Comments
Description
Transcript
NEXT.Formula Project
N EXT.Formula P roject NEXT.Formula Project 夏期活動報告書 < 2011 年 6 月~8 月 > 0 Index 1.NEXT.Formula Project をご支援下さる皆様へ ・・・・ 2 2.2011 年度大会仕様マシン【NU-11】 諸元 ・・・・ 3 3.活動報告(6 月~8 月) ・・・・ 4 4.問題と対策 ・・・・ 8 Ⅰ.燃料系トラブル ・・・・ 8 Ⅱ.サスペンショントラブル ・・・・ 10 Ⅲ.ペダルトラブル ・・・・ 11 5.“NEXT.Formula Project”による 地域密着型エコプロジェクト ・・・・ 12 6.2011 年度スポンサー一覧 ・・・・ 13 7.お問い合わせ先 ・・・・ 14 1 1. NEXT.Formula Project をご支援下さる皆様へ プロジェクトリーダー 工学部機械システム工学科 4 年 高橋直之 晩夏の候、貴社におかれましてはますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。 平素は皆様より並々ならぬお力添えをいただき、心より厚く御礼申し上げます。 この度は 2011 年大会(第 9 回大会)に向けた夏期の活動についてご報告いたします。 まず、先の 8 月 5 日に大会に出場するための書類審査の結果が発表されました。その結果、 本年度も無事に大会本戦への進出が決定しましたので、ここにご報告させていただきます。 また、本年度は提出書類の不備もなく、全ての静的審査に参加できることになり部員一同 胸を撫で下ろしております。 現在、チームは 1 週間後に迫った大会に向け、昼夜を問わず活動を続けております。 6 月のシェイクダウンを経て現在までに 3 度の走行テストを重ね、それに伴い発生した 問題への対策や各部のアップデートを精力的に行っており、昨年度出来なかったマシンの 熟成に取り組むことができています。 また、これと平行して静的審査の準備も順次進めております。昨年度 20 位前後まで順位を 上げることができたコスト、プレゼンテーション審査では 10 位以内、昨年参加できなかった デザイン審査では 30 位以内を目指して十分な準備をしていきます。 さらに、オープンキャンパス等の学内イベントにて車両展示を実施し、積極的に地域の方々や 中高生の皆さんと交流するよう努めています。少しでも多くの方に私達の活動を知っていただいて 地域の活性化につながるよう微力ながら尽力していく所存でございます。 最後に、大会まで残り僅かな期間ではありますが、少しでも皆様によい結果をご報告できるよう、 チーム一丸となって最善を尽くしていく所存でございます。尚、大会の結果は 10 月上旬に発行予定の 年間活動報告書に詳細を記載致します。 それでは今後とも、お力添えを賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。 2 2. 2011 年度大会仕様マシン【NU-11】 諸元 全長×全幅×全高[mm] 2700×1430×1290 ホイールベース[mm] 1570 トレッド[mm] 1270 最低地上高[mm] 50 車両重量[kg] 240 フレーム パイプフレーム エンジン SUZUKI GSX-R600 吸気方式 自然吸気 トランスミッション シフター 電動シフター 駆動方式 直結ドライブシャフト サスペンション方式 NU-11 実車(8/25 現在) 6 速マニュアル タイヤ ダブルウィッシュボーン 195/505-13 radial, DUNLOP ホイール 13 インチ ブレーキ 油圧式アウトボードディスク NU-11 3D-CAD モデル 3 3, 活動報告 (6 月~8 月) 【6 月 1 日:書類審査のためのレポート提出がスタート】 学生フォーミュラ大会に出場するためには書類審査に 通過することが必須です。そのためのレポート提出がついにスタート! 