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1 ゴリさんの講演の旅 「フジテレビ ノンストップ!出演体験記」
ゴリさんの講演の旅 「フジテレビ ノンストップ!出演体験記」 出演打診から1週間のフラッシュバック 9 月 18 日(木)フジテレビ ノンストップ!の制作担当者から「6次産業をテレビで取り上げた いので」と 1 本の電話が入った。そこからドバタバタの 1 週間が始まった。 電話を受けた途端「6次産業化をテレビで取り上げてくれるのは凄くうれしい!」と思わず口に した。「朝の番組で主婦が主な視聴者です。つきましては、明日打ち合わせをしたい」。翌日(19 日)にはお台場のフジテレビで打ち合わせをしていた。取り上げる6次産業化の事例候補や資料を 整理し当日持参した。2 ページの企画案を提示され打合せ。主婦に6次産業とその商品のメリット を 23 分間でどのように伝えられるか課題だ。テレビ局の考えと自分の考えはかなりのズレがあっ た。 22 日(月)夜に台本第1稿がメール送信されてきた。その台本で電話打合せ。かなりズレは解 消された。20 日(土)に追加資料を送信していたことも影響したのだろう。 23 日(祝/火)夜、台本第2稿がメールで送信されてきて、最後の打ち合わせを電話で行った。 本番1日前のことである。「明日朝出発前の6時過ぎに台本最終稿を送信します」「待っています」 そして 24 日(水)本番当日。台本は送信されてこなかったが、迎車に乗ってお台場に向かう。7:45 決定稿の台本でコメント等の確認をする。8:45 カメラリハーサル。リハーサル終了後、控室で本 番待機。 10 時過ぎにスタジオ入り。前のコーナーが4分押しているので、本コーナーは4分巻くことを 了承下さいと打診があった。さあ!本番! セットが慌ただしく転換されている中、立ち位置に案 内される。コーナースタートから「コメント短く」のカンペがテレビカメラの狭間からチラチラと 見える。さらに、プレゼンター(渡辺和洋)、ゲストにも「コメント短く」 「質問なし」のカンペが チラついている。台本通り滞りなく慌ただしく約 20 分の生番組が進行しそして終了した。番組担 当者から短くやカットのことすみませんでしたと謝罪があった。また、 「この続きをやりましょう」 と言っていただき評価は良かったようだ。 フジテレビを出て、新橋、溜池山王から永田町の三菱総研の会議室に向かう。午後 1 時からの内 閣府の食の6次産業化プロデューサー(食 Pro.)レベル4の審査のためだ。会議室に入ったら担 当者から「テレビ見ました」「解りやすくて良かったですよ」との評。これでドバタバタの1週間 は終了した。 ノンストップ!人生ドックコーナー番組概要 主 旨:安全で安い食材を手に入れることができるのが「6次産業」の魅力だ!が、6次産業だ からこそ生まれた、新しい商品がぞくぞく登場しているのだ! 今回の人生ドックは、 最近話題を集める「6次産業グルメ」の賢い活用術を徹底解説する! タイトル:「6次産業グルメ」活用術 時 間:10:50~11:25 の番組の中の 10:20~11:43(約 23 分) M C:設楽 統、中村仁美(フジテレビアナウンサー/山崎夕貴休暇で代役) 1 ゲスト:陣内智則、西川史子 コーナーゲスト:後久 博(6次産業化プランナー タブロイドご意見番:吉田 潮 コーソー経営研究所所長) プレゼンテータ―:渡辺和洋(フジテレビアナウンサー) 6次産業化と地域創生 6次産業化法が施行されて 3 年半になる。その間、6次産業化に取組む農林漁業者や、農林漁業 者と手を組んで取組む商工業者は年々増えている。今後は主婦の目線にかなう商品はドンドン送り 出されてくることになるだろう。ではなぜいま6次産業化なのか。その理由の第1は、日本の農業 の担い手減少による農業の存続危機があげられる。その他、食の安全の問題、食料自給率が向上し ない問題、グローバルな食品市場における日本の農業のあり方、食品産業のあり方の問題など解決 すべき課題は多い。 6次産業化の効果目標を3つに整理すると、1 つには、農林漁業者が 2 次産業(加工)や 3 次産 業(販売)に進出し農家所得を向上させること。また、農林漁業者と 2 次産業、3 次産業が強みを 活かして手を組むことにより新たな産業(食業等)を創造し、新たな商品・加工品を開発するなど 経営の改善を図ること、儲かる農業を行うことである。2 つは、儲かる農業を実践することにより 新たな担い手を引きこみ、雇用を創出し都会への人口流出に歯止めをかけ、地域の農業のみならず 商工業を促進し内発的な地域創生を図ることである。3 つは、直売所、農家レストラン、加工工場 などを核に観光地、工芸などの匠の技術、民宿などをつなぎ、新たな観光を創造し、国内海外から ツーリストを誘引し地域にお金が落ちる構造をつくり地域を活性化させることである。 消費者にとってのメリットも 3 つに整理すると、1 つは、産直なので産地名や生産者名がしっか り表示されており新鮮で安心できること、また流通の中抜きにより安く手に入れることができるこ と。2 つは、加工食品は地域の原料、地域の特産品を使っているので地域への親しみを持ちやすい こと。加工方法も地域の伝統的製法であったり、手づくりであったり、地域の新たな着想であった り地域の食文化を身近に感じられること。3 つは、地域の農林漁業者と商工業者が手を携えて地域 産業として地域の雇用を生み出していること。専門家だけではなく地域のNPOや住民が協力して いることも多く、6次産業が地域の誇りとなっていることなどがあげられる。 