...

2007年春季生活闘争における要請書

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Transcript

2007年春季生活闘争における要請書
2007年2月8日
京都府中小企業団体中央会
会 長
渡 邉 隆 夫 様
日本労働組合総連合会
京都府連合会(連合京都)
会 長
木 戸 美 一
2007年春季生活闘争における要請書
貴会におかれましては、日頃から私たち連合京都の運動に深いご理解とご協力を賜
り、厚く御礼申し上げます。また、雇用環境の改善に向けてご尽力を頂いていること
に対しましても感謝申し上げます。
さて、いま日本社会は、深刻な格差拡大と二極化に直面しています。「景気回復が
長期化し、デフレ経済から脱却する動きが強まっている」との政府見解や企業業績が
最高益を更新し、5年連続の増益が見込まれるという企業もあります。その一方で、
私たち働く者にとっては、景気回復の実感を全くもてないのが現状です。雇用と生活
を取り巻く環境は、正規・非正規労働者間の格差拡大や貧困の固定化など、社会の二
極化がすすむことは、社会そのものの劣化をもたらしかねません。こうした状況の顕
著な原因の一つにマクロ的な労働分配率の低下が考えられます。また、負担増・給付
減政策、さらには「労働ビックバン」と称して、安定した質の高い雇用を毀損しかね
ない規制改革の論議が、働く者やその家族の生活から公正・安心・安全を奪っていま
す。
私たちが今次取り組む春季生活闘争は、雇用分野をはじめとする行き過ぎた規制緩
和や市場中心主義がもたらした格差社会・二極化社会から、公正・安心・安全な社会
への転換に向けた取り組みと位置づけています。
また、京都府内におきましても、景気回復の恩恵に全く浴すことのできない地域も
多く、あらゆる分野で二極化と格差拡大が顕著に現れています。雇用環境改善の取り
組みは、貴会との連携が不可欠です。これらの取り組みを通じ、京都における労使の
社会的な役割を果たしていきたいと考えています。
社会全体で見た公正配分の重要性をはじめとする2007年春季生活闘争課題など
に対する考え方は以下のとおりです。これらを真摯に受け止めていただき、ご理解賜
りますようよろしくお願い申し上げます。
記
1.ワーク・ライフ・バランスの実現に向けたワークルール確立について
(1)働くもののための労働契約法の制定
すべての働くもののための労働契約法を制定するとともに、今後も解雇の金銭
解決制度は導入しないこと。あわせて、雇用・就業形態の多様化に対応できる
ように均等待遇を盛り込むこと。
(2)ワーク・ライフ・バランスの視点からの労働時間法制見直し
誰もが健康に働き続けられ、仕事と生活の調和が実現できるよう長時間労働の
是正をはかること。過労死・過労自殺・メンタルヘルスの原因となる長時間労
働を助長しかねない「日本版イグゼンプション」は今後も導入しないこと。
(3)パート労働者の均等待遇の実現
パートタイム労働法を改正し、パートタイム労働者と一般労働者との均等待遇
を原則に法制化すること。
(4)賃金底支え機能を発揮する最低賃金制度への改革
法定最低賃金制度を見直し、生活保護との整合性を踏まえ、生活ができ、かつ
働く意欲につながる賃金水準を確保する地域別最低賃金へと拡充するととも
に、産業別最低賃金制度については継承・維持すること。
京都府単身者リビングウェイジ時間額 870円以上
※リビングウェイジとは、連合が生活保障水準として、各都道府県毎に物価指
数などのデータに基づき調査・設定したもので、中長期的な目標水準。
(5)子育て支援・少子化対策
子育て世代への経済的支援を拡充し、次世代育成支援対策を強化すること。
2.公平で透明な税制改革の実現について
(1)所得格差拡大への歯止めと財政再建に資する税制の実現
所得税の最高税率引き上げ、金融資産優遇税制の早期撤廃および総合課税化、
相続税の強化を行うこと。
(2)サラリーマン増税の撤回と不公平税制の見直し
さらなる家計の負担増につながる給与所得控除や各種控除の安易な縮小・廃止
等は行わず、消費税制度の透明性向上(インボイス方式)を実施すること。
3.セーフティネットと信頼できる社会保障制度の確立について
(1)年金をはじめとした社会保障制度の一体的改革
パート労働者等の厚生年金への適用拡大をはかり、すべての雇用労働者が加入
する被用者年金制度の一元化を推進するとともに、保険料拠出者(労使)代表
