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22800900674 門田梨沙 住宅インテリアの色彩イメージに関する研究
22800900674 門田梨沙 住宅インテリアの色彩イメージに関する研究 佐藤仁人 日本建築学会構造系論文集 第 73 巻 第 628 号 707-713 2008 年 6 月 1. 研究目的 佐藤は、生活に関するプロダクトの色彩イメージの研究を行っている。本研究は、住宅イ ンテリア要素の色彩イメージを年齢層に着目して評価し、インテリア要素と色そのものの イメージの違いについても評価することを目的とする。 2. 研究方法 SD 法を用い、評定尺度は 20 形容詞対とした。得られたデータをもとに、因子分析、分散 分析、グラフ化などを行い考察した。被験者は図 2 のブース内で5分間の順応時間を過ご し、練習用の評定後、33 色のカラーシュミレーションを行った実験用画像を要素ごとに呈 示し、評価させた。 (要素:単色色票、外壁、内壁、エアコン、キッチン、冷蔵庫) 被験者:京都府立大学環境デザイン学科 20 代の女性 20 人(青年層)、30~50 代の主婦 20 人(中年層) 、60 代の主婦 20 人(高年層) 色覚正常者、矯正視力 0.7 以上 実施時期:未記載 3. まとめ (1) 単色色票とインテリア要素や外壁の色から受けるイメージの違いは有意であり、インテ リア要素などの色は自然さに留意する必要があることが示された。 (2) 青年層や中年層では鋭さの判断をトーンと色相で行っているのに対し、高年層ではそれ が困難であるか、あるいは判断のよりどころとしないことが示された。 (3) 色そのものと主にインテリア要素や外壁の色のイメージとの相違が示された。 (4) 年齢層により色彩イメージの評価構造が異なることが示された。 4. 批判的考察 筆者は考察において、(1)~(4)の原因として、高年層の色の識別性の低下、色に対する関心 の低下、年齢層の色彩に関わる世代背景の関与と述べているが、これらは筆者の推測にす ぎず、裏付けが必要だと考える。 22800900674 門田梨沙 22800900674 門田梨沙 着色細骨材および顔料を用いた 打放しコンクリートの色彩に対する感性評価に関する研究 劉霊芝、桝田佳寛、小西敏正、榊智也 日本建築学会構造系論文集 第 73 巻 第 630 号 1233-1238 2008 年 8 月 1. 研究目的 劉らは、打放しコンクリートの色彩、光沢度、明度などについて研究している。本研究で は、一般の打放しコンクリートより色彩の幅を広くした各種色彩の打放しコンクリート供 試体を作成し、打放しコンクリート建築物の表面仕上げを構成・構築するための概念およ び基礎資料を得ることを目的とする。 2. 研究方法 顔料および着色した細骨材を用い、各種色彩の打放しコンクリート供試体を作成し、それ らの表面の色彩性状を表す物理量(光沢度および表面色)を測定した。また、作製した打 放しコンクリート供試体を用い、実験室内の一定条件下で、それらのイメージに関して心 理実験を実施し、心理量の定量化を行った。両者の関係について考察し、打放しコンクリ ートの感性評価を試みた。 心理実験はすべてアンケートの形式で、16 形容詞対を SD 法により-3~+3 の 7 段階で評 価した。図 1 に実験室の室内配置を示す。 被験者:宇都宮大学工学部建設学科建築学コース 二回生 32 名、三回生 18 名。 (矯正) 視力は 0.3~1.5 であった。 実施時期:未記載 3. まとめ (1) 顔料や着色した細骨材を使用した打放しコンクリートの光沢度は顔料の混入により低 下し、明度はセメントに大きく影響され、彩度は顔料の混入に強く影響される。 (2) 湿潤養生後 4 週間自然乾燥することにより、暖色系の打放しコンクリートは鮮やかさが 減少し、寒色系では増加した。 (3) 各種色彩の打放しコンクリートのイメージは、セメントの種類および顔料の混入率に影 響される。 (4) 暖色系の打放しコンクリートからは温かい、明るい、軟らかい、軽い、さらさらなイメ ージが得られ、寒色系からは冷たい、暗い、硬い、重い、しっとりするイメージが得ら れると考えられる。 (5) 黄色系の打放しコンクリートは好まれず、青色系が好まれる。 4. 批判的考察 22800900674 門田梨沙 図 1 を見ると供試体が順番に並んでいることがわかる。隣り合っている供試体から影響を 受けることも考えられるので、供試体はひとつずつ呈示するべきだったと考える。 22800900674 門田梨沙 生活空間に関連するプロダクトの色彩イメージに関する研究 佐藤仁人 日本建築学会環境系論文集 第 597 号 19-26 2005 年 11 月 1. 研究目的 佐藤は、住宅内外における様々なプロダクトの色彩調査を行っており、本研究では生活空 間に関連するプロダクトの色彩イメージの違いを明らかにすることを研究目的とする。 2. 研究方法 カラーシュミレーション画像を用いたSD法による評価実験を行い、得られたデータの平 均値を用いて因子分析(主成分・バリマックス回転)を行い、プロダクト色彩の評価構造、 因子と色彩との関係について考察した。 事前調査 住宅内外のプロダクトの色彩調査 プロダクトの色彩を測色し、傾向と特徴を調査した。 実験に使用した 10 個のプロダクトは、生活に関わりの深い 7 分野から選定した。 (表 1) 調査対象:各プロダクトの業界シェアの累積が過半数を占める企業のプロダクトとし、 それらの商品カタログに掲載されているもの 掲載時期:商品カタログは 2003 年春夏号(6~9 月)のもの 実験 SD 法による評価実験 カラーシミュレーション画像を作成し、液晶プロジェクターでスクリーン(縦 90cm×横 120cm)にランダムに映し出す。被験者はスクリーンから約 2.5m離れて椅子に座り、評 定を行った。 実験に用いるプロダクト画像は色彩分布とプロダクトの用途や性質が類似しているものを 除き 6 種類とし、一般的なものを選んだ。これを元に実験に用いる色はそれぞれ、①低明 度-中彩度域(暗い) 、②高明度-中彩度域(うすい)、③中明度―高彩度域(あざやかな) から選ぶこととし、マンセル表色系の 10 色相から上記の 3 色域から各 1 色、延べ 30 色を 選定し、これに白、うすい灰、暗い灰の無彩色を加え 33 色とした。 被験者:デザイン系の学生で色彩に関する基礎的な知識を持つ学生 20 名(19~24 歳、 男 6 名、女 14 名) 実施時期:未記載 実施場所:京都府立大学内の実験室(暗幕によって遮断されている。) 3. まとめ 事前調査 住宅内外のプロダクトの色彩調査 プロダクト全体の色彩分布は約 3 分の 1 以上が無彩色であり、有彩色は、低明度・低彩度 域、高明度・低彩度域及び中明度・中彩度域に多く分布していることが明らかになった。 22800900674 門田梨沙 実験 SD 法による評価実験 プロダクトの評価構造は全体としては「好感度」「明朗性」「柔和性」のそれぞれ評価性因 子、活動性因子、力量性因子の 3 因子で説明可能であるが、個別のプロダクトに関しては 評価性因子および活動性因子においてその意味合いは変化し、その要因としてはそれらの 大きさ、用いられる場所とその動作の性質において異なることがわかった。また、同じ種 類の因子であっても、多角評価される色彩はプロダクトの性質によって異なることがわか った。 4. 批判的考察 事前調査の際、3 次元物体の発色を 2 次元であるカタログより調査を行ったが、発色目標は 同じであれ、確実に同じである保障はないため、実物をみて調査を行うべきだったと考え る。 