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特別支援学校における効果的な就労移行支援に - e

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特別支援学校における効果的な就労移行支援に - e
平 成 25年 度 「 e- と くし ま 推 進プ ラ ン」 共 同 目標 の 実現 に 資 する 調 査・ 研 究 事業
特 別 支援 学 校 に お け る 効 果 的 な 就 労 移 行支 援 に つ な が る 作 業 学 習 の 取 組 み
-IT作 業 班 と 事 業 所 と の 連 携 を 通 し て -
平 成 26年 2月
徳 島 県 立 板 野 支援 学 校
- 1 -
目
次
Ⅰ
は じ め に・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ P1
Ⅱ
事 業 の 目的 と 体 制 ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ P1
1 .研 究 の 目的
2 .研 究 期 間
3 .研 究 対 象グ ル ープ 及 び 対象 者
Ⅲ
活 動 ス ケジ ュ ー ル ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ P2
Ⅳ
県 内 障 がい 者 福 祉 サ ービ ス 事 業 所 等に お け る IC T を 活用 し た仕 事 の 調査 ・ ・・ ・ P3
1 .I C T を活 用 した 仕 事 の現 状
2 .過 去 5 年間 の 本校 卒 業 生の 就 業状 況
3 .課
Ⅴ
題
研 究 の成 果 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ P4
1 . 遠 隔 会 議 シ ス テ ム を 活 用 し た 実 践 的 な 作 業 体 験 の 機 会 創 出 実 証 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P4
( 1) 目 的
( 2) 方 法
ア 既 存 の T V 会 議 シ ス テ ム のレ ベ ル ア ッ プ 作 業
イ 新たな作業体験の創出
( 3) 成 果
( 4) 今 後 の課 題
2.e-ラーニングシステムを活用した在宅学習の機会創出実証に向けてのシステム
作 り (模 擬 在 宅 学 習 )・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P10
( 1) 目 的
( 2) 方
法
( 3) 成
果
( 4) 今 後 の課 題
3 . 教 員 対 象 の D T P ソ フ ト 講 習 会 の 実 施 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P16
( 1) 目 的
( 2) 方
法
( 3) 成
果
( 4) 今 後 の課 題
Ⅵ
研 究 結 果 と 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P20
Ⅶ
終 わ り に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P21
補 足 資料
- 2 -
Ⅰ
はじ め に
本 校 に は , 肢 体不 自 由 , 病 弱, 知 的 障 が い の3 障 が い 種 の児 童 生 徒 が 在籍 し て い る 。高
等 部 で は , 社 会 への 「 移 行 支 援」 を キ ー ワ ー ドに 掲 げ , 日 々取 り 組 ん で いる 。 本 校 の 肢体
不 自 由 や 病 弱 の 生 徒に お け る 卒 業後 の 進 路 に つい て は , 職 種の 幅 が 狭 く 限定 さ れ て い る。
そ の た め , I C Tを 活 用 し た 学習 は 在 宅 就 労 をは じ め 就 労 形態 等 に 可 能 性が あ り , 社 会参
加 に つな が り やす い もの と 期 待さ れ る。
徳 島県 に お いて も ,生 徒 の 就労 に 向け た 意 欲や 自 信 ,及 び 技能 ・ 態 度の 向 上を 図 る ため ,
平 成 25年 度 と く しま ・ す だ ち サポ ー ト 事 業 に おい て 「 と く しま 特 別 支 援 学校 技 能 検 定 」と
し て , 4 分 野 に つい て 技 能 検 定が 実 施 さ れ て おり , そ の 一 つと し て I C Tが 取 り あ げ られ
て い る 。 一 方 , 本校 に お い て は, 小 学 部 か ら 高等 部 ま で の 児童 生 徒 を 対 象と し た 「 校 内パ
ソ コ ン 検 定 ( 本 校 オ リ ジ ナ ル )」 を 実 施 し て い る 。 ま た , 高 等 部 で は , 作 業 学 習 「I T 班 」
や 「I T 事務 局 」 を設 け ,肢 体 不 自由 の 生 徒を 中 心に 学 習 でき る よう に 環 境を 整 え てき た 。
し か し , 同 じ IC T を 活 用 した 作 業 で も 学 校と 事 業 所 と の間 に , 作 業 内容 や 使 用 す るア
プ リ ケ ー シ ョ ン ソフ ト の 違 い とい う 情 報 格 差 があ り , 学 校 で学 ん だ こ と が生 か し 切 れ てい
な か った と い う反 省 点が あ る 。
そ こ で , 肢 体 不自 由 や 病 弱 の生 徒 を 対 象 に ,外 部 の 事 業 所と 連 携 し な がら , I C T を効
果 的 に 活 用 し , 個々 の 生 徒 に あっ た ス ム ー ズ な就 労 移 行 支 援に つ な げ る ため に は ど の よう
に 学 習環 境 を 整え て いけ ば よ いか , 調査 ・ 研 究を 進 め たい 。
Ⅱ
事業 の 目 的と 体 制
1 .研 究 の 目的
外部の事業所と連携しながら,ICTを活用した作業学習の充実を図るために,以下
の3つの方法(図1)を用いて効果や課題を検討する。①遠隔会議(TV会議)システ
ム の 活 用 , ② e - ラ ー ニ ン グ の 活 用 ,③ 講 習 会 の 実 施
図1
作 業学 習 の 充実 を 図る 3 つの 方 法
2 .研 究 期 間
平 成25年 8 月31日 ~平 成 26年1 月 31日
- 3 -
3 .研 究 対 象グ ル ープ 及 び 対象 者
研 究 対 象グ ル ー プ 及 びそ の グ ル ー プに 在 籍 す る 生徒 の 実 態を 以 下に 示 す (表 1, 表 2 )。
表1
対 象グ ル ー プ
対 象 グル ー プ 名
対象 者
作 業 学 習 IT班
(火曜日2~4校時)
作 業 学 習 IT事 務 局 班
(木曜日2~4校時)
教科「情報」
(月曜日2校時,木曜日6校時)
教科「情報」
(高3:火曜日4校時,木曜日3校時)
(高1:月曜日1校時,木曜日2校時)
生徒(4名:B,D,E,F)
授業担当教員(3名)
生徒(2名:A,F)
授業担当教員(2名)
生徒(5名:B,C,D,E,F)
授業担当教員(5名)
生徒(2名:G,H)
授業担当教員(2名)
表2
教 育課 程
入力 方 法
生 徒 の 実態
と くし ま 特別 支 援学 校 技 能検 定 ( ICT)
生徒A
肢体不自由
ローマ字入力
生徒B
肢体不自由
ローマ字入力
生徒C
肢体不自由
ローマ字入力
生徒D
肢体不自由
ローマ字入力
生徒E
肢体不自由
ローマ字入力
生徒F
肢体不自由
ローマ字入力
生徒G
病弱
ローマ字入力
生徒H
病弱
ローマ字入力
注 ) と く し ま 特 別 支 援 学 校 技 能 検 定 ( ICT ): 別 紙 参 照
Ⅲ
9級相当
3級相当
3級相当
9級相当
3級相当
6級相当
3級相当
3級相当
3.3字 / 分
20.6字 / 分
38.6字 / 分
3.5字 / 分
41.7字 / 分
8.2字 / 分
14.3字 / 分
20.2字 / 分
備考
車椅子
車椅子
車椅子
車椅子
活動 ス ケ ジュ ー ル
活 動ス ケ ジ ュー ル を以 下 に 示す (表 3 )。
表 3 活 動 ス ケジ ュ ール
年 月
項
目
内
容
