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アキレス腱断裂の実態とその治療法概観 Author(s)

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アキレス腱断裂の実態とその治療法概観 Author(s)
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スポーツ外傷:アキレス腱断裂の実態とその治療法概観
吉田, 敏雄
北海道大學教育學部紀要 = THE ANNUAL REPORTS ON
EDUCATIONAL SCIENCE, 35: 115-128
1980-03
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/29211
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
35_P115-128.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
スポーツ外傷
一一アキレス擁断裂の実態とその治療法概観一一
敏
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A StudyonTheS
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爵 次
I 緒
言
…
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
…
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・ ・
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曹 ・・
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…
・
・ 1
1
5
日調査方法...・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ 1
1
6
藍 アキレス騰についてい・・ ・・
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・ ・
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…
骨 ・・
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・ ・・・
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・ ・
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・ ・
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.1
1
6
1
. アキレス擦の機能…...・ ・
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…
・ ・・
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…
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・ ・
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…
・ ・・
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・ ・
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… 1
1
6
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・ ・
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・ ・・・
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…
… ・・
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.1
1
6
2
. アキレス臆断裂の発生率・ ・・
N 結果と考察...・ ・
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・ ・・・
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・ ・
…
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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.1
1
8
1
. アキレス臆断裂者の実態…....・ ・・・
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…
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・ ・
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…
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・ ・
…
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・ ・
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.1
1
8
(
1
) 誌
r
r
裂遂の職業分類…… ・・
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・ ・
… ・・
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・ ・
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・ ・
… ・・
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.1
1
8
(
2
) 断裂者の年令分布............・ ・
…
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・ ・
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・ ・・・
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・ ・
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・ ・
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・ ・1
1
8
(
3
) 断裂時の緩問5J1j人数および王子均年令...・ ・
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…
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・ ・
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・ ・1
1
9
(
4
) 断裂足と利き手,利きょ芝との関係...・ ・
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・
・ ・・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
…
・
・ 1
2
0
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・ ・
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・ ・・
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…
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.1
2
1
(
5
) 断裂者と何年令腐とのローレノレ指数の比較....・ ・
(
6
) アキレス謄断裂発生場所…...・ ・
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・ ・
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.1
2
2
(
7
) アキレス縫断裂のI
1
翠日別,}J別発生状況・ ・・
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・ ・
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・ ・..……… 1
2
2
(
8
) アキレス鍵新裂時の動作分析…...・ ・
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・
・ ・・
…
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・ ・
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…
… ・・
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.1
2
2
(
9
) 断裂者の学生時代におけるスポーツ経験と運動の笑路状況…・ ・・
.
.1
2
3
2
. アキレス鍵新裂者に対する治療法統観・・ ・・
.
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・1
2
4
(
1
) 治療方法の概観・・ ・・
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・ ・
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・ ・
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.1
2
4
(
2
) 後遺産....・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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・ ・-…… 1
2
5
(
3
) スポーツ選手に対する治療法."・ ・
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…
…
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・ ・
…
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・ ・
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…
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・ ・
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…
・ 1
2
6
V 華
客
約
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・ ・
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・ ・
…
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・ ・
…
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・ ・
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・ ・
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・
・ ・・
.1
2
7
文
献
・
・ ・・
…
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・ ・
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・ ・
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・ ・
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.1
2
8
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H
H
H
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H
H
緒 言
国民の心身の健全な発達と,
明るく農かな閤民生活の形成に寄与すると云う百的で,昭和
初年にスポーツ振興法が公布,施行されて以来,聞及び地方公共団体等により,各地に体育施
設が整備されつつある。一方,東京オリンピックを記念して設けた「体育の日 j の意義も浸透
し,国民の関に広くスポーツについての理解と関心を深め,かつ積極的にスポーツを行う意欲
から,各地にスポーツ・サークノレ,スポーツ・グラブも誕生するなど,
高 度 成 長 か ら , 各 企 業 が 週 休 2臼制にふみきる等,
加えて,近年,経清の
国民がスポーツ活動に接する機会が多くな
り,今やスポーツは日常生活の一部とさえなりつつある。我々体育・スポーツに関わる者とし
て援ばしし、かぎりである。
1
1
6
教脊学部紀要第 3
5号
しかしながら,心身の健全な発達をはかるべきスポーツ活動に参加し,不幸にして,スポ
ーツ障害,スポーツ外鍔事故に遭遇し,暗い療養生活を送っている者も多く,これらを見逃す
ことはできない。此度び,アキレス臆断裂者について,体育管狸,安全教育の立場から,
これ
らの事故を米然に防ぐべき基礎的資料を得るため調査を実施した。
1I調査方法
札幌市内の主要な 7病院において,最近 S年間にアキレス躍を断裂し,治療を受けた 3
3
5
名についてアンケート用紙を送付,
その囲集率47.8%1
6
1名(男子9
1名,女子7
0名)を対象と
して集計したものである。
調査期間
昭和田年 8 月 ~9 月
調査協力病院
いとう整形外科病践
開成外科病院
厚生病院
近藤整形外科癖院
斗宿病院
古畑整形外科病院
北民病院
第 1表 最 近 5ヶ年間におけるアキレス臆断裂者
(札幌市内主要 7病続)
アンケート回集者
%
数
%
2
8
.
