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Buck to the Future

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Buck to the Future
高付加価値製品の開発
もう時間がなくなっていますが,僕は,北海道はハンノキ,シラカバとかですね,こういうのをもっと大事に
すべきだと思います。特にシラカバは,50 年で腐れてどうしようもないと言われますけれども,これの利用を考
えるべきだと思います。住宅メーカーの HOP に行ったら,シラカバのフローリングを使っているのを見せてい
ただいて,その後木材業界で,シラカバを板にして,九州の家具業者に 10 万円/m3 以上で出されている方がお
られました。
それは学童机の天板などに使われています。
A重 油 価 格 の 推 移 とペレット想 定 価 格 の 比 較
円 / リ ット ル
それから,先般,ある企業の方が,幼稚園のフローリン
1 4 0 .0
グに,北海道から本州まで持っていって加工して納入さ
1 2 0 .0
れているのを見せてくれました。もっともっとシラカバ
1 0 0 .0
9 3 .5 円
4 0 円 /の ペ レットの 場 合
の活用法が僕はあると思っています。
8 0 .0
本当は OSB です。
今日何が言いたかったかというと,
A重油価格
OSB みたいなものを開発して作らなくちゃならん。北米
6 0 .0
4 6 .7 円
2 0 円 /の ペ レットの 場 合
で一番大きな会社が北海道に興味持っていて,九州にも
4 0 .0
持っていたんですけれども,その時末口 6 センチで長さ
2 0 .0
1m 以上の丸太は 8 千円/m3,1 万円/m3 で買ってもい
H21/1
7
10
4
H20/1
7
10
4
H19/1
7
10
4
H18/1
7
10
4
0 .0
いです,コストが合いますよって言われた。だから,そ
れぐらいで買えるような技術になればすごいだろうと思
います。
ペレットの話は(上図)ひとつだけ言わせてもらうとキログラムあたり 40 円のペレットだと,灯油の値段で 93
円 50 銭/L あたりじゃないと合わない。合わせるために量産化とか集中化が必要だなと思います。
北海道国有林の新しい試み
これ(下図)は東大の酒井先生から,再生研究会のときにあまりに面白かったのでもらった画像なんですけど,
バック・トゥ・ザ・フューチャーで,
トラック運材
バックは採材という意味のバッキン
グだそうです。いわゆる,丸太の伐
り方で未来が拓けてくると。長材の
ままで持って行って,もっと合理的
に伐らなくちゃいかんというために
この絵を作ったんだという訳だそう
で,賛同いたしましてね,そのあと
ずっと使っています。
Buck to the Future
それと同じ事を去年(2008 年)や
らせて頂きました。(次ページ表のよ
うに)トドマツでいうと,北海道の国
有林は 3.65m という長さで 98%切っている。これを 4m と 3m に切りました。カラマツでいうと,逆に 10 種類
切っているんです。10 何種類切ってて,4m と 3m は切っていなかった。切り方が 3m と 4m 入れて 12 種類あ
る。3m と 4m が無かったので,15%ぐらい切りました。業界からはブーイングだったですけど,結果的には(次
ページ図のとおり)カラマツは 4m が平均で 2 千円/m3 高かった。トドマツは 3m が 1,500 円/m3 ぐらい高かっ
た。要は,あまり固定観念にとらわれずに切っていく必要があることを言いたかっただけであります。
22
平成20年度 素材生産採材長級実績量
樹種
長級 m
割合 計
2.40
2.80
2.73-3.65
1
4%
2,364
299
樹種
長級 m
割合 計
1.90
6%
1,801
2.00
1%
335
2.10
4%
1,283
樹種
長級 m
割合 計
1.90
12%
4,705
2.40
2.80
1%
475
37
数量:m3
11月13日現在
トドマツ
3.00
3.10
3.65
