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第1章 成田空港を取り巻く環境と運用状況

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第1章 成田空港を取り巻く環境と運用状況
1
第
章
成田空港を取り巻く環境と
運用状況
第
1章
成田空港を取り巻く環境
1
Part
成田空港を取り巻く環境
1 世界経済の動向
や対応策に関する議論が行われている(図1-1参照)
。
❶ 世界経済の概観
一方、世界貿易の推移をオランダ経済分析総局の
(1)世界金融危機後の成長鈍化
データでみると、世界金融危機後に一時的に落ち込ん
内閣府によると、世界の景気は、全体としては緩や
だ後、10〜11年には急回復したものの、12〜14年にか
かな回復が続いているものの、中国をはじめとする新
けて大幅に伸びが鈍化し、15年には09年以来のマイ
興国等に加え、先進国の一部にも弱さがみられる。中
ナスに転じた。その推移を数量と価格それぞれについ
国の実質経済成長率は2010年以降低下傾向にあり、
てみると、まず数量は、10〜11年に大幅に増加したも
中国経済減速の影響が中国依存の高まった新興国等
のの、12年以降は2〜3%程度の小幅な増加で推移し
に及んでいる。先進国では、世界金融危機後の成長は
ている。一方、価格は、原油を含む国際商品価格の上
緩やかで、回復のペースにはばらつきがみられる。世
昇に伴い、10〜11年にはプラスで推移したものの、12
界経済の先行きについても緩やかな回復が続くことが
年にはこれら商品価格の伸びが急低下し、15年には大
期待されるが、中国をはじめとするアジア新興国等の
幅なマイナスに転じた。ITC(国際貿易センター)のデー
経済の先行きに加え、英国のEU離脱問題に伴う不透
タをもとに世界の名目輸入額を輸入国別に寄与度分
明感の高まりによる影響等のリスクが懸念される。
解すると、09年から10年に大幅に増加(21.5%)した
際は中国の寄与が3.1%と最も大きく、次いでアメリカ
世界経済の成長率の低下
の2.9%であった。14年から15年の減少(−12.8%)に
近年の世界経済の成長率低下の要因の一つとして、
ついても、輸入国別では中国の寄与が-1.5%と最も大
世界金融危機後に実施された4兆元の景気対策後の
きく、次いで日本の−1.0%であった。これらの結果か
調整が続く中国経済の減速を挙げることができる。中
ら、世界貿易の動向については、各国の輸入額の変動
国の実質経済成長率は10年に10.6%を記録して以降
の中でもとりわけ中国の動向が大きな影響を及ぼして
低下傾向にあり、15年には6.9%となった。世界第2位
いることが明らかである(図1-2参照)。
の経済規模となった中国経済の減速は、貿易や投資を
通じて新興国をはじめとする各国の経済にも幅広い影
中国をはじめとする新興国の成長率低下
響を及ぼしている。一方、先進国においては、世界金
中国の実質経済成長率は、世界金融危機後に急回
融危機から7年を経てもいまだにマイナスのGDPギャッ
復し、2010年に10.6%を記録した後、緩やかな低下を
プが残るなど、回復のペースは緩やかなものとなって
続けている。15年の成長率は6.9%
(政府目標は7%
おり、いわゆる「長期停滞論」を含め、低成長の要因
程度)に低下し、16年の目標は6.5〜7.0%とされてい
図1-1 世界の実質経済成長率:
10年代に入って新興国・発展途上国が減速
続いており、過剰生産能力の問題を抱えた鉄鋼やアル
(前年比、%)
20
15
中国
新興国・途上国
(中国除く)
る(図1-3参照)
。企業部門では、生産の伸びの鈍化が
ミニウム、石炭等の動きが弱くなっている。これが輸入
図1-2 世界貿易(名目輸入額)の推移:
15年は6年ぶりに減少
(前年比寄与度、%)
25
20
15
5
10
5
0
0
先進国
5
-10
-5
-15
1990
95
2000
05
10
15(年)
■ アメリカ ■ 中国
-20
(備考)1.IMF"World Economic Outlook Database April 2016"より作成。
■ その他 ー 世界輸入
-25
2.先進国 (39 カ国)、新興国・途上国(151 カ国)はIMF に従って分類。
2002 03 04 05 06 07 08 09 10 11
3.新興国・途上国(中国除く)の実質経済成長率は、前年の新興国・途上国全
体の名目GDP に占める中国及びその他の国のウェイトに基づいた試算値。 (備考)ITC"International Trade Stat."より作成。
10
40
1. 世界経済の動向
12
13
14
15(年)
の各国で09年以降の回復ペースが前回の回復局面と
多くの新興国経済では、中国経済の高成長と原油を
比べて顕著に遅い。
はじめとする資源価格の上昇局面で中国向け輸出や資
また、近年のG7諸国の潜在成長率は、イタリアや日
源輸出への依存度が高まった。主要新興国の中国向
本が低水準で推移しているほか、90年代には3%を
け輸出の割合を2001年と15年で比較すると、多くの国
超えていたアメリカも2%以下へと低下している。また、
で上昇しており、特にブラジル、マレーシア、南アフリ
G7のGDPギャップは08年と比較すれば全般に縮小傾
カ等で大幅な伸びとなっている。また、輸出に占める
向にあるものの、いまだにマイナス圏で推移している。
一次産品の割合についてもブラジル、ロシア、南アフリ
このように、需要面、供給面のいずれも力強さに欠
カ、マレーシアで上昇した。
ける中、各国において緩和的な金融政策が続いてい
中国経済の減速と資源価格の下落はこれらの国の
る。アメリカでは08年末から15年にかけて事実上の
経済にマイナスの影響を与えている。新興国のうち主
ゼロ金利政策(FFレート誘導目標0.00〜0.25%)が実
な資源国の実質経済成長率の動向をみると、原油や
施され、累次の量的緩和策も実施されてきた。15年12
その他資源の価格低迷を受け、ロシア、ブラジル、ベ
月にFFレートは0.25〜0.50%に引き上げられたものの、
ネズエラでは13年以降相次いで実質経済成長率がマ
FRBは今後の利上げペースは緩やかなものになるとし
イナスに転じ低迷を続けている。
ている。ユーロ圏では政策金利が11年後半以降段階
第1章
や設備投資にも波及している。
的に引き下げられ、16年3月にゼロとなったほか、15年
先進国の成長率低下とその要因
1月には量的緩和策の導入が決定された。日本では13
100年に一度と言われた世界金融危機から7年が経
年4月に量的質的金融緩和が導入された。この間の各
過したが、先進国の景気回復は金融危機直後の2010
国・地域のマネタリーベースのGDP比の推移をみると、
年を除き緩やかなペースにとどまっている。
13年4月以降急増している日本を含め危機前と比較し
今回の景気回復のペースを、それより一つ前の回復
