Comments
Description
Transcript
講演要旨 - 東京都農林水産振興財団
(公財)東京都農林水産振興財団 東京都農林総合研究センター 平成24年度 研究発表会プログラム 日時 平成25年3月8日(金) 10:00~16:00 場所 (公財)東京都農林水産振興財団 東京都農林総合研究センター 講堂 開会の挨拶 10:00 1 『棚状仕立てによる屋上緑化』 ~つる性植物の利用~ 緑化森林科 佐藤 澄仁 10:05 ~ 10:20 2 『樹木類に発生した新病害』 ~的確な診断・防除に向けた取り組み~ 生産環境科 小野 剛 10:20 ~ 10:35 3 『アサガオ「団十郎」の利活用』 ~スポーツ祭東京2013に向けた取り組み~ 江戸川分場 上原 恵美 10:35 ~ 10:50 4 『東京うこっけいの肉利用』 ~余すことない畜産物利用への取り組み~ 畜産技術科 小嶋 禎夫 10:50 ~ 11:05 5 『多摩地域に適した無花粉スギの開発』 ~若い苗からの無花粉個体の選抜~ 園芸技術科 宮下 千枝子 11:05 ~ 11:20 6 『豊かな森づくりをめざして』 ~針広混交林化のポイント~ 緑化森林科 奈良 雅代 11:20 ~ 11:35 7 『味認識装置ではかる食品の味』 ~江戸甘味噌保存中の味の変化と味認識装置による解析~ 食品技術セン ター 宮森 清勝 11:35 ~ 11:50 休憩 11:50 ~ 13:10 8 『東京オリジナルのキウイフルーツを育成』 ~「東京ゴールド」の品種特性と現地実証試験~ 園芸技術科 河野 章 13:10 ~ 13:25 9 『農産物安全確保調査分析』 ~都内産キュウリなどの残留農薬の調査結果~ 生産環境科 小山 知生 13:25 ~ 13:40 『野菜の有望品種紹介』 ~おすすめ品種を紹介します~ 園芸技術科 沼尻 勝人 13:40 ~ 13:55 10 休憩 13:55 ~ 14:00 特別講演 『世界における施設園芸の潮流と東京農業への提言』 前筑波大学大学院教授 山口 智治 氏 休憩 14:00 ~ 15:00 15:00 ~ 15:15 11 『日没時昇温処理技術と耐寒性花苗の紹介』 ~温室の暖房費を削減します~ 園芸技術科 岡澤 立夫 15:15 ~ 15:30 12 『PPV(ウメ輪紋ウイルス)の拡散防止に向けた防除対策の確立』 ~ウメに寄生するアブラムシの周年動向の解明~ 生産環境科 加藤 綾奈 15:30 ~ 15:45 閉会の挨拶 15:45 特別講演『世界における施設園芸の潮流と東京農業への提言』 前筑波大学大学院教授 山口 智治 氏 海外における施設園芸の先進技術をはじめ、近年発展めざましい韓国や中国における最新事情を紹介して いただき、省エネルギー化や高品質化等、少量多品目生産を特徴とする東京型農業の生産現場への活用等 についてお話しをいただきます。 <山口智治(やまぐちともはる)氏 プロフィール> 東京生まれ。1970年東京教育大学大学院農学研究科修了、2009年まで筑波大学大学院教授を勤められ、現在は 同大学非常勤講師、中国天津市農業科学院客員研究員。 専門は生物生産施設工学、環境調節工学等。最近の研究テーマは、省エネルギー型日光温室の熱環境形成機構 に関する研究等、農業施設の環境解析と制御について取り組む。 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 1 『 棚 状 仕 立 て に よ る 屋 上 緑 化 』 ~つる性植物の利用~ 佐藤澄仁(緑化森林科) [発 表 内 容 ] 屋 上 緑 化 で は ,耐 荷 重 制 限 や メ ン テ ナ ン ス 等 が 課 題 と な っ て い ま す 。そ こ で , 小 さな植栽容器で十分に生長することと効率的に緑被面積を得ることのできるつ る 性 植 物 を 利 用 し た 棚 仕 立 て よ る 屋 上 緑 化 を 検 討 し ま し た 。 (1) 棚 仕 立 て 緑 化 事 例 で は ,駐 車 場 や 通 路 ,休 憩 場 所 な ど ,棚 下 の 都 市 空 間 が 有 効 に 活 用 さ れ て い ま す が , 植 物 に よ る 棚 の 被 覆 程 度 が 低 い 現 状 が み ら れ ま す 。(2)つ る 性 植 物 の 水 平 方 向 の 生 育 は ,植 物 種 に よ り 巻 き 付 き 方 や 伸 長 方 向 な ど 多 様 な 特 性 が あ る の で 棚 仕 立 て の 支 持 体 や 管 理 程 度 か ら つ る 性 植 物 を 選 択 す る こ と が 必 要 で す 。 (3) 軽 量 培 養 土 に お け る つ る 性 植 物 の 水 平 方 向 へ の 生 長 は ,種 類 ご と に 異 な り ま す が ,伸 長 量 や 被 覆 割 合 と も に 対 照 土 に 比 べ て 良 い 結 果 の た め ,軽 量 培 養 土 は つ る 性 植 物 へ の 適 合 性 が あ る と 考 え ら れ ま し た 。