平 成 8 ・教 員 対 象の D T Pソ フ ト講 習 会 ・ 外部 講 師 によ る Illustrator講 習会
25年
・研 究 スケジュールの 調整
・ 研究 スケジュールの 調 整と 担 当者 の 確 認
・学 部 内 での 共 通 理解
・ 学部 会 で 報告
9 ・教 員 対 象の D T Pソ フ ト講 習 会 ・ 外部 講 師 によ る Illustrator講 習会
・遠 隔 会 議( TV会議 ・ JCI他)
・ 作業 学 習 :JCIと の CADを 使 っ た作 図 体験
・e-ラーニングで の模 擬 在宅 学 習
・ 情報 : アプリケーションソフト基 本 コースの学 習
・教 員 対 象の D T Pソ フ ト講 習 会 ・ 外部 講 師 によ る Illustrator講 習会
10 ・遠 隔 会 議( TV会議 ・ JCI他)
・ 作業 学 習 :JCIと の CADを 使 っ た作 図 体験
・e-ラーニングで の模 擬 在宅 学 習
・ 情報 : アプリケーションソフト基 本 コースの学 習
・遠 隔 会 議( TV会議 ・ JCI他)
・ 作業 学 習 :JCIと の CADを 使 っ た作 図 体験
11
・ 作 業 学 習 : 年 賀 状 , 名 刺 作 成 , 名 前 シール作
成, チラシパンフレット作 成
・e-ラーニングで の模 擬 在宅 学 習
・ 情報 : アプリケーションソフト基 本 コースの学 習
・遠 隔 会 議( TV会議 ・ JCI他)
・ 作業 学 習 :JCIと の CADを 使 っ た作 図 体験
12
・ 作 業 学 習 : 年 賀 状 , 名 刺 作 成 , 名 前 シール作
成, チラシパンフレット作 成
・e-ラーニングで の模 擬 在宅 学 習
・ 情報 : アプリケーションソフト基 本 コースの学 習
平成
・遠 隔 会 議( TV会議 ・ JCI他)
・ 作業 学 習 :JCIと の CADを 使 っ た作 図 体験
26年
・ 作 業 学 習 : 年 賀 状 , 名 刺 作 成 , 名 前 シール作
1
成, チラシパンフレット作 成
・e-ラーニングで の模 擬 在宅 学 習
・ 情報 : アプリケーションソフト基 本 コースの学 習
・事 業 実 績報 告 書 の提 出
・ 報告 書 の 作成
2 ・調 査 ・ 研究 報 告 書の 提 出
・報告書の作成
・ プレゼンテーション資 料の 提 出
・ プレゼンテーション資 料の 作 成
3 ・調 査 ・ 研究 成 果 発表 会 での 報 告 ・ プレゼンテーション資 料で の 発表
- 4 -
Ⅳ
県内 障 が い者 福 祉サ ー ビ ス事 業 所等 に お ける I C Tを 活 用し た 仕 事の 調 査
1 .I C T を活 用 した 仕 事 の現 状
本 校 卒 業 生 が IC T を 活 用 した 仕 事 に 取 り 組ん で い る 現 況は , 福 祉 サ ービ ス を 利 用 した
福 祉 的 就 労 ( 施 設・ 作 業 所 ) と呼 ば れ る ケ ー スが 主 で あ る 。主 な 障 が い 者福 祉 サ ー ビ ス事
業 所 等と 事 業 内容 は , 以 下 の 通り で ある ( 表 4 )。
表4
主 な障 が い者 福 祉 サー ビ ス事 業 所 等の I CT を 活 用し た 事業 内 容
障 が い 者 福 祉 サービス事 業 所 名 (福 祉 サービス内 容 )
健祥苑授産センター金太郎
(就労継続支援B型)
社会就労センターかもな
(就労継続支援B型)
就労支援センターハーモニー
(就労継続支援B型)
I C T を 活 用 し た 事 業 内 容 ( 使 用 アプリケーションソ フ ト )
文 書 作 成 , イラスト作 成 , 受 注 印 刷 , チラシや 名 刺 , 年 賀 は が
き の 印 刷 ( Word,Illustrator)
名 刺 ・ 封 筒 等 の 簡 易 印 刷 , チ ラ シや パ ンフ レッ ト・ 冊 子 ・ 看 板
等 の 印 刷 ( Word,Excel,Illustrator,Photoshop, 一 太 郎 )
Webサイト制 作 ・ 更 新 , 各 種 印 刷 物 ( 名 刺 ・ 大 判 ・ 冊 子 ・ チ
ラシ・ ポスター・ は が き 制 作 ), スキャニングサービス
( Word,Excel,Illustrator, Photoshop, Access)
徳島北障害者支援センター
(就労移行・就労継続支援B型)
徳島スローワークセンターあゆみ園
(就労継続支援B型)
名刺やはがきの印刷
( Word,Excel,Illustrator)
版下を作成し,印刷物の制作
( Word,Excel,Illustrator, Photoshop, は が き 作 成 ソフト)
2 .過 去 5 年間 の 本校 卒 業 生の 就 業状 況
過 去5 年 間 の本 校 卒業 生 の 就業 状 況及 び I CT 関 係 への 就 業状 況 は ,表 5 の通 り で ある 。
表5
年度
20
21
22
23
24
卒業生
10 名
14 名
10 名
14 名
28 名
本 校 卒業 生 の就 業 状 況( 人 数 )
一 般 就 労 (う ち ICT関 係 )
4(0)名
2(0)名
1(0)名
3(0)名
0(0)名
福 祉 的 就 労 (う ち ICT関 係 )
6(0)名
12(0)名
9(0)名
11(0)名
28(1)名
一 般 就 労 の 職 種と し て は , 清掃 業 , リ サ イ クル 関 係 , 特 別支 援 学 校 で のチ ャ レ ン ジ 補助
員 等 で , 清 掃 を 中心 と し た 限 られ た 職 種 と な って い る 。 事 業所 と し て は 病院 ・ 大 学 ・ 新聞
社 ・ リサ イ ク ル業 者 等で , 業 務内 容 は清 掃 , 窓ふ き , 環境 整 備, 洗 濯 等が 主 なも の で ある 。
福 祉サ ー ビ スの 利 用で は , 就労 移 行, 就 労 継続 支 援 B型 , 生活 介 護 ,療 養 介護 等 で ある 。
卒 業 時 点 で の 一 般企 業 等 へ の 就労 が 困 難 な 生 徒が 多 く , 就 労に 必 要 な 知 識や 能 力 の 向 上に
必 要 な 訓 練 を 卒 業後 も 継 続 し てい く こ と が 重 要で あ り , 将 来的 に 就 労 に つな げ て い く 手立
て と して , 福 祉サ ー ビス の 利 用が 有 効で あ る と考 え ら れる 。
過去5年間の卒業生においては,ICTに関係した企業への就職はなく,福祉的就労
( 施 設・ 作 業 所) は 1名 で , はが き の作 成 ・ 印刷 な ど の業 務 内容 が 中 心と な って い る 。
3 .課
題
I C T 関 連 の 業務 に 取 り 組 んで い る 障 が い 者福 祉 サ ー ビ ス事 業 所 等 は ,現 況 で は 主 とし
て 身 体 障 が い 者 を対 象 と し た 福祉 サ ー ビ ス を 提供 し て い る 事業 所 が ほ と んど で , 利 用 に当
た っ て は , 進 路 選択 肢 の 幅 が 広い わ け で は な い。 知 的 障 が い者 や 精 神 障 がい 者 に 対 し ても
I C Tを 活 用 した 就 労シ ス テ ムが 構 築さ れ れ ば, 様 々 な可 能 性が 広 が ると 考 えら れ る 。
障 が い 者 福 祉 サー ビ ス 事 業 所等 で の 創 作 的 な活 動 か ら , より 生 産 活 動 に発 展 さ せ て いく
た め に は , 個 人 のP C の ス キ ル向 上 も 必 要 で はあ る が , 障 がい 者 福 祉 サ ービ ス 事 業 所 等へ
の 需 要 が さ ら に 拡大 さ れ る 取 り組 み が 必 要 で ある 。 卒 業 後 の生 活 に お い ては , 事 業 所 の作
業 で 得た 収 入 をも と に, 自 立 した 生 活や 社 会 参加 の 実 現が 望 まれ て い る。
- 5 -
Ⅴ
研究の成果
1 . 遠 隔 会 議 シ ス テ ム を 活 用 し た 実践 的 な 作 業 体 験 の 機 会 創 出 実 証
( 1) 目 的
現在,遠隔会議システムによる技術指導は学校側PCと事業所側担当者PCをTV
