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第 2 回「がんばる!学生プロジェクト」 自然環境保持プロジェクトレポート
第 2 回「がんばる!学生プロジェクト」 自然環境保持プロジェクトレポート ~富士登山~ 主催 自然環境保持プロジェクト 参加者 1.プロジェクトメンバー ・大学院生 3名 ・学部生 7名 2.公募参加者 ・教職員 4名 ・学部生 9名 ・新聞記者 1名 実施期間 図 1 須走口5 須走口5合目より 合目より富士山 より富士山 平成 21 年 8 月 17 日(月)~18(火) 実施場所 富士山須走口五合目~山頂および富士山山頂~御殿場口五合目にかけての登山道,休憩所,下山 道 目的 日本の象徴である、富士山が世界遺産として登録されなかった理由として、ゴミの問題 があります。 そこで富士山へと実際に登り、ゴミ問題の実態をゴミ拾いによって調査を行う。 調査内容 ・ゴミの収集量の変化(前回と今回との比較) ・富士登山を経ての心境 ・ゴミの収集量推移(予想と実際との比較) ・登山客推移 調査方法 ・登山,下山中でのゴミ拾い 富士の 富士のゴミの ゴミの現状 以下の表に富士登山客 富士登山客と 17 年までは,登山客は減少傾向 富士登山客とゴミの ゴミの量の年間推移を示す.平成 年間推移 にあった.しかし近年の登山客は増加傾向にある. 近年の登山客の増加と共に,ゴミの量も増加傾向にあったが,平成 19 年の世界文化遺産登 録への取り組みと共に,ゴミの量も減少へと向かっていることが確認できる. そこで,平成 18 年からの登山客とゴミの量の比率を見てみると,減少傾向であることも確 認することもできる. 結果,一人一人の環境に対する意識が増加していること推測される. 表 1 富士登山客の 富士登山客の年間推移( 年間推移(平成 3 年~平成 20 年) 富士登山客 の 年間推移 300,000 登山客数 登山客数(( 人 ) 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 3 6 9 12 15 18 年度 ( 平成) 平成 ) 表 2 ゴミの ゴミの量年間推移( 量年間推移(平成 3 年~平成 20 年) ゴ ミ の 量 ( t) ゴ ミ の 量 の 年間推移 160 140 120 100 80 60 40 20 0 3 6 9 12 年度( 年度 ( 平成) 平成 ) 15 18 表 3 登山客と 登山客とゴミの ゴミの量の比較( 比較(平成 3 年~平成 20 年) 登山客数(( kg kg/ / 人) ゴ ミ の 量 / 登山客数 登山客 と ゴ ミ の 量 の 比率 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 3 6 9 12 15 18 年度 ( 平成) 平成 ) 富士山の 富士山のゴミの ゴミの現状 富士山とその周辺に訪れる観光客の数は年間 1600 万人以上とも言われていますが,遠目 には美しく見える富士山も一歩山の中へ入っていくとゴミが至る所に散乱しています. ボランティアや野外活動を中心とする教育団体などによる積極的なクリーンアップ作戦な ども行われていますが問題を解決するにはまだまだ遠い道程です. 参照 URL http://www.outback-e.com/keep.htm 2 回目となる 回目となる活動 となる活動 前回の富士清掃登山では,夜間 に山登りをしたためにゴミの発 見が困難となった.また,夜間登山 による視界および気温の 低下などによって,余計に体力を 消費してしまった.結果,前回の 富士山清掃活動では十分とはい えないゴミの調査となってしま った. そこで今回の富士清掃登山で は,前回の反省を生かし,昼間登 山などの対策を施し富士清掃活 動を行った. 