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第13回COCON電脳川柳句会*余寒ヴァーチャル吟行* 選句&コメント
第13回COCON電脳川柳句会*余寒ヴァーチャル吟行* 選句&コメント一覧 森崎清三選 特選 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 佳作 011 夕日から甘い誘いを受けました 026 熟れた実の甘さを知りたくはないか 033 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 046 男なら嵌ってみたい罠もある 059 アンパンと換えてしまった自尊心 065 甘い案出せる若さに嫉妬する 068 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 074 甘ったれ坊やがねだる膝枕 077 ギャンブルはやめた極楽行けますね 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 079 乾杯の甘さに騙される 未来 089 角砂糖くずして愛のエピローグ 097 これも愛嘘つき通す角砂糖 108 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 120 試着室鏡はお世辞上手です 143 札束へ甘え上手な花名刺 150 戦場へこのぐらいかな日本円 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 163 どの水も甘いホタルの天下り コメント= 入選結果を楽しみにしています。今後ともよろしく♪ 四分一周平選 特選 123 佳作 010 011 023 026 045 068 071 078 082 089 092 104 107 108 120 141 143 176 202 203 シナリオを女の勘が斬り刻む 甘エビを食べて貧しい話しする 夕日から甘い誘いを受けました 裏切りにまだ気付かないめくら判 熟れた実の甘さを知りたくはないか 甘口の酒を根回し酌ぎに来る ライバルを出し抜く策が生ぬるい 跡取りに親父のネジはまだ緩い 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 芸をする猿に甘さを問われてる 角砂糖くずして愛のエピローグ ケーキ屋の前に佇む父を見た 九条のネジを緩めているらしい 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 試着室鏡はお世辞上手です 歳月が味付けをする砂糖菓子 札束へ甘え上手な花名刺 鼻声にまだ敏感な亀を飼う 甘党が揃い戦を遠くする 唇が詰めの甘さに乾ききる 中杉まち子選 特選 117 センチメンタル・ジャーニーひと束の手紙 佳作 036 胸あばく サクマドロップまき散らし 051 甘辛の分別もなくイヤリング 075 累積の債務 不問の自己査定 086 角砂糖くるり告白しちゃおかな 134 ザル法ですね仲良しこよしですね 138 その後を考えられぬシンデレラ 140 シャンプーの髪の先まで夢を追う 175 火の章を糖衣で包む下克上 177 パスワードもう許してる感熱紙 191 約束の一日前に熟れた柿 コメント = 投句楽しく拝見しました。 でも選句となると難しい、責任 重大とオロオロしちゃいます。 田制 圀彦選 特選 126 佳作 003 023 054 -1- 全没食ったぞ羊羹丸噛り 甘い風貧しい耳が聞きとがめ 裏切りにまだ気付かないめくら判 甘口のワインほろりと肩が酔う 072 甘い水迷子になったホタル達 073 妹から奪った綿あめの甘さ 077 ギャンブルはやめた極楽行けますね 086 角砂糖くるり告白しちゃおかな 097 これも愛嘘つき通す角砂糖 110 公約の罠に一票憤死する 120 試着室鏡はお世辞上手です 128 少子化へママが緩める躾糸 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 165 根回しの甘い会議が踊り出し 175 火の章を糖衣で包む下克上 コメント= 羊羹が甘いのではないですね?句が甘かった? 句に元気があって、こじんまりしていない点が買い。 多いに楽しみました。有り難うございました。 月子選 特選 207 いたずらの怒りを笑みにかえる孫 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 036 胸あばく サクマドロップまき散らし 037 蜜月の旅をためらう空の便 047 あの頃の話しにおしるこ三杯目 059 アンパンと換えてしまった自尊心 075 累積の債務 不問の自己査定 113 削られてぼやくひまなしかき氷 127 砂糖菓子舐めて隠した鬼の面 143 札束へ甘え上手な花名刺 147 失言が過ぎて帰らぬ甘い日々 151 誰からか甘くされたい26(にじゅうろく)。 152 大根の甘さがしみる冬の底 153 ドン・キホーテの世間知らずのどこ悪い 159 地球儀の地表の果てに蟻這わす 175 火の章を糖衣で包む下克上 コメント = どれにも、甘さが。どれが、一番,甘いのだろう・・・・て な訳で、ヤッパ、コレでしょね。(^-^) 伊塚紅白選 特選 086 角砂糖くるり告白しちゃおかな 佳作 020 愛などと 呟くのだろう 傘の中 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 075 累積の債務 不問の自己査定 103 考えが浅はかでした蟻地獄 110 公約の罠に一票憤死する 120 試着室鏡はお世辞上手です 128 少子化へママが緩める躾糸 139 姑が嫁の料理に塩を足す 143 札束へ甘え上手な花名刺 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか コメント= 「角砂糖くるり」と可愛い女の子が目に浮かびました。 志村 まさ尋選 特選 180 佳作 013 033 036 041 046 048 049 059 108 123 128 130 154 160 161 179 ふるさとの綿菓子今もまだ甘い 甘すぎる林檎はきっと毒だろう メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 胸あばく サクマドロップまき散らし 蜜壺に波が立つのを見ていたわ 男なら嵌ってみたい罠もある 甘い奴竜宮城へ神かくし おばちゃんが睨んでるからやめようね アンパンと換えてしまった自尊心 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 シナリオを女の勘が斬り刻む 少子化へママが緩める躾糸 シーソーの上で拭った甘い汗 たっぷりとミルクをかけてころそうか 沈丁花甘い香りの自己主張 出会い系このキー押せばゼロクリア 母がみな天国だとは限らない 191 約束の一日前に熟れた柿 コメント= 甘いという題は優しいようで難しい題である。 