22800900674 門田梨沙 鮮やかな光色で照明された食品に対する食欲 小林茂雄 日本建築学会環境系論文集 第 74 巻 第 637 号 271-276 2009 年 3 月 1. 研究目的 小林は、食品への照明のあり方について研究を行っており、鮮やかな光色で照明された空 間で食事をすることを想定し、光色と食品に対する食欲との関わりについて実験的に評価 し、把握することを目的としている。 2. 研究方法 大学の実験室をカフェと想定し、異なる光色で照明された食品を見て食べることに抵抗を 感じるか感じないかを評価する実験を行った。照明器具はテーブル上のペンダントとし、 窓からの外光は遮断している。光色は、赤(濃)、赤(淡)、緑(濃)、緑(淡)、青(濃)、 青(淡)の 6 種類とし、テーブル面平均照度は 100 ㏓とした。実際に使用した食品は「主 食」 「野菜・果物」 「デザート」 「飲み物」各5品ずつ、計 20 食品である。主食とデザート では白色に近い色味の中で食材を変えることにし、野菜・果物は色相が異なるものを用い ることとし、飲み物は明度が異なるものを用いることとした。本研究では、図 3 の写真の ように皿やグラスに配置された単位を一つの「食品」と呼ぶことにする。 実験 1 はじめに図 1 の実験室において白色光に設定し、円形のテーブルを囲んで被験者 3 もしく は 4 名に着席してもらい、 「友人同士で飲食店に来たことを想定する」ように教示した。次 にある照明条件に設定し、色順応時間を 5 分設けてから、食品を一個ずつ提示した。食品 を「抵抗なく食べられる」 「抵抗はあるが食べられる」「食べられない」の 3 段階で、被験 者のタイミングで視覚のみで評価してもらった。評価は、白色光で照明されたときに「抵 抗なく食べられる」ことが基準となっている。全食品が終わった後、光色を変更し、色順 応時間を設け、同じ評価をおこなった。 被験者:大学生 25 名(男性 17 名、女性 8 名) 実施時期:未記載 実験 2 実験 2 では図 7 に示す食品群を用いた。実験方法は実験 1 と同じである。 被験者:大学生 18 名(男性 11 名、女性 7 名) 22800900674 門田梨沙 3. まとめ 実験1 赤、緑、青のどの光色でも、光の彩度が強くなるほど、すべての食品で食欲は低下した。 デザートは、主食や野菜、果物に比べて食欲の低下は小さく抑えられる傾向にあった。要 因として様々な色彩を持つためと考えられる。寒色系の光色において、男性より女性の食 欲が低く評価される傾向にあった。食品の色と同系色の光で照明される場合には、食欲は 低下しにくい傾向にあった。 実験 2 単色の食品よりも複数の色彩を持つ食品や調理品のほうが食欲は低下しやすい傾向にあっ た。 よって食品の温度と光色による寒暖のイメージが一致するときは、食欲は低下しやすい傾 向にあることを考察している。 4. 批判的考察 色だけでなく形に対する評価もいくつかあり、今回の実験では食品の形という部分も組み 込まれてしまい、厳密に「光色と食品」のデータを得ることができなかったと考える。 22800900674 門田梨沙 平面構成・希望用途からみた座敷への住要求構造の分析 現代における住宅計画のための室要求構造の解明に関する研究 その 1 切原舞子、鈴木義弘、岡俊江 日本建築学会計画系論文集 第 73 巻 第 633 号 2301-2308 2008 年 11 月 1. 研究目的 現代の独立住宅に対する室要求構造を明らかにすることを目的としており、接客空間と家 族空間、および私的空間の相互関係性を捉え、住まい手の多様な要求に対応可能な住宅計 画の知見を示す。 2. 研究方法 戸別訪問によりアンケート調査票を配布し、郵送での回収を行った。プランの分類を図 1 に示す。得られたデータを、居住プランと選考プランの整合性、座敷への希望用途、希望 用途とプランタイプとの関係性、それぞれについて分析する。 