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全植検協通報 - 一般社団法人 全国植物検疫協会
平成 26 年 1月1日 第 106 号 《 全植検協通報 発行》 一般社団法人全国植物検疫協会 東京都千代田区内神田3-4-3 Tel 03(5294)1520 東京国立博物館 新 年 を 日本庭園 迎 え て 会長 会 花島 陽治 新年明けましておめでとうございます。年の始 更が延期されましたが、いずれは変更が行われる めにあたり会員並びに関係者の皆様にとって本 ことと考えられ、その行方を注視していく必要が 年が良い年でありますよう心からお祈りいたし あります。 ます。 また、関係者の皆様から当協会へ特段のご支援、 ご協力をいただき厚く御礼申し上げます。 このような情勢のなか、全植検協は、一般社団 法人としての 2 年目の業務を進めてきておりま す。輸入植物の消毒率の低下による地域協会の業 さて、昨年は、2020 年の東京でのオリンピッ 務量の減少、輸出こん包材の消毒証明書発行数の ク開催が決まり、景気上昇の気配も広がり久しぶ 減少等により当協会の収入の減少が緩慢ではあ りに明るい話題のあった年となりました。 りますが進んでおり、今後は更に経費の節減に努 植物検疫については、昨年、検疫病害虫や非検 疫病害虫が多数追加指定されることが公表され、 めていきたいと考えております。 このように厳しい状況の下において昨年 1 年 今後、関係法令の改正が行われると聞いておりま 間の業務を無事に終了できたことは、ひとえに会 す。このため、輸入検疫植物の消毒率は更なる減 員各位のご協力の賜であり、感謝申し上げます。 少が予想されております。また、本年冬に予定さ 今後とも皆様のご指導、ご支援をよろしくお願 れていた植物検疫くん蒸剤の農薬登録内容の変 い致します。 海上コンテナによる有害動植物移動の最小化について -植物検疫措置に関する国際基準暫定案(暫定 ISPM 案)- 1.植物検疫措置に関する国際基準 植物検疫措置に関する国際基準(International れるコンテナ。なお、汚染があった場合の防止法 は高圧水洗浄、熱処理、燻蒸等で汚染に最も有効 Standards for Phytosanitary Measures :ISPM) なものとされている。 は 国 際 植 物 防 疫 条 約 ( International Plant (2) 清浄性の証明 Protection Convention :IPPC)に基づき定められ 証明する船会社は、目視検査、汚染防止法のほ るもので、植物検疫措置の国際調和を促進するこ か適切な記録方法を有すること。また、認証手続 とを目的とし、加盟国が検疫措置を採用する際の きに関し、国際認証機関による監査を受けること。 ガイドラインとなるものである。 (3)清浄コンテナの汚染防止 ISPM はこれまで 36 基準が作成されており、 「植 ・保管場所の舗装、害虫の誘引防止措置(照明の 物検疫の原則」や「植物検疫用語集」といった基 変更等)等 本的なものから、検疫措置に直接影響する「有害 ・コンテナデポから保管場所等への移動時におけ 動植物無発生地域の設定のための要件」や「国際 る汚染防止 貿易における木材こん包材の規制」といったもの (4)輸入国のためのガイドライン まで多様である。 ・輸入国の国家植物防疫機関は、検査や監査によ 2.コンテナ検査に関する国際基準 りコンテナ清浄性を確認し、船会社から証明文書 専門家作業部会が原案を作成し、2013 年 4 月の が提出される場合は輸入検査を軽減する。 IPPC 総会で意見交換が行われた ISPM 案の 1 つが ・輸入国の国家植物防疫機関は、不適合があった 「海上コンテナによる有害動植物移動の最小化」 場合は植物検疫措置を講じる。 である。この ISPM は、世界の貿易に大きな影響が ・重大な不適合は輸出国へ通報する。 あるものと考えられることから IPPC 総会では採択 3.日本の意見、提案等の概要 されずに以下の合意がなされた。 日本は、暫定 ISPM 案に対し、国際植物条約に関 ① ISPM 策定は段階的に進めることとし、基準委 する国内連絡会や暫定 ISPM 案の説明会での意見等 員会が暫定 ISPM 案を策定の上、各国協議に諮 をもとに概要以下の意見を基準委員会に提出する り、各国関係者のコメントを収集する。 としている。 ② ISPM の基礎となる情報(病害虫の付着状況等) 海上コンテナによる有害動植物移動の最小化に を収集するために、加盟国が自主的に病害虫 関する国際基準を策定するにあたっては、 調査を実施する。 ① この合意に基づき基準委員会は 2013 年 5 月に以 全加盟国が同水準で統一的に実施できる実効 下の内容の「暫定 ISPM 案」を策定し各国の基本的 性のある基準であること ② な考え方を集約しようとしている。 関係者との意見交換を十分に行うことが必要 (1)清浄なコンテナ であり、以下の課題を検討すべきである。 ア 目視検査(検査者は、船会社の職員を想定)に 膨大な量の海上コンテナ全てを目視検査する ことは不可能。このため、例えば、コンテナの よりコンテナの内部及び 6 面全ての外表面に汚染 (例:土)及び生物体が付着していないと考えら 外部のみを検査対象とする。 イ 目視検査・清掃が行われたとしても、その後 出航までの間や寄港地で再汚染する可能性が あり、船会社に清浄性証明の責任を求めること は不可能である。このため、例えば清浄性の証 明ではなく確認書(statement)とする。 実施には慎重にならざるを得ない。 