3%
80%
1,763
17 52,274
4.00
計
13%
100%
8,838 65,556
2.20
24%
7,841
2.50
2%
452
2.25
2%
542
2.40
6%
1,783
カラマツ
2.75
2.80
97
低質材N
3.00
3.10 3.40-3.65 3.65
3%
72%
1,065
47
59 27,960
2.60-3.65
7%
2,563
樹種
長級 m 1.80-1.90 2.00-2.10 2.20-2.40 2.40-3.65
割合 5%
31%
計
330
30 3,047 20,493
原料材N
2.80
3.00
2.73
133
216
60
3.10
51
3.00
2%
787
3.10
3.65
1%
39%
306 12,566
3.80
2
計
4.00 4.20-5.00
13%
100%
4,096
110 32,052
4.00
計
5%
100%
2,066 38,977
3.65
62%
12 40,993
4.00
2%
1,401
4.80
計
100%
0 66,715
カラマツ素材平均単価4~10月実績
円/m3
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
3.0m
3.65m
4.0m
~13
14~18
20~22
24~28
30~
平均単価
トドマツ素材平均単価4~10月実績
円/m3
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
3.0m
3.65m
4.0m
~13
14~18
20~22
24~28
30~
平均単価
今年は,(下表のように)3 区分してるやつをがっちゃんこして一般材と低質材を込みにしてしまおうと言って,
今,業界からブーイング受けているんです。いろんな議論をしているところであります。これも,僕にとっては
理があるんですけれども今日はやめときます。
それから,品等区分です。20cm から 28cm を二つに
○ 北海道国有林の素材区分別生産量(トドマツ・エゾマツ・ドイツトウヒ)
単位:千m3
区 分
一般材
低質材N
105
36%
82
40%
H19年度
H20年度
(12月末)
原料材N
75
26%
44
21%
113
39%
79
39%
単位:円
区 分
一般材
低質材N
差 額
計
293
100%
205
100%
分けたり,30cm 上は 4 区分したりして昔の天然林の時
の区分が残っています。こんなのもやめてしまおうと思
っています。
北海道の特徴を売る
北海道の特徴を出していくべきだと思います。北海道
H19年度
11,335
8,583
△2,752
の特徴っていうのは,寒いっていうことであります。道
H20年度
(12月末)
11,087
8,240
△2,847
内のツキ板工場に行ったら,スライスしているブロック
があるんです。このブロックいくらですかって聞いたら
23
30 万円/m3 だっていうんです。これ針葉樹みたいだけれど 30 万もするものをどこから持って来ているんですか
って訊いたら,もとはニュージーランドのラジアタパインなんですよ。ニュージーランドからラジアタがアメリ
カに行って,アメリカで(樹脂)含浸させたブロックが日本に入って来て 30 万円するっていうんです。それを
スライスしてフローリング作ってる。で,倉庫に行ったら全部冷凍倉庫ですね。輸送も全部冷凍車でしているそ
うです。要は,寒いってことはすごいことなんですよ。今もうちの人たちに言ってるんですけど,九州だと梅雨
の間伐れないでしょ。梅雨前に伐ったスギの丸太は夏越したら鉄砲虫が入ります。小指ぐらいの穴が,ばんばん
入っています。そのために,薬剤かけておかないとなりませんけれど。ここは,春先に伐ったやつが夏越しても
大丈夫ですとかね。本当にそういう意味では非常に力がある。それから,今一番必要なのは,先程の強度ですね。
強度の点では,トドマツとカラマツは日本中で最高の木だと思うんです。それから,地形が急峻ではありません
から林業機械がどこにでも入って行けます。どこにでも入っていけるから,逆に言うと悪かったところもあるん