図 2 富士山山頂 今年拾った 今年拾ったゴミ ったゴミの ゴミの種類 ・空きカン ・ビン ・ペットボトル ・可燃物 携帯食料(おにぎり,カロリーメイトなど)の包装,タバコ,バンドエイド,ティッシュ,衣 類(靴下,軍手など) ・不燃物 ヘッドライト,靴,ホッカイロ,防寒用手袋,ガムテープ,発泡スチロール,ロープ(道路用 の物が風化したもの),帽子・蛇口 ・電池 ・鉄板 図 3 登山道から 登山道から外 から外れたゴミ れたゴミ 図 4 捨てられた鉄板 てられた鉄板 ゴミの ゴミの詳細 カン類 重さ 1.5kg 種類 お茶 お酒 など ビン(割れ物)類 重さ 0.6kg ペットボトル類 重さ 1.8kg 種類 ミネラルウォーター スポーツ飲料水 お茶 ジュース など 可燃物 重さ 2.3kg 不燃物 重さ 2kg 電池 本数 5 個 鉄板 重さ 1.0kg 捨てられるゴミの傾向 ペットボトル カン ビン 可燃物 不燃物 その他 図 5 捨てられるゴミ てられるゴミの ゴミの傾向 図 6 回収した 回収したゴミ したゴミ 捨てられているゴミ てられているゴミの ゴミの傾向 今年捨てられているゴミの傾向を見てみると,ペットボトル・カン・ビンと,飲料用の容器 が三分の一の割合を占めていることがわかる。そのことから,登山客が登山中に不必要にな ったゴミを荷物の軽量化のためのポイ捨てや,富士山では夜間での登山が多いため,暗闇で のゴミに対する気の緩みによりゴミのポイ捨てによるものと推測される. 去年との 去年との比較 との比較 昨年と今年の比較を行ってみると, 昨年の捨てられているゴミの傾向 としてペットボトルや可燃物の割合 がほぼ半分を占めているのに比べ, 今年の捨てられているゴミの傾向は 少しのバラつきはあるものの,ほぼ 同傾向であることがわかる。 理由の推測を行うと今年は、昨年 と比べ富士山登山経験者がほぼ半数 を占めていたため余裕を持った計画 や適切な準備を行いやすく精神的と 肉体的体力にも余裕をもつことが可 能となった。そのため,ゴミの発見や 回収を余裕を持って拾うことができ たためであると推測される。 また、今回の調査を行ってひとつ わかったことがある。それは、登山 客以外から出たと思われるゴミが目 立ったことある。中でも、蛇口や発 泡スチロールなど登山客が持ってこ ないであろうゴミが見受けられた。 また、下山中のルートを示すため に張られているロープがあるのだが、 風化によってロープが切れ、ゴミと なっていることも見受けられた。 去年拾ったゴミの傾向 ペットボトル カン ビン 可燃物 不燃物 その他 今年拾ったゴミの傾向 ペットボトル カン ビン 可燃物 不燃物 その他 バイオトイレについて バイオトイレについて バイオトイレの バイオトイレ のシステム 糞尿や生ゴミの成分は殆どが水分です。その水分をオガクズに保水させ、加熱し、スクリューで 撹拌し、蒸発させます。水分は臭いを発生することなく蒸発します。残った約 10%の固形分を微生 物分解し、発散させます。 特別な菌の使用は不要です。糞尿に含まれている腸内細菌と自然界に生息している微生物の働 きで水と二酸化炭素に分解処理されます。 糞尿で蒸発も分解もされない無機成分(窒素、リン酸、カリウムなど)が「残さ」として残り、粉状態 でオガクズに吸着します。見た目はオガクズの色が変わるだけで糞尿は消えたように見えます。 糞尿という「水分の出と入り」の相関関係と、「オガクズの含水率の状態」でバイオトイレの原理が 成り立っています。 オガクズの交換は年に 2~3 回が目安。 使用後のオガクズは理想的な有機肥料となります。 (参照 URL http://www.seiwa-denko.co.jp/eco.html) 富士山のトイレ事情について調べてみると、五合目より上はその多くが「垂れ流し」に なっているらしく、分解されないティッシュペーパーが自然を壊す原因になっているとの こと。そこで、採用されたのがこの 「バイオトイレ」なのだ。汚物と 「おが屑」をスクリューすること によって水分を蒸発させたり微生 物分解したりという仕組みになっ ている。水がいらず、臭わず、2~ 3年に一度交換する使用後のおが屑 は理想的な肥料になるというのだ から確かに自然に優しい。コスト も比較的安く済むそうだ。