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ウィークリーレポート2011年8月第3週

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ウィークリーレポート2011年8月第3週
Weekly
Report
(2011 年8月第3週)
光世証券株式会社
株式相場概況
● 先週(8/8 - 8/12)の動き
株式相場は、
格付け会社 S&P による米国の長期格付けの引下げや欧州債務危機の拡大を受け、
乱高下する展開となった。
5 日(金)の引け後、S&P が米国の長期格付けを最上級の「AAA」から「AA+」を一段階格
下げすることを発表した。
月曜朝(日本時間)
、G7 は米国の格下げと欧州の債務危機に関して緊急電話会議を行い、市
場に十分な流動性を供給することを決めた。また、ECB はドイツなどが反対したイタリアとス
ペインの国債の購入に踏み切り、危機の伝播を防ぐため行動する決断をした。しかし同日の欧
米株価は大きく下落した。9 日(火)に行われた FOMC では、現状の低金利を少なくとも 2013
年半ばまで維持することを発表し株価は反発、しかし翌日、フランスの金融機関の資金繰りが
問題視されたことから再び株価は下落に転じた。その金融機関は資金繰りについての噂を否定
し、翌日にはフランス、イタリア、スペイン、ベルギーで空売りの禁止が発表された。米国の
雇用に対する安心感もあり、11 日(木)の株価は大幅上昇した。
日本の株式市場も、欧米のニュースの影響から値動きが激しくなった。日経平均9千円を割
る局面では積極的に買いが入るものの、海外市場が上昇し9千円を上回って取引が開始される
と売りが優勢な展開が繰り返された。日経平均は前週末比-3.61%の 8,963 円と下落して一週
間の取引を終えた。
4日(木)に為替介入が行われ一時 80 円台に戻したドル/円相場だったが、やはり介入の効果は
薄く、介入以前の高値付近まで円高が進む場面があった。一段の円高が進めば再び介入の可能
性もあるものの、FOMC が緩和策の長期化を打ち出した今、日銀が更なる緩和政策を打ち出さ
ない限り、円高を止めるのは難しい局面にあると言える。
セクター動向は、内需関連が強く、輸出、金融関連が弱くなった。スタイルインデックスで
は、マザーズ指数のみが上昇した。それに次いで堅調だったのは TOPIX スモールで、小型株
が比較的堅調だった。値下がり上位では、コア 30、TOPIX100 が下落しており、時価総額上位
銘柄への売りが強かったことが分かる。
日本で発表された経済指標は、若干先行きに不安があるものの、景気の回復を示すものとな
った。7月の景気ウォッチャー調査は現況 52.6(予想 50、6月発表値 49.6)と景況感の改善
を示した。しかし、先行きは 48.5(6月発表値 49)と前月から若干悪化した。アナログ放送終
了前の駆け込み需要の後の反動減などが不安要素となっている模様だ。6月の機械受注は前月
比 7.7%(予想 1.7%)と予想を大幅に上回る内容となった。不安点は-5.9%と外需の落ち込み
が継続している点が挙げられる。7-9月期の見通しでも外需は弱くなることが見込まれてお
り、今後も国内の復興需要によって景気が左右すると予想される。
中国の経済指標は7月の CPI が 6.5%(予想 6.4%)と予想を小幅に上回り、依然インフレ圧
力が強いことを印象付けた。その他、小売売上高は前年比 17.2%(予想 17.7%)、鉱工業生産は
前年比 14.0%(予想 14.6%)と両指標とも予想を小幅に下回った。鉱工業生産の伸び悩みが気に
かかる。
欧州の債務危機はフランスの金融機関の資金繰り不安へと進展した。同行は資金繰り不安を
否定したものの、ECB による市中銀行への翌日物融資は大幅に増加している。
日経平均(日足 7月12日~8月12日)
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10300
10100
9900
9700
9500
9300
9100
8900
8700
8500
TOPIXとSP500の予想EPS
54.8
100
54.6
99.8
54.4
99.6
54.2
99.4
54
99.2
53.8
99
53.6
TOPIX EPS(左軸)
SP500 EPS(右軸)
53.4
98.8
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53.2