です。冬山作業で雪道を作ったのが悪かったと言っています。社会資本が,毎年春先に消えたと。棚田は 1 年で
はなりません。棚田は何百年もかけて積みあげていったんです。毎年毎年誰かが積み上げるから,あれだけ,棚
田が出来る。で,100 年間雪山で集材してきましたから,雪道って春先には消えてしまったということです。こ
れからはちゃんと残していくような作業道を作ったらいいと思っています。
ほかにも,いろいろ天然更新が利くとかですね,本当に信じられないことがあります。この前,カラマツの天
然更新の箇所を見せてもらいましたが,ああいうのも素晴しいと思います。あえて植えることだけが重要じゃあ
りません。カラマツの更新がないんで,後の資材が大変だと言われてますけれども,木材業界は常に資材が変わ
っていきます。30 年後を心配しても仕方ないと僕は思っています。少なくとも,資材は常々ずっと動いていくと
思って,最終的にどんな資材が一番有効なのかということを,商品側から原料を見るだけだと思います。林業の
職員は,山に資源があるから,どう加工するかって考えます。これ間違ってます。どういう商品が売れるかとい
うことがあって,材料をなんにするかです。鉄でも,アルミでもいいんです。だから,ハイブリッドでいいんで
今後の北海道国有林の採算性の向上(山田試案)
区 分
立木販売等
資源量
製品販売
計
平成19年度(a)
人工林
天然林
計
人工林
天然林
計
人工林
天然林
計
収穫調査(人工林)
素材生産
(間伐)
巻立て
検 知
輸 送
木材加工
平成20年度
64万m3
8万m3
72万m3
46万m3
13万m3
59万m3
110万m3
21万m3
131万m3
48万m3
5万m3
53万m3
56万m3
7万m3
63万m3
104万m3
12万m3
116万m3
・1回目の間伐は列状間伐が中心
・2回目以降の列状間伐を推進
・2回目以降は定性間伐が中心
・収穫調査の簡素化
平成20年12月10日
コスト差
(a-b)
近い将来目標(b)
約120万m3
約 10万m3
約130万m3
・オペレータによる選木が理想
システム
チェーンソー → ブル → プロセッサ
高性能作業システム
(ハーベスタ → フォワーダー)
生産性
8m3/人・日(アンケート結果より)
17m3/人・日以上(道目標より)
コスト
9,299円/m3(実績)
6,221円/m3(実績)
(5,000円/m3以下、3,000円/m3目標)
システム
グラップル(プロセッサ)
グラップル(プロセッサ)
巻立無し
生産性
107m3/台・日(実績)
107m3/台・日(実績)
コスト
168円/m3(実績)
168円/m3(実績)
システム
山元検知
山元検知
自動選別機
生産性
500m3/日(2人:実績)
500m3/日(2人:実績)
800m3/日(カタログより推定)
コスト
1,090円/m3(実績)
1,090円/m3(実績)
106円/m3(推定)
システム
12t車
12t車
25t車以上・トレーラー
30m3/台(アンケート結果より)
生産性
14.4m3/台(実績)
14.4m3/台(実績)
コスト
1,984円/m3(20kmまで:実績)
1,984円/m3(20kmまで:実績)
システム
平均原木消費量 3万m3/年
コスト
7,000円/m3(木材産業基本方針)
留意事項
システム販売 4万m3/年
・採材はトドマツ一般材の98%が3.65m
その他検討事項
ハーベスタ → フォワーダー → 巻立無し
(システム販売により工場直送)
168円/m3
952円/m3(評定より推定)
平均原木消費量10~20万m3/年
3,400円/m3 目標2,000円台/m3
システム販売 10万m3/年
・3m、4mの採材で汎用性を高める
・低コスト路網の整備
約
4,500円/m3
984円/m3
1,032円/m3
約
4,000円/m3
システム販売 15~20万m3/年
・長尺材で工場に運びスキャナーにかけて採材
計
約1万円/m3
・収穫調査規程の改正(品等区分等の廃止)
す。製材工場を作るときにですね,わざわざ建屋を木材にする必要はないと思います。僕の代だけはそれはやめ