会 議 シ ス テ ム で 相 互 接 続 し , 担 当 教員 が 当 該 生 徒 に 操 作 方 法 を 伝 え る と い う 形 で あ る 。
作業内容が高度化するにつれ,現状の指導形態では学習に支障が出る可能性もあるた
め,PC等の操作画面を当該生徒と共有できるように大型モニタを導入し,技術指導
の効果を検討する。
ま た 職 域 拡 大 の た め , I C T を 利活 用 し た 業 務 を 得 意 と す る 事 業 所 と の 連 携 を 強 め ,
テ レワーク として 注目されている 業務の一つを取り 上げ,実体験の 効果を検討する。
( 2) 方 法
ア
既 存 の T V 会 議 シ ス テ ム の レ ベ ルア ッ プ 作 業
作 業 学 習 I T班 2 名 の 生 徒を 対 象 に 実 施 する 。 遠 隔 会 議シ ス テ ム は 徳島 県 教 育 情 報ネ
ッ トワ ー ク TV 会 議シ ス テ ムを 活 用し , 学 校側 は P Cの 液 晶画 面 を 使用 す るの で は なく ,
大 型T V ( 42型 ) をモ ニ タ ーと し て活 用 し た。 準 備 物を 以 下に 示 す (表 6 )。
表6
準備物
大 型 T V ( 42型 ), W e b カ メ ラ , R G B ケ ー ブ ル , 校 内 L A N に 接 続 さ れ た P C ,
徳 島 県 教 育 情 報 ネ ッ ト ワ ーク T V 会 議 シ ス テ ム ユ ー ザ ー I D ・ パ ス ワ ー ド
<手
順>
① 事 前 に 徳 島 県 教 育 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク TV 会
議シ ス テム よ り ,T V 会議 の 予 約を 行 う。
→会 議 予約 シ ス テム に ログ イ ン する ( 図2 )。
図2
TV 会 議ロ グ イ ン画 面
② 会 議 の 予 約 を 行 う ( 図 3 )。 毎 週 同 じ 時 間
に実 施 する 場 合 は, 内 容を 更 新 でき る 。
図3
TV 会 議予 約 画 面
- 6 -
③ 10月 8日 , 22日 に 続 い て , 29日 に T V 会 議
(10:30~ 12:20)の 予 約 を設 定 した ( 図 4 )。
図4
TV 会 議予 約 & 確認 画 面
④ 予 約 時 間 に な れ ば , 教 員 P C か ら T V会 議
シ ス テ ム の 起 動 を 行 い , 相 手 側 の 画 面 が映 る
のを 待 つ。
→ 画 面 共 有 を 行 い , 最 初 に 音 声 や 映 像 のチ ェ
ッ ク を 互 い に 確 認 し , 今 日 の 課 題 を 生 徒P C
画面 上 に提 示 す る( 図 5 )。
→遠 隔 会議 シ ス テム に よる 授 業 の開 始 。
図5
イ
相手 側 との 画 面 共有
新たな作業体験の創出
作 業 学 習 I T班 2 名 の 生 徒を 対 象 に 実 施 する 。 特 定 非 営利 活 動 法人 JCI Teleworkers'
Network( 徳 島 県 鳴 門 市 , 以 下 , JCIと 示 す ) の 協 力 を 得 て , H 25年 度 は C A D ソ フ ト
を使った製図業務体験(CAD基本操作)を5月より実施している。この作業は愛媛
県新居浜市にある「サスケ工房」という事業所からの人材育成を兼ねる。TV会議シ
ス テ ム の 活 用 に 加 え , 月 1 回 生 徒が JCIの活 動 拠 点で あ るJCI鳴門 U Pセ ン タ ー( 以 下,
U Pセ ン タ ーと 示 す) に 赴 き, 直 接指 導 を 受け る 。 準備 物 を以 下 に 示す ( 表7 )。
表7
準備物
CADPAC-CREATOR2 D体 験版 ( C D ), CADPACが イ ンス ト ール さ れ たP C ,課 題 フ ァイ ル
<手
順>
① U P セ ン タ ー よ り メ ー ル で 送 っ て も らっ た
課 題 フ ァ イ ル を 開 き , 見 本 の 左 側 の 空 きス ペ
ース に 同じ よ う に作 図 を行 う ( 図6 )。
② 回 答 が で き た ら ,「 課 題 名 (生 徒 名 ).jpg」
で保 存 する 。
図6
CA D 課題 の 画 面
- 7 -
( 3) 成
ア
果
既 存 の T V 会 議 シ ス テ ム の レ ベ ルア ッ プ 作 業 の 成 果
< 学校 側 の 工夫 >
・ モニ タ ー の大 型 化, 大 型 TV ( 42型 ) に 変更
当 初 , パ ソ コン 室 で の 既 存の T V 会 議 シ ステ ム の 授 業 では , 提 示 す るP C の 表 示 画面
が 小さ く , CA D の製 図 画 面の 説 明を 見 る ため に は 大型 画 面に す る 必要 が あっ た 。
・ 大型 T V (42型 )設 置 場 所の 工 夫
相 手 側 の 説 明を み る た め には 隣 の 教 員 P C画 面 に 向 か って 振 り 返 る 必要 が あ り , 生徒
P C 画 面 と 相 手側 の P C 画 面を 交 互 に 視 線 を移 さ な け れ ばな ら ず , 集 中力 を 維 持 す るこ
と が 困 難 だ っ た ( 図 7 )。 そ こ で , 視 線 を ほ と ん ど 移 動 せ ず に 大 型 T V ( 42型 ) を 見 る
こ と が で き る よ う に 生 徒 P C 画 面 の 間 に 設 置 場 所 を 設 定 し た ( 図 8 )。
図7
図8
既 存の T V会 議
大 型T V ( 42型 ) モ ニタ ー をみ て 説明 を 受 ける 様 子
< 生徒 の 感 想>
生 徒E : 景 色が 変 わっ た 。 TV 画 面が 見 や すか っ た 。相 手 側の 表 示 が見 や すい 。 た だし ,
進 める の が 速か っ た。 幅 を 広げ る 手順 が わ かり や す かっ た 。
生 徒 F : 画 面 が大 き く て 見 やす い の で , 幅 を広 げ る 手 順 がわ か り や す かっ た 。 自 分 の画
面 と相 手 の 画面 の 2つ を 交 互に 見 ても , 頸 や肩 が こ らな か った 。
- 8 -
イ
新たな作業体験の創出の成果
CADに関しては全く未経験の本校教員や生徒にとっては不安があったが,UPセ
ン タ ー の 指 導 の 下 に , 以 下 の 表 8 のよ う な C A D 基 本 操 作 を 体 験 し た 。
表8
C AD 基 本操 作
【線を書こう】
・ 直 線 - 水 平 線 を 書 こ う → メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー線 分 ー水 平
・ 直 線 - 垂 直 線 を 書 こ う → メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー線 分 ー垂 直
・ 直 線 - 自 由 線 を 書 こ う → メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー線 分 ー自 由
・ 直 線 - 連 続 線 を 書 こ う → メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー線 分 ー連 続
【三角形を書こう】
・三角形を書こう
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー線 分 ー水 平 ・ 自 由
・ 直 角 三 角 形 を 書 こ う → メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー線 分 ー水 平 ・ 垂 直
※ 底 辺 600× 高 さ 300
・正三角形を書こう
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー曲 線 ー円 ー中 心 円
※ 底 辺 500,2 つ の 円 の 交 点 を 頂 点 に す る
・ 二 等 辺 三 角 形 を 書 こ う → メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー線 分 ー水 平 ・ 垂 直 ・ 自 由 ※ 底 辺 の 中 点 か ら 中 心 線 を 引 く