(4) 小 さ な 容 器 で あ る 100L の 植 栽 基 盤 で も 軽 量 培 養 土 は ,十 分 な 灌 水 管 理 に よ り ,屋 上 に お け る 棚 仕 立 て 緑 化 に 有 望 で あ る こ と が わ か り ま し た 。つ る の 伸 長 特 性 と 被 覆 面 積 か ら 早 期 緑 化 や 省 管 理 を 目 指 す の で あ れ ば ,ビ グ ノ ニ ア は 棚 仕 立 て 緑 化 に 有 望 で す 。 [図 表 等 ] 表1 つる性植物の水平方向展開時における挙動 タイプ 巻き付き形態 巻きひげや葉柄で 巻き付く 巻き付き安定度 仕立てやすさ ◎ ◎ Ⅱ 茎で密に巻き付く ○ ◎ Ⅲ 茎で巻き付く ○ ○ Ⅳ 巻き付かない × △ Ⅰ ビグノニア クレマチス 図 1 植 物 種 ビグノニア クレマチス フジ ムベ カロライナジャスミン テイカカズラ スイカズラ ヘデラ・ヘリックス 巻きひげや葉柄による巻き付き状態 100 2011 90 被 覆 割 合 ( % ) 2012 80 70 60 50 40 30 20 10 0 対照 軽量 ビ ナンカ ズラ 対照 軽量 対照 軽量 対照 軽量 ス イカズ ラ テ イカカ ズラ カ ロライ ナ・ ジ ャスミ ン 図2 対照 軽量 ムベ 対照 軽量 フジ 対照 軽量 落葉 対照 軽量 ク レマチ ス・ 対照 軽量 ビ グノニ ア ク レマチ ス ア ーマン ディ 2つの土壌条件下で生育するつる性植物と被覆割合との関係 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 2 『 樹 木 類 に 発 生 し た 新 病 害 』 ~的確な診断・防除に向けた取り組み~ 小野 剛(生産環境科) [発 表 内 容 ] 東 京 都 で は 植 木 生 産 が 盛 ん で ,特 に 新 樹 種 の 導 入 ,生 産 が 積 極 的 に 行 わ れ て お り ,需 要 も 高 ま っ て い ま す 。し か し ,病 害 に 関 す る 知 見 が 少 な く ,ま た ,防 除 対 策も進んでいないのが現状です。そこで,病害虫の発生実態を把握するために, ま ず は 農 総 研 新 樹 種 見 本 園 に お け る 病 害 調 査 を 行 い ま し た 。2 年 間 の 調 査 の 結 果 , 35 樹 種 に 3 2 の 国 内 未 報 告 病 害 を 確 認 し ま し た 。 特 に う ど ん こ 病 や 斑 点 症 状 を 引 き 起 こ す フ ィ ロ ス テ ィ ク タ 属 菌 ,シ ュ ー ド サ ー コ ス ポ ラ 属 菌 ,そ う か 病 菌 に よ る 病 害 が 多 く 確 認 さ れ ,特 に 被 害 が 激 し い チ タ ル パ う ど ん こ 病 ,シ ナ ノ キ 類 そ う か 病 に つ い て 詳 細 を 明 ら か に し ま し た 。ま た ,シ ュ ー ド サ ー コ ス ポ ラ 属 菌 に よ る 病 害 に つ い て は ,メ ー カ ー と 共 同 で 農 薬 登 録 適 用 拡 大 に 向 け ,試 験 研 究 を 進 め て い ます。 今 後 は ,苗 木 生 産 圃 場 な ど に も 調 査 対 象 を 拡 大 す る と と も に 詳 細 な 調 査 を 継 続 し,防除体系を構築していきます。 [図 表 等 ] チタルパうどんこ病(左:葉の病徴,右:激しい落葉) シナノキ類そうか病(左:葉の症状,右:枝の症状) 〔 平 成 24 年 度 東 京 都 農 林 総 合 研 究 セ ン タ ー 研 究 成 果 発 表 会 講 演 要 旨 〕 No. 3 『 ア サ ガ オ 「 団 十 郎 」 の 利 活 用 』 ~ ス ポ ー ツ 祭 東 京 2013 に 向 け た 取 り 組 み ~ 上原恵美(江戸川分場) [発 表 内 容 ] え び 茶 色 の 花 色 が 特 徴 の ア サ ガ オ 「 団 十 郎 」 は ,江 戸 時 代 の 人 気 歌 舞 伎 役 者 二 代 目 市 川 団 十 郎 が 演 目 「 暫 ( し ば ら く )」 で 用 い た 装 束 の 色 に ち な ん で 名 づ け ら れ た 品 種 で ,近 年 栽 培 が 激 減 し て い ま し た 。 栽 培 を 復 活 さ せ た い と の 生 産 者 の 要 望 を う け て 江 戸 川 分 場 で は 栽 培 試 験 を 行 い ,「 入 谷 朝 顔 市 」 に 復 活 さ せ る こ と が で き ま し た 。 