無造作に作るとただ甘いだけで深みのない句になってしまう。物騒な世 の中で忘れ物をおいてきた故郷に帰りたくなる特選句に敬意を表した い。 も三治選 特選 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 003 甘い風貧しい耳が聞きとがめ 011 夕日から甘い誘いを受けました 015 一線のむこうで誘う甘い声 018 甘いところにお手つきしてしまう 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 026 熟れた実の甘さを知りたくはないか 045 甘口の酒を根回し酌ぎに来る 086 角砂糖くるり告白しちゃおかな 108 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 109 唇で蔽う蜂蜜色の声 115 切花は渡り廊下で待たされる 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 133 塩加減足りぬキューリの薄笑い 151 誰からか甘くされたい26(にじゅうろく)。 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 163 どの水も甘いホタルの天下り 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う コメント= あまちょろさ見つかってしまう互選かな 荻田飛遊夢選 特選 138 その後を考えられぬシンデレラ 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 002 足跡が寄り添っている雪の道 014 お別れのコーヒーだからブラックで 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 033 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 042 もう吸えぬ老いたるすねをうちながめ 063 甘いものあれば孤独と戦える 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 100 辛いかと聞けば甘いと答えとく 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 128 少子化へママが緩める躾糸 143 札束へ甘え上手な花名刺 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う 179 母がみな天国だとは限らない 185 不祥事の身内の処分あの程度 191 約束の一日前に熟れた柿 203 唇が詰めの甘さに乾ききる コメント = とろけるような甘さの句と、生き方を戒めてくれるような句 を戴きました。作句も選句も体力が必要、疲れた脳細胞には甘味が最適 と聞くが、久しぶりに砂糖入りのコーヒーが飲みたくなりました。前回 は怠けて欠席してしまいましたが、当「ヴァーチャル吟行」は、考え方 のあまい私にほどよい刺激を与えてくれています、繭子さん、ありがと う。 二宮茂男選 特選 152 佳作 023 044 053 059 063 080 090 099 104 107 123 133 153 大根の甘さがしみる冬の底 裏切りにまだ気付かないめくら判 永遠のものと九条信じてた 飴玉で燃えないことは分かってる アンパンと換えてしまった自尊心 甘いものあれば孤独と戦える 鍵と鍵すこしずらしたチョコパフェ 樹の下に甘くなるまで埋めておく クリックで気分は既にシンデレラ 九条のネジを緩めているらしい 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 シナリオを女の勘が斬り刻む 塩加減足りぬキューリの薄笑い ドン・キホーテの世間知らずのどこ悪い 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 161 出会い系このキー押せばゼロクリア 175 火の章を糖衣で包む下克上 182 飽食と拒食の果てのリバウンド 191 約束の一日前に熟れた柿 192 誘惑の花粉背負って飛ぶ砂漠 コメント= 大変、お世話になります。 これからは、より、積極的に参加をさせていただきたく思います。 どうぞよろしくお願いいたします。 冨永直子選 特選 113 佳作 026 028 047 052 056 059 066 069 070 076 086 087 090 092 115 131 133 143 166 191 削られてぼやくひまなしかき氷 熟れた実の甘さを知りたくはないか 飯として食い尽くされてしまいたい あの頃の話しにおしるこ三杯目 炎天下横噛りした砂糖黍 飴を置く場所に戸惑う変声期 アンパンと換えてしまった自尊心 親が手を引いて成人式だって 甘くなるまで君の耳噛んでいる 田舎味噌それだけでいい温い飯 カタクリを溶いて流して火の加減 角砂糖くるり告白しちゃおかな 今度だけ許してやるとまた今度 樹の下に甘くなるまで埋めておく ケーキ屋の前に佇む父を見た 切花は渡り廊下で待たされる 勝負球天を仰いだど真ん中 塩加減足りぬキューリの薄笑い 札束へ甘え上手な花名刺 ニッキ飴しゃぶって悪いことをする 約束の一日前に熟れた柿 若芽選 特選 188 ひとつまみ塩が入って甘くなる 佳作 004 あ∼んして食べる甘∼いイチゴパフェ 013 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 022 甘い汁吸うために来る査察だね 032 見通しの甘さが木の葉舟にする 046 男なら嵌ってみたい罠もある 047 あの頃の話しにおしるこ三杯目 063 甘いものあれば孤独と戦える 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 094 決断の甘さ尾を引く自己破産 097 これも愛嘘つき通す角砂糖 127 砂糖菓子舐めて隠した鬼の面 132 新成人に大人が媚びる式次第 146 セールスの儲け話に乗った欲 151 誰からか甘くされたい26(にじゅうろく)。 156 ためいきの数だけ食べる甘いもの 183 欲しいもの次々そろう子供部屋 185 不祥事の身内の処分あの程度 191 約束の一日前に熟れた柿 205 アメリカが日本守ると信じきり コメント= 「甘い」と一口に言っても、色々な甘さが有りますね。 特選句に選んだ「ひとつまみ塩が入って甘くなる」 その通り! 正に 実感句です。 