4
21
.7
2
5
.
9
直
アキレス騰について
1
. アキレス躍の機能
アキレス躍は大腿骨から起る緋復筋の躍と腔骨後商から起るひらめ筋の躍が下方において
融合し,躍骨髄(アキレス睦
TendonAchi
1
1e
s
) となり,腫合隆起に付着しており,足を底
側方に屈し,躍をあげ,膝関節を曲げる等,我々の運動,動作には不可欠の臆1)である。即
ち,アキレス躍は我々が運動を実施する場合,足尖を力の支点としてのテコ作用をなしている
8
k
gの人が片足で爪
ことになる。全足長に対する鍾骨一足関節長の比は 24.5%であり 2〉,体重6
先立った場合,
アキレス躍には 5
1
k
gの負荷となって表われる。
全てのスポーツにおいて動作を開始する諦の構えの基本姿勢ですでに躍をあげ,爪先立
ち,より速いスタートダッシュができるように構える。このことはすでにアキレス躍への負荷
となっている。前後左布への速い動きを伴うスポーツ,ジャンプを伴うスポーツでは負荷は吏
らに大きく,なかでも三段跳における連続跳躍の
Hop
,S
t
e
p
,J
ump時にアキレス鍵への負荷
は最も大きくなるであろう。
2
. アキレス腿断裂の発生率
アキレス臆断裂の原悶には,①全伸張臆に対する過剰の伸張,②足関節がザラックスして
1
1
7
スポーツ外傷
不準備な時の無理な足関節背屈,③緊張している際の膿への薩接外傷等があるが,一般には,
断裂を起すような緊張力が躍内に生ずると,聴器官
(
T
e
n
d
o
nO
r
g
a
n
) が活動して節肉内に反
射性抑制を起す。普通の状態では,緊張が危検域に達する前に反射性抑制が起るが,緊張が非
常に迅速に生じると,抑制度射弓が完成する前に臆断裂を起すことがある。 ω
(
3
1
4
0
歳)
不明 2
.0%
不明 1
.
7持
(
4
1
5
0
歳)
肉{まなれ 0
.8%
靭帯操悔1.0
時
脱臼骨折
0.3%
脱臼骨折
0.4%
不明 2
.
5
持
(主婦・無糠)
肉J
まなれ 0
.
9
封
靭帯損{輯1.6%
火 { 事0.1%
.
8
括
十時ば主れ 0
靭帯損傷。 5持
火 傷0
.
1略
部
燭1.8拓、ζ~、、/ーーヤ乞~\、税臼骨折
0
.
1出
(学校のクラブママさんバレー)
肉 I;!'~ れ 0.7拓
聖書帯損傷 0.7%
火 傷0.1%
創 傷 1.7%
続白骨折
。 1~る
第 1図
スポーツ外傷発生状況
1
1
8
教育学部紀要 第
3
5号
アキレス腫断裂は欧米に於いてはまれにみられる外傷と云われているが,我田では近年の
スポーツ外傷としてしばしば見られている。第 1 歯は昭和48~49年度の
社会体育の普及から,
スポーツ安全協会加入者の傷害発生状洗である。 10) 間中の臆断裂とある殆んどはアキレス韓断
0
歳代が最も多く 1
0.1%の発生率な示している。なかでも中年婦人!曹に
裂であり,年令的にも 3
多く,家庭の主婦では会受傷数 3,
4
4
9例の 11.5%3
9
7
例,特に近年活発に行われているママさ
んバレーでの発生率でも 9.9%288例の断裂がみられている(,年令,職業,実施種目等によっ
て異るものの高い発生率を示している。
N
結
果
と 考
襲
1
. アキレス臆断裂者の実態
(
1
) 断裂者の職業分類
第 2表は断裂者を職業分類したものである,男子では会社員43%
,公務員24%
,教員 16%
強と続いており,全体の 83%をこれら俸給生活者で占めている O 一方女子では家庭の主婦が 5
3
%と圧倒的に多く,以下会社員,公務員の I
J
鼠となっている。男子教員 1
5
名中,体育教師は 1
3
名
(
1
6
.
5
%
) と高い数値を示していることは,職業上やむなえぬこととは言え注包される。
第 2褒
男
断 裂
ヨ
努
の 職
子
職
4
2
.
8
2
4
.
2
会 社
1
6
.
5
公 務
主
6
.
6
自 営
5
.
5
2
.
2
看護婦・保
1
.1
づい
1
.