て大幅に上昇している。
期にあたる02年ごろ以降と比較すると、G7各国につい
一方、財政政策については、世界金融危機後の財政
て02年以降と09年以降の需要項目(個人消費・民間
出動により、各国の財政収支は08年から09年にかけ
企業設備投資・輸出)別で比較すると、国や項目によっ
て大幅に悪化した。その後各国で財政再建が進み、ド
て回復のペースにはばらつきがあるが、09年以降の方
イツでは財政収支が黒字に転じている。
が02年以降より回復ペースが順調な需要項目は限られ
ている。まず、個人消費については、ドイツ以外のほと
世界経済の展望と長期停滞を回避するための政策協調
んどの国で回復のペースは前回より緩やかになってい
世界経済の先行きについては、緩やかな回復が続く
る。民間企業設備投資はアメリカや英国では前回並み
ことが期待されるものの、各種の下振れリスクに留意
ないしそれを上回るペースで回復しているが、フランス
する必要がある。アメリカでは雇用・所得環境の改善
や日本ではペースが遅く、カナダでは12年までは順調
が続く中、景気回復が続くことが見込まれているもの
に回復したがその後減速し、15年には大きく減少して
の、世界経済や国際金融市場の動向等を背景に、政
いる。投資の伸びの下落は、前述の長期停滞論とも関
策 金 利は2015年12月に引上げられて以降据え置か
連する重要な論点であり、その要因についてさまざま
れている。FOMCメンバーの政策金利見通しをみると、
な議論が行われている。輸出は、カナダ、イタリア以外
16年3月会合において、16年中の引き上げ回数が4回
ペースから2回ペースに引き下げられるなど、下方修正
が続いている。ヨーロッパでは、雇用・所得環境が改
図1-3 中国経済の成長目標と実績
(前年比、%)
15
実質経済成長率
(実績)
善する中、個人消費の増加が続き、景気は緩やかな回
復が続くことが期待されているものの、英国の国民投
票の結果を受けた先行き不透明感の高まりによる影
2016年
政府目標:6.5~7%
実績(1~6月期): 6.7%
12
響等が懸念されている。中国については、各種政策の
効果もあり安定的な成長の維持が見込まれるものの、
不動産価格や金融市場の動向等による景気下振れリ
政府目標
9
スクがある。国際機関による短期の見通しでは、16年
については前年並みの成長率となり、17年にはわずか
6
に上向くと予想されているものの、英国の離脱交渉の
2004
08
(備考)中国国家統計局より作成。
12
15
(年)
動向等によっては下振れる可能性があるとの見方が示
されている。
1. 世界経済の動向
41
第
1章
成田空港を取り巻く環境
また、世界経済の長期の展望について、OECDとIMF
した。日々の株価もしばしば大きく変動し、主要先進
の中長期の見通しをみると、OECD(14年公表)は20
国の株価指数が影響を受ける局面も繰り返しみられた。
年代にかけて次第に成長率が低下、IMF(16年公表)
この間、世界の株価の時価総額は、15年5月のピー
は21年にかけて成長率が上昇、と異なった展望が示さ
ク時から16年6月までの間に12.5%縮小した(図1-5
れているものの、世界経済が3%強の成長を続けてい
参照)。国・地域 別にみると、先 進国の時 価総 額が
くという見通しについては共通している(図1-4参照)
。
10.4%縮 小したのに対し、中国 市 場 の時 価 総 額は
また、IMF、OECDともに新興国の寄与が拡大していく
31.4%縮小した。
とみていることは共通している。このうち中国経済につ
この間の世界経済の動向を振り返ると、全体として
いては緩やかな減速が続くとの見通しであるが、世界
は緩やかな回復が続いていたものの、中国経済の緩や
経済の成長への一国の寄与度としてはアメリカを大き
かな減速に加え、アメリカやユーロ圏でも弱めの動き
く上回って推移すると見込まれている。今後10年以上
がみられるようになった。加えて、アメリカの金融政策
にわたり、世界経済は中国経済の動向に大きく影響さ
正常化の影響、中国をはじめアジア新興国等の経済の
れる状況が続く可能性が高い。
先行き、原油価格の下落等の景気下振れリスクが意識
されるようになった。このような状況の下、中国をはじ
(2)世界経済が直面する主なリスク
めとする各国経済の弱さを示す景気指標の発表や、そ
2015年半ば以降、世界的に金融資本市場が大きく
うした動きを反映した政策対応の公表に際し、市場参
変動する局面が繰り返しみられた。その要因として、中
加者が過度にリスク回避的な行動を取ったことで、株
国経済に対する懸念、原油をはじとする資源価格の低
価の下落や、安全資産とみられている通貨の増価等が
下、そして直近では英国におけるEU残留・離脱を問う
起こったと考えられる。
国民投票といったことが指摘されてきた。金融資本市
場は実体経済の変化を反映する鏡であると同時に、そ
原油価格の変動
れとは乖離した動きをみせる時もある。不確実性の高
15年来、原油価格の下落が株価下落の要因として
まりを反映し、投資家がリスク回避姿勢を強めること
繰り返し指摘されてきた。
で市場が変動し、そのことが実体経済に影響を及ぼす
世界の原油の需給動向をみると、アメリカのシェー
ケースもある。
ルオイルの増産を受けた生産の増加と世界的な需要
の伸びの鈍化を受け、14年から供給過剰状態になっ
中国経済の減速と金融市場の変動
ている(図1-6参照)
。こうした中、14年後半以降、原
15年以降の世界の株式市場を振り返ると、とりわけ
油価格は大幅に下落した。その後、16年2月をボトム
上海総合株価指数の変動が大きかったことがわかる。
にやや持ち直しているものの、直近のピークの106.54
同指数は15年初から同年6月中旬にかけて約50%上
ドル(WTI/13年8月)と比較すると16年8月4日時点
昇した後下落に転じ、16年1月下旬までに約50%下落
で半分未満の水準となっている。
図1-4 各種国際機関の長期見通しの比較
(2)
IMF
(1)
OECD
(前年比寄与度、%)
5
(前年比寄与度、%)
世界の実質経済成長率(折れ線)
4
その他
インド
インドネシア
4
3
3
2
2
1
1
0
-1
ドイツ
2015
アメリカ
日本
20
25
中国
1. 世界経済の動向
その他
世界の実質経済成長率(折れ線)
インド
インドネシア
0
-1
30(年)
(備考) 1.OECD"Economic Outlook No.95 May 2014 - Long-term
baseline projections"より作成。
2.
「その他」は世界全体-主要国の残余とした。
42
5
ドイツ
2015
16
日本
17
18
19
中国
アメリカ
20
21(年)
(備考) 1.IMF"World Economic Outlook Database, April 2016"及び
"Update July 2016"より作成。
2.寄与度は前年の名目GDPに占めるウエィトによる試算値。
3.