(出所:ブルームバーグ)
● 今週(8/15 -8/19)の注目点
欧州の問題の拡大ペースが速くなり、とうとう金融機関の資金繰り悪化の噂が出るようにな
った。否定されているものの、上記のように ECB の市中貸し出しが急増したことは事実のよ
うであり、今後の展開が気にかかる。16 日にサルコジ大統領とメルケル首相が行う会談で、何
らかの決定があると予想される。また、米国の金融機関も一社、今回問題が噂されている金融
機関と同程度 CDS の値が上昇しているものがあるため、その動向も気になるところだ。
市場を根本的に落ち着かせるためには、景気の回復の兆しが必要だ。今週、NY 連銀(予想
0.5)とフィラデルフィア連銀(予想 4.0)の製造業景況指数が発表される。この 2 つの数値と
欧州問題の行方が今週の相場動向の鍵となる。
日本では、菅首相の辞任が 8 月末辺りとなる見通しとなったため、次の首相に誰がなるのか
が注目されるだろう。外需頼りの景気回復が見込めない今、頼れるのは震災復興需要であり、
早急な第三次補正予算の編成が望まれるところだ。
[注目指標等]
15 日
日本 実質 GDP(2Q 年率予想中央値-2.5%)
海外 NY 連銀指数(米8月) NAHB 住宅市場指数(米8月) 住宅価格(英8月) 新車
販売台数(豪7月)
16 日
日本 首都圏新規マンション販売(7月)
海外 輸入物価指数(米7月)
月) CPI(英7月)
住宅着工件数、建設許可件数(米7月) 鉱工業生産(米7
GDP(独2Q) 景気先行指数(中6月)
17 日
海外 MBA 住宅ローン申請指数(米前週分) PPI(米7月) 失業率(英7月) 失業保険
申請件数(英7月)
18 日
日本 貿易収支(7月) 対外・内証券投資(前週分) 景気動向指数(6月)
海外
CPI(米7月)
新規失業保険申請件数(米前週分)
数(米前週分) フィラデルフィア連銀指数(米8月)
ブルームバーグ消費者信頼感指
中古住宅販売件数(米7月)
小売
売上高(英7月)
19 日
日本 全産業活動指数(6 月)
海外 公共部門ネット負債(英7月) CPI(独7月)
22 日
日本 全国スーパー売上(7月) コンビニエンス売上高(7月)
海外 シカゴ連銀全米活動指数(米7月)
23 日
日本 工作機械受注(7月)
海外 リッチモンド連銀製造業指数(米8月) 新築住宅販売(米7月) ZEW 景況感調査(独
8月) 経常収支(ブ7月)
24 日
日本 企業向けサービス価格(7月)
海外
MBA 住宅ローン申請件数(米前週分)
耐久材受注(米7月)
住宅価格指数(米6
月) IFO 景気動向(独8月) 融資残高(ブ7月)
25 日
日本 対外・内証券投資(前週分)
海外 新規失業保険申請件数(米前週分) ブルームバーグ消費者信頼感指数(米前週分) 輸
入物価指数(独7月) 貿易収支(香港7月) 失業率(ブ7月)
26 日
日本 CPI(7月)
海外 GDP(米 2Q 二次速報) ミシガン大学消費者信頼感指数(米8月)
GDP(英2Q)
GFK 消費者信頼感調査(独9月) 小売売上高指数(独7月) 純債務対 GDP 比(ブ7月)
基礎的財政収支(ブ7月)
主要テーマの最近の展開
Ⅰ
財政関連
・ イタリアのベルルスコーニ首相は緊縮財政に向けた措置を前倒しで実施し、当初予定より
1年早い 2013 年に財政均衡を目指す考えを表明した(8月5日)
・ S&P が米国の長期格付けを「Aa+」に一段階引き下げる(8月5日)
・ 米財務省は S&P の米国の格付け引き下げについて、不当であり、同社の決定の信頼性に疑
問があるとの見解を明らかにした(8月6日)
・ G7 の電話会議の結果、市場に流動性を供給することで合意(8月8日)
・ S&P のアナリストが、米ドルは世界の主要準備通貨としての地位を維持するものの、米長期
信用格付けが早期に最上級に返り咲く見込みは薄いとの認識を示す(8月8日)
・ 欧州委員会はイタリア、スペインは公的支援を必要としていないとの認識を示す(8月8
日)
・ ドイツ政府が、欧州債務危機の解決で 7 月 21 日に合意された以上の措置が追加されるとは
みていないとの認識を示す(8月8日)
・ ドイツ政府の顧問クリストフシュミット氏はイタリアとスペインが EFSF から支援を受ける
ことは認められないとの考えを示す(8月9日)
・ ドイツ連銀バイトマン総裁や ECB のシュタルク理事などが、トリシェ総裁が発表した国債
購入プログラムに反対したと報じられる(8月9日)
・ ユーロ圏財務相会合のユンケル議長は EFSF の権限強化に即座に合意すべきとの見解を示し
