方法で、このルールに乗って
いないとダメというやり方は止めたほうがいい。
(許斐)
●通信には特性があり、ある種の社会設計が必要ではないかという点について、西岡さんからお話いた
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だきたい。
(西岡郁夫
モバイル・インターネットキャピタル`代表取締役社長)
●アメリカでは、携帯電話からのインターネットアクセスが全く普及しない。アメリカ人は「キラー・
アプリがないからだ」と言っている。しかし、アプリケーションがのるWAPはすでに何百種類にも
派生しており、ぐちゃぐちゃになっている。iモードのスペックを書いたのはドコモだけであった。
競争理論から言えば、みんなが自由に競争をできる世の中がいいに決まっている。しかしiモードが
上手に立ち上がった理由のひとつには、スペックメーカーが1人だったということがある。トップを
走っていく人間が初期段階に果たす役割は重要と感じる。
(江崎)
●はじめからヨーイドンでやると、ぐしゃぐしゃになるので、スモールグループでやる方がいい話した
が、複数の技術やテーマが存在する場合、結局、すべて公平にお金を付けることになるため、一点突
破できない。一点突破するところには、誰かリーダーがおり、そのリーダーシップの下、資金を調達
し、技術開発も進む。ともかく進め、ある程度進んだ時点で、別のシナリオが見えるはず。オープン
化し、フリー・コンペティションすることになるかもしれないし、出せないところはそのままグロー
ズドで進めることになるかもしれない。ある程度進んだ時点で、軌道修正できることが大事。
(国領)
●囲碁には縛りが多いが、その中でほとんど無限の組み合わせのゲームが展開される。インターネット
のアーキテクチャについても、低いレイヤーを共通化し、縛りを入れることで、上のレイヤーでは自
由度がすごく増した。ここがツボというようなところに、わりとシンプルな縛りを入れると、その上
での多様性が増し、活性化する話であり、アーキテクチャはあまり複雑なものにせず、数人が考えた
ぐらいの案外単純なもののほうがいいということなのだろうと思う。日本では、何か土俵を与えると、
その中ですごくおもしろいものを作るが、プレイングフィールドそのものの設計をするという知恵が
足りない感じがする。
(宮原)
●オープンにするか、垂直統合かという話は企業戦略で決まった結果だと思う。例えば、当初、IBMも
クローズにして、SNNを自分のところだけにつながるように作った。しかし、ユーザーから、マル
チベンダーでなければだめというニーズが起きたため、オープンにして、技術公開をした。ある時点
で、どのような判断するかということが非常に重要という気がする。
立案企画・評価にも資金が必要
(宮原)
●企業は大学の研究をあてにしていないという話があったが、事実そうだと思う。大学の人間もそれに
甘んじているところがある。きちんとした評価システムがないことが大きな原因。企業が大学に委託
研究などを出したときに、レビューをきちんとやり、だめなものはだめで切らなければならない。こ
れまで、こうしたことが起こったと聞いたことがない。影では、ある先生に研究資金を出したにも関
わらずレポートをもらえない、しかし資金は切れないと言っているのが現状。こういうことでは世の
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中良くならない。
●日本学術振興会から出ている『学術月報』の12月号に、朝日新聞の女性記者が日本の問題点について
書いている。その中に1つに、文部科学省が科学研究費に約1,
500億を充てているが、いい加減な評
価をやっているおり、例えば、お金をつける研究を選ぶ際、まず審査員が選ばれ、1
00件ぐらいの申
請書の束が家に送られてきて、2週間以内に読んで選べといわれる。いい審査ができるわけがない。
その記者は、1,
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0億円の5%にあたる3
0億円を使えば、若手の非常に優秀な研究者を年間レビュ
アーして雇うことができるだろうと言っている。そういう話をすると、日本では、評価に30億円を使
うのであれば、研究費に出せという意見が必ず出る。日本では、立案企画・評価に対してほとんど金
を使わない。思い切って、立案企画・評価にお金を使わなければ、よいものは生まれない。
●カリフォルニア大学のプロフェッサーをしている友人がいるが、カリフォルニア大学からNSFに2年
間アサインメントされ、大学から離れてNSFで、アメリカのネットワークをこれからどうするかとい
う立案企画をやっている。NSFがプロポーザルの審査をするので、優秀な人をきちんと集めている。
アメリカでは、立案、企画と評価にお金を使っている。
(寺崎)
●日本では、右から左に振り子が振れやすい。評価をやるとなると、とにかくなんでも評価するとなる
傾向にある。今日、評価と言われだした理由のひとつに、政府、企業ともに財務状態が悪く、ともか
く研究開発費を削りたいという意向があるように思われる。評価は本来前向きなもので、将来に向け
てつなげていくものであり、評価によって、研究開発費がどんどん削減されるような運用は避けなけ
ればならない。
標準化戦略の重要性
(寺崎)
●携帯電話のPDC方式とGSM方式を技術的に比較した場合、PDCの方がよいかもしれない。しかし、
技術的によくても世界に普及するとは限らない。戦略性が重要。例えば、日本の場合、標準化に際し、
ものづくりに影響しないように、機能のみを標準仕様とし、具体的に製造する部分までは決めない。
将来の技術進歩の後押しという観点からは正しい。PDCも同じ方法をとった。しかし、GSMの場合、
標準方式はラックの長さ、高さ等、全部標準化した。古いおかしい標準化の方法であった。しかし、
発展途上国に持っていく場合、標準化されているか、否かが重要であるが、PDCの場合、ドキュメ
ントに機能しか書いていないが、GSMの場合、ラックの高さまで書いてあり、そのまま使える形に
なっている。結果的には、GSMが採用された。戦略性について反省すべき点がいろいろある。
(宮原)
●教育分野でも、グローバリゼーションとスタンダードという問題が起きている。アメリカの機関が学
生の品質保証制度を導入しようとしている。例えば、大学のコンピュータサイエンスという学部が、
規定のカリキュラムで、規定の教育方法をとれば学生にクレジットをあげることにすれば、その学部
を卒業した学生については品質を保証するというもの。そして、そのスタンダードをアジアに広げよ
うとしている。つまり、アメリカが自国の教育を世界スタンダードとしようとしている。アジアの企
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業に就職する際、日本の大学を出た学生は品質保証を受けていないということで差を付けられる可能
性がある。これは、教育分野におけるアメリカの標準化戦略。
1
0億円規模の事業からまず始める重要性
(高橋)
●ベンチャーは1
0億円ぐらいを売り上げ目標としてスタートすることが多い。しかし、日本の大企業で
は、1
0
0億円が一つの基準であり、その可能性がないものはだいたいだめとされる。売り上げ1
0億円
ぐらいであればなんとかなりそうな技術はたくさんあり、サポートする制度もあるようだが、残念な
がら人が動かない。せっかくここまで長く勤めてきたのに、今さらリスクを取ることはないと考える。
1
0億円規模の事業が成功しないで1
0
0億円規模が成功することはないので、人を動かすために、3∼
4年間は籍を抜くが戻れる可能性があるという仕組みを作れば、社会は活性化するように思える。
有線と無線の切れ目のない通信サービス
(高橋)
●総務省では、有線と無線のインフラを縦割りで担当している。有線と無線の切れ目のないサービスの
提供により、日本独特の強さが出せる気もする。
(寺崎)
●ユビキタス社会になれば、電波の果たす役割が大きい。ただ、電波割り当ては過去の歴史を引きずる。
アメリカ地域、ヨーロッパ地域、日本地域と全世界が3つに区分され、区分ごとに独自に周波数の割
り当てを行ってきたため、国によって周波数が異なる場合がある。その結果、製品を作り、グローバ
ルに展開する際に困ることがある。そうしたこともあり、周波数を変えながら、空いたところに新し
いサービスを入れていくことが必要となる。このような考えに対する社会的なコンセンサスを形成す
ることが不可欠である。このコンセンサスをどのように作るか、どういう考え方で周波数の割り当て
をすべきかについて、さまざまな議論を行いつつ、新しい事業をスムーズに展開できる世界を作って
いくことが必要と考える。
「日本」の定義
(許斐)
●会場の方々ともコラボレーションしたほうがいいと思いますので、ぜひお願いしたい。
(山田
肇
東洋大学経済学部教授)
●加納さんと寺崎さんに伺いたい。加納さんは“Japan Inc.”
、寺崎さんは「我が国」とおっしゃって
いるが、それは何を指すのか。いまこの日本に住んでいる人なのか、日本国籍を持っている人なのか、
資本比率が5
0%以上の日本企業のことなのか。例えば、ソニーでは、外国人の持ち株比率が40%を越
えており、外国人株主が一致団結すれば、外国に本社を移すことも可能な状況であり、日本企業とい
えるかもかわらない。何をもってJapan Inc. を作ろうとしようとしているのか、何が「我が国」なの
かがよくわからないので、聞かせて欲しい。
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(加納)
●例えば、ソニーにしてもグローバルに活動を展開しているが、本拠のある国(日本)の人材供給、研
究開発力、支援企業、関連企業などが強いため、はじめて外で競争できる。Japan Inc. という意味は、
グローバルな企業が出てくるために、国としていろんな条件整備をしようということ。グローバル企
業といっても本拠はどこかの国にあり、その経営・研究開発・製造・宣伝販売等の基本的な考え方に
おいて、その国の特色が深く刻印されているものである。ロナルド・ドーア氏も言うように、株主の
利益を中心に動く米英型資本主義(Stock Market
Capitalism) に対して、その他の関係者(ユー
ザー、従業員、環境など)の全体の福祉を重視する福祉型資本主義(Welfare Capitalism)という新
しい型の経済システムを日本が実現して、その中でアジア・欧米の人と共生して行くという意味で、
Japan Inc. という言葉を使っている。Japanが重要なのではなく、日本に来て、いろいろまた学び、
例えばマレーシアに戻り、マレーシアでマレーシアインクをやって、マレーシアが強くなればいいと
いう非常にオープンな意味で使っている。日本が他国も学ぶに値する新しい規範を作るという意気込
みが大切である。
(寺崎)
●「我が国」と言ったときは日本国をイメージしている。貿易などでも、国を単位としてカウントして
いる。日本政府の人間なので、日本国がどう発展していくか、安全保障としてどう考えていくのかと
いう視点で考えている。
(山田)
●日本の国際競争力を強化するということはいいが、それはイコール日本の大学と、日本企業と、日本
政府で開発するという意味ではないことを確認したい。外国の人たちの力を上手く使い、日本の主張
を上手く通していくことが大事であるが、政府の研究開発投資を見ていると、日本の大学や日本企業
に資金を提供し、場合によっては、日本企業だけで世界に売れないものを作ることがある。その点を
危惧している。
(寺崎)
●指摘の点は全く同感。外国の人が自国の技術が全く入っていない製品を喜んで買うかといえば、そう
いうことはない。日本人だけで日本の技術を作くるのではなくグローバルな視点で取り組む必要があ
る。
(江崎)
●国家は家と考えればよい。つまり、豊かな生活ができる空間を作るということが目的であり、豊かな
空間を作るために何をすべきかということ。家で生活するに際し、他者とインタラクションせず、自
給自足で生きることができるとは誰も思わない。豊かな家は、おそらく収入がたくさんあり、自由な
時間があり、外から欲しいものを持ってくることができるし、自分の技術は外に売れるという環境に
ある。貧乏な家にはお金もないし、ものも買えず、食べるものも食べられない。国家は家のようなも
のと考えるとよい。
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まとめ
(許斐生)
●時間なので、最後に一言ずつお願いします。
(江崎)
●ロケットのように夢のあるものを作りたい。
(加納)
●今日の議論にあったことを出来る範囲で実施していきたい。大学では、実用化志向教育を行ったり、
人材交流をやりやすくする等の努力をしたい。また、ベンチャーの事業規模が10億円ということであ
れば、大学に年間1兆3,
0
0
0億円の研究資金が提供されているので、1,
3
00ぐらいのプロジェクトが出
来ることになるが、1
0分の1の1
30プロジェクト分ぐらいは、柔軟にベンチャー的なものに使えるよ
うにしてもらいたい。
(宮原)
●我々の大学でも、特にアジアからトップの学生が来て、奨学金を受けられるように努力している。ア
メリカのように、トップの学生がほとんど中国からの学生で奨学金を受けるという状況に日本がなれ
ば、世間からリアクションがあると思うが、国際競争力に勝っていくための大学の施策と考え、引き
続き、努力したい。
(寺崎)
●産官学の連携と言っても、どういうところが問題かお互いによくわからない。産学官それぞれが、2
∼3年間、お互いに出向し、相手の組織に行き、きちんと仕事をしてまた戻ってくる枠組みができる
といいと思う。また、研究開発はロマンを持って行う必要があり、夢のあるテーマを考える必要があ
る。
(高橋)
●いちばん大事なのは人材交流であり、人材交流が進むような、政策の立案や行政的支援をいただきた
い。
(許斐)
●技術の視点から情報通信産業の国際競争力をみるということで、セッション2を進めてきた。詳細を
議論し、落とし込まなければいけない重要課題もいろんなところであるようにも思う。今後のディス
カッションの場で、詳細に定義して詰めていくという作業が必要と感じた。今日は、ここまでとした
い。ありがとうございました。
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セッション3(1
5:3
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「ブロードバンド推進における課題」
現状分析、規制問題、インフラの在り方など
鈴木
幸一 `インターネットイニティアティブ(IIJ)代表取締役社長
ダリル・E・グリーン
真野
浩
ジェイフォン`代表取締役社長
ルート`代表取締役社長
中村伊知哉
スタンフォード日本センター研究所長(郵政研究所客員研究官)
林
哲史
日経バイト編集長
山川
鉄郎
総務省情報通信政策局総合政策課長
(コーディネーター)
山田
肇
東洋大学経済学部教授(郵政研究所客員研究官)
[討議で指摘された課題や提言]
1
価格競争一辺倒の施策の是正
2
第1種と第2種の統合に際し、規制の基準となる技術(規制の理念及び目的)が不明確
3
民間ができる地域のインフラ整備は民間が行い、そうでなければ公共投資が必要
4
ルーラル地域においてもブロードバンドインフラの整備が必要
5
最新技術の活用した周波数のリ・アロケーションは不可欠
6
公共財であるインターネットを守るために、何らかのルールや規制導入の検討が必要
7
後追い行政の是正
8
国民全体の創造力や表現力の底上げがコンテンツ・ポリシーの基本
9
行政の役割:1)競争促進の支援:通信設備等の更なる開放
2)利用者保護:)UNIの開示義務付け
*「トラブル110番」設置
+無線LAN運用の技術的ガイドラインの設置
1
0 日本にはビジョンといえるビジョンは存在しない
[プレゼンテーション概要]
山田
肇
東洋大学経済学部教授
(テーマを3つに絞って議論を行う)
●このセッションでは、議論するテーマを3つに絞り、それらについて、パネリストの考えを伺った上
で、議論をしたい。
8
1
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(テーマ1:ブロードバンドのコンテンツについて)
●1番目の課題はブロードバンドのコンテンツについて。ブロードバンドのコンテンツとして何が期待
されるのか、どのような組織が作り出していくのか、いわゆるハリウッド型の産業か、放送局のよう
なマスメディアか、それとも地域のボランティア組織か、あるいはインディーズ版を作るような若者
か、さらに、諸外国の動きについて考えを聞かせいただきたい。
(テーマ2:ブロードバンドのインフラについて)
●2番目はブロードバンドコンテンツが流れるインフラをどのように作るかについて。ブロードバンド
のインフラはどのように用意されていくのか、企業の努力に任せればいいのだろうか、公共的な投資
が必要なのか、また、諸外国はどのように動いているのかということ。また、無線技術が急速に発展
をしており、ブロードバンドのインフラの候補として取り上げられているが、電波規制等々と密接に
関連している。どのような規制等が望ましいかについても考えを聞かせいただきたい。
(テーマ3:セキュリティ、利用者の認証などの管理運営サービスについて)
●3番目はセキュリティ、利用者の認証、時刻の認証、著作権管理などの管理運営サービスについて。
管理運営サービスは、どのようにして実現していけばいいのか、企業による市場競争に任せればいい
のか、政府が関与する分野があるか、諸外国はどのように動いているのかについて考えを聞かせいた
だきたい。
鈴木
幸一 `インターネットイニティアティブ(IIJ)代表取締役社長
(価格競争一辺倒の施策は適切なのか)
●8年前当時のメガビット単価で売り上げを計算してみたところ、約5兆8,
000億円になる。メガビッ
ト単価はちょうど1
00分の1に落ちている。儲かっている会社は1社もないというような現状。こう
した現状にも関わらず、日本ではIT戦略会議で価格を下げる方策を検討してきた。本当に正しかっ
たのかという疑問がある。アメリカでは、政府がタオルを投げたような状況で、通信会社が財務的に
立ち直り、インフラをや整備する余力ができるまで、ブロードバンドはお休みという現況。したがっ
て、日本と好対照に、アメリカでは毎月通信費が高くなっている。
(ブロードバンドの問題点は、価格競争によるアンバランスな発展と通信機器の遅れ)
●コンテンツをだれが作るかは難しい話。現在、最大のトラフィックとなっているコンテンツはポルノ
グラフィー。ただ、非常に多くのトラフィックがあるにも関わらず、サーバの技術が非常に遅れてお
り、ブロードバンドに対応できない。また、通信機器も遅れており、数百ギガのレベルに対応できる
通信機器はできていない。これが世界の現況。ブロードバンドの問題点は、価格競争一辺倒の結果、
アンバランスに発展していることと、アメリカにブロードバンドマーケットができなければ、対応で
きる機器が製造されず、オペレーションが大変であること。
(映画や音楽等をインターネットで流せる仕組みを考えることが重要)
●インターネットでしか見られないものをインターネットで見るわけで、どうしても裏側のコンテンツ
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になるというのが現況。誰がコンテンツを作るかも問題だが、映画や音楽等、今あるコンテンツをイ
ンターネットで流すにはどうしたらいいか、著作権をどう扱うかということも大きな問題。インター
ネットでコンテンツを流してもなかなか儲からないが、コンテンツを使って儲ける仕組みを考える必
要がある。
(通信インフラのコスト負担問題は道路のコスト負担問題のように複雑)
●石炭屋が石油屋になるには結構大変。石油屋と通信との違いは、通信においてはいわゆる石炭屋が
作ったインフラを使わないとビジネスができないこと。回線が象徴的だが、設備についても同様。今
の料金水準で、代わりのインフラを作るインセンティブは湧かない。ホットスポットについても、設
備コストの負担が問題となっている。最終的には、通信インフラについても、道路のコストはだれが
負担するのかというような難しい議論になる。
(規制はどの技術を基準とするのかが問題)
●規制の在り方も難しい。第1種と第2種を一緒にするというが、まったく異なる技術基盤であり、事
業モデルも異なる。どの技術を基準にした規制を作るのかという問題が生じる。
ダリル・E・グリーン
ジェイフォン`代表取締役社長
(日本で移動体通信が普及した理由)
●PCの普及率やADSLの普及率から見ても、日本人はPCに向かって過ごす時間が非常に少ない。常に
動いているため、移動体通信の方が向いており、移動体通信の分野で世界をリードしてきたと考える。
加えて、日本政府は周波数オークション制度を採用しなかったため、通信事業者に大きな負担がかか
らず、設備投資を行い、新しい通信を実現していくことができた。
(差別化とコスト低廉化の期待)
●日本では、携帯電話端末についても、サービスについても、各通信事業者が差別化を図り、競争を
行っている。しかし、GSMと比べ、規模が小さいためにコストが高くなる。一方、GSMでは、標準
化が進んでいるため、設備や端末のコストは安いが、差別化はあまりされていない。GSMを採用し
ている通信事業者は差別化を行いたい。日本の通信事業者はもっと安い端末や設備が必要。3Gでは、
こうした流れが合流するため、非常におもしろい時代になる。
真野
浩
ルート`代表取締役社長
(コンテンツはニーズデマンドで、いろんなプレイヤーが作る)
●ブロードバンドのインフラはコモン・インフラストラクチャー、つまり、土地とか道路と同じあると
考えている。インターネットでは、すべてのコンテンツはデジタルの1と0の塊になり、かつ離散的
になった。そのため、その上で何をやるかは非常に自由になり、目的別のインフラ、サービス、法律
ということではなくなりつつある。したがって、コンテンツは誰が作るかについても、コンテンツを
サプライしたい人、あるいはニーズのある人同士を仲介したい人たちが作ることになる。コンテンツ
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には、行政サービス、ポルノグラフィー、エデュケーションなど幅広く含まれるが、いずれにしても、
ニーズデマンドで、いろんなプレイヤーが作っていくことになる。
(
「放送と通信の融合」はすでに実現している)
●「放送と通信の融合」についても、完全なサプライヤーマインドであり、利用者側では、すでにイン
ターネット上では放送と通信の境は引けなくなってきている。実際、インターネットの上でラジオを
聞き、テレビを見ている。したがって、
「放送と通信の融合」とは、現実に追いついていない制度の
改革の上でのタームと考えている。
(ブロードバンド・インターネットの定義)
●ブロードバンドの定義は、アプリケーションから見たバンドワイズが十分に広く、常時接続型である
こととする。ダイヤルアップはインターネットを早く使いたいという要求を満たすために、既存のイ
ンフラの上にインターネットを乗せたために生じた過渡的な技術にすぎない。ザ・インターネットと
IP網は大きく異なり、ザ・インターネットは誰のものでもないが、ザ・インターネット以前のインフ
