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3.クルマの燃費をいかに良くするか

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3.クルマの燃費をいかに良くするか
自動車の省エネ対策
3.クルマの燃費をいかに良くするか
● ガソリン乗用車の平均燃費の推移
●オールアルミボディカー(塗装前のボディ)
石油危機を契機に拍車がかかった技術革新に
より、クルマの燃費効率は20年前とは格段に
良くなりました。
■トヨタ車の平均燃費の推移
1 省エネに向けた技術的対応
クルマ単体における省エネルギー対策は、エンジンの効率向上や駆動系の効率向上、走行抵抗の低減、車体
の軽量化など多岐にわたって進められています。クルマの省エネルギー対策は、クルマを使う側の運転方法
や日頃の点検整備の有無によっても大きく左右されます。
※IW=等価慣性質量
燃費
(km/ )
10モード
10.15モード
18
IW=1,000kgのマニュアル車
資料:日本自動車工業会
16
●風 洞実験
● クルマの省エネルギー対策
14
自動車業界では、クルマ単体にできるさまざまな省エネルギー化、すなわち燃費の向上策が進められていま
す。エンジンではいかに上手に燃やし、摩擦を減らすか、ボディはいかに軽くするか、またいかに空気抵抗
12
の少ない形にするか、そして電子制御でいかに賢いクルマにするかなどが求められています。しかし、下図
からもわかるように、クルマの省エネルギー対策には、運転者自身が燃費性能の維持対策として点検・整備
10
を怠らないこと、あるいは経済的運転を心がけることなども重要になります。
8
自動車の省エネルギー対策
自動車の構造・装置の改善対策
エンジンの
燃焼効率の向上
エンジン本体(燃焼方式、燃焼室形状等)
点火系の装置(点火方式、点火時期)
吸気系の装置(噴射装置4バルブ化、高圧噴射化等)
排気系の装置(4バルブ化、マニホールド等)
排出ガス対策装置(吸・排気系の各装置(EGR装置等))
動力伝達装置系の
機械損失の低減
ATロックアップ化、CVTの採用等
軸、軸受、継手、歯車等
タイヤ(空気圧、種類、パターン、サイズ等)
車両重量の軽量化
車両の小型化
材料の軽量化
機能向上による部品数の減少
各部品の小型・軽量化
走行抵抗の低減
(一般走行)
常用使用領域の
運転性適正化
空気抵抗の低減
ころがり抵抗の低減
常用走行特性改善
(原動機出力特性、変速特性等を
常用運転領域に適合させる)
保守
燃費性能
維持対策
運転
経済的運転
管理対策
点検・整備
軽金属材料
合成樹脂材料
その他
前面投影面積
車体形状
タイヤと路面との摩擦係数
原動機特性
変速、減速特性
動力伝達装置等
(ATの電子制御化等)
6
1978
IW=1,250kgのオートマチック車
80
85
90
資料:
「自動車と環境」5版
95
運転方法 経済的走行性能に適合した運転
使用方法 乗車効率、積載効率等
資料:「数字で見る自動車」1999 日本自動車会議所
資料:日本自動車工業会
トヨタ自動車
● 各種の省エネ対策について
・軽量化のための中空化
エンジンのカムシャフトやクランクシャフトなどの回転部分は、外側部分を強化し、中心を空にする(中空
化)などして自動車部品の軽量化が図られています。
・軽量化とサスペンション
いわゆるクッションと呼ばれるサスペンションやスプリングは、自動車の乗り心地や運転性を決定する重要
な部分ですが、最近、ここにアルミ製部品を採用するクルマが登場し、この結果、軽量化とともに路面に対
する追従性がよくなり、乗り心地や運転性も向上しました。
・空気抵抗係数
省エネのためには、空気抵抗をいかに小さくするかというのも大きな課題です。このため、最近のニューモ
デルのデザインは、全体が丸く、フロントの先が滑らかに下がっています。また、ウィンドウガラスを前後