「その他」は世界全体-主要国の残余とした。
英国のEU離脱問題
な非OPEC加盟国は、16年4月に原油生産量を同年1月
2016年6月23日、英国において同国のEU残留・離
の水準で凍結することを目指して協議を行ったものの、
脱を問う国民投票が行われた。結果は、離脱支持が
合意には至らなかった。また、仮に合意したとしても、
52%、残留支持が48%となり、英国はEUを離脱する
協議参加国の生産量が世界の原油生産量に占める割
方向となった。直後の金融市場は世界的な株価下落と
合は3分の1程度にすぎず、供給過剰を解消するために
ポンドやユーロの下落を中心とした為替の変動に見舞
はアメリカ等の他の産油国との協調が必要になる。IEA
われたが、その後落ち着きを取り戻した。ただし、現
(国際エネルギー機関)では、原油の需給が均衡する
段階では、英国の離脱に向けた具体的な道筋や、離脱
のは17年ごろになると予測しているが、実際の見通し
後の英国とEUの新たな経済関係は見えておらず、不確
は不透明である。
実性の高まりが英国経済及び世界経済に与える影響が
原油価格の下落は、ガソリン等の石油関連製品の
懸念されている。
価格下落が家計部門の実質所得を増加させ、個人消
また、今回の英国での選択の背景にはグローバル化
費を押し上げるため、世界全体でみるとプラスの影
の進展に対する英国国民の不安の高まりがあると言わ
響が大きいと一般的には考えられている。世界銀行
れている。グローバル化のメリットを生かしながら成長
は、原油価格の30%の下落によって世界の実質GDPは
してきた英国での出来事をきっかけに、国境を越えた
0.5%程度押し上げられると試算している。また、IMF
自由な貿易・投資や人の移動などを通じて経済成長を
は、原油価格の40%の下落が最終価格に完全に転嫁
追求するという世界経済の枠組みに対する懐疑的な
された場合、世界の実質GDPは0.7%程度押し上げら
見方が広がることが懸念される。
第1章
OPEC加盟国の大半及びロシア、ブラジル等の主要
れると試算している。
しかしながら、原油価格の下落が急速に進む中、15
年に入って、欧米のエネルギー関連企業の収益は急速
に悪化した。アメリカの場合、鉱業関連の設備投資は
図1-6 原油の需給:14年以降供給超過
14年7〜9月期以降、鉱業分野の雇用は15年初以降減
少が続いている。鉱業関連の投資の減少を受け、アメ
リカの設備投資全体も15年10〜12月期に13四半期ぶ
りに減少に転じた。また、産油国では経済成長率の低
下や財政の悪化等の影響が広がっている。こうしたこ
とを背景に、原油価格の急速な下落は国際金融市場
(1)原油の需給ギャップ
(100万バレル/日)
(100万バレル/日)
100
6
供給
需給ギャップ
(目盛右)
4
95
におけるリスク回避の動きにつながっている。
需要
原油を中心とした資源価格の急速な下落が再び生
90
2
85
0
80
-2
じた場合、関連産業への影響や金融資本市場の変動
を通じて世界経済を下押しする可能性があることから、
供給超過
その動向には引き続き注意が必要である。
図1-5 世界の株価の時価総額:
15年5月をピークに縮小
2010
11
12
13
14
15
16
需要超過
17(年)
(備考)IEA"Oil Market Report for July"及びIEA"MEDIUM-TERM OIL
MARKET REPORT 2016"より作成。16 年は実績見込み値、17 年は
予測値。
(兆ドル)
80
60
新興国
40
(2)原油価格の推移
(ドル/バレル)
20
WTI
先進国
0
1
2
3
4
5
6
7 8
2015
9 10 11 12 1
2
3
4 5
16
6
7 月
年
■ その他先進国 ■ アメリカ ■ 日本 ■ ドイツ ■ その他新興国 ■ 中国
(備考)1.ブルームバーグより作成。
2.先進国及び新興国の分類は、IMF"World Economic
Outlook Database April 2016"を参考。
2010
11
12
13
14
15
8(月)
16 (年)
(備考)
ブルームバーグより作成。
1. 世界経済の動向
43
第
1章
成田空港を取り巻く環境
2015年度は、名目GDP、実質GDP、GDPデフレーターが、
❷ 日本経済:景気動向と好循環の確立に向けた課題
18年ぶりにそろって前年比プラスとなった。
内閣府によると、我が国経済の現状は、アベノミク
一方で、実質GDP成長率は緩やかな伸びにとどまっ
スの取り組みの下、経済再生・デフレ脱却に向けた進
ている。雇用・所得環境の改善にもかかわらず、GDP
捗がみられる。有効求人倍率は24年ぶりの高水準と
の6割を占める個人消費は2014年の消費税率引き上
なり、地域ごとにみても、史上初めて全都道府県で1倍
げ以降、力強さを欠いた状況にあり、所得から支出へ
を超えている。また、春闘の賃上げは、1990年代以来
の波及に遅れがみられている。また、新興国・資源国
となる3年連続での高い水準となり、パートタイム労働
経済の脆弱性や、金融資本市場の変動といった世界
者の時給は過去最高を更新するなど雇用・所得環境
経済のリスクに加え、2016年6月に英国の国民投票で
は改善しており、企業収益も高い水準にある。さらに、
EU離脱が支持されたことにより、世界経済の先行き不
図1-7 GDP成長率等の推移:2015年度のGDP成長率は穏やかな伸びにとどまる
(1)名目GDP、実質GDP、名目GNI、GDPデフレーター前年度比の推移
(前年比、%)
4
名目GNI(折線)
3
実質GDP
2
1
0
-1
-2
名目GDP(折線)
-3
GDPデフレーター
-4
-5
-6
1995
2000
(備考)内閣府「国民経済計算」により作成。
05
10
15(年度)
(2)実質GDP成長率の動向
(季節調整済前期比寄与度、%)
4
3
在庫品増加
2
輸入
公需
1
0
-1
消費
-2
輸出
実質GDP成長率
(折線)
住宅
-3
設備投資
-4
-5
Ⅳ
2012
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
13
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
14
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
15
Ⅳ
Ⅰ
(期)
16
(年)
(備考) 1. 内閣府「国民経済計算」により作成。
2. 2014年1-3月期には、一部統計上の不連続が生じている。2014年1月に、国際収支統計がIMF国際収支マニュアル第 6 版(BPM6)へ移行
したことに併せて、その他サービス収支において、1 回の支払額が 3,000 万円以 下の小口取引を新たに推計・補填したことなどから、輸
出及び輸入がそれぞれ押し上げられている(輸入は、GDP をより押し下げる方向に寄与)。
44
1. 世界経済の動向
透明感が高まっている。
推移し、株価も1万5000円台を割り込む局面もあった。
景気の現状
新興国及び資源国経済の現状や先行きなどへの懸念、
GDPの動向をみると、2015年度は、名目GDP、実質
中東などをめぐる地政学的なリスクなど、世界経済に
GDP、GDPデフレーターが、18年ぶりにそろって前年比
関するリスクは未だ払拭されていない。
プラスとなり、経済再生とデフレ脱却に向けて前進す
さらに、リスクという観点からは、2016年4月に発生
る姿がみられた(図1-7参照)
。一方、実質GDPの四半
した熊本地震の影響が挙げられる。熊本地震を受け
期ごとの動きをみると、2015年1〜3月期は比較的大き
て、被災地では、地域住民の生活基盤、地域経済を支
なプラスとなったものの、4〜6月期以降は小幅な増減