【四角形を書こう】
・長方形を書こう
・平行四辺形を書こう
・正方形を書こう
・台形を書こう
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー定 型 ー長 方 形
※ 底 辺 500× 高 さ 200
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー定 型 ー長 方 形
※ 底 辺 600× 高 さ 300長 方 形 → 左 に 100ず ら す
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー定 型 ー長 方 形 分 岐 ー正 方 形
※ 1 辺 500× 500
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー定 型 ー長 方 形
※ 下 底 600, 上 底 400× 高 さ 300
【平行線を書こう】
・平行線を書こう
・基準線を書こう
・平行線を書こう
・中心線を書こう
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー平 行 線 ( 同 長 )
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー平 行 線 ( 同 長 )
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー平 行 線 ( 同 長 )
→ メ ニ ュ ー : 作 図 ー直 線 ー平 行 線 ( 同 長 )
【線を消そう】
・1本ずつ消そう
・何本か選んで消そう
・範囲を囲んで消そう
・間違ったら戻そう
→ メ ニ ュ ー : 編 集 ー消 去 ー単 独 消 去
→ メ ニ ュ ー : 編 集 ー消 去 ー枠 内 消 去
→ メ ニ ュ ー : 編 集 ー消 去 ー枠 内 消 去
→メニュー:U/R
【複写してみよう】
・複写してみよう1
・複写してみよう2
・回転複写してみよう
・対称複写してみよう
→ メ ニ ュ ー : 編 集 ー複 写 ー複 写
→ メ ニ ュ ー : 編 集 ー複 写 ー複 写
→ メ ニ ュ ー : 編 集 ー複 写 ー複 写 ーc 角 度
→ メ ニ ュ ー : 編 集 ー複 写 ー複 写 -4対 称
※ 100, 200, 300の 間 隔 を あ け る
※ 500右 へ 複 写
※ 中 心 か ら 左 へ 90度 回 転
【階段練習を描いてみよう】
【 H形 鋼 断 面 を 描 い て み よ う 】
・
【梁伏図を描いてみよう】
・H形鋼を回転させる。
・H形鋼を基準に各梁の中心線を同長させながら作成する
- 9 -
< 生徒 E F の様 子 :10月 15日の 作 業( 月 1 回の U P セン タ ーで の 直 接指 導 )>
月1回,UPセンターに校外学習として訪れ,直接指導を受けた。これはTV会議
だけでは理解が難しかったCAD操作の再確認やCADで作成された図面が実際にど
の よ う な 建 築 物 に な る か , 生 徒 に 理解 さ せ る た め で あ っ た 。
こ の 日 は 画 用 紙 で 鉄 骨 建 築 物 の 模 型 を 組 み 立 て た ( 図 9 )。 両 手 を 使 っ て カ ッ タ ー で
紙を切る,折ることに苦戦していたが,作業内容について確認しながら,具体的に
イメージできた。
図9
鉄 骨模 型 の 組み 立 て
< 生徒 の 様 子: 11月12日 の 作業 >
生 徒 E : 大 型T V ( 42型 ) モニ タ ー で 説 明 を見 な が ら , 次は 「 自 由 線 」機 能 を 使 う だろ
う と答 え た 。作 業 が速 く で きた た め, 隣 の 生徒 F に アド バ イス す る こと が でき た 。
生 徒 E F : 1 段の 階 段 を 完 成す る た め に か なり の 時 間 を 要し た が , 1 段の 階 段 が 完 成す
る と次 々 と 階段 を コピ ー し て階 段 を完 成 し た( 図 10,図 11 )。
図10
1つ の 階 段を コ ピー す る 様子
図 11
階段 完 成
< 生徒 E F の様 子 :12月 17日の 作 業>
生 徒 2 名 の 梁 伏 図 の 作 成 結 果 を 以 下 の 通 り 示 す ( 図 12, 図 13 )。 本 格 的 な 作 図 が 完 成
し て い く う ち に, 既 に 習 得 した C A D 基 本 操作 ス キ ル に 照ら し 合 わ せ なが ら 理 解 す る生
徒 もみ ら れ た。 授 業の 成 果 を「 課 題名 (生徒 名 ).jpg」と し て保 存 し た。
図 12
生 徒E 作 成 の梁 伏 図
図 13
- 10 -
生 徒 F 作成 の 梁 伏図
( 4) 今 後 の課 題
既 存 の T V 会 議 シ ス テ ム の レ ベ ル ア ッ プ と し て , 大 型 T V ( 42型 ) を モ ニ タ ー と し
て 導 入 で き た こ とで , 細 か い 図面 の 作 図 作 業が 見 や す く なり , 生 徒 の 集中 力 が 向 上 し,
内 容 理 解 が す すむ と い う 効 果が み ら れ た 。 ある 生 徒 は 説 明を 聞 き な が ら, C A D 基 本操
作 で 学 ん だ こ と を 生 か し ,「 次 は C A D の こ の 機 能 を 使 う だ ろ う 」 と 予 測 で き る よ う に
な った り , 他の 生 徒に 方 法 をア ド バイ ス で きる ほ ど にI C T活 用 ス キル が 向上 し た 。
し か し , 事 業所 の 行 う 技 術が い く ら 高 度 な内 容 で あ っ ても , 事 業 所 任せ の 進 め 方 では
進 度 が 速 い と いう 課 題 が み られ た 。 内 容 が 専門 的 な た め に学 校 側 が 受 け身 に な っ て しま
っ た 。 事 業 所 任せ で 授 業 を 進め る の で は な く, 学 校 側 が コー デ ィ ネ ー トし , 生 徒 の 個々
の 課 題 達 成 具 合を 確 認 し て から , 次 の ス テ ップ に 進 む と いう 授 業 本 来 の考 え 方 が 大 切で
あ った 。
今 回 対 象 と なっ た 生 徒 E Fは 高 等 部 卒 業 後も I C T に 関係 す る 事 業 所で 就 労 す る こと
に な っ た 。 こ のこ と は 学 校 での 取 り 組 み が 進路 選 択 に 生 かさ れ た と い える 。 就 労 移 行と
し て引 き 続 き在 学 中に 学 ん だI C T活 用 ス キル を 継 続し て 学び , 生 かし て 欲し い 。
以 上 の よ う にT V 会 議 シ ステ ム を 活 用 す れば , 期 間 を 限定 し て 行 う 就業 体 験 実 習 とは
違 っ た 成 果 , 移動 距 離 を 気 にせ ず に 3 年 間 継続 し て 就 労 に向 け た 事 業 所で の 技 術 を 学ぶ
こ とが で き ると い う成 果 を 得る こ とが で き た。
- 11 -
2.e-ラーニングシステムを活用した在宅学習の機会創出実証に向けてのシステム
作 り (模 擬 在 宅 学 習 )
( 1) 目 的
卒 業 後 の 在 宅 学習 の 機 会 創 出に 向 け , 校 内に お い て 模 擬在 宅 学 習 と して 位 置 づ け る。
e -ラ ー ニ ング シ ステ ム を 活用 し て, 生 徒 が 自 学 自 習 を 行 い , そ の効 果 を 検討 す る 。
( 2) 方 法
教 科 「 情 報 」 を 受 講 す る 生 徒 7 名 を 対 象 に 実 施 す る 。 JCIが 構 築 し た 「 JCI在 宅 就 業
支 援 セ ン タ ー 」 の 中 に 設 置 さ れ た e - ラ ー ニ ン グ シ ス テ ム 「 JCIバ ー チ ャ ル ス ク ー ル 」
を 利 用 し ,「 Microsoft Word初 級 ・ 中 級 」 「Microsoft Excel初 級 」 等 の 業 務 ア プ リ ケ ー
