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福祉総合学部 現場実習
福祉総合学部では社会福祉士,精神保健福祉士,介護福祉士の国家試験受験資格,保育士の国家資
格取得のための実習を行っている。
平成22年度の実習実施状況は,以下のとおりである。
<社会福祉士:
「ソーシャルワーク実習/社会福祉援助技術現場実習」状況>
1.実習生数
2年生
3年生
4年生
26
15
19
合計 60名
2.施設数 41 施設/延べ46 施設
3.実習先施設内訳
行政機関・事務所・病院
2年生
3年生
4年生
児童相談所
−
−
−
社会福祉協議会
−
−
1
福祉事務所
−
−
−
病院
−
−
−
−
−
1
2年生
3年生
4年生
児童養護施設
−
−
−
児童自立支援施設
−
−
−
重症心身障害児施設
−
−
1
知的障害児施設
1
2
1
合 計
児童福祉施設
─ 33 ─
肢体不自由児施設
−
−
−
児童デイサービス
−
1
−
1
3
2
2年生
3年生
4年生
−
2
−
−
2
−
2年生
3年生
4年生
視覚障害者更生施設
−
−
−
身体障害者療護施設
−
1
2
身体障害者授産施設
−
−
−
重度身体障害者授産施設
−
−
−
合 計
−
1
2
2年生
3年生
4年生
知的障害者更生施設
5
−
5
知的障害者授産施設
−
2
3
障害者支援施設
5
−
−
10
2
8
2年生
3年生
4年生
特別養護老人ホーム
10
3
6
養護老人ホーム
−
−
−
デイサービスセンター
3
2
1
老人保健施設
2
1
−
15
6
7
合 計
婦人保護施設
婦人保護施設
合 計
身体障害者福祉施設
知的障害者福祉施設
合 計
高齢者施設
合 計
─ 34 ─
<精神保健福祉士:
「精神福祉援助技術現場実習」状況>
1.実習生数
3年生
8名
2.施設数 8 施設
3.福祉施設実習内訳
3年生
精神科医療機関
4
保健所
1
精神障害者社会復帰施設
3
合 計
8
<保育士:「保育実習」状況>
1.実習生数
2年生
3年生
4年生
18
17
34
合計 69名
2.施設数 50 施設/延べ55 施設
3.実習先施設内訳
福祉施設
3年生(保育実習Ⅱ) 4年生(保育実習Ⅳ)
児童養護施設
2
5
知的障害児施設(入所)
0
2
─ 35 ─
知的障害児通園施設
0
6
重症心身障害児施設
1
1
知的障害者更生施設
11
7
乳児院
2
0
児童自立支援施設
0
1
障害者支援施設
1
0
肢体不自由児通園施設
0
4
合 計
17
26
保育所
2年生(保育実習Ⅰ) 4年生(保育実習Ⅲ)
保育所(公立)
14
7
保育所(社会福祉法人)
1
1
保育所
(特定非営利法人)
1
0
認定子ども園
2
0
18
8
合 計
─ 36 ─
<介護福祉士:「介護実習」状況>
1.実習生数
1年生
2年生
3年生
31
16
19
合計 66名
2.施設数 33 施設/延べ39 施設
3.実習先施設内訳
障害福者祉施設
1年生
2年生
3年生
−
8
2
−
8
2
1年生
2年生
3年生
特別養護老人ホーム
19
5
13
老人保健施設
12
3
4
31
8
17
1年生
2年生
3年生
−
−
19
−
−
19
障害者支援施設
合 計
高齢者施設
合 計
居宅介護
訪問介護事業所
合 計
─ 37 ─
社会福祉士実習レポート
[2年 ソーシャルワーク実習]
坂本 遥子
実 習 種 別:知的障害者通所更生施設
実習施設名:でい・さくさべ
実 習 期 間:Ⅰ期 10月6日∼10月23日,Ⅱ期 11月24日∼12月10日
1.実習内容
Ⅰ期では,
『カシオペア』というパートを担当した。カシオペアの利用者は,ほとんどの方が言語
コミュニケーションに関しては可能である。そこから会話をしながら利用者との関係構築をし,その
中からその方の抱える問題や不安なことを知る,ということを実践した。一人ひとりの特徴をつかみ,
個人に合ったコミュニケーションをとることに注意した。Ⅱ期では,
『木の実』というパートを担当
した。Ⅰ期に比べ,重度の障害を持つ利用者が活動するパートである。そこでは,一人の利用者に焦
点を当て,一緒に活動することで,より深く理解ができるように努力した。また,食事介助,着替え
介助を職員の方の指導を受けながら行った。すべて介助してしまうのではなく,利用者一人ひとりの
能力に合わせ,
ジェスチャーなどで次の行為を伝え,見守るという支援をした。言語コミュニケーショ
ンが難しい利用者がほとんどなので,表情やジェスチャー,写真や絵などで,こちらの伝えたいこと
を理解してもらうようにして,利用者の安全を確保しながら,一緒に活動して利用者の持っている力
や課題を発見する,という方法を実践した。
2.実習のテーマと取り組み
Ⅰ期のテーマは①『施設の組織・運営体制の理解と,地域との関わりの把握』,②『知的障害を持っ
た方とのコミュニケーション方法を学ぶ』の2つである。①のテーマへの取り組みとして,まず事前
に施設の概要と職種について調べた。実習中は,担当者との毎日の面談において,他パートの職員,
他職種との連携について積極的に質問し,
職員の動きを良く見て,他の職員とどのような関わりを持っ
ているかを考えた。情報を交換し,共有することにより,利用者への支援が円滑に行われていること
が分かった。一方,相談支援専門員や看護職員の業務の様子を見たり聞いたりすることが余りできず,
詳しく知ることができなかった。②のテーマへの取り組みは,職員から利用者について伺い,そこか
ら,自分なりにどのような関わりが良いのかを考えて行動に移してみた。そして,利用者の反応がど
うだったか,なぜ自分がそうしたのか,次にどうしたらいいのかなどを自分で観察して,考えたこと
─ 38 ─
を職員に報告した。そうすることで適切に情報を判断して行動に移せているのか絶えずフィードバッ
クしてもらい,
支援者としての自分の行動を修正した。Ⅱ期のテーマは①『社会福祉士の役割を学ぶ』,
②『利用者のニーズ・課題の理解,援助の過程の理解』の2つである。①への取り組みとしては,担
当の職員にお話しを伺った。すると,社会福祉士の資格を持っていても,対人援助の基本は他の職員
と同様であること,あくまでも資格は専門職としての入り口に過ぎないことを教えてもらった。次に,
相談支援を担当する職員の動きを良く見て,どのような支援をしており,家族や地域住民とどのよう
に関わっているかを理解するようにした。②への取り組みは,利用者とのコミュニケーションや一緒
