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2 - 独立行政法人 水資源機構
頻度(%) 〔A地区〕 表−4−1 標高点の比較整理結果(直接比較法) (単位:m) 30 ±0.25m 25 20 母数 15 平均標高差 10 5 標準偏差 A地区 B地区 C地区 D地区 332 832 104 174 -0.034 -0.045 0.073 -0.070 0.246 0.151 0.212 0.117 -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 0 標高差(m) これらの結果から、標高差の平均値を見ると、いず れも数センチレベルの差であり、標準偏差は公共測量 作業規定の許容範囲である0.25mの範囲内となってい 頻度(%) 〔B地区〕 る。さらに、ヒストグラムの分布形も0∼±10cm範囲 30 にピークをもつ正規分布に近いことから、いずれの地 ±0.25m 25 区においても同一の誤差傾向にあり、高精度かつ均質 20 なデータ取得ができていると判断できる。 15 しかしながら、A地区については、他の3地区と比 10 べるとややばらつきがある。 5 -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 0 標高差(m) 4.2.2 標高点の間接比較 直接比較法では、グラウンドデータの近傍5cm以内 に実測点があるものだけを選び出して比較するため、 検証点数が限られる。そこで次に、より多くの標高点 を用いた検証を行うために、実測標高点の位置(XY) 30 ±0.25m 25 に対応する等高線データ上の標高値を抽出し、比較を 行った(以下、「間接比較法」という)。 20 15 間接比較法では、公共測量作業規程における等高線 10 の精度許容範囲を基準として評価を行った。ここで、 5 公共測量作業規定における許容範囲は、地図情報レベ 0 ル500の場合、等高線の標準偏差が±0.50mの範囲内で -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 頻度(%) 〔C地区〕 標高差(m) あることと定められている。 現地測量を実施している箇所別の実測とレーザ測量 との標高差の分布(ヒストグラム)を図−4−4に、 平均標高差、標準偏差の整理結果を表−4−2に示す。 〔A地区〕 ±0.25m 25 頻度(%) 20 15 10 30 25 20 5 15 0 10 標高差(m) 図−4−3 標高差の分布(直接比較法) ±0.50m 5 0 -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 30 -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 頻度(%) 〔D地区〕 標高差(m) 頻度(%) 〔B地区〕 直接比較法と同様に、標高差の平均値で見ると数セ ンチレベルの差であり、標準偏差は公共測量作業規定 30 ±0.50m 25 の許容範囲である0.50mの範囲内となっている。さら 20 に、ヒストグラムの分布形も0∼±10cm間にピークを 15 もつ正規分布に近いことから、いずれの地区において 10 もグラウンドデータは、高精度かつ均質なデータ取得 ができていると判断できる。 5 しかし、直接比較法と同じようにA地区については、 -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 0 他の3地区と比べてややばらつきがある。 標高差(m) 4.2.3 頻度(%) 〔C地区〕 点検測量 直接比較法及び間接比較法で、他の地区に比べて標 高差分布にばらつきがあったA地区については、急峻 30 な地形であること、現地測量から年数が経過している ±0.50m 25 20 こと等から、地形の変化等による誤差があると考えら 15 れた。そこで、点検測量として、図−4−5に示す範 10 囲について、再度、実測による標高点の取得を行った。 その結果、実測と航空レーザ測量の標高差(間接比 5 較法)は、標準偏差で0.43mから0.21mまで改善された。 -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 0 標高差(m) このことから、今回の航空レーザ測量は、実際の地形 を正しく計測できているものと判断できる。 なお、当初の実測成果の精度が劣っていた原因とし 頻度(%) 〔D地区〕 ては、以下の点が考えられる。 30 ・ ±0.50m 25 実測後、出水、倒木による根本の洗掘等により地 形が変化した。 20 ・ 15 急峻な地形状況等から、実測時に比較的大きな誤 差を持ち易い箇所であった。 