調査対象:1990 年以降より分譲された全国 9 地域の戸建住宅団地(大坂、仙台、千葉、 茨木、愛知、富山、大坂、京都、広島、愛媛、高知、福岡、大分) 有効サンプル 369 件 配布期間:2005 年 7~8 月、2006 年 8~9 月・2~3 月 3. まとめ 現代の座敷の位置づけを考察すると、リビングルームとは別に二間続きの座敷を確保する 間取りは、歴史的には接客本位性を意味するが、本稿で指摘した座敷の分離・拡大志向は、 必ずしも接客空間の重視ではなく、むしろ家族空間の拡大、あるいは家族空間である LDK からの接客空間の隔離を意味すると考えられる。また、床の間を不用とする和室志向の増 加や、これに顕著な連続志向、供給数の増加の傾向が認められる[連ⅠB ]の家族空間への要 求の高さを指摘した。少数ではあるが、[連Ⅱ]の存在も考慮すると、前述の分離志向とは形 態は異なるものの、座敷の家族領域か進行の反映だといえる。 22800900674 門田梨沙 4. 批判的考察 床の間に対する考え方は、世代によって大きく変わると考える。よって世帯主年齢別のデ ータがあると考察しやすかったのではないかと考える。 22800900674 門田梨沙 4 つの価値次元からみた接客性空間への価値づけ構造分析 樋口栄作 日本建築学会計画系論文集 第 456 号 1994 年 2 月 1. 研究目的 樋口は、空間への多元的な価値づけの構造を分析する研究をしている。本研究では、接客 空間の具体的な対象である床の間付き和室と椅子式居間への人々の価値づけの構造を、都 市化度と世代性という 2 つから分析し、接客性空間の存在の意味と意味の変容を明らかに することを目的としている。 2. 研究方法 アンケート調査によって得られたデータを、西里静彦氏開発の双対尺度法iで分析する。床 の間付き和室と椅子式居間それぞれについて評価してもらい、項目は、住要求の基本構成 因子であると考えられる「機能性-象徴性」と「対社会性-個人性」から導き出される 4 つの価値付け次元を設定し、これに位置づく 15 項目とした。(図-1)評価は、1(まった く必要ない)-2-3(必要である)-4-5(ぜひ必要である)の 5 段階とした。 被験者:15 都市の市職員(既婚者)、有効回答 1652 サンプル 実施時期:1980 年代(iiより 3. まとめ 分析結果を、都市化度と価値づけ構造、年齢段階と価値づけ構造、所有・非所有と価値づ け構造の 3 つに分けた。これらよりわかったことは、都市化度が低く高い年齢段階であれ ば、椅子式居間、床の間付き和室を問わず、それらは対社会的機能価値づけと同時に、対 社会的象徴的価値づけのもとにあることである。 仮説として、椅子式居間、床の間付き和室を問わず、それらが対社会的機能的価値づけと 同時に、対社会的象徴的価値づけのもとにあれば、家族の団らん領域にあまり組み込まれ ずに接客領域を形成し、領域区分の強さをもたらす。また、対社会的価値づけと同時に、 個人的(=家族的)機能的価値づけのもとにあれば、接客領域と家族の団らん領域との領 域区分の弱さをもたらす。つまり、価値づけの違いが、使い方の概念に属する領域区分の 違いをもたらすといえる。 4. 批判的考察 図-1 の 15 項目の中には、現在の日本では女性の比重が大きい項目がいくつかある。例え ば、「7.育児がやりやすいために」という問いは、統計的にみると男性より女性のほうが答 えやすい質問だと私は考える。よって、実験結果を男女で区別する必要があったと考える。 22800900674 門田梨沙 i 西里静彦:質的データの数量化、-双対尺度法とその応用-、朝倉出版、1982.4 樋口栄作:住要求のヒエラルキー構造における接客室要求の位置、日本建築学会計画系論 文報告集、no.43~50、1989.6 ii 室温、色彩による複合環境の心理評価 須藤由佳子、松原斎樹、合掌顕、蔵澄美仁、小東敬典、青地奈、飛田国人 日本建築学会環境系論文集 第 73 巻 第 630 号 1037-1043 2008 年 8 月 1. 