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[18] 第1461号●2012年11月28日(第1・2・3・4水曜日発行) ZOOM UP (昭和51年6月8日第3種郵便物認可) 環境配慮コスメ 「社会貢献」を訴求するクレンジングオイル 付 加 価 値 と し て ﹁ 環 境 ﹂ ニ ー ズ 拡 大 内の化粧品市場は成熟し、市場規模が微減傾向にあるが、異業種や 化粧品専門店と百貨店で高級化粧品を できる」と採用に至った理由 海外からの新規参入は依然多く、年々、競争が激化している。各社 販売する㈱アルビオン(東京都中央区) を説明。女性の自立支援を行 は熾烈な競争で生き残るために独自素材の開発や価格競争力を強めてい は、モロッコの「タルガニン生産協同組 うアルガンオイルの理念が愛 る。ここ数年、注目を集めているのが環境に配慮した化粧品である。素材 合」で搾取されたアルガンオイルを配合 用者の共感を得ているようだ。 や商品のバックグラウンドにあるストーリー性に対する共感や、商品を買 したクレンジングオイル(『アルビオン 同社は従来から環境に配慮 うことによる社会貢献活動への参画といった観点から、環境配慮をテーマ エクシア AL ジョイグレイス クレンジン した化粧品を開発・販売して にした素材や化粧品が支持を集めている。 グオイル』180ml・税込 1 万500円)を今 国 年 9 月に発売、当初計画の1.5倍を販売す るなど好調だ。 今年10月に民間調査会社が発表した2011 ア ル ビ オ ン きた。その一つが素材の品 質や自然環境の保全にこだ わる「IGNISシリーズ」。秋田 年度の国内化粧品市場規模は前年度比 開発にあたり同社では、高品質のオイ 0.7%減の微減。市場全体の底上げや各社 ル製造と共に現地ベルベル人女性の自立 の売上アップには高価格帯で勝負できる 支援を行う理念に感銘を受け、モロッコ 商品が求められており、その一つとして に直接社員を派遣し、同協同組合の創設 などを乳液や化粧水に配合している。取 注目を集めているのが環境配慮コスメだ。 者であるズビタ・シャルーフ氏と面会。商 締役研究部長の染谷高士氏は「高価なだ 特に東日本大震災以降、国民の社会貢献 品化に向けての想いを伝えたという。商 けではなく、素材に徹底的にこだわり、 の意識は高まっており、同じような化粧 品開発部長の大塚裕子氏は「機能性や使 新しい価値を提供していくことが高級品 品を購入するのであれば、環境に配慮し 用感だけではなく社会貢献などのストー の使命」としており、今後も環境配慮の たもの、社会貢献できるものを選ぶ傾向 リー性により“アルビオンらしさ”を表現 取り組みを強化していく考えだ。 オーガニック関連などが日本 ジェクト」と呼ばれ、「フェアトレードの が全社的に環境配慮を打ち出した取り組 国内で流通している。 商流モデル」として評価されている。今 みを展開しているほか、岩瀬コスファや 年 9 月には百貨店向けに高級化粧品を販 マツモト交商、ニュートリション・アク が消費者の中でも高まっている。 大手化粧品メーカーでは、資生堂が化 粧品の企画・開発から原材料の調達、生 産、物流、販売、使用、廃棄に至るあら 県白神山地の自社農場で栽 培した無農薬ヨモギや「銀座ミツバチプ ロジェクト」により採取されたハチミツ スや、南米のアロエ、植物油、 アルガンオイルを生産する ゆるプロセスで環境に配慮した取り組み 「タルガニン生産協同組合」 売するアルビオンがアルガンオイルを採 ト、アクゾノーベルは環境配慮型の化粧 を展開する一方、コーセーは「雪肌精」 の活動も代表的な取り組みの 用したクレンジングオイルを発売、「タル 品原料を供給。また、玉の肌石鹸はパー や「コスメデコルテ」などブランドごと 一つ。「タルガニン生産協同 ガニン生産協同組合」の活動を前面に訴 ム油の安定供給を目的とする環境保護団 に具体的な取り組みを実施。「雪肌精」の 組合」は、アルガンオイルの 求している。 体RSPOにこのほど加盟するなど、業界の 場合、化粧水 1 本ごとに底面積分のサン 第一人者で、周辺地域のみで ゴを植え付ける費用を寄付している。 消費されていたアルガンオイ リユース(繰り返し使う)、リサイクル 従来から化学物質を多用してきた化粧 化粧品原料レベルでは「フェアトレー ルを世界に広めたラバト大学 (再資源化)の優先順位で廃棄物の削減に 品業界にとって、環境に対する取り組みは ド(公正取引)」や「 3 R」などが代表的。 