1
差
是
教
.
>
>
ら
間
言
十
業
体
織
婦問員長業母口民生業員
役
。ノ nd 民ノ / O Kノ n L 1 A 1 i
nLn414
役
会
体
体
類
子
職
員長口興業員生員長
務
営
会公教自社学問団
社
分
女
業
職
業
1
0
0
.
0
(
2
) 断裂者の年令分布
断裂者の年令分布をみた場合,第 2図のごとくであり,
男・女とも 30歳代 ~40歳代前半に
か け 倒 的 に 多 く , そ の 平 均 は 男 子 約4
1
歳 (
SD=11.9
歳),女子は約3
5
歳 (
SD口 8
.
0
歳)と
なっている。これらの傾向はスポーツ安全協会発行の「スポーツ等活動中の傷答調査」の資料
とほぼ悶様の傾向を示している。今田の調査の最高令者は男子の 7
7
歳であり,最年少者は女子
の1
9
議(大学生)と, 1
0
歳代では僅か 1名のみであった。高校生の臆断裂をみた場合(学校安
全資料より,最近 2年期における札瞬,石狩地区道立高校1
9
校
, 1
9,
5
0
0
名)僅か 6名であり,
0
歳代, 4
0
歳代
正課体育,クラブ活動,その他のスポーツ活動への参加状況合考慮した場合, 3
に比べ断裂者は僅少と言えよう。松本等の研究においても,女子では 30歳代,男子30~40歳代
が正倒的に多く,同様の傾向を示している。
1
1
9
スポ{ツ外傷
(人数)
子
均 41
.1土 11
.9
じこコ男子 王
こ8
.0
・・踊女子 平均 34.8と
20
10
20
30
40
第 2図
50
70
60
(年令)
断裂者の年令分布
(
3
) 断裂時の種目別人数および平均年令
第 3表 は 断 裂 時 の 種 目 別 人 数 及 び 平 均 年 令 で あ る O 種目別では,男子の場合,野球,
ソフ
トと,いわゆる野球型スポーツでの院r
r
裂が上伎を占め,女子では,バドミントン,卓球と,テ
ニス型(ラケット種目)種目が上位にあり,
第
3表
男・女のスポーツの好みが,断裂者数のうえにも
断裂時の種目別平均年令
g
種
自
種
子
女
男
バドミ
平均年令
トン
卓 球
ス キ
3
2
.
6
3
7
.
5
4
4
.
7
ノ、レ
3
9
.
1
ス
キ
ノミドミント γ
3
3
.
0
.6
31
4
2
.
0
ソ
ブ
ア
一
球
野
ソ フ
ハ レ
運 動 会
球
(
2
の
(
3
9
)
ス
(
4
2
)
運 動 会
3
9
.
5
61
.0
マラソン
ドッチボーノレ
4
4
.
5
(
38
)
(
5
4
)
馬 銚 び
サ ッ カ
E
手
テ
一
マラソン
ゴ ル フ
ドッチボーノレ
鬼ご っこ
t
。
日
縄 跳 び
ボール蹴り
体 力 測 定
O J q J η J h ' i 1ム T 4 1 i
剣 道
2
7
.
3
.8
31
3
3
.
2
4
0
.
6
.3
31
2
8
.
一トス
バスケット
γ
3
7
.
8
3
0
.
7
3
5
.
0
(
4
3
)
(
3
7
)
く
4
の
く
2
7
)
3
9.
4
そ
の
自
イ
2
0
そ
の
他
2
3
1
6
稜
日
9
1
1
3
種
自
7
0 3
4
.
8と
ご8
.
0
教育学部紀要第 3
5号
1
2
0
表れている。また男・女共に子供の運動会参加中に 9名の断裂者があり住 gされる。
一方断裂時の種 g別王子均年令では,
7.3
鼠
女子ではノミドミントン 2
男子,バスケットボール 3
1
.6
歳,野球3
2
.
6
歳と低く,
テニス 2
8
哉と動きの激しいと思われる種目程,断裂時の平均年
令が低くなっている。スポーツ関係以外での断裂者の平均は男子5
4
歳,女子3
9
歳と高くなって
L、
る
。
1年度食道ママさんバレーボ
最近,特に盛んになって来ているママさんノミレ一大会(昭和 5
ール大会参加者を対象として行った外傷実態調査,担当
0名に対し,
ても,受傷経験者7
桜井)参加者の外傷実態調査におい
アキレス膿断裂者は 1
2名 (11.1%) な数え,これは捻挫,打撲
7
.