た(8月9日)
・ 三大格付け会社がフランスの AAA の格付け見通しが安定的であると確認した(8月 10 日)
・ フィッチはキプロスの信用格付けを従来の A-から BBB に二段階引き下げた。財政赤字と発行
市場での資金調達懸念が理由(8月 10 日)
・ ECB による市中銀行への翌日物融資が三ヶ月ぶりの高水準となった。資金逼迫に見舞われた銀
行が緊急資金を必要とした可能性がある(8月 11 日)
・ フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相が、16 日、ユーロ圏債務危機の余波によるフラ
ンス市場の混乱について会談する(8月 11 日)
・ IMF は 12 日にポルトガルに関して、EU、ECB、IMF が会見を行うと発表する(8月 11 日)
Ⅱ 金融政策
・ 豪中銀が今年の成長予想を5月の 3.25%から2%に下方修正。12 年見通しについては 4.25%か
ら 4.5%に上方修正した。今年の CPI 見通しは 3.25%から 3.5%へと引上げた(8月5日)
・ 日銀は8月の金融経済月報で足元景気の改善から、情勢判断を前月の「持ち直している」から「着
実に持ち直している」に一歩前進させた(8月5日)
・ ECB がイタリアとスペイン債の購入を始める(8月8日)
・ FOMC は政策金利を過去最低に据え置く期間を 2013 年半ばまでと時間軸を伸ばす決定を行う(8
月9日)
・ スイス中銀がフラン高対策で市場への流動性供給を大幅に拡大(8月 10 日)
・ BOE のキング総裁は、ユーロ圏のソブリン債危機において ECB の力は限界に達したと述べ、今後
は各国政府が解決しなければならないとした(8月 10 日)
・ ノルウェー中銀は予想外に政策金利を 2.25%に据え置いた。事前予想では 2.5%への引き上げを見
込む向きが多かった(8月 10 日)
・ 韓国銀行(中央銀行)は予想通り政策金利を据え置いた(8月 11 日)
Ⅲ 金融規制
・ 韓国金融監督委員会が上場株の空売りを 3 ヶ月間禁止すると発表した(8月9日)
・ フランス、イタリア、スペイン、ベルギーで空売りを禁止すると欧州証券監督機構が発表(8月 11 日)
Ⅳ
その他のニュース
・ 米雇用統計は失業率 9.1%、非農業部門雇用者数 11.7 万と予想を上回る値となった。労働
人口は前月比で 19.3 万減少し、失業者は 15.6 万減少。就業比率は 58.1%と前月 58.2%か
ら減少し、1983 年 7 月以来の低水準となった(8月5日)
・ イタリアのベルルスコーニ首相がフランスのサルコジ首相に数日内にG7財務相会議の開
催を要請(8月5日)
・ 本政府関係者は「米国債は魅力的な投資先であり、米国債への信任は格下げ後も変わらな
い」とコメントした(8月7日)
・ 五十嵐財務副大臣為替相場で不自然な動きがあった時再び発動する可能性を示唆(8月7
日)
・ 野田財務相が国債発行特例法案の成立直後に辞任し、代表戦へ出馬すると報じられる(8月
9日)
・ ロンドンでの暴動が 3 日続く。キャメロン首相は休暇を切り上げ帰国し、9 日に緊急会議を
招集する(8月9日)
・ 公債特例法案が今国会で成立の見通し(8月9日)
・ 日本政府が福島第一原発から半径 20ー30 キロ圏内の避難指示を解除する方針を示す(8月
9日)
・ OPEC は今月の月報で 2011,12 年の原油需要見通しを下方修正(8月9日)
・ 韓国政府は同国市場における日本の製鉄企業によるダンピング(不当廉価販売)の調査を開
始した(8月9日)
・ ブラジルが日本と南部共同市場(メルコルス)の経済連携協定(EPA)を「例外条項が多く、交
渉が必要。物流コストなども高い」と述べ、否定的な見解を示した(8月9日)
・ 北朝鮮軍が韓国側に向けて砲撃。韓国軍も応戦(8月 10 日)
・ 菅首相が公債特例法案と再生可能エネルギー法案が成立すれば、速やかに民主党代表戦を
実施し、新代表が決まれば自らは首相として職務を辞すると明言した(8月 10 日)
・ 中国銀行業監督管理委員会の劉主席は、銀行が企業などに融資した3兆元が闇市場で貸し
出されているとして、リスクとして指摘した(8月 10 日)
・ 日本の国債と借入金を合わせた借金が 943 兆 8000 億円と過去最高を更新したと財務省が発
表した(8月 10 日)
・ 8 月の月例経済報告は「景気は、東日本大震災により、依然として厳しい状況にあるものの、
持ち直している」とし、総括判断を 2 ヶ月ぶりに引き上げた。震災後に落ち込んでいた個