一方、「3R」はリデュース(減らす)、 取り組みは加速している。 のシャルーフル教授が立ち上 努める考え方。リデュースについてはCO2 業界全体の大きな課題となっていた。市 「フェアトレード」は発展途上国の原料や げた協同組合。先進国の要求 削減がもっともポピュラーな取り組みで、 場の成熟化に加え、製造技術の進歩や消費 製品を購入する際、適正な価格で継続的 する品質に対応できるよう、 石油化合物から天然植物由来へシフトす 者意識の高まりを受けて、徐々に環境へ に取引することで、立場の弱い途上国の 機械的な圧搾法を導入。アル ることでCO2を大幅に削減したり、また抽 の取り組みが加速している。また、環境配 生産者や労働者の生活改善と自立を目指 ガンを産業化することで、サ 出・製造工場を農場に近い場所に移すこ 慮という点においては欧州、とりわけフ す運動。2012年時点での生産者団体は世 ハラ砂漠拡大阻止に貢献して とで輸送工程によるCO2を削減する。その ランスが日本よりはるかに進展している 界63ヵ国905となり、生産者数は110万人に いるアルガンツリーを保護。 ほか、主に大規模開発による環境への影 といわれる中、海外市場などで欧州メー 達する。生産品はコーヒーや紅茶のほか、 さらに組合員を女性で構成す 響を予め評価することを目的とした「ラ カーと対等に勝負するには、欧州の環境 果実、野菜、ハーブ、蜂蜜などもフェア ることで、女性達の経済的・ イフサイクルアセスメント(LCA評価)」 基準をクリアする必要も出てくる。今後 トレードのもとで生産されている。化粧 社会的自立を支援した。この の導入も大手メーカーなどで進んでいる。 の社会ニーズと市場競争の中で、「環境配 品原料ではマダガスカルの希少植物エキ 取り組みは「タルガニンプロ 日光ケミカルズや一丸ファルコスなど 慮」は化粧品市場においてはカギとなる。 (第1・2・3・4水曜日発行)2 012年11月28日●第1461号 (昭和51年6月8日第3種郵便物認可) ZOOM UP る。「人と環境の健康・安全」を最重要視 日光ケミカルズ 環境配慮型化粧品原料として製造工程に NIKKOL シュガースクワランの製造工程 おける地球温暖化ガス排出量などを削減 する植物由来プロパンジオールを提案し サトウキビを圧搾した際に生じたバガス(搾りかす) をボイラーの熱源や自家発電に再利用 トのもとに化粧品原料の開発を進めてい ている。 サトウキビ 植物由来プロパンジオールは高純度の 精製 し、枯渇性資源への依存度を低減すると 分離 同時に、再生可能資源の使用を推進。そ 醗酵 の代表的な化粧品原料として、サトウキ 岩瀬コスファ㈱(東京都中央区)は、 ファルネセン (スクワラン前駆物質) 二量化 水添 スクワラン 1,3-プロパンジオールで、環境に配慮され た多価アルコール。1,3-プロパンジオール 触媒の再利用 Amyris社が開発した酵母を利用してファルネセン (スクワラン前駆物質)に変換します。 岩瀬コスファ 6 GHG Emissions Non-Renewable Energy 4 103.6 63.9 3 Non-Renewable Energy Use −42% less than Propanediol −38% less than Propylene Glycol 60 Green House Gas Emissions −56% less than Propanediol −42% less than Propylene Glycol 2 100 80 3.75 2.18 120 111.0 5.0 5 40 20 1 Non-Renewable Energy (Mj / kg) 日光ケミカルズ㈱(東京都中央区)は、 植物由来プロパンジオールを提案 GHG Emissions (kg CO2 equiv . kg) コンセプトは「グリーン&サスティナブル」 「グリーン&サスティナブル」のコンセプ 環境配慮コスメ 地球温暖化ガス排出量を55%削減 主要企業の取り組み 環境配慮の原料開発を加速 [19] 0 0 Zemea® Propanediol (PO route) Propylene Glycol Zemea® Propanediol (PO route) Propylene Glycol は自然界にも存在し、糖を出発原料とし 植物由来プロパンジオール、地球温暖化ガス 排出量とエネルギー使用料の比較 て 2 段階の発酵過程で生成される事が知 その後BGやPGと同様に緩やかに低くなる 一方、「NIKKOL GSシリーズ」は、グリ られているが、1 種類の微生物の発酵工程 傾向を示した。