ラストラクチャーを使うIP網には網の所有者がいる。誰のものでもないということは品質等の保証が
ないと同時に、複雑なことは何もできない、シンプル・アンド・ステュービットであるということで
ある。したがって、唯一残されているスペックはアドレス空間とIPプロトコルだけとなる。
(民間ができる地域のインフラ整備は民間が行い、そうでなければ公共投資が必要)
●ブロードバンドインフラの整備を広く推進していく理由は、特定の産業や特定の分野ではなく、社会
や国を豊かにし、汎用的に、いろんな人がいろんな形でいろんなメリットを享受できるという期待を
みんなが持っているから。そうであれば、土地や道路の整備のように、公社化して全部国がやればど
うかという議論になるが、競争原理が働かない状況で整備を行えば、現在の高速道路のように悲惨な
結果となりかねない。したがって、民間が参入するインセンティブを持ち、メリットを得るところ、
つまりマーケッティビティ、スケーラビリティがあり、ビジネスモデルが成り立つところは民間が自
由にやるべきであり、官は手を出すべきでない。我が国のADSLの普及について、人口カバー率は高
いが、エリアカバー率では極めて低いという点からも明らかな通り、民間の自由競争に任せておけな
いルーラル地域がある。こうしたところには、ある程度の公共投資が必要と考える。
(ルーラル地域においてブロードバンドインフラを整備する理由)
●高速道路に関しても、熊しか通らないところに造るのはナンセンスという議論が絶対出てくるが、社
会全般的にメリットをもたらすインフラであれば、国が整備する必要がある。ルーラルに子供が生ま
れないということはなく、ルーラルに文化が生まれないわけではない。公平性の確保とともに、国全
体の底上げにつながる。国際的にも、ITUや、IETF等のインターネット・ソサエティにおいて、発
展途上国で、IPのインフラをいかに普及させるかという議論がなされている。
(公共投資を基礎に、地域住民がインフラ整備という動き)
●日本では、1
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99年ごろから、旧郵政省が「地域イントラネット導入促進事業」を行い、1,
200∼1,
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あるルーラル地域での自営網構築を支援してきた。その結果、数百町村が自営のIP網により、域内網
を構築した。これまでは、役場、病院、社会センター等の公共施設だけをつないでいたが、最近では、
自分たちで枝葉を付け、地域住民でもシェアするという発展型の方向に動いている。また、もう一歩
進み、NPOベースでユビキタス・モバイルコミュニティを作ろうという動きもある。
●地域住民がインフラを整備する際に障害となることは、自治体のために引くファイバーを民間で使う
のは何事かとか、病院と役場のあいだをつなぐのは2芯で足りるであろうという役所的な考え。費用
の大部分は工事費であり、材料費よりも工事費が大幅に高く、2芯でも100芯でも費用には大きな差
はない。やりくり上手な自治体、あるいはやりくり上手なオピニオンリーダーがいる地域においては、
地域住民にも開放されつつある。このような動きもあるので、誰がインフラを整備するかについて、
特定の者に固定しないことが望ましい。
(周波数のリ・アロケーションは不可欠)
●電波資源は、空気や水と同じで、所有するものではないと考えている。ただ、電波を利用したい人が
非常に増え、受給バランスが崩れている現状において、周波数が十分にあった従来型のやり方は非常
に非効率的。そうした時代に周波数をもらった人が、1年間に3回だけ行う電波実験のために周波数
を保持し続けている実態はナンセンスであり、周波数のリ・アロケーションは絶対に進めなければい
けない。
(周波数のリ・アロケーションに際しては最新技術の活用を)
●インターネットのもたらした最大の技術革新は、離散通信、要するに連続して独占しないこと、さら
にアプリケーションを選ばないこと。周波数のリ・アロケーションを進めるに際しては、革新的技術
を活用すべきである。例えばIPという共通の中間層を用いることにより、いろんなアプリケーション
で共用できるようになる。つまり、フレケンシーのスペクトラム・バンドワイズと、アプリケーショ
ンで必要なアプリケーション・バンドワイズが分離できることになる。
(
「通信路」と「線路」の区別が不可欠)
●「通信路」と「線路」の区別がインフラ整備を進めていく上で不可欠となる。これまでは線路イコー
ル通信路であり、エンド・ツー・エンドで、すべて一つの線路が通信サービスを提供していた。現在
では、これまでとは異なり、通信路と線路は明らかに異なったものとなっている。つなぎ目だらけの
自立分散網をいかにコントロールするかが課題となる。
(必要となる電波行政の内容)
●今いちばん必要なことは現状の利用状況の精査。次に再配置のためのグランドデザインを書くこと。
そして、従来、最も周波数行政になじまないと言われていた事後監視を導入が必要となる。
(公共財であるインターネットを守るために、何らかのルールや規制の導入も検討すべき)
●個人のセキュリティは個人が守るべきであり、行政あるいは事業者が知り得たプライバシーは、行政
あるいは事業者の責任において守るべきである。ただ、インターネットという公共財を誰が守るべき
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かについては十分に議論がされていない。インターネットは分散型で誰のものでもない共通基盤であ
る。この点において、インターネットは道路と同じであり、道路については、例えば暴走族に自由気
ままに走らせないために、道路交通法などの規制やルールがある。インターネットに関しても、迷惑
メールやウイルス等の問題が生じている。公共財を守るためにはルールや規制、倫理が必要である。
インターネットにも、何らかのルールや規制を導入すべきかもしれない。
中村伊知哉
スタンフォード日本センター研究所長
(後追い行政の是正が必要)
●日本の情報通信分野のパフォーマンスというのは決して悪くない。しかし、インターネットの普及や
デジタルの進展により政策の環境が1
8
0度転換したにも関わらず、まだ制度は後追いである。例えば
自営ネットワークの重要性が高まれば、事業者を対象とした行政は限界を見せる。将来は事業法を撤
廃して、新しい公衆電気通信法を作るという検討が必要になるという気がする。
(今後の政策の柱)
●アメリカではハリウッドがコンテンツの生産基地だが、日本はテレビ局がその機能を果たしている。
したがって、通信や放送のすべてのネットワークで、テレビ周りにある映像コンテンツがじゃぶじゃ
ぶ流れるようにデザインするべきである。大きな政策の柱としては、1つ目は通信と放送の総合的
ネットワークを作ること、2つ目は帯域免許制度の導入等、電波行政の見直し、3つ目は放送コンテ
ンツのデジタル化に伴う著作権のルール化。さらに放送のハードとソフトの分類というのを認める規
制緩和を行うかも論点となる。
●行政のスタンスをどのように変えていくのかが課題。つまり、
「事前調整から事後監視へ」というト
レンドを、いかに政策に反映するかという問題であり、ビジネス支援を止め、利用者の保護をいかに
行うかということとなる。e―Japan計画のような「インフラ整備の国家目標」と「民間主導」の折
り合いをいかにつけるかを考えると、
「ビジョン行政」はやめるべきである。ただ、問題の多くは、
行政問題というより政治問題と考えている。
(国民全体の創造力や表現力の底上げがコンテンツ・ポリシーの基本)
●今後とも、テレビ局がコンテンツ製作の中心となるであろうが、電子商取引、医療、教育などのコン
テンツが増え、エンターテイメントはワン・オブ・ゼムとなる。同時に、プロが作るコンテンツより
も、素人が作るコンテンツというのは着実に増えてくる。みんなが作ったコンテンツや考え方を、イ
ンターネットのコミュニティに持ち込み、共有して、交換して、そこでまた新しい価値を生んでいく
ことになる。コンテンツ・ポリシーというと、すぐにプロのクリエーターやコンテンツビジネスの支
援という方向に行きがちだが、今後は国民全体の創造力や表現力の底上げが基本となる。
林
哲史
日経バイト編集長
(議論の前提条件)
●ブロードバンド社会が来ることは基本的に歓迎すべきこと、コンテンツに限らず全般的にブロードバ
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ンド社会を牽引、先導するのは民間であり、行政の役割は支援と調整だけということを前提としてい
る。具体的な行政の役割としては、競争促進の支援、消費者保護の徹底、ビジョンの作成の3点と考
える。
(行政の役割:競争促進の支援⇒通信設備等の更なる開放)
●通信自由化後の8
5年∼9
0年代半ばにかけては、新規事業者の保護・育成に注力してきた。非対称規制
により、NTTに厳しく指導し、NCCを育てた。料金値下げについても、長距離通信の利益を原資に、
調和をとりながら、段階的に行うように指導した。NTTとNCCの競争についても、参入及び退出規
制をかけ、調和ある競争をさせてきた。しかし、90年代後半以降、通信改革のステージに変化があっ
た。電話からインターネットへ主なマーケットが移行し、企業ユーザーでなくて個人ユーザーがビジ
ネスの対象になってきた。そうしたことに伴い、財務基盤がそれほど強くなくても通信事業者でも容
易に参入し、サービスを提供できるように政策転換を行った。その結果、激しい競争が起こり、
ADSLなどの料金が安くなった。ブロードバンド化を早く、安く実現するという点において、競争促
進は効果的であった。
●具体的に効果のあった競争促進策として、通信設備資源の開放が挙げられる。ADSLにおいて、
Yahoo等の新規参入事業者が1年間で百万以上のユーザーを獲得している。その理由は単純であり、
NTTのリソースを使えるようにしたからである。更に、いろんなリソースを開放すれば、競争はよ
り促進する。具体的には、)アクセスポイントの設置場所、*共同溝、+周波数帯域の3つの開放が
効果的である。
(行政の役割:利用者保護⇒)UNIの開示義務付け、*「トラブル1
10番」設置、+無線LAN運用の技
術的ガイドラインの設置)
●電話からインターネット、企業から個人、従来のコモンキャリアから新規参入事業者へと主役が変化
している。そのために、これまでに考えられなかった問題が発生している。Yahoo BBをめぐるトラ
ブルが象徴的な例であり、パケット漏洩問題、共有ファイル問題、DHCP誤入問題の3つの問題が発
生している。パケット漏洩問題は、他人のデータが流れてくるという問題で、Yahoo BBは事実は公
表しているが、詳細は非公開。共有ファイル問題は、他人のコンピューターが覗けるという問題で、
危険性をマニュアルで指摘しているが、対策はユーザーに委ねられている。DHCP誤入問題は、近所
のDHCPサーバー機能付きルータにアクセスする結果、契約しても通信が出来ないという問題で、
Yahoo BBは公式には認めていないが、総務省は知っている。
●求められる消費者保護策として、3つ考えられる。1つ目はUNI(User―Network Interface)の開示
の義務付け。開示することにより、どのようなデータが来るべきかがわかる。その結果、他人のデー
タが流れてくることや自分に割り当てられるIPアドレスが正常でないことがわかる。網設計の自由度
は高めるべきであり、そのためにも、UNIの開示が必要である。
●2つ目は全事業者を対象とする「トラブル110番」の設置。現在は、総務省のホームページからク
レームの受け付けを行っているが、開示はしていない。利用者からのトラブル報告を受付け、トラブ
ル内容を開示するとともに、事業者にヒアリングを行い、その結果を公開し、回避策を紹介するとい
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う仕組みが必要。安く、早くサービスを提供するにはトラブルは避けられない。事業者が自分でトラ
ブル情報の周知を行えばよいが、なかなかやらない。許認可事業であり、行政がトラブル情報を周知
してもよいのではないか。
●3つ目は無線LAN運用の技術的ガイドラインの設置。現在の無線LANセキュリティは極めて脆弱。
行政機関や小売店のPOS端末等で使用されており、今後、大きな問題となる可能性が高い。セキュリ
ティに万全はなく、便利さとのトレードオフを考えた上で使用することになる。したがって、トレー
ドオフの判断材料となる知識やデータが必要。行政がガイドラインを作成し、適切な判断を行うため
の正しい知識やデータを提供することが適当。
(共通認識を形成するためにビジョンは必要)
●どこまでを民間に決めさせるのか、何を基準としてブロードバンド技術の優先順位を決めるか等につ
いて、何らかの共通認識が必要。例えば。DSLとISDNが緩衝する場合、ISDNが優遇される。そもそ
もISDNはNTT流のDSL技術。優れた技術が出来たとしても、ISDNと緩衝する場合、現状では置き
換えることは困難。技術の進歩に対応できない。ISDNを撤収し、違う技術を採用するという判断は
NTTしかできない状況にある。今後の通信を考える上で、プレイヤーが共通認識を持つために、行
政はビジョンを示す必要がある。
山川
鉄郎
総務省情報通信政策局総合政策課長
(日本のブロードバンド化の進捗状況)
●e―Japan戦略に掲げられたインフラ整備に関しては、相当進捗しており、高速3
00
0万世帯、超高速
1
0
0
0万世帯に対する整備という目標に対して、常時接続可能な環境であるDSL3
500万世帯、超高速
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6
0
0万世帯が準備できた。e―Japan戦略の数字ビジョンが目標達成に寄与したと考える。料金水準
的にも、Yahooが今世界でいちばん安い状況にある。問題は、実際の加入可能数に比べ、実利用が低
図5
日本発の新IT社会の構築
実利用の低迷
欧 米 の 状 況
安全保障への懸念
インフラ整備はe―Japan
戦略の目標を達成した
が、実利用は低迷
DSL 14.6%(511.8万件)
[2002年11月末]
FTTH 0.9%(13.8万件)
[2002年10月末]
基幹的な技術は、米
国が圧倒的に優位
欧米通信産業の危機的状況
過当競争と過剰投資でバブル崩壊→存立の
危機FCC(1996年通信法の制定)
経営破綻
CPU
(インテル、AMD 98%) 連邦破産法適用申請企業
PC用OS
’01年34社、’02年8月現在22社
(Windows、Mac 99%) 料金値上げ
高速ルーター
ADSL:約40→約50(US$/月)
(シスコシステムズ等 95%) 設備投資減少
暗号技術 など
’02当初計画 487∼511億ドル →’02修正計画 415∼427億ドル
メーカーの経営悪化
最終損益(’01年度)通信事業大手4社で▲485億ドル
株式市場低迷
インターネット関連企業の株価は、約2年半
強で93%下落
国の基幹的システムである通信インフラを投機の道具にしたことへの反省
我が国の得意分野を活かすITの利活用戦略を早急に立案すべき
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迷していること。DSLでは5
0
0万世帯を越えたが、実利用は1
4.
6%。ファイバー・ツー・ザ・ホーム
では0.
9%の世帯でしか使われていない。今後は、図5のように、我が国の得意分野を生かす、ITの
利活用戦略というビジョンを作るべきだと考える。
(コンテンツ流通促進のためには、現実的かつ冷静なマーケティングに基づくビジネスモデルが必要)
●放送局や新聞といったメディアと「2ちゃんねる」はどちらも重要なメディアではあるが、社会機能
的には果たすべき役割は異なる。また、
「通信と放送の融合」に関し、放送のコンテンツがじゃぶ
じゃぶと通信ネットワークに流れるようにすべきだという話があったが、コンテンツ供給者は誰でも
そう考える。実現するためには、どのような商売が成り立つかについて、現実的かつ冷静なマーケ
ティングに基づいた具体的な議論が必要。
[パネリストによる討議](以下、敬称略)
ビジョンは必要か、否か
(山田)
●ビジョンが必要という意見と脱ビジョンという意見が出ている。この点から、議論を始めたい。
(中村)
●例えば、e―Japan戦略において定められている「インフラ整備の国家目標」と「インフラの整備は
民間で」という概念は矛盾するように思う。こうした観点から、政府による数値目標は不要と考える。
(鈴木)
●これまでの競争相手は電話屋、電力屋と鉄道屋だった。彼らは過去に蓄積して、大投資を行ってきた。
いまは民間企業になっているが、民間企業になってからの大規模な投資はあまり見受けない。そもそ
も、インフラ投資を民間でやるということはあまり聞いたことない。過去においても、日本で大規模
なインフラ整備を民間主導でやったことはあまりない。民間でやると非常に割が合わない。現在の通
信インフラのベースですら、民営化前に投資したインフラの延長線上にある。特にラスト・ワンマイ
ルについては、電力線に光ファイバーを付けてしまうという神業的な事例はあるが、基本的に民営化
前の資産。世界の通信会社がなぜ苦しいかというと、インフラに大規模な投資をしたため。通信は高
く売れない。大規模投資をしたとたんに、通信業界は転げてしまった。
●アメリカでは、
「国防上の観点から」というと議論が収斂する。国にビジョンがあるため、フランス
テレコムもドイツテレコムもつぶれない。つまり、ナショナル・インタレストとディフェンスという
観点から、世界の通信のナショナル・キャリアはつぶれない。ビジョンの内容は国によって異なる。
●問題は、ビジョンが必要か、否かではなく、総務省もNTTも、だれも本当にいいビジョンを持って
いないこと。よいビジョンであるならば、やはりビジョンは持っていた方がいい。そして、堂々とビ
ジョンを訴えればいい。ないにも関わらず、あったほうがいいか、ないほうがいいかという議論は無
意味。きちんとした通信に対する将来ビジョンを出して欲しい。
(グリーン)
●政府にITを普及させたいのであれば、ビジョンを作り、インフラに公共投資するよりも、パソコン
を非課税にする方が効果的。競争が一番重要で、競争がなければ、今日の安くいい通信サービスは存
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在しない。
(山田)
●ヨーロッパには、e Europeというアクションプランがあるが、それについてはどのように考えてい
るか。
(グリーン)
●e Europeという政策は、行政がフェアな競争条件をいかに作るのかというもの。EUは1つの国のよ
うなものであり、その様々な事業者がフェアな土俵で闘えるように規制しているだけ。公的資金を使
い、インフラを整備するというビジョンは無駄。多額のお金を使っても、フランステレコムのミニテ
ルのように、結局使われないかもしれない。日本において、税金を投入して作り成功したものを聞き
たい。
(山川)
●言葉の定義をきっちりせずに論議をすると話は噛み合わない。日本政府のビジョンは競争政策であっ
た。1
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5年にNTTの独占を廃止して、競争原理を入れたときから、インフラ整備については、競争
原理の下、民間が行い、民間ができない部分については国がやるということが基本原則。これが19
85
年からの一貫したビジョン。その結果、インフラは整備されてきた。これが大きな流れ。ただ、ビ
ジョンを、戦略や戦術という細かいレベルまで落としていくと、そうした基本原則をとりながらも、
いろいろな選択肢が出てくる。いかにインフラ整備のインセンティブを民間に与えるか等も含まれる
ことになる。
(鈴木)
●アメリカでは、通信業界が下降局面になり、従来の競争政策は間違いではあったという論調が主流と
なっている。6月ぐらいから、上院でも、そうした議論が行われている。こうした点に関し、総務省
はどう考えるのか。
(山川)
●総務省は、欧米の失敗に学び、日本流の新IT社会を作るべきだと立場をとっている。したがって、
過当に競争が進んでいいかという点については、大きな問題意識を持っている。
(山田)
●政府の基本方針は、競争をできる環境を整備し、その中で民間企業が自由に競争すればよいというも
のであり、ビジョンでもあるという話だが、それでは、なぜ3,
000万世帯や1,
000万世帯という数値目
標が出てくるのか。
(山川)
●現在、原則として国はインフラ整備を行っていない。民間がすべて整備している。したがって、
3,
0
0
0万世帯なり1,
0
0
0万世帯なりのインフラ整備をする際に、民間に対し、整備を進めるためのイン
センティブをどのように与えるかが重要となる。そうした観点から議論を行ってきた。その結果、民
間では採算が取れない、つまりインセンティブの働かない地域においては、デジタルデバイドを解消
するために、国が整備する必要があるという方向となっている。つまり、国がやる分野と民間がやる
分野を明確に分けて、それぞれにインセンティブを与えたり、予算を配分しながら、全体として目標
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を達成に向かって邁進しようということがビジョンとなっている。
(真野)
●国がビジョンにおいて、具体的なインフラの数値目標や固有のテクノロジーの普及率を示す必要はな
い。ビジョンは、国益という観点から、新たなサービスの創造を喚起するようなものであるべき。例
えば、IPv6という固有の技術のタームでしかない。そのままサービスとして何かに直結するわけで
はない。これまで、国全体で、この技術を開発しようと言って実施したもので上手くいった事例はな
い。
●ビジョンは、具体的なインフラの数値目標や固有のテクノロジーの普及率ではなく、もう少し高い抽
象的なレイヤーで示すべきである。具体的に踏み込んだ形で示された場合、ビジョンというよりも縛
りと感じてしまう。その場合、民間の競争に対してインセンティブを与えるどころか、下手をすると
大きな障害を生み出す可能性がある。
(林)
●ビジョンらしいビジョンが存在しないために、このような議論になる。ブロードバンド社会を牽引、
先導するのは民間であり、行政の役割は支援と調整だけということを前提とするが、行政はビジョン
においてディテールまで示すべき。よい社会にしたいということは当たり前であり、みんな合意して
いる。戦術戦略論は細かいから、
「ビジョン」の範疇には入らないのかもしれないが、具体的な「よ
い社会」とは何かということと同時に、
「よい社会」を実現するための具体的な戦略や戦術を行政は
示すべきである。
欧米の通信事業は本当に失敗したと言えるか
(グリーン)
●「欧米の失敗」と言われるが、経済は複雑であり、ある程度の期間を見なければ失敗か否かはわから
ない。1
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0年代に民営鉄道がはやり、鉄道バブルがあった。バブルが崩壊して、大変な時期があった
が、1
0年後、鉄道は国の成長の役立つこととなり、最終的には十分儲かった。ITバブルの破壊につ
いても、同じことが言えるかもしれない。いろんな会社が破産し、また合併されるが、最終的にはよ
