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土の締固め試験
土の締固め試験 (協)島根県土質技術研究センター 浜野 浩幹 突固めによる土の締固め試験 ¾ 締固め試験は、土の締固め特性を調べる。 ¾ 締固め試験は、現場における施工時含水比や施工管理基準 の基となる密度の決定に利用される。 ¾ 含水比を変えた試料を一定のエネルギーで締固め、乾燥密 度と含水比の関係から最大乾燥密度・最適含水比を求める。 ¾ 乾燥密度と含水比の関係を表したグラフを締固め曲線と言い、 乾燥密度が最も高い所を、最大乾燥密度(ρdmax)、その時の 含水比を最適含水比(Wopt)と言う。 ¾ 試験方法には、いくつかの種類があり、造成される構造物・土 の種類・粒径に応じていずれかの試験法を選択する。 土の締固め試験機 最大乾燥密度と最適含水比 ¾ 通常、締固め曲線は上に凸な曲線を示す。 ¾ これは最も効果的に締め固めが出来る含水 比が存在する事を意味する。 (砂質土の締固め曲線) 突固め試験の方法と種類 準備する試料の必要量 呼 び 名 ランマー 質 量 (kg) kg) ランマー 落 高 (cm) cm) モールド 内 径 (cm) cm) モールド 容 量 (cm3) 突固め 層 数 各層の 突固め 回 数 許容最 大粒径 (mm) mm) 乾 燥 法 繰り返し法 乾 燥 法 非繰り返し法 湿 潤 法 非繰り返し法 a b c A 2.5 30 10 1 000 3 25 19 5kg 3kg× 3kg×n 3kg× 3kg×n B 2.5 30 15 2 209 3 55 37.5 15kg 6kg× 6kg×n 6kg× 6kg×n C 4.5 45 10 1 000 5 25 19 5kg 3kg× 3kg×n 3kg× 3kg×n D 4.5 45 15 2 209 5 55 19 8kg − − E 4.5 45 15 2 209 3 92 37.5 15kg 6kg× 6kg×n 6kg× 6kg×n ※ 試験法でAを、試料の準備方法でbを用いた場合、A-b法と呼ぶ。 ※ A,B法はエネルギーの小さな締固め試験、C,D,E法はエネルギー の大きな試験 締固め試験結果の目安 (A法を用いた場合) 最適含水比 (Wopt) 最大乾燥密度 (ρdmax) 粒径幅の広い砂質土 8 ∼ 20 % 1.7 ∼ 2.1 g/cm3 細粒分を多く含む粘性土 30 ∼ 70 % 1.1 ∼ 1.3 g/cm3 締固め度評価における基準値の設定 ¾ 現場においては、最大乾燥密度(ρdmax)を用いて定 義される締固め度Dc値で締固めた土の品質を判定 する場合が多い。 締め固め度 Dc(%)= 現場で測定された締固めた土の乾燥密度ρd 突固め試験から得られた最大乾燥密度ρdmax ×100 CBR試験 (Carifornia Bearing Ratio) ¾ アスファルト舗装の設計や施工に行なわれる試験。 ¾ 路床や路盤材の強度評価に利用。 室内CBR試験 設計CBR試験(主に路床を対象) 締固めた土のCBR試験 乱さない土のCBR試験 CBR試験 現場CBR試験 修正CBR試験(路盤材料を対象) CBR試験 ¾ 締固めた土のCBR試験 道路舗装の設計 自然含水比の試料を採取 ¾ 乱さない土のCBR試験 極端にCBRの小さい粘性土の場合 ¾ 現場CBR 原位置で直接貫入試験を行う (極端にCBRの小さい粘性土の場合) ¾ CBR値が低いほど支持力が小さい CBR(路床土支持力比) ¾ CBRは、供試体表面に直径5.0cmの貫入ピス トンを2.5mmまたは5.0mm貫入させたときの 荷重強さ(または荷重)を、標準荷重強さ(ま たは標準荷重)に対する百分率で表したもの である。 ¾ CBRは、路床や路盤の強さを評価するため の相対的な強度を表している。 CBRの締固め試験機 CBRと標準荷重強さ 荷重強さ(荷重) CBR(%)= 標準荷重強さ(標準荷重) ×100 標準荷重強さおよび標準荷重の値 z 貫入量 (mm) 標準荷重強さ (MN/m2) 標準荷重 (kN) 2.5 6.9 13.4 5.0 10.3 19.9 標準荷重強さ 締固めた砕石に5cmの円棒を貫入させたときのあり沈下における荷重強さ CBR試験結果の利用 表 層 基 層 舗装 上層路盤 下層路盤 路 床 修正CBR : この値によって路盤などに用いる材料 の品質を判断している。 