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「一般用医薬品のインターネット販売及びテレビ電話等を活用した医薬品

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「一般用医薬品のインターネット販売及びテレビ電話等を活用した医薬品
第3回「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会」
(2010年11月30日)提出資料
資料1−1
「一般用医薬品のインターネット販売及びテレビ電話
等を活用した医薬品販売」についての調査
委員 岩瀬大輔
1.規制の現状
(1)規制の目的
・ 一般用医薬品(いわゆる「大衆薬」)の販売に関し、リスクの程度に応じて専門家が関与し、
適切な情報提供等がなされる、実効性ある制度の構築
(2)規制の内容(一般用医薬品)
第1類医薬品
(例)H2ブロッカー、一部の毛髪用薬
・日常生活に支障を来す程度の
健康被害のおそれ
・使用に関し特に注意が必要なもの
≪
薬
事
法
≫
◎法第36条の6第1項
・第一類医薬品について
①薬剤師
②書面を用いて
③情報提供の義務
第2類医薬品
(例)かぜ薬、解熱鎮痛薬
・日常生活に支障を来す程度の
健康被害のおそれ
◎法第36条の6第2項
・第二類医薬品について
①薬剤師又は登録販売者
②情報提供の努力義務
第3類医薬品
(例)ビタミン剤
・第1類と第2類以外のもの
(情報提供は不要)
但し、購入者等から説明を要しない旨の意思表示
があった際は適用除外(同4項)
≪
≫
省
令
◎規則第159条の16
・第二類医薬品について
①対面で
②情報提供の努力義務
1
2.議論の経緯
2009.2
郵便等販売禁止の省令(公布)
2009.5
ケンコーコム(株)による訴訟提起→原告敗訴(2010.3)
2009.6.1
郵便等販売禁止の省令(施行)
2009.6.17
規制改革会議・厚労省との公開討論会 ⇒規制に反対
2010.4
行政刷新会議・ライフイノベーションWG ⇒規制に反対
2010.10
「国民の声」 ⇒意見(11,714件)の約70%*が規制に反対
※ケンコーコム資料をもとに作成
2
(参考)規制改革会議の意見
「重点事項推進委員会用資料(医療分野)」~ 一般用医薬品の販売体制について ~
公開討論 論点項目(2009年6月17 日・規制改革会議)
(2)対面販売の必要性について
厚生労働省は、「適切な情報提供や相談応需を通じて、購入者側の状態を的確
に把握するとともに、購入者と専門家との間で円滑な意思疎通を図る」ために
「対面」による情報提供が必要不可欠であるとしているが、その必要性に大いに
疑義がある。事実、運用に一貫性が無い。
○ 第2類医薬品については、販売時の情報提供は努力義務とされており、対面を不可欠とする厚生労働省の
主張と整合性がない。
○ 購入者と使用者が異なる場合、販売者と使用者は直接対面することは無く、例えば、使用者本人に情報伝
達されないこともありうる。それにもかかわらず安全が確保できるとする理由が不可解である。
○ 厚生労働省は、今回の経過措置で離島居住者への郵便等販売を認めている。仮に「対面が不可欠」なので
あれば、経過措置対象者の安全性に問題ないとする根拠に疑義がある。
○ 配置販売業について、その安全性に問題はないとされているが、配置薬は常備薬としての購入を前提とし
ており、販売者の訪問頻度も高くない。従って、使用時に対面で情報提供することは出来ず、郵便等販売より
安全性が高いとされる根拠に疑義がある。
○ 薬剤師による郵便等販売が規制されている一方で、配置販売業、特例販売業など、そもそも薬剤師・登録
販売者の資格を有さない者による販売が一部認められていることは安全確保の上で整合性がない。
(出所)http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2009/0617/agenda.html
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(参考)行政刷新会議の意見
行政刷新会議規制・制度改革に関する分科会ライフイノベーションWG
(第4回・2010年4月29日) 資料3 各検討項目 対処方針シート
規制改革要望・賛成の意見等
・これまで何ら問題となっていない販売形態が規制され、消費者の利便性の毀損、
事業者間の公平性の阻害(地方の中小薬局等のビジネスチャンスの制限)が発生
している。
・インターネット、電話等の販売について安全性の確保を前提としたIT時代に相応し
いルール作りは可能である。
・よって、専門家により医薬品販売が適正に行われている薬局・薬店においては郵
便等販売規制を撤廃すべきである。
(出所)http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/life/0429/agenda.html
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(参考)行政刷新会議を受けた副大臣折衝
行政刷新会議 規制・制度改革に関する分科会
(第3回・2010年6月7日)
(田村政務官)
「一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和」。こちらについては副大臣折
衝もさせていただきましたが、
(略)
基本的に昨年省令改正といいますか、やり方を変えて、そこでまたすぐに変えると
いうのはやはり朝令暮改なのではないか。やはり、そこは尐なくとも2年ぐらいは様
子を見るといいますか、それは別に棚上げではなくて、いろいろ状況を調べて、そ
の上で判断をした方がいいという、そういう意味では慎重姿勢で、結局、そういう意
味では相当部分、平行線で終わってしまいました。
(大塚副大臣)
あらゆる規制・制度は、あるいは政策もそうですが、目的に対する手段であります
ので、対面販売の原則の目的は何なのかということをきっちり、この秋の陣で確認
していくことによって、十分に、更に見直していく余地があるというふうに思っており
ます。
(出所)http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/subcommittee/0607/summary0607.pdf
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3.論点
健康・安全に配慮しつつ、広い国民のニーズを満たすため、郵便等販
売をできるようにするには、
薬事法で要求される「リスクに応じた情報提供」を、
どういう形でやればいいのか?