える生産施設・設備や社会インフラ等のストックが広
を繰り返している。
範にわたり毀損した。こうしたストックの毀損は、住民
GDPを構成する需要項目ごとの推移をみると、個人
生活のみならず、生産や雇用など地域経済、さらには
消費については、2014年4月の消費税率引き上げに伴
一時的にサプライチェーンを通じて他地域の生産にも
う駆け込み需要の反動で同4〜6月期に大きく落ち込
影響を及ぼした。その後の復旧により、サプライチェー
んだ後、小幅な増減を繰り返しており、回復に遅れが
ンを通じた影響は小さくなったものの、地域経済や内
みられたが、2015年初から上向きに転じた。輸出につ
外観光等への影響は続いており、引き続きその影響に
いては、2015年第1四半期にかけて3四半期連続で前
留意する必要がある。
第1章
英国のEU離脱問題以外にも、中国をはじめとした
期比プラスとなったが、海外経済の伸び悩みが続く中
で小幅の増減を繰り返している。
好循環の所得面での進捗状況
企業収益の動向をみると、経常利益は2014年度に
我が国経済が抱えるリスク要因
過去最高となった後、2015年度についても引き続き高
世界経済は、中国をはじめとした新興国経済に減速
い水準となっている(図1-8参照)
。ただし、2015年7
がみられる中、回復に力強さが欠けている状況にある。
〜9月期以降、3四半期連続で前期比マイナスが続く
こうした中、2016年6月23日に英国で行われた国民投
など、改善に足踏みがみられている。輸出については、
票でEUからの離脱が支持されたことから、国際金融
最近は小幅の増減を繰り返しているが、一般的に輸出
資本市場は大きく変動し、我が国においても、ドル円
数量と為替レートの間には、例えば、円が減価すると
レートは一時1ドル=100円を割り込むなど円高方向に
輸出数量が増加するという関係が想定される。しかし、
図1-8 経常利益の推移
企業収益の改善は中小企業にも広がり
(2012年 10~12月期比、%)
60
50
中小非製造業
中小製造業
40
30
全規模全産業(折線)
20
10
0
大中堅非製造業
大中堅製造業
-10
Ⅳ
2012
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
13
Ⅱ
Ⅲ
14
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
15
Ⅳ
Ⅰ
(期)
16
(年)
(備考) 1. 財務省「法人企業統計季報」により作成。
2. 金融業、保険業を除く。
3. 規模・業種別の値は、内閣府による季節調整値。
1. 世界経済の動向
45
第
1章
成田空港を取り巻く環境
2012年秋以降の円安方向の動きが続いた局面では、
金に雇用者数を乗じたもの)は、実質でみても2015年
実質実効為替レートが2割程度減価したにもかかわら
7月から2016年4月まで10カ月連続で前年比プラスと
ず、輸出数量はおおむね横ばいで推移しており、両者
なるなど緩やかに増加している。
の関係が希薄化している可能性がある。
我が国の対外的な稼ぐ力の変化は、財の高付加価
好循環の支出面での進捗状況
値化、インバウンド消費の増加、対外直接投資などか
家計部門における支出面の進捗状況では、個人消
らの所得の受け取りの増加などにみられている。我
費の動きをみると、一人当たり賃金が低い伸びにとど
が国が対外的な稼ぐ力を発揮していくには、引き続き、
まっていることが個人消費の弱さの一因ではあるもの
高付加価値化や観光先進国に向けた取り組みなどを
の、最近では、マクロでみると雇用者数の増加もあって
進めていくことが課題といえよう。
雇用者報酬は緩やかながら増加している。こうした所
他方、英国の国民 投 票でEU離 脱が支持された後、
得の伸びと比べると、個人消費は横ばいで推移してお
為替レートの円高方向の動きがみられたが、円高方向
り、力強さに欠けている。所得面から支出面への波及
の動きが継続した場合、輸出関連企業の収益は圧迫
に遅れがみられるが、この背景については、2015年に
されることとなり、また輸出数量についても、今後、英
みられた短期的な要因と、構造的な要因が考えられる。
国やEUなどで実体経済が下振れた場合、下押しされる
財務省の「法人企業統計季報」によれば、設備投
可能性があることにも留意が必要である。
資は、2013年半ば以降、一時的に弱い動きもみられ
雇用を取り巻く環境については、少子高齢化・人口
たものの、総じてみればプラスの動きがみられており、
減少によって生産年齢人口のマイナス基調が続いてい
2015年については、年央ごろからは持ち直しの動きが
る。特に、最近では団塊の世代が65歳以上となる中で、
みられている。
2013年から2015年までの3年間の生産年齢人口の減
物価の動向で消費者物価は、①毎月の変動幅が大
少幅は、それ以前の3年間の減少幅の約2倍となってい
きい生鮮食品を除いた「生鮮食品を除く総合」と、②
る(図1-9参照)
。一方、景気の緩やかな回復基調が続
物価の基 調を表す指数で「生 鮮食品、石油 製品及
く中で、高齢者や女性の労働参加が進み、労働力人口
びその他特殊要因を除く総合」のいずれの指数でも、
は2013年から前年比プラスに転じている。
2013年春以降、おおむね緩やかに上昇してきた。ただ
賃金の動向については、景気が緩やかな回復基調
し前者については2014年夏以降、おおむね横ばいと
にあり、労働需給が引き締まりつつある中で、我が国
なる一方、後者については、このところ上昇のテンポが
全体の賃金所得を表す総雇用者所得(一人当たり賃
鈍化している。
図1-9 生産年齢人口等の推移
人口が減少する中で、高齢者や女性の労働参加が進展
200
(万人)
40~59歳
15~39歳
100
6,700
(万人)
3,500
(万人)
6,684
(将来推計人口)
労働力人口
3,449
6,650
3,450
0
-100
6,598
6,600
▲167
-200
▲249
6,550
正規雇用者数
(目盛右)
6,555
3,350
3,340
-300
総数(折線)
▲335
3,400
3,304
3,300
6,500
-400
-500
60~64歳
2010~12
2013~15
2016~18(年)
6,450
2006
07
08
09
10
(備考) 1. 総務省「労働力調査」、国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」により作成。
2. 2016年~18 年の将来推計人口は、出生中位・死亡中位を用いた。
3. 団塊の世代は、2012年から2014年にかけて65歳以上になり生産年齢人口(15 ~ 64歳人口)から外れた。
46
1. 世界経済の動向
11
12
13
14
3,250
15(年)
第1章
2 旅客数の動向
(1)日本人出国者数は3年連続のマイナス
(2)訪日外国人旅客数は3年連続で過去最高
法務省入国管理局によると、2015年(1〜12月)の
一方、日本政府観光局(JNTO)によると、2015年の
出国日本人数は1621万3789人で、前年比4.1%減(実
訪日外国人旅客数は、3年連続で過去最高記録を更新
数で68万9599人減)となり、2013年から3年連続の
した。前年比の47.1%増は、JNTOが統計を取り始めた
マイナスとなった(図1-10参照)。一方で、日本政 府
1964年以降で最大の伸び。実数では632万3942人も
観光局(JNTO)によると訪日外国人旅客数は極めて
増加して1973万7409人となり、2000万人の大台まで
高い伸びを続けたことから、1970年以来45年ぶりに、
あとわずかのレベルにまで迫った。月別で見ても、前
出国日本人数と訪日外国人旅客数が逆転した。日本人
年同月比40%増、50%増といった動きを年間を通じ