い結果をもたらすのではないかと考える。
(山川)
●そのとおりかもしれない。例えば、米国での光ファイバーの資産が将来大いに活かされ、産業に大き
な貢献をする可能性は否定しない。ただ、短期的には、例えば、欧州では、周波数オークションの採
用により失敗した。ドイツ政府にはオークションにより5兆円のお金が手に入った。しかし、ドイツ
政府が保有しているドイツテレコムの株の評価損が9兆円に及んだ。したがって、結局4兆円の損を
したこととなる。しかも、通信事業者の財政状況が悪化したため、欧州では第3世代携帯電話サービ
ス開始の目処がたっていない。概して、もう少しソフトランディング的な方法があったのではないか
と考える。
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ブロードバンド時代のコンテンツ
(山田)
●コンテンツの問題で、中村さんから、)放送がじゃぶじゃぶ通信の中に流れる世界と*一人ひとりが
情報を発信していく時代という2つの話があった。最初の話に関し、現在、CSには1
00チャンネル以
上あるがほとんど全部が大赤字で商売にならない。ファイバー・ツー・ザ・ホームになれば、チャン
ネル数は無限に増やせが、ビジネスの観点から考えると、
「放送がじゃぶじゃぶ通信の中に流れる世
界」は現れるのか疑問がある。この点についての説明を。
(中村)
●ブロードバンドが出現し、電送路は通信網も加わり、多様化した。コンテンツ側が多様化したネット
ワークをどのように選び、どのように使うかという話。また、テレビ局が持っているコンテンツをそ
のまま流すべきだということではなく、プロフェッショナルなクリエーティブ能力をブロードバンド
にも生かすべきだということ。
●商売が上手くいっているか否かは別として、CS放送においてハードとソフトが分離された影響は大
きい。分離されたことにより、プロダクションの方が容易に放送局を作れることとなった。通信業界
の発達やPCの普及率の向上などが通信政策の目的ではないはず。日本の強みを生かし、みんなが情
報を世界に発信できる社会を目指すべきである。その過程で、いろいろな問題も発生するだろうが、
どれだけ目をつぶれるかが勝負の分かれ目。
(山田)
●携帯電話においても、着メロ、ニュース、天気予報等のプロが製作するビジネスコンテンツと、写
メールのように、友達とのあいだで交換する写真のような素人が発信するコンテンツがある。これら
のトラフィックの比率について、どう考えるか。
(グリーン)
●携帯電話では、きめ細かな料金請求ができる。日本のモバイルインターネットが進んでいる理由のひ
とつは、コンテンツ屋がお金を儲けられる仕組みとなっており、よい有料コンテンツがあるため。
●最初は、多くのひとが有料コンテンツを見ていたが、個人が作るコンテンツやコンテンツのやりとり
も増えており、今では4倍の成長率を示している。
(鈴木)
●インターネットには、映倫も審査委員会もない。勝手にコンテンツを流せる。この点で、放送とは本
質的に異なる。規制できない点がインターネットのよい点。
●インターネット上で最大のコンテンツ出逢いサイトやチャット。コンテンツを作るひとがいて、その
コンテンツを一方的に受け取って楽しむというよりも、インターネットでは、お互いに何らかのコ
ミュニケーションをとる。こうした点が魅力となっている。一方的に配信されるコンテンツとは違う
ものが主流となるのかもしれない。
(山田)
●だれもがインターネットで自分の意見や情報を発信できる時代になったときに、マスメディアになぜ
価値があるのかと考えるか。
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(林)
●その点について、明確な答えはない。ただ、インターネットでは、コンテンツに少しでも問題があれ
ば、クレームがものすごく来る。だからそのコンテンツは良くなる。紙のメディアなどは自戒してい
かなければならない。
●コンテンツに関して、日本の強みは何か、したがって、どうしなければならないという議論には意味
がない。ほかの国ですごい天才が現れ、ものすごくよい仕組みを作った場合、インターネットでは、
世界中の人がその仕組みをすぐに使う。インターネットの世界では、日本がどうこうという議論は馴
染まない。
(山田)
●時間となったので、結論が出ないままであるが、終わりにしたい。ありがとうございました。
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3
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総 括(1
7:3
0∼1
8:0
0)
安西祐一郎 慶應義塾
月尾
塾長
嘉男 総務省官房総務審議官
安西祐一郎
慶應義塾
塾長のあいさつ(概要)
●この1
0年の間、世界は激変をしており、世界における日本の位置づけも大きく変わった。具体的には、
遅れを取り始めているということであり、孤立の傾向をたどっているのではないかということである。
特に情報通信の世界においては、携帯電話のみならず、GPS、あるいはコンピューターのソフトウェ
ア関連も当てはまる。アジア、特に中国の動向からも置き去りにされつつある気がする。
●戦後5
0年余りにわたる日本人の努力が経済成長を生み出し、豊かさを生み出してきたわけだが、それ
がある意味でオーバーシュートして、ツケとなって回ってきている。経済成長の最終的な段階の間に、
大学への投資も含め、未来への投資を行っておくべきであったが、なきままに過ぎてきたために、将
来に向け、いろいろなことを考えなければいけない時期に差し掛かっている。
●慶應義塾大学は、湘南藤沢キャンパスの創設により、これまでの伝統的な学問の方法と違い、先生と
学生が一緒になって新しい課題に挑戦をするとともに、学生一人ひとりが自分でものを考え、そこか
ら何かを生み出していく教育方法を採用することで、日本のいろいろな大学に大きな影響を与えてき
た。近未来には、法律やビジネスを融合させた戦略構想大学院(仮称)を設立し、日本のリーダーを
育成することも考えている。2
00
8年に創立1
50周年を迎えるが、日本の状況を覆すために、今後とも、
慶應義塾大学は大きな展開を図っていくことを考えている。微力ながら、今後とも、情報通信分野を
始めとする日本の発展に尽力していきたい。
月尾
嘉男
総務省官房総務審議官のあいさつ(概要)
●総務省としては、旧郵政省時代を含め、大学と共同でシンポジュームを主催することは初めてだが、
大変成功したシンポジュームになり、共催していただきました慶應義塾大学を始め、ご後援いただい
た団体、パネリストの皆様、聴衆の皆様に厚く御礼申し上げます。
●技術開発の速度が今は非常に速く、それを受け、社会の要請の変化も大変速い。役所は、社会のすば
やい動向を的確に把握して、政策を作っていかなければいけないが、公務員倫理規定の関係もあり、
なかなかできなくなってきたので、このような機会に、産業界や大学の方々からご意見を伺うことは
大変重要なことになってきた。
●日本は長期的な戦略を立案することが苦手であり、解消しなければならない。今回のシンポジューム
が、政府、民間、大学のそれぞれ役割を認識しながら、多様な視点から戦略を作っていくきっかけに
なればよい。総務省としては、今日いただいたご意見をどう活かすかを真剣に検討して、長期戦略を
立てる参考にさせていただきたい。今後とも、大学との共同シンポジュームを開催し、議論すること
を通じ、問題解決の方向にむかうことを期待する。本日はありがとうございました。
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最後に
総務省に対しては、自分たちと異なる考えに全く耳を貸さず、無視叉は攻撃する傾向にあるとの批判
があります。今回のシンポジューム開催を契機に、批判を含む、幅広い意見をバランスよく受容し、よ
り一層、政策に最大限活かす環境作りに努力していくつもりです。
現実には、多様な利害関係者が存在するため、すべての方に賛同いただける政策を立案し、実施する
ことが難しい状況にあります。しかし、それ故に、ご協力いただくみなさまのご意見を真摯に受け止め、
限られた資源を有効に活用し、実効性のある政策を選択するために、多様な政策オプションを十分に比
較検討を行った上で、政策決定を行う必要があります。
何らかの形で目に見える成果を出すことにより、
「協力してよかった」と思っていただけることこそ
が、大変お忙しいにも関わらず、貴重な時間を割き、ご意見をくださる方々に対する、総務省の責務で
あり、感謝の意思表示でもあると考えます。
今回、共催していただいた慶應義塾大学、ご後援いただいた日本経済団体連合会等の団体に改めてお
礼を申し上げるとともに、引き続き、みなさまのご協力をお願い致します。
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視
点
シミュレーション
横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授
1
鳥居
昭夫
すことができる。多くの場合、複雑な均衡解のふ
シミュレーションの有用性
るまいを、均衡解を直接解くこと無しに、いかに
前回の稿の最後に、カウフマン博士のモジュー
巧妙に説明できるかが経済学者の解析の実力を示
ル化の機能に対する見解を紹介した。カウフマン
す機会となっている。そのような中で、シミュ
博士の分析は、強いて分類するとすれば多分理論
レーションは、比較静学分析によって解の性質を
生物学に分類されると思うが、シミュレーション
はっきり示せない時に、パラメータに数値例を代
による分析が多い。理論生物学に限らず自然科学
入してみて均衡の動きを予測することによって、
では、シミュレーションという分析技法は一般的
比較静学分析の代わりに解の性質を議論する手立
な技法となっている。同時に、基盤となる数値解
てとなることが多かった。このような傾向のため、
析の技術も非常に発達している。
経済分析の中では、シミュレーションには安易な
それと比較して一般に、経済学者はこれまでシ
分析というイメージがつきまとったのではないか
ミュレーションという分析方法に冷淡であったと
と思う。一般に、理論は単純で「美しい」ほどよ
思う。それは、主に経済学が比較静学分析に頼っ
り高く評価される傾向があるのに対して、シミュ
てきたことと無関係ではない。比較静学分析とは、
レーションは「力づく」の結論と位置づけられて
ある経済現象が定常的に落ち着く条件(ある点が
いたのではないか。
均衡解であるための必要条件)を示し、今ある状
筆者もこれまで、どちらかというとシミュレー
態がその条件を満たすとすれば(経済が均衡にあ
ションは、他の方法で分析することが困難である
るとすれば)
、様々な経済環境を示すパラメータ
ため、とりあえず結論に近いものを求める時に使
が変化した時、
(均衡の)状態がどのように変化
う場合に頼る術とすることがあった。また、なん
するかを予測する分析である。
らかの命題を証明する時に、その証明の方向を模
比較静学分析は、均衡解がいろいろなパラメー
索するために使っていた。たとえば、ある式の値
タの関数として、多項式や三角関数が組みあわ
が正であるか負であるかを証明する時に、最初か
さってこれこれこういった形になると、明示的に
らどちらの符号であるかがはっきりと分かってい
解けていなくとも可能な分析である。均衡解の満
た方が、正負どちらとなるかが分からずに分析す
たすべき条件式が、外生的パラメータの変化に
るよりも、はるかに容易に証明できる。このよう
よってどのように変化するかを考察することに
に、どちらかというと、あくまで補助的な技術と
よって、均衡解がどのように影響を受けるかを示
してシミュレーションを用いていた。
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しかし、ある時から反省し、シミュレーション
仮定して」という形で、多くの変数を無視して、
という技法をもっと積極的に使うべきだと思うよ
いくつかの変数だけを対象として分析する。そう
うになった。こう思うようになったのは、レー
でなければ、通常の経済分析は不可能となるから
ダーの開発とこうもりの飛行の関係についての解
である。マクロ経済分析の場合には、典型的にこ
説を受けたことからである。自らの恥をさらすよ
れらのモデル化を必要とする。ミクロ経済分析の
うだが、それまでは、漠然と、こうもりが飛行す
場合にも、モデル化をせずに分析することはすこ
る時に超音波を用いることは広く知られていて、
ぶる難しい。
その原理を応用してレーダーが開発されたと無知
したがって、多くの経済分析は程度の差こそあ
にも思い込んでいた。しかし、事実は逆で、まず
れ、現実の複雑な経済現象を、モデル化を伴って
レーダーが軍事技術として開発され、その後、こ
単純な形でシミュレートしたものと考えることが
うもりの飛行が超音波をレーダーの様に用いた運
できる。そうであれば、特に自然科学の分野で発
動として理解されるようになったということであ
達したシミュレーションの技法を用いて、より的
る。すなわち、こうもりの行動が理解されるため
確なシミュレーションを行うことによって、分析
には、レーダーというシミュレーション=モデル
の質は向上するのではないか。
の開発を待たなければならなかったそうである。
たとえば、なんらかの現象が偏微分方程式で示
この解説は、筆者にはまことに「目から鱗」で
されたとする。一定の境界条件や初期条件の下で、
あった。なんらかの既存の理論では説明できない
偏微分方程式は必ずしも陽表的に解けるとは限ら
事象があったとき、シミュレーションは背後にあ
ない。自然科学の分野ではこのような、メカニズ
るメカニズムを理解するための強力な手段となる
ムは分かっているが陽表的には解けない事象は非
可能性があるのではないだろうかと思うように
常に多くあるので、偏微分方程式で示された事象
なった。特に、人工知能などの研究においてシ
を差分式で数値的にシミュレートする技術が発達
ミュレーションは無くてはならない道具のようで
している。たとえば、微分を単純に2点の値の差
ある。
で近似してしまうと、誤差が累積してしまい解が
そこで考えてみれば、経済学の分析は多かれ少
得られないことが多い。このような場合でも、誤
なかれ、すべてシミュレーションと言えないこと
差を少なくし、真の解に近い解を得るための技術
は無いのではないだろうか。とりあえずほとんど
が考案されている。精度の高い解が得られること
全ての経済分析はモデル化を必要とする。企業や
が分かれば、任意の関数形の初期条件や境界条件
消費者などの経済学が対象とする主体は一般に多
の下で、解がどのように与えられるかを探る分析
数存在し、しかも「複雑」である。この場合複雑
も意味を持つようになる。結果をディスプレイ上
であるというのは、単に経済主体としてみても行
にアニメーションで表わし観察することも容易で
動を記述すべき変数が多くなり、多次元にわたる
ある。
分析を必要ということを意味している。通常の分
また、他のシミュレーションの効用として、次
析では、たとえば代表的企業や代表的消費者とい
のような例も考えられよう。たとえば、ある環境
う方法を用いたり、分析の対象を対称的均衡に限
パラメータの変化が均衡に与える影響が、2つの
定したりして、多くの主体を集計された一つの主
経路で可能であったとする。この影響が互いに逆
体として扱う。また、
「他の条件が一定であると
方向であった場合、標準的な経済学の文献での記
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2
述の仕方は、ある経路の影響が他の経路の影響よ
表的主体として集計してしまう場合の行動は、
りも大きい場合こうなる、逆にその影響が小さい
様々な選好や経験を持った相手と取引する場合の
場合には逆の結果となる、と説明するだろう。多
戦略的行動とは異なると予想され、取引市場の様
くの場合には、均衡に与える影響については定性
相そのものが異なってしまうと予想される場合に
的な議論しか行わないので、どちらが大きいと
も、シミュレーションに頼らなければならない。
ア・プリオリに断定することは難しい。しかし、
たとえば、電力取引のプール市場では、市場参加
現実的な環境パラメータの大きさの範囲で、それ
者は通常の市場取引とは異なる戦略的行動をとる
ぞれの効果の大きさが数百倍、ないしは数千倍異
ことが予想されている。さらに、経済事象が確率
なるということは往々にして存在するだろう。経
に支配される場合も、シミュレーションは多用さ
済学の分野では、このような、変数に対する影響
れる。背景として仮定される確率分布がいかに単
の大きさないしは変数の大きさそのもののオー
純であっても、取引が繰り返されることによって、
ダー(たとえば、数百の単位の話であるか、それ
ないしは確率事象が繰り返されることによって、
とも、数万の単位の話であるのか)をあまり気に
帰結となる事象の確率分布は非常に複雑になる。
することが無い。シミュレーションによって、現
これらの現象は、特殊な場合を除いて、シミュ
実的な環境パラメータの大きさの範囲で、正負異
レーションを繰り返すことによってしか分析でき
なる方向の影響のオーダーが、たとえば1
0の3乗
ないことが多い。
ぐらい異なるということが明らかになれば、どち
一般に経済学では、前に述べた様に、多くの経
らかの経路の影響さえ分析しておけば、他の影響
済主体の行動を、一つの経済主体の行動で表して
は無視できるということであるから、影響の方向
しまうか、多くても二つの経済主体の行動に集約
に対する無意味な議論を省略することができる。
してしまう。従来の静態的な分析の場合、2部門
経済分析でも、実証分析においては、推計された
の現象で、一般的なN部門の現象の本質を十分に
係数の妥当性を吟味する際など、その係数が示唆
示すことができると考えられるケースが多い。し
する影響の大きさのおおよその値を求めて議論す
かし、戦略的に依存しあう主体の行動の分析の場
ることは、しばしばある。しかし、理論分析では
合、三つ四つとさらに経済主体が増えていった時、
あまりこのような確認は行われていない。
行動の特徴が本質的に変化することが無いとはい
えない。この分析は、シミュレーションに頼らざ
シミュレーションは、一般には、)既存の理論
るを得ない。
では説明が難しい現象について、何らかの仮説を
ともなって事象の動きを説明できるシミュレー
2
ションモデルを形成できる場合、および、*事象
モジュール化のシミュレーション
最後に、この稿で最初に例示した、カウフマン
そのものが非常に複雑であって、解析的な分析を
行うことが不可能である場合に有用である。特に、
博士のモジュール化に対する洞察を、シミュレー
経済主体の学習過程の解析には、シミュレーショ
ションで確認しておこう。先月号の稿において最
ンはすでに強力な技法となっている。取引を繰り
後に紹介した部分を簡単に示すと、モジュール化
返して知識を蓄積し、その有限な知識を用いて自
に漏れて残ってしまったモジュール間の干渉は、
分の最適行動を選択する行動は、なかなか解析的
調整活動においてコンフリクトを発生させる源と
に記述することが難しい。また、取引の相手を代
なる。一般に、それぞれの部分が相互に依存して
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0
3.
2
9
8
いればいるほど、システム全体のパフォーマンス
完全にはモジュール間の干渉を除去できず、それ
は、パラメータの変化に対して一様でなく、正や
ぞれのモジュールのパフォーマンスは、
ΠX(X1,X2;Y2)=−3X14+4X13+12X12
負の方向に凹凸に影響を受けるようになる。した
がって、なんらかの最適化によって選ばれた解も、
2
−15
(X1−X2)
+10X2・Y2
ΠY(Y1,Y2;X2)=−3Y14+4Y13+12Y12
実は局所的極大化の解に過ぎないかもしれない。
2
−15
(Y1−Y2)
−10X2・Y2
しかし、モジュール間のコンフリクトがあること
によって、システムが局所的最大化の罠に落ち込
であるとする。両式の最後の項が干渉を示してい
んでしまうことなく、大局的最大化を実現できる
る。ここでは、両モジュールの利益の合計が、
可能性があると論じている。
ちょうどシステム全体の利益に等しくなっている。
ここでは、ある経済主体が4つのユニットで構
モジュールXはY2の値を所与として自己の利益
成されているとする。それぞれのユニットの活動
を最大にするように(X1,X2)を決定する。同
は、単 一 の 変 数、X1,X2,Y1,Y2に よ っ て 示
様に、モジュールYはX2の値を所与として、や
されるとする。今、システム全体の利益は、
はり(Y1,Y2)を最適化する。
Π
(X1,X2,Y1,Y2)
=
このようにモジュール化を設定すると、その帰
4
3
2
2
結はどうなるであろうか。干渉項が無い場合には、
4
3
2
2
−3Y1+4Y1+1
2Y1−1
5
(Y1−Y2)
それぞれのモジュールは内部の変数の組み合わせ
で示されるとする。大局的最大化は(X1,X2,
を最適にするよう、X1またはY1を−1もしくは
Y1,Y2)
=
(2,2,2,2)で実現さ れ、最 大
2に 近 づ か せ、さ ら にX2とY2を そ れ ぞ れX1と
利益は6
4であることを容易に確認することができ
Y1に近づかせようとする。その結果、モジュー
−3X1+4X1+1
2X1−1
5
(X1−X2)
る。このシステムは、他に(2,2,−1,−1)
、 ル化しない場合と同様に、どれかの局所的最大化
(−1,−1,2,2)
、
(−1,−1,−1,−1)
の解に近づいてゆく。それが大局的最大化となっ
において極大となり、極大値はそれぞれ3
7、37、
ているかどうかは分からない。ただ、問題は単純
1
0である。任意の初期点から始まり、より高い利
化されているので,極大解へ収束してゆくスピー
益を目指して、この経済主体が調整を行う行動を
ドはモジュール化を行っていない場合よりも速い
想定する。全体の利潤関数Πが分かっていない限
かもしれない。大局的最大化を実現できる確率は
り、自分の現在の利潤と各変数に対する微分係数
ほぼ4分の1であろう。
が分かっているのみでは、なかなか大局的な最大
しかし、干渉項がある場合には、システムの動
点に到達することは難しい。この稿の第1回で紹
きは大きく異なる。干渉項があるため、モジュー
介したようなメカニズムがビルト・インされてい
ルの意思決定は、局所的最大解にとどまっている
る場合を別として、微分戦略のみを用いて最適解
ことができない。この模索過程をシミュレートし
を求めていく場合には、全ての変数がたまたま正
てみよう。それぞれのモジュールは、各モジュー
の値をとるところから始まるのでない限り、大局
ルに任されている変数を、その変数に対する微分
的最大化は実現できない。
係数が正であれば増加し、負であれば減少させる
とする。すなわち、モジュールXについては、
ここで、このシステムがX1、X2を決定するモ
X1
(t+1)=X1
(t)
ジュールXと、Y1、Y2を決定するモジュールY
+k・ΠXX(X
1
(t)
,X2
(t)
;Y2
(t)
)
1
に2分することが可能であったとする。しかし、
9
9
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0
3.
