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第4章 米国におけるM&Aの動向(PDF形式 40 KB)

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第4章 米国におけるM&Aの動向(PDF形式 40 KB)
☆
第4章
米国におけるM&Aの動向
☆
1.米国のM&Aの特徴
(米国 M&A の全体構造)
ミクロ経済学では、人間や企業は経済合理性に基づいてすべて行動するという強い仮定
を前提としている。米国の M&A の特徴は、日本に比べてミクロ経済学的な観点でM&A 企
業関係者や企業の競争が行われており、非常にロジカルな感じがしている(図表4−1)。
そこで、(1)マーケットというのは効率的である、(2)インセンティブを与えればそ
れを通じて人間や企業は行動するという 2 点を中心に、米国の M&A を考える。
「効率的な
マーケット」とはコーポレート・ガバナンスの話で、株主価値最大化のために経営者は行
動すべきであり、投資家に対する説明責任もあるということである。また、
「インセンティ
ブ」については、交渉の過程で相手をどう口説くか、いかにして競争相手に勝っていくか
ということである。インセンティブについては、ゲーム理論、オークション、ビッディン
グ・スイラテジー、交渉術、契約理論、エージェンシー・コスト等がM&A 関係者のスキル
として挙げられるが、日本ではこうしたロジックでなく非常にアートの世界、つまり自分
の経験や勘で M&A をやっている感じがする。米国を見ると、アートの部分も確かにあるが、
よりロジックにもとづいた考え方を持っているために、M&A が非常に起こりやすくなって
いる。ロー・スクールやビジネス・スクールを出てきちんとした理論や考え方を学んだ人
たちが、若い段階で現場に行ってもそれがきちんと通用し、すぐ実践できる環境にある。
ビジネス・スクール等の人材育成機関も非常に充実し、そこを終えた人たちがすぐ活躍で
きるといった好循環ができていて、ダイナミックな M&A が行われる状況にある。
日本でもロジックの部分が多少は出てきているが、やはりアートに頼るところが多く、
法制度等のインフラは近年非常に整備されてきていても、米国で MBA をとった人が日本に
帰って来てすぐ M&A ができるかというと、そうした能力を活かせる環境にない。M&A 関
係者がロジックにもとづいた考え方を持つようになり、それがマーケットや企業に浸透し
ていくことが、喫緊の課題である。
(日米の M&A の違い)
M&A のプロセスとしては、提案から決断、交渉等が挙げられるが、米国では、例えば
M&A の提案ではロジックにもとづく企業戦略の提案がなされ、お粗末な経営をすればマー
4 − 1
ケットから駆逐されるという中で戦略的な決断をしていかなければならず、交渉の過程で
もインセンティブを盛り込みながらやっていく(図表4−2)
。敵対的 M&A が仕掛けられ
たときの対応も必要であり、M&A をやった後によりよい経営をしていくためのインセンテ
ィブを経営陣や従業員にどう与えればよいかなど、ミクロ経済的な考え方が盛込まれている。
2.米国のM&Aの歴史
米国の M&Aの歴史を簡単に見てみると、
70 年代にコングロマリット化が急速に進んだ。
まったく関係のない分野でも多角化ということでグループに取り込んでいった(図表4−
3)
。当時ボストン・コンサルティング・グループが、マーケットの成長率と企業のマーケ
ット・シェアーとの 2 次元のマトリックスを作り、マーケット・シェアーが非常に高く成
熟しているビジネスから金を集め、それを将来成長しうるビジネスに回すという、内部資
金市場をグループ内に作ることによる多角化を進めるのがよいということを示した。プロ
ダクト・ポートフォリオ・マネジメントと言われているが、こうしたいわば不必要な多角
化に、M&A がよく使われてきた。
しかし 1980 年代になると、資金調達マーケットのほうも効率化してきて、内部でお金を
回さなくても、投資機会があり投資家に対してきちんと説明できるならば、容易に調達で