ました。これはまた戻ってますけれども。工場は鉄骨で作った方がいいんです。鉄骨で作っておけばですね,工
場を改修した時にクレーンなんかも下げられるんです。木製のあの梁には,クレーン下げられないんですよ。下
24
げられない以上は,工場は効率的ではありませんと言ってハイブリッドを作りました。でも,なかなか理解して
いただけません。
最後になります。これ(前ページ表)も,私の試案です。北海道の国有林ですね,最終的には 130 万 m3 ぐらい
ずっと伐っていけるだろうと思います。その中で,合理化すべき事がいっぱいあるだろうと今職員にお話してい
るところであります。で,僕が計算したらですね,素材生産から木材加工までで約 1 万円/m3 合理化できるなと
思っています。
コストの合わない商品は市場で受け入れてもらえません。
是非,
試験研究機関の皆さん方にお願いしたいのは,
実業ベースで本当にコストが合う,それから実業ベースで物になる,というところをやっていただきたい。最後
にもうひとつだけ言うとですね,協同組合にずっと補助してきまして,かなりその成果が出た組合もありますけ
れど,皆さん方に迷惑を掛けました。平成 16
真に国産材時代を迎えるために求められること
年の新流通・加工システムの時に農林省で初
めて,株式会社に直接投資するという補助金
• 「三方よし」のシステムでの低コスト林業の確立が重要。
路網と機械化での工夫が必要。
• 国内需要が減少しても、外材と勝負出来る競争力の確
保。更には中国、インド、中東で勝負。
• 市場が求めている商品を追求すること。表面の化粧性よ
り強度。採材が適正解かの追求。
• 木材生産・流通では、量を集めることが重要。
量は力。
• 世界的な視野、異分野・異業種の人の視点・視野を素直
に受け入れ、現地での具体的な行動。
を作らせていただきました。会社の社長が責
任をもってやらないと,商品なんかできない
のです。なかなかうまくいかない,というと
ころを言って,その時財務が認めて頂いたの
はどうしたかというと,山からみんな持って
きて協定にして会社にやるから,協同組合と
一緒じゃないですかって説明して,結果的に
は企業に直接入れるようにしました。これは
最初にセメント工場に 3 億円入れる時から始
めたんですけれど,セメントのキルンにセメントと石炭と混ぜて燃焼させているところに,木片を入れてもらう
ことをやって,株式会社に補助っていうことを始めたのであります。
いずれにしても最後のここ(上図)だけであります。世界的な視野,異分野,異業種の人の視点,視野を素直に
受け入れて具体的に現地で行動してくださいっていう事をお願いいたします。そういうことのできる,試験研究
をしていただけば,きっと北海道の林業も木材産業も良くなると思っています。
どうもありがとうございました。
拍手
質疑応答
司会:会場から発言をお願いしたいと思います。
○性能部の大橋と申します。只今,貴重なお話をありがとうございました。われわれも反省すべきところがたく
さんあります。我々なかなか本州の事例を見聞きすることは少ないんですけれども,著書の中でも北海道は林業・
林産業の体質的なところが旧態依然としているところがある,そこを脱却しないといけないと書かれています。
山田局長は,日本の中でも林業・林産業のさかんな九州と北海道,二つの大きなエリアを見てこられて,具体的
に特に九州と比べて北海道の林業・林産業のだめなところ,先程のコストの試算なんかでも一番ネックとなりそ
うな分野というか段階がどこなのか教えていただきたい。
山田局長:何箇所もありますが,一番は木材加工業,製材業で言うならば 10 年前までは最先端だったが,この
10 年間で完全に遅れてしまっていることです。もう,木の伐り方,玉切りの仕方から何から全部。例えばいい工
場だなと思っても,
この前売ろうとした時に 3.65m の丸太しか入らないんです。
4m は入らないって言うんです。
そういう工場しか作ってないんですね。でも,富山港に入っているロシア材が今無くなった瞬間に,富山の 4m
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