に活動に取り組む中で,どのようなニーズや課題を持っているかを発見し考えるように努めた。更に,
利用者がこれまでどのような支援を受けてきたか,どのようなことができるようになってきたかを職
員に伺い,今後の目標や必要な支援を考え,それを職員に伝えることをした。自分でまず考えること,
利用者のニーズ・課題を深く理解することで,その方に合ったよりよい支援ができた。
3.考察
この実習では,利用者の話に耳を傾け,受容的な態度を常に心がけて臨んだ。Ⅰ期に担当したカシ
オペアには,日常生活で困っていることや悩みを話してくれる利用者が何人かおり,自分としては信
頼関係を構築し,利用者理解を深めることができていると感じていた。しかし,K さんという利用者
は実習生の私の気を引こうとして話を膨らませ,現実ではない話をどんどんエスカレートしてしまう
ことがあった。自分が頷きながらずっと聞いていたからだ。しかし,職員からはうまく気をそらせて
あげると良いと指導を受けた。K さんがどんな方か,K さんが興味のあることは何か,ということを
知らなかったために,話を膨らませてしまうことにつながったのだと思う。このことだけでなく,実
習全体を通して,講義で学んだことや職員の方から伺った情報にとらわれて,その場その場の対応,
利用者一人ひとりに合わせた対応ができていなかった。普遍的な知識を身に付けることは大切だが,
その知識だけで利用者を見るのではなく,個別性を重んじることが重要で,それができて初めて信頼
関係を構築できることを学んだ。
4.実習の評価と今後の学習課題
この実習を通し,支援者としての自己を理解することができた。利用者と接するときにどういった
気持ちを抱くか,利用者の反応に対しどう対応するか,など,毎日自分と向き合うことで,長所と短
所を発見した。最初は,
『こうして欲しい』という気持ちが大きく,活動に取り組むようただ促すだ
けの支援しかできず,利用者をイライラさせてしまうことがあった。しかし,今やることだけが大切
なのではなく,その方の未来につながる支援をしなくてはいけないことを痛感した。
利用者理解については,多くのことを実践し学ぶことができたが,他職種間の連携や相談支援につ
いては,突っ込んだ質問ができず,事前に立てた実習目標を達成できたとは言えない。相談員の方と
もっとお話する機会を作れればよかったと思う。今後は,相談支援について知識を深め,様々な機関
で活躍するソーシャルワーカーの技術,他職種・他機関との連携について学びたい。
─ 39 ─
[3年 社会福祉援助技術現場実習]
小松 慎司
実 習 種 別:身体障害者療護施設
実習施設名:聖マリア園
実 習 期 間:Ⅰ期11月15日∼11月29日,Ⅱ期12月6日∼12月20日
1.実習内容
今回は身体障害者療護施設聖マリア園で実習し,利用者の生活支援を中心に実習を行った。内容は,
食事介助,排泄介助,入浴介助,夜勤業務など日々利用者と直接関わることが多かった。入浴介助で
は特浴・チェアー浴の介助に携わり,排泄介助ではトイレ誘導・居室での排泄を行い,食事介助では
利用者の食事の準備や実際に食事介助を行った。また今回は早番,日勤,遅番,遅遅番,夜勤と毎日
違った時間での実習を行い,1日の生活を様々な時間帯から把握することができた。
生活支援をしていく中で介護技術の取得と,利用者との関わり・コミュニケーションについて学ぶ
ことができた。
2.実習テーマと取り組み
テーマとしては,第Ⅰ期「施設での1日の業務の流れから機能訓練・社会福祉援助の実際を学ぶ」
,
第Ⅱ期「ひとりひとりの利用者にあったケアと援助の方法を学ぶ」の2つを挙げた。
まずⅠ期の「施設での1日の業務の流れから機能訓練・社会福祉援助の実際を学ぶ」という課題に
ついては,早番,日勤,遅番,遅遅番,夜勤と毎日違った時間の勤務を体験し,1日の生活を様々な
時間帯から把握できるとともに,出勤時間によって職員の勤務内容も異なるので,様々な時間帯の仕
事内容や職員の連携などを学ぶことができた。また,日勤者から夜勤者へまたは夜勤者から日勤者へ
の利用者の体調・排便・日々の様子の引き継ぎを見学した。利用者を職員・看護師その他関係機関が
いかに連携し支援をしていくのか直に見て学ぶことができた。日夜利用者と関わっていくにあたり施
設職員の一本化した勤務体制が把握でき,さらに利用者の機嫌の良し悪しなどの介助以外の日常支援
の内容も引き継がれており,実際に利用者と関って行く中で気を使うことができ,利用者を不快にさ
せない支援を行えた。施設での生活を支えるにあたり利用者の望む介助・支援の提供はもちろんのこ
と,利用者の気持ち・心に配慮した計画も立てられているのだと知ることができ,勉強になった。
Ⅱ期の「ひとりひとりの利用者にあったケアと援助の方法を学ぶ」という課題ではケースを体験し,
1人の利用者限定ではあるが,個別支援計画を立てた。そこで業務日誌やケース記録を閲覧し,それ
ぞれの記録の方法について理解を深められた。また,ケースを担当した利用者と話し,実際に利用者
が抱えている悩みなどを聞くことができた。実際に計画立案を体験し,様々な問い掛けを行うことで
利用者の望むニーズが見えてくることを知った。ケースを担当した利用者は普段の会話の中で「もっ
─ 40 ─
と施設での生活に楽しいことがあればいいのに」と言っていた。利用者の求める楽しい生活とはなん
なのかと考え,利用者に好きなものや趣味などの話,今日はどんなことをしたかなどの単純な話だが
多くの話の話題を振り,利用者の趣味や好きなことが徐々にわかっていき,日々の生活で趣味を楽し
み生活に刺激を持てるような計画をたてることができた。質問の方法や,利用者の望む支援を探る方
法を自分なりであるが考えられ,私なりの考えであるが,利用者の快適な生活について計画立案が出
来たのではないかと思う。
3.考察
ある中年男性の利用者が障害を負ってしまった後悔を話してくれた。その利用者はいつも私に気さ
くに声をかけてくれ,様々な介助を行う際も「小松くんお願い」と任せてもらえていたので,ある程
度信頼されていたのだと思う。いつものようにその利用者と会話をしながら水分補給の介助を行って
いた。話の内容は利用者の過去の話になり,ある事件に巻き込まれ障害を負ってしまったと話してく
れた。その際「俺なんてあの時に死んでいればよかった。
」と利用者が胸の内を明かしてくれた。し
かし,私は突然のことで動転してしまい,ただ「そんなことないですよ。」としか声を掛けられなかっ