9
歳と今回の調査に比べ約 5歳程上廼っている。
に次いで多く,その平均年令も 3
仏
) 断裂足と利き手,利き足との関係
科き手はあるが,利き足を苔定ずる研究者もいるが,
この点は種目によって差異があるも
のと忠われる O 特に跳躍しながらプレーする,バレーボールのスパイク,ノミスケヅトボールで
のランニングシュート等,右手(利き手)でプレーする場合,左足(利き足)を軸に跳躍する
ことによりプレーの幅ができる。本学バレーボール部員の利き足,非利き足について大髄,下
m, 1
.0c
mの差がみられた。
腿の最大聞について計測の結果,利き足側が太く,それぞれ1.5c
このような点からも「利き足」を否定することはできないと恩われる。
男
子
LHLF
(
トD
L-l
女
子
NHLF
RH LF
LH LF
NH LF
RH LF
(ト~)
L-O
(ト~)
L-14
(R-o)
L-O
(~ー~)
L-O
(R-4)
L-l
LHNF
NHNF
RHNF
(R-i)
L-O
(R-2)
L-O
(R-5)
L-8
LHRF
NHRF
RHRF
(R-i)
レー O
(~=~)
L-OJ
;¥L(浪→~)
l
う
第3
図断裂足と利持,利き足との関係
E
ミ
[L
N
H
4
F百
足]
し
第 3図は新裂足と利き手,利き足との関係を示したものである。女子ではあまり左右の差
はみられないが,男子では左足断裂者が 60%と多くなっているが,
るごとくスポーツ種自との関連では野球,
なかでも,第 4表にみられ
ソフトボール,剣道等では左足断裂者が圧倒的に多
い。特に野球型スポーツでは攻撃側に多く,時ち,パッテング後のスタート時,
ランナーとし
ての盗塁の為のスタート時,長打を打って患を廻る時等に多い。また剣道では全員左足断裂で
あり,これは利き手,利き足に関係なく,古来からの剣道の構えの姿勢が,攻撃に入る際の踏
み込み時に左足が軸となるためと思われる。
今田の調査における過去の断裂経験者は,
男子 1
0名 (
1
1
5
旨
)
,
以上に多く,議r
r裂の期間も比較的接近しており,
女子 1
1名 (15.7%) と想像
これは断裂足をかばうためにおこるものか,
または躍の老化,あるいは筋肉と躍のアンバランス等の原因によるものかは,
とはできない。
明らかにするこ
1
2
1
スポーッ外傷
第
4表
自
左
左
自
ス
運 動 会
マ ラ ソ ン
マ ラ ソ ン
ドッチボール
ゴ ル フ
馬 跳 び
ヴ 。
コ
ハ U ハU 4 i n U 4 i
t
球
KJ42443qJe--A
運 動 会
1
.
1
綴 と び
1
.1
ボーノレ蹴り
1
.1
体力測定
サ ッ カ
つんハ u n d f i n U 1 A n u
剣 道
言
十
右
nL っL q L
ノミドミントン
ノミスケット
一
種
スソテ
ス キ
ノ、レ
T
%
n d kノ つ ふ
ソ フ
卒
女
1
4
.
3 バドミントン
1
0
.
0 卓 球
8
.
8 ノ、レ
キ
8
.
8
ブ
ト
6
.
6
ス
5
.
5
一
4.
4
球
野
手
子
5
誇
種
スポーツ種鼠と断裂足との関係
%
1
0
.
0
8
.
6
7
.
1
7
.
1
4
.
3
4
.
3
1
2
.
9
4
.
3
2
.
9
1
.4
1
.4
1
.4
1
.4
ドッチボール
鬼ごっこ
そ
さ弱
ふ
ー
。
(
5
) 断裂者と詞年令層とのローレノレ指数の比較
先にのベたごとく,
(ローレル指数)
150
アキレス韓は大腿骨から起る排腹筋の躍と鹿骨後障から起るひらめ筋
男 子
Cニ コ 断 裂 者 平 均
圃園田日本人平均
140
130
120
110
100
宅町市下町町 !
?
(
:
:
1
1
:
教育学部紀要第 3
5号
1
2
2
の躍が下方において融合し,
鍾骨健(アキレス髄) とな
り,撞骨隆起に付着しており,足を底側方に屈し,麗をあ
げ,膝関節を曲げる等,我々の運動,動作には不可欠の躍
である O 即ち,アキレス躍は我々が運動を実施する場合,
足尖を力の支点としてのテコ作用をなしていることにな
る。このことから,体重の増加は,郎く,アキレス躍への
負祖となってくる。身長と体重から算出されるローレル指
数 (RZZX107) を も と に 断 裂 者 と 間 特 麗 の 日 本
68kg
68kg
第 5図 アキレス鍵への負街
人平均値とを比較した。 7) その結果は第 4閣の通りで,
男
子では各年令摺とも断裂者若手がローレノレ指数にして1. 0~
1
2
.
7 (平均 5
.
