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萬願寺

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萬願寺
広
島
area
name
substance
place
西-16
真言宗三登山観音院
鉄筋コンクリート造り
広島県呉市宮原通7-13-5
萬願寺
20.0m
JR呉線「呉」より
平成4年(1992)
真言宗
萬
願
寺
access
至 広島
JR呉線
至 三原
呉
北
バス
バス「鍋桟橋」宮原経由行で
路線
「宮原8丁目」下車、
左山上へ徒歩5分
呉湾
復元五重塔
バス停
宮原八丁目
少し肌寒い、しかし快晴の春分の日
(2000年3月
より60∼70mくらい高台にある。広い縦長の境内
20日)広島・萬願寺へ描画の旅に出かけた。
の奥に建っている。後ろの丘陵一帯は入船山。塔
萬願寺のことを知ったのは偶然インターネット
を正面に見据えながら本殿横の細長い道を進み、
で見つけたもので、8年も前に建っていたのを情
小さな中庭を抜け、左右墓群の中を上がると塔の
報として掴んでいなかったのは驚きである。
前まで行ける。
JR「三原」駅で呉線に乗り換える。呉線は30分
塔は周囲が柵で囲いがしてありさらに施錠も重
に1本しかなく不便。三原を出て三つ目の駅を過
なって、残念ながら塔の真近までは行けない。左
ぎると左の景色は瀬戸内海。海岸線を列車は蛇行
右、さらに後ろ側は丘陵地帯を入船山が囲んでい
してのろのろ走る。長閑
(のどか)な春のゆっくり旅
て回れず、少し下りて周囲を巡り描画場所を探す
でもある。大小の小舟が静かに漂っている波静か
が、左は墓群、後ろは木立、右は崖となり、正面
な瀬戸の風景。
しかダメである。しかたなく本殿のある境内に戻
途中「広」で乗り換えねばならない。不思議な
り、塔を遠方からいろいろな角度で眺めいい場所
路線?そこから
「呉」
までまたもゆっくり旅。途中
をさがす。門の横に釣鐘堂があり、その右下の坂
の「川尻」は筆の町として有名である。
道から塔を見上げるとおもしろい構図になる場所
三原を出発して乗り換え時間も入れて呉まで1
を見つけ、そこからの描画を始める。
時間20分もかかった。広島から戻って行った方が
今日は3月なのに風もなく天気もいい。気持ち
便利なのかもしれない。
いい自然の中での一時、時折どこからともなく鶯
事前に寺の方に交通の便を聞いていたので、呉
のさえずりが聞こえてきた。TVで見たが鶯が「ホ
駅前から宮原経由「鍋桟橋」行きのバスに乗り10
ーホケェキョ」と鳴くのはオスだけで、春にメス
分ほど、
「宮原8丁目」で下車。車中でも途中から
に求愛するための仕草であるらしい。本当に春の
塔は見え隠れしていたので場所はすぐわかった。
近いことを感じる。
急な坂道を5分ほど上り詰めると緩やかに右に
塔は組物が一手先だが、今まで見たものとは少
まで私の見たものでは山梨の長禅寺くらいかも
初春の暖かい陽射しのなか、気持ちよく3時間
カーブした坂道の先が入口の門に。振り返ってみ
し変わっていて木組みが珍しい。それを強調して
しれないが。詳しいことを聞こうと本殿に戻り
ばかりで書き上げた。帰り支度をして急いで坂道
れば呉港が180度のパノラマで美港の全容を魅せ
描く。他はあまり特徴のない塔で屋根の勾配もゆ
声をかけるが、どなたも出てきていただけなかっ
を下るのは行きと違いさすがに楽で、ゆっくりバ
てくれる。ドックや細長いクレーンがいっぱい立
るやか。コンクリート造りだが遠くから見ている
た。休日は意外とお寺の方は忙しいと聞く。それ
ス停まで。
ち並び、港の雰囲気が漂って素晴らしい景色であ
と柔らかい感じのする塔である。扉窓は初層中央
にしてもちょっと不用心だなとも思ったがしかた
今日はいい天候に恵まれ、寒さも感じない暖か
る。天候に恵まれたことも合わさって冬の終わり
両開き板戸脇間連子窓、2∼5層中央板戸白壁にな
がない。塔の建立については詳しく話を聞けなく
い陽気な3月の一日であった。
としては陽気な陽射しで、明るさと雄大さの風景
っている。縁・勾欄は2∼5層擬宝珠(ぎぼし)勾欄。
て資料もなく、残念であった。
からは潮の香りさえ漂う。寺の境内から全景を妨
内部は位牌堂とか。
げる建物はなく眺望は素晴らしい。
本堂の境内から右に少し目を向けると多宝塔が
呉は昔軍港で戦艦大和が造られたり海軍兵学校
1基離れて建っている。その塔も真新しく綺麗な
もあったりした所と聞くが、その開けた港の様子
姿である。一つの寺で2基もの塔があるのは珍し
を見れば頷ける。
いし素晴らしい。地形の悪い所なので尚更である。
五重塔は平成4年(1992)の建立で新しく、バス道
ただこの塔が萬願寺のものかは定かでないが。今
うぐいす
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基壇
縁・勾欄
扉窓
内部
組物
中備
軒
屋根
相輪
特徴
御影石
基壇
初層縁なし、
2∼5層擬宝珠勾欄
初層中央両開き板戸、脇間連子窓、
2∼5層中央板戸白壁
位牌堂
一手先
なし
二軒
繁垂木
銅板葺
型の通り
水煙、竜車宝珠金色
コンクリート造り。
2000年3月
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