た。この利用者は障害を負って約20年位たっているが未だに当時のことや,現在の生活が受け入れら
れていないようだった。この経験から利用者には様々な悩みや葛藤があることを改めて実感した。日
常生活支援とともに,その人の人生や,生き方などにも社会福祉士は関わる仕事をするのだと改めて
理解した。それと同時に,責任の重さや,求められる知識,能力,技術はとても高いものだと知った。
4.実習の評価と今後の学習課題
今回の実習ではさまざまなことを学び,多くの貴重な体験をした。施設での利用者の生活の様子や
障害についての理解など,実習を通し利用者との関わりの中でさまざまな視点から学ぶことができた。
療護施設は利用者の生活の場であり,その生活・人生にどのように関わり支えていけるのかが大切
なのだと感じた。日々の生活の中で利用者から多くの要望が上がり,利用者の求めるニーズは多種多
様で,その多くのニーズに応えていくことは簡単なことではない。日々の引き継ぎで出た問題点や,
利用者からの介助・支援の訴えなどから,職員の方々が意見を出し合い,利用者の家族と話し合い,
さまざまな機関が関わり,利用者を支えているのだと改めて気づくことができた。施設でのより実践
的な支援を学べた実習となった。
─ 41 ─
精神保健福祉士実習レポート
[3年 精神保健福祉援助技術現場実習]
小松 奈菜実
実 習 種 別:指定障害者支援施設
実習施設名:こころの風 元気村
実 習 期 間:Ⅰ期 10月4日∼10月20日,Ⅱ期 11月15日∼12月1日
1.実習先概要
運 営 主 体 社会福祉法人うぐいす会
職 員 構 成 10名 施設長・サービス管理責任者1名/医師1名(非常勤)/生活支援員8名
利用者状況 登録者数19名 体験利用者1名 男性11名 女性9名
利用者の年齢は30代が多く,身体障害者・精神障害者を受け入れる施設であるが,知
的障害者・精神障害者が主である。統合失調症である利用者が多い。
利 用 定 員 21名
2.実習プログラム
・Ⅰ期
1日目~2日目 一泊旅行
3日目 施設内実習(職員間のカンファレンスに参加)
4日目 ありがとう(日中活動先)にて調理・余暇活動
5日目 千葉東霊園(就労支援活動先)にて清掃業務,施設内実習
6日目 受診同伴(クリニック受診)
,買い物同伴
7日目 ディライトフルフェスタ
(千葉県内の精神障害者のためのバレーボール大会)に参加
8日目 施設内実習(利用者と会話)
,グループホーム同伴
9日目 千葉東霊園(就労支援活動先)にて清掃業務,施設内実習(嘱託医面談)
10日目 受診同伴(病院受診)
,ケア会議参加,施設内実習(ケース記録の閲覧)
11日目 施設内実習(施設見学対応)
,就労生活定着支援センター見学同伴
12日目 施設内実習(職員間のカンファレンスに参加)
─ 42 ─
・Ⅱ期
1日目 ありがとう(日中活動先)にて調理・余暇活動
2日目 受診同伴(病院受診)
,ありがとう(日中活動先)にて余暇活動
3日目 施設内実習(消防訓練)
,買い物同伴
4日目 受診同伴(病院受診)
,買い物同伴
地域活動支援センターにて面談同伴
5日目 受診同伴(病院受診)
,施設内実習(嘱託医面談)
6日目 千葉東霊園(就労支援活動先)にて清掃業務
受診同伴(病院受診)
,買い物同伴
7日目 施設内実習(職員間のカンファレンスに参加)
8日目 スポーツ
(千葉県障害者スポーツレクリエーションセンターにてスポーツ)
9日目 受診同伴(病院受診)
,買い物同伴,金曜会(施設内にて調理)
10日目 地域活動支援センターにて面談同伴
ありがとう(日中活動先)にて余暇活動
11日目 施設内実習(職員間のカンファレンスに参加)
3.実習の成果および考察
実習Ⅰ期におけるテーマは,精神保健福祉士の役割を学ぶことであった。こころの風元気村は,自
立を促す施設であるため,外出などの際には,可能な限り,利用者自身で各種交通手段を用い,行っ
ている。自炊や洗濯・掃除等においても,自立訓練を目的に,利用者自身で行っていることを知るこ
とができた。さらに,利用者のAさんの場合には,強迫行為があるため,自炊や洗濯をする際に,他
利用者よりも多くの時間がかかるため,集団で暮らしていくことの難しさを知ることができた。私自
身の支援観として,「 障害をもつ人=やってあげる」という考えがあったが,職員より,「本人ので
きることは,やってもらうという姿勢を持つことは,本人の力を信じる支援者の大切な価値である」
という助言をうけ,その後は,そのような価値を感じつつ,実際の実習を行うことができ,大きな実
りとなった。また,職員間のカンファレンスに参加した際には,研修等の報告を受けることができ,
支援者として常に学んでいく姿勢を感じた。
実習Ⅱ期におけるテーマは精神障害を持つ実際の利用者を理解するという点であった。利用者は主
に統合失調症をもっているが,同じ障害や病気を抱えていても,その症状や病状は様々で,
(確認行
為の頻度や方法,妄想・幻覚の種類や多少の差等)それらを抱える上での生活のしづらさや困難性に
おいても,利用者ごとに様々であった。その点においては,職員より,助言として,「 ひとつの事業
所でその業務に携わり続けていると,その事業所の利用者がその障害のスタンダードであると考えが
ちになる 」 という説明をうけた。そして,私自身の実りとしては,「 個別化 」 を改めて認識すること
ができた。そして「個別化」は,利用者理解の実際の姿勢や価値として重要であることを学んだ。
─ 43 ─
実習全体の考察としては,援助者の倫理観や価値観が,そのまま支援やかかわりに反映されるという
ことを強く感じた。支援者の意見や助言を鵜呑みにしてしまう利用者も多く,私自身の善悪や優劣の
判断が,援助に直接,関わってくるため,自分の価値や倫理を見直し,自己覚知の必要性を常に感じ
つつ,実習を行った。
4.今後の課題について
実習期間中は,
就労における,
実際の利用者を理解する場面が多くあった。特に大きな気づきとなっ
た点は,私自身,障害を持つ人は,すべての人が働きたいという就労意欲があるものだと思っていた
が,実際には,退所後の目標が就労ではないケースを知ることができた。そして,障害を持つ人は例
え働かなくとも,その人らしく生きる権利を持っており,それぞれの目標を目指して生活するために,
援助者として何ができるかを考えることが,今後の支援の在り方として必要であるこという助言をう
けた。また,今行っている支援が正しいのかを問う姿勢を持ち続けることが必要であることに気づい
た。さらに,支援者の価値として,障害者だけが 「 チャレンジド 」 と言われる世間の風潮に対して疑