シ ョ ン ソ フ ト 基 本 コ ー ス を 履 修 す る。 準 備 物 を以 下 に示 す ( 表9 )。
表9
準備 物
JCIバ ー チ ャ ル ス ク ー ル ユ ー ザ ー I D ・ パ ス ワ ー ド , 校 内 L A N に 接 続 さ れ た P C
Microsoft Word2010, Microsoft Excel2007, 2010
<手
順>
① 特 定 非 営 利 活 動 法 人 JCI Teleworkers'Networkのホ ー
ム ペ ー ジ か ら 「 JCIバ ー チ ャ ル ・ス ク ー ル 」 を ク リ ッ ク
す る ( 図 14 )。 http://e-leaming-jci-tn.jp/moodle/と
直 接 ア ドレ ス バ ーに 入 力し て も よい 。
図 14
JCI Teleworkers'Networkホー ム ペ ージ
② JCIバ ー チ ャ ル ス ク ー ル の ト ッ プ ペ ー ジ が開 く
(図 15 )。
図15
JCIバ ーチ ャ ルス ク ー ルの 画 面
- 12 -
今回 は ,模 擬 在 宅授 業 とい う こ とで , ここ か ら 始め る
③ JCIよ り 配 布 さ れ た 自 分 専 用 の I D と パ ス ワ
ードを入力し,ログインする。
※ 生 徒 用 ユ ー ザ ー I D で 校 内 P C に ロ グイ ン し
た 場 合 , ど の P C で ロ グ イ ン し て も 必 ずお 気 に
入 り に ロ グ イ ン 画 面 ( 図 16) が 出 て く るよ う に
図16
ロ グイ ン 画面
サ ーバ ー の 設定 を 行っ た 。
④ ロ グ イ ン が 成 功 す る と , 名 前 が 右 上 に表 示 さ
れ る( 図 17 )。 業 務用 基 本 コー ス を 選択 す る。
図17
ロ グイ ン した 画 面
⑤ 業 務 用 画 面 ( 図 18) を 下 方 向 に ス ク ロ ー ル
し ,「 ワ ー プ ロ ソ フ ト の 使 用 方 法 【 初 級 】・【 中
級 】」,「 表 計 算 ソ フ ト の 使 用 方 法 【 初 級 】」 を
選 択す る 。
図 18
業 務 用画 面
⑥ 目 次 の 項 目 ( 図 19) を 選 択 し ,
教材ファイルを開いて,学習を
進め る (図 20 )。
図 19
各 コ ー スの 画 面
図 20
Word画面
次 に 「 ワ ー プ ロ ソ フ ト ( Microsoft Word) の 使 用 方 法 【 初 級 】・【 中 級 】 」「表 計 算 ソ
フ ト ( Microsoft Excel) の 使 用 方 法 【 初 級 】」 等 の 業 務 ア プ リ ケ ー シ ョ ン ソ フ ト 基 本
コ ー ス の 活 用 方 法 を 以 下 の よ う に する 。
め ざ す I C T 技 能 を 「 ワ ー プ ロ ソ フ ト ( Microsoft Word) の 使 用 方 法 【 初 級 】・【 中
級 】 」で は ,「 e - ラ ー ニ ン グ を 活 用 し な が ら , 全 国 商 業 高 等 学 校 協 会 主 催 ・ 文 部 科 学
省後援ワープロ実務検定(以下,全商と示す)3級の文章完成できるスキルの習得」
と し , 一 方 「 表 計 算 ソ フ ト ( Microsoft Excel) の 使 用 方 法 【 初 級 】」 で は ,「 e - ラ ー
ニングを活用しながら,初級コースのスキルの習得」とする。上記の2つの手引き書
( Word , Excel) を 作 成 し , 事 前 の ス キ ル を チ ェ ッ ク し た 後 , 未 習 得 の ス キ ル に つ い て ,
e-ラーニングシステムを用いて自学自習を行い,再度,スキルチェックリストでス
キル習得の確認行う。
- 13 -
( 3) 成
ア
果
手 引 き書 の 作成
初 回 打 ち 合 わせ 後 は , 教 員が 手 引 き 書 を 用い て ほ ぼ 同 一方 法 で 学 習 を進 め る こ と がで
き た 。 作 成 した 手 引 き 書 は, 以 下 の 3 種類 で あ る 。 Wordの例 を 以 下 に 示す 。
< 手引 き 書 1: e - ラ ー ニ ン グ を 始 め る 前 に( 図 21) >
JCIバー チ ャ ルス ク ール に 入 る手 順 や 授業 の 進め 方 に つい て 明記 し た 。
< 手引 き 書 2: ス キル チ ェ ック リ スト ( 図 22) >
生 徒 に習 得 さ せ た いス キ ル (Word【 14ス キ ル 】, Excel【20ス キ ル】 )を 一 覧 表で 表 す。
< 手引 き 書 3: ス キル の 確 認問 題 (図 23) >
学習 し よ うと す る各 ス キ ルの 確 認問 題 と e-ラ ー ニ ング の 学習 ペ ー ジを 明 記し た 。
図21
イ
手 引き 書 1
図22
手 引き 書 2
図 23
手引 き 書 3
授 業 での 実 践
手引 き 書 に従 い , e - ラ ー ニ ン グ シ ス テム を 用い て 自 学自 習 を行 っ た (図 24, 図25 )。
図 24
教員と一緒に第一章を読み進める生徒CF
図 25
一人で学習を進める生徒D
生 徒 D は 両 上 肢 に よ る キ ー ボ ー ド 入 力 が 困 難 で あ る が , Hearty Ladder( フリーソフト) と
で きマ ウ ス ,棒 ス イッ チ を 駆使 し て, 左 脚 のみ で P C操 作 を行 う 。
○ ほ と ん ど の 生 徒 が 自 力 で JCIバ ー チ ャ ル ス ク ー ル 画 面 に ロ グ イ ン し , Word・ Excel画 面
を 表 示 す る こ と が で き た 。( 7名 中 1名 に つ いて は ,少 し ヒン ト が 必要 だ った )
○ e -ラ ー ニ ング 活 用後 の 達 成度 と して は ,
・ Wordでは , 最終 目 標 であ る 全商 3 級 の文 書 を 3名 が 作成 で き た。
・ Excelで は, 表 作成 と 集 計程 度 が でき る よう に な った 。
- 14 -
【 実 施し た 生 徒7 名 に対 し て 行っ た アン ケ ー ト結 果 】 ※1 名 未実 施
< Word> ( 全 14ス キ ル 項 目 )
① 「 でき な い 」が 「 でき る 」 よう に なっ た ス キル 項 目 の数 (図 26)。
で き る よう に な った ス キル 項 目 とし て は
「できない」が「できる」ように
なったスキル項目の数
5スキル
項目
1名
・わからない漢字を手書き入力や部首検索を利用した
検索
・表の作成
・表内に新しい列や行の挿入,指定した列や行の削除
・表内のセルの配置の設定
・均等割り付け
0 スキル
項目
1名
4スキル
項目
1名
1スキル
項目
2名
2スキル
項目
1名
図26
ス キル 項 目の 数
「で き る よ う に な っ た ス キ ル 項 目 が 0 」に つ い て : 既 に 情 報 の 時 間 等 で Wordの ス キ ル を 習 得 し て
い た 。 「で き る よ う に な っ た ス キ ル 項 目 が 5 」に つ い て : 自 学 自 習 の や り 方 に 慣 れ て く る と , ス ム
ーズに読みながら学習を進めていけていた。
② e - ラ ー ニ ン グ が 既存 の テキ ス ト より も わ かり や すか っ た か( 図 27 )。
生 徒 の 感想 か ら
e-ラーニングが既存のテキストよりも
わかりやすかったか
わかり
にくかった
1名
同じくらい
だった
1名
図27
・詳しい説明があり,はじめてでも読むことができれ
ば学習を進めることができた。
・慣れてくると説明を読みながら理解できた。
わかり
や すかった
4名
わ かり や すか っ た か
「わ か り に く か っ た 」と い う こ と に つ い て : 当 該 生 徒 に と っ て は 「グ リ ッ ド 線 」等 の 聞 き 慣 れ な い
用語や,マウスを使って目盛りを合わせる等の細かい操作が難しかったようである。
③ e - ラ ー ニ ン グ でわ か り やす か った と こ ろ(図28 )。( 複数 回 答可 )