このような意見を踏まえ日本は今後の方向につ いて以下の提案を行うとのことである。 検疫条件を付加した改定貨物ユニット梱包行動 ウ 暫定 ISPM 案では、国際認証機関が船会社によ 規 範 ( Code of Practice for Packing of Cargo る清浄化システムを認証するとしながら、統一 Transport Unit)などの実施による海運業界の自 的な清浄手続きが明らかでない。このため、各 主的な取り組みを国家植物防疫機関として促し、 国が同水準で統一的に実施できる清浄手続きを これらの取組状況を踏まえて国際基準案を再検討 定める。 する。 エ 海運業界を代表する国際機関と IPPC との間の 協力関係に関する情報が個々の関係者に共有さ 4.コンテナ検査に関する国際基準の今後 れていない。国家植物防疫機関と船会社、港湾 この国際基準は、国際貿易に大きな影響を与え オペレータ等の関係者との意見交換を円滑に行 る可能性があることから、上述したように日本か うことができるよう、海運業界を代表する国際 ら提出される意見、提案等も多岐にわたっている。 機関と IPPC との意見交換を促進する。 同様に各国からも多様な意見が寄せられるものと また、日本の関係者の意見として以下の項目 を基準委員会に提出するとしている。 考えられる。基準委員会は寄せられた意見をもと に暫定 ISPM 案を見直し、再度 IPPC 総会での検討 ① コンテナの所有、管理、流通は複雑であり汚 に付して、改訂 ISPM 案が作成されることになろう 染源が船会社でない場合や清浄主体が船会社 が、多くの意見を取り込んだ改訂 ISPM 案作りには でない場合は、船会社が責任を負うことはで かなりの期間を有するものと推測される。また、 きない。 改訂 ISPM 案の IPPC 総会における検討においても ② 荷主が所有・レンタルしているコンテナは、 シールされた状態でターミナルに搬入される ため、船会社は内部の検査を実施できない。 ③ コンテナの検査、清掃、清浄性の証明には、関 係者に新たな負担を生じることから本基準の 多くの修正意見が提出される可能性が高い。 更に IPPC 総会で改訂 ISPM 案が採択されたとし ても、各国の植物防疫機関が「海上コンテナによ る有害動植物移動の最小化」に関する ISPM を実施 に移すのは至難のことと予想される。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 4 国 11 種類の果実を対象とした輸入解禁の ール、クレメンティン、ノバ、マーコット ための公聴会の開催 対象の国や種類が多いためか公聴会は 2 回に分 平成 25 年 12 月 5 日付けの官報に以下の 4 つ国 けて行われ、12 月 16 日にトルコ産レモン及びイタ の 11 種類の果物を対象とした輸入解禁のための公 リア産オレンジの公聴会が、12 月 20 日にはオース 聴会が開催されることが公表された。 トラリア産ブドウ及びアルゼンチン産柑橘類を対 1 トルコ産のレモン 象とした公聴会が開催された。 2 イタリア産オレンジ(2 品種) このように多くの国、多種類の果実を対象にし 3 オーストラリア産ブドウ た輸入解禁のための公聴会の開催が一気に官報に 4 アルゼンチン産オレンジ(3 品種) 、エレンデ 掲載されたのは初めてのことである。 平成 24 年の輸入植物の消毒率 入 選 平成 25 年 8 月に農林水産省植物防疫所のホーム 入 選 ページに公表された平成 24 年の植物検疫統計のう 入 ち消毒率を平成 23 年と比較してみると第 1 表のよ うな状況である。 (一社)神戸植物検疫協会 花畑 晴行 東京植物検疫協会 人見 哲也 選 関東燻蒸㈱ 人見 洋子 入 選 関東港業㈱ 丸山 修一 入 選 宮内 弘 東京植物検疫協会 生果実、穀類及び豆類での消毒率の低下が続い ている。 品目(大分類) 平成 23 年 24 年 栽 植 用 植 物 2 2 球 根 5 3 種 子 0 1 切 花 10 11 実 67 63 野 菜 6 7 穀 類 17 14 豆 類 25 20 嗜 好 香 辛 料 6 5 油・肥飼料等 3 3 83 85 生 果 木 材 第1表 品目別の消毒率 安全旬間ポスタ-図案(最優秀作品) 安全旬間ポスター選考委員会の開催 平成 25 年 9 月 4 日、本年度の植物検疫くん蒸安 【事務局だより】 全旬間において使用されるポスターの図案を選考 するため、図案選考委員会が開催された。全国の 植物防疫所から 12 点、 各地域検疫協会から 61 点、 防除業会から 22 点合計 95 点の応募があった。 慎重な審査の結果以下の方の作品が入選し、最 優秀作品が本年の安全旬間のポスター図案に使用 今後の予定 ・全国研修会:平成 26 年 2 月 13 日(木) ・第 2 回業務企画委:平成 26 年 2 月 27 日(木) ・第 6 回理事会: 平成 26 年 3 月 18 日(火) ・ 第7回理事会: 平成 26 年 5 月 21 日(水) (書 面決議日) された。 最優秀賞 横浜植物防疫協会 佐藤 啓子 優秀賞 関東燻蒸㈱ 増田 一文 入 選 関東港業㈱ 新井 宗和 入 選 横浜植物防疫協会 今泉 栄壽 入 選 東京植物検疫協会 小林 優修 鹿島営業所 入 選 東京植物検疫協会 佐藤 勉 入 選 関東港業㈱ 西谷 光弘 ・ 第 8 回理事会・第 3 回総会: 平成 26 年 6 月 18 日(水) 【農林水産省通達等】 ○ プラムポックスウィルスの緊急防除に関する 省令の一部改正(25 年 1 月 11 日農林水産省令第 1 号) -発生地域の拡大に伴う防除地域の指定-