ま た ,ス ポ ー ツ 祭 東 京 2013 で は 「 団 十 郎 」 を ‘ 東 京 ら し い 花 ’ と し て 活 用 す る こ と に な り ,開 催 期 間 中 に 見 頃 を 迎 え る よ う に 調 整 す る 方 法 や 行 灯 や 緑のカーテン以外にイベントに向く仕立て方を検討することが求められました。 そ こ で 開 会 期 間 に 見 頃 に な る 播 種 時 期 や ,新 た な 仕 立 て 方 を 検 討 し ま し た 。 播 種 時 期 を 変 え て 栽 培 し た 結 果 ,「 団 十 郎 」 が 開 会 期 間 に 見 頃 に な る に は ,7 月 上 ~ 中 旬 ご ろ の 播 種 が よ い こ と が 分 か り ま し た 。仕 立 て 方 の 事 例 と し て“ パ ラ ソ ル ” と “ く す 玉 ” を 作 成 し ま し ま し た が ,ア イ デ ィ ア 次 第 で は 他 に も ア サ ガ オ の “ 魅 せ 方 ”が 広 が る と 考 え ら れ ま す 。今 後 も 江 戸 川 分 場 で は ア サ ガ オ の 魅 力 を 発 掘していきます。 [図 表 等 ] 8月播種区 6月播種区 5月播種区 4月播種区 図1 播 種 時 期 別 開 花 状 況 ( 撮 影 : 2 012 年 9 月 28 日 ) 図2 仕 立 て 方 の 事 例 ( 左 : パ ラ ソ ル ,右 : く す 玉 ) 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 4 『 東 京 う こ っ け い の 肉 利 用 』 ~余すことない畜産物利用への取り組み~ 小嶋禎夫(畜産技術科) [発 表 内 容 ] 「 東 京 う こ っ け い 」 は , 改 良 に よ っ て 産 卵 率 を 55% ( 約 200 個 /年 ) に 高 め た 当 財 団 独 自 の 高 産 卵 系 烏 骨 鶏 で あ り ,毎 年 約 1.5 万 羽 の 採 卵 用 ヒ ナ を 農 家 等 へ 配 布 し て い ま す 。 こ れ ら の ヒ ナ は , 550 日 齡 程 度 で 採 卵 の 役 目 を 終 え て 更 新 さ れ て い ま す 。私 た ち は ,殆 ど 利 用 さ れ て こ な か っ た 烏 骨 鶏 肉 の 有 効 利 用 を 図 る 目 的 で , 食 品 加 工 メ ー カ ー と の 共 同 研 究 に 取 り 組 み ,加 工 品 を 開 発 し ま し た 。現 在 ,肉 用 に 仕 向 け る た め に 2 週 間 の 飼 い 直 し を 行 な っ て 出 荷 さ れ て い ま す が ,採 卵 を 終 え た雌鶏の肉は,脂肪含量が高く,かつ,個体差が大きいという問題があります。 そこで今回,肉質改善のための飼養技術開発に取り組んだので報告します。 鶏 の 肥 育 用 配 合 飼 料 に ア シ タ バ 粉 末 を 5 ~ 20 % の 割 合 で 混 合 し た 飼 料 を 給 与 し た 結 果 ,肉 中 の 脂 肪 含 量 が 低 減 さ れ ,脂 質 過 酸 化 物 の 生 成 も 抑 制 さ れ ま し た( 図 1 )。 ま た , 鶏 の 血 中 の 抗 酸 化 力 を 高 め る 効 果 も 確 認 で き ま し た ( 図 2 )。 以 上 よ り,アシタバ粉末の給与が,肉質改善に有効なことが明らかになりました。 [図 表 等 ] 0.20 (mg MDA/kg モモ肉) 1.0 (% ムネ肉) 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 0.15 0.10 0.05 0.00 対照区 5%区 10%区 20%区 対照区 5%区 10%区 20%区 図 1 アシ タバ粉 末 の給 与 が肉 中 の 脂 肪 含 量 ( 左 )および 脂 質 過 酸 化 物 含 量 (右 )に及 ぼす 影 響 8,000 (U/mL 血液) 6,000 4,000 2,000 0 対照区 5%区 10%区 20%区 図 2 アシ タバ粉 末 の 給 与 が 血 中 の抗 酸 化 活 性 に 及 ぼす 影 響 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 5 『 多 摩 地 域 に 適 し た 無 花 粉 ス ギ の 開 発 』 ~若い苗からの無花粉個体の選抜~ 宮下千枝子(園芸技術科) [発 表 内 容 ] 東 京 都 は ス ギ 花 粉 症 へ の 対 策 と し て ,多 摩 地 域 の ス ギ 林 を 伐 採 し ,そ の 跡 地 に 花 粉 症 対 策 品 種 を 植 栽 す る 事 業 を 進 め て い ま す 。花 粉 症 対 策 効 果 の 高 い 品 種 の ひ と つ に「 無 花 粉 ス ギ 」が あ り ま す が ,東 京 の 優 良 な ス ギ( 精 英 樹 )の 性 質 を も ち , 多摩地域に植栽できる無花粉スギは残念ながらまだありません。 