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介護予防の 基盤構築モデル調査事業

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介護予防の 基盤構築モデル調査事業
3.2.6 高齢者の疾病改善・予防、介護予防の
基盤構築モデル調査事業
445
目次
3.2.6.1
事業概要 ...............................................................................................................................447
3.2.6.1.1
全体目的 ........................................................................................................................447
3.2.6.1.2
事業概要 ........................................................................................................................447
3.2.6.2
実施事項の内容 ....................................................................................................................450
3.2.6.2.1
医療・介護機関との連携構築に向けた要件抽出 ..........................................................450
3.2.6.2.2
連携候補団体・企業を対象とした要件抽出 .................................................................451
3.2.6.2.3
連携(予定)施設利用者の参加要件抽出 ..........................................................................452
3.2.6.2.4
市民を対象とした参加要件抽出 ...................................................................................457
3.2.6.2.5
医療関連・介護関連サービスプログラム開発 .............................................................462
3.2.6.2.6
プログラム提供のためのモデル事業計画策定 .............................................................463
3.2.6.2.7
健康管理ツール・告知ツールの作成 ............................................................................464
3.2.6.2.8
プログラム検証 .............................................................................................................466
3.2.6.2.9
事業化研究 ....................................................................................................................478
3.2.6.2.10
委員会等の設置 .............................................................................................................478
3.2.6.3
結果分析 ...............................................................................................................................482
3.2.6.3.1
今年度事業の成果とその成功要因 ................................................................................482
3.2.6.3.2
今年度明らかとなった課題とその原因と解決策 ..........................................................488
3.2.6.4
次年度以降の実施計画 .........................................................................................................493
3.2.6.4.1
次年度以降の事業概要 ..................................................................................................493
3.2.6.4.2
事業収支見込 ................................................................................................................497
446
3.2.6.1 事業概要
3.2.6.1.1 全体目的
震災後一層の高齢化が進むいわき市では医療・介護及びその周辺サービスの需要が拡大して
いるが、現状ではそれらの需要に応える十分なサービスが提供されているとは言いがたい。ま
た、いわき市内に在住する 60 歳以上のチャレンジシニア(介護予防、疾病改善・疾病再発予防
などが必要な高齢者)層の介護予防、疾病改善・再発予防などの健康づくりに対する潜在的需
要も十分に把握されていない。健康づくりへの関心度が高いことは予想されるが、継続して利
用できる運動プログラムサービスや食生活支援サービスが提供される環境も整っていない。
本事業では、これらチャレンジシニアの潜在的需要を把握しそれに応えるために、いわき地
域にすでに存在する様々な健康づくり資源を活用し、医療・介護周辺サービス事業の創出を行
うことで新たな雇用も創出し、いわき地域の復興実現を目的とする。
本事業で創出される新たな医療・介護周辺サービス事業は、いわき地域で潜在的なニーズが
ありながらサービス提供がなされていなかった分野であり、事業を展開した際に継続的な利用
者(実需層)が見込める自走可能な事業である。さらにいわき市の高齢化率上昇などの点から、
本事業に対するニーズは今後さらに高まると予想され、事業の継続性・規模拡大が期待できる。
いわき地域の資源を活用した医療・介護周辺サービス事業を創出する本事業は、いわき地域
の医療・介護周辺産業の経済、雇用創出効果をもたらすと想定される。
本事業は短期的にはいわき地域のマーケットを創出・確立することを目的としているが、中
長期的には本事業基盤をいわきの観光資産として活用した首都圏マーケットの獲得をも視野に
入れており、それらを踏まえてモデル事業を実施した。
3.2.6.1.2 事業概要
本事業では、いわき市内に在住する 60 歳以上のチャレンジシニアを対象に、家族や友達と一
緒に主体的に(継続して)利用したくなる新しい医療・介護周辺のサービスプログラムを構築
することを目的としている。
そのため、プログラム開発前には顧客層であるいわき市内に在住する 60 歳以上の方々に対し
て定性的、定量的な調査を実施した。この調査結果に基づき、医療・介護関連機関と連携の下、
いわきの地域資源である「温泉」
「フラダンス」などを活用した医療・介護周辺サービスプログ
ラムを開発した。
さらに、開発した本プログラムをいわき市内に在住するチャレンジシニアに対してモデル的
に提供し、事業化に向けた検証・検討を行った。
加えて、本事業では震災後の借上げ・仮設住宅居住者を含むチャレンジシニア層を対象とし
ていため、巡回バス送迎サービスを実施することにより、交通利便性の低いエリアで展開する
サービスへのチャレンジシニアの潜在需要を掘り起こしや、保健師、看護師などの有資格者が
プログラムに立会うことで参加者の健康チェック、健康相談を行った。
447
参加者掘り起こし
①
仮設住宅のシニア
利用勧奨
③
④
⑥
健康チェック
健康カルテ提供
健康プログラム実施
⑦
プログラム利用料
いわき市健康・福祉プラザ
健康プログラム開発監修
患者等へのサービス紹介
いわき市医師会
いわき市立総合磐城共立病院
『いわき ゆったり館』
⑦
健康プログラム実施
・水中エクササイズ
・温泉を利用した健康プログラム
プログラム提供
連携(
健康プログラム提
供、送迎バス運行)
健康
プログラム
開発
連携(
健康プログラム提
供、送迎バス運行)
常磐興産(株)
②
(ハワイアンズ)
健康プログラム実施
・フラ・エクササイズ
・水中エクササイズ等
地域生活のシニア
⑤ 送迎バス
②
②
いわき市役所観光物産課
・
長寿介護課・
保健所(
全体調整支援)
楢葉町住民福祉課
大熊町保健福祉課
NPO法人地域福祉ネットワークいわき
その他地域施設
健康プログラム実施
・健康食メニュー
・温泉を利用した健康プログラム
(株)ジェイ・ケイ・インフォーメーション
健康カルテ開発
(取りまとめ役)
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター
全日本司厨士協会福島県本部いわき地区
①対象者(ターゲット)の掘り起こし
いわき市居住の60歳以上とし、市
外から避難されている方も対象とす
る。
②対象者(ターゲット)の利用促進
いわき医師会、既存サービス提供施
設、協力団体よりちらし配布等によ
り紹介をうける。
③サービス利用前の健康チェック
プログラム実証参加者へ事前の健
康診断を義務付ける。プログラム実
証時には保健師・看護師が毎回立
会い、血圧・心拍チェックを行い、医
師会監修マニュアルに従い参加の
有無を判定する。
④健康手帳の提供
参加者の安全を確保するために、
健康チェックの内容や参加時の健
康状態を記入するための健康管理
ツールを提供する。
⑤無料バス運行(アクセスの確保)
ターゲットが60歳以上であり、借上
げ・仮設住宅居住者も想定され、実
証予定施設へのアクセスが悪いた
め「無料送迎バス」を運行する。
⑥プログラムの実施
開発されたプログラムを参加・協力
団体等の施設で実施する。
⑦プログラム利用料
図 3.2.6-1 実施概要図
コンソ
コンソ
図 3.2.6-2 履行体制図
448
表 3.2.6-1 スケジュール
平成 24 年
期間
作業内容
4月
5月
6月
7月
8月
平成 25 年
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
医療・介護機関との連携に向けた
要件抽出
①ヒアリング調査
連携候補団体・企業を対象とした
要件抽出
①ヒアリング調査
連携施設利用者の参加要件抽出
①会場調査
②グループインタビュー調査
市民を対象とした参加要件抽出
①ヒアリング調査
②アンケート調査
医療機関サービスプログラムの
開発
介護機関サービスプログラムの
開発
プログラム提供のためのモデル
事業計画策定
プログラムの実施検証
①プログラムの実験的実施
②利用者アンケート調査
③実施事業者ヒアリング調査
事業化研究
委員会等の開催
①経営委員会
②連携委員会
③事務局会議
●●●●
● ●
● ●
●
●
●
●
●
●
●
●
● ●
報告書作成
449
● ●
●
● ●
●
●●
●
3.2.6.2 実施事項の内容
3.2.6.2.1 医療・介護機関との連携構築に向けた要件抽出
3.2.6.2.1.1 目的
いわき市内外の医療・介護機関の連携要件把握、及び本事業実施時の連携のための関係を構
築する。
3.2.6.2.1.2 実施内容・結果
いわき市内の医療機関や介護機関、保健所、社会福祉協議会などに対して直接面談によるヒ
アリングを 13 件実施した。また、首都圏の医療機関や介護機関、介護事業者、健康づくり関連
団体などに対して直接面談によるヒアリングを 4 件実施した。
本調査は、
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーションの統括(および同行)により調査会社(
(株)
ノルド社会環境研究所)が実査を担当した。調査実施にあたっては、調査対象者紹介、調査項
目設定などでいわき市役所、いわき市医師会、磐城共立病院、地域福祉ネットワークいわき、
常磐興産(株)の協力を得た。
ヒアリング調査では、いわき市内に在住する 60 歳以上の高齢者の状況や生活特性、健康・疾
病特性、いわき市および大熊町、楢葉町で行われている疾病・介護予防事業、本事業との連携
意向などを把握した。
ヒアリング結果の概要は以下の通りである。
(1) いわき市における高齢者の状況と課題
いわき市の高齢者率は 25%と言われているおり、地域によってばらつきがあるものの、山間
部などは 37~38%に至る地域もあるとのことであった。
いわき地域は車社会ということもあり、運動不足による肥満率が高い。また農業従事者の多
い地域では、農作業で身体を動かしていることを理由に健康意識が低く、疾病予防、介護予防
への関心も低い傾向にあることが全国平均を下回る特定健診受診率からもわかっている。さら
に、高血圧、糖尿病の患者が多い地域であり、人工透析患者数も全国平均に比べて高い地域で
もある。
また、いわき市内の仮設住宅、借り上げ住宅に暮らす大熊町、楢葉町の高齢者においては、
運動不足による体重の増加や、コミュニティの崩壊による孤立、閉じこもりなども課題となっ
ている。
(2) 医療・介護周辺サービスの必要性
健康づくり、介護予防プログラムを提供している行政や関連団体等に共通する回答が、
「運動
等のプログラムは楽しくなければ続かない。
」また「参加の動機付けが難しい。」である。楽し
い健康づくりプログラムを早い時期に体験することで、健康や運動に対する意識や意欲運動の
継続につながり、介護になることを遅らせることができる。
楽しさの要素としては、プログラム自体の楽しさもさることながら、プログラムを通して交
流を促し新たなコミュニティづくりを支援するようなサービスが求められている。
(3) 本事業との連携意向・要件
いわき市医師会をはじめ医療機関からは、連携構築に向けて前向きな回答を得たものの、い
450
わき市内の医療機関は双葉郡からの避難者受け入れにより、ほとんどの医療機関が夜遅くまで
の勤務を強いられており医師、看護師は疲弊している。特に仮設住宅近隣の診療所でこのよう
