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NLPの心理学的効果測定を行いました。

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NLPの心理学的効果測定を行いました。
スポーツクラブ感覚で日常的に受講できるセミナーが
主観的健康感に及ぼす影響
心の技術NLPセミナーの
心理的効果を測定 研究対象133名
<研究結果の一部抜粋>
一般社団法人 感性研究所
感性コンサルタント 岡田裕之
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複写禁止 Copyright©2012 KANSEI INSTITUTE Hiroyuki Okada
図表を含む本文をコピー引用することは固く禁じられています
本研究の目的
「平成12年度保健福祉動向調査の概況」(厚生労働大臣官房統計情報部社会統計課国民生活基礎調査室)によれば、最近
1か月間の日常生活における不満、悩み、苦労、ストレスなどの程度をみると、「大いにある」11.8%、「多少ある」42.4%、「あま
りない」25.3%、「まったくない」16.9%となっており、国民の半数以上が日常なんらかのストレスを感じていることになる。
また、読売新聞(2007)が19年度に実施した、全国世論調査「心の健康」においては、自分が心の健康を損なうのではないか
という、不安を感じることがある人は34%であった。年代別では、20~40歳代が最も多かった。さらに、仮に自分が「心の健康」を
損なった場合に、専門の医療機関で診てもらうことに「抵抗がある」と答えた人は33%であり、年代別では若い世代が最も多かっ
た。
これらの調査結果から、特に現役世代が日常強いストレスを感じていながら、具体的な対処をせずに、日常をやり過ごしてい
る現代人の様子がうかがえる。
こうした現役世代で、ストレスを感じる人が多くなった背景には、職場での人間関係が稀有になったことがある。成果主義によ
る人員削減や競争意識の強化、個人主義に台頭による転職や非正規雇用者の増加などが、職場での人と人との関係性を薄く
していることが、ストレス増加の一因である。
また、日本の社会では、たとえ心の健康を害していても、専門の医療機関やカウンセラーに相談しようとしない風土がある。「
体の健康」に関しては、医療機関とは別に、スポーツクラブなどが生活習慣病などの予防につながり、手軽な方法として社会的
に認知され、機能している。しかしながら、「心の健康」に関しては、医療専門機関とは別機能としての予防的な社会的仕組み
がない。そのため、心のよりどころを求めて、宗教や自己啓発セミナー、最近では不思議世界に傾倒する傾向も社会現象化し
ている。これらの中には、心の健康予防になるものもあるだろうが、心理学的効果測定はされていないのが現状である。
そのため研究では、心の健康を保つために、気軽に参加できる社会的仕組みが必要と考え、NLPセミナーを題材に、心のフ
ィットネス感覚のセミナーが、主観的健康感に及ぼす心理学的効果測定を試みた。
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効果測定に関する仮説
本研究で扱う、心のフィットネス感覚セミナーのプログラムは、ストレス、目標、コミュニケーションの三つのエクササイズで構
成されている。
まず、ストレス領域では、セルフイメージを高めるイメージトレーニング的エクササイズを行う。目標領域では個人的欲求と
周囲との共生をもとにした目標設定エクササイズを行う。そして、コミュニケーション領域では、共感性を重視したコミュニケー
ション・エクササイズを行う。
本研究の仮説は、これらのエクササイズに取り組むことで、主観的な心の健康感が得られるということである。このことを検
証するために、エクササイズの三つの領域に、次の尺度をあてはめて、効果測定をすることとした。
ストレス領域では、バーンアウト尺度を、目標領域では達成動機尺度を、コミュニケーションでは孤独感尺度を、それぞれ用
いた。
3
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NLPセミナーとは
エクササイズとよばれる心理的効果を狙ったロールプレイングに主体的
に取り組むことで、自分なりの気付きを得ることができ、結果として心の課
題が解消されるセミナー。
コミュニケーションには、対人コミュニケーションとは別に、自分とのコミュ
ニケーションが存在すると考える。
NLPでは、無意識との対話を重視する。対人コミュニケーションにおいて
は、言語・非言語を含めた共感コミュニケーションの上達を目標とする。そ
して自分とのコミュニケーションにおいては、自己対話を通じて才能を認
識し、外的制約をうけない夢や目標を発見することを目標とする。
ただし、精神的治療を目的とするものではなく、個人あるいは組織の未来
をどのように創造していくかに主眼がおかれている。
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心配だけど 医療機関に抵抗感
心の健康
損なうのでは?