問を持つ姿勢が必要であるという助言をうけた。また,普段の生活だけではなく,イベントや行事の
際にも,それぞれの職員が目標をもってかかわっている場面を見学できたことや,支援を行っていく
中で,悩み,迷っている場面を見学できたことで,支援には正解や終わりがなく,向上心や学びの姿
勢が必要であるということを感じ,対人援助職への展望を見出すことができた。
さらなる,今後の課題として,自立訓練の施設だけではなく,その他,様々な機関での役割や支援
について知る必要があると感じた。なぜなら,精神保健福祉士として多くの社会資源について知識が
あるということは,選択肢が広がり,要援助者に対して,幅広い支援を行うことができるのだという
気づきがあったからである。今後は,そのような機関の役割や支援を含め,法律や制度についての知
識も得ていかなければならないと感じた。
─ 44 ─
保育士実習レポート
[2年 保育実習Ⅰ]
後藤 有里
実 習 種 別:保育所
実習施設名:白旗保育所
実 習 期 間:11月8日∼11月20日
1.実習施設の概要
所在地・・・千葉市中央区白旗
設置主体名称・・・千葉市
運営主体名称・・・千葉市
開設・・・昭和24年
職員数・・・所長1名,主任1名,保育士13名,看護師1名,栄養士1名
調理人1名,用務員1名,非常勤保育士9名
入所定員・・・0,
1,
2歳児75名,3,
4,
5歳児104名
保育方針・・・心豊かな人間性を育み,心身ともにたくましく生きる力が身に着くように援助し,
安定した生活が出来るようにする。
子どものありのままの姿を受容し,丁寧なかかわりをもちながら信頼関係作りをす
る。一人ひとりに合った丁寧な援助をし生活習慣の確立を目指す。
保育の特色・・・ボランティア「民話の会」
「お話はなかご」の方々による紙芝居・おはなし会・
おにぎり遠足・クッキング保育・運動遊びの保育参加・2歳児,以上児のマイコッ
プ・水筒持参・未満時のお尻はお湯で洗う,など…
2.実習で取り組んだ内容
1日目:0歳児
食事や着替え,午睡などの手伝い。オムツ(排泄)の確認。体温を計る。
1日の生活を一緒に過ごして,とても可愛くて癒されたが,あまり慣れていないせいか,
赤ちゃんを抱っこしたときは緊張した。
2日目:1歳児
0歳児と比べて,とても成長したのが分かる。もちろん,成長には個人差はあるが,ご飯
─ 45 ─
を食べることや衣服をしまうことなど少しではあるができるようになっている。
3日目:2歳児
自分でできることが増えていて驚いた。しかし,どこまで自分ででき,できないのかの判
断が難しかった。
4日目:給食室
清潔さを保ち,言葉を掛け合いながら安全に作業を行っている。
5日目:3歳児
自分のことは最低限自分でやるという前向きな姿勢が見られる。
6日目:未満児
7日目:4歳児
自分の感情を表に出し,身体で表現している姿が見られる。
8日目:5歳児
自分のことは自らやり,周りのことも考えて行動している姿が見られる。
9,10,11日目:3歳児
12日目:以上児
3.実習の目標と達成状況
今回は初めての保育実習にあたり,実際の保育所での生活を体験しながら,保育所保育の基本的な
事柄を中心に学んでいく。
・保育所の1日の生活の流れ
登所から降所,そして食事や午睡などの1日の流れについて学ぶ。一人一人の生活の流れについ
ても観察をする。
・子どもの観察
子ども一人一人の異なる発達や特徴などを観察し,理解をし,その子どもにあった援助について
実践を通して学ぶ。
・保育士
1日の生活の中で保育士の動きをよく観察し,各場面での子どもへの援助や配慮を学ぶ。
以上のことを目標に2週間,自分なりに頑張ることができたと思う。
4.学んだこと・反省点・今後の課題
2週間の実習は一つ一つのことが初めてで,新しい発見ばかりだった。
3歳未満児はまだ言葉で伝えることができないので,子どものサインに早く気づき代弁すること
や,発達や個人差が大きいので一人一人の成長する過程を知り,発達に応じて適切に対応することが
大切だと思った。3歳以上児とはスムーズに関わることができた。しかし,自分の気持ちを保育者に
─ 46 ─
伝えられる子どももいれば,なかなか伝えられず,仕草や表情などで気持ちを伝えてくる子どももい
る。毎日の生活の中で,一人一人を把握して,子どもの変化に気づくことも大切だと思った。
今後の実習では今回の実習を生かし,もっと積極的に子ども達と関わり,子どものサインにいち早
く気づけるようになりたい。
[3年 保育実習Ⅱ]
佐藤 由季
実 習 種 別:乳児院
実習施設名:聖愛乳児園
実 習 期 間:10月4日∼10月16日
1.実習で取り組んだ実践の概要
実習の前半は1歳6か月以上の子どものクラスに入り,保育に参加しながら1日の流れを覚え,環
境整備や生活介助,遊びの目的について学んだ。環境整備はベッドメイキングや玩具消毒を行い,生
活介助はおむつ交換や着替え,おやつの介助などを実際に子どもと関わりながら実践し学んだ。遊び
については担当者から玩具,外気浴,外遊についての説明や遊びの中で発達を観察するポイントを指
導された。
実習の後半は6か月~1歳までの子どものクラスに入り,抱き方,授乳や離乳食の介助などの乳児
への生活介助を実践しながら学んだ。この時期は月齢ごとの発達の差が大きいため,様々な発達段階
の子どもへの介助を学ぶことができた。また沐浴見学や赤ちゃん体操,赤ちゃんマッサージの説明を
受けたり,5か月未満の乳児の原始反射も実際に見学した。
前半後半を通しては,子どもの一人ひとりのカルテの記入を実践したり,病院への付き添いや,保
護者の面会の様子を知ることなども経験したり話を聞くことができた。
2.実習の目標と達成状況
実習目標は「乳児保育の技術を身につける」
,
「乳児院について知り,乳児院で働く保育士にとって
大切なことを学ぶ」だった。
乳児保育の技術を身につけるという面では,生活介助の方法や工夫を保育士視点からと看護師視点
から教えてもらうことができた。どちらも,子どもの気持ちを第一に考える事が大切で,大人のやり
やすい方法であっても子どもにとって良いことなのか考える事が大切だとわかった。乳児保育の技術
を学ぶことはできたが,実践するとなると子どもが相手であるため,思うように実践することはでき
─ 47 ─
なかった。
乳児院について知り,乳児院で働く保育士にとって大切なことを学ぶという面は,担当者からお話
を聞いたり保育士の様子を見たりすることでたくさんのことを知ることができた。今まで乳児院は被