10 5 -1.00 -0.90 -0.80 -0.70 -0.60 -0.50 -0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 0 写真 標高差(m) 図−4−4 標高差の分布(間接比較法) 実測(H15)との比較 表−4−2 標高点の比較整理結果(間接比較法) (単位:m) A地区 B地区 C地区 D地区 母数 1,730 4,174 430 1,047 平均標高差 0.002 -0.016 -0.026 -0.065 標準偏差 0.432 0.234 0.399 0.273 点検測量(H19)後の比較 点検測量エリア 図−4−5 点検エリア付近の状況 A地区の標高差分布図 表−4−3 点検前後の結果比較 → 検証 母数 1,730 平均値 0.002m 標準偏差 0.432m 点検後 206 → 0.063m 基に、計測条件の違いが精度に与える影響を検証する。 4.4.1 飛行高度の違いによる精度検証 航空機の飛行高度について、繁茂した樹林からのリ ターンを検知できる高さの上限は500m付近と推測され ているが、今回の計測では特に、事業区域周辺の植生 0.210m 繁茂状況を考慮して、高度を300mに設定した。ただし、 検証用に高度500mからの計測も同時に実施しており、 4.3 両データを比較して、飛行高度による精度への影響を 水平精度に関する検証 傾斜部において、航空レーザ計測点と実測点との水 平位置にずれがあると、必然的に標高値にもずれが生 じる。このことが標高誤差の要因の一つとして考えら れるため、レーザ計測点の水平位置の確認を行った。 確認した。 比較では、樹種の違いによる影響も併せて検討した。 樹種毎に、飛行高度の違いによるデータの取得状況を 図−4−7に示す。 レーザ計測点で明瞭に水平位置を特定できる電柱を 対象とし、実測により取得した水平位置とのずれにつ いて確認を行った。 位置図 樹種:二次林 ・高度500mでは地表面の補足状況が悪い。 高度300m 断面図 高度500m 電柱 電柱輪切り図 樹種:スギ林 ・どちらの高度でも地表面の補足状況が良い。 高度300m ・ 実測点 ・ 航空レーザ点 − レーザ入射 0 10 20cm 図−4−6 高度500m 水平位置の検証 9箇所の電柱において検証を行い、その結果、平均 水平差は0.6cm、標準偏差は4.3cmであることが確認で 樹種:草地 ・高度500mでは地表面の補足状況が悪い。 高度300m 高度500m きた。 公共測量作業規定では、地図情報レベル500の地形 図で表現する地物の水平精度は25cm以下と規定されて おり、検証結果から今回の成果は水平精度を十分満足 していると考えられる。 なお、電柱の傾き、植生の影響等を受けた箇所では、 樹種:竹やぶ ・高度500mでは地表面の補足状況が悪い。 検証精度がやや劣る結果となったが、明瞭な地物にお いては、水平位置の検出に航空レーザ測量によるデー 高度300m 高度500m タは有効であることが示された。 4.4 計測条件の違いによる精度検証 前節までの検証において、今回の航空レーザ測量の 成果が、 実測に近い精度を有していることが示された。 ここでは、航空レーザ測量により取得したデータを 図−4−7 高度別のデータ取得状況 比較の結果、高度の違いによる地表面の捕捉状況を まとめると、以下のとおりである。 図から分かるようにグラウンド点の間隔が粗くなる と等高線や横断線も粗くなり、正しい地形を再現でき なくなる。グラウンドデータの密度が5m以上になる ・ ヒノキ、杉等の植林では、高度が500mでも地表面 の補足状況が良い。 ・ と、尾根や谷などの変化点が欠落し、補間により作成 したモデルでは正しい地形から1m程度もずれてしま 竹やぶ、二次林、草地においては、高度500mでは 地表面の捕捉が難しいが、高度を300mにすることで 捕捉状況が改善される。 う。 次に、定量的な評価を行うために、間引いたグラウ ンドデータと実測成果との標高差の検証を間接比較法 により行った。 樹種群落が細かく点在する場合には、高度の使い分 けが難しくなるが、植林等が大群落を形成する場合は、 グラウンドデータの密度の違いによる標高差の分布 (ヒストグラム)を図−4−9に示す。 全体を高高度(500m)、補測のみ低高度(300m)で計 〔密度:0.5m〕 16 高度飛行の効果が明確に現われた。冬季であれば、落 14 葉広葉樹や草地をより高高度から計測しても地表面の 12 8 6 標準偏差 27cm 4 グラウンドデータの密度が精度に及ぼす影響を考察 1.5 1.25 1.0 0.75 0.5 0.25 標高差(m) いたもの)で作成し、不整三角網モデル(TIN)によ る補間処理を施し、0.5m間隔のメッシュデータを作成 0.0 -1.5 0 ータセットを間引き処理(意図的にデータ点数を間引 -0.25 2 するため、まず、グラウンドデータ点密度の異なるデ -0.5 データ密度の違いによる精度検証 original 0.5m thin 10 -0.75 〔密度:1.0m〕 した(図−4−8参照)。 