どういう条件が満たされればいいのか?
対面で、どのような情報提供がなされているか?
日本薬剤師会、日本チェーンドラッグストア協会へのヒアリング
どうすれば、非対面でも同様の情報提供ができるのか?
楽天、ケンコーコムへのヒアリング
⇒これらについて、IT活用の専門家の立場から議論する。
他の対面や書面の有効性のテーマに活用。
●本調査会の役割
ITの利活用を阻むような規制・制度・慣行、サービスの仕組みそのものの在り方や運用等の洗い出しを行い、国民にとっ
て利益となる形で抜本的に見直すために必要な調査を行う。(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
(2010.6.22))
※情報提供の必要性の前提となる医薬品の副作用リスクに応じた分類は、医薬品の専門家における議論。
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4.副作用報告について
過去の副作用報告において、以下のような症状が報告されて
いるが、このような副作用は、対面と非対面という方法の違い
により、発生確率が異なるのか。
主な副作用症状 主な薬剤名
肝機能障害
報告件数
総合感冒薬、漢方製剤、胃腸薬、ビタミン
剤、滋養強壮など多数
26
アナフィラキシー 総合感冒薬、鎮痛解熱剤、耳鼻科用剤
ショック
(抗アレルギー)、他抗炎症剤・抗菌剤な
ど多数
薬疹
総合感冒薬、鎮痛解熱剤、その他胃腸薬
など多数
意識の低下
耳鼻科用剤(抗アレルギー)、消毒剤、鎮
暈剤、総合感冒薬、中枢神経用剤など
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その他
総合感冒薬、鎮痛解熱剤など多数
13
6
104
(補足)集計結果の注意事項にある通り、医薬品との因果関係が不明なものが含まれており、医薬品との関連性が評価されているものではない。
(出所)国内副作用報告の状況(一般用医薬品)(平成20年4月1日から平成20年9月31日までの報告受付分:合計167件)をもとに集計。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1127-12j.pdf
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5.今回の調査の対象
販売者側は、賛否を明らかにしている団体が明確なためヒアリング実施。
一方、消費者側は様々な意見があると考えられることから、パブコメを実施。
販売者側
消費者側
対面販売支持
・日本薬剤師会
・日本チェーンドラッグストア協会
・薬害団体
ネット販売支持
・楽天
・ケンコーコム
・これまでネット販売で
医薬品を購入していた方
ヒアリング調査
書面調査
パブリックコメントの実施
(2010.11.26~12.27)
厚生労働省からは、訴訟中であり、訴訟に直接関係しない質問について、調
査会から出された質問に対する答弁書や訴訟の国の主張の範囲内でお答え
するとの回答を得ており、書面調査をベースとしている。
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6.各団体の主張
≪日本薬剤師会≫
≪楽天・ケンコーコム≫
・ ネット販売は副作用被害の
可能性が対面販売より高まる
・対面原則を裏付ける
合理的・科学的根拠がない
・電話・メール等は、双方向の
やり取りが直接の会話で瞬時
にできる対面に劣る
・ネット薬局は、対面と同等以上
の情報提供や相談応需体制を
整備
・医薬品販売は、利便性よりも
安全性がより確保できる制度
のもとで行われることが重要
・通販の安全な販売環境を確保
するため、販売ルールを提案
し、既に実施
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7.規制緩和を望む消費者の声
・持病で外に出れず、ネット購入しか方法がない(2009/6/10埼玉県 女性)
・親を介護し、出かける事もままならない。薬を探し回っても置いてなく、再度出かけないと
いけない(2009/8/26福岡県 女性)
・身体障害者のため、なかなか医薬品を購入できず、他人にお願いして購入しています。