大友逸星選 特選 018 佳作 023 026 038 041 046 066 073 090 110 甘いところにお手つきしてしまう 裏切りにまだ気付かないめくら判 熟れた実の甘さを知りたくはないか 耳元で甘い言葉を深海魚 蜜壺に波が立つのを見ていたわ 男なら嵌ってみたい罠もある 親が手を引いて成人式だって 妹から奪った綿あめの甘さ 樹の下に甘くなるまで埋めておく 公約の罠に一票憤死する -2- 134 140 154 163 179 191 202 ザル法ですね仲良しこよしですね シャンプーの髪の先まで夢を追う たっぷりとミルクをかけてころそうか どの水も甘いホタルの天下り 母がみな天国だとは限らない 約束の一日前に熟れた柿 甘党が揃い戦を遠くする 凌選 特選 050 いまひとつ詰めが甘くてサクラ散る 104 九条のネジを緩めているらしい 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 102 小鳥から水の甘さを教えられ 117 センチメンタル・ジャーニーひと束の手紙 121 叱られて猫なで声で「ママごめん」 166 ニッキ飴しゃぶって悪いことをする 187 ぼくたちのキス見て落ちてきた氷柱 コメント= 「いまひとつ詰めが甘くてサクラ散る」 日本人の身体の中にはびっしりと桜が詰まっていて、嬉しい時もつら い時も感情の赴くままに、ざわざわと桜が騒ぐ。切ればすうっと血がな がれ、ちらちらと花びらが散る。「ああ、詰めがあまかったか・・」と ほぞを噛むとき、身体のさくらはどっと散る。 「九条のネジを緩めているらしい」 「九条」という神話がぼろぼろと崩れてゆく。そして、神話は神話でし かなかったことを、やがて思い知らされるの国民というバカな群衆だろ う。「アナタの好きな歌は?」「ハイ、愛国行進曲です」と答える政治家を 私は何人も知っている。 寅文選 特選 136 昇進が続く社長のご親戚 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 002 足跡が寄り添っている雪の道 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 156 ためいきの数だけ食べる甘いもの コメント= 寅文と申します。とあるお宅で飼われている猫でございます。 縁あって、このたび、2度目の選句に立ち合わせていただくことになり、 たいへん、うれしく思っております。 どうもわたくしめの好みとしましては、さめた目線の向こうに見える現 実とでも言いましょうか、猫ですので、人間様のなさることがどうにも よく見えるのでございまして、こうした猫目で、いや猫の視点で見てお られる方の句には、ついつい目が行ってしまいますね。 わたくしもみなさんのように、はやくいい句が作れるよう、しっかり励 んでいきたいところです。 それでは、ごめんなすって。 可福選 特選 163 どの水も甘いホタルの天下り 佳作 006 甘い汁 吸ってむくむく 天下り 013 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 016 味附が甘いといつも醤油かけ 017 我が子には頑固おやじも甘い処置 043 甘い恋 破れた後の ほろ苦さ 044 永遠のものと九条信じてた 050 いまひとつ詰めが甘くてサクラ散る 087 今度だけ許してやるとまた今度 102 小鳥から水の甘さを教えられ 112 神の住む山に育った甘い水 142 知らぬ間に大人になってく甘ったれ 188 ひとつまみ塩が入って甘くなる 194 いつまでも甘さが消えぬ七光り 199 甘い父厳しい母は新世代 204 甘党でとおして善人を演技 コメント= 思いこみの句もありましたが、いろんな甘いが出てきました。 楽しいですね(^o^) 栞選 特選 002 -3- 足跡が寄り添っている雪の道 佳作 045 甘口の酒を根回し酌ぎに来る 047 あの頃の話しにおしるこ三杯目 089 角砂糖くずして愛のエピローグ 094 決断の甘さ尾を引く自己破産 133 塩加減足りぬキューリの薄笑い 148 社内では背中で見つめ合う二人 163 どの水も甘いホタルの天下り 165 根回しの甘い会議が踊り出し 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 185 不祥事の身内の処分あの程度 コメント = はじめまして。初心者です。とても楽しく参加させていただ きました。どうぞ よろしくお願いいたします 竹中正幸選 特選 006 佳作 023 068 078 082 123 128 138 158 203 205 甘い汁 吸ってむくむく 天下り 裏切りにまだ気付かないめくら判 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 芸をする猿に甘さを問われてる シナリオを女の勘が斬り刻む 少子化へママが緩める躾糸 その後を考えられぬシンデレラ 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 唇が詰めの甘さに乾ききる アメリカが日本守ると信じきり 浪越靖政選 特選 191 約束の一日前に熟れた柿 佳作 002 足跡が寄り添っている雪の道 005 レモンティ一杯きりの二人連れ 059 アンパンと換えてしまった自尊心 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 163 どの水も甘いホタルの天下り 187 ぼくたちのキス見て落ちてきた氷柱 コメント=初めて参加しましたが、211句もあって選ぶのが大変でした。 特選句は、まず、「少し遅かった出会い」が浮かびましたが、そのほか、 ピークを過ぎてからオリンピックやタイトルマッチを迎えた選手とか、 働き盛りを過ぎてリストラされたサラリーマンとか、色々発想が広がり ます。 原野 正行選 特選 該当なし 佳作 051 甘辛の分別もなくイヤリング 064 おしるこフーフーいつまでも友達 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 079 乾杯の甘さに騙される 未来 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 128 少子化へママが緩める躾糸 131 勝負球天を仰いだど真ん中 138 その後を考えられぬシンデレラ 144 失意の底でコーヒーが甘すぎる 148 社内では背中で見つめ合う二人 156 ためいきの数だけ食べる甘いもの 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う 188 ひとつまみ塩が入って甘くなる 191 約束の一日前に熟れた柿 コメント= 特選該当句無し 一応句になっている15句を取りました 平田直康選 特選 023 佳作 046 055 068 071 127 131 152 163 裏切りにまだ気付かないめくら判 男なら嵌ってみたい罠もある 若妻が鼻声になる夜の顔 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 跡取りに親父のネジはまだ緩い 砂糖菓子舐めて隠した鬼の面 勝負球天を仰いだど真ん中 大根の甘さがしみる冬の底 どの水も甘いホタルの天下り 194 いつまでも甘さが消えぬ七光り 203 唇が詰めの甘さに乾ききる コメント= 211句中11句選びました。 味が(香りが)甘い、判断が甘い、甘い二人(生活)。甘さもいろいろ ありますね。