第 1 弾はフレーム材料の安全性を問われる等価構造安全書(SEF)、 そしてマシンのフロントに取り付けられる衝撃吸収物である インパクトアッテネータ(IA)の衝撃吸収データの提出です。 この 2 つのレポートは担当した部員の十分な事前準備のおかげで 問題なく〆切までに提出することができました。 【6 月 9 日:シェイクダウン】 当初の予定の 1 ヶ月遅れでようやくシェイクダウンを行う ことができました。昨年と比較すると 2 ヶ月早くマシンを 仕上げることができたことになります。 前日の部員全員による夜通しの 組み立て作業の甲斐あり、当日は 問題なく走行することができました。 走行した場所が学内だったため、全開走行は できませんでしたが、各部の動作確認を行う ことができました。無事に走行できたのも 束の間、すぐに問題点が浮上。 ステアリング系、燃料系、電装系など多くの 課題が見つかりましたが、今後の製作の方向 性が確認できた有意義な一日となりました。 【6 月 15 日:デザインレポート提出】 提出レポート第 2 弾はデザインレポートです。これは車両の設計思想や導入した 技術・設計の革新性・緻密さ、そして車両の詳細なスペックなどが問われるレポートです。 昨年、私達はこのレポートの準備が不十分で〆切数秒前に提出することになり、その結果、 確認作業ができず、提出したレポートデータが文字化けするという大失態を犯してしまいました。 この悔しさをバネに本年度は 3 週間前から準備を始め、〆切の前日に十分な確認作業を行った上で 提出することができました。 4 【6 月 22 日:コストレポート提出】 提出レポート第 3 弾はコストレポートです。 これは車両にかかる全てのコストを算出する もので、最も過酷なレポートとなっています。 過去 2 年間も事前準備は行ってきましたが、 この時期は製作と同時並行でレポートの作成 を行うため、連日徹夜の日々が続きます。 年間で最も過酷な時期と言っても過言ではあ りません。そして本年度も例に漏れることなく、 熾烈な日々を送ることになりました。 コストレポートの完成度が大会での静的審査の 結果に直結することもあり、少しでも上位を 目指すため本年度は新たな試みを取り入れました。 その結果、レポート全体の整合性が無くなって しまい、修正に大幅な時間を費やしました。 しかし部員全員の協力の甲斐あって、なんとか 〆切当日に提出することができました。 昨年と比較するとページ数は 1.5 倍 になり、900 ページまで増加しました。 そして量だけでなく質も向上したもの になったと思います。これで全てのレ ポートを提出が完了したので、あとは 8 月の書類審査の結果を待つばかりです。 左:昨年度 右:本年度 5 【7 月 9 日:第 1 回走行テスト】 昨年度に引き続き、新潟県新発田市にあるスキー場 NINOX の駐車場をお借りして走行テストを 実施。全開走行時の問題点の洗い出しを行いました。(問題点とその対策の詳細は P.7 参照) 昨年と比較すると格段に車両性能は向上しましたが、今までに無い問題が発生してしまいました。 ハードブレーキング時のエンストや足回りの ベアリングからの異音、ブレーキペダルの ストローク量などの問題が発生しましたが、 今すぐ走行に大きな支障が出るレベルでは なかったため、テストを続行しました。 また、本年度は 4 人のドライバーのうち 2 人がフォーミュラマシン初ドライブとい こともあり、まずはマシンの特徴を身体で 覚えてもらうために走行練習にも力を入 れました。 【7 月 20 日:第 2 回走行テスト】 10 日間出来る限りのアップデートを行い、 2 回目の走行テストを実施。学部生は試験直 前ということもあり、修士と学部 4 年の少人 数で行いました。午前中は周回走行を行いま したが、前回と同様の症状がみられました。 午後からは燃調のセッテイングと 燃料系の問題の原因を考察し、 その後スキッドパッドとアクセラ レーションという大会競技を重点 的に練習しました。 6 【8 月 5 日:書類審査結果発表】 【8 月 7,8 日:オープンキャンパス】 少しでも多くの方に私達の活動を知っていただこうと車両展示を行いました。