の海外旅行需要には、円安の進行や航空座席供給量
て続け、最も高い伸びを示した8月は63.8%増を記録。
の伸びを大幅に上回る訪日外国人旅客数の伸び、欧
また、全ての月で、コンスタントに100万人を超える人
州などでの一連のテロ事件などが、マイナスに作用し
数を数えた(表1-1参照)
。ちなみに、年間総数のうち
たとみられる。
観光客数は前年比56.0%増の1696万9126人で、全体
年間の出国日本人数の月別の動向を見ると、1月は
の伸びを牽引している。
前年同月比1.4%減と小幅なマイナスにとどまったが、2
訪日外国人旅客数が大幅な伸びを続けた主な要因
月には同10.5%減と2桁のマイナスを記録した。同月が
としてJNTOは、クルーズ船の寄港増加、航空路線の
中国文化圏の旧正月にあたり、訪日外国人の旅客需要
拡大、燃油サーチャージの値下がりによる航空運賃の
の急増で、航空座席の確保が難しくなったことの影響
低下、継続的に行われてきた訪日旅行プロモーション
などとみられる。それ以降も、前年同月比でのマイナ
による需要拡大を挙げる。また、円安による訪日旅行
スが続くが、5月は同1.5%減の小幅なマイナスとなった
の割安感の定着、ビザ発給要件の大幅緩和、消費税
のは、ゴールデンウィークの曜日配列が良く、5連休で、
免税制度の拡充なども増加を後押しした。
有給休暇をうまく使えば9連休も可能であったことなど
国・地域別では、主要20市場のうち、ロシアを除く
が、日本人の海外旅行需要を後押しした模様。さらに
19市場が年間での過去最高を記録。なかでも中国は
9月には同0.3%増と、前年の6月から15カ月続いたマイ
前年比107.3%増の499万人に達して、初めて最大市場
ナスからプラスの伸びに転じたのは、ゴールデンウィー
となった。そのほか、米国が欧米市場で初めて100万
クと同様に、最大で9連休も可能だったシルバーウィー
人を超えたほか、東南アジア6市場(タイ、シンガポー
クの効果によるところが大きいとみられる。
ル、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム)が
その後も出国日本人数の動向は、徐々に回復傾向
合計で200万人を超える規模となった。
にあったものの、11月にパリ同時テロが発生したこと
なお、近年の訪日外国人旅客数の動向を振り返る
などで、12月は同3.5%減とマイナス幅が再度拡大した
と、2009年に前年比18.7%減の678万人にとどまった
(表1-1参照)。
なお、近 年 の出国日本人 数の動 向を振り返ると、
2007〜2009年に3年連続で前年比がマイナスとなっ
たものの、2010年と2011年に2年連続で1600万人台
に回復。2012年には1800万人台に達して過去最高を
記録した。しかし2012年8月以降、日本と中国、韓国
との間の領土問題に起因する政治的緊張の高まりに
より、両国への旅行意欲は急速に萎んだ。航空座席供
給量の削減とも相まって、2013年に入っても両国へを
中心に海外旅行需要の減速傾向が続き、年間の日本
人出国者数は2009年以来4年ぶりのマイナスとなった。
2014年もこの影響が継続したほか、円安の進行によ
る海外旅行の割高感が影を差したことや、訪日外国人
旅客数の目覚しい伸びが続いて航空座席の確保が難
しくなったことなどもあり、2015年も含めて3年連続で
のマイナスを余儀なくされた。
表1-1 2015年出国日本人数・訪日外国人旅客数
月
出国日本人数
(人)
伸び率 訪日外国人旅客数 伸び率
(人)
(%)
(%)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
合計
1,235,612
1,257,154
1,534,026
1,144,833
1,262,103
1,190,806
1,309,957
1,653,622
1,525,777
1,412,468
1,339,248
1,348,183
16,213,789
−1.4
−10.5
−3.9
−3.7
−1.5
−7.6
−7.4
−7.3
0.3
−0.4
−1.2
−3.5
−4.1
1,218,393
1,386,982
1,525,879
1,764,691
1,641,734
1,602,198
1,918,356
1,817,023
1,612,208
1,829,265
1,647,550
1,773,130
19,737,409
29.1
57.6
45.2
43.3
49.6
51.8
51.0
63.8
46.7
43.8
41.0
43.4
47.1
出典:法務省、日本政府観光局(JNTO)
(注)「伸び率」は対前年同月の伸び率を示す。
2. 旅客数の動向
47
第
1章
成田空港を取り巻く環境
図1-10 出国日本人数
(千人)
20,000
20,000
2015年までの主な出来事
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
1964年 4月 海外観光渡航自由化
1970年 7月 B747型ジャンボが太平洋路線に初就航
1973年
第1次オイルショック
1978年 5月 成田空港開港
1980年
第2次オイルショック
1985年 9月 プラザ合意発表
1990年11月 出国日本人数年間1000万人を突破
1991年 1月 湾岸戦争勃発
1992年10月 〜 バブル経済崩壊
1994年 9月 関西国際空港開港
2001年 9月 米国同時多発テロ
2002年 4月 成田空港暫定平行滑走路運用開始
5月 FIFAワールドカップ日韓大会開催
2003年 3月 イラク戦争開始
3月 〜 アジアにおける新型肺炎(SARS)流行
2004年12月 スマトラ沖大地震発生
2005年 2月 中部国際空港開港
2008年 8月 北京五輪開催(8日~24日)
9月 リーマン・ブラザーズ破綻(リーマンショック)
2009年 4月 〜 新型インフルエンザ流行
10月 成田空港2500mB滑走路運用開始
2010年10月 羽田空港の新国際線ターミナルオープン
日米オープンスカイ調印
2011年 3月 東日本大震災発生
2012年 2月 成田空港の航空旅客数が8億人突破
3月 本邦LCCの国際線就航
7月 ロンドン五輪開催(27日~8月12日)
10月 那覇空港と関西国際 空港が相次いでLCC専用
ターミナルオープン
2013年 3月 成田空港の空港処理能力が27万回に拡大
新石垣空港が開港
12月 訪日外国人旅客数が年間1000万人の大台突破
2014年 2月 ソチ冬季五輪開催(7〜23日)
3月 マレーシア航空機が行方不明に
6月 サッカーW杯ブラジル大会開催(13日〜7月13日)
10月 外国人旅行者への消費税免税制度の拡充
12月 成田空港の航空旅客数が9億人突破
2015年 1月 スカイマークが民事再生法の適用を申請
3月 北陸新幹線長野〜金沢駅間開業
成田空港の空港処理能力が30万回に拡大
4月 成田空港の第3旅客ターミナルビルがオープン
5月 韓国でMERS(中東呼吸器症候群)の感染拡大
6月 成田空港の航空機発着回数が500万回を突破(2日)
8月 終戦から70周年
11月 国産初のジェット旅客機「MRJ」が初飛行(11日)
パリ同時多発テロ事件が発生(13日)
18,491
17,819
17,404
16,803
16,695
18,000
17,535
16,358
16,358
16,523
16,831
16,216
17,295
17,295
16,994
16,637 16,903
16,214
16,000
15,987
15,806
15,298
17,473
15,446
14,000
13,579
13,296
11,791
12,000
11,934
10,997
10,634
10,000
9,663
8,427