虐待児が過半数だと思っていた。実際には若年出産による遺棄や親の服役,などの理由で入所してい
る子が多いと知り衝撃を受けた。乳児院の役割は,子どもの未来にとってとても重要であり,乳児院
の保育士へは養護だけでなく子どもの心のケアも求められ,責任の大きさを知ることができた。
3.実習での反省点
一番の反省点は,子どもとのかかわりに積極的になれなかったことである。保育所実習とは大きく
違う子どもの様子として人見知りがあった。月齢による差や個人差も大きかったため,自分のかかわ
りやすい子どもと多くかかわっていることが多かった。先生からの注意やアドバイスで,人見知りの
強い子ともかかわるように心がけたが,泣かれてはいやだという気持ちが強く思うようにかかわるこ
とができなかった。また,泣かれたり生活介助で困った時の対応や声かけの工夫ができずワンパター
ンになってしまった。前日もうまくいかなかった対応を繰り返したり,泣いている子に声かけのみを
続け落ち着かせることができず,担当者に助けを求める事が多かった。対応の方法をいくつも試して
みる事ができたら良かったと思う。先生から受けたアドバイスでは,声かけも,口調や声のトーン,
声色を工夫していくことが必要だと学んだ。子どもがどんな様子の場合でもだが,泣いている時や遊
びに夢中の時は特に,ただ単に子どもに聞こえるように話しかけるのではなく,子どもの心に伝わる
ように話しかける事が大切だと教えていただいた。
子ども一人とかかわっていると,全体の様子を見る事が出来ていないことも多くあった。ほとんど
の子に背を向ける位置で一人の子を膝に乗せ,絵本を読んでいることなどがあった。これでは一人の
子しか見えていなく,子どもの安全にもかかわる危険が生じるため,常に自分の向く方向を工夫し,
子ども全員を視野に入れるように先生から注意を受けた。その後も一人の子とかかわると意識がそ
の子だけに行ってしまい,気がつくと子どもに背を向けていることがあった。安全を守ることの他に,
子どもからの視線も,大切な訴えなので,保育士はその一つ一つも見逃してはいけないと学んだ。
4.実習の成果と今後の課題
授乳,離乳食の介助やおむつ交換をしたことは初めてだったので,授業で学んだままを想像してい
たら,実際に子どもを相手とするとイメージ通りにはいかないことだらけだった。実習初日と比べる
と実習最終日には,授乳時の抱き方,離乳食の意味,玩具による発達の促し,そして月齢による発達
などの乳児保育の実践的な知識をたくさん身につける事が出来たと思う。
乳児院に入所してくる子どもは何らかの形で心に傷を負ってきている。保育士は,家庭の代わりに
養護すると同時に心のケアをする役割もある。生きていく力の一番基礎となる人への信頼感を持たせ
てあげることも乳児院の保育士に求められる。乳児院は,子どもが安心感,安全感を感じられ,もう
一度人への信頼感を取り戻せる場所であることが重要だと学ぶことができた。
─ 48 ─
今後の課題としては,乳児院に入所する子どもの背景にある問題にどんなことがあるのかを調べ,
乳児院についての知識をきちんと身につけたい。また,ボランティアや実習などでの経験で,いろい
ろな子どもへのかかわり方を身につけたいと思う。
[4年 保育実習Ⅲ]
野澤 歩美
実 習 種 別:保育所
実習施設名:新潟市立坂井輪保育園
実 習 期 間:6月28日∼7月10日
1.実習施設の概要
保育園は,住宅街に囲まれており,近くに公園があり静かな環境に位置している。所在地は新潟県
新潟市,設置主体は新潟市である。共働きの家庭の増加に伴い,乳児保育・早朝保育・延長保育の希
望が多く園内は一日中子どもたちのにぎやかな声であふれている。
乳児保育(2ヵ月~)
,障害児保育,延長保育,緊急一時預かり,地域活動事業,子育て相談,子
育て支援を行っている。
また,
地域の子育て支援として電話相談や来園での相談,日・祭日の園庭開放・
保育体験の実施・地域の未就園児の園庭解放(ほのぼのクラブ)などの保育事業に取り組んでいる。
保育方針は,一人ひとりの伸びる力を育てる,生活に必要な基礎習慣を通して自主性を育てる,様々
な体験が出来るよう豊かな環境を用意する,集団生活の中で信頼性・思いやり・協調性の心を育てる
ことである。
「心も体も健康な子ども,明るく元気な子ども,豊かな心・考えて行動できる子ども」という保育
目標を掲げ,日々の保育を行っている。
2.実習で取り組んだ内容
今回の実習では,参加実習と責任実習を行った。具体的な実習内容として,乳児クラス(0・1・
2歳児)から幼児クラス(3・4・5歳児の年齢別)までの計6クラスに1日ずつ入り,最後の1週
間は責任実習を行う関係で5歳児クラスに入り実習した。主な活動は,子どもたちと関わり触れ合う
ことであったが,その他,環境構成(保育室の清掃,玩具消毒),教材の作成を行った。また,部分
実習・責任実習では絵本や紙芝居の読み聞かせ,手遊び,製作活動を行い多くの体験をした。業務形
態も日勤だけではなく早番や遅番も経験し,それぞれの役割について学んだ。
─ 49 ─
3.実習の目標と達成状況
今回は2回目の保育所実習として「①子ども一人ひとりとじっくり関わり,関係を築きながら,一
人ひとりの理解を深め,一人ひとりに沿った援助について実践を通しながら学ぶ。②責任実習や部分
実習を取り組むにあたり事前の準備をしっかりと行い,子どもの興味や関心に沿った内容や,具体的
な子どもの姿を予想した上で必要な援助方法を考え,指導案を立案する。③地域との関わりや子育て
支援について学ぶ。
」という目標を設定した。
達成状況として①では,最初の1週間は1クラスずつローテーションで回る形だったので,一人ひ
とりの子どもたちと深く関わりを持つことが出来なかった。その中で,特に印象に残っているのが2
歳児クラス(たんぽぽ組)である。人見知りをする子どもたちが多く,私が保育室に入っても傍に寄っ
てくる子どもの姿が見られなかった。その為,前回の乳児院での実習を思い出し,積極的に声掛けを
したり遊びの援助をしたりするのではなく,子どもたちの様子を見守り,状況を把握しながら徐々に
子どもたちとの距離を縮めていくことにした。その成果があり,子どもたちも安心したのか自ら進ん
で寄ってきてくれるようになり嬉しく思った。また,2週目は5歳児クラス(ふじ組)を担当した。
1週間同じクラスだった為,長く子どもたちと関わることができたため,子どもたちの個性や特徴を
把握することができ,子どもたち一人ひとりに沿った援助をすることができた。この経験を通して,