な状況が顕著であり、医師不足、看護師不足が深刻な問題となっている。
そのため本事業では、医師不足、看護師不足を前提として医療の現場に負担のかからない連
携の仕組みが求められている。
表 3.2.6-2 ヒアリング対象および件数
対象
医療機関や介護機関、保健所、社会福祉協議会など
首都圏の医療機関や介護機関、介護事業者、健康づく
り関連団体など
目標件数
実施件数
15 件
15 件
5件
4件
3.2.6.2.2 連携候補団体・企業を対象とした要件抽出
3.2.6.2.2.1 目的
いわきの地域資源を活用して市全体を医療・介護周辺サービスエリアにする仲間づくりを行
うために、医療・介護周辺サービス事業に資する資源の発掘を行う。地域の医療・介護周辺サ
ービス事業への参画要件や参画の意向を把握し、その活動を通じてとともに、本事業実施時の
連携キー団体を設定し、事業体制の方向づけ形成を行う。
3.2.6.2.2.2 実施内容・結果
宿泊施設や温泉施設などを対象に 6 件の直接面談によるヒアリングを実施した。また、宿泊
施設や温泉施設のうち数施設は今年度モデル事業の連携対象となるため、初回ヒアリング以降
も引き続き調整のための意見交換等を実施した。
本調査は、
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーションの統括により調査会社が実査を担当した。
調査実施にあたっては、調査対象者紹介、調査項目設定などでいわき市役所、いわき市医師会、
磐城共立病院、地域福祉ネットワークいわき、常磐興産(株)の協力を得た。
ヒアリング結果の概要は以下の通りである。
(1) 施設の利用状況
震災後、いわき市は大手電力会社の事故(風評)の影響で、首都圏からの客や子供連れの観
光客は激減した。現在では震災前と比較して、2~3 割程度まで減ってしまった。宿泊客は復旧・
復興支援企業の作業員が中心であり、中には温泉を目的に来ている高齢者もいる。
いわき湯本温泉旅館協同組合に加盟 27 旅館のうち、震災後、1 軒が営業休止、15 軒がビジネ
ス対応(復旧・復興作業員受入れ)
、9 件が観光客+ビジネス対応、2 軒が観光客のみ対応とい
う状況である。
観光施設においては、3~4 割が近隣から、6~7 割が県外から訪れる観光客で、客層は中高年
の団体客が比較的多い。
一方スイミングスクールやフィットネス事業者では、少子高齢化の影響でビジネスモデルの
451
転換を図らなければならない時期に来ており、震災前には高齢者も視野に入れた事業展開を考
えていた。しかし震災後、大手電力会社の事故(風評)の影響により児童・生徒が外で遊ぶこ
とができなくなったことで、屋内プールなどの需要が高まり、現在はスイミングプールに入会
する子供が急増している。
(2) 医療・介護周辺サービスの必要性
今回連携候補の宿泊施設をはじめ、スポーツ施設においてもいわき市全体の活性化と高齢者
に向けての健康づくりサービスには積極的に行っていきたいとの意見がヒアリングを通じて明
らかとなった。
現在、いわき市やいわき市社会協議会が行っている様々な健康や交流をテーマにした事業に
では、参加者のほとんどが女性となっている。今後は、男性の参加が課題となっており、高齢
者の男性が参加したくなるような事業を考えていく必要があると思われる。健康づくりのみを
売りとして高齢者を集めることは難しく、楽しそうなプログラムがないと費用が安くても参加
者は集まらないとのことであった。逆に、楽しければ応分の負担は厭わないと思っているとの
ことであった。
(3) 本事業との連携意向・要件
いわき湯本温泉旅館協同組合をはじめ、今回ヒアリングをおこなった連携候補の宿泊施設や
温泉施設では、ぜひ連携していわき市活性化に向けて取り組んでいきたいという意向があった。
ただし現在、一部の旅館では復興事業関係者の宿泊者に慣れてしまい、新しいことを進んで行
おうとはしないといった課題もあげられている。
一方で、震災前は高齢者向けプログラム、介護予防向けプログラムを検討していたスイミン
グ施設では、昨年後半から大手電力会社の事故の影響により、児童・生徒のスイミングスクー
ルの入会が増えたため、そちらの対応に追われており、本事業と連携する余裕がないとのこと
であった。しかし、将来的に上記問題の解決が見えてきたときには、ぜひ連携したいとのこと
であった。
表 3.2.6-3 ヒアリング対象および件数
対象
宿泊施設や温泉施設など
目標件数
実施件数
10 件
10 件
3.2.6.2.3 連携(予定)施設利用者の参加要件抽出
3.2.6.2.3.1 目的
スパリゾートハワイアンズ及び会員制度をもつ連携施設(「ゆったり館」
「新舞子ハイツ」)利
用者のグループインタビュー調査(定性調査)を行い、サービスプログラム開発に向けた医療・
介護周辺サービスに関する利用意向やサービス内容ニーズを把握する。
さらに、スパリゾートハワイアンズ及び連携施設利用者を対象に会場調査(定量調査)を行
い、サービスプログラム開発に向けた医療・介護周辺サービスに関する既存施設利用者の利用
意向やサービス内容ニーズを定量的側面から把握する。
452
3.2.6.2.3.2 実施内容・結果
(1) グループインタビュー(定性調査)
スパリゾートハワイアンズ及び会員制度をもつ連携施設(「ゆったり館」
「新舞子ハイツ」)利
用者を対象とした 5 グループにグループインタビューを実施した。
本調査では、
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーションの統括(および同行)により調査会社
((株)ノルド社会環境研究所)が実査を担当した。調査実施にあたっては、調査対象者紹介、
調査項目設定などで常磐興産(株)
、市役所の協力を得た。
グループインタビューの結果概要は以下の通り(詳細については別添報告参照)
。
1)
生活の中の楽しみ・生きがい
市や地域のイベントやサークルへの参加が楽しみとなっており、指導者としての活動や社会
参加が生きがいとなっている人もいる。また、山登り、土いじり、旅行、読書を楽しみにする
人が多く、人との交流を楽しみとする人、何かやりたいと思っている人は多いが、その機会を
得るのがなかなか難しく、なかなか一歩を踏み出せないという声があった。
そのほか、プールや温浴、ボーリングやパークゴルフ、食べること、飲むこと、カラオケ、
孫との交流、写経などが楽しみ・生きがいとしてあげられている。
2)
今後利用したい健康づくり・生きがいづくりサービス
すでに、手軽にできる散歩やウォーキングや体操をしている人が多く、ヨガや太極拳、フラ
ダンスなど軽い・ゆっくりした運動を希望する声が多かった。
また、水中ウォーキングに興味のある人が最も多く、ウォーキング、サイクリングなども注
目された。水中プログラムはハワイアンズ利用者から「効果があると聞いたのでやりたい」と
いう声があがるなど、希望する声が最も多かった。サイクリングは街を知ることができ、且つ
負担が少なくやりやすいなどの意見があった。その他にもゴルフやボーリングなど昔やってい
た運動を再度やりたい、という声もあがっていた。
また食事について興味を持つ人もかなりおり、
「交流の場としてバイキング形式にしたらどう
か」
、という声もあがっていた。ただし、一方で「外食はほとんどしない」という声が上がって
おり、実施にあたっては考慮が必要である。その理由としては自分が食べられるものを選ぶの
が大変だから、という声があがっていた。
3)
利用したいサービスの要件
期間としては 3 か月単位が良いという意見が多く、頻度については忙しい人は 2 週ないし週
に 1 回、効果を重視する人は週に 2 回という意見が多かった。
時間帯については、都合が良いという時間帯は回答者によってそれぞれ異なっていた。どち
らかというと午前や午後早めの時間を望む人が多い傾向があった。
料金としては「1 回あたり 500~2,000 円くらい」
、「日帰り食事付きで高くても 10,000 円」、
「宿泊で1泊 20,000 円くらいまで」といった数字が示されている。
実施会場までの移動については、家の近く(車で 15 分程度)の行き慣れた場所であること、
駐車場が安く利用できることも重要な要素となっており、送迎サービスの実施も歓迎されてい
る。また、家から多少遠くても駐車場から会場が近い方が良いという声もある。
453
プログラムについては、専門家の指導・サポートや健康チェックサービスのあるものや、参
加者同士の交流、プログラムの人数は多くても、みんなでやれるものが求められている。加え
て「食事付き」がいいという意見があり、食事についても専門家の指導が期待されている。運
動の強度については、負担が少ない運動を求める一方で、効果を求める声も多い。
ハワイアンズでは、プールとフロアエクササイズを両方できるプログラム、宿泊客やアクア
会員が参加できるプログラムやマシンジムの設置を求める声もある。
プログラムの告知・情報提供に関しては、施設の入り口に掲示すれば目に留まるという人が
多い。参加のためには、告知だけでなく、誘って良さを伝えることが大事との意見もあった。
継続利用の条件としては、家の近くで足が確保されていること、自分に合った楽しいプログ
ラムであること、定期的に成果をチェックして目標達成ができること、飽きないようにプログ
ラムに変化があることなどがあげられていた。
表 3.2.6-4 グループインタビュー参加者属性と実施日時
グループ
参加者の性・年齢構成
実施日時
60 代男性 2 名
1 新舞子ハイツ利用者グループ
60 代女性 1 名
2012 年 9 月 20 日
70 代男性 1 名
14:00~16:00
70 代女性 1 名 計 5 名
60 代男性 1 名
2 ゆったり館利用者グループ
60 代女性 2 名
2012 年 9 月 21 日
70 代男性 1 名
10:00~12:00
80 代男性 1 名 計 5 名
3
4
5
ハワイアンズ利用者グループⅠ
70 代女性 3 名
2012 年 9 月 24 日
(70 代以上グループ)
80 代男性 1 名 計 4 名
10:00-11:30
ハワイアンズ利用者グループⅡ
60 代男性 1 名
2012 年 9 月 24 日
(60 代グループ)
60 代女性 4 名 計 5 名
13:30-15:00
ハワイアンズ利用者グループⅢ
(混合グループ)
60 代女性 3 名
60 代男性 1 名
80 代男性 1 名 計 5 名
454
2012 年 9 月 24 日
16:00-17:30
表 3.2.6-5 グループインタビュー目標件数と実施件数
対象
スパリゾートハワイアンズ、いわきゆったり館、
新舞子ハイツ利用者
目標件数
実施件数
5 グループ
5 グループ
図 3.2.6-3 グループインタビュー案内状(ハワイアンズ、いわきゆったり館、新舞子ハイツ)
(2) 会場調査(定量調査)
スパリゾートハワイアンズ、いわきゆったり館、新舞子ハイツの 3 ヶ所において利用者に対
する会場調査を実施した。
本調査では、
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーションの統括により(株)ケイ・エイ・アイ
が実査を担当し、
(株)ノルド社会環境研究所が進行管理を行った。調査実施にあたっては、調
査対象者紹介、調査項目設定などで常磐興産(株)
、市役所の協力を得た。
会場調査の結果概要は以下の通り(詳細については別添報告参照)。
1)
普段の生活で感じている「楽しみや生きがい」
普段の生活で感じている「楽しみや生きがい」としては、
「温泉」と「旅行」がトップ 2 で多
い。新舞子ハイツ利用者は、
「お友達や近所の人との交流」、
「子や孫と一緒に過ごす時間をもつ」、
「買い物・ショッピング」が多く、比較的身近な交流を楽しみにしている。
2)
今後、
「楽しみや生きがい」としてやってみたいこと
今後、「楽しみや生きがい」としてやってみたいこととしては、「旅行」が 51%で最も多く、
「温泉」
、「園芸・土いじり」、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」が続いている。スパリゾー
トハワイアンズでは、
「温泉」をあげる人が特に多い。新舞子ハイツは、「お友達や近所の人と
の交流」
、
「園芸・土いじり」
、
「歌・カラオケ」が多い。いわきゆったり館は、
「旅行」が 58%と
顕著に多い。
455
3)
参加したいと思うプログラム(体験会)の内容
参加したいと思うプログラム(体験会)の内容としては、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」
が 33%と最も多く、次いで、
「温浴」が多くなっており、
「エクササイズ(フラダンスの動きを
取り入れた運動)
」は 6%に過ぎない。
スパリゾートハワイアンズは、
「温浴」が 41%と最も多い。新舞子ハイツでは、
「リハビリ運
動」が多い。
いわきゆったり館では、「水中エクササイズ(水中ウォーキングなど)」、「家族で楽しめる健
康メニューの食事」が他会場と比べて多い。
4)
健康づくり・生きがいづくりのプログラムへの参加にあたって魅力的に感じるもの
健康づくり・生きがいづくりのプログラムへの参加にあたって魅力的に感じるものとしては、
「自分の好きな時に参加できる」
、
「料金が安い」、
「楽しい雰囲気でできる」がトップ 3 であっ
た。一方、
「きつくても体力のつく運動」、
「ユニフォームや衣装が着られる」
、
「男性だけ、女性
だけでできる」との回答数は少ない。
スパリゾートハワイアンズは、
「自分の好きな時に参加できる」が約 5 割を占めている。新舞
子ハイツは、
「送迎がある」
、
「料金が安い」
、
「普段着でもできる」がトップ 3 であった。いわき
ゆったり館は、
「自分の好きな時に参加できる」、
「料金が安い」、
「楽しい雰囲気でできる」がト
ップ 3 となっている。
表 3.2.6-6 実施会場と連携予定施設会場調査アンケート回収件数
会場
目標件数
回収件数
スパリゾートハワイアンズ
100 件
112 件
いわきゆったり館
50 件
55 件
新舞子ハイツ
50 件
55 件
合計
200 件
222 件
456
図 3.2.6-4 会場調査アンケート用紙(ハワイアンズ、いわきゆったり館、新舞子ハイツ)
図 3.2.6-5 会場調査アンケートの様子
3.2.6.2.4 市民を対象とした参加要件抽出
3.2.6.2.4.1 目的
プログラム開発や事業計画策定に向けた、高齢者全般(いわき市民、市外から避難されてい
る方(大熊町・楢葉町)
)の生活状況や健康づくりの実態、及び医療・介護周辺サービスのニー
ズやその内容を定性的、定量的側面から把握する。
3.2.6.2.4.2 実施内容・結果
(1) 市民ヒアリング(定性調査)
いわき市長寿介護課、地域包括支援センター等の協力で、いわき市内に在住する 60 歳以上の
高齢者 21 名に対して面談によるヒアリング調査を実施した。
本調査では、
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーションの統括(および同行)により(株)ノ
ルド社会環境研究所が実査を担当した。調査実施にあたっては、調査対象者紹介、調査項目設