本当に多くの中高生の 皆さんや地域住民の方が私達のブースまで足を運んで下さり、逆に私達が良い刺激をいただく結果と なりました。今回お越し下さった皆様に少しでも良い結果をご報告できるように、大会までの残り 1 ヶ月間最善を尽くしていこうと思います。 【8 月 10 日:第 3 回走行テスト】 試験期間をはさみ、3 回目のテストを実施。 今回は最低限のアップデートを施し、テストと いうよりは運転の感覚を忘れないための走行練 習を目的としていました。 午前中はまず大会に提出するためのシェイクダ ウン証明を撮影し、そのまま周回走行に移行。 その際、3 年生ドライバーの菅原によって、 燃料系の問題が発生する状況が具体的に判 明し、問題解決へ大きく前進することになり ました。その後、ピットに戻ると給油口のホ ースの変形によって生じた燃料漏れが発生。 現状でこの問題を解決できず、この日の走行 を中止せざるを得なくなりました。 【今後の主なスケジュール】 8 月 22,23 日:第 4 回走行テスト(燃料系最終アップデート) 8 月 29~31 日:最終走行テスト 9 月 5~9 日 :第 9 回全日本学生フォーミュラ大会 7 4. 問題と対策 3 度の走行テストによって、多くの問題が発生しました。ここでは、その中でも大会の 技術車検に支障をきたすレベルの問題とその対策をご報告いたします。 Ⅰ. 燃料系トラブル 症状 1 走行中、突如パワーが失われ、エンジンが停止(自力でのエンジン再起動不能)。 原因:ベーパーロック現象(燃料ライン内のガソリンが温度上昇により気化) により燃料ポンプにエアが入り込んでしまうため燃料が循環しなくなった。 対策 遮熱板 耐熱シート Fig.1 燃料タンクとエンジン,排気系との間に遮熱板(Fig.1)を設置し、さらに燃料タン ク及び燃料ラインを耐熱シートで保護することで徹底した遮熱を施した。 以上の結果、この問題を解決することに成功した。しかし、新たな問題が発生。 次項にこの問題の詳細を記載します。 8 症状 2 練習用に設置したコースを周回中、左高速コーナー走行時とハードブレーキング時に エンジンが停止してしまう。(燃料満タン時は発生せず、自力でのエンジン再起動が可能) 原因:エンジンの再起動が可能なことからベーパーロック現象ではないと断定。 問題の発生状況から、燃料タンク内の燃料の偏りによるものと判断。 対策 Fig.2 旧型燃料タンク Fig.3 新型燃料タンク 旧型燃料タンクでは Fig.2 に示すように燃料の偏り防止のための傾斜が小さいため、 大きな遠心力や減速 G によって燃料の偏りが発生してしまう。そこで Fig.3 に示す 新型ではこの傾斜を大きくするとともに、タンク内部にコレクタータンク(Fig.4)と いう新たな構造を導入することにした。 給油口 コレクタータンクは Fig.4 に示す 2 枚のバッ フルプレートから構成される。バッフル①は バッフル① 減速 G、バッフル②は遠心力による偏りを抑 制し、燃料吸出し口付近に一定量の燃料を確 実に確保できるようにした。 バッフル② また、燃料の搭載量も 5.4L から 7.5L に変更 し、エンデュランスを確実に完走できる容量 を確保した。 燃料吸出し口 Fig.4 コレクタータンク 以上の結果、この問題を解決することに成功した。しかし、エンジンが十分に温まってい ない状態で走行した場合、燃料のエアがみが発生(エンジン再起動不能)。現在この問題の原 因の解明を行っている。 9 Ⅱ サスペンショントラブル 症状 全開走行後、アップライトの軸受から異音が発生し、明らかな回転抵抗の増加が認められた。 原因:今年度の車両は昨年度よりも 100mm 以上のホイールベース短縮化を行った。 これによってコーナリングフォースの増加が発生し、軸受にはたらくアキシアル 荷重が増加したことが破損の原因と推測。また、テストに使用した場所は路面状 況が悪く、10mm 程度の深さがある窪みが散在していた。このギャップを超えた 際に発生する衝撃荷重も軸受の破損に少なからず影響したと考えられる。 なお、破損した軸受は昨年度も同様の配置にて使用したが、問題は発生しなかった。 