が制度運営に参画する新たな年金運用組織を創設すること。
(2)フリーター・ニート対策等格差拡大に歯止めをかける対策の実施
パートタイム労働者、有期契約労働者、派遣労働者、請負労働者等非正規雇用
から正規雇用への転換促進や能力開発を充実すること。また、高年齢者雇用の
促進をはかること。
4.賃金改善と労働条件の底上げに向けた取り組みについて
(1)生活改善に対する取り組み
1)マクロの視点に立った基本的な考え方として、実質1%以上の成果配分を通じ
た労働分配率の改善を行うこと。具体的には、賃金カーブ維持分と物価上昇分
を確保したうえで、生活向上分としてのベースアップや時間給引き上げによっ
て、昨年を上回る「賃金改善」を行うこと。また、月例賃金の改善を最優先し、
年間収入の維持・向上を行うこと。
2)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の観点から、年間総実労働時
間1800時間の実現のために、労働時間の短縮、不払い残業の撲滅の取り組
みや割増率の引き上げによって働き方の改善を行うこと。
①所定労働時間の短縮(休日の増加、1日の労働時間の短縮等)
②年次有給休暇の付与日数の増加
③労働時間管理の徹底と不払い残業撲滅
このため、連合は、36協定の再確認など総点検運動を行い、職場の時間外
労働の管理を徹底する。
④恒常的な時間外労働の削減
連合目標の時間外割増率50%、休日100%の実現を中長期的に求め、当
面は、すべての組合が時間外割増率30%、休日割増率40%を達成する。
3)中小・地場組合の要求目標については、下表のとおり設定しています。
連合京都
中小・地場組合賃金改善目標
要求目安
1.賃金カーブの算定が可能な組合
「賃金カーブの確保」とカーブ維持分の労使確認+賃金改善分2,500円以上
2.賃金カーブの算定が困難な組合
賃金カーブ確保相当分4,500円(目安)+賃金改善分2,500円
定昇込み
7,000円 以上
3.環境が整っている組合の格差是正要求
格差是正分として上記に上乗せする。
地域ミニマム運動金額設定
※京都から下記の設定金額以下の賃金をなくす運動
18歳
148,000円
30歳
205,200円
35歳
237,800円
4)パート労働者に対しては、同一価値労働同一賃金を基本とした人事・賃金制度
づくりを行うこと。
①正社員への転換制度の導入
②休日・休暇制度(慶弔休暇、育児・介護休業、育児・介護短時間制度、ボラ
ンティア休暇制度等)および年次有給休暇の付与日数を正社員に比例して付
与するための見直し
③通勤手当・安全衛生・福利厚生基準(社員食堂食事補助、健康診断等)の見
直し
④時間給の改善目安(絶対額1,000円程度・上げ幅15円程度)
⑤全労働者を対象とする企業内最低賃金の協定化
⑥正社員と実質的に異ならない者(擬似パート)に対しては、正社員に転換す
るか、同一の労働条件を確保すること。
5)男女間の労働条件格差の是正については、男女平等な働き方の実現をめざし、
改正雇用機会均等法の2007年4月施行に向けて、職場における点検活動を
すすめ、間接差別を掘り起こし、是正のための労働協約改定、制度整備などを
行うこと。また、生活関連手当の支給における「世帯主」要件を廃止すること。
(2)ワークルール、働き方に対する取り組み
1)事前協議体制の確立や労働協約・人事条項の整備、雇用安定の労使確認等によ
って失業者を出さない取り組みを徹底するとともに、改正高年齢者雇用安定法
など法律・労働協約の遵守、安全衛生問題(アスベスト対策含む)への対応を
徹底し、公正なワークルールの確立を行うこと。また、業務請負契約をしてい
るところは、職場点検を強化し、雇用と労働条件など問題がある場合は労使協
議を通じ直ちに是正すること。
2)労働時間中に、裁判員候補者として地方裁判所の呼び出しを受けた場合、お
よび裁判員として地方裁判所に出席する場合は、有給扱いとする労働協約の
締結をすすめること。
以 上
※インボイス方式
インボイス方式とは、仕送り状方式ともいいEU諸国でも採用されている方式です。消費
税に商品によって税率を変える複数税率を導入する場合の対策の一つ。現行の帳簿方式だ
と消費税の算定が煩雑となるため、事業者間の取引に消費税額を記載した税額交付票(イ
ンボイス)を導入するというもの。これによって、事業者はこのインボイスを集計するこ
とで控除できる仕入税額を計算できる。
Fly UP