定などで常磐興産(株)
、市役所の協力を得た。
457
市民ヒアリングの結果概要は以下の通り(詳細については別添報告参照)
。
1)
高齢者の健康実態・意識
多くの高齢者が足腰の弱り・痛みや体力の低下、糖尿病や高血圧などの生活習慣病であった。
移動は、車が中心のために、慢性的な運動不足や仮設住宅に避難したことで運動不足になり体
重が増えてしまったという意見が聞かれた。
日常の健康づくりとして散歩やウォーキングの他にカロリーや栄養バランスを考えた食事を
心がけている高齢者も多く、食に関する関心も高いようである。
2)
健康づくりに関するニーズ
車社会による運動不足や仮設入居により引きこもりなどの問題があり、足腰の弱り・痛みや
体力の低下、糖尿病や高血圧などの生活習慣病といった問題を抱えている高齢者が多かった。
上記のような市民ヒアリングの結果により、ロコモティブシンドローム予防・対策、メタボリ
ックシンドローム予防・対策を意識したプログラムづくりが求められていることがわかった。
3)
今後の医療・介護周辺サービスニーズ・要件
今後の医療・介護周辺サービスとしては、健康づくりとともに、付加価値づくりが求められ
ている。医療・介護周辺サービスの付加価値として多く聞かれたのが「楽しさ」
「社会参加、社
会貢献」であった。
「楽しさ」という点では、衣装やアクセサリーなどに工夫を凝らし、いつまでも清廉で身綺
麗でいたいという女性の欲求を叶えるサービスや、農作物を育て収穫する喜びを味わえるサー
ビス、高齢者と子供の触れ合う機会、みんなでワイワイやるような交流の機会づくりが求めら
れている。
「社会参加、社会貢献」という点では、散歩と併せて行う防犯見回り活動や、地域の清掃活
動などが多くの人を集めており、
「自分がまだ誰かの為に役に立つのだ」ということを感じられ
る要素を付加することも検討する必要がある。
さらに、高齢者といっても 60 代では、まだまだ働いている方が多く、現役世代という認識が
強いため、いわゆる「高齢者向け」サービスには見向きもしない。これからの高齢者世代は学
歴も高く、社会的なステータスが高い方も多いため「子供だましの」プログラムではなく、第
一線のスキル、知識をもった専門家による指導、サポート、健康チェックサービスが求められ
ている。
また、移動手段は車中心であることを考慮してプログラム実施場所としては駐車場が完備さ
れている施設であることや、移動手段の確保できない方向けの送迎サービスなどが参加の重要
な要件となっている。
男性は、地域の祭りやゴルフなどの気の合う仲間同士で行う趣味の集まりには参加するもの
の、女性が多いサークルへの参加は敬遠する傾向にある。また、地域・コミュニティの仲間意
識の強さもあることから、コミュニティ単位での教室開催や集客方法を検討する必要がある。
加えて、自分の好きな時間に参加できるということに多くの高齢者が魅力を感じているため、
特定の曜日、時間ではなく、好きな教室を選択できるようなスケジュール設定が求められてい
る。
458
表 3.2.6-7 ヒアリング対象者と実施件数
対象
目標件数
実施件数
男性
女性
いわき市
-
14 件
8件
6件
楢葉町(避難されている方)
-
2件
-
2件
大熊町(避難されている方)
-
5件
5件
-
合計
20 件
21 件
13 件
8件
図 3.2.6-6 市民ヒアリングの様子
(2) 市民アンケート(定量調査)
60 歳以上の市内居住者(いわき市民、市外から避難されている方(大熊町・楢葉町)
)を対象
に、アンケート調査を実施した。
本調査では、
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーションの統括により(株)ケイ・エイ・アイ
が実査を担当し、
(株)ノルド社会環境研究所が進行管理を行った。調査実施にあたっては、調
査対象者紹介、調査項目設定などで常磐興産(株)
、市役所の協力を得た。
調査は訪問面接法および訪問留置法の併用で行った。
市民アンケートの結果概要は以下の通りである。
1)
普段の生活で感じている「楽しみや生きがい」
普段の生活で感じている「楽しみや生きがい」としては、
「お友達や近所の人との交流」が 45%
で最も多く、
「旅行」が 31%、
「園芸・土いじり」が 30%と続いている。
大熊町は、全体的に楽しみや生きがいに関する設問への回答率が低く、比較的多いのは「園
芸・土いじり」と「買い物・ショッピング」であった。楢葉町では、楽しみや生きがいに関す
る設問への回答率は高く、特に「お友達や近所の人との交流」や「子や孫と一緒に過ごす時間
をもつ」は顕著に高い。
「お友達や近所の人との交流」、
「子や孫と一緒に過ごす時間をもつ」、「買い物・ショッピン
グ」
、
「家事」は女性の方が顕著に多い。男性が女性より多いのは、
「園芸・土いじり」、
「ウォー
キング・街中散策・山歩き」
、
「地域活動・ボランティア活動」、
「飲酒・宴会」、
「仕事」である。
年代別でみると、どの年代も「お友達や近所の人との交流」は多く、年代が高くなるほど多
くなっている。次いで多いのは、60 代、70 代では「旅行」、
「園芸・土いじり」だが、80 代以
459
上では、
「子や孫と一緒に過ごす時間をもつ」となっている。
健康状態が「良い」という人ほど、
「旅行」、
「園芸・土いじり」、
「温泉」、
「ウォーキング・街
中散策・山歩き」が多くなっており、健康状態が「良くない」という人は、
「マッサージ・整体・
エステ」が顕著に多い。
2)
今後、
「楽しみや生きがい」としてやってみたいこと
今後、「楽しみや生きがい」としてやってみたいこととしては、「旅行」が 43%と最も多く、
「温泉」が 35%、
「お友達や近所の人との交流」が 24%と続いている。
いわき市は、
「旅行」が 48%と最も多く、大熊町、楢葉町は、
「温泉」がそれぞれ 35%、32%
と最も多い。
男性の方が顕著に多いのは、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」、
「地域活動・ボランティア
活動」。女性の方が顕著に多いのは、「お友達や近所の人との交流」、「買い物・ショッピング」、
「料理や掃除、洗濯などの家事」となっている。
年代別にみると、
「旅行」
、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」、
「食べ歩き・グルメ」は年代
が高いほど少なくなり、
「お友達や近所の人との交流」、
「歌・カラオケ」は年代が高いほど多く
なる。
3)
参加したいと思うプログラム(体験会)の内容
参加したいと思うプログラム(体験会)の内容としては、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」
が 28%と最も多く、次いで、
「温浴」が 19%、
「リハビリ運動」が 18%となっている。
いわき市、楢葉町は、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」が最も多い。大熊町は、「温浴」
が最も多く、
「家族で楽しめる食事」、
「ゲーム、レクリエーション」も比較的多い。
性別にみると、男性は、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」が女性と比べて顕著に多い。
「リ
ハビリ運動」
、
「水中エクササイズ(水中ウォーキングなど)」
、
「エクササイズ(フラダンスの動
きを取り入れた運動)
」は女性のほうが多い。
年代別にみると、60 代、70 代は、
「ウォーキング・街中散策・山歩き」が最も多く、80 代以
上では、
「リハビリ運動」
、
「温浴」が多い。
4)
健康づくり・生きがいづくりのプログラムへの参加にあたって魅力的に感じるもの
健康づくり・生きがいづくりのプログラムへの参加にあたって魅力的に感じるものとしては、
「自分の好きな時に参加できる」と「楽しい雰囲気でできる」がともに 45%と最も多く、次い
で「料金が安い」と「送迎がある」がともに 42%と続いている。
大熊町は、
「送迎があること」
、
「きつくない軽めの運動である」がトップ 2 となっている。
性別でみると、ほとんどの項目で女性の率が高いが、特に女性で高いのは、
「楽しい雰囲気で
できること」
、
「送迎があること」
、
「普段着でもできること」、
「みんなでできること」
。男性では、
「自分の好きな時に参加できる」
、
「料金が安い」がトップ 2 で、
「一人でもできる」は女性より
も率が高い。
年代が高いほど「料金が安いこと」、「送迎があること」、「みんなでできる」が多くなってい
る。特に 80 代以上では、
「送迎がある」が 6 割近くを占めている。
460
表 3.2.6-8 年齢別送迎希望者数の割合
送迎希望者数
60 歳代
70 歳代
80 歳代
21%
46%
58%
表 3.2.6-9 調査対象と調査件数
対象
目標件数
回収件数
いわき市
250 件
282 件
楢葉町(避難されている方)
50 件
60 件
大熊町(避難されている方)
50 件
40 件
その他※1
0件
4件
300 件
386 件
合計
※1 その他として富岡町民、浪江町民がそれぞれ 2 件、計 4 件含まれている。
図 3.2.6-7 アンケート案内用リーフレット
461
図 3.2.6-8 アンケート(A4 1c×1c
5p)
3.2.6.2.5 医療関連・介護関連サービスプログラム開発
3.2.6.2.5.1 目的
医療周辺サービスプログラムにおいては、生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常など)の
予防(一次予防+二次予防)
、介護予防、ロコモティブシンドローム対策などを狙いとしたプロ
グラムを策定する。
また、介護周辺サービスプログラムにおいては、高齢者が要介護状態へと進まないための予
防対策を狙いとしたプログラムを策定する。
3.2.6.2.5.2 実施内容・結果
常磐興産㈱と、疾病予防サービス受託実績で培ってきたノウハウをもつフィットネス事業者
(
(株)ルネサンス)と連携し、地域の健康づくり資源やニーズ調査結果を加味したサービスプ
ログラムの開発(医療、運動指導、栄養指導などの専門家との協働作業)を行った。
医療周辺サービスプログラムにおいては、これまでのニーズ調査の結果に加え、健康障害を予
防するための正しい生活習慣づけや、生活習慣に起因する メタボリック症候群 、糖尿病 、高血
圧 ・高尿酸血症 、高コレステロール血症 ・脂質異常症などの予防を狙いとし、介護周辺サービ
スプログラムにおいては、これまでのニーズ調査の結果に加え、運動機能の維持・向上、介護予
防を狙いとしたプログラムを策定した。
開発したプログラムは下記の通り。
①プログラムの種類… フラエクササイズ等のフロアプログラムやいわき市の事業で
は提供されていない水中エクササイズ、水中にウォーキング等
462
の水中プログラム、ニーズ調査でも人気の高かった地域観光で
ある温浴を加えたプログラムの開発。
②プログラムの時間… 2 時間程度
③プログラムの強度… 運動習慣のない、または少ない高齢者も多いことがニーズ調査
からも明らかになったため、参加者の状態に合わせた強度のプ
ログラムを提供し、参加者の習熟度に応じて徐々に強度を高め
ていくものとした。
さらに、ニーズ調査からも「健康」だけでなく「交流」という要素が重要になっていること
が明らかになったため、プログラム内で参加者の交流が生まれるような仕組みづくりを行った。
プログラム開発に際しては、常磐興産が地域施設のレビューを行い、作成したプログラムが
地域の状況に即したものになっているかフィットネス事業者(
(株)ルネサンス)と協議を行い、
プログラム検証を通して修正を行なった。
また、本事業終了後もインストラクターの研修が継続して行えるよう、プログラム実施マニ
ュアル、プログラム内容収録動画メディア(DVD)を作成した。
3.2.6.2.6 プログラム提供のためのモデル事業計画策定
3.2.6.2.6.1 目的
医療周辺、介護周辺の両サービスプログラムの開発を受け、事業の本格実施(次年度以降)
に向けた実践的なモデル事業(プログラム検証)を行い、その実行性を検証することで、次年
度以降の事業を効果的かつ円滑に推進することための課題を把握する。
3.2.6.2.6.2 実施内容・結果
(株)ノルド社会環境研究所、
(株)ケイ・エイ・アイの調査結果をもとにフィットネス事業
者(
(株)ルネサンス)の提言を受け(株)ジェイ・ケイ・インフォメーションおよび常磐興産
(株)が地域マーケットはもちろん、将来の首都圏マーケット獲得も視野に入れたモデル事業
を策定する。成果物として、事業の目的、効果、内容、スケジュール、実施対象、予算などの
要件を含む「モデル事業計画書」を作成した。モデル事業計画書のポイントは以下の通りであ
る。
目的: 本年度開発したプログラムを一定期間試験的にいわき市内に在住する高齢者に提
供し、プログラムの満足度、体力・バイタルデータの変化、意識の変化等の検証
を行い、次年度以降の事業化に向けた課題の抽出を行う。
効果:参加者の健康増進・体力向上、血圧等のバイタルデータの改善によるメタボリッ
クシンドローム・ロコモティブシンドロームの予防・改善、健康意識、行動の改
善、交流の創出などを狙う。
内容:本年度開発したフロアプログラム、水中プログラムの提供およびプログラムの提
供前後に健康チェックおよびアンケート調査を行う。健康チェックでは体力・バ
イタルデータ等の指数の変化を測定しプログラムの効果を把握。アンケート調査
では意識や行動の変化、プログラムの満足度、事業化に向けた料金等について把
463
握し、有効性、実行性を検証する。
スケジュール:①事前健康チェック 平成 24 年 11 月 3 日、4 日
②プログラム提供
平成 24 年 11 月 5 日~12 月 18 日
③事後健康チェック 平成 24 年 12 月 22 日、23 日
実施対象:いわき市に居住する 60 歳以上の高齢者
3.2.6.2.7 健康管理ツール・告知ツールの作成
3.2.6.2.7.1 目的
プログラム参加者の安全性確保、効果測定を目的として健康管理ツールを作成する。また、
プログラム参加者の募集を行うことを目的に告知ツールを作成する。
3.2.6.2.7.2 実施内容・結果
いわき市医師会協力のもと、利用毎の参加者の健康状態や参加記録、既往歴、服用薬、禁忌
事項などをチェックする健康手帳を 240 部作成し、プログラム参加者に配布した。
健康手帳には、本事業の説明や、プログラム案内、図入りで体力チェックの方法なども記載
し、プログラム終了後も活用できる内容とした。配布した健康手帳については個人で管理する
こととし、プログラム参加毎に参加者に持参いただき、プログラム参加前の血圧・脈拍、看護
スタッフによる注意事項を記載した。
また、プログラム参加者を集めるためにリーフレットを 60,000 部作成した。いわき市はじめ
協力団体の協力の下、仮設住宅・借上住宅及び一般住宅、協力団体にリーフレット(案内状)
配布し募集を実施した。
464
表 3.2.6-10 リーフレット配布先と配布数
配布先
配布方法
配布数