8,000
8,000
6,829
6,000
6,000
5,516
4,948
4,659
2016年の主な出来事
4,006 4,232
4,086
3,909
3,525
4,038
4,000
1月「マイナンバー制度」利用開始(1日)
2月 環太平洋連携協定(TPP)協定文に12カ国署名(4日)
3月 北海道新幹線新青森〜新函館北斗駅間開業(26日)
4月 熊本地震発生(14日)
5月 伊勢志摩サミット開催(26〜27日)
6月 選挙権年齢を18歳以上とする公職選挙法が施行(19日)
英国、国民投票でEU離脱を選択(23日)
8月 リオデジャネイロオリンピック開幕(5〜21日)
9月 リオデジャネイロパラリンピック開幕(7〜18日)
3,151
2,853
2,289
2,000
2,466
2,336
4,000
2,000
1,392
268
128 212
0
159
64 65
493
961
663
344
70
75
80
85
90
95
00
05
10
0
15(年)
出典:法務省
48
2. 旅客数の動向
だが、この3つの層の合計での前年比は1.7%減。一方、
2011年は東日本大震災の影響で同27.8%減の621万
女性では20〜24歳、25〜29歳、30〜34歳の3セグメ
人まで落ち込んだが、2012年には同34.4%増の835万
ントが70万〜80万人台で、女性出国者の中心層。この
人に回復した後は大幅な伸びを続け、3年連続での過
3つの層の合計の前年比は7.3%減と、男性の中心層に
去最高の記録を更新したことになる。
比べて大きく減少している。
❶ 出国日本人の動向
第1章
反 動もあり、2010年は同26.8%増の861万人に急伸。
(4)空港別
空港別の日本人出国者数統計によると、成田空港か
(1)国・地域別
らは650万9232人(シェア40.1%)で人数は最も多い
日本政府観光局(JNTO)が各国・地域の受け入れ
が、2014年に比べると人数は7.9%減、シェアは1.7ポ
統計や世界観光機関(UNWTO)統計などに基づい
イント減少した。それでも人数ベースでは2位以下を大
てまとめた日本人旅行者の国・地域別統計によると、
きく引き離している。
2014年における上位5カ国・地域は、米国、中国、韓国、
2位 は 羽 田 空 港 で382万8254人( 同23.6%)で、
台湾、タイ。2015年についてもトップは米国の見込み
2014年に3位から2位に浮上した後も人数を伸ばして
だが、JNTOが取りまとめている集計では明らかにされ
シェアは2.9ポイント増。3位は関西空港で302万8657
ていない。一方、アジアへの2015年の出国日本人数は、
人(同18.7%)でシェアは0.4ポイント減。以下、中部
主要国・地域で減少が目立っている(表1-2参照)。
国際空港の136万7533人(同8.4%)、福岡空港の78万
1377人
(同4.8%)
、新千歳空港の11万6105人
(同0.7%)
(2)都道府県別
などが続いている。
法務省入国管理局の統計で2015年の日本人出国者
数を都道府県別に見ると、沖縄県が前年比1.9%増で
引き続き唯一プラスの伸びを示し、他の都道府県はい
ずれも前年比がマイナスという、2014年と同様の結果
となった。
❷ 訪日外国人の動向
(1)主要市場の動向
〈東アジア〉
また、都道府県別の人数でトップ5の動向は、1位が
日本政府観光局(JNTO)によると、韓国からの訪
東京都で前年比1.4%減の338万4916人、以下、2位の
日外国人旅客 数は400万2095人で、2014年の275万
神奈川県は同3.8%減の174万5466人、3位の大阪府は
5313人を上回り過去最高を記録するとともに、初め
同5.1%減の125万6820人、4位の愛知県は同4.7%減の
て400万人を超えた。年間を通して毎月25万人以 上
105万2449人、5位の千葉県は同4.5%減の95万7079
の送客が継続。5月に韓国国内で中東呼吸器症候群
人。それぞれ順位は2014年と変わらず。一方、前年比
(MERS)の感染が確認されたことで、6月の訪日旅客
のマイナス幅が大きかったのは、佐賀県(前年比11.9%
数も伸び率が抑えられたが、その後は徐々に勢いを
減)
、宮崎県(同11.1%減)
、鹿児島県(同9.4%減)
、山
取り戻した。韓国の出国者数は年々増加傾向にあるが、
形県(同9.0%減)
、岩手県(同8.7%減)などだった。
なかでも訪日旅行者数の伸びは2015年実績で前年比
45.3%と非常に高く、韓国市場における人気ぶりがう
(3)性別・年齢別
かがえる。特に関西や九州、沖縄方面が人気で、LCC
2015年の日本人出国者数は前年比4.1%減の1621
を中心に航空路線も拡充された。
万3789人だった。このうち男性は同2.7%減の927万
6393人( シェア57.2%)
、女 性 は 同5.9% 減 の693万
中国からの訪日外国人旅客数は499万3689人で過
7396人(同42.8%)で、男性より女性の減少が目立った。
去最高を記録、前年比107.3%増と2014年の人数から
また、男女合計での人数を年齢別で見ると、2015年
倍増するとともに、500万人に迫る実績となった。比較
は全15セグメント(5歳区切りと70歳以上)のうち12セ
的安定していた日中関係や消費税免税制度の拡充、円
グメントが前年比でマイナス。シェアがトップ(10.6%)
安、中国経済の成長に伴う海外旅行者数の増加が訪日
の40〜44歳 は4.1% 減、2位(10.2%)の45〜49歳 は
需要を喚起。航空路線の新規就航や既存路線の増便
2.7%減でともにマイナスだったが、3位(9.8%)の50
が相次いだほか、クルーズ船寄港の大幅増加等による
〜54歳は0.3%増とわずかながらプラス。このほか0〜
日中間の輸送力の拡充も旺盛な需要を支えた。
4歳(0.1%増)
、5〜9歳(1.4%増)もプラスだった。
台湾からの訪日外国人 旅客 数は前年比29.9%増
ちなみに男性では40〜44歳、45〜49歳、50〜54歳
の367万7075人で過去最高を記 録するとともに、初
の3セグメントが100万人を超えて男性出国者の中心層
めて年間で300万人を超えた。LCCを中心とした航空
2. 旅客数の動向
49
第
1章
成田空港を取り巻く環境
表1-2 2013年~2015年各国・地域別日本人訪問者数(日本から各国・地域への到着者数)
伸び率
(%)
2014年
2,877,533
−18.2
2,717,600
−5.6
2,497,700
−8.1
TCER
711,529
−3.1
670,804
2,747,750
−21.9
2,280,434
−17.0
1,837,782
−19.4
フランス
TFR
660,841
−6.6
784,423
18.7
VFR
1,421,550
−0.8
1,634,790
15.0
1,627,229
−0.5
イタリア
TFN
454,465
28.5
423,202
−6.9
タイ
TFN
1,536,425
11.8
1,267,886
−17.5
1,381,690
9.0
スイス
THSR
286,681
−3.1
250,451
−12.6
香港
VFR
1,057,033
−15.7
1,078,766
2.1
1,049,272
−2.7
スペイン
TFR
385,005
7.6
475,058
23.4
シンガポール
VFR
832,845
10.0
824,741
−1.0
789,179
−4.3
オーストリア
TCER
259,184
−0.8
245,306
−5.4
ベトナム
VFR
604,050
4.8
647,956
7.3
671,379
3.6
マレーシア
TFR
513,076
9.2
553,106
7.8
483,569
−12.6
インドネシア