わ か りや す かっ た ス キル 項 目 とし て は
表の作成
と利用
3名
e-ラーニングで
わか りやすかったところ
画面各部の
名 称やソフト
の機能
1名
文字入力
設定
1名
書 式設定
3名
図 28
・文字の大きさや書体の変更,文字飾り
・センタリング・右寄せ
・表の作成
・表内に新しい列や行の挿入,削除
・表内のセルの配置設定
等
文字列の
編集文 章の
保存
2名
わ か りや す かっ た と ころ
「画 面 各 部 の 名 称 や ソ フ ト の 機 能 」に つ い て : 文 字 入 力 や 図 形 等 に 関 す る 主 な 機 能 に つ い て ひ と
つ ひ と つ 丁 寧 に 説 明 さ れ て い る 。 「文 字 列 の 編 集 ・ 文 書 の 保 存 」に つ い て : 初 歩 的 な と こ ろ か ら 徐
々 に ス テ ッ プ ア ッ プ さ せ た 内 容 を わ か り や す い 画 面 で 示 し て あ る 。 「書 式 設 定 」に つ い て : 画 面 が
カ ラ ー で わ か り や す く , ひと 画 面 に ひ と つ の 操 作 を 説 明 し て いる の で 見 や す く わ か り や すい 。 「表
の 作 成 と 利 用 」に つ い て : 説 明 文 だ け で な く , 実際 の 画 面 が 必 要 な 部 分 だ け が 大 きく 示 し て あ り わ
かりやすい。
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< Excel> ( 全 20ス キ ル 項 目 )
① 「 でき な い 」が 「 でき る 」 よう に なっ た ス キル 項 目 の数 ( 図29 )。
で き るよ う にな っ た スキ ル 項 目と し ては
「できない」が「できる」ように
なったスキル項目の数
6スキル
項目
1名
1スキル
項目
2名
4スキル
項目
1名
2スキル
項目
1名
3スキル
項目
1名
図29
・ Excelの 基 本 的 な 機 能 に つ い て の 概 略
・グラフの種類と特徴
・表にデータと数式を入力して計算結果を表示
・ SUM関 数 を 使 用 し た 合 計 の 表 示
・ AVERAGE関 数 を 使 用 し た 平 均 値 の 表 示
・オートフィルによる数式の連続入力
・罫線の編集(線種変更も含む)
・セルの小数点以下の桁数変更
・印刷の範囲指定
ス キル 項 目の 数
「で き る よ う に な っ たス キ ル 項 目 が 1 」に つ い て :既 に 情 報 や作 業 学 習 の 時間 で Excelの ス キ ル を
か な り 習 得 し て お り , 新 たに 学 ぶ ス キ ル 項 目 が 少 な か っ た と 思わ れ る 。 「で き る よう に な っ た ス キ
ル 項 目 が 6 」に つ い て : 作 業 学 習 の 時 間 に 必 要 なス キ ル を 教 え て い た の に 対 し , e-ラー ニ ン グ で は
系統的にスモールステップで説明されていて理解ができたと思われる。
② e - ラ ー ニ ン グ が 既 存 の テ キ ス ト より も わ か り や す か っ た か (図30)。
生徒 の 感 想か ら
e-ラーニングが既存のテキストよりも
わかりやすかったか
わかり
にくかった
1名
わかりやす
かった
5名
図30
・読みながら学習していくので,グラフの説明など
わかりやすかった。
・今まで知らなかった画面各部の名称や機能を知る
ことができてよかった。
・説明を読んで自分で進めていくやり方に時間が
かかったが,表の作成や計算は楽しくできた。
わ かり や すか っ た か
「わ か り に く か っ た 」と い う こ と に つ い て : そ の 生 徒 に と っ て は 「置 き 換 え 」「抽 出 」「並 べ 替 え 」等 ,
日頃使い慣れない用語の意味が難しく,また文章が長かったようである。
③ e - ラ ー ニ ン グ でわ か り やす か った と こ ろ( 図 31 )。( 複 数回 答 可 )
わ か りや す かっ た ス キル 項 目 とし て は
e-ラーニングで
わかりやすかったところ
グラフの
作成
2名
表計算
1名
図31
画面各部の
名称やソフト
の機能
2名
Excel の
基 本操作
1名
・ Excelの 基 本 的 な 機 能 の 概 略
・グラフの種類と特徴について
・セルの挿入や削除
・ SUM関 数 を 使 用 し た 合 計 の 表 示
・ AVERAGE関 数 を 使 用 し た 平 均 値 の 表 示
・ SUM関 数 を 使 用 し た 合 計 の 表 示
・ AVERAGE関 数 を 使 用 し た 平 均 値 の 表 示
・グラフタイトルの追加
等
わ かり や すか っ た とこ ろ
「画 面 各 部 の 名 称 や ソ フ ト の 機 能 」に つ い て : 画 面 各 部 の 名 称 を ひ と つ ひ と つ 1 ペ ー ジ 毎 に ま と
め , 実 際 の 画 面 を 拡 大 し てわ か り や す く 説 明 を 加 え て あ る 。 「Excelの 基 本 操 作」に つい て : 操 作 に
必 要 な 部 分 だ け を 実 際 の 画 面 に そ っ て ひ と つ ひ と つ 操 作 の 順 に 説 明 を 加 え て あ る 。 「表 計 算 」に つ
い て : 操 作 手 順 を ひ と つ ひ と つ 丁 寧 に 説 明 し て あ る 。 「グ ラ フ の 作 成 」に つ い て : マ ウ ス で ク リ ッ
クする部分を矢印や枠囲み等で示されており,一目でわかる。
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( 4) 今 後 の課 題
JCIが 構 築 し た 「 JCI在 宅 就 業 支 援 セ ン タ ー 」 の 中 に 設 置 さ れ た e - ラ ー ニ ン グ シ ス テ
ム 「 JCIバ ー チ ャ ル ス ク ー ル 」 で の 在 宅 就 業 支 援 の 手 法 を 学 校 に 持 ち 込 み , 模 擬 在 宅 学 習
と し て 取 り組 ん だ 。 こ の事 業 を 通 じ て, Microsoft Wordが 整 備 され た 高 等 部 生徒 用 P Cを
使い,e-ラーニングの学習を実践したことで生徒のスキルが向上した。卒業後のe-
ラーニング活用につなげることができると期待している。課題としては,生徒自らが主
体的にe-ラーニングに取り組み,理解できていることと理解できていないことが区別
で き るよ う に ,生 徒 用の チ ェ ック リ スト の 作 成も 検 討 した い 。
ま た , e - ラ ー ニ ン グ の 活 用 に 当 た り , 校 内 の シ ス テ ム 作 り と し て 学 習 の 「手 引 き 書 」
を 作 成 で き た 。 教員 の 共 通 理 解と ス ム ー ズ な 運営 と い う シ ステ ム 作 り に おい て , 今 後 につ
な が るも の と 期待 で きる 。 1 年ご と の授 業 担 当者 の 変 更に も 対応 で き ると 思 われ る 。 今後 ,
よ り 使 い や す い よう に 改 訂 す る必 要 が 出 て く れば , 検 討 し たい 。 来 年 度 以降 の 授 業 へ の位
置 づ けや 年 間 計画 等 ,継 続 し て取 り 組ん で い ける 態 勢 作り も 課題 で あ る。
- 17 -
3 . 教 員 対 象 の D T P ソ フ ト 講 習 会の 実 施
( 1) 目 的
年賀状,名刺,チラシ,ポスター,冊子など各種印刷物を制作するために使用する
一般的なDTPソフトの講習会を実施し,アプリケーションソフトの使い方を指導で
きる教員を育成する。
( 2) 方
法
研究対象グループの授業担当教員が健祥苑授産センター金太郎(以下,金太郎と示
す ) を 訪 れ , 指 導 員 よ り Adobe Illustratorの 基 本 操 作 の 指 導 を 受 け る 。 次 に 講 習 会 で
学んだ内容と現在使用している校内パソコン検定の指導項目を照らし合わせ,手引き