2
図1
モジュールXの調整
く、まもなく離れ始め、大局的最大化を目指す方
X2
3
向に向かっている(*)。局所的最大化の解の周
辺にとどまっていられないのは、干渉項の存在に
2.5
②
2
よりX2を変化させる力が働き、それにつられて
1.5
X1も変動するからである。ただ、モジュールX
1
が目指す先は、大局的最大化をもたらす(2,
0.5
0
−2
−1
0
1
−0.5
2)ではない。これは、モジュール化において目
X1
3
2
指されるものは、あくまでも部分的最大化を合成
−1
したものであり、システム全体を把握した上での
−1.5
①
最大化とは異なることによっている。この現象は、
前稿で提示した、モジュールによる構造化とプロ
図2
モジュールYの調整
グラムの効率性の間のトレード・オフに対応して
Y2
3
いる。ここでの設定では、干渉項が利潤に与える
効果は互いに打ち消しあうとしてあるので、干渉
2.5
2
項が無い場合の利潤は干渉項がある場合の利潤に
①
②
1.5
一致している。その一方で、モジュール化によっ
1
て意思決定が分権化された場合には、それぞれの
0.5
0
−2
−1
0
−0.5
モジュールが、干渉項を含めたモジュール内の最
Y1
1
2
3
適化を目指して調整するから、システム全体の最
適化とは多少異なる方向へ進むことになる。
−1
−1.5
この傾向は、図2に示されているモジュールY
の行動においてより顕著である。モジュールYの
場合には、初期時点から程なくして大局的最大化
X2
(t+1)=X2
(t)
1
(t)
,X2
(t)
;Y2
(t)
)
+k・ΠXX(X
2
の方向に転換し進んでいく())。しかし、大局
という形で調整・模索を繰り返すとする。ここで、
的最大化の点にとどまらず、その後少し原点に
利潤関数の添え字はその変数での偏微分を示し、
戻った点に収束してゆく(*)。最終的に落ち着
kは調整係数(ここでは定数1
0)である。図1お
く点は、大局的最大化の点(2,2)でもなく、
よび図2は、それぞれこの調整過程による、各モ
局所的最大化の罠(−1,−1)でもない。しか
ジュール内の調整の動きを図示したものである。
し、収束点の利潤は約46.
4であり、大局的最大化
初期時点では、各変数全て−0.
5としておいた。
の利潤64には及ばないものの、他の局所的最大化
この初期条件では、もし干渉項が無いとすると、
における利潤10ないしは37を超える利潤を達成で
各モジュールの調整の結果は、最も低い利潤10を
きている。この成果は、局所的最大化の罠にはま
もたらす局所的極大化の罠にはまった状態となる。 ることを避けることができたことによっている。
図1に示されたモジュールX内の調整過程では、 このように、モジュール化によって分権的に意思
まず局所的最大化の解(−1,−1)に向かって
決定されるため、隣接するモジュールとのコンフ
いる())
。しかし、この解に安住することは無
リクトが起き、局所的最大化の状態に安住するこ
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0
3.
2
1
0
0
となく、より最適な解を求めて変化してゆける、
けないということをひねった問題を、かつて試験
というカウフマン博士のメッセージを確認するこ
に出したというエピソードが報道されている。
とができる。なお、シミュレーションの結果を省
経済現象で摩擦に当たる事象は取引費用であろ
略するが、初期時点で局所的最大化の罠(−1,
うか。取引費用は様々な均衡の存在を説明するた
−1)に位置した場合でも、やはりそれぞれのモ
めの便利な道具でもある。しかし、自然界の摩擦
ジュールは、程なく、より高い利潤を獲得すべく、
のように、この力が有る場合と無い場合とでは、
罠から抜け出せることを確認できる。
事象そのものの性質が全く異なるということは少
このシミュレーションの特徴は、経済現象にお
ないのではないか。モジュール間の摩擦により、
ける摩擦の役割を積極的に提示している点である。
モジュール化が大局的最大化を実現できる手立て
自然界において摩擦は非常に厄介な現象であるが、
となるという可能性も、理論的に説明することが
無くてはならない力でもある。摩擦が有る世界は、
できるかもしれない。しかし、シミュレーション
単に摩擦が無い世界を修正したものではない。摩
という方法があるからこそ、われわれはモジュー
擦力が有るからこそ出現する現象も多い。最近、
ル化における摩擦の働きを発見し、理論化し説明
さるノーベル賞受賞者が、摩擦が無い世界では黒
しようとできるのではないか。
鉛を紙に塗りつけることもできないので答案が書
1
0
1
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0
3.
2
マクロ経済指標
日本経済・金融市場
2
0
0
2年7―9月期GDP
○2
0
0
2年7―9月期のGDP成長率(季節調整値)は前期比+0.
8%(年率換算で3.
2%)
四半期GDP推移 (前期比寄与度)
民間最終消費支出
民間在庫品増加
公的在庫品増加
0.7%
1.5%
0.9% 1.0%1.2%
1.1% 0.4% 0.6% 0.5%
0.4%
2.0%
1.0%
民間住宅
政府最終消費支出
純輸出
民間企業設備
公的固定資本形成
国内総支出
1.3%
0.8%
0.6% 0.7%
0.5%
0.2% 0.7%
0.4%
0.7%
0.2%
0.3%
0.9%
0.8%
0.0%
0.0%
−1.0%
−0.3%
注)平成13年4―6月期以降は平
成14年8月に採用された新方式
により求められた速報値。平成
−2.0%
13年1―3期以前は新方式によ
り求められた参考値。
−3.0%
7
8
9
(出所) 内閣府
−0.2% −1.1%
−1.0%
−0.7%
−0.5%
−0.4%
−1.3%
−0.1%
−0.8%
10
景 気
動
11
向
指
12
13
14
(年)
数
○1
0月の一致指数は9
0.
0%と9か月連続で5
0%を上回った。先行指数は4
0.
0%と1
0か月ぶりに5
0%を下
回った(改定値)
。
一致指数等の推移
(%)
100
一致指数
75
50
25
先行指数
0
9
10
11
12
(注) シャドーは景気後退期を示す。
(出所) 内閣府
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0
3.
2
1
0
2
13
14
(年)
生
産
○鉱工業生産指数(季節調整値)
(確報)……1
0月は前月比−0.
2% 在庫率指数……1
0月は前月比−2.
9%
(後掲トピックス「平成1
4年1
0月分鉱工業生産等について」参照)
鉱工業生産・在庫率指数の推移
110
108
106
104
102
100
98
96
94
92
90
(平成7年=100)
80
85
90
95
100
105
110
115
120
生産指数
(左軸)
在庫率指数
(右軸:逆目盛り)
9
10
12
11
13
14
(年)
(注) シャドーは景気後退期を表す。 (出所) 経済産業省
設 備
投
資
○機械受注(船舶・電力を除く民需、季節調整値) ………1
0月は前月比−4.
1%
資本財出荷(輸送機器を除く、季節調整値)
(確報)……1
0月は前月比−1.
5%
機械受注(船舶・電力を除く民需、季節調整値)等の推移
(前月比、%)
25
20
資本財出荷(右軸)
15
10
5
0
−5
−10
−15
−20
9
10
11
15
10
5
0
−5
−10
機械受注(左軸)
12
13
14
(年)
−15
(注) シャドーは景気後退期を表す。 (出所) 内閣府、経済産業省
公 共
工
事
○公共工事請負金額…………………1
1月は前年同月比−8.
6%
公共工事受注額(公共機関)……1
0月は前年同月比−1
1.
4%
公共工事請負金額等の推移
(前年同月比、%)
100
80
60
40
20
0
−20
−40
−60
9
10
公共工事請負金額
公共工事受注額(公共機関)
11
12
13
14
(年)
(注) シャドーは景気後退期を表す。 (出所) 保証事業会社協会、国土交通省
1
0
3
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0
0
3.
2
消
費
○実質家計消費支出(全世帯)……1
0月は前年同月比±0.
0%
小売業販売額………………………1
0月は前年同月比−3.
0%
可処分所得等の推移
(前年同月比、%)
10
8
6
4
2
0
−2
−4
−6
−8
−10
9
10
実質家計消費支出 小売業販売額
11
12
13
14
(年)
(注) シャドーは景気後退期を表す。 (出所) 総務省、経済産業省
所
得
○可処分所得(勤労者世帯)…………………………………1
0月は前年同月比(名目)−2.
4%
現金給与総額(事業所規模5人以上、調査産業計)……1
0月は前年同月比−0.
5%
可処分所得等の推移
(前年同月比、%)
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
−2.0
−4.0
−6.0
−8.0
9
10
現金給与総額
可処分所得
11
12
13
14
(年)
(注) シャドーは景気後退期を表す。 (出所) 総務省、厚生労働省
雇
用
○完全失業率(季節調整値)………1
0月は5.
5%(+0.
1)
有効求人倍率(季節調整値)……1
0月は0.
5
6倍(+0.
0
1)
完全失業率等の推移
(前月比、%)
6.0
0.4
5.5
0.5
5.0
4.5
0.6
4.0
3.5
完全失業率
(左軸)
3.0
2.5
有効求人倍率
(右軸、逆目盛)
9
10
11
12
(注) シャドーは景気後退期を表す。 (出所) 総務省、厚生労働省
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
0
4
13
14
0.7
(年)
0.8
貿 易
収
支
○貿易収支……………1
0月は8
9
3
7億円の黒字
輸出入数量指数……1
0月の輸出は前年同月比+1
2.
5%、輸入は同+1.
6%
(後掲トピックス「平成1
4年1
0月貿易統計(輸出確報・輸入速報)
」参照)
通関貿易収支・輸出入の推移
(億円)
(前年同月比、%)
50,000
45,000
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000 通関貿易収支
15,000
(左軸)
10,000
5,000
0
−5,000
9
10
輸入(右軸)
輸出(右軸)
11
12
13
14
(年)
40
30
20
10
0
−10
−20
−30
−40
−50
(出所) 財務省
物
価
○消費者物価指数………1
0月は前年同月比−0.
9%
国内卸売物価指数……1
1月は前年同月比−0.
3%
物価指数の推移
(前年同月比、%)
3
2
消費者物価指数
1
0
−1
−2
国内卸売物価指数
−3
9
10
11
12
13
14
(年)
(出所) 総務省、日本銀行
マネーサプライ
○マネーサプライ……1
1月のM2+CDは前年同月比+3.
2%
民間銀行貸出………1
1月は前年同月比−4.
4%
マネーサプライの伸び率の推移
(前年同月比、%)
6
銀行貸出の伸び率の推移
M2+CD(前年同月比)
広義流動性(前年同月比)
5
4
3
2
1
9
10
11
12
13
14
(年)
(前年同月比、%)
1
0
総貸出平残
−1
(5業態計)
−2
−3
−4
−5
−6
−7
9
10
11
12
13
14 (年)
(出所) 日本銀行
1
0
5
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
国 内
金
利
○無担保コール翌日物金利はゼロ金利継続
1
0年最長国債利回りは、1.
0%近辺を推移
国内金利の推移
(%)
(%)
1.2
3.0
2.5
5年利付金融債利回り
10年最長国債利回り
2.0
1.1
10年最長国債利回り
(11∼12月中旬)
1.5
CD3ケ月
無担保コール 物金利
翌日物金利
1.0
0.5
1.0
公定歩合
0.0
平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成
10/1 10/7 11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7
国 内
株
0.9
11月
12月
式
○日経平均株価は8,
3
0
0円台まで、TOPIXも8
1
0ポイント台まで下落(終値ベース)
平均株価等の推移
22,000
20,000
1,800
1,700
1,600
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
900
800
日経平均株価(左軸)
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
TOPIX(右軸)
8,000
6,000
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年
為
平成14年
替
○対ドルは1
2
0円近くまでドル安が進行、一方対ユーロは一時1
2
5円を上回るなどユーロ高が進行
(終値ベース)
為替の推移
150
145
140
135
130
125
120
115
110
105
100
0.80
0.85
0.90
0.95
1.00
1.05
1.10
1.15
1.20
1.25
80
85
90
95
100
105
110
115
120
円実効為替レート
(右軸、逆目盛)
ドル・円レート(左軸)
ユーロ・ドルレート
平成10年
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
平成11年
平成12年
平成13年
1
0
6
平成14年
平成15年
地 域 経 済
総合的な指標の動き
《9月の動き》
・上昇傾向の管内:近畿、中国、四国、沖縄
・横ばい傾向の管内:北海道、東北、関東、東京、信越、
北陸、東海、九州
・下降傾向の管内:なし
上昇傾向の管内
横ばい傾向の管内
下降傾向の管内
※
以下の指標を用いて郵政局管内別地域経済総合指標(CI)を作成し、
後方3か月移動平均後の前月比増減をもとに傾向を判断する。
一致指標…鉱工業生産(季節調整値)
、有効求人倍率(季節調整値)
、
大 型 小 売 店 販 売 額(店 舗 調 整 済)
、入 域 観 光 客 数(沖 縄 の
み)
先行指標…新設住宅着工戸数、建築着工床面積(商工業・サービス
用)
、新車販売台数(乗用車)
遅行指標…実質家計消費支出
※
景気判断には1
4年1
2月6日現在発表の指標を用いており、今後新し
い指標の公表や改定により判断を変更する場合がある。
(○:上昇、―:横ばい、×:下降)
北海道
東 北
関 東
東 京
信 越
北 陸
東 海
近 畿
中 国
四 国
九 州
沖 縄
全 国
13年9月
―
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
1
0月
―
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
1
1月
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
1
2月
―
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
14年1月
○
×
×
×
×
―
×
×
×
×
×
○
×
2月
○
―
×
×
×
―
×
×
×
×
×
○
×
3月
×
―
×
×
×
○
―
―
―
―
×
○
―
4月
×
○
×
×
―
○
○
○
○
―
―
○
○
5月
―
○
―
―
○
○
○
○
○
―
○
○
○
6月
○
○
―
―
○
○
○
○
○
―
○
―
○
7月
―
○
―
―
○
○
○
○
○
―
○
×
○
8月
―
―
―
―
―
―
―
○
○
○
―
×
○
9月
―
―
―
―
―
―
―
○
○
○
―
○
○
5月
0.
5
3.
0
0.
8
1.
3
2.
6
4.
3
1.
5
1.
6
2.
5
1.
2
2.
0
0.
9
6月
0.
2
1.
9
−0.
2
−0.
3
1.
3
4.
8
1.
3
2.
1
2.
0
−0.
3
1.
4
−1.
1
7月
−0.
4
0.
8
0.
0
0.
8
0.
5
2.
4
0.
8
1.
9
0.
4
0.
4
0.
7
−2.
3
8月
0.
0
−0.
4
−0.
3
0.
0
−0.
2
0.
0
0.
0
1.
2
0.
9
0.
1
−0.
4
−0.
5
9月
1.
2
0.
6
0.
5
−0.
5
1.
1
1.
2
1.
0
0.
5
0.
4
1.
1
0.
1
3.
4
主要経済指標の動き
前月比
北海道
東 北
関 東
東 京
信 越
北 陸
東 海
近 畿
中 国
四 国
九 州
沖 縄
13年9月
0.
0
−2.
5
−1.
5
−2.
0
−3.
3
2.
6
−1.
7
−1.
7
−1.
5
−2.
3
−1.
3
−1.
9
1
0月
−0.
5
−2.
0
−1.
7
−1.
5
−2.
9
−1.
7
−2.
5
−2.
3
−2.
2
−1.
2
−1.
7
−4.
1
1
1月
−0.
6
−2.
0
−2.
3
−2.
5
−2.
4
−2.
5
−2.
2
−1.
5
−3.
5
−2.
6
−0.
7
−3.
5
(資料) ):経済産業省、各都道府県
1
2月 14年1月
1.
0
2.
0
−1.
5 −0.
5
−1.
6 −0.
8
−2.
6 −1.
5
−1.
4 −1.
1
−1.
7
0.
0
−2.
1 −0.
3
−2.
4 −0.
4
−3.
0 −1.
3
−0.
9 −1.
2
−1.
2 −0.
6
−0.
6
4.
5
*:厚生労働省
2月
0.
4
0.
0
−1.
1
−2.
4
−0.
9
0.
4
−0.
2
−0.
7
−1.
1
−1.
0
−1.
1
5.
0
3月
−1.
7
0.
6
−0.
2
−0.
2
−0.
2
0.
5
0.
2
0.
1
x.
5
0.
0
−0.
1
4.
4
+:経済産業省
4月
−1.
5
1.
3
−0.
5
−0.
8
1.
3
1.
2
0.
5
0.
6
1.
7
0.
0
1.
1
2.
0
,:国土交通省
-:日本自動車販売協会連合会 .:総務省
なお、管内ごとのデータについては、各都道府県別データをもとに郵政研究所にて集計
1
0
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
米国経済・金融市場
雇
用
○1
1月の非農業雇用者数(季節調整値)は、前月比−4.
0万人
失業率(季節調整値)は、6.
0%と前月から0.
3%悪化
時間当たり賃金(季節調整値)は、前月比+0.
3%
米国雇用統計の推移
80
6
70
5
60
4
50
3
40
30
2
20
1
10
0
0
−10
−1
非農業部門雇用者数(前月差、左軸、万人)
失業率(季調値、右軸、%)
時間当り賃金(前年同月比、右軸、%)
−20
−30
−40
1997
1998
1999
2000
−2
2001
2002
(年)
−3
(出所) 米国労働省
貿 易
収
支
○貿易収支(季節調整値、国際収支ベース)……1
0月は3
5
0.
7億ドルの赤字
輸出は前月比−1.
0%、輸入は同−2.
4%
財・サービスの純輸出等の推移
6
4
財・サービスの純輸出(右軸、億ドル)
財・サービスの輸出(前月比、左軸、%)
財・サービスの輸入(前月比、左軸、%)
400
300
200
2
100
0
0
−100
−2
−200
−4
−6
1997
−300
−400
1998
1999
2000
(出所) 米国商務省
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
0
8
2001
2002
(年)
物
価
○消費者物価指数(季節調整値)……1
1月は前月比+0.
1%、コアは同+0.
2%
卸売物価指数(季節調整値)………1
1月は前月比−0.
4%、コアは同−0.
3%
物価指数の推移
(前年同月比、%)
5
4
3
2
1
0
−1
−2
−3
1997
1998
消費者物価指数(総合)
消費者物価指数(コア)
生産者物価指数(総合)
生産者物価指数(コア)
1999
2000
2001
2002
(年)
(出所) 米国労働省
米 国
金
利
○FFレート誘導目標水準は1.