いわき市保健所
保険福祉センター内にて配布、設置
5,000
地域福祉ネットワークいわき
スタッフによる訪問時手配り
4,000
いわき市医師会
医師会事務局を通じ病院待合室内設置依頼
5,000
市内公民館
市内公民館 36 ヶ所へ設置
いわき新舞子ハイツ
ロビー設置
1,000
いわき市社協
イベント時参加者配布
1,000
いわきオリーブプロジェクト
仮設住宅への移動販売時に配布協力
4,000
いわき市老人クラブ連合会
各メンバーへ配布協力
7,260
湯本地区スーパー設置
マルト 3 店舗、ヨークベニマル 1 店舗への設置
1,500
いわき市雇用促進住宅等
ポスティング
2,000
オピニオンリーダー等
フラ教室の先生等の配布・声掛け協力
1,000
楢葉町住民福祉課
スタッフによる訪問時手配り、イベント時配布
4,000
大熊町役場いわき連絡所
役場カウンター設置
2,000
大熊町社協
借上げ住宅へのスタッフ手配り、イベント時配布
4,000
いわき市仮設住宅
いわき市内仮設住宅への全戸ポスティング
双葉町社協
仮設住宅への配布協力
2,000
楢葉町・大熊町仮設住宅
仮設住宅集会所前での手配り
2,000
10,800
600
合計
57,160
協力:社団法人 いわき市医師会
図 3.2.6-9 健康手帳
465
図 3.2.6-10 参加者募集リーフレット
3.2.6.2.8 プログラム検証
3.2.6.2.8.1 目的
これまで実施した、
「医療・介護機関との連携構築に向けた要件抽出」「連携候補団体・企業
を対象とした要件抽出」「連携(予定)施設利用者の参加要件抽出」「市民を対象とした参加要
件抽出」の各調査結果をふまえて作成した医療周辺・介護周辺プログラムを、モデル事業計画
に沿って試験的にいわき地域に居住する対象者に提供することで、本サービスプログラムの実
行性を検証する。
3.2.6.2.8.2 実施内容・結果
(1) プログラム実施前、実施後の医師による健康チェック
10 月 1 日から 10 月 27 日までの期間募集(募集期間を 3 日延長)を行ったところ、フロアプロ
グラム 57 名、水中プログラム 34 名の合計 91 名の申し込みがあった。
プログラム提供期間前の 11 月 3 日(土)
、4 日(日)には、連携施設であるこいと旅館の宴会
場を利用し、参加者の安全性確保、効果測定を目的とした健康チェックと体力測定チェックを
実施した。健康チェックでは、身長・体重測定、体組成測定、看護師による血圧・脈拍測定、
医師による問診、既往歴・服用薬のチェック体力測定を実施した。体力測定チェックでは、か
らだの前屈(体の柔軟性)
・片足立ち(バランス能力)・椅子からの片足立ち上がり(下肢の筋
力)
・タンデム歩行(動的バランス能力)の測定を実施した。
健康チェック参加者数は、設定日に都合がつかず受診できなかった 12 名、前日確認においい
てプログラム参加自体を直前キャンセルした 6 名、計 18 名の不参加となり健康チェック参加者
は合計 73 名となった。
健康チェックでは、血圧が 200 を超えた 3 名様は、ご本人にかかりつけ医の許諾を参加条件
466
として通達した結果、プログラムへの参加は取消となった。また、当日健診へ予約したにもかか
わらず受診しなかった方、設定した 2 日間の都合がつかなかった計 12 名へは、郵送済みであっ
た健康手帳の内容を電話連絡の中で、かかりつけ医への事前受診を促すとともにプログラム参
加当日の健康チェックで当日参加をお断りする旨を確認した。
最終的に参加者は 82 名(男性 6 名、女性 76 名)となった。
※プログラム実証中に、女性 1 名が途中参加となり、最終参加者は 83 名となった。
図 3.2.6-11 健康チェック実施風景(事前)
(2) プログラム実施
参加者へのプログラム提供は、スパリゾートハワイアンズおよび新舞子ハイツ、こいと旅館、
外注先 E フィットネス業者いわき支店の 4 ヶ所にて、11 月 5 日~12 月 18 日までの約 7 週間で
実施した。プログラムは週 4 日の午前・午後、2 施設を利用して実施し、1 日あたり 2~4 教室、
26 日間で合計 88 回(休講 3 回あり、含まず)実施した。
施設別実施回数は以下通り。
467
表 3.2.6-11 施設別実施回数
施設
合計
フロアプログラム
水中プログラム
スパリゾートハワイアンズ
34 回
13 回
21 回
いわき新舞子ハイツ
12 回
12 回
-
こいと旅館
37 回
37 回
-
外注先 E いわき支店
5回
-
5回
88 回
62 回
26 回
合計
※温浴については外注先 E いわき支店以外で合計 83 回実施
参加者数が予定数に届かなかったため実施回数は、実証前段階で 13 回分が休講となり、実証
中に参加者都合による休講 3 回分の合計 16 回が休講となった。結果、予定していた 104 回から
16 回分を差し引いた 88 回の開催であった。
ただし、1 日当り 1 施設 1~2 回(午前と午後の 2 回、
午前または午後の 1 回)であったため、1 日あたり 2~4 回で 26 日間実施した。
プログラム実施にあたっては、統括する㈱ジェイ・ケイ・インフォメーションの社員 1 名及
び㈱ジェイ・ケイ・インフォメーションが地元で期間採用した派遣スタッフ 2 名、に加え参加者
が少ないプログラムにおいては保健師または看護師も各会場での事前準備等をし、小型バスお
よびタクシーにより対象者を実証施設へ送迎し、開発プログラムを実施。実施計画では巡回バ
スを予定したが、参加申し込みが当初予定を下回ったため、小型バス及びタクシーにて送迎を
行い、いわき市内のプログラム検証に参加する複数の施設(スパリゾートハワイアンズ及び連
携施設 3 箇所)からプログラム参加者の自宅付近を往復した。
すべての回で実施ごとに保健師・看護師等による健康チェックを行なった後、開発プログラ
ムの研修を受けた運動指導者が運動指導を実施した。運動指導実施時は保健師または看護師が
毎回立会い安全管理を行った。さらに、プログラム参加者に期間限定のスポーツ保険に加入(参
加者は無料)させ、万一の事故への担保を図った。
1)
プログラム参加者数
プログラム参加者の全参加者数は最終的に 83 名であった。(実証中1名追加)。
いわき市民の参加者は 72 名で 86.7%であった。うち、
避難されている楢葉町民の参加者は 8 名で 9.6%であった。また、
避難されている大熊町民の参加者は 3 名で 3.6%であった。
※避難されている 2 町の合計は 13.3%であった。
女性の参加者が 77 名で 92.8%であり、男性の参加者が 6 名で 7.2%に過ぎなった。
男性の参加者が少ない要因は、事前ヒアリング調査や 6 名の男性参加者からヒアリングから推
測すると①『ひとり』
『自由』に活動できる「ウォーキング」「ボランテイア・社会貢献活動」
なら参加する。
(事前ヒアリング調査)②定年後も『誰かに指導される』、『組織』で活動する
のが嫌いである。
(6 名の男性参加者への実証中ヒアリング)
468
表 3.2.6-12 地域別・男女別プログラム参加者数
計
女性
いわき市
72 名(86.7%) 6 名(7.2%)
66 名(79.5%)
楢葉町(避難されている方)
8 名(9.6%)
0名
8 名(9.6%)
大熊町(避難されている方)
3 名(3.6%)
0名
3 名(3.6%)
83 名
6 名(7.2%)
77 名(92.8%)
合計
2)
男性
プログラム参加者の平均年齢
全参加者 83 名の平均年齢は 70.1 歳であった。最高年齢はいわき市民で男性は 81 歳、女性は
89 歳であった。この男性も女性もフロアプログラム参加者であった。
いわき市民の全参加者 72 名の平均年齢は 70.9 歳であった。避難されている楢葉町民の全参
加者 8 名の平均年齢は 64.5 歳であった。避難されている大熊町民の全参加者 3 名の平均年齢は
66.3 歳であった。
表 3.2.6-13 地域別プログラム参加者平均年齢
3)
計
男性
女性
いわき市
70.9 歳
72.3 歳
70.8 歳
楢葉町(避難されている方)
64.5 歳
-
64.5 歳
大熊町(避難されている方)
66.3 歳
-
66.3 歳
合計
70.1 歳
72.3 歳
69.9 歳
年代別プログラム参加者数
いわき市民より避難されている楢葉・大熊町民の参加者の平均年齢が 4~6 歳程度若かった。
また、全プログラム参加者を世代別で見ると、全参加者 83 名で 60 歳代は 40 名(48.2%)
、
70 歳代は 35 名(42.2%)
、80 歳代は 8 名(9.6%)であった。
いわき市民の全参加者 72 名で 60 歳代は 32 名(44.4%)
、70 歳代は 32 名(44.4%)
、80 歳代
は8名
(11.1%)
であった。
避難されている楢葉町民の全参加者は 8 名で 60 歳代は 6 名
(75.0%)
、
70 歳代は 2 名(25.0%)であった。避難されている大熊町民の全参加者は 3 名で 60 歳代は 2
名(66.7%)
、70 歳代は 1 名(33.3%)であった。避難されている楢葉・大熊町民の 80 歳代の
参加者はなかった。
表 3.2.6-14 地域別・年代別プログラム参加者数(合計)
計
60~64 歳
65~69 歳
70 歳代
80 歳代
いわき市
72 名
15 名
17 名
32 名
8名
楢葉町
6名
6名
-
2名
-
大熊町
3名
2名
-
1名
-
83 名
23 名
17 名
35 名
8名
合計
469
表 3.2.6-15 地域別・年代別プログラム参加者数(男性)
計
60~64 歳
65~69 歳
70 歳代
80 歳代
6名
1名
1名
3名
1名
楢葉町
-
-
-
-
-
大熊町
-
-
-
-
-
6名
1名
1名
3名
1名
いわき市
合計
表 3.2.6-16 地域別・年代別プログラム参加者数(女性)
計
60~64 歳
65~69 歳
70 歳代
80 歳代
いわき市
66 名
14 名
16 名
29 名
7名
楢葉町
6名
6名
-
2名
-
大熊町
3名
2名
-
1名
-
77 名
22 名
16 名
32 名
7名
合計
4)
プログラム別参加者数
プログラム別の参加者を見ると、全参加者 83 名のうち、フロアプログラム参加者は 53 名で、
水中プログラム参加者は 30 名であった。水中プログラムは募集 30 名に対して 30 名の 100%と
定員を充足したが、フロアプログラムは募集 180 名に対して 30%と大きく定員割れであった。
事前のニーズ調査におけるアンケート及びグループインタビューからは軽度なフロアプログ
ラムには参加する意向がみられたが、観光資源にこだわった『フラダンス』をとりいれ開発した
プログラムが、ちらし配布による募集ではフラダンスを習得する教室にしか理解されなかった
ことと、日常で一番の健康不安の要因である「膝」への負担がプログラム名から解消されなか
ったことが大きいと推測される。しかしながら、募集後半に各地域での会合などでの直接説明会
により参加者が増加したことをみると、フロアプログラム自体より募集形態に課題を残したこ
とになる。
水中プログラムは事前のニーズ調査及びヒアリング調査からも需要が見込まれていた通りの
定員 100%、満員となった。しかしながら、プールをもつ連携施設候補が震災後の会員利用者
増により 2 施設しか利用できず、今後の事業化の中でもサービスを提供できる施設の有無に課
題を残すこととなった。
全参加者 83 名のうち、いわき市民のフロアプログラム参加者名(55.4%)で、
水中プログラムの参加者は 26 名(31.3%)であった。
避難されている楢葉町民のフロアプログラム参加者は 7 名(8.4%)で、水中プログラム参加
者は 1 名(1.2%)であった。
避難されている大熊町民のフロアプログラム参加者は 0 名で、水中プログラム参加者は 3 名
(3.6%)であった。
また、男女別で見ると、
全参加者 83 名のうち、男性参加者はフロアプログラムで 2 名(2.4%)、水中プログラム参加
470
者は 4 名(4.8%)であった。合計 6 名(7.2%)であり、全員がいわき市民であった。
女性参加者はフロアプログラムで 51 名(61.4%)
、水中プログラム参加者は 26 名(31.3%)
であった。
うち、
いわき市民はフロアプログラムで 44 名
(53.0%)水中プログラムは 22 名
(26.5%)
であった。避難されている方は、上記の通り楢葉町民でフロアプログラムに 7 名(8.4%)
、水中
プログラムに 1 名(1.2%)
、大熊町民は水中プログラムのみに 3 名(3.6%)であった。
表 3.2.6-17 プログラム別参加者数
全プログラム
水中プログラム
計
男性
女性
計
男性
女性
計
男性
女性
いわき市
72 名
6名
66 名
46 名
2名
44 名
26 名
4名
22 名
楢葉町
8名
-
8名
7名
-
7名
1名
-
1名
大熊町
3名
-
3名
-
-
-
3名
-
3名
83 名
6名
77 名
53 名
2名
51 名
30 名
4名
26 名
合計
5)
フロアプログラム
プログラム別参加者平均年齢
プログラム別参加者の平均年齢は 70.1 歳であった。参加者は少ないが男性が女性より 2.4 歳
年齢が高かった。
プログラム別ではフロアプログラムが水中プログラムより 1.3 歳年齢が高いものの大差がな
かった。
地域別でみると避難されている楢葉・大熊町よりはいわき市の参加者の年齢が 4~6 歳高かっ
た。
表 3.2.6-18 プログラム別参加者平均年齢(才)
全プログラム
フロアプログラム
水中プログラム
計
男性
女性
計
男性
女性
計
男性
女性
いわき市
70.9
72.3
69.9
71.5
77.5
71.2
69.8
69.8
69.9
楢葉町
64.5
-
64.5
64.7
-
64.7
63.0
-
63.0
大熊町
66.3
-
66.3
-
-
-
66.3
-
66.3
70.1
72.3
69.9
70.6
77.5
70.3
69.3
69.8
69.2
合計
471
6)
連携施設別参加者数
プログラム総参加者数は、88 回で延べ 670 名となった。
表 3.2.6-19 連携施設別参加者総人数
施設
延べ人数
フロアプログラム
水中プログラム
スパリゾートハワイアンズ
352 名
98 名
254 名
いわき新舞子ハイツ
34 名
34 名
-
こいと旅館
221 名
221 名
-
外注先Eいわき支店
63 名
-
63 名
670 名
353 名
317 名
合計
7)
プログラム別平均参加者人数
プログラム別の1回当りの平均参加者数は、フロアプログラムが 5.7 人、水中プログラムが
12.2 人であった。
表 3.2.6-20 プログラム別平均参加者人数
施設
実施回数
総参加者数
1 回当りの参加者数
フロアプログラム
62 回
353 名
5.7 名
水中プログラム
26 回
317 名
12.2 名
88 回
670 名
7.6 名
合計
8)
教室毎のプログラム参加者出席率
フロアプログラムは全 7 コース、水中プログラムは全 2 コースの合計 9 コースの出席率は、