2)上廻っており,
これはアキレス臆への負担増と言える。全足長に対する露骨
一足関節長の比を24.5%とし,体震6
8
k
gの人が片足で爪先立った場合,
第 5図のごとく約5
1
k
gとなり,
アキレス臆への負荷は
さらに体重が 1
0
k
g増加した場合は約5
9
k
gとなり,
8kgの負担増
となる o 30
歳代, 40
歳代と進むにつれ筋力,体力が低下するのに対し,逆に体型的に肥満傾向
を示すことは,アキレス臆への負担を増大するものである O 女性における特殊な場合として,
妊娠による急激なる体重増加も住意を要し,今調査においても 2慨を数えている O
(
6
) アキレス躍断裂発生場所
アキレス臆断裂の発生場所では,男子は麗外グランドが38%と ト ッ プ を 占 め , 以 下 体 育
館,その他と続色女子では体育館が 30%で,以下グランド,道路上と続き,特徴的なのは自
宅内での断裂が 10%有り,男女の生活空間の違いが出ている O
アキレス躍断裂の場合,特に床の閤脊振動の影響が多分に考えられ,かつての旭丘高校体
育館においては,基礎コングヲートに直接フローリングを張りつけていたため,膝,足首等の
疲労,外傷事故も多く,アキレス臆断裂も多く発生したと聞く。今調査では床の間有振動等に
はふれず,発生件数のみとしたが,体育館別では,中央体育館 5名
, YMCA体育館 4名と公
共体育館での断裂が多いが,
これは{吏用頻度からくるものと思われ,以下旭丘高体育館 2名で
他は市内小・中学校,大学,民区センタ一等で発生している。
(
7
) アキレス臆断裂の曜日別月期発生状況
アキレス膿断裂の躍
a別発生状況では,
男女とも,週末の 2日間での発生が 50%以上を占
めている。男子では水耀日が全も少し以下週末に向け暫増傾向にあるのに対し,女子では,
週末を除いた場合,男子と全く逆になり, 水曜日が最も多く 15.7%の発生率さと示し,男女の運
動実施曜日の特徴がみられる。
月別発生状況では
4 月 ~6 月と
9 月,
10 月の 5 ヶ月間で全体の 60~70% を占め,いわ
ゆるスポーツシーズンがデーターの上でもはっきりと出ている。
(
8
) アキレス擁断裂時の動作分析
アキレス臆断裂の露間には,①全伸張躍に対する過剰の伸張,②足関節がリラックスして
不準備な時の無理な足関節背屈,③緊張している際の臆への直接外傷等があるが,一般には,
断裂を起すような緊張力が臆内に生ずると,臆器官が活動して筋肉内に反射性抑?械を起す。普
通の状態では,緊張が危険域に達する前に反射性抑制が起るが,緊張が非常に迅速に生じる
と,抑制反射弓が完成する前に韓断裂を起すことがある。
第 5表は今回の調査における断裂時の動作分析であり,男女とも前方へのダッシュ時が最
1
2
3
スポーツ外傷
第 5表 紙 裂 時 の 動 作 分 析
女
男
断裂時の動作
断裂持の動作
前方えのダッシュ時
中
主
疾
ン プ 時
ジ ヤ
前方えの転倒時
階段ふみはずし時
ジャンプの着地時{
寺│
踏 み 込 み H
中;
主
事
し
持
転
持
捻
両足の官官後開き時
ラケットのスイング時
道路横断直後
歩行開始時│
歩
行
中
立 ち 上
り 時
陵部にぶつかり持
階 段 降 下 時
f
乍 業
積
荷
中
l
2
3
2
0
1
1
1
0
5
4
4
3
2
前方えのダッシュ時
前方えの転倒時
ン ブ
時
1
2
.
8Iジ ヤ
1
1
.0 ジ ャ ン プ の 着 地 時
5
.
5 捕
球
時
4.
4 疾
定
中
4.
4 段階ふみはずし時
3
.
3 捻
転
5
守
2
.
2 打
球
持
び
桜h
中
1
.
1 縄
下
1
.1 階 段 降
時
突
1
.
1 衝
時
中
1.1歩
行
ンニ γ グ中
ドステップ中
f
こ
え
1
21
9
8
7
5
5
4
1
7
.
8
1
2
.
8
1
1
.4
1
0
.
0
7
.
1
7
.