2
5%
1
0年国債利回りは、4%近辺を推移(終値ベース)
米国金利の推移
(%)
7
6
5
4
FFレート誘導目標水準
TB3ケ月物(買い)
財務量証券10年利回り
3
2
1
1997
1998
1999
2000
米 国
株
2001
2002
(年)
式
○NYダウは8
4
0
0ドル、NASDAQも1
4
0
0ポイントの水準で推移(終値ベース)
NYダウ等の推移
13,000
12,000
NYダウ:(左軸、ドル)
ナスダック指数(右軸、ポイント)
11,000
10,000
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
1997
1998
1999
2000
1
0
9
2001
2002
5,500
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
(年)
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
マクロ経済トピックス
月例経済報告(1
2月)
○景気判断、2か月連続の下方修正
(内閣府:1
2月1
8日発表)
1
2月1
8日に発表された1
2月の月例経済報告では、
「景気は、持ち直しに向けた動きが弱まっており、
おおむね横ばいで推移している。
」との景気判断を示し、基調判断を2か月連続で下方修正した。
先行きに関しては、米経済の先行き懸念や我が国の株価の低迷を背景とした「最終需要が下押しされ
る懸念が存在している。
」として引き続き警戒感を強めている。
各論では、企業収益、倒産、国内卸売物価が上方修正されたが、生産と雇用が下方修正された。特に
景気の牽引役の一つであった生産が2か月連続で判断を引き下げられており、鉱工業生産が2か月連続
で低下したことが影響している。
なお、今回の月例経済報告を受けての各種報道においては、年明け以降の景気が腰折れする可能性を
指摘するものが多い。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
1
0
1
2月の月例経済報告の総括判断及び主要項目の比較(前月からの変更部分に下線)
1
1月 月例
総括
判断
1
2月 月例
景気は、引き続き持ち直しに向けた動きがみられる
ものの、そのテンポはさらに緩やかになっている。
・企業収益は改善の兆しがみられ、設備投資は下げ
止まりつつある。
・雇用情勢は、一部に改善への動きがみられるもの
の、失業率が高水準で推移するなど、依然として
厳しい。
・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底
固さもみられる。
・輸出は弱含んでおり、生産は持ち直しの動きがさ
らに緩やかになっている。
先行きについては、景気は持ち直しに向かうことが
期待されるが、アメリカ経済等への先行き懸念や我が
国の株価の低迷など、環境は厳しさを増しており、我
が国の最終需要が下押しされる懸念が強まっている。
景気は、持ち直しに向けた動きが弱まっており、お
おむね横ばいで推移している。
・企業収益は改善しており、設備投資は下げ止まり
つつある。
・雇用情勢は、求人が増加傾向にあるものの、失業
率がこれまでの最高水準となるなど、依然として
厳しい。
・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底
固さもみられる。
・輸出は弱含んでおり、生産は横ばいとなっている。
先行きについては、世界経済が緩やかに回復すれば、
景気は引き続き持ち直しに向かうことが期待される。
一方、アメリカ経済等への先行き懸念や我が国の株価
の低迷など、厳しい環境が続いており、我が国の最終
需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。
個人
消費
横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
同左
設備
投資
下げ止まりつつある。
同左
住宅
建設
緩やかに減少している。
同左
公共
投資
総じて低調に推移している。
同左
国際
収支
輸出は、弱含んでいる。輸入は、増加している。
同左
生産
持ち直しの動きがさらに緩やかになっている。
横ばいとなっている。
企業
収益
改善の兆しがみられる。
改善している。
業況
判断
倒産
件数
雇用
情勢
物価
改善がみられるものの、そのテンポが緩やかになっ
ている。
高い水準となっている。
緩やかながら、引き続き改善がみられる。
減少している。
依然として厳しい。一部に改善への動きがみられる
ものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動
きが続いている。
国内卸売物価は、弱含んでいる。
依然として厳しい。求人が増加傾向にあるものの、
完全失業率がこれまでの最高水準となり、賃金も弱い
動きが続いている。
横ばいとなっている。
1
1
1
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
(参考) 月例経済報告総括判断の推移
年 月
総
括
判
断
景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる。
・失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい。個人消費は、横ばいで推移するなかで、
一部に底固さもみられる。
・輸出は大幅に増加しており、生産は持ち直しの動きがみられる。業況判断は全体として改善がみられ、
設備投資は減少しているものの、先行きについて下げ止まる兆しもみられる。
7月
・公共投資は、このところ平成1
3年度第2次補正予算の効果がみられる。
先行きについては、輸出の大幅な増加や生産の持ち直しの影響が、今後経済全体に波及していくなかで、
景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、このところの世界的な株安やドル安により世界経済の
先行き不透明感が高まっており、我が国の最終需要が下押しされる懸念がある。
景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる。
・失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい。
・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
・輸出は大幅に増加しており、生産は持ち直しの動きがみられる。業況判断は全体として改善がみられ、
8月
設備投資は減少しているものの、先行きについて下げ止まる兆しもみられる。
先行きについては、輸出の大幅な増加や生産の持ち直しの影響が、今後経済全体に波及していくなかで、
景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、世界的な株安やドル安が進展したことにより、世界経
済の先行き不透明感が一層高まっており、我が国の最終需要が下押しされる懸念がある。
景気は、一部に持ち直しの動きがみられるものの、環境は厳しさを増している。
・雇用情勢は、一部に改善への動きがみられるものの、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳し
い。
・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
9月 ・企業収益は横ばいとなっており、設備投資は下げ止まりの兆しがみられる。
・輸出は増加している。生産は持ち直しの動きが緩やかになっている。
先行きについては、景気は持ち直しに向かうことが期待されるが、アメリカ経済等への先行き懸念や我
が国の株価の下落など、環境は厳しさを増しており、我が国の最終需要が下押しされる懸念が強まりつつ
ある。
景気は、引き続き一部に緩やかな持ち直しの動きがみられるものの、環境は厳しさを増している。
・雇用情勢は、一部に改善への動きがみられるものの、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳し
い。
・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
・企業収益は改善の兆しがみられ、設備投資は下げ止まりの兆しがみられる。
1
0月
・輸出は増加テンポが緩やかになっており、生産は緩やかな持ち直しが続いている。業況判断は、改善が
みられるものの、そのテンポが緩やかになっている。
先行きについては、景気は持ち直しに向かうことが期待されるが、アメリカ経済等への先行き懸念や我
が国の株価の下落など、環境は厳しさを増しており、我が国の最終需要が下押しされる懸念が強まりつつ
ある。
景気は、引き続き持ち直しに向けた動きがみられるものの、そのテンポはさらに緩やかになっている。
・企業収益は改善の兆しがみられ、設備投資は下げ止まりつつある。
・雇用情勢は、一部に改善への動きがみられるものの、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳し
い。
1
1月 ・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
・輸出は弱含んでおり、生産は持ち直しの動きがさらに緩やかになっている。
先行きについては、景気は持ち直しに向かうことが期待されるが、アメリカ経済等への先行き懸念や我
が国の株価の低迷など、環境は厳しさを増しており、我が国の最終需要が下押しされる懸念が強まってい
る。
景気は、持ち直しに向けた動きが弱まっており、おおむね横ばいで推移している。
・企業収益は改善しており、設備投資は下げ止まりつつある。
・雇用情勢は、求人が増加傾向にあるものの、失業率がこれまでの最高水準となるなど、依然として厳し
い。
1
2月 ・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
・輸出は弱含んでおり、生産は横ばいとなっている。
先行きについては、世界経済が緩やかに回復すれば、景気は引き続き持ち直しに向かうことが期待され
る。一方、アメリカ経済等への先行き懸念や我が国の株価の低迷など、厳しい環境が続いており、我が国
の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。
(資料) 内閣府
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
1
2
日銀短観(平成1
4年1
2月)
○業況判断DIはほぼ横ばい
・業 況 判
断
最
(日本銀行:1
2月1
3日発表)
近:大企業製造業−9(+5)、大企業非製造業−16
(−3)、全規模全産業−28
(+2)
(カッコ内は変化幅) 先行き:大企業製造業−10
(−1)、大企業非製造業−15
(+1)、全規模全産業−31
(−3)
日本銀行が1
2月1
3日に発表した日銀短観によると、現状の業況判断DIは緩やかな改善に留まった。
大企業では、製造業が−9、非製造業が−1
6となり、前回からの変化幅はそれぞれ+5、−3である。
中堅・中小企業の前回からの変化幅は、製造業はそれぞれ+3、+4であったが、非製造業はそれぞれ
0、+2と若干の改善を示している。全規模全産業では−28で、変化幅は+2となっている。
今次短観について、業況判断は改善基調にあるものの、改善の勢いは引き続き減速しつつあるように
みえる。
企業規模別にみると、大企業、中堅・中小企業ともに、改善の勢いは減速しており、停滞ムードが窺
える。
業種別にみると、製造業大企業では石油・石炭製品、電気機械、造船・重機及び精密機械を除く業種
で改善している。特に紙・パルプ、自動車につい
ては、最近を良いとする回答が二桁以上のプラス
D.I.の推移
となっており、変化幅もともに二桁以上のプラス
60
となっている。非製造業大企業では、建設、卸売、
全国企業 全産業
大企業 製造業
大企業 非製造業
40
通信、サービス、リースを除く業種で改善してい
20
る。特に不動産大企業については、最近を良いと
0
する回答が二桁以上のプラスとなっており、変化
−20
幅も二桁以上のプラスとなっている。これは、例
−40
えば東京都内では、2
0
0
2年9月に丸の内ビル、同
−60
1987
1990
1993
1996
1999
2002
企業規模別D.I.の推移
製造業
非製造業
40
20
0
20
−20
0
−40
−20
−60
大企業
中堅企業
中小企業
大企業
中堅企業
中小企業
−40
−80
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
−60
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
1
1
3
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
年1
1月にカレッタ汐留が竣工したように、東京を中心として都市再生の動きが活発化している影響と思
われる。
先行きについては、全規模全産業は−3
1で、変化幅は−3を見込んでいる。大企業非製造業以外は、
企業規模・業種別に関わらず予想が悪化に転じており、変化幅としては−1∼−5の間となっている。
・設備投資計画は減少するが海外設備投資は堅調
2
0
0
2年度の設備投資計画は、全規模全産業では−5.
1%、ソフトウェアを含む設備投資額でも−4.
8%
となり、2
0
0
1年度から2年連続で減少する状況となっている。一方、海外事業計画(製造業)の海外設
備投資額及び海外設備投資比率を見ると、2
002年度計画及び修正率ともにプラスとなっており、海外へ
の設備投資の堅調さが際だっている。
設備投資計画
海外事業計画(製造業)
(前年度比、%)
(前年度比、%)
2
0
0
2年度
2
0
0
1
年度 (計画) 修正率
大 企 業
中小企業
企
業
−9.
2 −1
0.
7
−1.
6
非製造業
−8.
6
−4.
3
−0.
1
海
高
4.
9
4.
1
0.
7
全 産 業
−8.
9
−6.
8
−0.
7
海 外 生 産 比 率
2
0.
6
2
1.
1
0.
2
−1
0.
9 −1
2.
9
2.
6
海 外 設 備 投 資 額
0.
9
2.
5
8.
0
2
8.
8
3
1.
7
2.
0
外
生
産
非製造業
−2.
0
−2.
3
−2.
4
海 外 設 備 投 資 比 率
全 産 業
−3.
2
−3.
6
−1.
9
主 要 企 業
製 造 業
−1
4.
7
−6.
6
5.
7
海
高
7.
2
4.
0
−1.
7
非製造業
−0.
4
−3.
2
1.
9
海 外 生 産 比 率
2
4.
3
2
5.
0
−0.
2
全 産 業
−4.
3
−4.
1
2.
8
海 外 設 備 投 資 額
5.
0
1.
7
5.
9
−1
0.
5 −1
0.
4
0.
3
海 外 設 備 投 資 比 率
3
2.
5
3
5.
8
1.
6
製 造 業
全規模計
大
製 造 業
製 造 業
中堅企業
2
0
0
2年度
2
0
0
1
年度 (計画) (修正率)
非製造業
−4.
2
−3.
2
−0.
8
全 産 業
−5.
9
−5.
1
−0.
6
外
生
産
小数点2桁以下切り捨て
・先行きに不透明感
輸出はアジア向けを中心に底堅く推移しており、輸出主導の我が国の景気回復基調に大幅な変化はな
いものと思われる。ただし、
「鉱工業生産の伸びは鈍化傾向にある」
、「株価指数は相変わらず底這って
いる」
、
「デフレ解消への道筋が不透明」など、企業の設備投資姿勢を消極的にする要素は多々あり、先
行きは不透明感を増している。
今次短観で示された売上・収益計画をみると、顕著な売上増が見込めない中で大幅な経常利益増を計
画しており、前回の短観に引き続き、企業がコスト削減により利益を出している様子が窺える。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
1
4
平成1
4年7―9月期 法人企業統計季報
(財務省:1
2月5日発表)
○売上高の減少幅が縮小して経常利益は大幅改善するも、設備投資の回復は限定的。
1
2月5日
(木)
に発表された7―9月期の法人企業調査では、全産業の売上高は304兆6,
289億円で、前
年同期比で−6.
9%(4―6月期は−9.
2%)となり、5四半期連続のマイナスだったものの減少幅は縮
小 し た。こ れ に 対 し、全 産 業 の 経 常 利 益 は7兆2,
168億 円 で、前 年 同 期 比2
0.
5%(4―6月 期 は−
1
6.
8%)と大幅な改善を示した。しかしながら、全産業の設備投資は9兆2,
361億円と、前年同期比−
1
3.
9%(4―6月期は−1
5.
5%)と4四半期連続の二桁減少を続けている。需要低迷と価格低下により
売上げが伸びないため合理化で利益の回復には努力しているものの、それが設備投資の回復にダイレク
トには結びつかない現在の企業動向が鮮明に現われている。
ちなみに設備投資金額の経常利益に対する比率は、平成3年度の終わりから平成5年度にかけては
2
0
0%を超えることが多く、一時は3
0
0%近かったがその後は低下傾向にあり、最近3年間は平成13年度
第2四半期を除いては1
5
0%を下回る水準で推移している。この7―9月期の同比率も128.
0%に過ぎず、
企業が内部資金中心で設備投資の資金調達を行っていることを示唆している。
○売上高と経常利益が回復しても設備投資が低迷する製造業。売上高が低迷する非製造業。
製造業・非製造業別に売上高・経常利益・設備投資の推移を見ると、製造業の売上高は9
2兆6,
76
7億
円で前年同期比−2.
1%、経常利益は2兆8,
110億円で前年同期比48.
8%と大幅増加しているが、設備投
資は2兆9,
2
67億円と前年同期比−2
3.
1%で低迷している。非製造業の売上高は2
11兆9,
522億円で前年
同期比−8.
8%、経常利益は4兆4,
05
8億円で前年同期比7.
5%、設備投資6兆3,
094億円で前年同期比−
8.
8%となっている。
売上高の回復が製造業について顕著であり、合理化の推進による経費節減の効果による経常利益の回
復が製造業において著しいことが見てとれる。非製造業は売上げの回復が相対的に遅れて低迷しており、
経常利益の回復にも製造業ほどは目立たない。
これに対して設備投資については、製造業は非製造業よりむしろ低水準で推移しており、製造業の企
業が利益回復にも関わらず先行の不透明感から設備投資を手控えている様子が窺われる。
業種別に見ると、製造業では輸送用機械、金属製品などの売上高が増加したがその他は低迷。経常利
益は電気機械、輸送用機械、化学など多くの業種で増益となっているが、設備投資は食料品、印刷・出
版以外の殆どの業種で減少している。非製造業では不動産業の売上高が増加したもののその他の業種は
減少。経常利益はサービス業が減益となったものの、運輸・通信業、卸・小売業、など多くの業種で増
益となっている。設備投資については運輸・通信業、卸・小売業、建設業などの殆どの業種で減少して
いる。
1
1
5
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
売上高・経常利益・設備投資の推移
(前年同期比)
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
−10.0%
−20.0%
−30.0%
−40.0%
−50.0%
売上高
経常利益
設備投資
平 平 平 平 平 平 平 平
成 成 成 成 成 成 成 成
2 3 4 5 6 7 8 9
年 年 年 年 年 年 年 年
(出所) 財務省「法人企業統計」
売上高・経常利益・設備投資の推移(金額ベース)
400
兆円
売上高(左軸) 304.6兆円
兆円
350
+20.5%
300
20
設備投資(右軸)
9.2兆円
250
−6.9%
15
200
10
150
100
50
−13.9%
5
経常利益(右軸)
7.2兆円
0
平
成
10
年
平
成
11
年
平
成
12
年
平
成
13
年
平 平 平 平 平 平 平 平
成 成 成 成 成 成 成 成
2 3 4 5 6 7 8 9
年 年 年 年 年 年 年 年
(出所) 財務省「法人企業統計」
平
成
14
年
0
平
成
10
年
平
成
11
年
平
成
12
年
平
成
13
年
平
成
14
年
○中小企業は売上高が低水準で推移し経常利益の回復も遅れるが、設備投資の減少幅が縮小。
全企業を「資本金1億円未満」の中小企業、
「資本金1億円以上10億円未満」の中堅企業、「資本金10
億円以上」の大企業に分けて見てみると、中小企業の売上高が前年同期比−1
3.
6%と中堅企業(同比
0.
4%)や大企業(同比−2.
3%)に比べ大きく低迷していることが目立つ。経常利益の前年同期比は中
小企業が3.
0%、中堅企業が1
8.
8%、大企業が29.
3%となっており、全企業規模でプラスに転じたもの
の、利益の回復は大企業・中堅企業中心であったと言える。これに対して設備投資の前年同期比は中小
企業が−4.
1%、中堅企業が−1
5.
6%、大企業が−17.
0%となっている。中小企業の設備投資減少幅の
縮小は5四半期ぶりであり、利益回復の遅れにも関わらず、中堅企業・大企業に設備投資の回復で先行
している形である。なお、中小企業製造業の設備投資が前年同期比−6.
6%であるのに対して、中小企
業非製造業の設備投資が同2.
5%となっており、特に「事業所サービス業」の分野での多額の設備投資
の寄与が大きい。
今回の法人企業統計調査は全般的には企業の経常利益の大幅改善と売上高・設備投資の減少幅の縮小
を示しているが、依然として先行き不安による設備投資意欲の冷え込みを感じさせる内容となっている。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
1
6
【業種別の推移】
【企業規模別の推移】
売上高推移(前年同期比)
売上高推移(前年同期比)
15.0%
15.0%
10.0%
10.0%
5.0%
5.0%
0.0%
0.0%
−5.0%
−5.0%
製造業
非製造業
−10.0%
−15.0%
平
成
2
年
平
成
3
年
平
成
4
年
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
年
平
成
8
年
平
成
9
年
平
成
10
年
平
成
11
年
平
成
12
年
平
成
13
年
−15.0%
平
成
2
年
平
成
14
年
経常利益推移(前年同期比)
80.0%
60.0%
40.0%
20.0%
0.0%
−20.0%
−40.0%
−60.0%
平
成
2
年
平
成
4
年
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
年
平
成
8
年
平
成
9
年
平
成
10
年
平
成
11
年
100.0%
80.0%
60.0%
40.0%
20.0%
0.0%
−20.0%
−40.0%
−60.0%
平
成
2
年
平
成
12
年
平
成
13
年
平
成
14
年
設備投資推移(前年同期比)
100.0%
80.0%
60.0%
40.0%
20.0%
0.0%
−20.0%
−40.0%
−60.0%
平
成
2
年
製造業
非製造業
10.0%
0.0%
−100%
−20.0%
−30.0%
平
成
2
年
平
成
3
年
平
成
4
年
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
年
平
成
8
年
平
成
9
年
平
成
10
年
平
成
11
年
平
成
4
年
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
年
平
成
8
年
平
成
9
年
平
成
10
年
平
成
11
年
平
成
12
年
平
成
13
年
平
成
14
年
平
成
12
年
平
成
13
年
平
成
14
年
平
成
12
年
平
成
13
年
平
成
14
年
中小企業
中堅企業
大企業
平
成
3
年
平
成
4
年
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
年
平
成
8
年
平
成
9
年
平
成
10
年
平
成
11
年
設備投資推移(前年同期比)
30.0%
20.0%
平
成
3
年
経常利益推移(前年同期比)
製造業
非製造業
平
成
3
年
中小企業
中堅企業
大企業
−10.0%
平
成
12
年
平
成
13
年
平
成
14
年
(出所) 財務省「法人企業統計」
中小企業
中堅企業
大企業
平
成
3
年
平
成
4
年
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
年
平
成
8
年
平
成
9
年
平
成
10
年
平
成
11
年
(出所) 財務省「法人企業統計」
1
1
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
平成1
4年1
0月分鉱工業生産等について
○生産は横ばいへ
(経済産業省:1
1月2
9日発表)
経済産業省が1
1月2
9日に発表した生産・出荷・在庫指数速報によると、10月の鉱工業生産指数は前月
比−0.
3%と2か月連続で低下した。ただし、原指数を前年同月比で見ると+5.
3%と、4か月連続のプ
ラスとなっている。
出荷は前月比+0.
7%で1
0
1.
6となり、2か月ぶりにプラスとなる一方、在庫は前月比+0.
6%の8
8.
2
と2か月連続で上昇した。
また、同日に発表された製造工業生産予測調査によると、1
1月は前月比−0.
1%、12月は+0.
6%と
なっており、1
0月実績を併せて1
0−1
2月期の生産を試算すると、前期比+0.
2%とほぼ横ばいとなる可
能性が強まった。
こうした結果を受け、経済産業省は基調判断を「生産は横ばい傾向にあると見られ、依然として最終
需要動向が不透明であることなど、今後の動向を注視する必要がある。
」とし、5か月ぶりに判断を下
方修正した。
生産指数を業種別(前年同月比)でみると、鉄鋼業は+8.
6%と7か月連続、非鉄金属工業は+0.
9%
と3か月ぶり、電気機械工業は+1
8.
3%と5か月連続、輸送機械工業は+9.
9%と8か月連続、窯業・
土石製品工業は+4.
2%と4か月連続、化学工業は+1.
5%と5か月連続、プラスチック製品工業は+
2.
2%と2か月連続、パルプ・紙・紙加工品工業は+3.
1%と4か月連続でプラスとなっている。先に財
務省から発表された平成1
4年1
0月の貿易統計(速報値)でも示されたとおり、輸出はアジア向けを中心
に好調であり、鉱工業生産指数においても輸出関連の業種は引き続き回復基調を示しているといえる。
一方で、前年同月比マイナスの業種には、金属製品工業−2.
1%、一般機械工業−0.
8%、精密機械工
業−1.
2%、石油・石炭製品工業−1.
1%、繊維工業−10.
1%、その他工業−1.
9%があげられる。
ここで、電気機械工業と一般機械工業を取り上げて見てみよう。
電気機械工業は前年同月比で大きなプラスを示しているが、これは安定的に好調な液晶パネルや先月
から引き続き好調なパーソナルコンピューター等が
鉱工業生産指数等の推移
寄与している。IT関連製品についても、半導体素
子や集積回路の生産が上向いてきた。
120.0
一般機械工業は、前年同月比マイナス(前月比も
115.0
−5.
0%)を示しているが、これはボイラ部品、蒸
110.0
気タービン部品、印刷機械等の寄与が大きい。日本
105.0
の株価下落やデフレ解消への道筋が不透明であるこ
100.0
となど、企業の設備投資への姿勢には不透明感が出
95.0
てきており、そうした影響を受けているものと思わ
90.0
れる。
85.0
生産
出荷
在庫
在庫率
97
在庫指数については、輸送機械工業、鉄鋼業等の
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1995年=100
1
1
8
98
(出所) 経済産業省
99
00
01
02
在庫循環(鉱工業全体)
6業種が上昇したことを受け、2か月連続の上昇
となった。中でも、輸送機械工業が前年同月比+
10
9.
7%(前月比も+11.
6%)を示しているが、こ
5
在
庫
︵
0
対
前
年
比 −5
%
︶
−10
れは米国西海岸の港湾封鎖のため、自動車輸出に
影響を受けた可能性がある。
在庫循環図から見ると、2
0
00年第一四半期に始
まった在庫循環がほぼ一巡したように見える。今
後、在庫積み増しが進展するものと思われる。
97Q1
0210
前述のとおり、経済産業省は鉱工業生産の基調
−15
−15
判断を、下方修正した。ただし、このまま横ばい
−10
から落ち込みに至る可能性は少ないと予想する。
−5
0
出荷(対前年比 %)
5
10
(出所) 経済産業省
鉱工業生産回復を今まで牽引している輸出につい
ては底堅く増加しており、急激な減少は予測し難い。また、生産は14業種中8業種が前年同月比でプラ
スとなっており、他業種を牽引してきた電気機械工業も、底堅く推移している。今後については、米国
及びアジアとの貿易状況を反映して推移するものと思われる。
平成1
4年1
0月貿易統計(輸出確報・輸入速報)
(財務省:1
1月2
9日発表)
○貿易黒字は8,
9
3
7億円。輸出は前年同月比+1
4.
1%、輸入は同+4.
0%。
財務省が1
1月2
9日に発表した1
0月の貿易統計(輸出確報、輸入速報)によると、10月の貿易黒字は前
年同月比+9
3.
8%の8,
9
3
7億円と8ケ月連続で増加した。輸出は、同+14.
1%の4兆6,
499億円、輸入は
同+4.