TFN
497,399
7.3
505,175
フィリピン
TFR
433,705
5.1
463,744
マカオ
VFR
290,622
−26.6
インド
TFN
220,283
0.1
カンボジア
TFR
206,932
ミャンマー
TFN
ラオス
訪問先
基準
2013年
中国
VFN
韓国
VFN
台湾
伸び率
(%)
2015年
伸び率
(%)
訪問先
ドイツ
2013年
伸び率
(%)
2014年
伸び率
(%)
アジア
225,000
−7.3
222,000
−1.3
150,000
10.1
145,000
−3.3
1.6
クロアチア
TCER
159,117
2.6
176,846
11.1
6.9
チェコ
TCEN
137,844
−2.6
124,969
−9.3
299,849
3.2
ベルギー
TCER
112,278
0.3
111,939
−0.3
219,516
−0.4
フィンランド
TCER
106,769
16.3
102,154
−4.3
15.4
215,788
4.3
ロシア
VFN
102,408
18.0
105,220
2.7
68,761
44.2
83,434
21.3
ポルトガル
TCER
78,797
22.0
83,374
5.8
VFN
48,644
15.7
44,877
−7.7
ハンガリー
TCEN
77,516
0.5
68,742
−11.3
スリランカ
TFR
31,505
20.8
39,136
24.2
ポーランド
VFN
45,000
12.5
67,000
48.9
モルジブ
TFN
39,463
8.3
38,817
−1.6
スウェーデン
TCER
39,762
−13.0
42,949
8.0
ネパール
TFN
26,694
−6.8
25,829
−3.2
スロベニア
TCEN
36,437
−12.0
40,852
12.1
ヨーロッパ
VFR
THSR
−10.4
オセアニア
モンゴル
VFN
18,751
6.3
18,893
0.8
ノルウェー
TCER
71,201
−14.6
61,924
−13.0
バングラデシュ
TFN
4,456
−22.8
5,457
22.5
デンマーク
TCER
21,667
−4.4
20,403
−5.8
グアム
TFR
893,118
−3.9
810,856
−9.2
ブルガリア
VFR
11,268
1.1
12,066
7.1
豪州
VFR
324,320
−6.8
326,430
0.7
ルーマニア
VFR
13,359
−6.3
14,505
8.6
北マリアナ諸島
VFN
141,747
−7.5
110,234
−22.2
アイスランド
TFN
12,363
19.5
13,340
7.9
ニュージーランド
VFR
74,560
3.4
81,136
8.8
ギリシャ
TFR
13,141
48.6
18,698
42.3
60.7
パラオ
TFR
35,642
−9.4
37,986
6.6
エストニア
TCER
10,768
22.7
17,303
ニューカレドニア
TFR
15,674
−10.1
19,087
21.8
リトアニア
TCER
10,079
6.5
14,526
44.1
タヒチ
TFR
13,175
1.4
12,527
−4.9
スロバキア
TCEN
9,444
−6.7
5,079
−46.2
セルビア
TCEN
5,130
−2.3
5,327
3.8
ルクセンブルク TCER
6,205
−13.0
7,679
23.8
TFR
3,730,287
0.9
3,620,224
−3.0
TFR
1,518,517
4.1
1,510,938
−0.5
16.3
フィジー
TFR
7,314
3.5
5,888
−19.5
トルコ
VFN
174,150
−14.5
170,550
−2.1
TFN
32,184
6.2
32,475
0.9
バーレーン
VFN
22,050
2.4
21,784
−1.2
ヨルダン
VFN
15,279
−0.3
17,039
11.5
カナダ
VFR
238,500
−0.6
277,300
サウジアラビア
TFN
11,961
−8.0
13,655
14.2
メキシコ
TFN
97,226
13.5
107,366
10.4
イスラエル
TFR
13,516
−15.6
13,042
−3.5
ブラジル
TFR
87,225
19.3
84,636
−3.0
アルメニア
TFR
13,011
0.3
11,619
−10.7
ペルー
TFR
67,639
19.7
59,853
−11.5
チュニジア
TFN
6,460
−19.3
6,158
−4.7
ボリビア
TFN
15,486
30.0
16,766
8.3
イラン
VFN
5,809
12.9
7,649
31.7
チリ
TFN
14,704
−2.4
15,053
2.4
カザフスタン
VFR
5,202
−14.0
6,379
22.6
グアテマラ
VFR
7,220
−18.4
6,712
−7.0
28.7
北米
中南米
中央アジア・中東・アフリカ
モロッコ
米国
(ハワイ州)
2015年
伸び率
(%)
−5.7
オランダ
193,330
英国
基準
クウェート
VFN
5,072
−4.1
5,215
2.8
キューバ
VFR
5,896
−19.8
7,589
南アフリカ共和国
TFR
41,099
19.4
27,504
−33.1
コロンビア
TFR
5,805
4.1
7,433
28.0
エジプト
VFN
31,181
−20.1
12,352
−60.4
エクアドル
VFN
5,576
4.4
5,424
−2.7
ナイジェリア
VFN
24,231
−42.3
11,564
−52.3
コスタリカ
TFN
4,932
−3.6
5,276
7.0
ジンバブエ
VFR
20,374
13.0
19,400
−4.8
タンザニア
VFR
7,058
27.8
7,419
5.1
ザンビア
TFR
5,532
56.5
7,539
36.3
ニジェール
TFN
6,187
54.4
6,759
9.2
作成: 日本政府観光局(JNTO) / 出典: 国連世界観光機関(UNWTO)、太平洋アジア観光協会(PATA)、各国政府観光局、各国統計局
Compilation: Japan National Tourism Organization; Source: UNWTO, PATA, National Tourism Offices and National Statistical Offices
◆備考 / Remarks: N: 国籍別統計 / Reported by nationality R: 居住地別統計 / Reported by residence
F: 国境到着者数 / Frontier arrivals CE: 全宿泊施設到着者数 / Arrivals in registered all types of accommodation
V: 日帰りを含む旅行者数 / Both same-day and overnight visitors T: 宿泊を伴った旅行者数 / Overnight visitors only
◆注: ● 本表では主に、直近の日本人訪問者数が5千人を超える国・地域を対象とした。
● 本表には国境到着者数、全宿泊施設到着者数などの統計が混在しており、集計基準が異なるため、同一指標としての比較はできない。
特にヨーロッパの比較においては注意を要する。
● 米国の数値には、米国本国(全米50州とコロンビア特別区)への入国者の他、北マリアナ諸島、グアム、米領サモア、プエルトリコ、
米領バージン諸島などの地域への入域者が含まれる。
● ハワイ州の数値は米国の内数である。
● サイパンは北マリアナ諸島に属する。