設計CBR : 路床土について求め、この値によって アスファルト舗装の厚さを設計する。 設計CBR試験 ¾ 設計CBRは、路床土を対象に試験を行なう。 ¾ 設計CBRが2%未満の路床土は舗装の基礎として不適当である。 路床土の設計CBRと5年後の大型車の交通量に応じて舗装の厚さが設定される。 ¾ CBR試験データシート 修正CBR試験 ¾ 修正CBR試験は、路盤材料などを対象に行い、乾燥密度と含水比およびCBRの関係から所 要の締固め度に相当する水浸CBRを求める事である。 ¾ 材料を3層92回で締固め試験を行ない最大乾燥密度を求めた後に、3層17回・42回・92回で CBR試験を行い、関係図から所要の締固め度に対応する乾燥密度の修正CBRを求める。 路盤材料の修正CBR概略値 材料 修正CBR(%) 砕石 70% 以上 鉄鋼スラグ 80% 以上 砂利・切込み砂利 20% ∼ 60% 砂 乾燥密度と含水比およびCBRの関係図 8% ∼ 40% CBR貫入試験機 変位計 荷重計 供試体 CBR試験(貫入試験) 締固めた土のコーン指数試験 ¾ ¾ ¾ コーン指数試験は、粘性土を扱う土工工事における施工機械のトラフィカビリティーに用 いられる。 コーン指数試験は、強度特性による建設発生土の分類および活用の指標を得るための 試験としても用いられるようになってきている。 コーン指数試験から得られるコーン指数は、コーンペネトロメーターを連続的に押し込み、 5cm,7.5cm,10cmの時の貫入抵抗力を貫入先端コーンの底面積で除した値である。 ダイヤルゲージ 荷重計 コーン指数の求め方 ロッ ド 先端コーン コーンペネトロメーターの例 コーン指数 q c(kN/m2) = 貫入抵抗力(kN/m2) コーン先端の底面積(cm2) ×10 コーン指数試験結果の利用 建設機械の走行に必要なコーン指数 コーン指数 q c(kN/m2) 建設機械の種類 超湿地ブルトーザ 200 以上 湿地ブルトーザ 300 以上 普通ブルトーザ(15t級程度) 500 以上 普通ブルトーザ(21t級程度) 700 以上 スクレープドーザ 600 以上 (超湿地型は400以上) 被けん引式スクレーパ(小型) 700 以上 自走式スクレーパ(小型) 1 000 以上 ダンプトラック 1 200 以上 注)本表中のコーン指数は、現場ではかられたものである。 建設発生土の土質区分基準 (コーン指数) 区 分 第1種建設発生土 第2種建設発生土 第3種建設発生土 第4種建設発生土 泥土 コーン指数 q c(kN/cm2) 分類から(礫・砂) 800 以上 400 以上 200 以上 200 以下 コーン指数試験機 荷重計 ダイヤルゲージ 供試体 現場密度試験 ¾ 路体・路床・路盤等の土構造物の締まり具合 を推定する。 ¾ 設計、施工管理に利用される。 ¾ 密度:単位体積あたりの質量 SI単位 :[kg/m3] 工学単位:[kgf・s2/m3] 盛土の崩壊 (a)盛土の崩壊 (b)地盤の崩壊 (c)地盤の沈下 (d)構造物取付部の盛土の沈下 現場密度の試験方法 ¾ ¾ 砂置換法 測定地盤に穴を開け、その土の質量と試験孔の 体積から求める。 自由落下により砂を充填するため、充填砂がゆる 詰めの状態にある。 突き砂法 突き固めるため、粗粒度の試験孔壁に砂を十分 充填することができ、岩石材料を含む土までひろく 適用される。 現場密度の測定 砂置換法に夜測定 参考文献 ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ 河上 房善:「土質力学 第5版」,森北出版(1991) 當山 道三:「土質力学」,コロナ社(1961) テルツァギ・ペック,訳小野他:「土質力学 基礎編」,丸善(1961) 星埜 他:「土質」,実教出版(1964) 山内 豊聡:「土質力学」,理工図書(2001) 土質工学会編:「土質工学ハンドブック」,技報堂(1966) 安川 他:「絵解き 土質力学」,オーム社(2004) 地盤工学会編:「土質試験 基本と手引き」,(社)地盤工学会(2001) 地盤工学会編:「土質試験の方法と解説」,(社)地盤工学会編(2000) 周藤 雅範:「土質試験の実際」,(協)島根県土質技術研究センター (2004) 浜野 浩幹:「土質力学ノート例題集」,(協)島根県土質技術研究セン ター(2005) 浜野 浩幹:「構造力学問題集」,園山書店(2002)