16 14 ― original ― 1.0m thin 12 10 8 6 標準偏差 29cm 4 1目盛:1m 1.5 1.25 0.5 0.25 0.0 -0.25 -0.5 -0.75 -1.0 0 -1.25 5.0m間引き 傾斜の急な 中腹部につ いて、1m程 度の形状変 化が見られ る。 -1.5 5m四方にグラウンドデータが1点 2 1.0 2.0m間引き 尾根頂部付 近について、 若干の形状 変化が見ら れる。 頻度(%) 2m四方にグラウンドデータが1点 0.75 4.4.2 ― ― -1.0 捕捉状況はある程度良いものと考えられる。 頻度(%) なお、今回は植生の繁茂期に計測を行ったため、低 -1.25 測する方が、計測時間を短縮できる可能性がある。 標高差(m) 〔密度:2.0m〕 16 ― original ― 2.0m thin 14 10m間引き 尾根頂部付 近について は、完全に 形状が変わ っている。 頻度(%) 12 10m四方にグラウンドデータが1点 10 8 6 標準偏差 33cm 4 図−4−8 グラウンド点密度と断面形状の関係 標高差(m) 1.5 1.25 1.0 0.75 0.5 0.25 0.0 -0.25 -0.5 -0.75 -1.0 -1.5 0 -1.25 2 〔密度:3.0m〕 の成果は、公共測量作業規程における地図情報レベル 500の精度を満たすと同時に、実測と同等の地図情報 16 ― ― 14 頻度(%) 12 original 3.0m thin レベルを有していることが確認された。 航空レーザ測量による地図情報レベル500の作成は 10 国内で初の試みであり、今回の検証結果から、適切な 8 精度管理の必要性が示されたことを踏まえ、今後、同 6 様の作業を実施するに当たって参考となるよう、作業 標準偏差 37cm 4 マニュアル(案)の作成を行った。 2 1.5 1.25 1.0 0.75 0.5 0.25 0.0 -0.25 -0.5 -0.75 -1.0 -1.5 -1.25 作業マニュアルは、前述したように公共測量作業規 0 標高差(m) ーザ測量による公共測量において、数値標高モデル(D EM)を作成する場合の標準的な作業方法を定め、その 〔密度:4.0m〕 規格の統一、成果の標準化及び必要な精度の確保に資 16 14 ― ― 12 頻度(%) 程の第16条申請においても必要なものであり、航空レ することを目的としている。 original 4.0m thin マニュアル(案)の作成に当たっては、地図情報レ 10 ベル1,000までの作成に適用されている「航空レーザ 8 測量による数値標高モデル(DEM)作成マニュアル(案) 6 標準偏差 45cm 4 (国土地理院 )」を基本とし、精度確保上の各許容範 囲の指標について、今回の測量における実績値等から 2 1.5 1.25 1.0 0.75 0.5 0.25 0.0 -0.25 -0.5 -0.75 -1.0 -1.5 -1.25 地図情報レベル500対応となるように変更を行った。 0 標高差(m) 特に、新たに追加した点が、グラウンドデータ間隔点 検の項目であり、該当部分の抜粋を以下に示す。 〔密度:5.0m〕 16 12 頻度(%) (グラウンドデータ間隔点検) 点検はグラウンドデータの取得間隔を確認するため に行う。 ― original ― 5.0m thin 14 10 標準偏差が 50cmを超える 8 6 標準偏差 52cm 4 1.5 1.25 1.0 0.75 0.5 0.25 0.0 -0.25 -0.5 -0.75 -1.0 -1.5 0 -1.25 2 標高差(m) 図−4−9 データ密度の違いによる標高差分布 検証の結果、図に示すとおりグラウンドデータの密 度が4mを超えると標高差の標準偏差が0.5m以下を満 足できなくなる。この検証により、地図情報レベル50 0に伴う精度管理項目として、グラウンド点密度は4m <第42条 運用基準> グラウンドデータの間隔点検は未取得域分布図作成 若しくは未取得率点検を実施する。 ・ 4m単位で作業地域を区切り、4mメッシュ内にグ ラウンドデータがない場合はグラウンドデータの未 取得域とする。 ・ 未取得域が広く分布する場合、速やかに計画機関 に報告し、その原因を検討する。必要に応じて再計 測や別手法による補足測量を行う。 ・ 未取得率は、10%以下を標準とするが、建物デー タを除去した場所の未取得域の影響を加味し、市街 地などではこの限りではない。 ・ 未取得率が標準値を超えた場合には、速やかに計 画機関に報告し、その原因を検討する。必要に応じ て再計測や別手法による補足測量を行う。 ・ 未取得率は、対象面積に対するデータの存在しな いメッシュ数を次の計算式で求める。 未取得率=点群のないメッシュ数/全体メッシュ数 四方に1点以上が必要であることが確認できた。 5. 航空レーザ測量の今後の展開 5.1 作業マニュアル(案)の作成 前章までの精度検証により、今回の航空レーザ測量 また、地図情報レベル500に必要な精度を確保する ためのチェックシートとして、新たに精度管理シート を定めた。 スト削減に繋がる。