きるような資本市場が形成されるようになった。そういう中ではコングロマリット化で他
の事業で稼いだお金を回す必要がなく、不必要な多角化は徐々になくなり、更に採算部門
やコアビジネスでない部分は売却するようにもなった。しかし、一方ではこのように資金
調達が容易になったため、乗っ取り屋などが現れ、敵対的な買収を仕掛けたり、株を買っ
て経営者に対しグリーンメールという形で脅しをかけたりという環境が生じた。
グリーンメールは、ブラックメール(恐喝)に対応した言葉で、米国のドル札がグリー
ンなので、M&A を通じて脅すことを言う。
90 年代以降になると、資本市場の効率化も更に進んで、より戦略的な前向きの M&A が
増えてきた。90 年代後半の M&A は非常な爛熟期を迎えたのである。
3.米国のコーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスについて、80 年代の米国の動きを見ると、経営陣による株主
価値の最大化がマーケットの声でそれが徹底されていった時代である(図表4−4)
。株式
市場が経営権実現の場になり、まずい経営をしていると他の人が株を買占め、乗っ取るこ
とによってよりよい経営をしてゲインを得るようになった。経営権移転(コーポレート・
コントロール)が、株式市場という公の場での M&A を通じて行われるようになったのであ
る。
一方、経営陣の考え方としては、株主から経営を預かり、株主価値の最大化を目指すに
4 − 2
しても、一つ一つお伺いを立ててやらなければいけないのか、ある裁量の部分は経営陣が
自由に決められるのかについて、「ビジネス・ジャジメント・ルール(経営判断の原則)」
というものが、判例等を通じて徐々に明確になってきたというのがこの時代である。
また、
「フィデューシャリー・デューティ」といって、経営者は委任をしてくれている株
主に対して忠実に義務を果たす、取締役としてきちんと注意し細心の注意をもって経営す
る義務があるという、経営者としての心構え、行動指針も、判例を通じて徐々に確立して
きた。80 年代半ばころの映画に、会社を買い占めて従業員のことを考えずに転売しながら
利益を得るといったものが流行り、米国でもセンセーショナルな時代であった。そうした
中でも裁判所は当時としてはロジカルな判断をしており、それが判例としてビジネス・ジ
ャジメント・ルールやフィデューシャリー・デューティの考え方の基礎になっていった。
裁判所による判決の有名な例として、80 年代の初頭に起こった Trans Union のケースが
ある。ある買収の提案に経営陣が乗ったわけであるが、それに乗るに当たってどれだけ長
い時間をかけて専門家の意見を聞いたり検討したりしたかを問われたケースである。相手
のオファーが株主にとって本当に良かったのかという訴訟が起こり、取締役としてはきち
んとした注意義務を果たさなければいけないということが示された。
また、化粧品の会社で有名な Revlon の 86 年半ばに起こったケースでは、ヘレルマンと
いう乗っ取り屋に買収をかけられ、経営陣がそれに対抗してあるホワイトナイトを探して
きたところ、裁判所から本当にホワイトナイトの提案のほうがいいのかをきちんと検討し
たのかと言われ、会社が一度売りに出された場合は、会社は株主にとって一番いい条件の
ほうを選択しなくてはいけないという判決が出ている。その判決では、会社を売りに出し
たということは、売りに出したという直接的なメッセージがない場合は、持株比率がマイ
ノリティである場合か、またはホワイト・ナイトを探しにいくなど経営する意思を放棄し
たとみなされる行為をしたときであるとしており、そのようなときはオークションなどが
必要だということである。
現在 AOL タイムワーナーになっているが、昔 TIME という雑誌を作っていた会社とワー
ナーブラザーズという映画会社が友好的な合併を公表したところ、パラマウントという映
画会社がタイムに対し敵対的な買収を仕掛けてきた。タイムとワーナーブラザーズの持株
比率でいうとタイムはマイノリティになるので、タイムは、Revlon のケースで言えば売り
に出されたことになり、株主のためにパラマウントとワーナーのどちらの条件がいいのか