研究目的 須藤らは、複合環境評価への評価者の注意方向の影響について研究を行っており、同時に 複数の環境要因が存在することを考慮した上での環境設計を行うことを研究目的としてい る。 2. 研究方法 実験方法として、松原らi、合掌らiiの hue-heat 実験に、被験者の注意方向を教示によりコ ントロールした条件を加えた。実験で取り扱う要因は、室温・色彩・注意力の 3 要因とし、 「教示なし」 (N)条件、 「色彩に注意を向ける」 (C)条件、 「温熱環境に注意を向ける」 (T) 条件の 3 条件にわけ実験を行った。実験室は、前室(評定室)と刺激呈示室の 2 種類で構 成した。 被験者は 40 分間前室に待機したあと、ある室温・色彩条件の環境(刺激呈示室)に 5 分間 曝露後、再び前室に移動し、刺激呈示室について評定させるというサイクルを2回繰り返 した。2 回目は、1 回目の曝露条件に、注意方向に関する教示のみを追加した。 刺激呈示室内設定温度は 27℃を基準とし、冬期に 19.5℃、22.5℃、27.0℃、夏期に 27.0℃、 31.5℃、34.5℃に設定した。前室(評定室)は常に 27.0℃とした。呈示する色彩は、前室 は無彩色(N9.0)、刺激呈示室は暖色(10R5/14)/寒色(5B5.5/8)の2種類とした。冬期 には暖色、夏期には寒色のみを呈示した。 被験者:健康な大学生男女 149 名(男性 44 名、女性 105 名) 、実験服(半そでシャツ・ 長ズボン・ソックス)着用 実施時期:2006 年 1 月(冬期) ・7 月(夏季) 実施場所:京都府立大学人間環境シミュレータ内の実験室 3. まとめ 実験によって得られたデータを表やグラフにし、1 回目評定値集計、N 条件における 1 回目 評定値と 2 回目評定値の関係、注意方向による評定値の変化、熱的不快感における評定値 の変化についてまとめた。結果より、教示を用い注意方向をコントロールすることで、温 熱要因と視覚要因(色彩)への注意配分を変化させることによって、同一の環境であって も、その環境に対する評価が異なることがわかった。この場合、注意配分の大きい要因の 影響がより大きいことがわかった。 4. 批判的考察 被験者の男女比に大きな偏りがあると、実験結果も偏る可能性がある。よって、できる限 り男女比を 1:1 にすべきである。 i ii 松原斎樹, 合掌顕, 朝倉年香, 横山広充, 蔵澄美仁 :室温、色彩、環境音の複合環境の 心理評価に関する研究 その 1hue-heat 仮説に関する冬期実験結果、日本建築学会大会 学術講演梗概集(東海) 、D-1、785-786、2003 合掌顕, 松原斎樹, 蔵澄美仁:室温、色彩による複合環境の心理評価に関する研究 夏期 実験における検討 日本建築学会大会学術講演梗概集(東海)、D-1、831-832、2005 22800900674 門田梨沙 加齢に伴う色の見えの変化 佐藤千穂 照明学会誌 第 82 巻 第 8A 号 平成 10 年 1. 研究目的 佐藤は、色の見えや色彩心理に関する研究を行なっており、本研究では健常者を対象とし て色の見えの変化を捉えることを目的としている。 2. 研究方法 色をはっきりと見分ける力の加齢変化を捉えるために 100HUE テスト(実験 1)を、同一 色紙の色のみえ(感じ方)の加齢変化を捉えるためにカラーネーミング実験(実験 2)を行 った。両者の結果から、実際の加齢による色の見えについて考察した。 実験 1 100HUE テスト 日本色彩研究所製 100 色相配列検査器(ND-100)を用いた。実験に入る前に色並べの説 明及び練習を行った。その後、色並べの時間を 3 分 30 秒とし、サオ 1 からサオ 4 まで各サ オ 25 個の色コマをバラバラにして呈示し、色が順番に変化するように色並べを行った。 