0%の3兆7,
56
2億円だった。特に輸出は、平成1
4年7月の同+8.
9%をピークに鈍化の兆しをみ
せていたものの、今回大きく伸びたことで輸出の底固さを示す結果となった。
輸出が大きく伸びた要因は、アジア向けの輸出が引き続き好調を維持したためである。アジア向けの
輸出は同+2
7.
9%と大幅に増加した。特に中国向けは同+47.
3%と際立っている。アジア地域はパソコ
ン・電化製品など最終製品の生産拠点が集積しているが、世界経済の回復により生産が増加し、部品や
一般機械など資本財の需要が高まったため、アジア向けの輸出が増加したとみられる。また、同地域で
は先進国を上回る成長を続けており、労働者の所得が上昇し、自動車や電化製品の購入意欲が強いこと
も要因の一つとして挙げられる。米国向けは、西海岸の港湾封鎖の影響により輸出の鈍化が懸念された
ものの、自動車やパソコンが好調で同+2.
0%と前年比プラスを維持した。EU向けは自動車を中心に増
加、同+7.
9%だった。
輸出を品目別にみると、電気機械が同+2
1.
6%、一般機械が同+16.
0%、輸送用機械が同+13.
9%と
輸出の伸びに大きく寄与した。電気機械の中でも半導体の輸出は同+34.
1%と大きな伸びを示している。
半導体については輸入も同+2
6.
3%と同様に大きな伸びを示していることから、IT製品の国際分業が
1
1
9
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
輸出・輸入・貿易収支推移
日本とアジアの間で進展しているとみられる。ま
た、自動車はトヨタが中国進出を本格化させるな
どアジアでの自動車需要が高まっており、自動車
(%)
40
輸出のアジア向けは同+6
3.
6%、特に中国向けは
同+1
3
84.
6%と驚異的な伸びを示した。化学製品
(10億円)
1,600
30
1,200
20
800
10
400
は同+1
2.
3%、金属及び同製品は同+1
1.
8%、繊
0
維及び同製品は同+6.
9%と素材系の産業も堅調
−10
な伸びを維持しており、旺盛な外需を背景に多く
−20
0
−400
11
の産業で輸出が増加した。
12
13
14
貿易収支(右軸)
輸入伸び率(左軸)
輸入は同+4.
0%と前年比プラスを維持した。
−800
(年)
輸出伸び率(左軸)
(出所) 財務省「貿易統計」
生産の国際分業と国内生産の持ち直しを背景とし
て、アジアからの輸入が同+1
1.
4%と伸びたこと
が大きな要因となっている。一方で米国からの輸入は同−15.
7%と大きく減少しており、その結果、対
米貿易黒字は同+2
0.
2%の7
3
92億円と大きく増加した。国内の景気回復にも関わらず、内需は依然とし
て弱い状況が続いており、輸入の伸びは輸出に比して低位に止まっている。
今回の発表について、財務省幹部は「輸出はアジア向けを中心に増加、輸入は国内の生産の持ち直し
の動きを背景に増加している」として「今後の推移を注視したい」との見解を示した。今回輸出は大幅
に増加したものの、米国経済は減速の兆しが一部にみられることから、米国向け輸出が落ち込む恐れが
ある。さらにアジアにとって米国は最大輸出国であるが、対米輸出の減速によりアジアの生産が減少し、
日本のアジア向け資本財の輸出が伸び悩む可能性がある。一方でアジア向けの輸出は米国経済の動向に
関わらず増加基調が続いており、引き続きアジアを中心に輸出が伸びる可能性もあることから今後の輸
出動向に注視する必要があろう。
商品別輸出伸び率寄与度
地域別輸出伸び率寄与度
(%)
(%)
20
20
15
15
10
10
5
5
0
0
−5
−5
−10
化学製品
電気機器
その他
金属
輸送用機器
輸出
1
2
0
14Ⅲ
14.10
14Ⅰ
14Ⅱ
13Ⅳ
13Ⅱ
13Ⅲ
13Ⅰ
12Ⅳ
12Ⅱ
12Ⅲ
12Ⅰ
11Ⅲ
11Ⅳ
(出所) 財務省「貿易統計」
一般機械
精密機器
(出所) 財務省「貿易統計」
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
(年)
11Ⅱ
14Ⅲ
−15
14.10
14Ⅰ
14Ⅱ
13Ⅳ
13Ⅱ
13Ⅲ
13Ⅰ
12Ⅳ
12Ⅱ
12Ⅲ
12Ⅰ
11Ⅲ
11Ⅳ
11Ⅱ
11Ⅰ
(年)
11Ⅰ
−10
−15
その他
アジア
EU
米国
輸出
○平成1
4年1
0月貿易統計(輸出確報、輸入速報)概要
数
金
輸
前年同月比
伸び率
(%)
摘
要
額
4兆6,
4
9
9億円
1
4.
1
7ケ月連続の増加
数量指数
1
3
0.
1
1
2.
5
7ケ月連続の増加
額
3兆7,
5
6
2億円
4.
0
2ケ月ぶりの増加
数量指数
1
3
2.
7
1.
6
4ケ月ぶりの増加
8,
9
3
7億円
9
3.
8
8ケ月連続の増加
出
金
輸
値
入
貿易収支
金
額
1
2
1
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
小
径
経済予測に思う
郵政事業庁総括専門官
氣駕
紳一
戻ってきているという「気分」がどうも世間に感
民間各シンクタンクから、平成1
4年7―9月期
じられない。そのギャップは何故であろうか。
までの実績ベースを踏まえての平成1
5年度の経済
下落傾向が続く株価や地価のためであろうか。
見 通 し が 発 表 さ れ て い る。
(平 成1
4年1
1月 末 現
いわゆる「資産デフレ」が、金融機関や企業のバ
在)
これによると平成15年度の実質GDP成長率は、
ランスシートに与える影響についてはこれまでよ
く言われているところだ。
多少のばらつきはあるものの、おおむね0∼+
あるいは、不良債権処理の進展による経営破綻
1%の間で予測しているところが多いようだ。中
や雇用環境の悪化への不安からだろうか。
にはマイナス成長を予測しているところもあり、
マイナス1%近い数字を出しているところもある。
株価下落が世間一般の心理面に与えるインパク
トもあるのかもしれない。
いづれにせよ、全体として勢いのある数字は見
経済のフローの側面とストックの側面、さらに
られない。
各機関の予測に概ね共通しているのは、程度の
は、社会の心理(期待)という側面が複雑にから
差こそあれ景気にかげりが出てくることへの懸念
みあって、景気の予測を一層微妙なものにしてい
だろう。これまで景気回復を支えてきた輸出の息
るように思える。
切れや、鉱工業生産への影響を懸念する声がある。
そして、景気の当面の先行きに対する不透明感
また、雇用情勢の悪化を背景にこれまで比較的堅
が強ければ強いほど、かえってその「先」の展望
調だった個人消費の先行きを警戒する指摘もある。
に対する期待感は膨らむのかもしれない。
あれこれ考えているうちに、新しい年度がもう
しかし、考えてみればこうした実質0∼+1%
程度という数字はマイナス成長を記録した平成13
年度に比べれば高い数字だ。それなのに、景気が
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
2
2
そろそろ始まろうとしている。
トピックス
米国のDMM5
7(国内郵便マニュアル)について
松田
第一経営経済研究部
桃子
キーワード
料金値上げ、料金体系
1
¢とされている。USPSは、今回の料金改定によ
はじめに
り、一世帯当たり月額45¢程度の支払い増になる
としている。
米国の郵便サービスの取扱いに関しての詳細な
Manual、以 下
また、事業所関係では、代表的な種別であるス
「DMM」)は、USPS(米国郵便庁)によって作
タンダードメールが平均7.
1%と、全体の平均を
成され、度々改訂されてきた。DMM5
7は20
02年
僅かに下回る料金改定率となっている。
マ ニ ュ ア ル(Domestic
Mail
さらに、ポストオフィスボックス(私書箱、グ
6月3
0日の料金改定に合わせて出版された。
本稿はDMM5
7に基づき、USPSの郵便サービ
ループ6サイズ11)の半年間)の料金が$10から
ス、特にDMM5
6から同5
7にかけて変更された部
$12へ20%値上げされるなど、多くの品目につい
分、料金体系などについて紹介する。
て料金改定が行われている。
な お、USPSの 商 品 区 分 な ど に つ い て は、
DMM5
6を紹介した月報№16
3に記載しており、
2.2
今回は、内容の重複を避けるため省略した。これ
)
料金値上げ以外の変更点
ファーストクラスメールとスタンダードメー
らの情報が必要な方は、№1
63を併読して戴けれ
ル の う ち、書 状 サ イ ズ の 機 械 処 理(Ma-
ば幸いである。
chinable)の基準(具体的には不適合条件)が
明示された。
2 DMM5
7の主な変更点について
2.
1
以下の条件に1つ以上合致すれば、機械処理
料金値上げ
不適合となる。
今回の料金改定は、全体平均で7.
7%とされて
・平面の比率(横幅と縦幅の比率)が1:3以
おり、その平均値上率及び代表例は図表1に掲げ
下、あるいは2:5以上のもの。
た通りである。
・ポリ袋に入れたり、ポリラップをかけたり、
個人関係では、はがき(1通)が9.
5%アップ
何らかのポリ材料で包まれているもの。
の2
3¢、最も軽量区分の封書が8.
8%アップの37
・郵便物の厚みが不均等になるような、ペン、
1)私書箱の料金は、箱の大きさと5桁の郵便番号によって振り分けられた料金グループによって決まっている。
1
2
3
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0
3.
2
図表1
種
別
等
種別ごとの平均値上率等
代
平 均
値上率
条
表
件
例
値上げ前
値上げ後
値上げ率
ファーストクラスメール
7.
7%
1オンス、ノンオートメーショ
ン、1通料金
3
4.
0¢
3
7.
0¢
8.
8%
はがき(1通料金)
9.
7%
ノンオートメーション、1通料
金
2
1.
0¢
2
3.
0¢
9.
5%
1ポンド、ローカル等
$3.
5
0
$3.
8
5
1
0.
0%
$1
2.
4
5
$1
3.
6
5
9.
6%
プライオリティメール
エクスプレスメール
ピアリオディカル
1
3.
5%
9.
4%
1
0.
0%
スタンダードメール
7.
1%
(広告)
パッケージサービス
5.
0%
0.
5ポンド
郵便局からあて先へ
1通料金、事前区分(基本)
、
$0.
3
3
3
ノンオートメーション
通常、事前区分(基本)
$0.
2
5
3
1ポンド、マシンナブル・パー
$2.
7
4
セルポスト、ローカル
$0.
3
7
3
1
2.
0%
$0.
2
6
8
5.
9%
$2.
8
1
2.
6%
(出所) 郵便料金委員会(The Postal Rate Commission(PRC))HP、料金表
+
鉛筆、ばらばらの鍵、その他の物が入ってい
パッケージサービスのうちメディアメール、
ライブラリーメールの事前区分割引料金を受け
るもの。
るための最低通数が500通から300通に引き下げ
・堅すぎるもの(直径1
1インチの回転板の周り
られた。
を4
0ポンドの圧力の移送ベルトにかかる場合、
,
曲げにくいもの。
)。
事前区分割引料金を受けるための登録料が
$125から$150に引き上げられた。
・縦4.
2
5インチ横6インチ以上、厚さ0.
009イ
-
ンチ以下のもの。
エクスプレスメールの賠償金額が$5
00から
$100に引き下げられた。
・郵便物の短い方の幅に平行して、配達住所が
.
記入されているもの。
郵便為替の限度額が$700から$1,
000に引き
上げられた。
・郵便物が基準に基づいて折られ固定されてい
ない場合に、住所に対して垂直に端を折って
3
いるセルフメーラー(折りたたみ式DMの一
各国の料金体系について
今回、USPSの料金体系の基本的な考え方は変
種)
。
・タブやウェハーシールや他の留め具に関わら
更されていないが、米国の料金体系をより理解す
ず、郵便物の短い方に沿って冊子の背がある
るため、参考として各国の郵便種別、割引制度等
ブックレットタイプ。
について整理する(図表2参照。)。なお、今回の
* )の機械処理(Machinable)の基準 が 明 示
整理は、各国郵便事業体ホームページや既存資料
されることに伴い、従来の住所の記載場所や
等を情報源としているが、一部最新でないデータ
OCR読取りエリア等の要件を含むアップグレ
が含まれている可能性があることを踏まえ読んで
イ ダ ブ ル(Upgradable(OCR読 取 可 能 郵 便
いただきたい。
主要各国の種別を比べてみると、
「速達」を特
物)
)の差出条件が削除された。
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3.
2
1
2
4
図表2
日
種
別
本
各国郵便種別、料金制度等(小包を除く)
アメリカ
イギリス
ド イ ツ
フランス
・第一種)
・第二種*
・ファーストクラ
スメール)
・ファーストクラ
ス(翌配))
・書状、はがき
・インフォブリー
・書状
(至急扱い)
・はがき
(はがき)
・ス タ ン ダ ー ド
・セカンドクラス
・第三種+
・第四種
メール*
・エ ク ス プ レ ス
(3日以内)*
メール
・プライオリティ
フ
(小口DM)
・インフォポスト
・エコプリ(不急
書状)
(大量差出)
・書籍
メール
・商用サンプル
・ピアリオディカ
ル+
大量差出
割引制度
等
特殊取扱
等
)*広告郵便物、
区分郵便物、バー
コード付郵便物、
)*+事前区分
)*メールソート
)*+自動処理適 (大量差出の書状)
合
・プレストリーム
)市内特別郵便物
+区分差出割引、
*ECR2)
(大量差出の認可
)*機械処理適合
刊行物)
拠点局差出割引
*+あて地差出
・書留
・速達
・配達証明
・代金引換
・書留
・証明郵便
・保険付き
・代金引換
(大量差出)
・定期刊行物・新
聞
)*簡易書留
・スペシャルデリ
バ リ ー(翌 日
配達保証)
・配達日指定
・配達記録
・ポストインパク
ト
・書留
・保険付き
・受取人指定
・受取通知
・書留
・保険付き
・受取通知
・代金引換
補償付き
・代金引換
(up to £1,
0
00 ・速達
/£2,
50
0)
(出所) ロイヤルメールHP、ドイツポストHP、ラ・ポストHP、PDMS(Postal Direct Marketing Service、デ
ンマーク)ガイドブック1
9
9
7、Our Services ―All You Need To Know(ロイヤルメールガイドブック
2
0
0
2.
7)
殊取扱の一種目としている日本と異なり、英国、
が、これは輸送コストを反映し、階段方式の基本
仏国では通常郵便物の基本部分の種別が送達速度
料金のみよりも緩やかな料金上昇となり、料金負
を基準とした二速度制となっている。翌日配達な
担が比較的軽くなる。
どの配達速度が速い種別と、計画配送など遅くな
4
ることもあり得るために割安になっている種別で
おわりに
2001年末から2002年にかけては米国にとって、
ある。その他、大量差出用の種別や付加サービス
また、USPSにとって厳しい時期となった。景気
がある。
米国は速達扱いのエクスプレスメールが種別と
減速とIT化の進展による郵便物数減、20
01年9
なっており、また、個人が1通から利用できる
月11日のテロ事件とそれに続く炭疽菌事件という
ファーストクラスメール、DMの大量差出しなど
問題に直面した。しかしUSPSは、生産性の向上、
を対象とするスタンダードメールなどの種別を設
7,
800万 時 間 に の ぼ る 労 働 時 間 削 減(定 員2万
定している。スタンダードメールは1通3.
3オン
3,
000人の削減)などに努め、また6月30日に平
ス超の場合、
「1通当たり料金」と「1ポンド当
均7.
7%の値上げを行った結果、赤字額は昨年度
たり料金」の合算で求める重量換算の方式である
の約17億ドルから、20
02年9月末までの20
02会計
2)ECR(Enhanced Carrier Route)一配達員の受持配達区当たりに一定通数以上あり、道順組立されていること。
1
2
5
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0
3.
2
年度は、6億7,
6
0
0万ドルに押さえられた。
を実現できるかは、不透明である。今後とも、そ
しかしUSPSを巡る経営環境は引き続き厳しく、 の動向には注視していく必要がある。
米国議会や米国国民の理解を得られるような改革
参考文献
小原宏 「米・英・仏国の郵便料金の割引」
(月報1998年2月号、№113)
松田桃子「米国のDMM5
6(国内郵便マニュアル)について」(月報200
2年4月号、№16
3)
郵政研究所月報 2
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0
3.
2
1
2
6
参考
USPSの郵便物の種別
1インチ=2.
5
4cm 1オンス=2
8.
3
5g 1ポンド=4
5
3.
6g=1
6オンス
ファーストクラスメール
形状/種別
特徴
エクスプレスメール
ファーストクラスメール
レート適用
プライオリティメール
・全 形 状(周 長 の 合 計 は ・全 形 状(周 長 の 合 計 は ・全 形 状(周 長 の 合 計 は
1
0
8インチ
(2
7
4cm)
以下) 10
8インチ以下)
1
08インチ以下)
・1
3オンス以下
(36
8.
6g) ・7
0ポンド以下
(3
1.
7kg) ・7
0ポンド以下
(1
3オンス超はプライオ ・ガイドラインに従った迅 ・サービス種類ごとに定め
リティメール)
・ガイドラインに従った迅
速な処理、送達期日は保
証しない
(D1
0
0.
1.
0)
速な処理、送達期日は保
証 し な い(プ ラ イ オ リ
ティメールとしない郵便
物よりも速い)
(D10
0.
1.
0)
られた基準を達成できな
ければ払い戻し(大半は
翌日正午までの配達)
(D5
00.
1.
0)
*主に信書
Letter―Size Mail
(小型封書)
【形状】
高さ 31/2∼61/8インチ
長さ 5∼1
11/2インチ
08インチ
・1
3オンス以下は「ファー ・周長の合計は1
以下・7
0ポンド以下
ストクラスメール レー
(C1
00.
1.
1)
ト」を適用
《料金表》
(C1
0
0.
1.
1)
・割引の適用は5
00通以上 ・料金 は 重 量 と あ て 地 の
ゾーンで決まる。
厚さ 0.
007∼0.
25インチ (E1
3
0.
3.
1、E1
40.
1.
1)
00.
9.
0)
(C0
50.
2.
0)
・
「オートメーション」料 (R1
金は3.
3オンス以下で一
定の基準を満たすものに
・周長の合計は1
0
8インチ
以下
・7
0ポンド以下
(C5
0
0.
1.
0)
《料金表》
・料金は重量とサービス内
容で決まる。
(R5
0
0.
1.
0)
適用
(C8
1
0.
2.
3)
・次 の 形 状 を 満 た すCard
は
「Cardレート」を適用
高さ 31/2∼41/4インチ
長さ 5∼6インチ
厚さ 0.
0
0
7∼0.
0
16インチ
(C1
0
0.
2.
1)
《料金表》
(R1
0
0.
1.
0∼8.
4)
Flat―Size Mail
(大型薄物)
【形状】
高さ 61/8∼1
2インチ
長さ 1
11/2∼1
5インチ
厚さ 0.
2
5∼3/4インチ
(C0
50.
3.
1)
オートメーション
(C820.
2.
3、
2.
4、
3.
3、
3.
4)
・1
3オンス以下は「ファー
ストクラスメール レー
ト」を適用
(C1
0
0.
1.
1)
・割引の適用は5
00通以上
(E1
3
0.
3.
1、E14
0.
1.
1)
《料金表》
(R1
0
0.
1.
0∼8.
4)
Parcel
・1
3オンス以下は「ファー
(小包)
ストクラスメール レー
(C05
0.
4.
1、5.
0、6.
0)
ト」を適用
(C1
0
0.
1.
1)
・割引の適用は5
0
0通以上
(E1
3
0.
3.
1、E14
0.
1.
1)
《料金表》
(R1
0
0.
1.
0∼8.
4)
・周長の合計は1
08インチ
以下
・7
0ポンド以下
(C1
00.
1.
1)
《料金表》
・料金 は 重 量 と あ て 地 の
ゾーンで決まる。
(R1
00.
9.
0)
・周長の合計は1
0
8インチ
以下
・7
0ポンド以下
(C5
00.
1.
0)
《料金表》
・料金は重量とサービス内
容で決まる。
(R5
00.
1.
0)
・周長の合計は1
08インチ
以下
1.
1)
・70ポンド以下(C100.
《料金表》
・料金 は 重 量 と あ て 地 の
ゾーンで決まる。
(R1
0
0.
9.
0)
・7
0ポンド以下
(C5
0
0.
1.
0)
《料金表》
・料金は重量とサービス内
容で決まる。
(R5
0
0.
1.
0)
1
2
7
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0
3.
2
形状/種別
特徴
スタンダードメール
パッケージサービス
・全形状
ピアリオディカル
・商品、カタログ、本、レ ・定期刊行物(雑誌、新聞、
・1
6オンス未満
(∼4
5
3.
6g) コード等
ニュースレター、小包)
・送達期日は保証しない、 ・周長の合計は1
08インチ ・郡内料金、非営利料金等
遅延の可能性あり
以下
がある
(D6
00.
1.
0)
・7
0ポンド以下
(3
1.
7kg) *主に新聞、出版物
・2
0
0通 以 上(又 は50ポ ン ・送達期日は保証しない、
ド以上)
遅延の可能性あり
*主にDM
(D7
0
0.
1.
0)
・事前区分3
00通 以 上(製
本印刷物、メディアメー
ル、
ライブラリーメール)
Letter―Size Mail
【形状】
高さ 31/2∼61/8インチ
長さ 5∼1
11/2インチ
厚さ 0.
0
0
7
∼0.
2
5インチ
(C0
5
0.
2.
0)
・16オンス未満(C600.