選択した行動をしなくてはいけないことになる。そこで、タイム経営陣は相当のお金を借
り入れてワーナーブラザーズを買収することにしたということである。
米国では、こうした形で、判決を通じて M&A に対する考え方が展開されてきた。
4.敵対的M&Aの防御策
敵対的 M&A の防御策として経営陣が採る対策には、ポイズン・ピル(Poison pill)
、ス
4 − 3
タッガード・ボード(Staggered board)
、コントロール・クローズ(Control clause)
、ゴ
ールデン・パラシュート(Golden Parachute)などがあり、これらをあらかじめ会社に埋
め込んでおく(図表4−5)
。ポイズン・ピルは、他の会社が買収してきたら既存の株主に
安い価格で株を割り当てて、買い占めを難しくすることである。スタッガード・ボードは、
取締役の任期が 2 年の場合、任期をずらしておいて買収に遭っても買収側役員ばかりにで
きないようにするものである。コントロール・クローズは、経営権が変わったら何か非常
な不利益を被るような契約を第三者と結んでおくもの、ゴールデン・パラシュートは経営
陣が巨額な退職金をもらえるようにしておいて、敵対的買収に遭ったらそれをもらって辞
めるというものである。
また、敵対的買収の事後の策としては、リティゲイション(Litigation)といって、「法
制やディスクロージャーのルールに則って行動しているか、独禁法に触れるのではないか」
といって、訴訟に持ち込むもので、パックマン・デフェンス(Pac-Man defense)は、買収
を仕掛けてきた会社を逆に買収してしまう、ホワイト・ナイト(White knight)は自分に
友好的な相手を探してくることである。グリーン・メイル(Greenmail)に応じるとは、脅
してきたらそれにお金を払って追い出すとか、相手が望む自社の魅力的な部門を他社に売
却して、魅力的でなくしてしまうというものである。
これらの対応策は株主のためにならないのではないかとの疑問が生じるかもしれないが、
敵対的買収者が嫌がることをあらかじめ盛込んでおくことで、交渉に際して株主にとって
より有利な条件を引き出せるようにしているので、自分は株主のために精一杯やっている
ことを示せるというロジックである。
5.インセンティブ理論に基づくM&A手法
インセンティブ理論に基づく手法について見てみよう(図表4−6)
。
オークションでは、破綻した企業やできるだけ好条件で会社を売りたいという場合、次
のような形でオークションを行う。初め例えば 5 社に簡単な概要のようなものを出し、手
を上げたところにより詳しい資料を渡して 3 社に絞り、更に絞り込んで詳しく交渉してい
くといったように、段階を分けることを行う。1 社に絞り込んだ段階でも、相手にはもう 1
社買いたがっている会社があるという素振りを見せて、競りあがらせるいといった行動も
とることがある。二段階ビッドでは、ファーストビットである程度に絞り、セカンドビッ
トでさらに絞っていく。
買い手のほうも他の買い手が本当に居るのかを見極めるためにいろいろ探ったりする。
そういう泥臭い駆け引きも行われている。
ブレークアップ・フィーについては、ファイザーとワーナー・ランバートのケースが有
名である。ワーナー・ランバートとアメリカン・ホームプロダクツは友好的合併を発表し
て後、ファイザーによる敵対的買収を仕掛けられて、もとの合併をブレークアップ、解消
4 − 4
したが、それに当たって 2,000 億円くらいのお金をワーナー・ランバートは相手方のアメ
リカン・ホームプロダクツにブレークアップまたはターミネーション・フィーとして支払
ったというケースである。そうした契約を経営者は結んでいいのかが問題になったが、敵
対的な買収が遭ったときより良い条件を勝ち取るためにそうしているとして、交渉策とし
てのブレークアップ・フィーを裁判所にも認めさせたというケースである。
アーンアウトというのは、段階的取得という形で行われる時によく用いられるものであ
る。一度に対象を 100%買収するのではなく、初めは例えば 50%だけ取得し、翌年これだ
けの利益が達成できたら残りをこの値段で買い取るということをディールの際に盛込むこ