水中プログラムが 81.3%でフロアプログラム(75.3%)を 6.0%上回り、水中プログラムの方が出席
率が高かった。
表 3.2.6-21 教室毎のプログラム参加者出席率
フロアプログラム
申込者数
総定員
総参加者数
参加率
週 2 回午前(月&木 全 13 回)
3名
39 名
32 名
82.1%
週 2 回午後(月&木 全 13 回)
3名
39 名
31 名
79.5%
-
-
-
-
週 2 回午後(火&金 全 13 回)
12 名
156 名
106 名
67.9%
週 1 回午前(火 全 7 回)
8名
56 名
46 名
82.1%
週 1 回午後(火 全 7 回)
17 名
119 名
92 名
77.3%
週 1 回午前(金 全 6 回)
4名
24 名
19 名
79.3%
週 1 回午後(金 全 6 回)
6名
36 名
27 名
75.0%
469 名
353 名
75.3%
週 2 回午前(火&金)※休講)
小計
472
水中プログラム
申込者数
総定員
総参加者数
参加率
週 2 回午前(月&木 全 13 回)
16 名
208 名
157 名
75.5%
週 2 回午後(月&木 全 13 回)
14 名
182 名
160 名
87.9%
-
390 名
317 名
81.3%
申込者数
総定員
総参加者数
参加率
83 名
859 名
670 名
78.8%
小計
プログラム合計
合計
9)
地域別プログラム参加者の出席率、
楢葉町民は 72.9%、大熊町民は 100%であった。
楢葉町 8 名、大熊町 3 名と参加者は少なかったため、この結果だけを見て、出席率を判断す
ることは難しい。
表 3.2.6-22 地域別プログラム出席率
施設
合計
フロアプログラム
水中プログラム
いわき市
77.3%
75.0%
80.2%
楢葉町(避難されている方)
72.9%
77.2%
53.8%
大熊町(避難されている方)
100.0%
-
100.0%
78.0%
75.3%
81.3%
合計
10) 送迎サービスの利用について
送迎サービスは、計画ではマイクロバスまたは大型バスでの送迎を計画していたが、震災後、
復旧・復興工事の作業員送迎やプログラム実証前に発生した高速道路での大型バス(ツアーバ
ス)事故の影響でマイクロバス及び大型バスの特需的な料金高騰となっている。加えて、プロ
グラム参加者の居住地が広範囲になったうえ、1教室あたりでは少人数送迎となったため、効
率の良い運行が不可能となり、少人数で居住地を広範囲に対応できるタクシー送迎に切り替え
た。
全参加者 83 名のうち、送迎車輌利用者は 49 名、その利用率は 59.0%となった。
表 3.2.6-23 送迎サービス利用者数と利用率
全参加者
送迎利用者
送迎利用率
いわき市
72 名
40 名
55.6%
楢葉町
8名
8名
100.0%
大熊町
3名
1名
33.3%
83 名
49 名
59.0%
合計
473
11) 地域別・年代別送迎サービスの利用について
避難されて仮設住宅に居住している 9 名は全員が送迎サービスを利用し、大熊町から参加さ
れ借上げ住宅に居住している 2 名は送迎サービスを利用しなかった(自家用車利用)
。
世代別で送迎サービスを利用した 49 名は、全参加者でみると 70 歳代の 68.6%が一番高いもの
の世代で大きな差はなかった。これは、避難されている方の楢葉町の利用者が 60 歳代前半に固
まったことによる結果と考えられる。
いわき市内居住者の送迎利用者を世代別でみると、70 歳代が 65.6%と一番高く、60 歳代(計)
43.8%が一番低いことから、年齢が高くなるほど送迎サービスの必要性があることがわかった。
事前に行った市民アンケート結果からもこの傾向はうかがえたが、送迎利用率はいずれの年代
でも市民アンケートを上回る結果となった。
また、いわき市は広域ではあるため、市街地にプログラムを実証する施設があっても、中山
間地域に居住されている方は送迎サービスが必要であると想定される
表 3.2.6-24 地域別・年代別送迎サービスの利用結果
合計
60~64 歳
65~69 歳
70 歳代
80 歳代
いわき市
40 名
8名
6名
21 名
5名
楢葉町
8名
6名
-
2名
-
大熊町
1名
-
-
1名
-
合計
49 名
14 名
6名
24 名
5名
全参加者
83 名
23 名
17 名
35 名
8名
利用率
59.0%
60.9%
35.3%
68.6%
62.5%
表 3.2.6-25 いわき市における年代別送迎サービスの利用率と市民アンケート結果の比較
合計
60~64 歳
65~69 歳
70 歳代
80 歳代
いわき市
40 名
8名
6名
21 名
5名
全参加者
72 名
15 名
17 名
35 名
8名
利用率
59.0%
53.3%
35.3%
68.6%
62.5%
60 歳代
70 歳代
80 歳代
21%
46%
58%
市民アンケート
474
図 3.2.6-12 プログラム実施風景
(3) 効果測定
1)
事後の健康チェック
プログラム実施期間終了後の 12 月 22 日(土)23 日(日)には、連携施設であるいわきゆっ
たり館の会議室を利用し、参加者の効果測定を目的とした健康チェックと体力測定チェックを
実証前と同内容で実施した。健康チェックでは、身長・体重測定、体組成測定、看護師による
血圧・脈拍測定、医師による問診を実施した。体力測定チェックでは、からだの前屈(体の柔
軟性)
・片足立ち(バランス能力)
・椅子からの片足立ち上がり(下肢の筋力)
・タンデム歩行(動
的バランス能力)の測定を実施した。
さらに事前・事後で実施した参加者へのアンケート調査により、プログラム受講による意識
及び行動の変化やプログラム満足度評価、今後の利用意向、及び健康づくり事業に対する評価
の把握を行った。
また、プログラム実施施設に対してヒアリング調査を実施し、サービス提供者の観点からの
プログラム満足度や健康づくり事業に対する評価を把握し、事業化に向けた課題、改善点を抽
出した。
全参加者 83 名のうち、事後健康チェックを受診したプログラム参加者は 66 名であった。事
後健診受診率は 79.5%であった。
475
アンケート目標件数と回収件数は以下の通りである。
対象
目標件数
回収件数
200 件
66 件
プログラム受講者
事前、事後の両健康チェックを受診したプログラム参加者は 59 名であり、その受診率は
71.1%であった。この 59 名で効果測定を分析することとした。尚、59 名の居住地域はいわき
市が 50 名、楢葉町が 8 名、大熊町が 3 名であった。
表 3.2.6-26 健康チェック受診率
全参加者
事前&事後受診者
受診率
いわき市
72 名
50 名
69.6%
楢葉町
8名
6名
75.0%
大熊町
3名
3名
100.0%
83 名
59 名
71.1%
合計
図 3.2.6-13 健康チェック実施風景(事後)
476
2)
プログラム利用者アンケート調査(定量調査)
プログラム受講者を対象としたアンケート調査を実施した。
アンケート調査の結果概要は以下の通り
①
健康プログラムの満足度
受付・案内人の対応について、看護師の対応について、インストラクター(指導員)の教え
方について、プログラムのコース内容について、会場について、健康チェックの内容について
のすべての項目で満足した(
「大いに満足」と「まあ満足」)が 9 割を超えている。中でも①受
付・案内人の対応について、インストラクター(指導員)の教え方についてで「大いに満足」
が 8 割を超えている。
また、参加者の 3 割以上が今回のプログラムを 100 点と回答しており、平均点は 93.0 点であ
った。性別、年代別、プログラム別に平均点を見ても、すべて 90 点以上であったが、フロアプ
ログラム参加者(90.8 点)に比べ、水中プログラムに参加者(96.8 点)の満足度が若干高い結
果となった。
②
今後のプログラム参加意向
全体で見ると、参加したい(
「是非参加したい」+「都合が合えば参加したい」)が約 8 割と
なっている。
年齢別、参加回数では大きな差はなかったが、プログラム別で見ると、
「是非参加したい」の
回答がフロアプログラムの 47.5%に対して、水中プログラムでは 88.5%と大きく差が開いてい
る。
また、性別で見ても、
「是非参加したい」の回答が女性では 62.3%に対して男性 80.0%とこち
らも差が開いている。
③
プログラムの利用料金
全体では「500~1,000 円未満」
(54.5%)が約半数を占める。次いで、
「500 円未満」
(31.8%)、
「1,000 円以上」
(12.1%)となっている。男女別で見ると、
「500 未満」がでは男性 60.0%に対
し、女性では 29.5%と大きな開きがある。また、年齢別では 60 代に比べ 70 歳以上の方が安い
料金を希望しており、需要と料金が反比例する結果となった。
④
プログラム参加後の生活の変化
「これまで以上に健康に関心を持つようにった」
(62.1%)が最も多く、ついで「新たな健康
づくり(運動)をやってみたいと思った」
(56.1%)、「体調に気を遣うようになった」
(50.0%)
となっており、半数以上に意識の変化が見られた。
さらに 4 割以上が「プログラムを通じて仲間できた」と回答している。
また、「ぐっすり眠れるようになった」(28.8%)、「膝・腰などの関節の痛みがやわらいだ」
(21.2%)となっており 2 割以上が体調面での変化を実感している。また、参加者の中には杖
を使用しないで生活できるようになった方もいた。
477
(4) プログラム実施事業者(サービス提供施設)ヒアリング調査(定性調査)
プログラム実施事業者に対して4件程度の、直接面談によるヒアリングを実施した 。
ヒアリング目標件数と実施件数は以下の通り。
対象
目標件数
プログラム実施施設
4件
実施件数
3件
3.2.6.2.9 事業化研究
3.2.6.2.9.1 目的
実効性のある事業化推進、及び事業参加候補団体の合意形成をする。
3.2.6.2.9.2 実施内容・結果
開発プログラムの実証結果の精査・分析、協力団体、経営委員会、医療機関連携委員会、ニ
ーズ調査外注先事業者(
(株)ノルド社会環境研究所、
(株)ケイ・エイ・アイ)、フィットネス
事業者(
(株)ルネサンス)から提言を受け、常磐興産㈱とともに㈱ジェイ・ケイ・インフォメ
ーションが事業化計画書を作成した。
3.2.6.2.10 委員会等の設置
3.2.6.2.10.1 目的
当事業においては、経営委員会、医療連携委員会の両委員会および事務局会議を開催し、事
業の検討を行う。経営委員会は事業化のための最高意志決定機関として事業の全体統括を行う、
また、プログラム開発及び医療機関との連携づくり推進を行い、事務局会議では委員会の運営、
課題の整理及び関係者間の調整などを行う。
3.2.6.2.10.2 実施内容・結果
(1) 経営委員会
1)
構成メンバー
構成メンバーは下記の通りである。
謝金なし
謝金あり
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーション
1名
常磐興産(株)
2名
いわき市商工観光部
1名
いわきゆったり館
1名
外注先(調査会社等)
1名
記録係
1名
いわき市医師会
1名
478
2)
委員会の開催
下記日程にて経営委員会を実施した。
実施日
3)
場所
第 1 回経営委員会
平成 24 年 7 月 26 日
ホテルハワイアンズ「モキハナ」
第 2 回経営委員会
平成 24 年 10 月 18 日
ホテルハワイアンズ「プロテイア」
第 3 回経営委員会
平成 25 年 1 月 17 日
ホテルハワイアンズ「ガーデニア」
第 4 回経営委員会
平成 25 年 2 月 21 日
ホテルハワイアンズ「プルメリア」
目標回数と実施回数
目標回数と実施回数は以下の通りである。
目標回数
実施回数
4回
4回
経営委員会
(2) 医療連携委員会
1)
構成メンバー
構成メンバーは下記の通りである。
謝金なし
謝金あり
2)
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーション
1名
常磐興産(株)
2名
いわき市観光物産課
1名
いわき市長寿介護課
1名
いわき市保健所
1名
いわきゆったり館
1名
全日本司厨士協会福島県本部いわき地区
1名
NPO法人地域福祉ネットワークいわき
1名
外注先(プログラム開発事業者等)
1名
記録係
1名
いわき市医師会
1名
いわき市立総合磐城共立病院
1名
委員会の開催
下記日程にて医療連携委員会を実施した。
実施日
場所
第 1 回医療連携委員会
平成 24 年 7 月 26 日
ホテルハワイアンズ「モキハナ」
第 2 回医療連携委員会
平成 24 年 10 月 18 日
ホテルハワイアンズ「プロテイア」
第 3 回医療連携委員会
平成 25 年 1 月 17 日
ホテルハワイアンズ「ガーデニア」
第 4 回医療連携委員会
平成 25 年 2 月 21 日
ホテルハワイアンズ「プルメリア」
479
3)
目標回数と実施回数
目標回数と実施回数は以下の通りである。
経営委員会
目標回数
実施回数
4回
4回
(3) 事務局会議
1)
構成メンバー
構成メンバーは下記の通りである。
謝金なし
(株)ジェイ・ケイ・インフォメーション
3名
常磐興産(株)
1名
いわき市観光物産課
1名
いわき市長寿介護課
1名
いわき市保健所
1名
いわきゆったり館
1名
NPO法人地域福祉ネットワークいわき
1名
480
2)
事務局会議の開催
下記日程にて事務局会議を実施した。
実施日
3)
場所
第 1 回事務局会議
平成 24 年 4 月 6 日
ホテルハワイアンズ「オリビン」
第 2 回事務局会議
平成 24 年 4 月 13 日
㈱ジェイ・ケイ・インフォメーション東京事務所会議室
第 3 回事務局会議
平成 24 年 4 月 18 日
㈱ジェイ・ケイ・インフォメーション東京事務所会議室
第 4 回事務局会議
平成 24 年 4 月 27 日
㈱ジェイ・ケイ・インフォメーション東京事務所会議室
第 5 回事務局会議
平成 24 年 5 月 8 日
ホテルハワイアンズ「ワイキキ」
第 6 回事務局会議
平成 24 年 5 月 24 日
ホテルハワイアンズ「オリビン」
第 7 回事務局会議
平成 24 年 6 月 12 日
ネットワークいわき会議室
第 8 回事務局会議
平成 24 年 6 月 27 日
ネットワークいわき会議室
第 9 回事務局会議
平成 24 年 7 月 12 日
ホテルハワイアンズ「モキハナ」
第 10 回事務局会議
平成 24 年 7 月 26 日
ホテルハワイアンズ「モキハナ」
第 11 回事務局会議
平成 24 年 8 月 2 日
㈱ジェイ・ケイ・インフォメーション東京事務所会議室
第 12 回事務局会議
平成 24 年 8 月 8 日
ネットワークいわき会議室
第 13 回事務局会議
平成 24 年 9 月 3 日
ネットワークいわき会議室
第 14 回事務局会議
平成 24 年 10 月 9 日
いわき市商工観光部会議室
第 15 回事務局会議
平成 24 年 10 月 18 日