従って、今後のダム事業等におけ る地形情報取得に非常に有効な方法と考えられる。 6. 作業名 小石原川ダム貯水池周辺 航空測量 地区名 福岡県朝倉市地区 計画 機関名 独立行政法人 水資源機構 小石原川ダム建設所 作業 機関名 中日本航空式会社 目 的 地形レベル500 期 間 H19.8.24∼H20.2.18 作業量 7.7k㎡ 主任 技術者 外山 康彦 計測データ欠測率 図名 欠測率% 図名 計測設計密度 0.5m 欠測率% 図名 欠測率% 図名 欠測率% 図名 欠測率% 図名 欠測率% 作業班長 図名 欠測率% 千田 良道 全域平均 まとめと今後の課題 今回実施した航空レーザ測量による成果は、実測に よる成果と比較して、大きな精度差がないことが確認 最小 最大 グランドデータ欠測率 図名 欠測率% 密度 4m 欠測率% 図名 図名 許容範囲 10% 欠測率% 図名 標準 欠測率% 図名 欠測率% 図名 欠測率% 図名 欠測率% 全域平均 最小 最大 コース間点検ポイント残差 コースID 最大値 最小値 RMS誤差 調整用基準点調査 調整用基準点残差 点名 点名 水準との差 調整後較差 地区間検証 図名 地区間較差 水平位置残差 点名 実測との差 標高点検測量 平地部 できた。 また、計測条件を変えた検証において、地図情報レ レーザ計測機材 ベル500の地形図作成に必要なグラウンドデータは、 GPS/IMU 4m四方に1点以上との定量的な指標を見出すことが 計測高度 でき、作業マニュアル(案)へ取り入れることとした。 使用機材 母数 平均較差 最大値 最小値 標準偏差 RMS誤差 山地部 母数 平均較差 最大値 最小値 標準偏差 RMS誤差 特記事項 平均値 平均値 最大値 最大値 最小値 最小値 最小値 最小値 標準偏差 標準偏差 平均値 標準偏差 RMS誤差 RMS誤差 RMS誤差 RMS誤差 図−5−1 平均値 最大値 最大値 精度管理シートの例 なお、今後の課題として、今回の測量では航空レー ザ測量で初の地図情報レベル500の地形図を作成する ということから、グラウンドデータの密度不足等を懸 念し、高スペック機材の使用、低高度飛行、クロスフ ライト等を実施した。結果として、高精度なデータを 得ることができたが、反面、慎重になり過ぎ、オーバ 今回のレーザ測量において実施した精度検証及び、 ースペックとなっている可能性も考えられる。 それを踏まえて作成した作業マニュアル(案)につい 今後は、地形や植生状況、計測条件の違いと、取得 て、公共測量作業規程の第16条申請を行い、国土地理 されたグラウンド点密度の違いとの関連について、情 院との協議により承認を得ており、今回の測量成果を 報の蓄積、整理・検討等を継続して行い、地形条件や 公共測量成果として提出している。 植生状況に応じて、必要な密度のデータを取得するた めに最適な計測方法を確立していく必要がある。 5.2 ダム事業への活用 ダム事業の事業区域は非常に広く、必要な地形情報 7. おわりに は、ダム本体及び付帯設備の設計、付替道路や工事用 小石原川ダムにおいて実施した航空レーザ測量にお 道路等の設計、貯水池周辺地すべりの検討、貯水容量 いて、国内では初めて地図情報レベル500での地形図 の確認等で事業区域全域に渡る。 作成を行った。既存の実測による地形測量データがあ 事業の初期段階では、現地への立ち入りが困難な場 ったことで、航空レーザ測量の成果と実測の成果を比 合があり、また、設計等にあまり高い精度を求められ 較することによる信頼性の高い精度検証を行うことが ないことから、写真測量の成果を使用し、事業の進捗 できたこともあり、地図情報レベル500の公共測量と に伴って現地測量を実施していくことが一般的であ して国土地理院の承認を得ることができた。 る。この場合、同じ範囲内において、事業段階に応じ これにより、事業区域全域に渡り高精度の地形図を て縮尺精度の異なる地形情報を重複して取得すること 整備することができ、かつ、現地測量を省略すること になる。 ができたため、事業の効率化、コスト縮減に寄与する 今回実施した航空レーザ測量では、調整用基準点測 量や補足測量等を除けば、現地に立ち入る必要がなく、 ことができたものと考えている。 今後、ダム事業等において、事業初期からの高精度 かつ、構造物の設計に必要な地図情報レベル500の等 な地形図作成のツールとして、今回の方法が重要な役 高線データを一括で取得することが可能となる。さら 割を担うものと考えている。 に、併せて航空写真撮影を行い、オルソ画像から地物 データを抽出し、等高線データに重ねることで、一般 的な地形図を作成することができる。 この方法により、事業の初期段階から精度の高い地 形図作成を行うことができ、従来縮尺精度毎に実施し ていた測量を一括して行えるため、事業の効率化やコ 参考文献 1)社団法人日本測量協会.2002.国土交通省公共測量作 業規程(世界測地系対応版). 2)国土交通省国土地理院.2007.航空レーザ測量による 数値標高モデル(DEM)作成マニュアル(案).