そ こ で ,多 摩 地 域 に 適 し た 無 花 粉 ス ギ の 開 発 を 目 指 し て ,富 山 県 の 無 花 粉 ス ギ 等 と 東 京 都 精 英 樹 の 交 配 育 種 を 平 成 20 年 度 か ら 開 始 し ま し た 。 無 花 粉 の 性 質 は 劣 性 の 一 遺 伝 子 支 配 で あ る た め ,子 供 の 世 代 は 全 て 花 粉 を 出 す ス ギ に な り ,そ の 孫 の 世 代 で よ う や く 無 花 粉 ス ギ が 得 ら れ ま す ( 図 1 )。 そ こ で , 交 配 を 繰 り 返 し て 孫 世 代 の 苗 を 3000 株 つ く り , 発 芽 し て 1 ~ 2 年 目 の 若 い 苗 の 段 階 で 雄 花 の 中 の 花 粉 の 有 無 を 調 査 し た 結 果( 図 2 ),約 600 株 の 無 花 粉 個 体 を 選 抜 で き ま し た 。 今 後 は 緑 化 森 林 科 と 連 携 し て こ れ ら の 個 体 の 栽 培 評 価 を 試 験 林 で 行 い ,多 摩 地 域の環境に適応し,成長や材質の優れる無花粉個体の選抜を進めていきます。 [図 表 等 ] ① 母 父 花粉あり 花粉無し (AA) ( a a) ② ③ 子供 あり あり ( A a) ( A a) ④ 孫 あり あり あり 無し (AA) ( A a )( A a )( a a ) 図 1 無 花 粉 の遺 伝 子 の伝 わ り方 無 花 粉 の遺 伝 子 (a)を2つ持 つ個 体 は無 花 粉 ス ギ に な る 。 東 京 都 精 英 樹 ( AA ) と 富 山 県 の無 花 粉 スギ( aa)を交 配 する と,その子 供 (Aa)は花 粉 ができるが,孫 の世 代 では理 論 的 に4分 の1が無 花 粉 スギ(aa)になる。 100μm 図 2 雄 花 の 観 察 によ る無 花 粉 スギ の選 抜 若 いスギ苗 (①②)に植 物 ホルモンのジベレリンを散 布 すると,花 芽 が誘 導 されて雄 花 がつく(③)。雄 花 の中 を顕 微 鏡 で観 察 すると,普 通 のスギでは大 量 の花 粉 粒 が見 えるが(④),無 花 粉 スギでは花 粉 粒 がほとんど無 いので区 別 できる。 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 6 『 豊 か な 森 づ く り を め ざ し て 』 ~針広混交林化のポイント~ 奈良雅代(緑化森林科) [発 表 内 容 ] 木 材 価 格 の 低 迷 な ど に よ り ,全 国 的 に 手 入 れ が 行 き 届 い て い な い 森 林 が 多 く 見 受 け ら れ ま す 。こ う し た 森 林 を 再 生 す る た め ,東 京 都 で は ,間 伐( 混 み 合 っ た 立 木 の 抜 き 伐 り ) を す る こ と に よ っ て ,林 内 に 光 を 入 れ ,広 葉 樹 な ど の 芽 生 え や 成 長 を 促 し ,針 葉 樹 と 広 葉 樹 が 混 交 す る 森( 針 広 混 交 林 )づ く り に 取 り 組 ん で い ま す 。針 広 混 交 林 に は ,生 物 多 様 性 や 土 砂 流 出 防 止 な ど の 公 益 的 機 能 を 高 め る 効 果 があります。 当 セ ン タ ー で は ,間 伐 し た 林 内 の 植 生 等 を 調 べ て ,そ の 効 果 を 検 証 し ,以 下 に , 針広混交林化のポイントをまとめました。 針広混交林化のポイント ① 間 伐 に よ り 針 広 混 交 林 に な る か 予 測 す る た め ,あ ら か じ め 間 伐 前 の 林 内 を 調べ,広葉樹が生育しているかどうか確認します。 ② 間 伐 前 の 林 内 に 広 葉 樹 が 生 育 し て い る 場 合 ,そ の 広 葉 樹 を 残 し ,周 囲 の ス ギ や ヒ ノ キ を 優 先 的 に 間 伐 し て 集 中 的 に 光 を 入 れ ,広 葉 樹 の 生 長 を 促 し ま す 。 ③ 間 伐 前 の 林 内 に 広 葉 樹 が 生 育 し て い な い か 少 な い 場 合 ,種 子 の 供 給 源 で あ る広葉樹林が近くになければ,植栽することを検討します。 ④ 間 伐 前 に 全 面 的 に 地 面 が 露 出 し て い る ヒ ノ キ 林 で は ,間 伐 に よ っ て 土 砂 流 出 が 起 き る 恐 れ が あ り ま す 。そ の よ う な ヒ ノ キ 林 で は ,伐 倒 木 の 枝 葉 で 地 表 を覆うなどして,土砂流出を防ぎます。 [図 表 等 ] 針広混交林になるまで 間 伐 林床に光が入って広葉樹が芽生える 広葉樹が生長する 針葉樹と広葉樹が林冠を形成する 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 7 『 味 認 識 装 置 で は か る 食 品 の 味 』 ~江戸甘味噌保存中の味の変化と味認識装置による解析~ 宮森清勝・伊藤康江・町田真由美(食品技術センター) [発 表 内 容 ] 食 品 製 造 業 者 は ,消 費 者 に 美 味 し い 食 品 を 提 供 す る た め に , 製 造 か ら 食 卓 に 上 が る ま で の 味 の 変 化 を 確 実 に 把 握 す る こ と が 大 切 で す 。そ こ で ,様 々 な 呈 味 物 質 を 含 む 江 戸 甘 味 噌 に つ い て , 官 能 検 査 ,機 器 分 析 , 味 認 識 装 置 ( 図 1 ) を 用 い て 総 合 的 な 味 の 変 化 を 把 握 す る 試 験 を 実 施 し ま し た 。ま ず ,保 存 条 件 の 違 い に よ る 経 月 変 化 を 官 能 検 査 で 評 価 し た と こ ろ ,20 ℃ 保 存 で 次 第 に 酸 味 , 苦 味 の 増 加 や 甘 味 の 減 少 な ど が 認 め ら れ ( 図 2 ), 6 ヵ 月 目 に は 保 存 開 始 時 の 美 味 し さ が 損 な わ れ て い ま し た 。次 に 味 認 識 装 置 で 解 析 し た 結 果 , 苦 味 , 甘 味 な ど に 比 べ て 酸 味 で 大 き な 経 月 変 化 が 認 め ら れ ま し た ( 図 2 )。 ま た , 保 存 中 の 酸 味 の 変 化 に 関 与 す る 物 質 を 明 ら か に す る た め に ,保 存 中 に 増 加 し て い た 酸 味 物 質( 図 3 )を そ れ ぞ れ の 変 化 量 に 応 じ て ,保 存 開 始 時 の 試 料 溶 液 に 添 加 し て 味 認 識 装 置 で 解 析 し た と こ ろ , ピ ロ グ ル タ ミ ン 酸 と リ ン 酸 は 酸 味 の 値 を 上 昇 さ せ ( 図 4 ), 保 存 中 の 味 の 変 化に影響を及ぼしていることが明らかになりました。 [図 表 等 ] 酸味物質の変化量(mg/100g) 図1 味認識装置の概要 2 官能検査 20℃ 保 存 味覚センサー応答値 味覚センサー先端の各人工脂 質膜に呈味物質が選択に吸着 したときに生じる膜電位変化 から味を数値化します 減少← 味 →増加(人) 10 5 0 味認識装置 20℃ 保 存 苦味(雑味) 1 渋味(刺激) 塩味 0 甘味 旨味 -1 -5 0 1 2 3 4 5 6 保存期間(月) 0 1 2 3 4 5 6 保存期間(月) 図2 江戸甘味噌保存中の味の変化(官能検査と味認識装置) 2 100 ピログルタミン酸 80 リン酸 60 酢酸 40 リンゴ酸 旨味 1 甘味 塩味 0 -1 クエン酸 20 酸味 アスパラギン酸 0 グルタミン酸 -20 0 1 2 3 4 5 6 保存期間(月) 図3 江戸甘味噌保存中の酸味物質量の変化 (20℃保存) 渋味刺激 *ピログルタミン酸とリン酸 の保存6ヵ月目の増加 分を保存0ヵ月の試料 希釈溶液に添加して味 認識装置で解析 酸味 0ヵ月 苦味雑味 0ヵ月+ピログルタミン酸 0ヵ月+リン酸 6ヵ月 図4 江戸甘味噌の味に酸味物質の変化が及ぼす影響の解析 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 8 『 東 京 オ リ ジ ナ ル の キ ウ イ フ ル ー ツ を 育 成 』 ~「東京ゴールド」の品種特性と現地実証試験~ 河野 章(園芸技術科) [発 表 内 容 ] 都 内 で の キ ウ イ フ ル ー ツ の 生 産 量 は 年 間 約 350 ト ン あ り ,多 く の 都 民 に 喜 ば れ て い る 果 物 の 一 つ で す 。栽 培 さ れ て い る 主 な 品 種 は ,消 費 者 に 馴 染 み の あ る 果 肉 が 緑 色 の「 ヘ イ ワ ー ド 」で す が ,都 内 キ ウ イ フ ル ー ツ 生 産 の 一 層 の 振 興 を 図 る た め ,果 肉 が 黄 色 で ,従 来 品 種 よ り 糖 度 が 高 い 東 京 オ リ ジ ナ ル 品 種「 東 京 ゴ ー ル ド 」 ( 図 1 ) の 品 種 登 録 出 願 を 行 い ま し た 。 本 品 種 の 収 穫 期 は 11 月 上 旬 で 「 ヘ イ ワ ー ド 」よ り 約 10 日 早 く 収 穫 が 可 能 で す 。果 肉 色 は 黄 色 で 平 均 果 重 は 約 90g,糖 度 が 16.0 % と 高 く , 酸 度 が 低 い た め 「 ヘ イ ワ ー ド 」 よ り 食 味 が 良 好 で す ( 表 1 )。 