ホテルハワイアンズ「プロテイア」
第 16 回事務局会議
平成 24 年 11 月 22 日
㈱ジェイ・ケイ・インフォメーション東京事務所会議室
第 17 回事務局会議
平成 24 年 12 月 13 日
㈱ジェイ・ケイ・インフォメーション東京事務所会議室
第 18 回事務局会議
平成 24 年 12 月 26 日
㈱ジェイ・ケイ・インフォメーション東京事務所会議室
第 19 回事務局会議
平成 25 年 1 月 17 日
ホテルハワイアンズ「ガーデニア」
第 20 回事務局会議
平成 25 年 2 月 21 日
ホテルハワイアンズ「プルメリア」
目標回数と実施回数
目標回数と実施回数は以下の通り。
事務局会議
481
目標回数
実施回数
27 回
20 回
3.2.6.3 結果分析
3.2.6.3.1 今年度事業の成果とその成功要因
今年度事業においては、いわき市において初の医療連携による民間の健康運動プログラムを
実施することができた。
いわき市は震災 2 年目の今年度にあっては、市内の医療資源が全く不足していることから、
市外の医師・看護師等による健康チェック・体力テストの実施となった。しかしながら、いわ
き市医師会の協力を取り付けるとともに、医師会会員医師のアドバイスを受けながら、市外の
医師・看護師等との連携のもとに健康運動プログラムを実施することができた。
さらに、いわき市医師会と本事業で採用した市外の医師・看護師との交流も行われ、次年度
以降の医療との連携によるサービス提供、さらには市外の医療従事者の誘致に一定の希望を与
えた。
また、実証事業への参加者は 83 名であったものの、いわき市において医療連携のもとに医療・
介護周辺サービス事業を実施した意義は大きい。
その意義は大きく 2 つある。
1 つ目は、医療連携により安全かつ効果的なプログラムが実施できたことである。実施前の健
康チェック・体力テストにおいて、異常値を示した参加希望者への医療資格者による治療推奨
なども行われ、図らずも二次予防の実施にもつながった。また、毎回行われるプログラム実施
前の看護師による健康チェック(血圧、脈拍、体調確認)等により、継続的に参加者の健康管
理を行い、さらには運動指導者とこれらの情報を共有化することにより、より効果的なプログ
ラムを実施することができた。
2 つ目は、民間事業者が実施する健康づくり事業は、「楽しく健康づくりを行う」ということ
がある程度理解されたことである。今回の実施場所はフィットネス事業者(外注先 E)いわき
支店を除き温泉併設施設であり、かつ「楽しさ」を期待させる民間施設であった。このため、
参加者も予防のために「辛い運動」をするのではなく、楽しみを享受するという意識があった。
このように「医療との連携による安全かつ効果的なサービス実施」、「楽しいプログラムの提
供」を初めて体感することにより、良い意味での意外性(本格的、本物、楽しい)を感じても
らうことができ、健康チェック指標の改善だけでなく「健康づくりに対する意識の変化・行動
の変化」を促すことができたため、結果として参加者が本事業の良き理解者になると同時に、
今後は地域世論に良い影響を与える(参加者の拡大)可能性が出てきた。
上記のような成果が生まれた要因は以下のとおりである。
●市内医師会や医療機関の協力が得られたこと。
●市外の医療関連団体の協力が得られたこと。
●市役所をはじめ多くの関係機関が協力してくれたこと。
●複数の施設(主に観光施設)の協力が得られたこと。
●60 歳以上の高齢者にフィットネスクラブや温泉施設等でのプログラム実施に高い期待感
があったこと
などがあげられる。
482
3.2.6.3.1.1 健康プログラムの成果
本事業においてニーズ調査に基づいたプログラム開発、実証実験を実施してきた。
実証結果の分析は、プログラム実証前後の健康チェック結果、外注先 B によるアンケート調
査(定量)及び実証中に㈱ジェイ・ケイ・インフォメーションと常磐興産㈱の担当者が実施し
た参加者ヒアリング調査(定性)とする。
健康チェック結果とアンケート調査結果は、実証前(参加者 73 名)
・実証後(66 名)のいず
れも受診した 59 名(全参加者 83 名の 71.1%)を対象とした。
いわき市民の受診者は 50 名、楢葉町民は 6 名、大熊町民は 3 名であった。
表 3.2.6-27 地域別・年代別数
合計
60 歳代
70 歳代
80 歳代
計
男性
女性
計
男性
女性
計
男性
女性
計
男性
女性
いわき市
50 名
5名
45 名
23 名
1名
22 名
19 名
3名
16 名
8名
1名
7名
楢葉町
6名
0名
6名
4名
0名
4名
2名
0名
2名
0名
0名
0名
大熊町
3名
0名
3名
2名
0名
2名
1名
0名
1名
0名
0名
0名
合計
59 名
5名
54 名
29 名
1名
28 名
22 名
3名
19 名
8名
1名
7名
(1) 健康チェック指数の変化
健康チェック(BMI、体脂肪率、内臓脂肪、筋肉量、血圧、脈拍数)においては
血圧(最低)が 67.8%、血圧(最高)が 66.1%、脈拍数が 64.4%、内臓脂肪率が 61.0%、BMI
が 55.9%の方が改善した(ここまでが 50.0%以上)
。
筋肉量 32.2%、体脂肪率 28.8%と改善率が低かった。
しかしながら、短期間であったが全項目で改善がみられた。
0.0%
10.0%
20.0%
血圧(最高)
血圧(最低)
脈拍数
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
28.8%
61.0%
内臓脂肪
筋肉量
40.0%
55.9%
BMI
体脂肪率
30.0%
32.2%
66.1%
67.8%
64.4%
図 3.2.6-14 健康プログラム実施後における健康チェック指標の推移
483
90.0%
100.0%
1)
年代別健康チェック指数の変化
改善率を年代別でみると、一部の指標を除き、概ね年代が低い(若い)参加者ほど改善率が
高い傾向であった。
逆に、血圧(最高)
、血圧(最低)、脈拍数の 3 つの指標は、年代が高い参加者ほど改善率が
高い傾向であった。
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
56.7%
57.1%
50.0%
BMI
36.7%
23.8%
体脂肪率
12.5%
60.0%
内臓脂肪
71.4%
37.5%
36.7%
28.6%
25.0%
筋肉量
63.3%
66.7%
75.0%
70.0%
61.9%
75.0%
56.7%
71.4%
75.0%
血圧(最高)
血圧(最低)
脈拍数
60歳台
70歳台
80歳以上
図 3.2.6-15 年代別健康チェック指標の推移
2)
プログラム別健康チェック指数の変化
改善率を実施プログラム別でみると、ほぼ全ての健康チェック指標で、フロアエクササイズ
が水中エクササイズを上回る傾向であった。
0.0%
10.0%
20.0%
血圧(最高)
血圧(最低)
脈拍数
50.0%
60.0%
70.0%
25.0%
31.4%
62.5%
60.0%
内臓脂肪
筋肉量
40.0%
54.2%
57.1%
BMI
体脂肪率
30.0%
29.2%
34.3%
45.8%
80.0%
66.7%
68.6%
62.5%
65.7%
水中
フロア
図 3.2.6-16 プログラム別健康チェック指標の推移
484
80.0%
90.0%
100.0%
(2) 体力年齢チェック指数の変化
次に体力年齢チェック(からだの前屈(柔軟性)
、片足立ち(バランス能力)
、イスからの片
足立ち(下肢の筋力)
、タンデム歩行(動的バランス能力))においては、全指標で改善がみられ
た。さらにタンデム歩行の指標をみると、86.4%に改善が見られた。平均歩数をみても、事前
の健康チェックでは 13.1 歩だったものが、事後では 13.7 歩となり、バランス機能の向上がみら
れた。
からだの前屈
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
52.5%
健康プログラム実施前
70%
90%
30.5%
57.6%
健康プログラム実施後
80%
100%
16.9%
3.4%
39.0%
片足立ち
0%
10%
20%
30%
30.5%
健康プログラム実施前
40%
50%
18.6%
60%
25.4%
80%
90%
10.2%
13.6%
59.3%
健康プログラム実施後
70%
100%
15.3%
10.2% 5.1%
11.9%
イスからの片足立上がり
0%
健康プログラム実施前
10%
18.6%
30%
13.6%
40%
30歳台
40歳台
50%
60%
70%
23.7%
61.0%
健康プログラム実施後
20歳台
20%
90%
40.7%
13.6%
50歳台
80%
13.6%
3.4%
11.9%
60歳以上
図 3.2.6-17 健康プログラム実施前後における体力年齢チェック指標の推移
485
100%
平均タンデム歩行
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
13.1
健康プログラム実施前
健康プログラム実施後
13.7
タンデム歩行指数推移
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
86.4%
タンデム歩行
図 3.2.6-18 健康プログラム実施前後における体力年齢チェックタンデム歩行指標の
推移指数と平均歩数
(3) 生活状況・意識の変化
実証中に参加者より㈱ジェイ・ケイ・インフォメーションと常磐興産㈱野担当者が「意識・
行動の変化」についてヒアリングをした。
事務局で想定していなかったことは、医療機関への新規受診及び再受診、見守りの役割を果
たしたことである。
最も評価できる効果は、
「交流の場」としてサービスを提供しながら「体力改善」
「積極的に
行動する」意識改善が見えたことである。上記の内容は実証終了後の定量アンケートからも同
様な結果がでている。
ヒアリング結果およびプログラム実施後のアンケート結果は以下の通りであった。
1)
意識の変化
・
積極的に行動するようになった。(家事が、また楽しくなった)
・
食事、特に塩分とコレステロールに気をつけるようになった。
アンケート結果では 80.3%に意識の変化が見られた。
2)
行動の変化
・
事前健診で血圧が高かったので、新たに医師の診察を受けた。
・
事前健診で血圧が高かったので、服用薬をかかりつけ医師の診察を受けて改善した。
・
医師から勧められていた運動(水中)に参加できた(知った)。
アンケート結果では 71.2%に行動の変化が見られた。
486
3)
交流の創出
・
避難されている方からいわき市内の病院を紹介された。
・
プログラムを通じて新しいコミュニティができた。
・
同じ健康不安をもつ新しい友達と情報共有ができた
アンケート結果では 42.4%に交流の創出が見られた。
4)
具体的な効果
・
杖をつかないで日常生活がおくれるようになった。
・
プールから一人であがれる体力がついた。
・
夜、ぐっすり眠れるようになった。
アンケート結果では 45.5%に具体的な効果があった。
5)
その他
・
毎週 2~3 回事務局から連絡がくるので、見守りの役割を果たしている。
(%)
90
<N=66>
80.3
80
71.2
70
60
50
45.5
42.4
40
30
20
10
0
①意識の変化 ②行動の変化 ③交流の創出 ④具体的な効果 図 3.2.6-19 アンケート結果(複数回答)
487
(%)
70
<N=66>
62.1
56.1
60
50.0
50
45.5
42.4
36.4
40
28.8
30
27.3
21.2
20
19.7
19.7
18.2
15.2
15.2
15.2
15.2
10
12.1
4.5
ぐ
新始
ため
なた
健
康
づ
く
り
を
徒
歩
に
よ
る
外
出
が
増
え
た
健
康
器
具
を
購
入
し
た
病
院
な
ど
に
行
く
回
数
が
減
た
0.0
杖送
をれ
使る
用よ
し う
なに
いな
で
日た
常
生
活
が
飲
む
ク
ス
リ
の
量
が
減
お
酒
や
タ
バ
コ
の
量
が
減
た
3.0
そ
の
他
無
回
答
っ
運
動
健む
康よ
にう
関に
すな
る
書た
籍
・
雑
誌
を
読
1.5
っ
今と
まが
でで
自き
力る
でよ
でう
きに
なな
か
た
た
こ
っ
家
事た
を
積
極
的
に
行
う
よ
う
に
な
1.5
っ
外
出
す
る
回
数
が
増
え
た
っ
血
圧
を
測
る
回
数
が
増
え
た
)
た
膝わ
・ ら
腰い
なだ
ど
の
関
節
の
痛
み
が
や
(
す
り
眠
れ
る
よ
う
に
な
体
重
計
に
乗
る
回
数
が
増
え
た
っ
)
家関
族す
やる
友話
人題
とが
の増
会え
話た
で
健
康
に
っ
っ
(
プき
ロた
グ
ラ
ム
を
通
じ
て
仲
間
が
で
っ
た
食う
事に
のな
量
・ た
栄
養
に
気
を
使
う
よ
っ
を
っ
運た
動
体
調
に
気
を
使
う
よ
う
に
な
っ
新や
た
なて
健み
康た
づい
く と
り思
っ
っ
こ持
れつ
まよ
でう
以に
上な
に
健た
康
に
関
心
を
っ
0
4.5
た
図 3.2.6-20 アンケート結果詳細(複数回答)
3.2.6.3.2
今年度明らかとなった課題とその原因と解決策
3.2.6.3.2.1 顧客ターゲットやニーズに関する点
いわき市の高齢者は大都市部の高齢者と異なり、エンターテイメント性のある健康運動プロ
グラム、本物(レベルの高い指導法)の健康運動プログラムへの接触度が低いため、本コンソ
ーシアムで提供するサービスがイメージできなかった。
しかし、参加者からは高い評価が聞かれ、市内高齢者への新たな「楽しみ」の創出に貢献す
る可能性が出てきた。今後は、エンターテイメント性のあるプログラム提供を軸に、一次予防
~三次予防領域の利用者を集客していきたい。
(1) 疾病予防対象者に関する課題
事前に行った市民アンケート結果によると、いわき市内に在住する 60 歳以上の高齢者のうち
67%が疾病保有者となっており、二次予防・三次予防に関する健康運動プログラムが求められ
ている。二次予防・三次予防における健康運動プログラムの提供は、原則かかりつけ医あるい
は主治医の指示のもとに行うことが求められる。
本年度の実証事業においては、実施前の健康チェックでは全般的に高血圧の方が多く、中に
は運動を止めざるを得ない参加希望者もいた。この場合は、健康チェック担当医の指導でかか
りつけ医での治療で血圧を下げ、その上で医師の指示のもとに運動をするようお願いした。
本年度事業ではいわき市医師会の協力のもとに健康手帳を作成し、かかりつけ医に禁忌事項
等に関する情報をいただくことになっていた(実質的な運動指示書に当たる)。しかし、募集時
期と実施時期の期間が短かったことに加え、医師不足のためにこうした業務に医師が携わるこ
とが現実的には不可能だったこともあり、かかりつけ医の記入はまれであった。とは言え、運
動の効果と安全性を担保するため、首都圏から招いた医師・看護師による事前健康チェックを