書 の 内 容 を 再 検 討 す る 。 Adobe Illustratorを 使 っ て 名 刺 や 名 前 シ ー ル の 作 成 が で き る
ように項目を追加する。完成した手引き書は校内ネットワーク上に保存し,いつでも
活用できるようにする。完成した手引き書に従い,対象生徒に指導する。準備物を以
下 に 示 す ( 表 10 )。
表 10 準 備物
校 内 L A N に 接 続 さ れ た PC , Adobe IllustratorC S 6
(3)成
ア
果
DTPソフト講習会
< 8 月 31日 ( 土 曜 日 ): 参 加 教 員 5 名 >
・ 画 面 構 成 や ツ ー ル バ ー に つ い て資 料 と 実 際 の 画 面 を 見 な が ら 基 本 操 作 を 学 ぶ 。
・ 図 形 ツ ー ル を 用 い て 長 方 形 や 楕円 形 を 描 く 。
・ ペ ン ツ ー ル を 用 い て 簡 単 な 図 形を 描 く 。
円 か ら 「 ア ン カ ー ポ イ ン ト の 切り 替 え 」 で ハ ー ト に 変 形 ( 図 32, 図 33, 図 34 )。
図 32
図 33
ハー ト に変 形 ①
ハ ート に 変 形②
図 34
ハー ト に変 形 ③
< 9 月 28日 ( 土 曜 日 ): 参 加 教 員 7 名 ( 図35) >
・ 前 回 の 復 習 も 兼 ね て , 簡 単 な 図形 ( ハ ー ト ) を 描 く 。
・ は が き の 作 成 を 想 定 し た 用 紙 の設 定 ( ガ イ ド ラ イ ン の 作 成 ) を 行 う 。
・利用者作成の干支(馬)のイラストを例にあげ,図形ツールやレイヤーを上手に
活 用 す る こ と で 複 雑 な イ ラ ス ト を 描 く こ と が で き る こ と を 教 え て い た だ く ( 図 36 )。
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図 35
講 習を 受 け る様 子
図 36
説明 を 受け る 様 子
< 10月 26日 ( 土 曜 日 ): 参 加 教 員 6 名 >
・文字入力(インデントの設定)
・ 文 字 は 入 力 後 , ア ウ ト ラ イ ン 化す る こ と で オ ブ ジ ェ ク ト ( 図 形 ) と し て 認 識 さ れ ,
自 由 に 変 形 し た り , 文 字 ご と に 色を 変 え る こ と が で き る よ う に な る ( 図 37 )。
オ ブ ジェ ク ト に変 化
色 を 変更 し て みる
細 部 を 変形 し てみ る
図 37
ア ウ ト ライ ン 化
・「 ク リ ッ ピ ン グ マ ス ク 」 と い う 効 果 を 活 用 す る こ と で , よ り 効 果 的 な イ ラ ス ト や 文
字 を 作 成 す る こ と が で き る ( 図 38 )。
図 38
ク リ ッ ピン グ マス ク 効果
・ 講 習 会 の ま と め と し て , 年 賀 状を 作 成 す る ( 図 39 )。
・ 保 存 す る 場 合 , 拡 張 子 を pdfに 設 定 す る こ と で , Adobe Illustratorが 入 っ て い な
い P C で も 印 刷 す る こ と が 可 能 とな る 。
文字のアウ
トライン化
インデント設定
により,行頭を
ずらす
クリッピングマスクを活
用し,イラストを星形に
抜いている
図39
作 成し た 年賀 状
- 19 -
イ
手引き書の作成
・講習会で学んだICT活用のスキルを振り返りながら,作業学習IT班の時間に
行 っ て い る 名 刺 や 名 前 シ ー ル 作成 時 に 活 用 で き る よ う に 内 容 を 検 討 し た 。
・使用するアプリケーションソフトは,ジャストシステム社のラベルマイティに加
え , 今 回 の 事 業 で 取 り 組 ん だ Adobe Illustratorを 使 用し た。
・目指すICT技能「オリジナルのイラストを作成し,名刺や名札,名前シールを
完成させる」こととした。
・ 完 成 し た 「 Illustrator手 引 き 書 ( 図 40 )」 は 冊 子 に ま と め る 他 , 校 内 ネ ッ ト ワ ー
ク 上 に 保 存 し , い つ で も 活 用 でき る よ う に し た 。
図 40
ウ
Illustrator手 引 き 書
授業での実践
生 徒 は 熱 心 に新 し い 操 作 の習 得 に 取 り 組 んだ 。 各 種 の ツー ル を 理 解 し, 操 作 を 繰 り返
し 行う こ と で, 操 作も ス ム ーズ に なっ た 。
生徒D:両上肢によるキーボード入力が困難であるが,入力部分
を 工 夫 し , Hearty Ladder( フリーソフト) と で き マ ウ ス , 棒 ス イ ッ チ
を駆使して,左脚のみでPC入力を行い,イラスト入り名札の作
成 を行 っ た( 図 41 )。
棒スイッチによる入力
図 41
脚 で P Cを 操 作し て い る様 子
生 徒 E :基 本 操 作を 練 習し て も らっ た (図 42 )。
図 42
基 本 操 作を 練 習
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生徒 が 作 成し た イラ ス ト 入り 名 札は 以 下 の通 り ( 図43 )。
図 43
生 徒が 作 成 した 名 札
( 4) 今 後 の課 題
D T P ソ フ ト で あ る Adobe Illustratorは 多 く の 授 産 施 設 で 使 用 さ れ て い る も の だ が ,
今回の事業で,このDTPソフトと画面表示が広くかつ作業能力の高いデスクトップ
PCを導入できた。今回は情報や作業の授業担当教員を中心に研修を行い,手引き書
を 作 成 し て 他 の教 員 に も 内 容が 伝 わ る よ う にし た が , 本 校の 教 員 全 般 がソ フ ト に 習 熟す
る ため に は ,今 後 もで き る だけ 多 くの 機 会 を捉 え て 研修 す る必 要 が ある 。
Adobe Illustratorと い う ア プ リ ケ ー シ ョ ン に つ い て は , マ ウ ス で 直 感 的 に 操 作 で き
る部分が多いため,授業での実践でも生徒が操作に馴染みやすかった。反面,仕事で
使用する際には数値を入力して厳密に制御することも可能になっているアプリケーシ
ョンソフトであり,初心者でも扱えるICT活用レベルとプロとしての高度なICT
活用レベルの間には大きなギャップがある。将来的に職場で使用するアプリケーショ
ンソフトとして操作を学習するのであれば,高度なICT活用レベルまで習熟する必
要があるが,生徒にとって急激にハードルが上がるため,指導する際にはそこでの躓
き に注意す る必要 がある。今後の 教員研修ではその 点も踏まえる必 要があるだろう。
ま た , 本 校 には 上 肢 に マ ヒの あ る 生 徒 の 中に は 両 手 で 操作 を 行 う こ とが 困 難 な 生 徒も
多 く , Adobe Illustratorに は Shftキ ー や Altキ ー , 矢 印 キ ー な ど を マ ウ ス 操 作 と 同 時
に ク リ ッ ク す るよ う な 操 作 もあ る の で , 固 定キ ー の 工 夫 や, そ れ に 代 わる 操 作 方 法 の工
夫 など も 必 要だ と 思わ れ る 。
- 21 -
Ⅵ
研究 結 果 と考 察
本 調 査 研 究 で は, 外 部 の 事 業所 と 連 携 し な がら , 県 内 の 障が い 者 福 祉 サー ビ ス 事 業 所等
に お け る I C T を活 用 し た 仕 事の 現 状 を 調 査 し, I C T を 活用 し た 作 業 学習 の 充 実 を 図る
た め に , 遠 隔 会 議シ ス テ ム の 活用 , e - ラ ー ニン グ の 活 用 ,講 習 会 の 実 施と い う 3 つ の方
法 を 用い て 効 果や 課 題を 検 討 した 。
県 内 の 障 が い 者福 祉 サ ー ビ ス事 業 所 等 に お ける I C T を 活用 し た 仕 事 の現 状 で は , 主と