1.
1)
《料金表》
・1通料金は事前区分、自
(R6
0
0.
1.
0∼4.
0)
・
「オートメーション」料
・1通料金+重量料金(広
告部分はゾーンにより異
動処理適合による割引
金 は3.
5オ ン ス 以 下(C
8
1
0.
2.
3)で一定の 基 準
なる)
(R2
0
0.
1.
0∼4.
0)
を満たすものに適用
(C6
0
0.
1.
1)
・3.
3オンス超は1通料金
+重量料金
(R6
0
0.
1.
0∼4.
0)
Flat―Size Mail
【形状】
高さ 61/8∼1
2インチ
長さ 1
11/2∼1
5インチ
厚さ 0.
2
5∼3/4インチ
・16オンス未満(C600.
1.
1)
・形状の最大
キャリアルート
他
高さ 1
13/4インチ
1
2インチ
長さ 1
4インチ 1
5インチ
(C0
50.
3.
1)
厚さ 3/4インチ
オートメーション
3
(C820.
2.
3、
2.
4、
3.
3、
3.
4)
/4インチ
(C6
0
0.
1.
1)
《料金表》
(R6
0
0.
1.
0∼4.
0)
・
「オートメーション」料
金を適用するには、一定
の 基 準(C8
1
0.
1.
0)を
満たすことが必要
(C6
0
0.
1.
1)
・3.
3オンス超は1通料金
+重量料金
(R6
0
0.
1.
0∼4.
0)
Parcel
(C050.
4.
1、
5.
0、
6.
0)
(
・16オンス未満(C600.
1.
1)
《料金表》
(R6
0
0.
1.
0∼4.
0)
・3.
3オンス超は1通料金
+重量料金
(R6
0
0.
1.
0∼4.
0)
・70ポンド以下(C700.
1.
0) ・
「オートメーション」料
・製本印刷物料率では、1
5
金を適用するには、一定
ポンド以下
(E71
2.
1.
1)
の 基 準(C8
2
0.
1.
0)を
《料金表》
満たすことが必要(重量
(R7
0
0.
1.
0∼4.
0)
はAFSM1
0
0の 場 合2
0オ
・製本印刷物料金(カタロ
ン ス、FMS1
0
00の 場 合
グ類)
6ポンドまで)
・メディアメール料金
・1通料金は、事前区分、
(本、
レコード、
テープ類)
自動処理適合による割引
・ライブラリーメール料金 ・1通料金+重量料金(広
(本)
・70ポンド以下(C700.
1.
0)
《料金表》
(R7
0
0.
1.
0∼4.
0)
・Machinable Parcel料金
高さ 3∼1
7インチ
長さ 6∼3
4インチ
厚さ 0.
2
5∼1
7インチ
重量 6オンス∼3
5ポンド
(C0
5
0.
4.
1)
・Nonmachinable Parcel
料金
)はDMMの記載箇所
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
2
8
告部分はゾーンによって
異なる)
(R2
00.
1.
0∼4.
0)
トピックス
指定金融機関の今後について
山本
第二経営経済研究部主任研究官
一吉
けたり、地方公共団体の行政活動に伴う経費を取
はじめに
引企業等に支払ったりする事務を行う金融機関で
2
0
0
3年4月に予定されていたペイオフの全面凍
ある。都道府県の場合は指定金融機関を必ず指定
結解除は2年間延期されたが、ペイオフ全面解禁
しなければならないが、市町村の場合は任意であ
に関する公金預金の取扱い、みずほフィナンシャ
る。いずれも指定する場合は議会の議決が必要で
ル・グループのシステム障害に関する東京都の対
ある(地方自治法施行令第168条)
。
応等、指定金融機関が注目されている。そこで、
地方公共団体別の指定金融機関の業態別の指定
指定金融機関制度とはどのようなものであり、今
状況を示したものが図表1である。地方銀行を指
後どのような変化が予想されるのか見てみたい。
定している地方公共団体が半数以上に上っている。
特に、都道府県では、87.
3%の地方公共団体が指
指定金融機関の現状
定金融機関として地方銀行を指定している。
平成13年7月末時点での市町村数は、市が6
7
1、
指定金融機関とは、地方自治法第2
3
5条の規定
により、地方公共団体の公金の収納又は支払の事
町が1,
98
8、村が566となっており、指定金融機関
務を取り扱う金融機関である。具体的には、税金
を 指 定 し て い る 地 方 公 共 団 体 の 比 率 は、市 が
や各種使用料・手数料の納付を企業・住民から受
100%、町が91.
2%、村が83.
7%となっている。
図表1
地方公共 指定金融機
団
体 関設置団体
都
指定金融機関の設置状況(平成13年7月末)
銀
地
銀
第二地銀
信
金
県 信 連
農
協
そ の 他
都道府県
4
7
(1
0
0.
0%)
5
(1
0.
6)
4
1
(8
7.
3)
1
(2.
1)
0
(0.
0)
0
(0.
0)
0
(0.
0)
市
6
7
1
(1
0
0.
0%)
1
3
1
(1
9.
5)
4
4
9
(6
6.
9)
2
8
(4.
2)
4
1
(6.
1)
2
2
(3.
3)
0
(0.
0)
町
1,
8
1
4
(1
0
0.
0%)
8
8
(4.
9)
1,
0
4
7
(5
7.
8)
8
0
(4.
4)
1
6
4
(9.
0)
4
1
8
(2
3.
0)
1
7
(0.
9)
村
4
7
4
(1
0
0.
0%)
1
7
(3.
6)
1
6
4
(3
4.
6)
9
(1.
9)
2
7
(5.
7)
2
4
8
(5
2.
3)
9
(1.
9)
3,
0
0
6
(1
0
0.
0%)
2
4
1
(8.
0)
1,
7
0
1
(5
6.
6)
1
1
8
(3.
9)
2
3
2
(7.
7)
6
8
8
(2
2.
9)
2
6
(0.
9)
合
計
出所:全国地方銀行協会
1
2
9
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
このような状況を受けて、指定金融機関の中心
指定金融機関のメリット
的な存在である地方銀行の団体である、全国地方
それでは、金融機関が指定金融機関として指定
銀行協会は、平成1
2年6月、「今後の地方公共団
されていることのメリットと考えられている点を
体との取引のあり方」
(要望)をとりまとめ、地
整理してみたい。
方公共団体との従来の取引条件・取引内容等の見
メリットとしては、
直しの必要性を指摘した。具体的には、指定金融
)地域のトップ金融機関としてのステイタスの
機関契約書の見直し、指定金融機関業務内容の明
確化等が指摘されている。指定金融機関契約書の
保持
*地域の個人・企業からの信頼感獲得
見直しとは、昭和39年の指定金融機関制度発足時
+長期的・安定的な預金・貸付取引の確保
に取り交わした指定金融機関契約書に、指定金融
,地方公共団体職員との個人取引の拡大
機関の事務取扱上の経費はすべて銀行側の負担と
する旨明記されているため、その見直しを必要と
が挙げられる。
するものである。指定金融機関業務内容の明確化
指定金融機関制度に対する金融機関側の考え方
も、これに関連した要望である。地方公共団体は
指定金融機関が行う業務については、地方自治
収納・支払いに関する業務については、すべて無
法第2
3
5条に「公金の収納又は支払の事務」と規
料で委託してくる傾向が強いと言われており、そ
定されているだけである。指定金融機関の事務取
の業務内容を明確化する必要があるというもので
扱上の経費はすべて銀行側の負担とされているこ
ある。
とが一般的であり、無料で公金の収納又は支払の
各地方銀行も、上記の指定金融機関契約書及び
事務を行っているケースが多い。また、地方公共
手数料の見直しについて、地方公共団体と交渉し
団体の施設内に税金等の公金の出納事務を行う行
ている模様であるが、地方銀行協会が平成12年1
2
員を派遣する、いわゆる「派出」に要する経費も
月に取りまとめたアンケート調査結果によると、
指定金融機関が負担していることが一般的である。
会員行64行中1
7行が指定金融機関契約書の見直し
従来は地方公共団体の預金・貸付業務を扱うこと
について、終了又は開始したと回答している。ま
により収益を確保し、公金の収納又は支払の事務
た、手数料見直しの交渉についても34行が開始し
コストをカバーしていたとも考えられる。しかし、
ていると回答している。
このような交渉は現在も続いており、日本経済
近年は、多くの地方公共団体で、財政状況の悪化
等を背景に、預金・貸付業務に入札制が導入され、
新聞社が平成14年7月に実施したアンケート調査
市場原理に基づく取引となっている。したがって、
結果によると、回答のあった地方銀行・第二地方
預金・貸付業務による収益で収納・支払の事務コ
銀行98行中約50行が手数料や派出業務を見直す予
ストをカバーすることは難しくなってきており、
定と回答している1)。
上記のメリットにもかかわらず、指定金融機関は
地方公共団体の金融資産構成の変化
地方公共団体との関係を見直す必要に迫られてい
る。
次に、指定金融機関等が公金を扱っている地方
1)日本経済新聞(平成1
4年8月1
8日)
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
3
0
公共団体の金融資産構成について見てみたい。平
1,
000万円以上の定期性預金が前年度に比べ3割
成1
4年4月の定期性預金に対するペイオフ凍結解
以上も減少し、要求払預金が2倍以上に増加して
除に伴い、地方公共団体の金融資産構成は、定期
いる。これは、定期性預金に対するペイオフ凍結
性預金から流動性預金へ大きくシフトした。図表
解除へ対応したものと考えられる。
2は、日本銀行の資金循環勘定から作成した地方
いずれのデータからも公金について、定期性預
公共団体の金融資産構成の変化を示したものであ
金が減少し、流動性預金が増加していることが分
る。それまで3
0%台∼4
0%台の比率を占めていた
かる。定期性預金が減少することは、銀行が長期
定期性預金の比率が、平成1
3年度末には1
6.
1%へ
の融資をする際の制約要因となると考えられ、ま
と低下し、それまで2
0%∼3
0%台の比率であった
た、流動性預金が増加することは、預金の引出が
流動性預金の比率が、6
4.
0%へと大きく上昇した。
容易なため、急激な資金流出の可能性が高まると
図表3は、日本銀行の平成1
4年3月末の「預金
考えられる。このように指定金融機関であること
者別預金」の預金分類を1,
0
0
0万円未満と1,
000万
のメリットはますます小さくなっていると考えら
円以上に集計し直したものである。かっこ内は前
れる。
年同月末と比較した増減率である。1,
0
0
0万円以
上の定期性預金が減少し、かわって、1,
000万円
以上の要求払預金が増加している。特に公金は、
図表2
64.0
13年度末
12年度末
27.2
11年度末
10年度末
地方公共団体の金融資産構成の変化
16.1
流動性預金
定期性預金
譲渡性預金
外貨預金
株式以外の証券
株式
34.8
34.5
49.5
26.0
44.1
0%
50%
100%
出所:日本銀行「資金循環勘定」から作成
図表3
預金者別・金額階層別預金の動向(平成14年3月末)
(単位 億円、%)
1,
0
0
0万円未満
要求払預金
一般法人
個
人
9
9,
8
0
5
(△1.
6)
1,
0
0
0万円以上
定期性預金
6
7,
1
6
6
(△1
2.
6)
8
5
0,
5
8
7
(1
6.
5) 1,
3
7
1,
1
9
4
(
要求払預金
定期性預金
9
1
0,
4
9
4
(3
7.
1)
4
0
0,
6
1
2
(△2
8.
2)
1.
2)
3
7
0,
4
5
7
(8
7.
0)
5
0
4,
3
1
9
(△2
3.
7)
公 金 等
1,
3
0
1
(△0.
3)
6
2
8
(△2
2.
2)
1
4
0,
6
9
3
(1
2
0.
9)
5
5,
5
9
3
(△3
7.
3)
金融機関
9
4
6
(△4.
3)
1
7
0
(△3
3.
1)
8
2,
7
8
3
(4
8.
3)
1
3,
7
5
6
(△5
1.
5)
0.
4) 1,
5
0
4,
4
3
2
(5
3.
2)
9
7
4,
2
8
7
(△2
7.
1)
合
計
9
5
2,
6
4
2
(1
4.
2) 1,
4
3
9,
1
6
1
(
出所:日本銀行「預金者別預金」より作成
1
3
1
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
図表4
図表5
資金運用収支増減率
都銀の資金運用収益・資金調達費用
(兆円)
16
(%)
6
14
4
12
2
10
都銀
地銀
0
資金運用収益
資金調達費用
8
6
4
−2
2
−4
10年度
図表6
11年度
12年度
13年度
0
(年度)
9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 (年度)
地銀の資金運用収益・資金調達費用
図表7
(兆円)
6
(億円)
7,000
5
4
資金運用収益
資金調達費用
3
役務取引等収支と業務粗利益に占める比率
(%)
14
6,000
12
5,000
10
4,000
8
3,000
6
2
2,000
4
1
1,000
2
0
0
9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 (年度)
都銀
地銀
都銀
地銀
0
9年度 10年度 11年度 12年度 13年度
出所:全国銀行協会「全国銀行総合財務諸表」より作成
出所:全国銀行協会「全国銀行総合財務諸表」より作成
めに求められている。
今後の動向
手数料関係の収支である役務取引等収支は、都
銀行経営にとって手数料収入の増加は、大きな
市銀行及び地方銀行ともに、その額及び業務粗利
課題の一つである。バブル崩壊以降の景気低迷に
益に占める比率が増加・上昇傾向にある。特に指
よる資金需要の減少、優良企業の銀行離れ等によ
定金融機関の中心的存在である地方銀行は、着実
り、融資業務は伸び悩んでいる。図表4は、業務
にその額を増加させ、業務粗利益に占める比率も
2)
粗利益 の太宗を占める資金運用収支の都市銀行
上昇させているが、都市銀行と比べると低い水準
及び地方銀行の前年度増減率を示している。超低
にとどまっている(図表7)。
金利政策により、資金調達費用が毎年減少してい
地方公共団体の財政状況を勘案すれば、指定金
るにもかかわらず、資金運用収益も減少している
融機関との関係もより市場原理に基づくものと
(図表5、図表6)ため、資金運用収益と資金調
なっていくものと考えられる。指定金融機関とし
達費用の差である資金運用収支も伸び悩んでいる。
ても、収納・振替等の事務コストの引下げに努力
このような状況の下、融資業務以外の収益源の
するとともに、そのコスト構造を開示し、受益者
一つとして、手数料収入の増加が収益力向上のた
負担原則の下、コストに見合った手数料の負担を
2)銀行本来の業務による収支を示すものが業務粗利益であり、貸出等により受け取る利息から預金者等に支払う利息を差し引い
た「資金運用収支」
、サービス提供により受け取る手数料からサービス提供にかかる費用を差し引いた「役務取引等収支」
、ト
レーディング勘定でのデリバティブ取引等による売買損益等の「特定取引収支」
、外国為替や債券等の売買・売却損益等の
「その他業務収支」という4つの収支からなる。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
3
2
求める方向に動かざるを得ないと考えられる。
参考文献
市川拓也[2
00
2]
「地公体取引の変化と新たな関係」『金融ジャーナル』20
02年6月号
清水葉子[2
00
2]
「ペイオフと地方公共団体の公金管理」『証券レポート』№160
8
鈴木博[2
0
0
1]
「変革期を迎える地方公共団体の金融活動」『農林金融』20
01年2月号
全国地方銀行協会[2
0
0
0]
「今後の地方公共団体との取引のあり方」
全国地方銀行協会[2
0
0
0]
「地方公共団体との取引改善等に関する実態アンケート」
山岡洋志[2
00
2]
「指定金と地公体はともに苦境にあるいまこそ、新しい信頼関係を築け」『金融財政事
情』2
0
0
2年12月2日号
1
3
3
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
トピックス
ウェブサイト・ユーザビリティの評価要素と
当該要素の公的機関への適用に関する調査研究
通信経済研究部主任研究官
研究官
1
2
はじめに
藤井
西村
啓造
雅人
ウェブサイト・ユーザビリティについての評
価基準項目の検討
公的機関が開設するインターネットウェブサイ
トの「使い易さ」をより一層向上させていくため、
評価基準抽出のために参考にした文献・調査資
現在の我が国公的機関のウェブサイトにおける
料(参考文献として別紙に掲載)を元に、ウェブ
「使い易さ」
、すなわちユーザビリティを重視し
サイト・ユーザビリティに関する基本的要素(90
た「基本的な要素」について調査し、今後のウェ
項目)を抽出・整理・リスト化した。なお、この
ブサイトの構築方策に活用することを目的として、
項目には、自動チェックプログラムによる調査が
「公的機関のウェブサイト・ユーザビリティに関
可能な項目15項目が含まれている。次に、我が国
する調査研究」を実施した。
におけるウェブサイト関連の有識者にこのリスト
を提示し、ヒアリングを行い、その意見を参考に、
なお、本調査は目視やプログラムにより機械的
に評価可能な項目を中心に評価基準が作られてお
意味のないもの(表1×)16項目、目視による調
り、本調査で評価が低くても、文書の分かり易さ
査が非常に困難なもの(表1―)51項目を除くこ
やデザインの適切さなどから、より本質的な意味
ととし、38項目の評価要素に整理した。また、こ
でユーザビリティが高いウェブサイトも多数あり
れらの項目について、重要度に応じ1(表1○)
得ることに注意すべきである。
または0.
5(表1△、▲)の比重を付した(表1
を参照)。
表1
公的機関ウェブサイトのユーザビリティを評価する
基準としての各要素の必要性及びその適用の可否
目視チェック可能なユーザビリティ評価要素
識者の意見例
1)
2)
とNN
(4.
7)
で表示に大きな 程度の問題・開発者の意図次第で評
サ イ ト 全 体 の 条 IE
(5)
差がないか
価できず除外。
件・対応
1)Internet Explorer ver5を指す。
2)Netscape Navigator ver4.
7を指す。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
3
4
要 素
必要性
適用の
可 否
△
―
テキストバージョンの有無
テキストだとデータが欠けることが
わかっている。これでマイナスに
なってしまうと過小評価になるとの
×
―
○
1
×
―
×
―
○
1
○
1
○
―
アクセシビリティガイドライン等の 実際に配慮していることが大切でア
△
表示
ピールの有無は意味がないため除外。
―
配慮から。
英語バージョンへの対応
ユニバーサルの観点からは重要。
注 意 書 き・ポ リ ブラウザバージョン・解像度制限の あれば良い程度の要素であるので除
シー表示
説明の有無
外。
対応機器に関する注意書きの有無
携帯ならc―htmlで書くことに な っ
ているので、無理に携帯から通常の
サイトを見ようとしてもみにくくて
当然で除外。
個人情報保護(プライバシー)ポリ 重要
シーが明示されているか
著作権(コピーライト)ポリシーが 重要
明示されているか
その他規約等を掲載しているか
基本的には重要だが行っていない場
合とサイト間で比較する際には除外。
ブラウザ特殊機能制限の説明の有無 機能によって特殊といえない物もあ
る。
更新関係
画像関係
プラグイン関係
△
0.
5
更新ページを用意しているか
サイトの目的次第で区別が付けられ
ないのなら除外。
△
―
掲載情報がいつのものかわかるか
重要
○
1
欠落画像はないか
重要だがユーザビリティ以前の品質
問題。
△
―
動画等大きめのデータダウンロード 重要だが大きめという基準が問題。
に関する注意書きの有無
△
0.
5
GIFアニメを使いすぎていないか
単純に個数で考えるのは適当ではな
いため除外。
△
―
文章を画像化しすぎていないか
画像化しすぎという判断は基準があ
いまいであり除外。
○
―
プラグインが必要な旨の説明の有無 重要
○
1
プラグイン入手先等の明示
○
1
△
―
重要
プラグイン未対応機への代替データ サイト目的とターゲット次第で必須
提供
とはいえないため除外。
PDFの使用有無
PDFファイルの使い方の問題であ
るため除外。
△
―
Flashの使用有無
重要だが厳しいか。
△
0.
5
FlashのSKIPなど
望ましい。
○
1
その他プラグインが必要なデータの 数に意味はない。
使用
△
―
その他アプリケーションデータの使 Wordに対してはtxtファイル代替は
用
常識になっているが、Excelには代
替形式がないので厳しい。
△
0.