左右ともかなり寝かせていたり、ドアとボディ、ドアとガラスに段差をなくしたりといった工夫がなされて
います。
・高効率エンジンの代表的な技術例
マルチバルブ+ツインカム(DOHC)
@
エンジン関係(エンジン本体、吸・排気系、
点火系、排気ガス対策装置等)
走行装置等(タイヤ、クラッチ等)
97(年)
高圧縮比とノックコントロール
A
ターボチャージャー
B
スーパーチャージャー
C
希薄燃焼(リーンバーン)
D
可変バルブタイミング
E
● リーンバーンエンジンの燃費
2 排出ガス抑制のための取り組み
燃費向上策として、近年とくに注目されているのが、
「リーンバーン(希薄燃焼)エンジン」です。これは、通常
クルマから排出されるCO2を抑制するためには、クルマ単体にできる技術開発(ハード面)ばかりでなく、
のエンジンでは 重量比でガソリン1に対して、空気量14.7の割合で混合して燃焼させます(理論空燃比)が、
ドライバー個人にかかわる保守管理や運転方法、あるいは物流や交通量の円滑化などの社会全体にかかわる
高度なエレクトニクスの導入によりこの常識をくつがえし、ガソリン1に対し空気量24程度でも常に安定した
対策(ソフト面)も重要な視点です。
燃焼を可能にしたものです。
● ガソリン&ディーゼルエンジン排出ガス低減及び燃費向上の主な方策
■10.15モード燃費
■60km/h定地走行燃費
(ガソリン) (ディーゼル)
リーンバーンエンジン車
リーンバーンエンジン車
従来型エンジン車
従来型エンジン車
燃料改善
※ 数値はマツダ車比
(1.5 ・DOHCエンジン・
5速マニュアル)による
(km/ ) 15
16
17
18
19
(km / )
20
24
25
26
27
28
29
30
31
排出ガス
後処理
HC,CO,
NOx,PM
燃焼の改善
32
資料:日本自動車工業会
● 代表的な燃費向上技術の導入経過(トヨタ自動車)
1978
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
(年)
・リーンバーンシステム
・ハイメカツインカム
・LASREエンジン(3A-U)
(NOx吸蔵還元型三元触媒)
・直噴ガソリンエンジン
・ノックコントロールシステム
(トヨタD-4)
・リーンバーンシステム
・窒化チタンコートシム
・リーンバーンシステム
(独立ヘリカルポート)
(リーンミックスチャーセンサ)
・連続可変
エンジン
バルブタイミング
・小型ディーゼルエンジン(C型)
機構(VVT-i)
・リーンバーンシステム
・高膨張化サイクル
・小型ディーゼルエンジン(N型)
(燃焼圧センサ)
ガソリンエンジン
(THS用)
・直噴ディーゼルエンジン(B型)
・4バルブ・センター
インジェクション
ディーゼルエンジン
・フラッシュサーフェス化
ボディ
・FF化
・フラッシュアンダーボディ
・低燃費ラジアルタイヤ
駆動系
・5速ECT -i
・フレックスロック
アップシステム
・4速E CT
・ロックアップ
トルクコンバータ
・スーパーフロート
トルクコンバータ
・Super E CT
・スーパーフロート
トヨタコンバーターll
トヨタコンバーターⅡ
資料:「自動車と環境」5版 トヨタ自動車
燃費
低硫黄燃料
○
蒸発ガス対策
○
触媒改良
NOx還元触媒
DPF
○
○
○
○
○
高精度燃料噴射制御
リーンバーン
筒内噴射
高圧噴射
燃焼室改良
EGR制御
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
吸排気系改善
インタークーラー
フリクション低減
ポンピング損失低減
○
○
機械損失低減
○
○
CO2
(注)DPF:Diesel Particulate Filter/EGR:Exhaust Gas Recirculation(排出ガス再循環)
資料:日本自動車工業会
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