一刻を楽しく過せました。ご健勝を。 丸山進選 特選 108 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 002 足跡が寄り添っている雪の道 018 甘いところにお手つきしてしまう 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 097 これも愛嘘つき通す角砂糖 104 九条のネジを緩めているらしい 117 センチメンタル・ジャーニーひと束の手紙 126 全没食ったぞ羊羹丸噛り 133 塩加減足りぬキューリの薄笑い 134 ザル法ですね仲良しこよしですね 148 社内では背中で見つめ合う二人 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 172 発信はキャラメル受信は空 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う 187 ぼくたちのキス見て落ちてきた氷柱 204 甘党でとおして善人を演技 コメント = 今回は発想の飛躍や捻りの効いた句が、いつもより少なかっ たように感じました。 108/木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 晩年の男の哀愁なり心情をしみじみ歌っておりじ−んときました。そし て、万物が大地に帰る時の普遍の包容力のようなものも感じました。 下記3句はそれぞれ持ち味があり、いいなあと思い特選を選ぶ時迷いま した。 001/飴の味まだ支持率は下がらない 飴と支持率の関係で世情をうまく言い当てている。 002/足跡が寄り添っている雪の道 「雪国」のシーンを勝手に想像してしまいました。 154/たっぷりとミルクをかけてころそうか 自分と発想が似てて怖いな。 投句と選句楽しませていただきました。 いつもながらの繭子城主の多大なご尽力に感謝致します。 上野楽生選 特選 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 佳作 002 足跡が寄り添っている雪の道 038 耳元で甘い言葉を深海魚 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 079 乾杯の甘さに騙される 未来 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 130 シーソーの上で拭った甘い汗 138 その後を考えられぬシンデレラ 165 根回しの甘い会議が踊り出し 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う コメント = いゃー、回を重ねるごとに投句が多くなるのには驚きます。 個人でなさってるインターネット句会で211句も集まるとはすごいです。 繭子さんがだんだん手の届かない存在になっていくようです。先ずは盛 会おめでとうございます。 岩瀬恵子選 特選 120 佳作 021 023 039 045 059 071 096 103 107 114 136 試着室鏡はお世辞上手です リストラはやれぬ会社は潰せない 裏切りにまだ気付かないめくら判 もう無いよ トケテナクナル 親の脛 甘口の酒を根回し酌ぎに来る アンパンと換えてしまった自尊心 跡取りに親父のネジはまだ緩い 蜘蛛の糸接着剤で補強する 考えが浅はかでした蟻地獄 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 肩書きをもらいはしゃいでいる無邪気 昇進が続く社長のご親戚 138 その後を考えられぬシンデレラ 150 戦場へこのぐらいかな日本円 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 156 ためいきの数だけ食べる甘いもの 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 163 どの水も甘いホタルの天下り 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 171 バラの花束にハートを揺さぶられ 200 良薬を見逃している糖衣錠 コメント = とても迷いました。やはり課題を入れない句にいい句があっ たと思います。 島田駱舟選 特選 144 失意の底でコーヒーが甘すぎる 佳作 013 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 018 甘いところにお手つきしてしまう 022 甘い汁吸うために来る査察だね 027 飴玉は優先席に置いてない 046 男なら嵌ってみたい罠もある 059 アンパンと換えてしまった自尊心 077 ギャンブルはやめた極楽行けますね 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 079 乾杯の甘さに騙される 未来 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 150 戦場へこのぐらいかな日本円 152 大根の甘さがしみる冬の底 163 どの水も甘いホタルの天下り 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 209 甘酒に酔うて女になる娘 コメント = 特選句の「コーヒーが甘すぎる」に惚れちゃったですね。私 もコーヒー大好き人間で、砂糖は入れてませんが、確かに考え事をして いるとコーヒーは苦く感じられませんね。失意の時はブラックも甘いか も。 今回は仕立てより句想で選びました。印象吟より説明句が少なくて、や っぱり通常課題は作りやすいんですかね。 偲映選 特選 191 約束の一日前に熟れた柿 佳作 059 アンパンと換えてしまった自尊心 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 172 発信はキャラメル受信は空 コメント= 今回、自分が好きな句という視点で選びました。 特選に選ばせていただいた 1 9 1は、約束事を信じきってしまう「甘さ」 と、欲望の対象としての「甘さ」とがダブルミーニングに構成されてい て、考えさせられることの多い素晴らしい句だと思いました。教科書通 りの規則にコントロールされて生きてきた人間の悲哀を感じます。「ス トーカー」の心理は案外この一句に集約されるかもしれませんね。 前田重夫(ぜんざい)選 特選 191 約束の一日前に熟れた柿 佳作 010 甘エビを食べて貧しい話しする 026 熟れた実の甘さを知りたくはないか 056 飴を置く場所に戸惑う変声期 057 甘いもの直ぐに見分ける二枚舌 073 妹から奪った綿あめの甘さ 092 ケーキ屋の前に佇む父を見た コメント= ●特選推薦句 約束の一日前に熟れた柿 約束の日が訪れることをじりじりと待ち続けている「私」の目の前で、 柿は熟しきって落下の一歩手前でじっと静止している。 約束の日はいつも明日にあり、いくら待っても明日は来ない。 