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季 四 報 - 週刊ビル経営
(1 5) 週刊 平成1 7年4月1 1日(月4回・月曜日発行) 平成6年1 1月2 4日第三種郵便物認可 第4 2 5号 ビル 業界 四 季 報 株式会社横浜大世界 " 犬塚ビル 横浜大世界 " 有限会社駿台荘 東京都千代田区猿楽町2―4―11 神奈川県横浜市中区山下町97番地4 会 社 概 要 会 社 概 要 創業 昭和2年 設立 昭和2 4年 代表 土居 祥吉 事業内容 不動産賃貸 設立 平成1 5年 資本金 5 0 0 0万円 従業員数 2 0 0名 事業内容 不動産賃貸、 商業施設運営 関連会社 オーヴァル ★ビル概要 ★ビル概要 所在地 横浜市中区山下町9 7 名称 横浜大世界 竣工 平成1 5年 設計 丹青IDS 施工 丹青社 規模 地上8階、地下1階 構造 鉄骨鉄筋コンクリート造 設備 エレベーター ★入居テナント 2階 武漢・黄鶴桜 度小月 黒香 3 階 東珍味 王家炒 蘭蘭酒家 上海人 家 4階 王興記 陸港小鎮 上海老飯 店 麺源郷 5階 湖心亭 ★ビル建設の経緯 同社の親会社は神奈川県を中心に、紅 い風船ビルなど数棟のビルを運営するオ ーヴァルである。 「神奈川で事業を行う以上、中華街は 是非進出してみたい場所でした。幸運に も中華街の土地を取得することができ、 開発に着手することになりました」 (専務 取締役 平野均氏) 開発にあたって、株式会社横浜大世界 を設立。取得した土地は元々華僑のもの で、老舗の中華料理店が建てられてい た。日本人事業者である同社の土地取得 にはトラブルも予想されたが、スムーズ に行えたという。 その背景には、中華街周辺の高層マン ションの乱立がある。一部は中華街の区 画内にまで入り込んでおり、街の活性化 につながる商業施設の建設には、抵抗が なかったそうだ。 「飲食テナントだけを入居させた場 合、周辺の中華街と差別化できないと考 え、フードテーマパークビルを構想しま した。京劇や胡弓などの舞台を用意し、 本場中国の演者を迎えて文化交流の場と しました。それが中華街の地権者にも評 価されたと思います」 (平野氏) 1 9 2 0年代の上海をモチーフに、外観・ 内装を施し、エンターテイメント性あふ れるビルとなった。建設総費用は約2 0億 円である。 尚、横浜大世界という名称は、1 9 2 0年 代に建設された上海の商業ビル『上海大 世界』から名づけられた。 ★ビル経営 「飲食テナントは、現地上海に出向い てスカウトしてきます。日本の中華料理 店は出店していません」 (平野氏) 同氏は年に6回は上海を訪れ、地元の 飲食店情報を入手し、誘致を行うとい う。創業約1 3 0年の上海の人気店『上海 人家』などが出店している。従業員との 言葉のやりとりで支障をきたすこともあ るが、それがまた、異国情緒を感じる1 つの楽しみともなっている。 「チャーハン、ラーメン、餃子など品 目ごとに店の特徴をわけて、食べ歩きの 楽しみを演出しています」 (平野氏) また、売上げの劣る店やアンケートで 評判の悪い店は、定期的に入れ替えて活 性化を図っているという。賃料は売上げ 歩合制となっている。 賃料に加えて、同ビルの場合、来館者 からの入場料も収入源となっている。大 人5 0 0円の入場料で、一日約2 0 0 0人の来 館者があるという。食がメインの中華街 に、遊びの要素を加えるビルとして、人 気を博しているようだ。 交 通 ア ク セ ス 東急東横線・みなとみらい線 元町 中華街 徒歩2分 JR京浜東北線 ・根岸線 石川町駅 徒歩10分 名称 竣工 規模 構造 設備 犬塚ビル 昭和5 2年 地上1 0階建て 鉄骨鉄筋コンクリート造 エアコン、トイレ男女別(ウォッ シュレット) 、 フリーアクセスフロ アー、光ファイバー利用可 ★入居テナント 1階 ニチイ学館 2階 愛植物設計事 務所 阿部土地家屋調査士事務所 千代 田測量技研 日本眼科学会 4階 駿台 荘・犬塚ビル事務所 5階∼1 0階 住居 ★ビル建設の経緯 現在のビル所有地には、元々、『駿台 荘』という旅館が建てられていた。木造 7階建ての建築物である。 「私の親戚筋で創業者である犬塚祐吉 が昭和2年に建てました。洋風の山の上 ホテルと並んで、和風の一流旅館として 名高く、多くの文人、学者、政治家が通 っていたそうです」 (代表取締役 土居祥 吉氏) 駿台荘で執筆していた著名な作家を挙 げると、開高健、柴田錬三郎、壇一雄、 松本清張、石川達三、江戸川乱歩、高橋 和巳、武田泰淳、三好達治、吉川英治ら である。また、学者では湯川秀樹、丸山 真男らが利用した。チェックイン・チェ ックアウトの時間が無い自由な旅館で、 文人らに好評であったそうだ。 また、名物女将であった犬塚雪代氏 は、ビルマ(現ミャンマー)建国の父で あるアウン・サン将軍(スーチー女史の 父)の日本潜伏を助けたことでも知られ ている。 ビルが建設されたのは、昭和5 2年のこ とである。建設当初はホテルにする予定 だったそうだ。 「旅館経営は時代的に難しかったこと もあり、結局、改築を機に撤退すること にしました」 (土居氏) 旅館当時、来館者に気持ちよく使ってい ただくというのがポリシーだったが、賃 貸業となった現在も、その気持ちは変わ らないという。 ★ビル経営 代表の土居氏がビル経営に携わるよう になったのは、平成1 4年からである。当 時、1階の1室が約7年間空室、2階は 約3年間空室の状態だった。 それに加えて、1階の別の部屋に入居 していたテナントも退去することにな り、同氏には空室状況の改善が求められ ていた。 「築3 0年経過し、古くなったことがテ ナント減少の原因ですから、代表就任時 から様々な設備の改修、導入を進めてい ます。例えば、セントラルヒーティング を個別空調にし、トイレはウォシュレッ トに変えました」 (土居氏) 他、OAフロアや携帯アンテナの設置 などもいった。先行投資が功を奏したの か、現在は満室稼動を実現できている。 今後は周辺のビルオーナーとも連帯し共 同HPを作成するなどして、自力でテナ ント誘致ができる体制をつくるのが目標 だそうだ。 交 通 ア ク セ ス JR 御茶ノ水駅 徒歩5分 JR 水道橋駅 徒歩6分 東京メトロ 丸の内線 御茶ノ水駅 徒歩6分 都営三田線 水道橋駅 徒歩7分 東京メトロ半蔵門線・都営三田線・ 都営新宿線 神保町駅 徒歩8分 東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅 徒歩8分