お礼などもあり高い支払いになる(障害者の方)
・緑内障で、駄目な薬が多くある。町の薬局では取り寄せてくれず、インターネット以外に
方法がない。(自分に合った薬が近くにない方)
・山での生活は車あってのものですが、山に住む多くの高齢者は免許も持っていません。
このような人々の手助けになっていたのが、電話やネットなどによる薬の購入や通販です。
薬での害は怖いものですが、ネットによるものなのでしょうか?ネット購入が安全に行える
ように考えるのが大事だと思います。(へき地居住者)
・過疎地などに住む人が薬を手に入れづらくなるのでは、何のための法改正だったのかと
言わざるを得ない。(北海道新聞社説)
※ケンコーコムと楽天の資料をもとに作成
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8.規制緩和を望まない消費者の声(1)
全国薬害被害者団体連絡協議会からの回答
一般用医薬品への規制
医療用医薬品であれ、一般用医薬品であれ医薬品の副作用を完全になくすことは現状では困難
であることから、その化学物質ないし生物由来たんぱく質等の人体一般に対する性質を可能な限
り明らかにしたうえで(臨床試験等)その用法、用量、使用上の注意、(添付文書)を一体として、国
が認可することで医薬品と称することが可能になるというのが、現状の制度であると認識しており
ます。
こうした観点を踏まえますと、本来重篤な副作用が生ずる恐れのあるものは、医療用医薬品として
処方されるべきであり、一般用医薬品として販売するべきではないと考えます。
しかしながら、現状では重篤な副作用リスクのあるものも一般用医薬品として販売されているのが
実情です。仮に、こうした実情を踏まえるならば、特にこうしたリスクの高い一般用医薬品について
は、専門家が十分関与して販売使用されることが次善の策として望ましいと考えます。
※本調査会(第3回)の資料8 (全国薬害被害者団体連絡協議会回答書面)からの引用
11
8.規制緩和を望まない消費者の声(2)
全国薬害被害者団体連絡協議会からの回答
規制緩和の問題
現行の制度設計の趣旨を踏まえると、ネット医薬品販売は規制緩和問題として問題にできないと
考えます。
同様の、観点は、かつてコンビニエンスストアにおける販売が医薬部外品に限られ、当時の一般
用医薬品のなかで、医薬部外品としても良い品目を選定した経緯にもあらわれています。医薬品
は医薬品として認可される時点で、その扱いについても製品の仕様として内在する特殊な商品で
あることになります。
(補足)コンビニ販売の経緯については、2004年7月、医学・薬学等の専門家によって「安全上特に問題がないもの」として選定された一般用医
薬品を医薬部外品に移行させることにより、一般小売店での販売を可能としたもの。
(出所)厚生労働省の報道発表資料 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/07/h0716-3.html
ネット販売を認める措置
上記回答の趣旨を踏まえた上でなお、インターネット販売を安全に行いたいというのであれば、
すでにインターネット販売が事実上容認されている第3類の販売の現状を十分調査検討すること
が必要だと考えます。
もし、現状のインターネット販売において第3類医薬品が安全に販売されているないし今後も安
全に販売できるということであれば、第3類医薬品の認可はインターネットでの販売にも適合して
いることと認識することが可能になります。いずれにせよ、この問題はインターネット販売の実情
を十分精査検討したうえで結論を出すべき問題で、拙速に結論を出すべき問題ではないと考え
ます。
※本調査会(第3回)の資料8 (全国薬害被害者団体連絡協議会回答書面)からの引用
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9.日本薬剤師会からの回答への質問
書面の回答
今回の質問
ネットは対面よりも劣る(回答5)
劣るかどうかでなく、ネットの方が副作用の
危険性が高まるという根拠はあるのか?
顔色の把握は非対面では困難(回答5)
代理購入の場合は、把握できないのでは?