行い(実質的な運動アセスメント→運動指示)、運動指示書に変わる手法をとった。また、健康
488
運動プログラム実施日は実施前に看護師によるバイタルチェック等を行い、問題がある場合は
その都度指導者(健康運動指導士)と一緒に対応した。
しかし、次年度以降もプログラムの度に医療関係者を首都圏から招いていてはコストがかさ
むため、本事業を商業ベースで継続的に実施するためには、地域のかかりつけ医の指示のもと
にサービスを提供するシステムを完成させなければならない。
本年度の事業については、医療連携によるサービス提供を医師会も評価したことから、次年
度以降は医師会との連携のもとに会員医師への医療情報の提供(医師から患者へ情報が提供さ
れ、それを患者が運動指導者に提供)促進活動を行うことを進めたい。
(2) 介護予防(主に一次予防)の課題
いわき市は、茨城県で介護予防推進事業として実施されているシルバーリハビリ体操事業を
取り入れている。これは、地域の元気な高齢者をシルバーリハビリ体操指導士として養成し、
各地域の公共施設等で一般の高齢者(一次予防対象者)にシルバーリハビリ体操を実施する事
業である。元気な高齢者が他の高齢者に運動指導をし、元気な高齢者を増やし、介護を予防す
るという事業である。
この事業で実施するシルバーリハビリ体操には多くの方が参加し、気軽に誰でもできること
から好評であるとのことだ。
ただし、シルバーリハビリ体操だけでは満足しない高齢者も多く、無料でできるシルバー体
操を入り口と位置づけ、楽しく継続できるエンターテイメント性のあるプログラム(有料サー
ビス)に誘導する仕組みをいわき市の高齢者担当部門と一緒に作りあげることができれば、疾
病予防・介護予防の成果を飛躍的に高めることができると想定される。
今後は、今年度の実証事業を市の担当部門と一緒に検証しつつ、新たな集客戦略を開発した
い。
また、高齢者は、お孫さんはもちろん、子供夫婦などと一緒に遊ぶことなど交流といった要
素に大きな幸せ感を感じている。そこで、介護予防対象者のみでなく、家族と一緒に参加でき
るプログラムの開発も必要となると想定される。
(3) 男性参加者の集客における課題
今回の実証プログラムに参加者した 83 名のうち男性の参加者はわずか 6 名であった。いわき
市等で実施している介護予防プログラムや健康づくりプログラムなどでも同様の課題があがっ
ており、より多くの男性参加者を集めるためには男性が参加したくなるような魅力づくり、き
っかけづくりを検討していく必要がある。
市民アンケートでは女性の半数以上が普段の生活の中で「お友達や近所との交流」を楽しみ
や生きがいとして感じているのに対して、男性では 2 割程度にとどまっており、特定少人数で
の交流は男性の参加を促す要素にはなっていない。女性に比べて男性の回答が多かったのは、
「地域活動・ボランティア」
、
「ウォーキング・散策」、「園芸・土いじり」などであり、一人で
もできるもの、または不特定多数で行うものに比較的魅力を感じているようである。
ヒアリングからも同様に、男性では社会貢献活動や土いじりなどが生きがいとしてあげられ
489
ていることに加えて、
「子供だましの」プログラムではなく、第一線のスキル、知識をもった人
材による「本物」のプログラムが求められているようである。
また、企業に勤めていた男性からは、リタイア後まで時間に縛られたくない、指示を受けた
くないといった様子も伺えるため、好きな時間に好きなことができるという要素も男性参加者
を集めるうえで重要な要素となってくる。
加えて、高齢者の嗜好は多様化しており、様々な分野(ゴルフや卓球など他のスポーツ、カ
ラオケなどのエンターテイメント性の高いプログラム、農業・木工などの地域ならではのプロ
グラム・・・)でのプログラム提供が求められている。
今後は、男性が抵抗なく参加できるような社会貢献活動や地域活動、健康を維持することが
日常的に行っている趣味の継続、維持につながる意義を啓発できるようなプログラムを検討し
ていく。
3.2.6.3.2.2 コストや収益性に関する点
(1) 送迎サービスに関する課題
送迎サービスは、プログラム提供に関する支出のうち、大きなウェートを占めており、当初
の計画ではマイクロバスまたは大型バスでの送迎を計画していたが、震災後、復旧・復興工事
の作業員送迎やプログラム実証前に発生した高速道路での大型バス(ツアーバス)事故の影響
でマイクロバス及び大型バスの特需的な料金高騰に加えて、プログラム参加者の居住地が広範
囲になったうえ、1 教室あたりでは少人数送迎となったため効率のよい運行が不可能となり、少
人数で居住地を広範囲に対応できるタクシー送迎に切り替えて実施した。
全参加者 83 名のうち、送迎車輌利用者は 49 名と 59.0%が利用しており、全 88 回のプログ
ラム実証の中、往復でのべ 844 名の利用者があり、1 人当りのコストは 1,961 円となっている。
しかし、プログラム参加者を対象としたアンケートの結果を見ると、送迎に支払える金額は 500
円以下と回答した参加者が 8 割以上、平均金額でも 458 円と大きく差が開いている。
東北地方第三位の面積をもち、前述したようにプログラム参加者の居住地が広範囲になるい
わき市において、多くの利用者を集めるためには、送迎サービスは不可欠な要素となっている。
今後も継続して送迎サービスを提供するためには、運行ルートにスーパーや病院などを加える
ことで運行ルート上の各施設から協力金を得る仕組みやコストを下げる工夫を行っていかなけ
ればならない。
コストを下げるための方法としては、旅客自動車運送事業者(緑ナンバー)を使用せずに、
連携施設が所有するバスを活用する方法が考えられる。一部の旅館などでは、送迎用バスを所
有しているものの、学生のスポーツ大会等の限られた機会でしか使用しておらず、有効活用で
きる方策を探っていることがヒアリング調査からもわかっており、本事業との連携が期待でき
る。またスイミングスクール・フィットネスクラブなども子どもの送迎用バスを所有している
ものの、子どもが学校に通っている平日の日中は使用していないことが予想されるため、こち
らも本事業との連携が期待できる。
今後は、流通事業者、医療機関、連携候補施設に協力を求め、効率的な運用方法や運行中の
事故やトラブルが起こった際の責任なども含めて検討を行っていく。
490
さらに、市町村や特定非営利活動法人、社会福祉法人などでは道路運送法第 79 条による国土
交通大臣(運輸支局に委任)の登録を受けて、自家用自動車で有償運送する「自家用有償旅客
運送」が認められているため、この「自家用有償旅客運送」を医療・介護周辺サービス事業者
にも適用拡大するような働きかけが求められる。
(2) 医療関係者の人件費に関する課題
コストに関して送迎サービスの次に課題となるのが医療関係者の人件費である。プログラム
実施に際しては参加者の安全性を考慮し、事前の健康チェックに加えてプログラム毎に看護師
による血圧測定、プログラムへの立会いを実施してきた。
本年度はいわき市内の医療関係者不足により、首都圏をはじめとした市外からの派遣に頼っ
たこと、想定よりも 1 教室あたりの参加人数が少なかったこともあり、参加者 1 人 1 回あたり
の看護師コストは約 1,500 円となってしまった。
プログラム参加者を対象としたアンケート結果では、プログラム料金は 1 回あたり 1,000 円
未満とする回答が 8 割以上を占めており、インストラクターの人件費や会場費等も加味すると
収益性の確保は非常に難しいといわざるを得ない。
今後は、いわき市内においてパートタイムで勤務できる潜在看護師の掘り起こしや参加人数
に合わせた看護師数の調整を検討する。
3.2.6.3.2.3 事業性確保等に関する点
(1) 集客に関する課題
事業性確保に向けては、まず集客という課題があげられる。本年度は当初予定した定員 210
名に対して 83 名の参加であった。参加者が少なかった理由としては、告知不足が考えられる。
本年度は事業全体の遅れもあり、告知期間が 1 ヶ月弱と短く、告知方法もチラシ配布と一部の
会合への説明にとどまり、プログラムの魅力を十分に伝えることができなかった。
とくにフロアプログラムではフラダンスを取り入れたことで、フラダンス教室と勘違いした
方もいたため、内容がわかりづらかったのではないかと考えられる。
一方で、フロアプログラム、水中プログラムともに参加した方の 9 割以上が満足しているこ
とからプログラム自体の魅力は実証された。
今後は十分な準備期間を設け、市報や県報への掲載依頼、リリースの配信、高齢者が集まる
サークルでの直接説明など認知・理解促進活動を強化するとともに、高齢者にも伝わりやすい
内容を心掛ける。
さらに、上記 3.2.6.3 に挙げたように高齢者の多様化な趣味・嗜好に対応するようなエンター
テイメント性のある健康プログラム開発を行い、底辺を拡大していくとともに、いわき市だけ
でなく首都圏などからの集客を狙った 1 泊 2 日のプログラム開発なども検討し地域の拡大を図
っていく。
491
(2) 指導者の確保
本年度は、いわき市内に対応できる指導者がいなかったため、首都圏をはじめとした市外か
らインストラクターを集め研修を行ったが、事業としてサービスを提供していくためには安定
的に人材を確保する必要がある。
また、医療・介護周辺サービスとしてリスクの高い高齢者にサービスを提供する場合、十分
な知識をもった健康運動指導士が指導にあたるのが望ましく、いわき市および近隣の地域に在
住する健康運動指導士(またはそれと同等の知識を有する指導者)の確保・育成が必要である。
リスクの比較的低い高齢者に対しては、いわき市で育成しているシルバーリハビリ体操のイン
ストラクターなど地域ボランティアを有効に活用したプログラム提供を検討する。
今後はいわき市をはじめ、市内や近隣地域のフィットネスクラブ、指導者団体等と連携し、
指導者の確保、育成に関する検討を進めていきたい。
(3) 水中プログラム実施施設の確保
いわき市の介護予防・健康づくり教室では水中プログラムが実施されておらず、水中プログ
ラムを提供している事業者も少ない。加えて室内かつ温水プールを有する施設自体も少ないた
め、水中プログラムのニーズはあるものの、それに対応できていないのが現状である。
一方で、室内温水プールをもつ施設の中には利用者の少ない時間帯や休館日などで全く利用
者がいない日もあるため、今後は本年度のプログラム実証で得た成果をもって室内温水プール
をもつ施設の協力を仰ぎ、事業性を確保しつつ有効に活用する方法を検討するとともに、夏季
の屋外プールの活用も検討していく。
3.2.6.3.2.4 体制面に関する点
本年度の事業は運動プログラムに限定したが、3.2.6.3.2.3 の課題を解決するためには、様々
な団体、事業者との連携が必要になると考えられる。
例えばエンターテイメント性という点ではゴルフ場や農業団体などと連携したゴルフが上手
くなる筋力づくり(結果的に介護予防につながる)プログラムや健康要素の付加された農業体
験プログラムなどが想定される。その他にも観光事業者や流通・小売事業者など幅広い分野で
連携を進めていかなければならない。
また、サービスを提供する人材育成という点でも、シルバーリハビリ体操インストラクター
を兼ねた農業指導者の育成や健康づくりに関する知識をもった街歩きガイドの育成など、健康
づくりだけではなくエンターテイメント性のプログラム提供ができる人材を育成するために、
団体や事業者に加えていわき市の健康づくり担当、高齢者担当、観光振興担当部門などと検討
を進めていく必要がある。
492
3.2.6.4 次年度以降の実施計画
3.2.6.4.1 次年度以降の事業概要
3.2.6.4.1.1 ターゲットおよびプログラム開発構成メンバー
次年度以降は、本年度の成果を活かし、より多くの集客を図るために下記の 3 点について重
点的に検討しプログラムを構築していく。
(1) 疾病予防に関するエビデンスの収集、医療機関及び関連団体との連携強化
疾病予防を目的とした場合、特に 2 次予防、3 次予防領域の患者(利用者)に対してプログラ
ムを提供するためには、安全性を考えると既往症や服用薬、禁忌事項等を把握し、医師の許可
の元運動を行う必要がある。本年度は、一部の利用者ではあるが、かかりつけ医からの情報を
利用者自ら健康手帳に記入することで医療との連携を図り、安全かつ効果的なプログラムを実
施することができた。
次年度以降は、いわき市医師会の会員をはじめとした地域の診療所などの医療機関と連携し
ながら、医療機関側からも積極的に運動を進めるように促す仕組みの構築を目指すとともに利
用者のデータや運動結果を医療機関と事業者で共有し、利用者の健康マネジメントができる仕
組みづくりを行っていく。さらに、大学や医療機関と連携を図り疾病予防における本プログラ
ムの効果についてもデータ収集、検証を行っていく。
(2) 行政の介護予防プログラムとの連携
行政で提供している無料の介護予防プログラムでは、介護予防そのものに重点が置かれてい
るため、
「楽しさ」
、
「継続に向けたモチベーションアップ」といった点で物足りなさを感じてい
る利用者も多く存在する。また、比較的意識の高い方が集まるため、参加者は毎年同じ顔ぶれ
という問題や、スキルアップや継続を望んでも受け皿がないという問題がある。
次年度以降は、行政の介護予防プログラムと連携し、民間事業者ならではの「楽しさ」や「付
加価値」
、スキルアップを望む利用者の受け皿として本事業を位置づけ、最終的には事業者の提
供する本格的な有料プログラムへとつなげるための橋渡し的な役割を担うことで「無料の行政
サービス」→「本事業のお試し健康プログラム」→「事業者の提供する有料のプログラム」と
いう流れを構築する。
(3) 多様なプログラムの開発を検討
本年度の調査結果からもわかるとおり、
「健康」という切り口だけでは一部の健康意識の高い
高齢者しか集客することができない。また、高齢者の趣味・嗜好は多様化しているため、単一
のプログラムではなかなか集客に結びつかないと考えられる。
特に男性高齢者は、社会貢献活動やゴルフ(パークゴルフなどを含む)等への趣味への参加
意欲が高いことから、健康づくり要素のある社会貢献活動プログラム、趣味をフックに参加を
促す必要がある。
次年度以降は、利用者の趣味・嗜好、ライフスタイルに合わせてプログラムを選択できる体
制を整え、農業・木工などの一次産業分野、レジャー施設(カラオケ、ボーリング等)
、ゴルフ
493
場、商店街、飲食店などと連携し、本年度構築した健康運動プログラムをベースにエンターテ
イメント性を付加した多用なプログラムを提供していく。
さらに、高齢者を中心としたプログラムではあるものの、子世代や孫世代と一緒にファミリ
ーで楽しめるプログラムを開発していくことで、首都圏など他地域からの集客も目指していく。
3.2.6.4.1.2
コスト削減に向けた取組み
送迎サービスはプログラム参加を促すために不可欠な要素となっているものの、本年度は参
加者が想定を下回ったうえに広範囲に及んだこともあり、利用者一人当たりのコストが嵩んで
しまった。次年度以降は送迎サービスの一部有料化を検討していくとともに、送迎車両をもつ
事業者等と連携を深め、有効に活用していく方法を検討する。加えて「自家用有償旅客運送」