心の健康
医療診療?
不安感 34%
抵抗感 33%
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5
心の健康 予防の仕組みが無い
体の健康
心の健康
○
スポーツクラブ
心のフィットネス
日常的セミナー
○
○
医療機関
医療機関
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↑予防
↓治療
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課題と目的
課題
目的
心の健康を保つために、気軽に参加
できる社会的仕組みが必要
スポーツクラブのように、日常的に受
けられる心の技術を向上させるセミ
ナーが、主観的健康感に及ぼす心
理的効果を測定
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7
方法
調査対象者
90
80
70
60
男性
女性
無回答
50
40
30
20
NLPセミナーを受講する20歳
代から50歳代までの一般社会
人133名を調査対象とした。男
性50名、女性82名、無回答1名。
10
0
参加者数
男性:50名
女性:82名
対象者:133名
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調査項目
尺度領域と下位尺度
尺度領域
バーンアウト尺度
達成動機尺度
下位尺度
消耗感
脱人格化
個人的達成感
自己充実達成動機
競争的達成動機
孤独感尺度
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人間共感性
人間個別性
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調査項目
下位尺度の概要
■情緒的消耗感
精神的な疲労感
■脱人格化
疲労し、感情が平板化
■個人的達成感
個人的達成の充足感
●自己充実的達成動機 自分なりの達成動機
●競争的達成動機
他者との競争による動機
◆人間共感性
人間同士の理解共感
◆人間個別性
人間の個別性の自覚
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手続き
セミナー構成
関東・関西
13教室
6時間×10回
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11
アンケート実施
手続き
受講回数
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
6 6 6 6 6 6 6 6 6 6
時 時 時 時 時 時 時 時 時 時
間 間 間 間 間 間 間 間 間 間
アンケート
1回目
(開始前)
2回目
(開始前)
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3回目
(終了後)
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手続き
セミナー内容
メンタル エクササイズ プログラム
エクササイズ
イメージ・トレーニング
目標設定
共感コミュニケーション
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13
手続き
セミナー 内容
イメージ・トレーニング
ストレス低減とセルフイメージ向上
目標達成
個人欲求と周囲との共生による目標
共感コミュニケーション
他者と共感しあうコミュニケーション
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14
手続き
スキル
セミナー 補足
NLP:神経言語プログラミング
優れた精神科医や成功者をモデリングしたプログラム。
共感や信頼関係にもとづくコミュニケーション法や、ストレス
を軽減させ、モチベーションを向上させる心理的技法を実践
的に体得する。
方法
トレーナーがリードする
受講者主体の実践的セミナー
トレーナーが課題を提示。受講者が自分なりの気付きや
フィードバックを得るエクササイズを反復する。
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15
効果
情緒的消耗感
推 14.5
定
周
辺
平 14.0
均
13.5
13.0
12.5
12.0
1
2
3
調査回数
・主効果が有意
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16
情緒的消耗感
効果
推 16.00
定
周
辺
平 15.00
均
性別
男性
女性
14.00
13.00
12.00
11.00
1
2
3
調 査 回 数 情 緒 的 消 耗 感
・性別との交互作用なし
・性別による主効果有意
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17
人間同士の共感性
効果
推 28.5
定
周
辺
平 28.0
均
27.5
27.0
26.5
26.0
1
2
調査回数 共感性
3
・主効果が有意
・性別との交互作用なし
・性別による主効果なし
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18
人間の個別性
効果
推
定 11.75
周
辺
平
均 11.50
11.25
11.00
10.75
1
2
調査回数 個別性
3
・主効果が有意
・性別との交互作用なし
・性別による主効果なし