非対面では副作用発生時の初期対
応ができない(回答6)
副作用発生時は医療機関受診するのでは?
ネットによる一方的な情報提供は補
完的なもの(回答7)
ネットでも、購入者の回答内容で情報提供の
内容を変えることや、電話・メール等により双
方向の情報やり取りはできるのでは?
店舗の混み具合に関わらず、情報
提供を行うことは当然(回答7)
一般用医薬品販売制度定着状況調査(※)で
は、第1類医薬品販売時に書面による詳細な
説明があったのは50.5%、説明自体なしが
19.8%となっていることについて、どう思うか?
※平成22年6月・医薬食品局総務課
※日本チェーンドラッグストア協会からの回答は
前日までになされなかったため、準備していません。
13
10.ケンコーコムからの回答への質問
書面の回答
ネット販売自体が禁止された(回答1)
研究によれば、一般的に、ネット
は対面と比較して伝達される情報
の正確性において優れている(回答
今回の質問
ネット販売全体の売上に占める一般用医薬
品の割合は、どれくらいか?
一般的に優れていると記載されていますが、
他にも同様の結果のある調査や研究はあ
りますか?
1)
IT技術を駆使し、正確かつ確実な
情報提供を行い、相談応需が可
能な体制を整えている(回答1)
(同上)
IT技術に追いつけない薬剤師らが
職域を守るために、対面を聖域化
している(回答1)
ネット販売を希望する薬局が、そのような体
制を整えることは、容易にできるものか?
現在の販売体制における販売について、
購入者から苦情などはないか?
第二類医薬品は、登録販売者でも販売で
きるので、薬剤師の職域確保とは関係しな
いのではないか?
14
11.楽天からの回答への質問
書面の回答
今回の質問
通信販売継続を求める署名が
150万件を突破(回答1)
楽天の会員数は何名か。また、ネット販売
全体の売上に占める一般用医薬品の割合
は、どれくらいか?
通販の安全な販売環境を確保す
るための販売ルールを提案し、既
に実施(回答2)
ネット販売を希望する薬局が、そのような体
制を整えることは、容易にできるものか?
(同上)
省令案のパブコメに対しても大多
数の国民が反対していたにもかか
わらず強行したものであり、消費
者不在の議論(回答3)
実施されている販売ルールにおいて、購入
者から苦情などはないか?
消費者団体や薬害団体は、一般用医薬品
のネット販売の規制に賛成していると聞い
ているが、このことについてどう思うか?
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12.厚生労働省からの回答への質問
書面の回答
今回の質問
副作用報告において購入経路は
必ずしも報告されていない(回答2)
対面の原則の有効性が判断できないので
はないか?
対面による適切な情報提供等を
通じて、購入者の状況を的確に把
握する必要がある(回答4)
代理購入の場合に購入者の状況を把握する
意味はないのではないか?
ネットでも、双方向の情報やり取りにより購入
者の状況把握はできるのではないか?
テレビ電話の今後の取り扱いは、
技術進歩や関係者の意見等を踏
まえ、対応を検討していく(回答4)
具体的な検討の予定はあるのでしょうか?
具体的にどのような技術進歩があれば可
能となるのでしょうか?
業界団体で、障害者などに対し、
郵便等販売によらず医薬品を供給
する取組がされている(回答11)
双方向の情報のやり取りに基づく的確な情報
提供ができれば郵便等販売で済むのではな
いか?
≪追加の質問≫
・第1類医薬品と第2類医薬品との実質的な違いは、どこにあるのでしょうか?法文
上の「使用に関し特に注意が必要」か否かだけでは分からないので、教えてください。
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13.ネット販売における対応案の検討
以下の論点について、どうすれば薬事法で求められる情報提供がネット販売で対
応できるかを検討したい。
論点
ネット販売における対応案
1.購入者の属性、状態等の把握
1.質問画面の表示等により購入者
の情報を把握する。
2.即時の応答・指導
2.医薬品の発送前に必ず質問事項
の回答を行うようにする。
3.意思疎通の柔軟性・双方向性
3.双方向の意思疎通が可能となるよ
うなテレビ電話などを使う。
4.専門家が情報提供を行っている
ことの確認
4.公的機関による認証などで購入者
が識別できるようにする。
5.製品や添付文書等を示しながら
の説明
5.一律に画面表示を行うようにする。
※ケンコーコム資料をもとに作成
17
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