長い時間子どもたちと一緒に関わり,多くの体験をすることで嬉しさや楽しさなどの様々な感情を共
有し,一緒に楽しむことで子どもたちからも保育者として受け入れてもらえるのではないかと感じた。
②では部分実習として何度も手遊びと絵本や紙芝居の読み聞かせをさせて頂いた。最初は緊張のため
上手くできなかったが,何度も繰り返し行ったことで,子どもたちの様子を見渡したり,一人ひとり
の表情を確認しながらできるようになった。
責任実習では課題が多く残ってしまった。緊張していたので指導案に書いたような声掛けができな
かったためである。また,子どもたちから質問を受けることが多く,説明不足であると感じた。そし
て,クラス全員の子どもに目を向け,どの子どもも楽しんで製作活動をしているのか確認し,戸惑っ
ている子や不安に思っている子がいた場合には援助をして,子どもたちの楽しめる雰囲気作りが大切
であると感じた。また,自ら遊びを発展させている子どもたちの姿を見て子どもたちからの発見を見
つけ吸収していくことも重要であると感じた。
③については,運動会は近くの小学校のグラウンドを借りて実施したり,夕涼み会では地域の人に
も声を掛け,地域交流を図っているなど,地域において保育所の果たす役割を学ぶことができた。
4.実習で学んだこと・反省点・今後の課題
今回は0歳児から順番に実習を行えたことで,子どもの発達や月齢の差を順を追って学ぶことが出
来た。年齢が高くなるにつれ保育者の援助がほとんど不要になるように感じたが,保育士は援助のタ
イミングを見逃さないように常に子どもたちに目を向けており,そのような保育士の姿勢を学ぶこと
ができた。そして,発達の特徴とともに今現在できることを,日々伸ばしていけるような子ども一人
ひとりへの関わり方の重要性を学んだ。また,子どもたちが家庭から離れ,初めて集団生活をするの
─ 50 ─
が保育園である。保育園が居心地の良い場所となれるよう,一人ひとりの子どもたちの気持ちを受け
止め,受容し,共感することの大切さを学んだ。集団生活の中でしか出来ない,様々な体験の中で豊
かに成長できるように見守り,援助することの大切さ感じとることができた。
今後の課題は,責任実習での反省を生かし,ボランティアなどを通して子どもたちの前に立って指
導する経験を増やしていきたい。また,子どもの心が豊かに育っていくような保育者の関わり方につ
いても学んでいきたい。
[4年 保育実習Ⅳ]
樋口 尚子
実 習 種 別:児童養護施設
実習施設名:野の花の家
実 習 期 間:6月28日∼7月11日
1.実習で取り組んだ実践の概要
今回の実習では,2歳から18歳の11名が生活する班に2週間入り実習を行った。
午前は,朝子ども達に声をかけ起床させ,布団の片づけ,着替えの声かけや援助をし,朝食を一緒
に摂る。その後,学校へ行く子ども達を見送る。見送りが終わると環境整備を行い,園児の見送りを
する。そして,職員会議へ参加する。午後は,学校から帰ってきた子ども達に声をかけ,宿題をした
り遊んだりしながら一緒に時間を過ごし,夕方からは,幼児と一緒にお風呂に入り,夕食を一緒に摂
る。その後は,一緒に遊んだりテレビを見たりして,就寝時間まで班の子どもと一緒に過ごした。
2.実習の目標とその達成状況
実習の目標として,①児童養護施設での保育士の役割を実際に経験するとともに理解する。②子ど
も達の年齢に合わせてどのような支援が行われているのか理解する。③児童養護施設としての役割を
学ぶ。④児童自立支援施設との違いについて学ぶ。ということをテーマとしてあげた。
この目標に対しての達成状況は,①では,保育士は,直接子ども達と関わり支援を行う事,ソーシャ
ルワークの役割を担っているということを学んだ。生活の面では母親のような家庭的役割をもち,遊
びの面では,男性職員は身体を使った父親のような関わり,女性職員はごっこ遊び等の母親のような
関わりの姿があった。こうした子どもとの関わりの中で家庭的雰囲気を作りながら支援が行われおり,
また,子どもとの信頼関係を築きながら,子どもが安心して生活できるよう支援が行われていること
を学んだ。
─ 51 ─
②では,年齢によって遊びが変化していくため,それに合わせて職員の声かけ等の対応も変わっ
ていた。幼児に対しては,遊びを通して生活での大切さを教えていくということ,中高生に対しては,
自立に向けた支援が行われており,年齢に合わせ支援が行われているということを学んだ。
③では,施設での生活を通して子どもを育て,入所した背景にある子どものもつマイナス面を減ら
し,プラス面を増やしていけるよう,支援が行われているということを学んだ。また,学校関係の役
員を担当している職員もおり,保護者の代わりとしての支援も行われていた。
④では,児童養護施設は,児童自立支援施設に比べ自由な部分が多く,その時の子どもの状態等に
合わせ柔軟に対応がなされていた。そして,担当職員と子どもが話し合いながら月ごとに目標を立て,
支援が行われているということも違いであるように感じた。
3.実習での反省
実習を振り返ってみると,生活の一部に入るだけではなく,一日の流れを通して子どもと関わると
いうということで不安もあったが,子ども達と関わる中で徐々に不安も消えていった。一日一日を過
ごす中で,子ども達との関わりも徐々に増えていき,子ども達から元気をもらいながら実習に取り組
むことができたように感じる。
反省点としては,積極的に子ども達と関わることを意識して実習に取り組もうとしていたが,上手
く行動に移すことができなかったことがあげられる。子ども達が何かに取り組んでいる時等にどのよ
うに入って行こうかと迷ってしまっている時があった。子どもの様子を見て,自分なりに考えながら
対応できれば良かったと感じる。そして,視野を広くして子ども達の様子や周りの様子に目を向ける
ことができなかった時があった。施設では,2歳から18歳までの子ども達が生活をしており,多くの
子ども達が同じ場所で生活をしている。周りの様子にも目を向け,誰かが勉強をしている時には邪魔
にならないようにしながら関わる等,視野を広くもちながら集団生活の中での支援につなげていくこ
とが大切だと感じた。
実習中は,
幼児や小学生と関わる事が多く,
高校生は帰宅する時間が遅く関わる時間があまりなかっ
たり,思春期の子と上手く関わることができなかったりと,あまり関わることができなかった子もい
た。年齢によって子ども達の関わりの違いや対応の難しさを感じた。また,一緒に過ごす中で,幼児
から嫌がられたり,泣かれてしまったり,子ども同士のけんかに関わることもあったが,その時に焦っ