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Okada 図表を含む本文をコピー引用することは固く禁じられています
19
考察
イマジネーション・エクササイズ
テーマ
ストレス低減とセルフイメージ向上
消耗感が軽減され、
脱人格化も改善傾向にあった
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考察
目標設定エクササイズ
テーマ
個人的欲求と周囲との共生
他者との競争にもとづく動機が低減
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考察
コミュニケーション・エクササイズ
テーマ
他者との共感を重視
他者との理解、共感性が増し
他者との個別性が低減
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考察
研究の意義
・身体的健康同様、心の健康も予防的取組み必要
・心の問題となると医療機関に足が向きにくい
心のフィットネス感覚で日常的に受講できるNLP
セミナーが、主観的健康感に与える効果を研究
民間組織が運営するセミナーで
心理学的測定が実施されたことも有意義
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考察
結果を要約すると、バーンアウト領域では、消耗感が軽減され、脱人格化もやや改善の傾向がみられた。そして、達成動機領域では、競争的達
成動機が有意に低下した。また、孤独感領域においては、他者との理解共感性が増し、人と自分は違うという個別性の自覚が軽減された。このこと
にとり、心の健康心のフィットネス感覚のセミナーが主観的健康感に一定の影響を及ぼすことが確認された。
本研究で対象とした、「心のフィットネス感覚のセミナー」では、ストレスを低減させセルフイメージを高めるための、イメージトレーニング的エクササ
イズを行う。分析の結果、対象者の消耗感は軽減され、脱人格化も改善された。特に、情緒的消耗感においては、男性よりも女性の方が、より低減
される結果となった。これは、現役世代の女性が社会生活を営む上で多くのストレスを抱え込んでいるが、セミナー受講を通じて自己開示が促進さ
れた結果、効果が高まったと考察する。また、セミナーで実施されるイメージトレーニング的エクササイズに対して、男性よりも女性の方が、素直に取
り組みやすいという傾向があることも、要因のひとつであると考察する。
セミナーではまた、個人的欲求と周囲との共生をもとにした目標設定のためのエクササイズを行う。分析の結果、対象者は、他者との競争による
達成動機が低下したことが確認された。セミナーで扱うテーマが、共感や共生を重視することから、そのような動機付けが結果に影響を及ぼしたと
考察する。いっぽう、自己充実的達成動機に有意な差がみられなかったことは、セミナーの受講を通じて目標を設定しても、10日間の期間中に結果
が現れなければ、自己の充実感も得られないと考察する。
そして、セミナーでは、他者との共感性を重視したコミュニケーションに関するエクササイズも行う。分析の結果、対象者は、他者との理解共感性
が増したことが確認された。また、人と自分は違うという個別性の自覚が軽減されたことも確認された。これらは、対象者がセミナーを通じて、人と共
感することの大切さに気付き、社会人生活を送る中で身に付いた個人主義による個別性をあらためて修正する結果につながったと考察する。
ストレスを感じる人が多い現代社会。その背景には、社会生活における人間関係の稀有化がある。成果主義による人員削減や競争意識の強化
、個人主義の台頭による転職や非正規雇用者の増加などが、職場での人と人との関係性を薄くしていることが、ストレス増加の一因である。私たち
は、科学技術や市場経済の成長によって、あまり人と人とが深く関わらずとも、問題なく日常生活を送ることができるようになった。そのいっぽうで私
たちは、他者と深い人間関係をもてず、他者との共感もできず、行き過ぎた個人主義にともなう孤独感を感じるようにもなった。 また、現実問題として
私たちの社会では、常に競争を強いられている。
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図表を含む本文をコピー引用することは固く禁じられています
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終わりに
多数の人が、心の健康に不安を感じる現代社会において、人の心をサポートする社会的取り組みは、医療機関をは
じめとした多くの機関でなされている。しかしながら、平成18年中の自殺者数32,155人という数字を考えると、もはや対
処的な取り組みだけでは、追いつかないと考えるのが妥当である。
厚生労働省では、21世紀における国民健康づくり運動として、健康日本21を推進している。その基本方針の第一とし
て、一次予防の重視をあげている。身体的健康において、一時予防が重要であると同様、心の健康においても予防的
取り組みが重要である。心の問題となると医療機関に足が向きにくい国民性を考えれば、気軽にフィットネス感覚で楽
しめるセミナーが、人の主観的健康感に良い影響を与える点で大きな意義がある。そのような考えから、本論文の研究
がすすめられた。
また、民間で実施されるセミナーにおいて、心理学的効果測定をなされた点も、本研究の意義のひとつである。
一般社団法人 感性研究所
感性コンサルタント 岡田裕之
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