主婦目線からの6次産業化を考えないといけない テレビ局で、主婦に6次産業のどの事例をどのように伝えるかについて打ち合わせをしていると き、いつも消費者目線の重要性を説いている自分が、テレビ局担当者のテレビ目線、主婦目線との ギャップや考え方の相違を痛感した。主婦にとって6次産業化のメリットはなんだろう。また、主 婦が6次産業化の商品と出会う機会はどこだろう。 通常、主婦にとってその商品が6次化商品であるのかないのかは関係ないことであろう。その商 品が、主婦の生活にとって、「必要なものか」「いま買う時か」「安いのか」そして「どのような価 値を与えてくれるのか」などが主な判断基準であろう。 主婦と6次化商品との日常的な出会いの場はどこにあるのか。スーパーで6次化商品を探す方 法はあるのか。 「6」の目印や、 「6 次化商品」と表示しているわけではない。また、生産者、製造 業者、流通・販売業者も6次化商品であることを区別するあるいは明示する必要性を特に感じてい ない。6次化商品を含むさまざまな商品をテーブルに並べて識別しようとしても見分けるのは難し い。手に取ると、素材の産地表示、添加物の表示、製造者の表示などから「地域の素材を活用」し ていることなどは判断できるが、それが6次化商品であるかは識別できない。 2 市場においては、6次化商 品も他の商品もしのぎを削 り合い、競争優位のポジショ ンを獲得するため販売競争 その他の熾烈な闘いを行っ ているのである。 一方、主婦を購買ターゲッ トにした 6 次化商品の開発事 例は実に多い。しかし、販路 開発が脆弱で、また、情報発 信力が弱く知られる機会が まだ少ない。 そこで、6次化商品を市町 村まつりや量販店などの店 頭で「6次化商品コーナー」 を設置して、主婦との出会い の場や、商品特性を伝える機 会をつくっていかなければ ならない。その上で、主婦に 6次産業化がもたらす雇用 の創出効果、地域活性化効果などの地域にもたらす社会的効果を理解いただかなければ、試し買い や購買にはつながらない。右に主婦に伝えたい6次産業化効果<次代を担う子供たちに農業を継承 するために>の図を貼付した。(主婦に伝えたい理念の図) 主婦目線とテレビ目線と6次産業化 テレビ局での打ち合わせのために用意したいくつかの事例は、<生鮮品>毎朝直送の新鮮!朝採 れ野菜(スーパーインショップ展開/甘楽富岡農協)、有機野菜の宅配サービス(らでぃっしゅぼ ーや㈱)、みやじ豚(兄弟豚単位で囲いストレスを少なくする飼育法実践/㈱みやじ豚)<加工品 >てまりみかん(手まりのように愛らしい女性従業員が開発したビン詰め小玉みかん/㈱早和果樹 園)、大麦ダクワーズ(健康焼き菓子/㈱大麦工房ロア)、ごっくん馬路村(ゆずドリンク/馬路村 農協)、高級梅酒ゆめひびき(㈱おおやま夢工房)などである。 朝採れ野菜(10 時開店とともに産直コーナーに集まって来る定番人気)、手まりみかん(女性が 開発した超人気商品)、ごっくん馬路村(6次産業化ヒット加工品の先駆)、みやじ豚(ストレスレ ス飼育と部位購入がネットで可能)が担当者の興味を惹いたようだ。結果、手まりみかんは試食で も使おう、ごっくん馬路村は現物展示紹介、みやじ豚はおすすめ紹介しようとなった。 6次産業化の早わかりのボード案も持ち込んだ。上の主婦に伝えたい理念の図もそうであるが 「没」になった。主婦が6次化商品を購入する理由にならないとのこと。時間内に理解されるのは 難しいというのが理由であった。 当日、番組の台本に目を通した。コーナーゲスト後久博には「ごきゅうひろし」とルビが振られ ていた。また、本番中のテレビカメラの横にもゲストの名前にルビが振ってあった。司会者やゲス トが質問などの際名前を呼び間違えないためだろう。初めて見る苗字だろう。そこで、自己紹介の 一言を思いついた。プレゼンターの渡辺和洋(フジテレビアナウンサー)さんから「・・・という 3 ことで後久博さんにお越しいただきました」と紹介される。そして自己紹介。「後久です。珍しい 名前ですが(間をおいて)国産です!」と言ったら陣内智則さんが「顔見たらわかるわ!」と突っ 込み!スタジオ内が爆笑。笑いを取り、これでゲストの顔と向かい合ってしゃべることができると 思った。その後は、普段通りの喋りができた。最後に、プレゼンテータ―から、「今回ご紹介した のは6次産業グルメのほんの一部。これからもますます注目されそうですよね、後久さん?」と最 後のまとめに入る。「その通りです。6次産業化は、農家の所得の向上、地域の雇用の創出を生み 出し地域活性化に繋がります。国は、2020 年までに6次産業を 10 兆円産業にしようと提唱してい ます。現在、約 1 兆 5 千億円強です。だいぶ差があります。国も地方創生に力を入れていくでしょ う。これからは、さらに、地域ならではの加工品、地域でしか手に入らないグルメ。それは観光と つながり農山漁村へのツーリストが増える方向に向かって欲しい。今後は日本の各地域で、6次産 業が生み出す魅力的な加工品やグルメがどんどん発掘されていくと思います。ご期待ください!」 と言い切って自分のコメントは終わった。 局担当者との打ち合わせの中で、主婦目線で理解してもらう難しさを痛感した。今後主婦の目線 にかなう「6次産業化」の宣伝PRの展開が重要と思った。また、番組は、視聴者にとっておもし ろく、興味深く構成しなければ視てくれないというテレビ目線の恐ろしさと瞬間勝負の厳しさを実 感した。 平成 26 年 9 月 29 日 後久 博(コーソー経営研究所所長) 4