1
在
寺
皮
症
計
も多く,特に男子においては約25%を示しており,
以下,陸上競技,野球等で疾走中,バレー
ボール,バスケットボール等でのジャンプ時,スキーでの前方への転倒時と続いている。一方
女子においても,男子関様,前方へのダッシュ時が多く,
ジャンフ。から着地時となっており,
女とも高い数値な占め,
以下前方への転倒時,ジャンブ時,
その他スポーツ以外では,階段での足の踏みはずし時が男
また雪路での率抑し時の断裂も 3備と注目され,いずれもアキレス躍
への負担が大きいものと思われる。
(
9
) 断裂者の学生時代におけるスポーツ経験と運動の実施状況
断裂者の学生時代におけるグラフ辛活動等の経験をみた場合,
男子では陸上競技,バスケッ
トボール,パレーボーノレ,野球,テニス等,平均化しており, 1
3種目にわたり, 6
4名 (70%)
が経験している O 吏らにその中 5
9名 (65%) が 対 外 試 合 に お け る 代 表 選 手 の 経 験 を 持 っ て い
る。一方女子では,バレーボール経験者が断然多く 27%念占めている。以下陸上競技,バドミ
ントン,卓球と続~,
グラブ活動経験者4
6人 (66%) の全員が対外試合における代表選手とな
っている。しかし乍ら,断裂者の断裂前の運動実施状況では,男女共に全体の 53%の者は,普
段全く運動を実施しておらず,毎日定期的に運動を実施している者は,男子21%
,女子では樺
か 8.6%となっている。また運動開始にあたって,全く Warmingupなしで開始している者
叩
,女子では43%もの多くを点めていることは問題の多いところであり,普段あま
が男子で23%
1
鼠応性を持た
り運動していないだけに,実施にあたっては,充分 Warming-upをし,身体に1
せたうえで実施すべきである。
教育学部紀重要 第 3
5号
1
2
4
第 8表
断裂者の学生時代における部活動の経験
5
号
%
目
穏
レ
ト
ミン
キ
、以牟
ヨ
主
主
ヒ
ツ
カ
な
幻
一泳撲手し
グ
験
ス剣一ブサ水相祭経
ド
レ
ド
ン
ス
、
y
ケ
フ
一
験
ト
な
一上ン球トトス道道操
ツ
nY887765433211
ケ
一球スン
陵バパ野テパ
上
ス
2
7
.
1
7
.
1
7
.
1
7
.
1
5
.
7
4
.
3
2
.
9
1
.4
1
.4
1
.4
し
2
4: 3
4
.
5
言
十
対外試合の代表選手
第
6霊
百
運動開始前の Warming-up と鍵断裂との関係(運動時断裂者)
2
. アキレス臆断裂者!こ対する治療概観
(
1
) 治療方法の概観
アキレス縫断裂の治療法として,従来より観血的方法の「手術的療法 J が と ら れ て き た
9
6
8年
が
, 1
ROBERT
B
.LEA 等が非観血的方法の「保存的療法」を発表 11)ゆしてから論議の多
1
9
7
6年 , 柴 田 に よ っ て 「 経 皮 的 経 合 法 J
Iめが開発され,翌年,
いところである。さらに,
GABRIEL W
.C
.M A および THOMASG.GRIFFTH
によって同じような術式が国際的な医学誌に
1
2
5
スポーツ外傷
発表 14) されて以来,一層その感が強い。
手術療法では,断裂部の皮膚を切開し,
断裂轄の断端を引き寄せ,絹糸等で縫合させ,ギ
ブス回定する。ギブス間定は約 4週間で除去,マッサージ等の物理療法を行い,機能回復に入
る。この方法の場合,入院の必要があり,手術の痛い思い,時には麻酔事故,手術後の化膿,
癒着,回複後の痔れ等の手術にともなう穏々な厄介な事柄がつきまとうと公われている。
保存療法 lぬでは医師が外部から触れ,断裂した躍を接近させ,
自然下室長の状態でギブス樹
定する。回定後は定期的に経過を診るだけの単純な治療法であり,入院の必要もなく,家庭の
主婦,学生,生徒等には好都合と言われている。
しかし,ギブス臨定期間が 2ヶ月と長く,筋
力の低下を生じ,また,騰の結合が弱 L、ため蒋断裂の可能性があると報告されている。 15)
手術療法,保存療法の欠点を補うべく開発されたのが経皮的縫合法と言える。 1
9
7
6
年に柴
田は新鮮アキレス躍皮下断裂の治療にこの方法を行い
2年半の間にすで?こ 78例について実施
し,良い結果を得たと発表している。
.
1
9
臨
この方法 12)は0
み崩所月末砕を行い,
(
4
0
例以後は 0
.