人消費や輸出、生産がいずれも上方修正された(8月 10 日)
・ ゴールドマンサックスは米 SEC(証券取引委員会)から海外腐敗行為防止法(FCPA)の順守を
めぐり調査を受けている。リビアの政府系ファンドとの取引獲得に向けて仲介エージェン
トに手数料を払った疑い(8月 10 日)
・ 菅首相は 26 日にも会見して退陣表明する見込み(8月 10 日)
・ 瓦礫の処理を地方自治体の要請に基づき国が代行することなどを定める法案が 11 日に衆院
で可決される見通し(8月 10 日)
・ オバマ大統領が 10 日に、バーナンキ FRB 議長とガイトナー財務長官から経済情勢について
説明を受ける予定(8月 10 日)
・ 6 月の日本の機械受注は前月比 7.7%増と予想中央値 1.7%を大幅に上回った(8月 11 日)
光世証券 ディーリンググループ 小川 英幸
先週の各国の株価指数など
インデックス
S&P/ASX200 指数
始値
高値
安値
引値
先週比
4078.6
4216.1
3765.9
4172.6
1.64%
52938.3
53723.67
47793.49
53343.11
0.74%
ジャカルタ 総合指数
3920.817
3926.552
3590.942
3890.597
-0.78%
中国 上海総合指数
2599.289
2614.19
2437.68
2593.173
-1.27%
2447.3
2516.39
2331.65
2492.68
-1.57%
FTSE100 指数
5246.99
5295.78
4791.01
5162.83
-1.60%
S&P 500 種
1198.48
1198.48
1101.54
1172.64
-2.23%
フィリピン 総合指数
4425.62
4425.62
4129.3
4321.73
-2.61%
11433.93
11434.09
10604.07
11143.31
-2.63%
1071.83
1087.16
1033.38
1062.07
-2.86%
TOPIX (東証株価指数)
789.59
791.94
744.46
768.19
-4.09%
スペイン IBEX35 指数
8727.6
9030.8
7767.3
8249.4
-4.86%
フランス CAC40 指数
3254.36
3333.61
2891.11
3089.66
-5.76%
香港 ハンセン指数
20409.01
20572.51
18868.11
19732.18
-5.80%
ドイツ DAX 指数
6170.69
6272.94
5487.82
5797.66
-7.03%
ブラジル ボベスパ指数
ナスダック 総合指数
NY ダウ 工業株 30 種
タイ SET 指数
各国通貨動向(前週末比 対ドル)
日本円
スイスフラン
人民元
ユーロ
ノルウェークローネ
豪ドル
トルコリラ
ブラジルレアル
メキシコペソ
南アランド
-6.00%
-5.00%
-4.00%
-3.00%
-2.00%
-1.00%
0.00%
1.00%
2.00%
3.00%
(8月 12 日 16 時 00 分時点)
本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目
的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言を行うものでもありませ
ん。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成してお
りますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証する
ものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲
載されたデータ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成され
たものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告なしに変更さ
れます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将
来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号
加入協会/日本証券業協会
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