また、植物由来プロパン ーン&サスティナブルをコンセプトに植 で生産されるのがZEMEA® SELECTプロパ ジオールをグリセリンと併用すると塗布 「NIKKOL シュガースクワラン」は、石 物由来原料で構成したエステル油。軽い ンジオール。製造過程では、地球温暖化 60分後もグリセリン10%水溶液を上回る 油化学品の代替品開発に定評がある米国 感触で油性感が少なく、エモリエント効 ガスの排出量やエネルギー使用量を、従 角層水分量を示し、持続効果を発揮する Amyris社との提携により昨年から供給を 果等に優れているのが特徴だ。高いクレ 来の石油由来1,3-プロパンジオールより ことが分かった。一方、毛髪水分量に対 開始した。第三者機関の分析結果をもと ンジグ効果を発揮する「GS-MHL」、800% も、それぞれ56%、42%削減でき、プロ しても、精製水や他のポリオール処理毛 に算出すると、シュガースクワランは製 と高い抱水性を持つ「GS-WHO」など 8 種 ピレングリコールと比較してもそれぞれ よりも二次蒸散物の含有率が高くなり、 造工程において 1 トンあたり 3 トンのCO2 類をラインナップ。環境配慮型化粧品、 42%、38%削減できる(グラフ)。2008年 健常毛の二次蒸散物含有利率に近づいた。 排出を削減していることを確認した(図 ナチュラル化粧品の原料として、スキン にはエコサート認証も取得している。 表)。また、感触と使用感の評価では、い ケアからクレンジグオイルなど幅広い用 機能性としては、角層水分量や毛髪水 をテーマにした各種化粧品原料をライン ずれもオリーブ由来、サメ由来のスクワ 途で使用できる。そのほか、コールドプ 分量に対する効果や使用性を確認、スキ アップしている。「美と健康」を基本理念 ランに匹敵する優れた結果を確認済み。 ロセスで他原料と撹拌混合するだけで製 ンケア製剤やヘアケア製剤で評価を実証 に、天然由来の植物性原料や抗菌・保 安定供給できる点も大きな強みだ。環境 剤が調製できるため環境負荷の小さいク している。植物由来プロパンジオールの 湿・UVケア・美白といった機能性原料を 配慮や使用感等の点でクライアントから レンジグ基剤「NIKKOL NIKKOMIX CW」 角層水分量に及ぼす影響を検討した結果、 中心に事業を展開。また健康食品事業部 の評価は高く、今後はさらなる利用拡大 なども環境配慮型原料として提案してい グリセリンや1,3-ブチレングリコール(BG) との連携も図りながら内外美容について に向けて戦略的に提案を強化していく。 る。 よりも塗布直後の角層水分量を向上させ、 も推進している。 の生産性よりも安心・安全を選び、無農 等含まれる香気成分、皮膚弾力回復作用)、 薬有機栽培を30年以上貫いてきた。いま、 ネリルアセテート、ゲラニルアセテート、 甘夏ネロリは、注目の国産コスメ原料と シトロネラール、2-エチルフラン、α-ピ とにより水俣病が発生し、多くの犠牲者、 して期待されており、オーガニック栽培 ネン、カンフェン、α-テルピネン、d-リ は、国内でも数少ないエコサートオーガ 被害者が生まれ、漁ができなくなったほ の甘夏みかんが貴重な認定された国産コ モネン、β-ピネン、γ-テルピネンその他 ニック認証化粧品原料『フローラルウォ とんどの漁業者が代わりの仕事として選 スメ原料として認知されることにより、 50種以上の成分が含有され、フローラル ーター&インフューズドオイル』を販売 んだのは、甘夏ミカンの栽培だった。自 水俣地域をはじめとした甘夏みかん栽培 な香りでリラックス、保湿、抗菌作用を する。 らの体が化学合成物質の毒に侵された 地域の新たな産業となることが期待され 高めるものとなっている。 熊本県不知火海沿岸地域では、1950年 人々は、「人に食べてもらうものに毒は使 ている。 代、日本窒素水俣工場の廃液によってメ わない」と40年以上前から無農薬有機肥 同社の甘夏ネロリには、リナロール チル水銀に汚染された魚介類を食べるこ 料によるオーガニック栽培を選択。目先 (抗菌作用、鎮静作用)、ネロール(バラ ビ由来の「NIKKOL シュガースクワラン」 や新しい油剤「NIKKOL GSシリーズ」を 環境配慮型原料として提案している。 酵母 国産オーガニック甘夏みかん使用コスメ原料 ネローラ花香房 ㈱ネローラ花香房(熊本県水俣市)で 同社は、 「植物由来」 「機能性」 「新規性」 同原料は、化粧水から飲料用まで様々 な製品に適したものとなっている。