富士山 では山頂以外でも徐々に「バイオ トイレ」の割合が増えている (富士山以外でも、冬場に水が凍 結してしまう気温の低い場所や、水の確保が難しい場所などでバイオトイレは採用され始 めている) 。 富士山が世界遺産に認定されない理由にはトイレ事情が大きく関係しているという話もあ る。頑張れ僕らのバイオトイレ! (参照 URL http://www.excite.co.jp/News/bit/00091091522048.html) プロジェクトメンバーによる プロジェクトメンバーによるアンケート によるアンケート結果 アンケート結果 問1 本企画参加以前 本企画参加以前から 参加以前から富士山 から富士山の 富士山の環境について 環境について関心 について関心を 関心を持っていたか? っていたか? 本企画参加以前から 本企画参加以前から富士山 から富士山の 富士山の環境について 環境について 関心を 関心を持っていたか? っていたか? 9% 18% 27% 37% 9% 大いに関心があった やや関心があった どちらともいえない あまり関心がなかった 全く関心がなかった さほど富士山の環境についてニュースなどに取り上げられていないのに対し,ほぼ半数 以上のメンバーがプロジェクトに参加前から富士山の環境について関心を持っていたとい う結果に正直驚きを感じた. (私自身,富士山の環境について関心を持ったのは本プロジェクトを行った年の一年ぐらい 前である.) しかし,本プロジェクトに参加した以上,少なからず関心を持っていて参加を決意したから の結果なのかもしれない. 問2 Ⅰの回答で 回答で 3. 4. 5. を選んだ方 んだ方にお聞 にお聞きします。 きします。本企画参加後, 本企画参加後,富士山への 富士山への環境 への環境につい 環境につい て関心の 関心の変化がありましたか 変化がありましたか? がありましたか? 本企画参加後, 本企画参加後,富士山への 富士山への環境 への環境について 環境について関心 について関心の 関心の変化 (参加前に 参加前に関心がなかっ 関心がなかっ方 がなかっ方のみ回答 のみ回答) 回答) 20% 0% 0% 大いに関心を持つよう になった やや関心を持つように なった あまり変化がなかった 全く変化がなかった 80% 富士清掃登山参加することによって,少しでも富士山の環境について関心を持つことが できたことが伺える. 問3 富士山では 富士山ではゴミ ではゴミが ゴミが目立ちましたか 目立ちましたか? ちましたか? 富士山では 富士山ではゴミ ではゴミは ゴミは目立ったか 目立ったか? ったか? 0% 0% 45% 55% 0% とても目立った やや目立った どちらともいえない あまり目立たなかった 全く目立たなかった ゴミが場所により捨てられている場所が異なっていたことが推測できる. 問4 ゴミの ゴミの目立った 目立った場所 った場所はどこか 場所はどこか? はどこか? 山道以外の場所, 山小屋の机やベンチの下,傍らの草むら,岩の後ろ アンケートの結果からも人があまり通らない場所などにゴミがあったように見受けられた ようである. ゴミの目立ちにくい場所などが多いようだ. 一つ気になったのが,下山道から遠く離れた場所にゴミが捨てられていた.このことから,わ ざと投げ捨てられたのかも知れない. 問5 体力的に 体力的にゴミを ゴミを拾う余裕がありましたか 余裕がありましたか? がありましたか? 体力的に 体力的にゴミを ゴミを拾う余裕があったか 余裕があったか? があったか? 0% 36% 64% 余裕があった 余裕が途中まであった 余裕が全くなかった 高山病によって拾えなくなったのかもしれない 途中まで余裕があったことから,高山病により拾う余裕がなくなった可能性がある. 問 6.1 高山病にかかったか 高山病にかかったか? にかかったか? 高山病にかかったか 高山病にかかったか? にかかったか? 36% 64% はい いいえ 問 6.2 その時 その時の症状は 症状は? その時 その時の症状 0% 43% 頭痛 吐き気 頭痛,吐き気の併発 その他の症状 57% 0% やはり高山病という症状に陥ってしまうのは仕方ないのかもしれない. 