今日と明日の境目で、ぽったりと柿が落ちて潰れる音が微かに聴こえ、 そして再び何事もなかったように今日が始まる。 今日とは、約束を裏切られた昨日をさらりと忘れ、明日こそが約束のそ の日であると信じる日のこと・・・。 この愚かしいまでの善良さゆえ、今日という日を耐えて、人類はまだま だ生き延びるのだろう。 草花に水を遣り、猫と小鳥に餌を与え、命を奪い、奪われて。 ●準特選推薦句 ケーキ屋の前に佇む父を見た 夕闇の中、ショーケースに並べられている色とりどりのケーキを、うっ -4- すらと自分の姿が映るショーウインド越しに見ている父。父が見ている ものは、実は幻の家族の姿であるのかも知れない。懐かしさと悔恨が彼 の脚をそこに引き止め、父はいつまでも動かない。その見知らぬ父の後 ろ姿を、「私」は息をひそめてじっとみつめている。 まゆこはん、とりまとめ御苦労様でした。&ありがとうございました。 松本清三郎選 特選 123 佳作 002 078 108 128 152 167 175 シナリオを女の勘が斬り刻む 足跡が寄り添っている雪の道 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 少子化へママが緩める躾糸 大根の甘さがしみる冬の底 バレンタインみんな喜劇にして平和 火の章を糖衣で包む下克上 河野みつ子選 特選 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 佳作 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 032 見通しの甘さが木の葉舟にする 065 甘い案出せる若さに嫉妬する 113 削られてぼやくひまなしかき氷 133 塩加減足りぬキューリの薄笑い 144 失意の底でコーヒーが甘すぎる コメント = 川柳を始めたばかりですが、川柳の奥の深さを、知ると同時 にすごい勉強になりました。ありがとうございました。 相川雅敏選 特選 050 いまひとつ詰めが甘くてサクラ散る 佳作 019 eメール甘いことばについ手が出 039 もう無いよ トケテナクナル 親の脛 094 決断の甘さ尾を引く自己破産 103 考えが浅はかでした蟻地獄 124 セールスの言葉の先に蜜があり 188 ひとつまみ塩が入って甘くなる 198 いつまでも甘えていたい親のすね 206 愛憎の狭間を和み友白髪 コメント= 気軽に選句してみました。よろしく。 市川つとむ選 特選 177 パスワードもう許してる感熱紙 佳作 002 足跡が寄り添っている雪の道 054 甘口のワインほろりと肩が酔う 068 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 148 社内では背中で見つめ合う二人 187 ぼくたちのキス見て落ちてきた氷柱 191 約束の一日前に熟れた柿 コメント = 初めての出句、初めての選句、おもしろいと思います。擬人 法の句、比喩のある句が好きですが、少なかったようです。それにして も無料とは、恐れ入ります。 吉岡繁治選 特選 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 佳作 020 愛などと 呟くのだろう 傘の中 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 087 今度だけ許してやるとまた今度 100 辛いかと聞けば甘いと答えとく 109 唇で蔽う蜂蜜色の声 114 肩書きをもらいはしゃいでいる無邪気 128 少子化へママが緩める躾糸 131 勝負球天を仰いだど真ん中 185 不祥事の身内の処分あの程度 コメント= 特選句/何となくこれから甘さが生れて来るような感じ。 ピンと来るのが沢山ありますが、私の心に通じそうなのが10句ありま したので。 岡部美雄選 特選 175 -5- 火の章を糖衣で包む下克上 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 044 永遠のものと九条信じてた 046 男なら嵌ってみたい罠もある 059 アンパンと換えてしまった自尊心 068 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 075 累積の債務 不問の自己査定 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 089 角砂糖くずして愛のエピローグ 104 九条のネジを緩めているらしい 110 公約の罠に一票憤死する 114 肩書きをもらいはしゃいでいる無邪気 120 試着室鏡はお世辞上手です 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 128 少子化へママが緩める躾糸 138 その後を考えられぬシンデレラ 141 歳月が味付けをする砂糖菓子 146 セールスの儲け話に乗った欲 177 パスワードもう許してる感熱紙 183 欲しいもの次々そろう子供部屋 200 良薬を見逃している糖衣錠 コメント= 還暦目前で川柳に触れた。短歌・俳句も中高生止まりの小生、 今は句会・大会を存分に楽しませて頂いている。課題吟の場合、点取り 合戦で一句・秒単位の選、数千・数万句を超える大会では詠み込む事が 多いが、勉強の場である句会の場合、名詞を除き発想の拡がりを楽しみ たいので通常、詠み込まない主義。ですから今回も、詠み込み86句は 最初から除かせて頂いた。御容赦を乞う。 深町金鳥選 特選 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 021 リストラはやれぬ会社は潰せない 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 027 飴玉は優先席に置いてない 033 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 056 飴を置く場所に戸惑う変声期 059 アンパンと換えてしまった自尊心 068 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 075 累積の債務 不問の自己査定 089 角砂糖くずして愛のエピローグ 110 公約の罠に一票憤死する 114 肩書きをもらいはしゃいでいる無邪気 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 127 砂糖菓子舐めて隠した鬼の面 140 シャンプーの髪の先まで夢を追う 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う 177 パスワードもう許してる感熱紙 179 母がみな天国だとは限らない 183 欲しいもの次々そろう子供部屋 コメント = 不況とは関係ない所で、2月はチョコレートが売れるのであ ろう。それが人間の喜劇、悲劇は別にして、ひと時の平和であればそれ はそれでいい。これも川柳の穿ちなのだ。 