てしまった時もあったので,まずは自分自身が落ち着き,対応することを心がけることが大切だと感
じた。
4.実習の成果と今後の学習課題
実習を通して,子ども達が明るく生活している姿や,学校の友達を呼んで一緒に遊んでいる姿を見
て,今までもっていた児童養護施設に対する暗いイメージが変化した。また,施設での子ども達の表
現の仕方として,声の大きさや,自己主張の強さ等にも触れることができた。集団生活を送っていく
中で,自分に目を向けてもらう一つの手段であり,一般家庭との違いであるように思う。
─ 52 ─
子どもと職員の関わりでは,信頼関係があることで安心して,明るく生活できることにつながって
いると感じた。その半面で,信頼関係があるからこそ衝突する時もあるということを学んだ。そして,
職員の方からの話を通して,子どもの入所理由や家庭の現状,入所している子どもの社会保障,地域
との関わりについても学ぶことができた。
実習を通して学んだ事や反省点,気づき等を無駄にせず,今後へつなげていきたいと思う。また,
知識の少なさを実感したため,子どもの支援に対して必要な知識等を身につけられるようにしていき
たい。
─ 53 ─
介護福祉士実習レポート
[2年 介護実習Ⅰ]
小杉 光
実 習 種 別:介護老人保健施設
実習施設名:フェルマータ船橋
実 習 期 間:2月15日∼2月27日
1.実習の概要
私は,今回介護老人保健施設フェルマータ船橋で2週間,介護実習を行った。2日おきにデイケア・
一般棟・認知症棟をまわり,実際の介護の業務を体験した。デイケアでは送迎車で,利用者の送り迎
えの補助をはじめ,レクリエーションの準備,朝の血圧・体温の測定などを行った。一般棟と認知症
棟では,入居者の排泄介助や食事介助,入浴介助を実践した。いずれの実習においても,職員が介助
をする上で心がけていたことは,声かけである。そのことは,利用者にわかりやすく的確な声かけを
することが介助を円滑に進め,事故防止につながると学ぶことができた。例えば,デイケアでは,送
迎車に乗る際,利用者が天井に頭をぶつけないように声かけし,入浴の時は利用者が転ばないように
手すりの位置やお湯の温度,浴槽の深さなども声かけしていた。これらのことから,一つひとつは小
さいことの声かけでも,それが利用者にとっては介助に対する不安をなくし,援助者にとっては介護
事故の予防になっていることを理解することができた。
2.実習の目標と達成状況
今回の実習にあたり,3つの目標をたてて臨んだ。
(1)
施設を利用している人は,どんな人かを知る。
フェルマータ船橋では,さまざまな人が自分に合ったサービスを利用していた。デイケアでは,リ
ハビリテーションやレクリエーションを楽しみに利用している方が多かった。デイケアにくると友達
ができ,利用者同士のコミュニケーションの場にもなり,特に独居の利用者の方にとっては,生活の
メリハリをつける場でもあると職員に教わった。利用者とコミュニケーションをとることによって,
その方にとってより良い支援ができる。一般棟と認知症棟は,利用者の認知症の程度で分かれている。
一般棟は,認知症がないか,又は軽度の利用者が入所しており,認知症棟は認知症が進行している方
や手足の硬縮がひどい方などが入所している。一般棟と認知症棟ではコミュニケーションの方法が異
なる印象をもった。それは,認知症棟では会話だけでコミュニケーションをとるのではなく,顔を
─ 54 ─
見つめてほほ笑むことや,手をそっと握ったりする身体的なコミュニケーションも多く取り入れなが
ら介護を行っていた。一般棟では,会話できる利用者の方が多かったので自然と会話によるコミュニ
ケーションの量が増えていた。例えば,入浴の時の世間話や,こまめに温度などの声かけを行ってい
た。このことから利用者の心身の状態に応じて,異なる方法でコミュニケーションを図ることを学ぶ
ことができた。
(2)
より良い支援をするために,利用者さんとコミュニケーションをとる。
今回の実習で私は,自分からあまり積極的に利用者とコミュニケーションをとることができなかっ
た。それは,緊張しすぎて,話す内容などを考えすぎるあまり,消極的になってしまっていたからで
ある。少し実習が進んでいくと,ある程度決まった利用者とは,コミュニケーションをとることが出
来たが,それでもより良い支援を考えるまでは行かなかった。利用者とうまくコミュニケーションを
とるには,相手の事ばかり聞くのではなく,まず自分がもっと利用者に心を開き自分を知ってもらう
必要があると思った。そのためには,いきなり話しかけるのではなく,あいさつや自己紹介などから,
徐々にその人に歩み寄っていくことで,自然と会話も弾むようになり,良い関係を造っていけること
を学んだ。
(3)
施設職員の役割,機能,職種を学ぶ。
利用者が安全かつ快適に施設を利用するためには,職員が見えないところで利用者の生活をサポー
トし続けていることを知った。介護職員については,生活の支援などその場面,その場面で行うので
はなく,利用者の身体状況を個人票や申し送りなどで確認し,その都度その人に合った介護を行って
いることを知った。また,介護の現場では一人の利用者を援助するのにたくさんの職種の人が連携し
ていることを学んだ。医師や看護師等の医療スタッフや利用者の健康状態を考え献立をたてる栄養士,
そして実際に作る調理師など,とても多くの人の協力で利用者が安全に施設で生活していけることを
理解できた。多職種がうまく連携すると共にそれぞれの専門職が,その中で専門的役割を発揮し,機
能していくことがとても大切だということを学んだ。
3.考察
今回は,初めてのことばかりでいろいろと戸惑った面もあったが,普段なかなか体験出来ないこと
が実習でき,とても勉強になった。技術面では,授業でやっているだけでは良く分からなかった排泄
介助や入浴介助の注意点など,実際に真近かで見たり,実際に体験して多くの気づきがあった。例え
ば,排泄介助では,オムツ交換の際の姿勢やパットの入れ方,入浴介助の際の転倒防止の方法や,脱
衣所での防寒の工夫などである。
また,普段からコミュニケーションがとても重要で,その積み重ねによって利用者の個性を知り,
その人に合わせた介護を行うことが出来ることを学んだ。これは,利用者の生活習慣やその人の生き
てきた歴史を大切にすることであり,押し付けの介護ではなく利用者の目線になって支援していくこ
とが大切であるということでもある。介護職の業務は,一歩間違えれば大事故や最悪の事態にまで関
