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株式会社サークル鉄工(北海道)
北海道地域 株式会社サークル鉄工(北海道) ∼他分野への応用も視野に入れ積極的に特許を取得∼ 1.「土」を知り、 「移植」という専門分野を担う、作業の機械化へ貢献 (株)サークル鉄工は、1949(昭和24)年、現会長が創業。当初は林業関係を中心に 造林、苗畑用の道具を作っていたが、その関係から植林用の樹木の苗を植え替える作業 (床替)を行う機械の開発を依頼されたのが「移植」の分野に取り組んだきっかけ。試 行錯誤の上、なんとか床替機を完成させた。この開発の間に研究開発部門の重要性を痛 感し、研究開発部を設置するとともに特許化にも着目するようになった。この頃、日本 甜菜製糖㈱がビート苗床用にペーパーポットを開発し、それを機械で移植できないか相 談され昭和37年から研究開発に取り組み、この技術が同社の特許第1号となった。これ を契機に「特許」に積極的に取り組むことになった。同社のビート移植機は全国シェア の約80%を占める主力製品であり、ビート作付け面積の98%を機械化へと導いた。ま た、作付け面積の広いアメリカ・EUにも輸出されており、外国特許も取得している。 日本と外国ではその性質が異なり、また、天候により土の状態も変化することから、土 を知り、土に合った部品等の開発が求められる。 農業分野はまだまだ機械化できる分野もあり、研究開発を行うと共に、技術開発力を 活かし、建設機械分野への商品開発にも取り組んでいる。 2.ビートから野菜へ、海外から日本へ ビート移植機は需要家である農家の要望に応じて改良を重ねてきているが、農業人口 の減少や高齢化から省力化が求められていた。そこで作業員の人数を減らし、効率よく 移植ができる機械の開発に力を入れることとなった。昭和58年に、不良苗をほぼ100% 自動的に除去する「選別装置」を開発、従来4名必要な人員が半減の2名で可能となっ た。また、平成元年には一つの苗受入装置が受入した移植用苗を、コンピュータ制御に より左右二つの苗移植装置に振り分けて2畦に供給する「振り分け装置付ビート移植機」 を開発、1名での移植作業を可能とした。 また、海外向け野菜移植機はビート移植機の輸出をきっかけに製造を依頼されたもの で、従来はビート移植機を改良して輸出していた。しかし、3∼4年ほど前にEUのユ ーザーから専用機の製作を依頼され、本格的に開発に着手し、外国特許も取得した。 3.新技術、新製品の開発とともに、積極的に特許を取得 移植という分野は競合相手が多くない代わりに、他分野への応用も可能であることか ら、新技術については特許取得を心がけており、1機種当たり5∼6件の出願を行ってい る。重要な特許は登録料を権利満了分一括納入することもある。他分野への応用例とし て、九州のタバコ移植機製造メーカーにライセンスした実績もあり、自社製品の防衛以 外にも特許が活用されている。 − 16 − 株式会社サークル鉄工 【特許活用製品】 振り分け装置付ビート移植機 使用風景 ●会社概要 代表者:代表取締役 少覚 三千宏 所在地:北海道滝川市幸町3丁目3番12号 創 業:1949(昭和24)年 資本金:1億4250万円 従業員:107名 主要製品:ビート移植機、野菜移植機 − 17 −