瀬田君子選 特選 142 知らぬ間に大人になってく甘ったれ 佳作 017 我が子には頑固おやじも甘い処置 025 甘い罠尻に火がつき大慌て 081 子に甘いうまい話についホロリ 085 獣道野いちご一つ舌つづみ 094 決断の甘さ尾を引く自己破産 128 少子化へママが緩める躾糸 147 失言が過ぎて帰らぬ甘い日々 148 社内では背中で見つめ合う二人 160 沈丁花甘い香りの自己主張 コメント = どの句も秀作ばかりで迷いました。一番わかりやすい句を特 選句に選ばせて戴きました。 島野ツネ子選 特選 094 佳作 013 決断の甘さ尾を引く自己破産 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 040 孫相手人格変わり目尻下げ 061 若さゆえ土台気にせず家を建て 068 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 085 獣道野いちご一つ舌つづみ 146 セールスの儲け話に乗った欲 152 大根の甘さがしみる冬の底 コメント = 皆様がとても良い句を出されているので、もう少し自分でも 勉強しようと思っております。 島田とみ子選 特選 092 ケーキ屋の前に佇む父を見た 佳作 037 蜜月の旅をためらう空の便 065 甘い案出せる若さに嫉妬する 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 139 姑が嫁の料理に塩を足す 143 札束へ甘え上手な花名刺 210 わがままなこの子育てた甘い親 コメント = 県外の投句は初めて、それに選句も初めてです。200句を 越す中から選ぶのは大変でも有りうれしくもあります。とても勉強にな りました。 柿沼久子選 特選 040 孫相手人格変わり目尻下げ 佳作 013 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 025 甘い罠尻に火がつき大慌て 046 男なら嵌ってみたい罠もある 055 若妻が鼻声になる夜の顔 061 若さゆえ土台気にせず家を建て 081 子に甘いうまい話についホロリ 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う コメント= お世話になります。 食べ物の甘い句が多いので選に困りました。 真田義子選 特選 該当なし 佳作 018 甘いところにお手つきしてしまう 026 熟れた実の甘さを知りたくはないか 033 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 054 甘口のワインほろりと肩が酔う 067 甘くみられたらしい罠掛けられる 079 乾杯の甘さに騙される 未来 086 角砂糖くるり告白しちゃおかな 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 146 セールスの儲け話に乗った欲 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 160 沈丁花甘い香りの自己主張 171 バラの花束にハートを揺さぶられ 188 ひとつまみ塩が入って甘くなる 194 いつまでも甘さが消えぬ七光り コメント = ★たくさんの句に驚きました。こんなにたくさんの甘いがあ るんですね。 ★でも、特選にするような句がなく残念でした。発表を楽しみにしてい ます。繭たん、ご苦労様です。 yuka選 特選 060 佳作 002 085 090 100 112 133 144 159 191 200 甘い香り 歯形をつけた消しゴム 足跡が寄り添っている雪の道 獣道野いちご一つ舌つづみ 樹の下に甘くなるまで埋めておく 辛いかと聞けば甘いと答えとく 神の住む山に育った甘い水 塩加減足りぬキューリの薄笑い 失意の底でコーヒーが甘すぎる 地球儀の地表の果てに蟻這わす 約束の一日前に熟れた柿 良薬を見逃している糖衣錠 加藤鰹選 特選 191 佳作 010 約束の一日前に熟れた柿 甘エビを食べて貧しい話しする 015 一線のむこうで誘う甘い声 026 熟れた実の甘さを知りたくはないか 033 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 038 耳元で甘い言葉を深海魚 066 親が手を引いて成人式だって 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 089 角砂糖くずして愛のエピローグ 092 ケーキ屋の前に佇む父を見た 117 センチメンタル・ジャーニーひと束の手紙 134 ザル法ですね仲良しこよしですね 138 その後を考えられぬシンデレラ 143 札束へ甘え上手な花名刺 148 社内では背中で見つめ合う二人 153 ドン・キホーテの世間知らずのどこ悪い 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 164 デザートは甘いキスだね愛してね 166 ニッキ飴しゃぶって悪いことをする 172 発信はキャラメル受信は空 187 ぼくたちのキス見て落ちてきた氷柱 コメント = 句のレベルにばらつきはあるものの素晴らしい句が多く選句 していて楽しかった。最終的に絞った作品は ☆117センチメンタルジャーニーひと束の手紙 ☆148社内では背中で見つめ合う二人 ☆166ニッキ飴しゃぶって悪いことをする ☆187ぼくたちのキス見て落ちてきた氷柱 悩んだ挙句僕が特選に選んだ作品は ☆191約束の一日前に熟れた柿 僕のものだったのに、約束したのに、君は待ちきれなかったんだね。他 人の腕の中に飛び込んでいってしまったんだね。僕はひょうひょうと揺 れる柿の枝を見つめている。 柴田和男選 特選 059 アンパンと換えてしまった自尊心 佳作 013 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 018 甘いところにお手つきしてしまう 027 飴玉は優先席に置いてない 033 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 041 蜜壺に波が立つのを見ていたわ 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 097 これも愛嘘つき通す角砂糖 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 144 失意の底でコーヒーが甘すぎる 150 戦場へこのぐらいかな日本円 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 163 どの水も甘いホタルの天下り 178 蜂蜜を少し入れたい恋いの味 191 約束の一日前に熟れた柿 203 唇が詰めの甘さに乾ききる コメント= 素敵な句ばかりで今回も沢山勉強になりました。 