の適用拡大についても働きかけを行っていきたい。
また、本年度は震災の影響による医療スタッフ不足のため、市外からの派遣に頼ったことで
人件費に旅費が加算されたため、看護スタッフのコストが増大してしまった。次年度以降は、
短時間勤務が可能な潜在看護師の掘り起こしや看護スタッフの立会いが不要なプログラムづく
りも検討していく。
3.2.6.4.1.3
事業性確保に向けた取組み
本年度は、告知期間が短かったこともあり、効果的な告知活動を行うことができなかった。
次年度以降は、行政やいわき市医師会、地元医療機関と連携した情報発信方法を検討する。ま
た、プログラム参加への動機付けにつながるようなイベントの実施や地元スーパー、ドラッグ
ストアなどの場所を借りた健康チェックコーナーの設置などを検討し、本事業の認知・理解促
進に努める。
また、いわき市内では医療・介護周辺サービスを提供できる人材に乏しく事業を継続してい
くためには指導者の確保が急務となっている。次年度以降は恒常的な人材供給を行なうために、
地域指導者の掘り起こしや地域のフィットネス事業者、総合型地域スポーツクラブなどと連携
し指導者の確保に努める。さらに、指導者の育成、資格取得支援などを行いながら、U ターン
指導者、フラダンサーOB なども含めて地域の指導者をまとめる人材育成・提供機関の立上げを
目指す。この人材提供・育成機関では、運動指導者のみならず、看護スタッフ、エンターテイ
メント分野のスタッフなどの組織化も将来的に行っていく。
加えて、本年度は水中プログラムの人気が高かったものの、2 施設での提供にとどまり参加で
きる人数も限られていた。次年度以降は、既存連携施設でのプログラム増に加え、室内温水プ
ールをもつ施設との連携を進めていく。さらに、詳細な地域資源調査を行い新たなプログラム
実施施設、実施場所の掘り起こしを行う。
3.2.6.4.1.4
実施体制
次年度以降は、より多くの参加者にサービスを提供するために、本年度構築した健康運動プ
ログラムをより親しみやすく、参加しやすいものにすることが求められている。そのためには、
いわき市の各担当部門や医療機関・介護機関との連携をすすめるだけでなく、
494
これまで述べてきたようにエンターテイメント性の付加、実施施設の確保、人材の確保が必
要である。
エンターテイメント性の付加という点では、一次産業関連事業者、観光・レジャー業、飲食
業、流通業などと連携を強化していく必要がある。また、実施施設の確保では、宿泊施設やス
ポーツ施設、道の駅などの観光施設との連携を進めていく。さらに、人材の確保をするために
フィットネス事業者、職能団体、関連機関との連携を構築していく。
3.2.6.4.1.5
次年度以降のゴールイメージ
いわき市は、もともと高齢化率が高いにもかかわらず、震災および大手電力会社の事故の影
響による被災者が避難しており、高齢者の割合は増大していると考えられる。いわき市におい
ては、こうした避難者の引きこもり対策や介護対策の必要性も大きな問題となりつつある。
そこで、本コンソーシアムでは高齢者の健康づくりプログラムを柱として買い物支援、通院
支援などの事業の実施により、健康づくり・介護予防事業の集客につなげるとともに、見守り
などの生活支援事業に加え、要介護者・要支援者への在宅ケアサービスを実施し、高齢者の包
括的な支援体制づくりを進めることにより、いわき市の様々な資源(観光施設、体育施設、産
業、街・・・+人的資源)を活用した包括的高齢者サービスシステムを構築し、新たな地域産
業の創出に取り組んでいく。
なお、これらの事業を効率的に実施するためには、いわき市役所の各担当部門のみならず、
市内の流通事業者、商店街、医療機関などとの連携を模索していかなければならない。さらに、
本システムを動かすためには医療・介護従事者、運動指導者+α の人的資源が必要である。とこ
ろが、こうした人的資源を個々の施設あるいは事業体が保有することは難しいため、健康づく
り・介護予防分野に必要な人材(健康運動指導士など)に加え、保健師、看護師、ヘルパーな
どを雇用する人材会社を設立し、必要に応じて派遣できるシステムの構築を目指していく。
495
・宿泊施設、観光事業者、ス
ポーツ・レジャー施設
・一次産業事業者、関連団体
多様な趣味・嗜好に合わせたエンターテイメント性
・シルバーリハビリ体操指導士
・バルネオセラピスト
・フラダンサーOB 等
連携・協力
参加・利用
+
参 加
首都圏(参加者)
『人材提供事業者の立上げ検討』
・地域の人材掘り起こし
・保健師・看護師派遣
・運動指導者の派遣・育成
平成23年度事業で作り上げた
健康運動プログラム
送迎サービス
事業化検討
参 加
送迎サービス
『生活支援』
見守り、健康相談など
子世代・孫世代
いわき市民(参加者)
プログラム参加促進
『買い物』支援
連携・協力
『医療・介護』支援
・地元スーパー等
流通事業者
送迎サービス
図 3.2.6-21 次年度以降のゴールイメージ
496
・いわき市医師会
・医療機関
・介護事業者 など
3.2.6.4.2 事業収支見込
次年度以降は、本年度構築した健康運動プログラムに高齢者の趣味・嗜好に合わせたエンタ
ーテイメント性を付加し、新たな医療・介護周辺サービスを開発するとともに、いわき地域に
在住する運動指導者や医療関係者などを組織化し、在宅生活支援サービスの開発を並行して進
めていく。さらに、宿泊施設、地域事業者などと連携し送迎用バスを活用した買い物支援サー
ビス、通院支援サービスを行っていくことで、地域の資源・人材を有効に活用した包括的高齢
者サービスの構築を目指す。
3.2.6.4.2.1 支出計画書
平成 25 年度から平成 27 年までの収支計画は下記の通りである。
表 3.2.6-28 平成 25 年度 支出計画書
平成25年度
根拠
金額
総収入
\1,980,000
総支出
\21,040,000
(サービス別) エンターテイメント性
の高い有料健康プロ
収入
グラム
\0 初年度は提供なし
プログラム開発費
支出
\15,000,000 人材提供機関立上げ
広告宣伝費
無料お試し健康プロ
グラム
収入
\0 参加者300名程度を想定
水中プログラム、フロアプログラムベースに趣
味・嗜好に合わせた定期的にエンターテイメン
ト性のあるプログラムを開発
地域事業者等と連携し指導者や看護スタッフ
を組織化、プログラムの認知向上
上記プログラムの簡易版を一定期間無料で
提供
指導者人件費¥100,000×3ヶ月×2回
支出
地域事業者等と連携し指導者や看護スタッフ
\4,000,000 看護スタッフ人件費¥20,0000×3ヶ月×2 を組織化、ボランティアスタッフの育成・活用
回会場費 など
在宅生活支援
収入
\360,000 利用者10名×¥1,500×8時間×3ヶ月
看護スタッフによる健康相談、見守り、生活支
援。利用者一人当たり月8時間利用を想定。
支出
\240,000 看護スタッフ人件費¥80,000×3ヶ月
プログラム提供の空き時間を活用して看護ス
タッフによる在宅生活支援サービスを実施。
送迎バスを活用した
買い物支援・通院支 収入
援サービス
支出
\1,620,000 利用者600名×¥450/回×6ヶ月
プログラム参加者を対象とした送迎サービス
に加え地域住民を対象とした買い物支援、通
院支援を実施
\1,800,000 ¥100,000×6ヶ月×3台
連携施設の送迎用バスを活用
総利益
▲\19,060,000
497
表 3.2.6-29 平成 26 年度 支出計画書
平成26年度
根拠
金額
総収入
\11,880,000
総支出
\17,520,000
(サービス別) エンターテイメント性
の高い有料健康プロ
収入
グラム
支出
\3,600,000 参加者100名×¥3,000×12ヶ月
インストラクター人件費¥200,000×12ヶ
月
\6,800,000 看護スタッフ人件費¥20,0000×12ヶ月
水中プログラム、フロアプログラムベースに趣
味・嗜好に合わせた定期的にエンターテイメン
ト性のあるプログラムを提供
地域事業者等と連携し指導者や看護スタッフ
を組織化
広告宣伝費 会場費など
無料お試し健康プロ
グラム
収入
\0 参加者300名程度を想定
上記プログラムの簡易版を一定期間無料で
提供
指導者人件費¥200,000×3ヶ月×2回
支出
地域事業者等と連携し指導者や看護スタッフ
\4,000,000 看護スタッフ人件費¥20,0000×3ヶ月×2 を組織化
回会場費 など
収入
\2,880,000 利用者20名×¥1,500×8時間×12ヶ月
看護スタッフによる健康相談、見守り、生活支
援。利用者一人当たり月8時間利用を想定。
支出
\1,920,000 看護スタッフ人件費¥160,000×12ヶ月
プログラム提供の空き時間を活用して看護ス
タッフによる在宅生活支援サービスを実施。
\5,400,000 利用者1000名×¥450/回×12ヶ月
プログラム参加者を対象とした送迎サービス
に加え地域住民を対象とした買い物支援、通
院支援を実施
\4,800,000 ¥100,000×12ヶ月×4台
連携施設の送迎用バスを活用
在宅生活支援
送迎バスを活用した
買い物支援・通院支 収入
援サービス
支出
総利益
▲\5,640,000
498
表 3.2.6-30 平成 27 年度 支出計画書
平成27年度
根拠
金額
総収入
\20,760,000
総支出
\19,440,000
(サービス別) エンターテイメント性
の高い有料健康プロ
収入
グラム
支出
\9,600,000 参加者200名×¥4,000×12ヶ月
インストラクター人件費¥200,000×12ヶ
月
\6,800,000 看護スタッフ人件費¥20,0000×12ヶ月
水中プログラム、フロアプログラムベースに趣
味・嗜好に合わせた定期的にエンターテイメン
ト性のあるプログラムを提供
地域事業者等と連携し指導者や看護スタッフ
を組織化
広告宣伝費 会場費など
無料お試し健康プロ
グラム
収入
\0 参加者300名程度を想定
上記プログラムの簡易版を一定期間無料で
提供
指導者人件費¥200,000×3ヶ月×2回
支出
地域事業者等と連携し指導者や看護スタッフ
\4,000,000 看護スタッフ人件費¥20,0000×3ヶ月×2 を組織化
回会場費 など
収入
\5,760,000 利用者40名×¥1,500×8時間×12ヶ月
看護スタッフによる健康相談、見守り、生活支
援。利用者一人当たり月8時間利用を想定。
支出
\3,840,000 看護スタッフ人件費¥320,000×12ヶ月
プログラム提供の空き時間を活用して看護ス
タッフによる在宅生活支援サービスを実施。
\5,400,000 利用者1000名×¥450/回×12ヶ月
プログラム参加者を対象とした送迎サービス
に加え地域住民を対象とした買い物支援、通
院支援を実施
\4,800,000 ¥100,000×12ヶ月×4台
連携施設の送迎用バスを活用
在宅生活支援
送迎バスを活用した
買い物支援・通院支
収入
援サービス
支出
総利益
\1,320,000
499
表 3.2.6-31 平成 25~27 年度 支出計画書
平成25~27年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
累計
総収入
\1,980,000
\11,880,000
\20,760,000
\34,620,000
\21,040,000
\17,520,000
\19,440,000
\58,000,000
(サービス別) エンターテイメント性
の高い有料健康プロ
収入
グラム
\0
\3,600,000
\9,600,000
\13,200,000
支出
\15,000,000
\6,800,000
\6,800,000
\28,600,000
無料お試し健康プロ
グラム
収入
\0
\0
\0
\0
支出
\4,000,000
\4,000,000
\4,000,000
\12,000,000
収入
\360,000
\2,880,000
\5,760,000
\9,000,000
支出
\240,000
\1,920,000
\3,840,000
\6,000,000
送迎バスを活用した
買い物支援・通院支
収入
援サービス
\1,620,000
\5,400,000
\5,400,000
\12,420,000
支出
\1,800,000
\4,800,000
\4,800,000
\11,400,000
▲\19,060,000
▲\5,640,000
\1,320,000
▲\23,380,000
総支出
在宅生活支援
総利益
3.2.6.4.2.2 支出計画書の説明
本年度の調査結果より、
「健康」要素だけでは多くの集客が望めないため、次年度以降は地域
の団体・事業者と連携したより「エンターテイメント性」の高いプログラムを構築し有料化サ
ービス提供に向けた準備を進めていく。加えて、本年度は告知期間の短さから、いわき市内の
高齢者すべてに情報が行き届かなかったことも課題として挙げられているため、平成 25 年度は
「プログラム開発」と「認知理解促進活動」に多くの予算を割きたいと考えている。
また、有料健康プログラムの入り口となる「無料お試し健康プログラム」については、次年
度以降も継続して行うことで、多くの住民にプログラムの魅力を体験していただき、本コンソ
ーシアムが提供するプログラムのファン作りを進めていく。参加者については毎年 300 名程度
を予定しており、そのうち有料サービスへは移行するのは 100 名程度と見込んでいる。
しかし、継続してすべてを無料で提供していくには限界があるため、ボランティアスタッフ
500
の活用によるコスト圧縮やいわき市の関係機関と協議を進め介護予防教室など地域支援事業の
受託をすることで赤字を補填していくことも検討したい。
さらに、いわゆる潜在看護師と呼ばれる結婚や出産等で職を離れた有資格者や定年後の有資
格者などを掘り起こし組織化して行く。潜在看護師にはプログラムの立会いだけでなく、保険
外での訪問健康相談や通院支援、生活支援などパートタイムでも地域に貢献できるサービスに
従事していただき、地域高齢者の QOL 向上、雇用の促進につなげていく。 平成 25 年度は 10
名程度の利用者を集め実験的にサービスを実施し平成 26 年度以降利用者の拡大を図って行く予
定である。
送迎バスについては、民間運送事業を活用した場合、コストがかさんでしまうため、送迎バ
スをもつ宿泊施設や地域事業者と連携した地域循環バスの検討を進める。宿泊施設や地域事業
者が利用しない時間にバス有効活用することでコストを圧縮し、プログラム参加者だけでなく、
地域住民にも買い物や通院で利用していただくことで収益増を図る。料金については、本年度
の調査で明らかとなった 450 円程度を目安として設定した。
平成 25 年度は「プログラム開発」と「認知理解促進活動」に大きく予算を割くためコストが
かさんでいるものの、平成 26 年度以降は有料サービスや生活支援サービス、送迎サービスの利
用者を増やしていくことで 3 年目に単年度黒字化を目指す。
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