被験者: 20 代と 50 台から 70 代の 70 名(全員色覚正常者である。色付き眼鏡、白内障 手術者、眼科通院者は対象外) 実施時期:未記載 実験 2 カラーネーミング実験 NCS 表色系の表記方法で色を表した。16 色のサンプルを呈示し、1 色ごとに色み(色相)、 黒さ(黒量) 、色の強さ(純色量)について、それぞれを感じる割合を記入した。 被験者:10 代(18 歳以上)から 50 代の女性(色付き眼鏡、コンタクトレンズ、目の手 術済み、眼科通院者は対象外) 実施時期:未記載 3. まとめ 実験 1 100HUE テスト 加齢とともに青みを含む色で色弁別能が低下し、加齢によっても色の見えの特性が保たれ ながら、その傾向が顕著になると考えられる。(若年層でも劣っていたサオ 4(R~B)の色 弁別能が高齢でも劣っている。 )つまり、色の違いを認識するのに、加齢と共に特に青色領 域で大きな色差が必要になる。 実験 2 カラーネーミング実験 加齢による色みの認識に違いはなく、加齢によっても色の見えに一定した特徴が確保され ていると考えられる。色の見えは年代による違いというよりは個人差が大きいと言える。 22800900674 門田梨沙 100HUE テストからは色弁別能の低下に加齢変化が認められたが、カラーネーミング実験 の解析結果に加齢変化は認められなかった。 4. 批判的考察 実験 1 と 2 について、実験結果に影響しないようにするため被験者を統一すべきだったの ではないかと考える。 気温が色温度の好ましさに及ぼす影響 中村肇、垣鍔直、沖允人 日本建築学会計画系論文集 第 535 号 1-7 2000 年 9 月 1. 研究目的 中村らは心理的に快適な照明環境を形成するための照明計画技術について研究しており、 本研究では、気温が全般照明光の色温度の心理的な好ましさのレベルにどのような影響を 及ぼすかを明らかにすることを目的としている。 2. 研究方法 室内の気温と色温度を制御できる実験室を使用し、在室者にどのように感じたか図 4 の評 価尺度を使用し評価してもらう。得られたデータの平均値を数直線やグラフに表し、考察 する。第一段階として、異なる気温のもとで室内の照明光の色温度を観察し、気温と色温 度の好ましさの関係を検討した。第二段階として、日常の異なる気温の生活空間を移動す る際に体験するステップ上の気温変化が、色温度の好ましさに影響を及ぼすかどうかを検 討した。 実験 1 空調のない室内 実験室平面図を図 1 に示す。2 人の被験者がA室に入室したあと、呈示される照明環境を事 前に体験させ、評価尺度を用いて回答方法を練習させた。 (1) 室内の気温と暗い状態に観察者の身体を順応させるため、実験室の照明を消灯し観察者 を椅子安静の上、30 分間待機させた。(予備順応と呼ぶ) (2) 照明を点灯し、基準側とテスト側を見比べ、基準側に対するテスト側の色温度の好まし さを 30 秒以内に評価した。 (3) 1 回目の評価のあと基準側で再び待機し、点灯から 5 分後 2 回目の評価を行った。 (4) 2 回目の評価のあと再び待機し、点灯から 10 分後 3 回目の評価を行った。 これを 30℃、23℃、10℃のそれぞれの気温で、3700K、5500K、7000Kそれぞれの色温 度実験を行った。このスケジュールを図 3 に示す。 被験者:25~30 歳の男性 8 名(服装は統一) 実施時期:平成 6 年 4 月 19 日から 26 日の 5 日間 実施場所:松下電工㈱の環境実験室 実験 2 ステップ状気温変化 図 1 に示す実験室A、Bを用い、 【冬型実験:A室 23℃からB室 10℃に移動し、A室 23℃ に戻る】と【夏型実験:A室 23℃からB室 35℃に移動し、A室 23℃に戻るの】の二通り を行った。このスケジュールを図 8 に示す。 (1) 予備順応してからA室(23℃)に入室して 25 分後 1 回目の評価を行なった。 (2) 30 分後にB室(10℃または 35℃)に入室し 20 分間待機した。 (3) 次にA室(23℃)に戻り 2 回目の評価を行なった。 被験者:実験 1 と同様 実施時期:平成 6 年 1 月 11 日から 14 日の 4 日間 実施場所:実験 1 と同様 3. まとめ 実験 1 ① 気温と色温度の好ましさの間に相関関係が存在する可能性は高い。 ② 低い色温度は気温が低い場合に好まれ、高い色温度は気温が高い場合に好まれ、また、 点灯からの経過時間によって好き・嫌いの印象が薄れていくと考えられる。 ③ 好ましい色温度は気温によって異なると考えられる。高気温の場合は高色温度を好み、 低気温の場合は低色温度を好む可能性が示唆された。 実験 2 ④ A 室に入室する前の B 室の気温が大幅に異なっていると、A 室の気温が同じであっても 全般照明光の色温度の好ましさは変わる可能性が示唆された。 実験 1 と実験 2 の結果から、低気温のときは全般照明光の色温度を低色温度側に、高気温 のときは高色温度側に変化することによって、空間の好ましさを向上できる可能性が示唆 される。 4. 批判的考察 実験 1 において、評価するごとに基準側に戻ると、心理的にリセットされてしまい、時間 経過によっての好ましさの変化を正しく測定することができなかったのではないかと考え る。 22800900674 門田梨沙 飲食店でとられる着座姿勢の特徴 小林茂雄、村中美奈子 日本建築学会環境系論文集 第 73 巻 第 634 号 1341-1346 2008 年 12 月 1. 研究目的 小林らは、都市生活において着座する人々がどのような姿勢をとっているかを調査し、そ の特徴とかかわる要因を示すことを研究目的とし、飲食店を実際に利用している着座者の 姿勢の特徴を示し、姿勢のとり方に与える利用者の属性や環境的条件などの影響を探る。 2. 研究方法 観察対象者:調査者の座席周辺で姿勢や動作が観察可能な者(1 店舗につき 10 名程度)1280 名(男性 564 名、女性 636 名、性別不明 8 名) 実施時期:2007 年 4 月~9 月の 12 時~24 時 実施場所:首都圏の屋内空間で営業中の飲食店 125 店舗(カフェ 54 店舗、ファストフー ド 26 店舗、レストラン 30 店舗、居酒屋 15 店舗) 【条件】椅子に座るタイプである、個室化されていたり照度が低すぎたり(10 ㏓未満) しない、気軽に利用できる店舗である。椅子の座面高さが 30~60cm、机上面 との高さの差が 25~35cmのもの。サイズや形状が特殊である椅子は対象外。 2 名の調査者は、店舗内部の調査項目(主要な照度、音環境、椅子の素材及び形状、利用者 の周辺からの見えやすさなど)と、利用者に関する調査項目(着座時の姿勢、性別、年代、 座席、とられる行為)について、観察者が座席についた 10 分後に観察した。姿勢について は、足を組んでいるか(足組み) 、テーブルに肘をついているか(肘つき)、体の傾きが前 傾か垂直か後傾か(体の傾き)の 3 点とした。各々の利用者を 10 分間観察したうえで、過 半数どの動作をしているかで判断した。 3. まとめ 得られたデータをもとに、x二条検定結果(p値)を行って表やグラフを作成した。姿勢 のとり方の全体傾向、利用者の属性と姿勢の関係、利用者の行為と姿勢の関係、椅子の形 状と姿勢の関係、光環境・音環境と姿勢との関係の5つにわけて、まとめた。これらより、 店舗や年代、している行為、椅子の形状、机上面照度、周辺音量によって着座姿勢に変化 があることがわかった。 4. 批判的考察 本研究では、筆者らも述べているように観察者の意識を把握していない。さらに、体力を 考慮していないことが実験の精巧性を欠いていると私は考える。姿勢は心身の疲れなどが 表れるものなので、今後は精神・身体的に統一した条件下で実験を行うべきだと考える。