中でも頭痛が酷かった人が多く見受けられた. 問 7.1 山小屋での 山小屋でのバイオトイレ でのバイオトイレの バイオトイレの使い心地はどうでしたか 心地はどうでしたか? はどうでしたか? 山小屋でのトイレの使い心地 36% 64% 0% よかった どちらともいえない 悪かった やはり,山小屋のトイレに関しては使いづらいと思う人が多い結果となった. しかし,山小屋にしてはよかったという,貴重な回答も見受けられた. 問 7.2 トイレの トイレの使い心地の 心地の理由 良い理由 悪い理由 標高と水がない場所では良いほう 便器の中の水の色が茶色であったため 不便と感じなかったため においがひどい ティッシュを別の場所に捨てる手間を省けないか 水面が高く跳ね返ってきた. 見た目汚い 悪い理由として非常に多く目立った回答は,臭いの酷さについてだった. 登山道中にまで臭いが酷かったのは事実である. しかし,良い理由の回答のように標高が高いことと水がない場所にしては水を流すことも でき,良かったと思われる. ティッシュに関してはバクテリアが分解できないという理由から難しいかもしれない 問8 その他 その他の代表的な 代表的な記入 記入 1 来年以降もこの活動はするのでしょうか? 答え プロジェクトとしては今年で終わりですが,機会があれば行いたいと思っております 記入 2 現状を考えると世界遺産への登録は無意味かもしれない 答え ゴミは一向になくなることはないのかも知れません.特に 5 合目以下の樹海に多くの粗大ゴ ミが捨てられていることも原因のひとつだそうです. 記入 3 体力をつけて出直してきます. 答え はい.がんばってください. 記入 4 ゴミは分かりにくい所に捨てる事が多かったと思います. 人が通る道の真中などにはあまり捨てていないことから目立たないように捨てていく人 が多いのかも知れません. 答え ゴミを捨ててはいけないと意識があるからなのかも知れませんが,つい軽量化のために 捨ててしまうのかも知れません. 記入 5 無線でお互いに連絡が取れることは安心 答え 連絡が常に取れる状態というのはいつ何時も安心できると思えます. まとめ ゴミ(の傾向)に関していえば,やはり登山客が出したと思われるペットボトルやカンな どのゴミが多く捨てられていることが見受けられた.草むらや物陰にゴミが散乱しており, 人の通らない場所にまでゴミが捨てられていた.また,山小屋での残飯が捨てられているこ とも見受けられた.標高が高いためバクテリアなどの微生物が生息することができず,ゴミ となってしまうらしい.他に,場所に限らず言えばタバコのポイ捨てがいたるところにあっ たことが目立った.ゴミを捨てられては,ゴミを回収の繰り返しを行っているのが現状であ る.一向にゴミ問題が解決していない.ゴミか捨てられている現状や行動が理解に苦しむ. このままのゴミ問題が解決しなければ未来永劫,富士山は世界遺産になることはないのか もしれない. また,ゴミははたして登山客のみだったのか? という疑問を出されると一概には言えないかもしれない.登山客が出したとは思えないゴ ミが捨てられているからだ. 感じたこと 前回の反省を生かして富士清掃活動をおこなった今回. 高山病に関していえば,登山中に高山病になった割合より,宿で一泊したことにより症状が 出た割合が多かったことが見受けら れた.もともと高山病は 8 合目付近 から急に,頭痛などの高山病になる 人数が増えると言われている.今回 のゴミ拾いでは登山中に高山病の 症状が少なかったと感じられた.し かし,プロジェクトとして予想して いた登山客の推移より非常に多くの 登山客がいたため 8 合目から頂上 に向け大渋滞となってしまった.その ため,山小屋内も大変な込み合いとな っており.酸素濃度が多くの登山客により非常に少なくなったため仮眠を取った後,高山病 になってしまった仲間が多く見受けられた.だが,途中にリタイヤとなる仲間はおらず全員 無事に頂上へ辿りつき帰還できたことは,前回の反省を生かすことができた結果になった.