ま た ,普 及 拡 大 の た め ,平 成 23 年 2 月 に 都 内 10 市 の キ ウ イ フ ル ー ツ 生 産 者 に 対 し , 接 ぎ 木 用 穂 木 の 配 布 を 行 い , 各 生 産 者 が 接 ぎ 木 を 行 い ま し た ( 図 2 )。 栽 培 面 積 は 257 ㎡( 生 産 者 数 : 29 戸 )と な り ,今 後 も 拡 大 が 見 込 ま れ て い ま す 。ま た , 17 戸 の 生 産 者 圃 場 に お い て 結 実 が み ら れ , 一 部 で は 販 売 も 開 始 さ れ ま し た 。 都 内 の 直 売 所 で は ,「 東 京 ゴ ー ル ド 」 が 並 べ ら れ , 消 費 者 の 皆 様 か ら は 「 甘 く て おいしい!」と好評を頂いております。 [図 表 等 ] 図1「東京ゴールド」の結実の様子 (左)と果実(右) 表1 「 東 京 ゴ ー ル ド 」 と 「 ヘ イ ワ ー ド 」 の 特 性 比 較 ( 2010~ 2012 年 平 均 ) 品種名 東京ゴールド ヘイワード z 発芽期 開花盛期 収穫日 平均果重 糖度 果肉色 (月/日) (月/日) (月/日) (g) (Brix%) 4/9 5/16 11/5 黄 86.5 16.0 4/14 5/29 11/14 緑 95.5 13.8 酸度z (%) 0.29 0.63 クエン酸換算値 穂木 穂木 台木 台木 【 1】 穂 木 と 台 木 を 合 わ せ る 【 2】 上 か ら 見 た 様 子 【 3】 穂 木 と 台 木 を テ ー プ で 固 定 す る 図2 キウイフルーツの接ぎ木方法 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 9 『 農 作 物 安 全 確 保 調 査 分 析 』 ~都内産キュウリなどの残留農薬の調査結果~ 小山知生(生産環境科) [発 表 内 容 ] 都 内 で 生 産 さ れ た 農 産 物 に つ い て ,残 留 農 薬 調 査 を 実 施 し ま し た 。調 査 対 象 農 薬 は ,「 残 留 性 有 機 汚 染 物 質 に 関 す る ス ト ッ ク ホ ル ム 条 約 」 で 指 定 さ れ た 残 留 性 有機汚染物質であるドリン系農薬と都内で使用頻度の高い一般農薬です。 平 成 22 年 度 か ら 24 年 度 の 3 カ 年 に 毎 年 約 340 試 料 を 調 査 し た 結 果 ,キ ュ ウ リ か ら 食 品 衛 生 法 で 定 め る 基 準 値 を 超 過 す る ド リ ン 系 農 薬 ,デ ィ ル ド リ ン と エ ン ド リ ン が 検 出 さ れ ま し た ( 表 1)。 こ の 2 農 薬 は 約 40 年 前 に 使 用 禁 止 に な っ て い ま す が , 土 壌 中 に 長 期 間 残 留 す る こ と が 知 ら れ て い ま す 。ま た ,ウ リ 科 植 物 に 吸 収 さ れ や す い た め ,検 出 さ れ た 試 料 の 生 産 者 に 対 し て キ ュ ウ リ 等 の ウ リ 科 野 菜 の 作 付 け を し な い よ う 指 導 を し ま し た 。ド リ ン 系 農 薬 が 残 留 し て い る 農 地 で ウ リ 科 野 菜を生産する際は,隔離栽培をするなど十分な注意が必要です。 一 方 ,一 般 農 薬 に つ い て は 基 準 値 を 超 過 す る 試 料 は な く ,都 内 農 業 者 が 農 薬 を 適正に使用し,安全な農産物を供給していることが確認できました。 [図 表 等 ] 表1 調査 年度 H24 調査結果 区分 ドリン系農薬 一般農薬 検 出 農 薬 H23 区分 一般農薬 H22 区分 ドリン系農薬 検 出 農 薬 イミダクロプリド TPN 検 出 農 薬 ディルドリン ダイアジノン クロルフェナピル TPN 合計 6 3 1 1 1 1 2 4 3 0 0 0 0 0 0.02~0.05 0.005~0.008 0.02 0.01 0.05 0.03 0.01~0.06 15 7 検 出 試料数 うち基準値 超過 検出範囲 (ppm) 日本ナシ トマト キュウリ 1 1 1 0 0 0 0.02 0.03 0.02 総試料数 340 3 0 検 出 試料数 うち基準値 超過 検出範囲 (ppm) キュウリ カボチャ キュウリ カボチャ 日本ナシ 日本ナシ トマト ナス キャベツ トマト 10 2 5 1 1 1 1 1 1 3 3 0 5 0 0 0 0 0 0 0 0.01~0.05 0.02~0.05 0.01~0.04 0.05 0.01 0.03 0.04 0.01 0.01 0.03~0.2 総試料数 340 26 8 総試料数 339 エンドリン 一般農薬 検出範囲 (ppm) キュウリ キュウリ 日本ナシ トマト キュウリ アゾキシストロビン トマト ナス 合計 調査 年度 うち基準値 超過 ディルドリン エンドリン イミダクロプリド 合計 調査 年度 検 出 試料数 作 物 名 作 物 名 作 物 名 ( ※ こ の 他 の 農 薬 は 検 出 さ れ ま せ ん で し た 。) 