し て 身 体 障 が い 者を 対 象 と し た福 祉 サ ー ビ ス を提 供 し て い る事 業 所 は 県 内で 6 カ 所 と いう
調 査 結 果 で あ っ た。 過 去 5 年 間の 本 校 卒 業 生 にお い て , I CT に 関 係 し た企 業 へ の 就 職は
な く ,I C T を活 用 した 福 祉 的就 労 は1 名 の みで あ っ た。
遠 隔 会 議 シ ス テム の 活 用 で は, 期 間 を 限 定 して 行 う 就 業 体験 実 習 と は 違っ た 成 果 , 移動
距 離 を 気 に せ ず に3 年 間 継 続 して 就 労 に 向 け た事 業 所 で の 技術 ( C A D 基本 操 作 ) を 学ぶ
こ と が で き た 。 大 型 T V (42型 ) を モ ニ タ ー に す る と い う T V 会 議 シ ス テ ム の レ ベ ル ア ッ
プ が , よ り 生 徒 の集 中 力 や 内 容理 解 を 深 め る とい う 効 果 に つな が っ た 。 しか し , 事 業 所の
行 う 技 術 が い く ら高 度 な 内 容 であ っ て も , 事 業所 任 せ の 進 め方 で は 進 度 が速 い と い う 課題
が み ら れ た 。 授 業と し て 学 校 側が コ ー デ ィ ネ ート し , 生 徒 の個 々 の 課 題 達成 を 確 認 し てか
ら 次 のス テ ッ プに 進 むと い う 授業 本 来の 考 え 方を 忘 れ ない こ とが 必 要 だ。
e - ラ ー ニ ン グの 活 用 で は ,事 業 所 の 在 宅 就労 支 援 シ ス テム を そ の ま ま模 擬 在 宅 授 業と
し て 学 校 に 取 り 入れ た 。 生 徒 がP C 画 面 に 向 かい , 自 学 自 習を 行 う と い う授 業 ス タ イ ルに
戸 惑 い な が ら も , 自 力 で JCIバ ー チ ャ ル ス ク ー ル に ロ グ イ ン で き る よ う に な っ た 。 十 分 卒
業 後 の 在 宅 学 習 の機 会 創 出 と して の 可 能 性 を 期待 で き る も のと な っ た 。 さら に 生 徒 の 自学
自 習 で は あ る が ,教 員 の I C T活 用 の ス キ ル アッ プ に つ な がる も の で も あっ た 。 次 年 度以
降 も , Microsoft Wordの 操 作 に 苦 手 であ っ た 本 校 教員 や 生 徒 に ,シ ス テ ム 化 され た e -ラ
ー ニ ン グ を 活 用 した 自 己 研 修 とし て 位 置 づ け ,継 続 し て 取 り組 み た い 。 今回 , 手 引 き 書を
作 成 した こ と の成 果 が大 き い 。
講 習 会 の 実 施 では , 多 く の 障が い 者 福 祉 サ ービ ス 事 業 所 等で 使 わ れ て るD T P ソ フ トで
あ る Adobe Illustratorの 講 習 会 を 事 業 所 を 会 場 に 実 施 し て い た だ い た 。「 作 成 し た イ ラ
ス ト を 貼 り 付 け た名 刺 や 名 札 の作 成 」 を め ざ すI C T 技 能 とし て 本 校 教 員が 学 ん だ 。 事業
所 で 教 え て い た だい た I C T 活用 の ス キ ル か ら手 引 き 書 を 作成 し , 学 校 で生 徒 に 教 え るこ
と が で き た 。 教 員の I C T 活 用指 導 力 が 向 上 し, 手 引 き 書 を使 用 し 次 年 度以 降 も 継 続 して
生 徒 に 指 導 で き る と い う シ ス テ ム が 完 成 し た 。 本 校 生 徒 や 教 員 が 誰 も Adobe Illustrator
を 使 っ た こ と が ない と い う 現 状を 打 破 し , 本 校の 生 徒 が 在 学中 に 教 員 か ら指 導 を 受 け てい
る こ と が ス ム ー ズな 移 行 支 援 とし て 大 き な 成 果だ っ た 。 し かし , 実 際 に 仕事 で 使 用 す る際
に は 数値 を 入 力し て 厳密 に 制 御す る こと が 必 要な ア プ リケ ー ショ ン ソ フト で あり , 卒 業後 ,
ど の スキ ル の レベ ル での 活 用 する か は, 卒 業 後に 任 さ れて い る。
最 後 に , 肢 体 不自 由 の 生 徒 のP C 入 力 の 際 に課 題 が み ら れた 。 上 肢 に マヒ が あ り , 片手
の み の P C 入 力 の生 徒 , 片 脚 のみ の P C 入 力 の生 徒 に も 参 加し て も ら っ た。 O S の ア クセ
シ ビ リ テ ィ 機 能 や支 援 機 器 の 活用 な ど , 特 別 支援 学 校 に 勤 める 教 員 と し て必 要 と さ れ る専
門 性 の 一 つ と し て熟 知 し て お きた い も の だ 。 指導 者 で あ る 教員 の 専 門 性 によ っ て , 生 徒の
可 能 性が 広 が ると い って は い けな い が, 必 須 のI C T 活用 指 導力 と い いた い 。
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Ⅶ
終わ り に
今 回 , 肢 体 不 自由 や 病 弱 の 本校 生 徒 を 対 象 に, 卒 業 後 の スム ー ズ な 移 行支 援 実 現 に 向け
た 学 習環 境 に つい て 調査 ・ 研 究を 進 めて き た 。
過 去 , 本 校 卒 業生 で , I C T関 連 の 業 務 に 取り 組 ん で い る事 業 所 に 進 路を と っ た 者 は極
め て 少 な い 。 こ のこ と は 生 徒 の実 態 の み な ら ず, 教 員 の I CT 活 用 指 導 力や ハ ー ド 面 での
課 題 が大 き い ので は ない か , と推 測 され た 。
こ の 度 こ の 事 業 を受 け , 具 体 的に は 遠 隔 会 議シ ス テ ム の 活用 や e - ラ ーニ ン グ の 活 用,
講 習 会 の 実 施 の 3つ の 方 法 を 取り 上 げ て 取 り 組ん だ 。 今 年 度, 肢 体 不 自 由の 2 名 の 生 徒が
I C T を 活 用 し た障 が い 者 福 祉サ ー ビ ス 事 業 所等 へ 進 路 を 選択 し , ま た 1名 が 将 来 の 就労
を 目 指 し て 専 門 学校 で I C T に関 わ る こ と を 引き 続 き 学 ぶ こと に な っ た 。遠 隔 会 議 シ ステ
ム や e - ラ ー ニ ング の 活 用 , 講習 会 に よ る 教 員の ス キ ル 向 上が , 生 徒 の スキ ル 向 上 に 反映
さ れ た と 思 わ れ る。 こ の よ う に在 学 中 に , I CT 活 用 に 関 して 多 用 な 体 験を 積 み ス キ ルを
習 得 して お く こと は ,精 神 面 でも 余 裕を も っ て卒 業 を 迎え る こと が で きる こ とだ ろ う 。
今 回 の 取 り 組 みが 今 年 度 限 りで 終 わ る の で はな く , 来 年 度以 降 の 継 続 が重 要 で あ る 。毎
年 度 , 継 続 し て いけ る 態 勢 を 構築 し て い き た い。 教 員 の ス キル の 向 上 の ため の 研 修 や シス
テ ム 作 り の た め の推 進 と 見 直 しを 図 る た め に ,ワ ー キ ン グ グル ー プ を 組 織し た い 。 肢 体不
自 由 や 病 弱 の 生 徒が 学 ぶ 特 別 支援 学 校 の 専 門 性の ひ と つ が ,I C T 活 用 の学 び の 充 実 と捉
え て いる 。
最 後 に , 今 回 の 調 査 ・ 研 究 に 当 た り , 特 定 非 営 利 活 動 法 人 JCI Teleworkers' Networkと
健祥苑授産センター金太郎には多大な御協力や御支援をいただいたことに深く感謝を申
し上げたい。
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