とにより、売り手側にインセンティブを与えるやり方である。
LBO は、多額の資金を調達し、経営陣自らが株を持って経営するもので、そうすれば株
主の利益と経営者としての自分の利益が一致し、よりインセンティブを持った経営が行わ
れるようになる。したがって、ファイナンスの理論で言う両者の利益が一致しないことに
よるエージェンシー・コストが解消される仕組みになると言われている。
6.ケース・スタディ
ケース・スタディとしてファイザーによるワーナー・ランバート買収の経緯を見る(図
表4−7)
。
ファイザーは世界でも一、二を争う製薬会社で、ワーナー・ランバートという会社と販
売提携を結んでいた。1999 年の終わりに突如、ワーナー・ランバートがファイザーに断り
もなく、これも大きな製薬会社であるアメリカン・ホームプロダクツと友好的な合併を発
表した。ファイザーとしては非常に売れているワーナー・ランバートの薬の販売がなくな
ってしまうのではないかということを恐れ、数時間後にすぐさまワーナー・ランバートに
対して敵対的買収を仕掛けた。ファイザーは、ワーナー・ランバートの経営陣は株主にと
っていい判断をしていない、ファイザーのほうが高いオファーを出しているのに、ワーナ
ー・ランバートの経営者は自分の保身のためにアメリカン・ホームプロダクツとの友好的
合併を推進しようとしているといって訴訟を起した。一方、ワーナー・ランバートのほう
も逆に、ファイザーが自分を買ったら独禁法に触れるとか、ファイザーとワーナー・ラン
バートの間の薬の販売に関する委託契約には敵対的買収はしないと書いてあるなどと主張
して、訴訟合戦が繰り広げられた。
年が明けると、機関投資家からワーナー・ランバートに対する批判が噴出し、ワーナー・
ランバートはなぜアメリカン・ホームプロダクツとの合併に拘るのかというマーケットの
声が非常に大きくなった。ここでワーナー・ランバートとアメリカン・ホームプロダクツ
の連合は、医薬に興味を持つであろう P&G という大きな企業との 3 社合併の提案をした。
4 − 5
つまりファイザーに取り込まれるよりは自ら主体となって P&G と統合したほうがいいと
いうことで、いわゆるホワイト・ナイトを求めた。この発表があった後P&G の株価は暴落
したが、P&G はこの合併にどれだけシナジーがあるか疑問をもち、戦略的判断のもとこの
合併から離脱した。ファイザーのほうも買収条件をアップして、ワーナー・ランバートは
ファイザーの買収契約に同意し、合併が実現した。
こういったディールの事例はたくさんあるが、これが有名になった一つの理由は、ワー
ナー・ランバートとアメリカン・ホームプロダクツの友好的な合併の解消に際し、約 2,000
億円の違約金を相手側に支払うとの合意が実行され、ファイザーもそれを了解したからで
ある。
7.米国の手法を日本で適用できるか
このように、米国ではダイナミックに M&A が行われてきており、ダイナミックであって
もロジックがきちんとしているように思われる。そしてビジネス・スクールやロー・スク
ールで学んだ知識がそのまま実践で役立ち、人材が育って、またそれを受け入れる経営陣
やマーケットもできてきているので、M&A 市場が活発になっていると言える。
こうした仕組みが日本でそのまま適用できるのかといえばそこは疑問がある。米国のよ
うにいかないのはやはり文化的背景によることもあるが、徐々には変わってきている。し
かし、100%アートに頼るような M&A しか日本で行われないようであれば、先行きは非常
に暗いのではないか。米国までとはいかないまでも、ロジックにもとづく部分が少しずつ
大きくなって M&A がより活性化、活発化していくのではないか。
マーケットの効率化という面を見ても、日本のマーケットは効率的でないとはいえ、徐々
にそういう方向に進んでいることは確かである。例えば取引コストという意味では、昔は
本当に高い取引コストであったが、いまはネット証券等普通の個人投資家でも非常に安い
取引コストで売買でき、情報の非対称性という意味でも、昔はインサイダー的な情報が横
行していたが、インターネット時代になって情報の非対称性も相当薄くなってきている。
また説明責任という意味では、機関投資家も預かっている資金の出し手に対しての説明に