残留農薬 基準 (ppm) 0.02 不検出 0.7 2 1 3 3 残留農薬 基準 (ppm) 0.7 5 5 残留農薬 基準 (ppm) 0.02 0.1 不検出 0.05 0.1 1 1 1 1 5 〔平成23年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 10 『 野 菜 の 有 望 品 種 紹 介 』 ~おすすめ品種を紹介します~ 沼尻勝人・野口 貴・海保富士男(園芸技術科) [発 表 内 容 ] 野 菜 は ,収 量 や 形 質 の 違 い ,作 り や す さ ,食 味 ,販 売 形 態 等 を 踏 ま え 栽 培 時 期 に 適 す る 品 種 を 選 ぶ こ と が 重 要 で す 。今 回 は ,春 ・ 夏 ま き ニ ン ジ ン ,4 月 上 旬 ま き ス イ ー ト コ ー ン ,秋 ま き コ カ ブ ,ト マ ト 黄 化 葉 巻 病 抵 抗 性 の 抑 制 栽 培 に お い て 最近の品種を中心に試験栽培し,有望品種を選定しました。 ① 春 ま き ニ ン ジ ン で は 揃 い と 根 の つ ま り が 良 く ,裂 根 ,抽 苔 が 少 な い 「 ベ ー タ ー 312 」 や 生 育 が 早 く 肥 大 が 良 い 「 Dr. カ ロ テ ン 5 」, 夏 ま き で は 肥 大 と 揃 い に 優 れ , 春 夏 い ず れ の 作 型 で も 色 が 濃 か っ た 「 恋 ご こ ろ 」 が お す す め で す ( 図 1 )。 ② ス イ ー ト コ ー ン は 穂 重 や 粒 列 数 に 優 れ ボ リ ュ ー ム が あ り ,大 き さ や 粒 列 が よ く 揃 い ,糖 度 が 高 い 品 種 を 選 定 し ま し た 。バ イ カ ラ ー 系 は「 ス ペ リ オ ル コ ー ン グ ラ ビ ス , カ ク テ ル 84EX」, 黄 色 系 で は 「 ミ エ ル コ ー ン E 」 が 有 望 で す 。( 図 2 )。 ③ コ カ ブ は 球 の 揃 い ,尻 詰 ま り な ど の 点 で は「 夏 は く れ い 」が 優 れ ,球 の 表 面 や 内 部 の 白 さ , 凹 凸 が な く 表 面 が 滑 ら か で 綺 麗 な 点 で は 「 白 寿 」 で す 。( 図 3 )。 ④ ト マ ト 黄 化 葉 巻 病 抵 抗 性 品 種 の 「 桃 太 郎 さ く ら 」 や 「 ア ニ モ TY -12 」 は 対 照 品 種「 桃 太 郎 ヨ ー ク 」と 比 較 し た 抑 制 栽 培 で の 実 用 性 が 認 め ら れ ま し た( 図 4 )。 [図 表 等 ] 夏 はく れ い 白寿 ベータ 312 図 3 秋 ま き コ カブの 有 望 品 種 桃 太 郎 さく ら Dr.カロテン5 図 1 春 ま き ニ ン ジン の 有 望 品 種 TY-12 スペリオルコーングラビス ミ エ ルコ ー ン E 図 2 4 月 上 旬 ま き スイ ー ト コ ー ン の 有 望 品 種 図 4 抑 制 栽 培 における黄 化 葉 巻 抵 抗 性 の有 望 品 種 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 11 『 日 没 時 昇 温 処 理 技 術 と 耐 寒 性 花 苗 の 紹 介 』 ~温室の暖房費を削減します~ 岡澤立夫(園芸技術科) [発 表 内 容 ] 暖房費削減に向けた効率的な温度管理技術開発が喫緊の課題となっています。 日 没 時 か ら 短 時 間 だ け 集 中 的 に 加 温 す る 日 没 時 昇 温 処 理 ( 以 下 EOD- heating ) は 省 エ ネ 技 術 と し て 注 目 さ れ て い ま す 。こ こ で は ,都 内 で 生 産 が 多 い ペ チ ュ ニ ア を 用 い 花 壇 苗 に お け る EOD-heating 効 果 を 明 ら か に し ま し た 。対 照 を 5 ℃ 加 温 区 と し ,17 時 か ら 21 時 ま で の 4 時 間 を 15 ℃ ,そ の 他 の 時 間 帯 を 0 ℃ 加 温 し た 区 を 0 ℃ 加 温 -EOD 区 と し ま し た 。 5 ℃ 加 温 区 に 対 し , 0 ℃ 加 温 -EOD 区 は 30% 以 上 の 燃 料 費 削 減 効 果 が 認 め ら れ ま し た( 表 1 )。