小林満寿夫選 特選 134 ザル法ですね仲良しこよしですね 佳作 011 夕日から甘い誘いを受けました 018 甘いところにお手つきしてしまう 066 親が手を引いて成人式だって 086 角砂糖くるり告白しちゃおかな 100 辛いかと聞けば甘いと答えとく 110 公約の罠に一票憤死する 117 センチメンタル・ジャーニーひと束の手紙 121 叱られて猫なで声で「ママごめん」 124 セールスの言葉の先に蜜があり 138 その後を考えられぬシンデレラ 149 ぞろぞろと 甘さ求める 蟻の群 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 160 沈丁花甘い香りの自己主張 202 甘党が揃い戦を遠くする コメント = 難しい選択であった。自分好みの甘さの中にちょっぴり寂の 効いたものを選びました。甘さ加減の中に、川柳としての心の遊びがあ -6- る句を。特選句は現実を見据えての痛烈な批判、反骨心の固まりが見え たので。 荻田浩太選 特選 050 いまひとつ詰めが甘くてサクラ散る 佳作 014 お別れのコーヒーだからブラックで 061 若さゆえ土台気にせず家を建て 077 ギャンブルはやめた極楽行けますね 094 決断の甘さ尾を引く自己破産 095 今日だけよ 明日からきっと ダイエット 103 考えが浅はかでした蟻地獄 116 戦場の息子よ、幸せは「甘い」 131 勝負球天を仰いだど真ん中 147 失言が過ぎて帰らぬ甘い日々 コメント= 『勝負』ネタが案外好きなのかもしれません。 特選に選んだ句は、私自身の事の様で、つい・・・ 試験も、ギャンブルも、人生もいろいろ詰めが甘くちゃぁ今までの努力 も蓄積された物も、全部パァ∼ですからね、あと肝心なのはタイミング。 パァーッ!と行きたいものです。 森田正巳選 特選 128 少子化へママが緩める躾糸 佳作 002 足跡が寄り添っている雪の道 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 027 飴玉は優先席に置いてない 072 甘い水迷子になったホタル達 120 試着室鏡はお世辞上手です 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 133 塩加減足りぬキューリの薄笑い 158 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない 176 鼻声にまだ敏感な亀を飼う 177 パスワードもう許してる感熱紙 188 ひとつまみ塩が入って甘くなる コメント = いつもながら皆さんの発想の豊かさに舌を巻くと同時に自分 の句の甘さを歎くばかりです。いい勉強をさせていただいています。 平井遊草選 特選 105 現実は甘くなかったキリギリス 佳作 050 いまひとつ詰めが甘くてサクラ散る 068 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 073 妹から奪った綿あめの甘さ 077 ギャンブルはやめた極楽行けますね 079 乾杯の甘さに騙される 未来 091 偽善者の仏顔して法を説き 095 今日だけよ 明日からきっと ダイエット 110 公約の罠に一票憤死する 120 試着室鏡はお世辞上手です 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 143 札束へ甘え上手な花名刺 163 どの水も甘いホタルの天下り 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 194 いつまでも甘さが消えぬ七光り コメント= 楽しませてまた勉強させていただきました。 蛭子千鶴子選 特選 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 佳作 068 ライバルを出し抜く策が生ぬるい 077 ギャンブルはやめた極楽行けますね 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 102 小鳥から水の甘さを教えられ 103 考えが浅はかでした蟻地獄 105 現実は甘くなかったキリギリス 112 神の住む山に育った甘い水 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 143 札束へ甘え上手な花名刺 177 パスワードもう許してる感熱紙 194 いつまでも甘さが消えぬ七光り コメント=勉強になりました。 すぐ甘いと感じる句、甘いに辿りつけずこじつけた甘いもありました。 -7- 明るい句をいただきました。 くみこ選 特選 該当なし 佳作 002 足跡が寄り添っている雪の道 020 愛などと 呟くのだろう 傘の中 023 裏切りにまだ気付かないめくら判 025 甘い罠尻に火がつき大慌て 034 目を皿にしてまで探す甘い汁 037 蜜月の旅をためらう空の便 042 もう吸えぬ老いたるすねをうちながめ 043 甘い恋 破れた後の ほろ苦さ 051 甘辛の分別もなくイヤリング 061 若さゆえ土台気にせず家を建て 063 甘いものあれば孤独と戦える 203 唇が詰めの甘さに乾ききる 205 アメリカが日本守ると信じきり コメント= 素晴らしい句ばっかりで選句するのが難しいです。 永井裕子選 特選 018 甘いところにお手つきしてしまう 佳作 010 甘エビを食べて貧しい話しする 041 蜜壺に波が立つのを見ていたわ 063 甘いものあれば孤独と戦える 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 073 妹から奪った綿あめの甘さ 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 086 角砂糖くるり告白しちゃおかな 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 115 切花は渡り廊下で待たされる 155 断片の継ぎ接ぎをしていく自白 172 発信はキャラメル受信は空 191 約束の一日前に熟れた柿 203 唇が詰めの甘さに乾ききる コメント = 特選/辛いところ、苦いところは慎重に渡るけれど、甘いと ころは、おもわず油断しちゃってオットットお手つきだ! そうなんです。私のことなんです。 ひとり静選 特選 015 一線のむこうで誘う甘い声 佳作 032 見通しの甘さが木の葉舟にする 056 飴を置く場所に戸惑う変声期 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 104 九条のネジを緩めているらしい 108 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 128 少子化へママが緩める躾糸 133 塩加減足りぬキューリの薄笑い 159 地球儀の地表の果てに蟻這わす 169 花野なんて夢さ峠越え終る 171 バラの花束にハートを揺さぶられ 174 ブランコが含む糖分気をつけて 205 アメリカが日本守ると信じきり コメント = 特選句/私たちみんな一線を越えないように欲望と戦い、自 分を律して生きている。