2
3
思議)ワイヤーを特殊な針につけ,皮膚の刺入点にの
皮膚表面からアキレス躍を通して反対側に出し,関一新入点から次の方向
へ主?を刺入ずる方法で,腫,パラテノン,筋膜を含めて縫合し,中枢断端を引き寄せ,末檎の
アキレス臆の皮膚上でワイヤーをボタンに閤定する。ギブスを膝下からまき,硬化してから歩
行させ
6週間でギブスを除去し,後にワイヤーを P
u
l
l
o
u
tし
1ヶ月間ハイヒール歩行と
している。原知的には入院の方法をとらず,外来治療を実施していると報告している O
石崎はこの変法として,
ワイヤーの代りに吸収性化学合成剤の Dexon糸を用い,糸の結
節部を皮下に壊没させている O ギブス閤定期間を 4週間と短縮している O ギブス閤定の翌日か
ら補助歩行させ,階段の昇降ができ,和式トイレの使用可能等,
日常生活上のおj
約もなく,入
院の必要なしと報告している O
調査時点では経皮的縫合法は未発表であったため,
男女共に手術療法が圧倒的に多く,保
存療法は僅か 3名であり,それも部分断裂者のみであった。
治療にあたって,断端部を引き寄せ縫合ずる際の T
ensionが問題となる。特に手術療法
と保存療法は,
この留からみると対称的な療法と言える。即ち,手術療法では断裂した艇を縫
ensionが強く,その結巣,背屈角度が少くなり,断
合し,結合させるため,ややもすると T
裂部位が突っ張る等の後遺症のもとになる。一方保存療法では,手術せずに外部から触れ,断
端を接近させるだけに断裂前より曜が長くなること等,従って足関節の背屈度が大きく,運動
との関わりでは完了動範囲は広くはなるが,筋力の低下,
R
e
a
c
t
i
o
nTime等4)にも影響するも
のと思われる。
(
2
) 後遺控
今回の調査による,問復後の後遺症は第 7表の通りである。手術療法が圧倒的に多いだけ
9.4%,女子で 77.1%
に痛む,突っ張る,筋力低下,冷たい等の後遺症を訴えるものは男子で 5
にも達し回復後の運動実施持に「断裂部伎が気になり,十分に動けなしづと回答している者
は男子42%,女子47%と高い数値を示している。運動選手にとって,アキレス轄の断裂は単に
臆部の外傷のみならず,ギブス国定期間の長さにより,筋肉,関節部の退行と言うニ次障害を
もまねき,その機能回復に長期間を必要とする。
第 8表はプロ野球,
N球団の四番打者 K選手の治療経過である。現時点で完全復帰とまで
ないが,すでに 7ヶ月を経過しており,現役運動選手がアキレス騰を断裂した場合,第一
1
2
6
教育学部紀要
第 7表
状
疲
女
q44i
tA&qJqLηLqL
ヴ
第 8~長
症
ハU d t
n4
透
惑
男
6
数
むいるるるいいる
ん
つ
き
1
0
0
.
0
計
張す
つ綾
qJ
4
0
.
6 後
し
たれれがる
にノ
な
痛冷疲突端持動だ盤
1
5
.
4
1
4
.
3
8
.
8
7
.
7
5
.
5
3
.
3
2
.
2
2
.
2
ヴt
症
状
症
4ιqJRU
1
1
慈
数
むる下いいるるる
たがれれ
張低す
つ力鐘
山総突筋冷動疲癒噛仲
選
後
選
子
症
き
後
子
男
第 3
5号
し
な
28.
4
2
0
.
0
1
0
.
0
5
.
7
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.
3
2
.
9
2
.
9
2
.
9
2
2
.
9
1
0
0
.
0
言
十
プ口野球 N球泊 K選手の経過
K選手のプ世プィーノレ
年令3
1才,身長 1
7
2c
m,プ口野球復籍 1
0
年,体重1
8
0
k
g,天理高出身,ローレル指数
1
5
7,外野手(左投左打),足主主 2
5
.
5
c
m
昭和同年 2月 1
6呂
2月下旬
3月上旬
4)ヲ ~6 月
7月
8月
9月上旬
9月下旬
スプリング・キャンプ中,高知県中村球場にて w
arming-up時
(ジャンプ)におアキレス縫断裂,箆ちに中村市内, y病院にて
手術的療法によって治療(入院)
大阪市内W整形外科病院に移る
ギプス除去後,物理療法と併せ, 自転車エノレゴメータ一等を使用
筋力の回復をはかる
退院後,自宅にて,遇税治療のかたわら自主トレーニングに励む
ブアーム・チームの練習に参加
ファーム・チームの試合に代打者として出場, ゲーム感覚の回復
につとめる
一室容に復帰,代打者としてゲームに出場
指命打者としてゲームに出場
資料提供
:N球団事務所
線、への復帰にし、かに長期間を要するかが伺えよう。
(
3
) スポーツ選手に対する治療法
アキレス韓断裂者にとって,治療方法は,
る影響は大きく,
その後のスポーツ活動更らには生活全般に与え
とりわけ現役スポーツ選手に対する治療法は,
将来のスポーツ生命をも左右
するだけに極めて重要なことと思われる。
1972年
ROBERT B
. LEA
は 51
例について保存的治療を行い
とにより,保存療法の欠点とされている湾紙裂も少く,
るであろうと発表しているが,
一方,
1976年
8週 間 の ギ ブ ス 間 定 を 行 う こ
スポーツ選手でも良好な結果が得られ
ALLAN E