5
音声データ提供時の代替データ提供 目的や意図するところによるので一
概に判断はできないため除外。
△
―
1
3
5
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
動画への文字キャプション
目的や意図するところによるので一
△
―
△
―
△
―
△
―
△
―
△
―
○
1
重要
○
―
行き止まりのページでブラウザの戻 重要
るボタン以外で戻れないページはな
○
―
○
―
○
1
ナビゲーションバーの内容はわかり 利用者のコンテクスト次第ゆえミス
やすいか
リードしそうなら除外。
○
―
ナビゲーションボタンで現在位置が サイト設計次第で一意に推奨される
わかるか
べきではないので除外。
△
―
○
―
○
1
プリントした時に読めない文字はな ブラウザの仕様次第であるので除外。
△
いか
―
概に判断はできないため除外。
MIDIを強制的に聞かされないか
MIDIに限定するのは疑問であるの
で除外。
レイアウト関係
レイアウトはサイト全体で統一され 望ましいがコンテクスト次第なので
ているか
チェックリストには不適。
適度に改ページされているか(1 望ましいがコンテクスト次第なので
ページが長すぎないか)
チェックリストには不適。
縦横両方にスクロールするように VGAにすることでユーザビリティ
なっていないか
を落とす可能性もあり、一概に判断
できないため除外。
縦スクロールが長い場合にページ最 ナビゲーションデザイン次第ゆえ除
上部に戻れるか
外。
ナビゲーション関 リ ン ク 先 が ウ ェ ブ ペ ー ジ で な い 重要
係
(データ等)場合その違いがクリッ
クする前に分かるか
いつでもトップページに戻れるか
いか
今表示されているのが何かがわかる 利用者のコンテクスト次第ゆえミス
要素を持っているか
リードしそうなら除外。
ページタイトルはついているか
重要
ステータスバーにメッセージを表示 サイト設計次第で一意に推奨される
していないか
べきではないので除外。
ブラウザの戻るボタンが無効にされ 重要
ていないか
リ ン ク・ペ ー ジ 通常の文字の色が薄いブルー系に リンクと識別しにくいということな
ジャンプ
なっていないか
ら重要。
○
1
テキストのリンクの文字色が見づら 色が見づらいだけではなく、リンク
○
くないか
と同定しにくいことがあるため重要。
1
ページ切り替え時にエフェクトが使 程度の問題で評価が分かれるため除
用されていないか
外。
△
―
工事中のページ及びコンテンツへの 工事中のアンカーがあるということ
リンクが無いか
も情報の一つで、その情報が必要か
どうかはコンテクスト次第。チェッ
クリストで評価する類のものではな
いので除外。
▲
―
クリックできるボタンとできないボ 重要
タンの違いが分り易いか
○
1
×
―
利用者ガイド関係 ページ内の全ての文字が同じ(サイ 同じサイズや装飾で一概に悪いとは
ズ・装飾)でないか
言えないので除外。
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
3
6
ウェブサイトの操作ガイドやFAQ 基本的配慮で重要。
があるか
テキストバージョンの話しと同様に、
説明が必要ないほど使い易く設計し
▲
―
てあればサイト全体の説明は必要な
い。
ウェブサイトの管理者への連絡先が 重要
○
1
○
1
○
―
▲
0.
5
▲
―
△
―
別ウィンドウで表示するページがあ 必ずしも悪いとはいえないので除外。
×
るか
―
別ウィンドウで表示するページを印 重要
刷できるか
○
1
別ウィンドウで表示するページを閉 重要
じることができるか
○
1
○
1
フレームを使っていても使い方の適
切さが問題なので除外。
▲
―
フレーム内に他のサイトの情報を表 他のサイトの情報を表示しない方が
示していないか
良いが、非表示が必須でない。
×
0.
5
フレーム内にフレームが表示される 一般に複雑になるので避けた方がい
ようなリンクが無いか
い。
△
0.
5
ロボット型サーチエンジンからフ 重要度は低いが残すべき。
レーム内に直接飛んできた人への配
慮がされているか
△
0.
5
最低解像度でフレームの一部が欠け 有識者の見解ではほとんどこういう
ていないか
経験がないのではないかとの意見が
大半を占めたので除外。
×
―
×
―
○
1
閉じるボタンが無くても良いので除
外。
×
―
ボタンを押すと次にどうなるか明示 コンテクストでわかれば十分ゆえリ
しているか
ストでは除外。
△
―
○
1
△
―
あるか
表示情報に関する問い合わせ先は明 公共サイトとしては重要。
示されているか
サイト全体
サイトの全体構造がどのページにい 要素的には重要だがチェックリスト
(構造など)
てもわかるか
で判断するべきでない。
サイトマップがあるか
望ましいが環境等によるので必須と
まではいえない。
サイトマップは適切か
要素的には重要だがチェックリスト
で判断すべきでない。
どの程度の階層構造になっているか 上位階層のみの表現が適切な場合も
がわかりやすいか
あり除外。
別ウィンドウを開いた時サイズ調整 基本的に別ウィンドウは親より小さ
をしているか
く表示すべきで重要。
フレーム使用があ フレームを使っているか
る場合
ダイアログ使用が ダイアログ表示を使用しているか
ある場合
ダイアログ表示が一概に悪いとは言
えないので除外。
会員向けページへの入り口が分けら 基本的要素として重要。
れているか
閉じるボタンが用意されているか
検索機能がある場 検索する際の操作・入力方法のガイ 重要
合
ドが用意されているか
検索エラーが起きた
エラーメッセージによっては仕方な
いので除外。
1
3
7
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
検索エラーが起きた時のメッセージ 重要
はわかりやすいか
フォーム入力があ 記入必須項目がきちんと明示されて 重要
る場合
いるか
○
1
○
1
クリアボタンが入ってないか
重要
○
1
送信前後にエラーが起きた
1回だけのチェックは適当でないの
で除外。
△
―
○
1
△
0.
5
要 素
必要性
適用の
可 否
自動チェックによ 画像の内容を説明するALT文字が 重要
る評価
指定していない
○
1
ページタイトルがない
重要
○
1
クライアントサイド・イメージマッ 重要
プにALT文字がない
○
1
サーバサイド・イメージマップを 重要
使っている
○
1
△
―
送信前後にエラーが起きた時のメッ 重要
セージが分かり易いか
間違えて送信してしまった場合の対 あれば親切。
処方法があるか
目視チェック不可能なユーザビリティ評価要素
BMP画像がある
識者の意見例
一概に悪いとはいえず評価が定まら
ないため除外。
ブラウザが領域確保するための画像 あった方がいい程度。
のサイズ指定がない
ブラウザの解釈が早くなるので、必
ず指定すべきで妥当。
▲
わざとサイズ指定をしないことで
ユーザビリティが高まる場合もある。
0.
5
機械的には判断しにくい。
Javascriptを使用している
一概に悪いとは言えないので除外。
×
―
埋め込みCSSを使用している。
一概に悪いとは言えないので除外。
×
―
ActiveXを使っている。
一概に悪いとは言えないので除外。
×
―
Javaアプレットを使っている。
一概に悪いとは言えないので除外。
×
―
固定フォント指定あり
一概に悪いといえない。
視力の弱いユーザに配慮すると固定
すべきではなく妥当。
ユーザビリティ上は、フォント指定
で可読性を向上させる場合があり機
械的に判断できないので除外。
▲
―
ブリンク(文字点滅)を使っている。一概に悪いとは言えないので除外。
×
―
フォントのポイント数を指定してい 一概に悪いとは言えないので除外。
る。
×
―
リンクと勘違いするユーザが多いの
で、使用するべきではないが、除外
すべきものでもない。
▲
0.
5
一概に悪いとは言えないので除外。
×
―
文字に下線をひいている
DOCTYPEの宣言がない。
※:○=必要/△=ある程度必要/▲=意見の相違あり/×=意味のないもの
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
1
3
8
なお、特に減点が少なかったサイトは、香川県、
3 チェックリスト評価基準による公的機関の
沖縄県、大分県、長崎県、高知県、埼玉県、中
ウェブサイトの調査結果
野区、長崎市、秋田市などである。
+特殊法人・公益事業等
上記の評価基準を基に、公的機関のウェブサイ
平均
トのユーザビリティに関する評価を行った。評価
減点3.
59点
4グループ中3番目によい
評価
に当たっては、公的機関を中央省庁、地方公共団
体、特殊法人・公益事業等、郵政関連という4つ
分散 1.
75 比較的レベルが同じ傾向にある。
のグループに分けて評価要素を満たしているか
未達成頻度の高い評価要素 79.
6%でウェブサ
チェックし、満たされていない場合に1または
イトの管理者への連絡先がない、57.
4%で表示
0.
5点を減点する減点法により採点した。採点は、
情報に関する問い合わせ先が明示されていない、
平成1
4年2月1
1日から1
5日の間のウェブサイトを
53.
7%で画像の内容を説明するALT文字の指
対象として行われたもので、この期間後にウェブ
定がない等であった。
サイトが改善・更新された点については、今回の
なお、特に減点が少なかったサイトは、日本
採点結果には反映されていない。
ネットワークインフォメーションセンター、地
域振興整備公団、東京ガス、農林漁業金融公庫
全体の平均は、減点3.
1
7点であり、上は減点0
などである。
から下は減点7.
0点にまで分布した。
,郵政関連
)中央省庁
平均
減点3.
9
5点
平均
4グループ中最低
減点3.
2
4点
4グループ中2番目に良い
評価
分散 2.
2
2 ややばらついている傾向にある。
未達成頻度の高い評価要素 8
4.
8%で個人情報
分散 2.
43 ばらついている傾向にある。
保護(プライバシー)に関するポリシーが表示
未達成頻度の高い評価要素 58.
1%でウェブサ
されていない、5
3.
0%で著作権
(コピーライト)
イト管理者への連絡先がない、51.
6%で英語
ポリシーが明示されていない、4
7.
0%でウェブ
バージョンへの対応がなされていない、45.
2%
サイト管理者への連絡先がない等であった。
で表示情報に対する問い合わせ先が明示されて
なお、特に減点が少なかったサイトは、財務省、
いない等であった。
特許庁、国土交通省などである。
なお、特に減点が少なかったサイトは、米国
目的のはっきりしている政府系の委員会などの
USPR、英国書状事業本部、北海道郵政局など
サイトは評価が良くなる傾向がある。
であった。
*地方自治体
平均
減点2.
5
2点
4
4グループ中トップ
今後の課題
分散 2.
2
3 ややばらついている傾向にある。
ウェブユーザビリティの重要度に応じ1(○)
未達成頻度の高い評価要素 37.
3%で著作権
または0.
5(△)と評価された項目であっても、
(コピーライト)ポリシーが明示されていない、
目視による調査が非常に困難であるとの理由から、
3
3.
9%で画像の内容を説明するALT文字の指
今回の調査対象から除外されたものも存在する。
定がない、2
2.
9%でウェブサイトの管理者への
それらの要素については、今後どのような形で評
連絡先がない等であった。
価していくか、その適切な手法が項目毎に策定さ
1
3
9
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0
3.
2
どうかを的確に判断していけることが、ユーザビ
れることが望ましい。
また、チェックリストに挙げられた9
0の項目を
リティの評価には求められるものと思われる。ま
見ても明らかなように、ウェブサイトにおける文
た、そうした選択の適切性を評価できる仕組みを
章の分かり易さとか、図の理解しやすさといった、
考えていくことが、今後必要になってくるであろ
情報と呼ばれるものに基本的に求められる性質も、
う。
現在のところユーザビリティ要素として含まれて
以上のような、適切な手法の策定と、より定性
いない。これらについては、ウェブサイトにおけ
的な内容についての評価項目の充実、情報選択の
る基礎的な要素として、評価項目に追加されるべ
適切性を判断できる仕組みの構築という3つの課
きであろう。
題は、今後のウェブサイト・ユーザビリティのよ
さらに、ウェブサイトにおいて、その視聴者が
り正確な評価に不可欠であるとともに、これらの
必要な情報がうまく選択して掲載されているか、
課題にこそ今後探究していくべきウェブユーザビ
情報の選択が適切に行われているウェブサイトか
リティの本質が隠されていると言えるだろう。
参考文献
○Ben Shneiderman[1
9
9
7.
7]
“Designing the User Interface―Strategies for Effective Human―Computer Interaction”Addison―Wesley Pub Co
○D.A. Norman[19
9
0.
1]『誰のためのデザイン―認知科学者のデザイン原論』新曜社、(野島久雄
訳)
○D.A. Norman[19
9
6.
1
1]
『人を賢くする道具―ソフトテクノロジーの心理学』新曜社、(佐伯
絆
監訳)
○D.A. Norman[19
9
3.
1
0]
『テクノロジーウォッチング―ハイテク社会をフィールドワークする』新曜
社、(佐伯
絆
監訳)
○Jacob Nielsen[2
0
0
0.
7]『ウェブユーザビリティ―顧客を逃がさないサイト作りの秘訣』MdNコー
ポレーション、
(篠原俊和
監修、グエル
訳)
○Mark Pearrow[2
00
1.
4]
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サイトの「使いやすさ」を検証する』インプレス、(茂出木謙太郎
訳)
○Michel Lees, Andrew White, Bebo White[2
001]“Designing WEB INTERFACES”PH PTR
○Norman, D.A., & Draper S.W.[1
9
8
6]
“User Centered system design―New perspectives on human
―computer design”Hillsdale, NJ: Erlbaum Associates
○Steve Krug [2001.
6]
『ウェブユーザビリティの法則―ストレスを感じさせないナビゲーション作
法とは』ソフトバンク、
(中野恵美子
訳)
○Tom Brinck, Darren Gergle[2
0
0
1.
9]“Usability for the Web―esigning web sites that work”
Morgan Kaufmann Publishers
○アラン・クーパー『ユーザーインタフェースデザイン』翔泳社、(テクニカルコア
○株式会社ビービット [2
00
0.
8]
『ウェブユーザビリティ
インプレス、
(篠原俊和
郵政研究所月報 2
0
0
3.
2
監修)
1
4
0
訳)
ルールブック―顧客増やすサイト設計』
郵政研究所通信
1
学会・大学・講演会等での発表
「企業の経営指標に関する調査研究」
(信越郵政局12月2日)
「送金決済サービスの現状と利用者の意識」(中央郵政研修所12月4日)
「前島密・創業の精神」
(信越郵政局1
2月1
3日)
「公的機関のウェッブサイトユーザビリティに関する調査研究」(東海総合通信局1月22日)
「送金決済サービスの現状と利用者の意識」(信越郵政研修所1月29日)
2
報告書等の発行
「IPTP
3
トピックス」(適宜)
広報活動
¸ P―sat放映
「デジタルパーク郵政館」
(毎週木曜日放映)
¹ 新聞・雑誌・学会誌等への掲載
「Productivity Analysis of Postal Services」
(Crew, Kleindorfer編著『Postal Delivery Service』
)
「鉱工業生産指数」
(かんぽ資金1
2月号)
「8月の地域経済総合指標の動き」
(かんぽ資金12月号)
「日本経済中期見通しについて」
(保険展望12月号)
「インターネット常時接続時代の情報セキュリティー」(情報通信ジャーナル12月号)
「複雑系と郵便」
(通信文化新報1
2月2
6日)
「未年の年賀切手になった郷土玩具」
(郵政12月号)
「デフレ(デフレーション)
」
(かんぽ資金1月号)
「9月の地域経済総合指標の動き」
(かんぽ資金1月号)
「ユニバーサルサービス制度改革の便益」
(情報通信ジャーナル1月号)
「江戸の町を描いた錦絵」
(郵政1月号)
4
ていぱーくの特別展
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン
・五味太郎
絵本原画展∼くるくる手紙でCommunication∼」 1月1
0日(金)∼2月9日(日)
夢と希望にあふれた楽しい作品でわれわれを楽しませてくれる日本を代表する絵本作家、五味太
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン
郎氏の通信手段(Communication)を題材とした絵本、切手原画作品を中心とした特別展を開催
します。
・日本の赤い丸型ポスト写真展
1月1
0日(金)∼2月9日(日)
写真家・吉野春朗氏の「街角の丸ポスト便り・北海道から九州まで」では、ふるさと紀行の旅情
あふれる作品の展示。また丸型ポスト愛好家・庄司巧氏の「懐かしさと温かさを」では、時代の
1
4
1
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0
3.
2
変遷に注目しながら明治から平成にかけてのいろいろな姿の愛情あふれる作品を展示します。
・2
0
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3年NHK大河ドラマ「武蔵
MUSASHI」展
2
0
0
3年に放映されるNHK大河ドラマ「武蔵
2月1
4日(金)∼2月23日(日)
MUSASHI」をテーマに、実際に番組で使われる
小道具・衣装等の展示やドラマの時代背景等の紹介をします。
◆ Opinion ―読者の声― ◆
本号に掲載した論文等について、皆様からのご意見をお寄せください。本誌の中で随時取り上げ
ていきます。あて先は下記のとおりです。所属先及び氏名を明記の上、お送り願います。
なお、郵政研究所では大学・研究機関等のホームページと積極的にリンクを設定していきたいと
考えております。リンクをお考えの方は下記までE-mailにてお知らせ下さい。
【御意見等の宛て先】
〒1
0
6―87
98 東京都港区麻布台1―6―19 総務省郵政研究所
研究交流課
TEL:0
3―3
22
4―7
31
0 FAX:03―3
224―7382
URL
http://www.iptp.go.jp/
E-mail:[email protected]
編集後記
冬はとかく、外へ出かけることが億劫になってしまいます。私は北国育ちながら寒さ
には弱く、なるべく外出しない方法を模索してしまいます。
そんな寒さを逆手にとり、冬を楽しませてくれる北国の風物詩に、雪まつりや氷まつ
り等があります。
その季節、その季節を楽しむ知恵。次の休日は、
「この時期ならではの風物詩を堪能
する。
」そんな目的をもって小旅行に出かけたいと想う。
送付先住所の変更等ございましたら、お手数ですがご連絡お願いいたします。Eメー
ルアドレス、FAX番号は次のとおりです。
E-mail www―[email protected]
FAX 0
3―3
2
2
4―7
3
8
2
郵政研究所では、研究の成果を随時インターネットで公開しています。どうぞご覧下
さい。
郵政研究所ホームページアドレスはこちら→ http://www.iptp.go.jp/
(紺野)
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3.
2
1
4
2
ていぱーく展示場紹介J
〈近代以前の通信〉コーナー「わが国の通信制度の発達」
∼中世の通信∼
〈鎌倉時代の通信〉鎌倉に幕府を開いた源頼朝は、鎌倉と京都を結ぶ通信の連絡方法として文治元年
しゅく
(1
1
8
5)に「駅路の法」を定めました。これは、 宿(かつての駅馬
と同じで、次の宿場までの輸送)に人夫や馬を常駐させて、早馬(騎
馬飛脚)や飛脚(徒歩で通信連絡をする人)を走らせるというもの
でした。この飛脚のことを「鎌倉飛脚」とか「六波羅飛脚」と呼び
ます。こうして、宿は武士のための輸送通信の機能をもつようにな
りました。商業が盛んになってくると、遠隔地の代金決済方法とし
て為替も使用されるようになりました。
〈室町・戦国時代の通信〉鎌倉幕府の滅亡とともに、早馬による通
信制度は廃絶し、その後戦乱の時代を経て、地方に大名が分立しま
六波羅飛脚鎌倉に至る図
「日本交通図絵」より
した。大名たちは、関所を設け、関銭(通行税)
を徴収するように
(早馬で、首から胸に文書袋を下げた急便が鎌倉に到着
した様子を描いています。)
なったため、自由な通行ができなくなりました。
戦国時代になると、諸大名は自己領域内で伝馬制度を設け、公用
物資の運搬や通信の便にあてました。武田・今川・北条・上杉など
は、伝馬制を設けており、公用の馬を使用する者には、その証拠と
して手形を渡しました。これを伝馬手形と言います。
織田信長は、関所を廃止して道路を整備し、飛脚を再開させまし
た。豊臣秀吉は、全国的な規模の交通政策を採り、小田原から会津
に至る道路を修築し、朝鮮の役には、本陣の肥前名護屋・大坂・京
都に至る間に2
3の宿駅(4kmごと)を設け、海路には2
0の港を築
いて、伝馬・郵船の制度を定めました。飛脚を走らせるには、秀吉
展示場風景「人々でにぎわう町・堺」
(室町時代の終りごろ、貿易港として栄えた堺の町の様
の朱印を必要としました。
子を再現しています。)
学芸員雑記帳
「〒」マークについて
「〒」マークが制定されて、今年で1
1
6年目になり郵便の
マークとして親しまれています。明治4年(1
8
7
1)の郵便創
業時には、郵便マークとして決められたものはなく、赤色の
大きな丸に太い横線が中央に書かれたものを制服・帽子・郵
便旗などに付けていました。このマークが郵便徽章として正
式に決められたのは明治1
7年(1
8
8
4)です。
明治1
8年逓信省が創設され、新しい省のマークとして明治
2
0年(1
8
8
7)2月8日逓信省告示で「自今(T)
字形ヲ以テ本
省全般ノ徽章トス」と定められましたが、同年2月1
9日の官
報で「T」字は、「〒」字の誤植であると訂正されました。
訂正に至ったいきさつについては、二説あります。
¸ 「T」は全世界共通の料金未納又は料金不足郵便物の表
示記号として使用されていることが分かり、片仮名の「テ」
の字にし、「T」に一本加えて「〒」とした。
¹ 逓信省の頭文字を図案化し、第一案を英語の「T」
、第
二案をカタカナの「〒」
(テ)と提出したところ、第二案
が採用されたが、告示の時「T」と誤り、訂正した。
この二説のうち、どちらが正しいかはわかりませんが、逓信
省の「テ」を図案化したことは間違いないようです。
(井上恵子)
「荒布橋従江戸橋之真景」3枚組の内の1枚
三代広重 明治10年
(郵便物を輸送している郵便馬車に郵便旗を立てています。また、
制服や帽子にも郵便のマークがついています。)
「郵便現業絵巻」
(明治20年代後半ころの東京中央郵便局前での郵便専用馬車による
輸送風景。明治20年制定の「〒」マークの旗が立っています。)
ISSN 0918-5062
2003.2
郵
政
研
究
所
月
報
郵政研究所月報
Institute for Posts and Telecommunications Policy (IPTP)
Monthly Report
2003.2
IPTP
INSTITUTE
FOR
POSTS AND
TELECOMMUNICATIONS
巻 頭 言
POLICY
無線技術の移り変わり
中川 正雄
視 点
シミュレーション
鳥居 昭夫
特 集
日本経済地域見通し(2002年度−2004年度)
寺谷 淳
小原 宏
藤重 雅哉
内藤 秀司
「情報通信の産業競争力:政府の役割、民間の役割」
(情報通信シンポジューム)の開催について
郵政研究所月報
第16巻 第2号 通巻173号 2003年2月1日発行
編集・発行 総務省郵政研究所
〒106-8798 東京都港区麻布台1-6-19
TEL:03-3224-7310 FAX:03-3224-7382
URL http://www.iptp.go.jp/ E-mail [email protected]
※本誌の無断転用、複写を禁じています。
本誌は再生紙を使用しています。
173
No.173
住尾健太郎
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