おいて、米国のようにとはいかないまでも、全世界的にそのような方向に向かっている。
(注)本章は、M&A 勉強会における講演等に基づき事務局でまとめた。
4 − 6
図表4−1
米国M&Aを読み解く全体構造
• ミクロ経済学的観点の浸透(経済合理性仮説)
– 効率的なマーケット
•
•
•
•
コーポレートコントロール
コーポレートガバナンス
株主価値最大化
アカウンタビリティ etc
アメリカのM&Aの特長
企業戦略論、ファイナンス理論、
交渉戦術等において、ミクロ経
済学的観点のロジックを応用し
たプロセスでM&Aを進行
– インセンティブ
•
•
•
•
•
•
ゲーム理論
オークション
ビッディングストラテジー
交渉術
契約理論
エージェンシーコスト etc
図表4−2
日米のM&Aの違い
• M&Aプロセス
提案
決断
交渉
防御
リスク
ヘッジ
インセン
ティブ
• M&A関係者のスキル
アメリカ
日本
日本のM&Aの将来
アート
日本におけるM&Aマーケットの
拡大には、数少ないM&Aの天才
の“
アート”に頼るよりは、よりロ
ジックに基づいた考え方のできる
M&A関係者の増大(人材育成)
が不可欠
アート
ロジック
ロジック
4 − 7
図表4−3
アメリカのM&Aの歴史
• 1970年代のコングロマリット化
– M&Aによる不必要な多角化
– Cashが競争優位の源泉に
• 1980年代のコングロマリット解体
– 資本市場マーケットの効率化
– 不採算(ノンコア)事業の売却
– コーポレートレイダーによるグリーンメイルや敵対的M&A
の隆盛
– フィナンシャルバイヤーの登場
• 1990年代以降、戦略的M&Aの進展
図表4−4
アメリカのコーポレート・ガバナンス
• 経営陣による株主価値最大化の徹底
– 株式マーケットが経営権移転の場(
コーポレートコントロー
ル)
に
– ビジネスジャッジメントルール(
経営判断の原則)とフィ
デューシャリーデューティー(
忠実義務・注意義務)
の確立
• 裁判所による判決のバックアップ
– Trans Unionのケース
• 取締役会の長時間化と専門家によるフェアネスオピニオン
– Revlonのケース
• 会社が一度売りに出されたら、経営陣は、株主にとって一番いい条
件を引き出すよう努力する必要
4 − 8
図表4−5
敵対的M&Aの防御策
• 事前の策
–
–
–
–
Poison pill
Staggered boards
Control clauses
Golden Parachutes
• 事後の策
–
–
–
–
–
Litigation
Pac-Man defense
White nights
Greenmail
Scorched earth policy
図表4−6
インセンティブ理論に基づく手法
• オークションとビッディングストラテジー
– クローズドオークション
– 二段階ビッド
• ブレークアップフィーやロックアップオプション
– 相手方からより有利な条件を引き出すための交渉策
– 敵対的M&Aの防御策の一種
• アーンアウト
– 段階的取得と売り手のインセンティブの維持
• LBOとエージェンシーコスト
– 負債の規律とマネジメントのインセンティブの維持
4 − 9
図表4−7
ケーススタディー
• ファイザーによるワーナーランバートの買収経緯
ワーナーランバート(WLA)
とアメリカンホームプロ
ダクツ(
AHP)
との友好的合併を発表
数時間後 ファイザーによるWLAの敵対的買収を発表
12/16/99 ファイザーによる訴訟
12/17/99 WLAによる逆訴訟
1/上/00
機関投資家によるWLA批判
1/19/00
WLAとAHPは、P&Gとの3社合併を模索
1/25/00
P&Gの離脱
2/上/00
ファイザーの買収条件アップ
2/7/00
ファイザーによるWLAの買収合意
その後
WLAとの契約に基づき、AHPは18億ドルのブレー
クアップフィーを取得
11/4/99
(注)以上の図表は、
(株)レコフ社の資料等を事務局で編集。
4 − 10
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