. INGLlS
はアキレス臆断裂に対する
保 存 的 治 療 併 と 外 科 的 治 療 例 を 比 較 検 討 し 保 存 的 治 療 で は 8週 間 以 上 ギ ブ ス 間 定 し た 症 例 で
も21.7%に再断裂を見ており,
また
1年 以 上 経 過 し た 保 存 的 治 療 群 と 外 科 的 治 療 群 と に , 筋
スポーツタト{お
1
2
7
力,持久力について測定した結果で、は,保存的治療群は外科的治療群の約 70%の機能しか発揮
出来すε,スポーツ選手に対しては外科的治療が明らかにすぐれていると指檎 1めしている。
第 9表
整形外科スポーツ医学研究会員の治療方針(問答 7
5名)
般人
断裂者によって
保存的治療法
手術的治療法
2
6
48
34.6%
64.1%
9
6
5
86.7% i
全ての人に保存的治療法
93.4%
1.3~五
(松本の資料による)
整形外科スポーツ医学研究会会員を対象として調査した松木等の報告によると,名会員の
アキレス髄断裂者に対する治療方針は第 9表のごとくである。一般人,スポーツ愛好家,現役
スポーツ選手等を問わず,全てについて保存的治療法をとる医師は 1名であり,他は caseby
case と賠答している。一般人に対しては保存的治療法も多くみられるが,
スポーツ愛好家
86.7%,現投スポーツ選手に対しては 93.4%と大部分の医師が外科的治療法を実施していると
回答している。童書きの激しいスポーツ選手に対して,帯断裂を防ぐために多くの医師が外科的
治療法を実施しているものと層、われる O
新鮮アキレス纏断裂に対する経皮的縫合法を実施している医翻は爵内でも少く,道内では
柴II!,石崎,中下等で、ある
η
外科的治療法あるいは保存的治療法に,それぞれ一長一短あるだ
けに一流スポーツ選手に対する経皮的経合法の治療例の結果に期待するものである。
アキレス臆断裂も,他の病気関様,予防にまざる治療法はなく,?言筏頃,体育・スポーツ
活動にとりくみ,筋肉,臆等の衰えを跡ぎ,
まずこ,プレーに際しては柔軟なる動作で衝撃を吸
収する等,予防に心がけるべきと恩われる。
V 要 約
札幌市内主要 7病院で治療を受けたアキレス瀧断裂者,
もとに,アキレス臆断裂考の実態を切らかにし,
1
6
1名に対するアンケート結果を
また,現在とられている,アキレス臆断裂者
に対する治療法について種々検討し以下のような結果合得た。
1
. 体力の衰え,肥満,運動不足,その他の諸要国から,男女とも, 30歳を過ぎる壌からアキ
レス躍を断裂する者が多い。
2
. 肥満は単に楯環機能,内臓諸器官への負担ばかりでなく, アキレス臆への大きな負担とも
なっている 0
3
. 短距離疾走,ジャンブ,その他アキレス躍への負担の大きい運動せと実施する場合,足首,
膝等を柔く曲げ,衝撃を吸収し,アキレス臆への負担を柔らげるようにすべきである。
4
. 学生時代に選手生活を経験して来た者と言えども,過去の栄光のみを追うことなく,普段
から定期的に運動し,吏らに連動の実施にあたっては,充分
warming-upをしてのぞむべ
きである ο
5
. 女性の場合,結婚,出産,育担等から解放され-:('-:('さんスポーツ等に取り組む頃には,
肥満傾向も高く,アキレス躍への負担が大きくなっているだけに,特に注意する必要があ
1
2
8
教育学部紀要第 35号
る
。
6
. 治療にあたっては,外科的治療法,保存的治療法それぞれに一長一短あるだけに,一般の
人々の新鮮アキレス臆断裂に際しては,経皮的縫合法が適当と思われる街もあるが,結論づ
けることはできない。
7
. 激しい動きをど要求される,現役スボーヴ選手の断裂に際しては, 手術的治療法が適当と思
われる。
本調査に当り,種々衡l
協力,
御指毒事を頂いた前述の札 l
幌市内主婆 7病院の諸先生並びに職
員の皆様,吏らには,アンケートに御協力頂いた,
アキレス騨断裂経験者の皆様に感謝申し上
げる次第です。
また,本論文の作製に当って,稜々御指導,御協力を頂いた札幌市,三上絵形外科病院
長,三上一成先生,帯広市,柴問整形外科病院長,柴悶憲慶先生,室蘭市,新日本製鉄室蘭病
院整形外科,石崎仁英先生,浜松市,裂隷浜松病院整形外科,秋本
毅先生に対し,深く感謝
申し上げる次第です。
本 論 文 の 一 部 に つ い て は , 昭 和 田 年1
2月,北海道体育学会に於いて発表した。
<文献>
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1
1堂
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度
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1
1
) RobertB
.Lea:Ruptureo
ft
h
eA
c
h
i
l
l
e
sTendon.N
o
n
s
u
r
g
i
c
a
lTreatment. 1
ヲ6
8
.
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