わってくるものである。利用者と介護者の信頼関係がとても重要で一切の妥協や手抜きすることが出
─ 55 ─
来ない職業であることを,この実習を通して改めて実感した。
4.実習の成果と今後の課題
今回の実習は各目標に対して多くの学びを得ることができ,とても有意義な実習となった。課題と
して上がってきたものは多くあったが,その中でも職員から一番指摘され,自分でも難しいと感じた
のは,利用者とのコミュニケーションである。どんな風に接したら良いかどんなことを話したら良い
かなど,いろいろなことを考えていて自分でも気付かないうちに受け身的になり,隅っこの方でただ
立っているというようなことが多くなってしまった。このことから今後の課題は,コミュニケーショ
ン能力を高めていくことを第一に,さらに技術面の向上にも努めていきたい。これらについては,ボ
ランティア活動や授業などのもっと多くの場面で,経験を積みながら克服して,次回の実習につなげ
ていきたいと考えている。
[3年 介護実習Ⅱ]
村越 彩
実 習 種 別:特別養護老人ホーム
実習施設名:セイワ習志野
実 習 期 間:2月12日∼3月11日
1.実習の概要
私は今回,特別養護老人ホームセイワ習志野で実習を行った。特別養護老人ホームでは,食事,入浴,
排泄,移乗等の介護技術の実践をした。併設する施設に,ケアハウス,ショートステイ,デイサービ
ス,居宅支援があり,4週間の実習のうちデイサービスの実習を1日行った。デイサービスでは,玄
関で利用者さんの送迎,お茶出し,食事介助を実践し,フロア待機中はコミュニケーションをたくさ
んとることができた。
また,今回の実習で初めて介護過程の展開を実践し,アセスメントの方法(情報収集・生活ニーズ
の抽出)ケアプランの作成について学ぶことができた。
2.実習の目標と達成状況 私はこの実習に3つの目標を立てて臨んだ。
(1) 認知症高齢者とのコミュニケーションのとり方を学ぶ。
前回の実習(介護実習Ⅰ)では,認知症の方との会話に戸惑ってしまったので,この目標を立てた。
私が実習をしたフロアの利用者の半分以上が認知症で,初めは緊張と不安で,自分から利用者のもと
─ 56 ─
へ行って会話をすることが少なく,どうしてもたくさん話をしてくださる方のところに居ることが多
かったように思う。
しかし,
徐々に慣れてきて,
少しずつ自分からいろいろな方のところへ行き,コミュ
ニケーションをとれるようになり,利用者が笑顔を見せてくれたときは,とても嬉しく思った。時に
は,何の事か意味不明の話であっても,何回も同じ話をくり返し聞いても,その時その時の利用者の
気持ちを理解し,共感することでコミュニケーションがとてもとりやすくなった。実習が続くにつれ
て,車イスの誘導中やラジオ体操の時などにも,利用者さんに自然と声をかけることが出来るように
なった。
(2)
アセスメントの方法を理解し,実践する。
その方に合った良い援助をするために,初めてアセスメントからケアプランの立案について実習を
行った。受け持ち利用者についての情報を得るためケース記録を見せてもらった。また,受け持ち利
用者の介助の際に,
コミュニケーションをとりながら,そのなかで利用者について少しずつ知っていっ
た。アセスメントにおける情報収集は,その利用者のことを全く知らない人が見ても,この方がどの
ような人で,どのような心身状況なのかがわかるように,一つひとつの項目について詳しく書くこと
が重要だと指導を受け,理解することができた。その収集した情報から生活ニーズを分析しケアプラ
ンが作られるので,アセスメントがいかに大切なものなのかも理解できた。アセスメントを進めてい
くと,利用者に関心が増し,何を必要としているのか,どう生きたいと思っているのかを理解したい
と思うようになったが,結果としてはケース記録からの情報が多かったので,もう少しコミュニケー
ションのなかで,利用者のことを知るべきであったと反省している。
(3)
多職種の連携を学び,1日の流れの中で自分にできることを積極的に取り組む。
セイワ習志野では,毎日午前9時と午後2時にミーティングがあり,その際に看護師から利用者の
バイタルサインやけが,圧迫創(発赤の状態)の処置についてなどの申し送りがあった。その申し送
り事項をきちんと確認し,意識して介助をするように気を付けた。利用者についての情報をチームで
共有することで,利用者により良いケアが行われるということを理解した。そして,排泄介助や入浴
介助は,利用者の皮膚の状態を知ることが出来る唯一の時間なので,その時に身体の気になったとこ
ろや出血の状態などは,職員を通して看護師に連絡した。
3.考察
今回の実習で施設職員の仕事内容,役割をしっかりと理解することができた。また,利用者とクラ
ブ活動に参加したとき,利用者の見守りをしながらも一緒に活動をすることで,利用者と楽しい時間
を共有することができた。レクリエーションの時も同様に,職員はただ単に危険がないように見守り
をするのではなく,利用者と同じ時間を過ごし,一緒に考えたり,笑ったりすることで,利用者によ
り一層楽しんでもらえることを学ぶことができた。
もうひとつの大きな学びは,援助の根拠を考えるということである。私は実習で,着脱介助や移乗
介助がスムーズに行えなかったときに,回数をこなして早く介助に慣れようと思っていた。しかし,
相談した職員の「次はどうやって介助してみたらいいと思う?」という言葉で,何が原因でうまく行
─ 57 ─
えなかったのか,それなら次はどこに気をつけて行えば良いのかを考え,色々なやり方を,根拠を考
えながら試していくことが大事だと気付くことができた。そうして介護していく中で,利用者一人ひ
とりに合った介助がスムーズに出来るようになると思う。この発見をしてからは,もっと積極的に利
用者の介助をしたいと思うようになった。
4.実習の成果と今後の学習課題
今回の実習を終えて,アセスメントの方法,日常生活の介助,介護技術の提供,他職種との連携に
ついて,たくさんの知識と技術が身に付き,充実した実習であった。また,夜勤,早番を体験し,さ
まざまな勤務形態を理解することができた。反省としては,実習の初めの方で,授業で学習したは
ずの介護技術がすぐに出てこなかったこと,ボディメカニクスの活用が出来ていなかったことである。
この実習で得た知識,技術,気づき,反省を忘れずに,より根拠をもって介護が行えるよう,成長し
ていきたい。
─ 58 ─
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