対策 想定した耐荷重よりも大きな力が働いていることが予想されるため、 より耐荷重性能の優れた軸受を使用することにした。なお、耐荷重は 8.1kN から 37kN のものに変更した。 破損した軸受 Fig.5 破損箇所 この改良の結果は 8 月 29 日~31 日の走行テストで評価する予定。 10 Ⅲ ブレーキトラブル 症状 Fig.7 に示すように、フルブレーキング時に、オーバートラベルスイッチ(万が一ブレーキ ペダルが破損して踏み切ってしまった場合、エンジンを停止させるもの)が作動してしまう。 踏み切ったペダルとオーバートラベル マスターシリンダー スイッチが接触し作動してしまう オーバートラベルスイッチ Fig.7:フルブレーキング時 Fig.6:通常時 原因:フルブレーキング時に、マスターシリンダーがフルストロークした状態でオーバー トラベルスイッチに接触してしまうためである。 対策 ブレーキペダルへのマスターシリンダーの取付け位置を変化させることで、 以下に示すようなレバー比を 8.0 から 5.2 へ変更した。この値はマスターシリ ンダーがフルストローク時にもオーバートラベルスイッチに接触しない数値 となっている。 マスターシリンダー レバー比 = 赤線/水色線 赤線:ペダルの回転支点から ペダルの踏込支点の距離 水色線:ペダルの回転支点から マスターシリンダーの Fig.8:新型 支点までの距離 Fig.9:旧型 この改良の結果は 8 月 29 日~31 日の走行テストで評価する予定。 11 5. NEXT.Formula Project による 地域密着型エコプロジェクト 今年度も五十嵐地区の海岸保安林で活動されてい るボランティア団体「海岸まつ林ボラの会」様に ご協力頂き、引き続き植林活動を行っております。 「環境負荷軽減のために、自分たちの活動過程で 排出された CO2分を植林する!!」という試みから 始めたこの活動ですが、今年で 3 年目を迎えました。 昨年度までに 250 本以上の松の苗木を植え ることができました。 今年度は 400 本の苗木を植えることを目標に し、私達の活動で排出された CO2 を少しでも 回収していきたいと考えております。 これに加えて、下刈りや枯れ木の伐採等、様々 な形で環境活動に携わっております。 さらに本年度は先の 6 月 25 日に、 新たに“にいがた「緑」の百年物語” というプロジェクトにも参加しており ます。新潟市西区上新栄町慈仁会裏にて 下草刈り、刈払い、除伐等の森林整備作 業を総勢 38 名で行い、私達の日常生活 では得られない貴重な経験をさせてい ただきました。今後も、積極的に地域の 方々と交流し環境活動に尽力していく 所存でございます。 ↑左端 5 名が参加した部員 尚、10 月上旬発行予定の年報では、植林した松の吸収量とともに、フォーミュラマシン 1 台の設計・製作に要した「CO2排出量」をご報告致します。 12 SPONSORS スズキ株式会社 ニイガタ・ローディング・システムズ株式会社 日信工業株式会社 住友ゴム工業株式会社 NTN 株式会社 株式会社和光ケミカル 株式会社ミスミグループ本社 株式会社キノクニエンタープライズ FC デザイン株式会社 株式会社レーシングサービスワタナベ 株式会社エフ・シー・シー ソリッドワークス・ジャパン株式会社 AVO/MoTeC Japan クワハラバイクワークス 小原歯車工業株式会社 昭和電工株式会社 新日本フエザーコア株式会社 有限会社アルテクノ 13 新潟大学工学部機械システム工学科 7. お問い合わせ先 新潟大学 NEXT.Formula Project 夏期活動報告書 発行:新潟大学 NEXT.Formula Project 編者:森山 佑蔵 〒950-2181 新潟県新潟市西区五十嵐ニの町 8050 新潟大学工学部機械システム工学科 特殊加工研究室 TEL:090-2498-9754 FAX:025-262-7016 E-mail:[email protected] WEB:http://www.eng.niigata-u.ac.jp/~next-fp/index.html 14