ペ チ ュ ニ ア で は ,EOD-heating で ,花 径 が や や 小 さ く な る も の の ,株 張 な ど の 生 育 へ の 影 響 が み ら れ な い こ と ,5 日 以 上 開 花 が 促 進 す る こ と が わ か り ま し た ( 表 2 , 図 1 )。 ま た ,暖 房 な し で 栽 培 が 可 能 な 耐 寒 性 の 強 い 花 を 調 べ ま し た 。バ コ バ ,ネ メ シ ア 等 は 無 加 温 で も 3 月 出 荷 が ,デ ィ ア ス キ ア 等 は 4 月 出 荷 が 可 能 で し た が ,ガ ザ ニ ア と ロ ベ リ ア は 無 加 温 で は 栽 培 が で き な い こ と が 明 ら か と な り ま し た( 表 3 )。 [図 表 等 ] 表1 各区の燃料費試算 0℃加温 暖房に必要な熱量(kcal) 灯油消費量(L) 表2 0℃加温-EOD 5℃加温 21,603 69,768 103,170 3.0 9.6 14.2 ペ チ ュ ニ ア に お け る EOD-heating 効 果 処理区 無加温 株高 株張 最大側枝長 葉色 花径 (cm) (cm) (cm) (SPAD値) (cm) 有効花数a (個) 到花日数 (日) 9.6 c 22.5 b 11.4 b 49.9 a 6.4 b 27.3 a 115.7 a 0℃加温 10.2 bc 25.7 a 14.9 a 44.7 b 6.5 b 28.6 a 114.3 ab 0℃加温-EOD 11.5 ab 23.5 ab 14.3 a 48.0 ab 6.5 b 27.3 a 107.7 c 5℃加温 12.6 a 25.6 a 14.9 a 44.8 b 7.4 a 29.1 a 113.3 b ※異 文 字 間 には,Tukey 法 により5%水 準 で有 意 差 がある。3,4輪 開 花 時 調 査 (到 花 日 数 は1輪 ) 無加温 0℃加 温 5℃加 温 0℃加 温 -EOD 図1 EOD-heating が ペ チ ュ ニ ア の 生 育 ・ 開 花 に 与 え る 影 響 表3 加温温度と開花時期 加温 無 0℃ 5℃ ガザニア × 4/9 4/7 ロベリア × 4/10 4/4 ディアスキア 4/3 3/31 3/20 バコバ 3/26 3/25 3/12 ワスレナグサ 3/19 3/23 3/20 ネメシア 3/20 3/22 3/11 ペチュニア 4/3 3/28 3/25 ※表 中 の×は 寒 害 のため枯 死 〔平成24年度東京都農林総合研究センター研究成果発表会講演要旨〕 No. 12 『 PPV ( ウ メ 輪 紋 ウ イ ル ス ) の 拡 散 防 止 に 向 け た 防 除 対 策 の 確 立 』 〜ウメに寄生するアブラムシの周年動向の解明〜 加藤綾奈(生産環境科) [発 表 内 容 ] 現 在 , 東 京 都 青 梅 市 を 中 心 に , ウ メ に 植 物 防 疫 法 上 の 特 定 重 要 病 害 で あ る PPV ( ウ メ 輪 紋 ウ イ ル ス ) が 発 生 し て い ま す 。 ウ メ が PPV に 感 染 す る と , 葉 に 輪 紋 や 斑 紋 症 状 , 花 弁 に 斑 入 り 症 状 を 生 じ ま す 。 PPV は ア ブ ラ ム シ に よ っ て 媒 介 さ れ る た め , 病 気 の 拡 散 防 止 に は ア ブ ラ ム シ の 防 除 が 重 要 に な り ま す 。 し か し ,年 間 を 通 じ た ア ブ ラ ム シ の 発 生 動 向 は 不 明 な 点 が 多 い た め ,2010 年 か ら 3 年 間 に わ た っ て,青梅市のウメ園におけるアブラムシの発生状況を調査しました。 そ の 結 果 ,ウ メ に 寄 生 す る ア ブ ラ ム シ は ,主 に 4 月 下 旬 ~ 6 月 上 旬 ,7 月 上 旬 ~ 8 月 下 旬 , 10 月 下 旬 ~ 11 月 の 年 3 回 発 生 す る こ と , 秋 季 に は 越 冬 の た め に 多 数 の 卵 が 産 卵 さ れ ,翌 年 の 2 月 中 旬 に は 越 冬 卵 か ら の 孵 化 が 始 ま る こ と が 明 ら か に な り ま し た 。ま た ,秋 季 に は こ れ ま で 知 ら れ て い な か っ た 種 類 の ア ブ ラ ム シ の 寄生も確認されました。 今 後 は ,こ れ ま で に 蓄 積 し た 基 礎 デ ー タ を 元 に ,具 体 的 な 防 除 対 策 の 確 立 に 向 けた試験研究を進めていきます。 [図 表 等 ] PPV に 感 染 し た 葉 の 症 状 秋季の産卵行動 春季にウメに発生したアブラムシ 2月下旬の卵からの孵化