どんなに苦しくても、どんなに甘い声で囁かれ ようと・・・地道に生きている。 作者と同じように・・・ 虫歯になるくらいたくさんの甘い句を読まさせていただきました。あり がとうございました。 森泉選 特選 080 佳作 008 041 050 069 073 090 115 126 134 鍵と鍵すこしずらしたチョコパフェ 甘納豆つぶすつぶしてひとり立ち 蜜壺に波が立つのを見ていたわ いまひとつ詰めが甘くてサクラ散る 甘くなるまで君の耳噛んでいる 妹から奪った綿あめの甘さ 樹の下に甘くなるまで埋めておく 切花は渡り廊下で待たされる 全没食ったぞ羊羹丸噛り ザル法ですね仲良しこよしですね 155 断片の継ぎ接ぎをしていく自白 157 ふくらんだ甘さ指には重すぎる 191 約束の一日前に熟れた柿 コメント = 特選/暗喩の効いた作品は想像が広がって楽しい男と女のお 話ですね 田中忠治選 特選 167 バレンタインみんな喜劇にして平和 佳作 033 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 059 アンパンと換えてしまった自尊心 066 親が手を引いて成人式だって 089 角砂糖くずして愛のエピローグ 092 ケーキ屋の前に佇む父を見た 096 蜘蛛の糸接着剤で補強する 097 これも愛嘘つき通す角砂糖 108 木漏れ日の方へ寝返る枯れ落葉 110 公約の罠に一票憤死する 120 試着室鏡はお世辞上手です 134 ザル法ですね仲良しこよしですね 138 その後を考えられぬシンデレラ 140 シャンプーの髪の先まで夢を追う 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 163 どの水も甘いホタルの天下り コメント = (特選句に)私からのチョコレート、あの人、捨てちゃった んだって…。 亀井 哲選 特選 072 甘い水迷子になったホタル達 佳作 002 足跡が寄り添っている雪の道 045 甘口の酒を根回し酌ぎに来る 046 男なら嵌ってみたい罠もある 059 アンパンと換えてしまった自尊心 064 おしるこフーフーいつまでも友達 077 ギャンブルはやめた極楽行けますね 078 角砂糖ゆっくり愚痴を聴いている 079 乾杯の甘さに騙される 未来 123 シナリオを女の勘が斬り刻む 132 新成人に大人が媚びる式次第 143 札束へ甘え上手な花名刺 171 バラの花束にハートを揺さぶられ 175 火の章を糖衣で包む下克上 191 約束の一日前に熟れた柿 199 甘い父厳しい母は新世代 200 良薬を見逃している糖衣錠 203 唇が詰めの甘さに乾ききる 204 甘党でとおして善人を演技 コメント = 特選句>鍛えることをしない日本社会。子供達は、いや大人 も、甘やかされて行き場をなくしています。 大いに楽しませて戴きありがとうございました。 しんちゃん選 特選 172 発信はキャラメル受信は空 佳作 001 飴の味まだ支持率は下がらない 064 おしるこフーフーいつまでも友達 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 073 妹から奪った綿あめの甘さ 085 獣道野いちご一つ舌つづみ 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 107 気の利いた言葉は出ない黒砂糖 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 166 ニッキ飴しゃぶって悪いことをする 187 ぼくたちのキス見て落ちてきた氷柱 191 約束の一日前に熟れた柿 コメント = 恋という一個のキャラメルの中の大空を信じよう。雲一つな い空に充たされ、そのうち私そのものが空の一部になっているような。 富士千歳選 特選 138 佳作 013 020 023 026 033 037 042 044 046 052 054 073 096 123 128 160 161 191 裏切りにまだ気付かないめくら判 熟れた実の甘さを知りたくはないか メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 蜜月の旅をためらう空の便 もう吸えぬ老いたるすねをうちながめ 永遠のものと九条信じてた 男なら嵌ってみたい罠もある 炎天下横噛りした砂糖黍 甘口のワインほろりと肩が酔う 妹から奪った綿あめの甘さ 蜘蛛の糸接着剤で補強する シナリオを女の勘が斬り刻む 少子化へママが緩める躾糸 沈丁花甘い香りの自己主張 出会い系このキー押せばゼロクリア 約束の一日前に熟れた柿 横田輪加造選 特選 138 佳作 001 013 023 033 045 059 077 086 117 123 128 158 167 176 その後を考えられぬシンデレラ 飴の味まだ支持率は下がらない 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 裏切りにまだ気付かないめくら判 メルヘンが欲しい疲れた夜のココア 甘口の酒を根回し酌ぎに来る アンパンと換えてしまった自尊心 ギャンブルはやめた極楽行けますね 角砂糖くるり告白しちゃおかな センチメンタル・ジャーニーひと束の手紙 シナリオを女の勘が斬り刻む 少子化へママが緩める躾糸 糖衣錠詐欺のカルテは抜かりない バレンタインみんな喜劇にして平和 鼻声にまだ敏感な亀を飼う 佐藤美文選 特選 018 佳作 023 026 027 163 191 甘いところにお手つきしてしまう 裏切りにまだ気付かないめくら判 熟れた実の甘さを知りたくはないか 飴玉は優先席に置いてない どの水も甘いホタルの天下り 約束の一日前に熟れた柿 杵島太郎選 特選 090 樹の下に甘くなるまで埋めておく 佳作 005 レモンティ一杯きりの二人連れ 011 夕日から甘い誘いを受けました 013 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 014 お別れのコーヒーだからブラックで 018 甘いところにお手つきしてしまう 027 飴玉は優先席に置いてない 041 蜜壺に波が立つのを見ていたわ 053 飴玉で燃えないことは分かってる 058 あかんぼをおおきな舌がなめにくる 059 アンパンと換えてしまった自尊心 069 甘くなるまで君の耳噛んでいる 100 辛いかと聞けば甘いと答えとく 115 切花は渡り廊下で待たされる 150 戦場へこのぐらいかな日本円 154 たっぷりとミルクをかけてころそうか 191 約束の一日前に熟れた柿 コメント = 特選句の「樹の下に甘くなるまで埋めておく」には作者のし たたかなる人生哲学が感じられる。埋めておくのは必ずしも食物だけと は限らない。思想であり愛でありそして憎しみであるのかもしれない。 このくらいの度量をもって世の中の荒波を乗り越えたいものである。 その後を考えられぬシンデレラ 甘すぎる林檎はきっと毒だろう 愛などと 呟くのだろう 傘の中 -8-