● 各国の数値は、推計値から確定値への変更、統計基準の変更、数値の非整合性等の理由により、その都度、過去にさかのぼって変更される場合がある。
● 数値は、2016年5月時点のものである。
50
2. 旅客数の動向
表1-3 2015年 訪日外国人旅客数上位10カ国・地域
訪問先
1位
中国
4,993,689
人数
伸び率(%)
107.3
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
韓国
台湾
香港
米国
タイ
オーストラリア
シンガポール
マレーシア
フィリピン
4,002,095
3,677,075
1,524,292
1,033,258
796,731
376,075
308,783
305,447
268,361
45.3
29.9
64.6
15.9
21.2
24.3
35.5
22.4
45.7
出典:日本政府観光局(JNTO)
(注)
「伸び率」は対前年伸び率(%)を示す。
豪州からの訪日外国人旅客数は前年比24.3%増の
第1章
順位
〈豪州・北米〉 37万6075人で過去最高を記録した。2015年1月に発
効された日豪経済連携協定(EPA)や航空路線の新規
就航によりビジネス需要も好調だった。5月には、プリ
ンセスクルーズ社のサンプリンセス号が長崎・大阪・
横浜に寄港したことも上乗せ要因となり、訪日旅行者
数は前年同月比33.9%増と大幅に伸びた。また、紅葉
やスキーリゾートの人気も高かった。
米国からの訪日外国人旅客数は前年比15.9%増の
103万3258人で過去最高を記録、欧米市場で初めて
年間100万人の大台を突破した。米国経済の安定によ
路線の拡充や季節需要に合わせたチャーター便の運
り個人消費支出が回復、出国者数も増加しつつあるな
航、円安の継続、九州・沖縄へのクルーズ船寄港の増
か、円安と燃油サーチャージの引き下げによる訪日旅
加が旺盛な需要の背景にある。特にクルーズツアーは、
行の割安感が、需要増加の追い風となった。
例年オフシーズンとなる秋以降も催行されるなど、人
カナダからの訪日外国人旅客数は前年比26.5%増
気を反映した。
の23万1390人で過去最高を記録、年間で初めて20万
香港からの訪日外国人旅客数は前年比64.6%増の
人を超えた。また、全ての月で2桁の伸び率を記録して
152万4292人で過去最高を記録、年間の人数で初めて
いる。2014年に比べて円高傾向で推移したが、航空
100万人を超えた。航空路線の拡充や円安傾向の持
座席供給量の増加などもあって、FITを中心に需要が
続により、訪日旅行の割安感が浸透している。広島や
喚起された。
熊本、宮崎など地方空港への直行便就航や、札幌、関
西、米子、松山、北九州などへの大手旅行会社のチャー
ター便運航により行き先が多様化した。
〈欧州〉
英国からの訪日外国人旅客数は前年比17.5%増の
25万8488人で、過去最高を記録した。円安と英国経
〈東南アジア〉 済の緩やかな回復に加え、日本行きの航空便も経由
タイからの訪日外国人旅客数は前年比21.2%増の
便を中心に低廉な商品が販売され、訪日意欲を後押し
79万6731人で過去最高を記録した。ソンクラーン休
した。イースター休暇が4月上旬になった影響で3月の
暇のあった4月には桜観光の需要で、東南アジア市場
需要が拡大したが、桜が見頃となる4月も旅行会社各
で初めて単月で10万人を超えた。2015年は、国際民間
社で訪日旅行商品の完売が相次いだ。
航空機関(ICAO)による、タイの航空局の安全性の問
フランスからの訪日外国人旅客数は前年比20.0%
題からLCCの運航継続が断念された。さらに8月には
増の21万4228人で過去最高を記録、年間で初めて20
バンコクでの爆破テロ事件が発生するなど向かい風も
万人を超えた。月別では2月以降11月まで、前年同月比
あったが、訪日旅行者数への大きな影響はなかった。
で2桁の伸びを続けた。11月にはパリ市内で連続テロ
シンガポールからの訪日外国人 旅客 数は前年比
が発生し、フランス全土で非常事態宣言が発令された。
35.5%増の30万8783人で、過去最高を記録するととも
外出を控える消費者心理により、12月の訪日旅行者数
に、年間で初めて30万人を超えた。韓国でのMERS感
は前年同月比9.8%増と、伸び率は他の月に比べ抑制
染拡大を受けた振替需要が年末まで継続。燃油サー
されたものの、日本行きのフライトや訪日旅行商品の
チャージの引き下げや航空会社各社のセールスプロ
予約状況への深刻な影響は見られなかった。
モーションのほか、建国50周年を祝う連休も旅行行動
ドイツからの訪日外国人旅客数は前年比15.9%増
を後押しし、訪日旅行者数の増加要因となった。
の16万2580人で過去最高を記録した。円安基調、過
マレ ーシアからの 訪日外 国 人 旅 客 数 は 前 年比
去24年の間で最も低水準となった失業率、景況感指
22.4%増の30万5447人で過去最高を記録、年間で初
数の改善に見られるドイツ経済の安定が消費者意欲に
めて30万人を超えた。GST(物品・サービス税)導入
反映され、安定した需要を維持した。桜や紅葉など四
やリンギット安などによる消費意欲の減退が心配され
季折々の魅力に人気があり、なかでも3月の訪日旅行
たが、2月からプラス成長を維持した。桜やラベンダー、
者数は前年同月比33.6%増を記録した(表1-3、表1-4
紅葉の鑑賞が人気で、旅行会社各社が打ち出した格安
参照)。
の関連商品によりFITを中心に需要が増加した。
2. 旅客数の動向
51
52
2. 旅客数の動向
16.9
11.1
−27.1
87,742
44,770
11,813
12,312
9,683
14,428
12,266
7,771
3.313
671
1,740
924
香港
タイ
シンガポール
マレーシア
インドネシア
フィリピン
ベトナム
インド
マカオ
イスラエル
モンゴル
3,998
2,303
南アメリカ計
ブラジル
53
3,932
10.2
51.4
16.8
30.0
28.7
22.0
19.2
25.9
10.9
3.9
5.6
−1.6
0.6
10.2
16.0
15.6
7.2
13.6
5.3
16.1
16.0
4.3
17.3
27.5
−6.1
27.1
13.0
9.9
7.6
10.6
12.8
82.9
57.5
35.8
−11.8
8.5
64.8
38.2
321,576
61
3,474
30,303
33,925
1,709
3,257
1,678
16,304
59,157
77,636
1,746
930
1,004
1,100
1,112
1,224
1,080
1,401
1,435
1,849
2,478
2,662
2,806
2,781
4,680
9,815
11,951
17,770
69,706
955
1,467
722
5,093
5,982
9,489
14,190
8,094
19,269
16,293
44,038
109,384
277,626
359,080
3月
60.5
23.9
14.0
14.7
30.0
19.9
24.9
42.8
13.7
19.1
20.9
13.6
41.6
20.6
18.2
9.3
49.6
5.8
41.1
18.1
12.1
17.4
30.3
−18.8
23.2
9.6
34.6
19.8
18.8
12.0
32.8
26.0
101.2
20.1
27.9
89.3
24.0
36.6
57.1
28.3
68.8
45.2
159.8
38.9
103
3,558
29,178
33,116
3,423
6,102
3,561
21,638
95,609
121,592
3,273
1,399
1,516
1,908
2,636
2,578
1,775
2,323
1,982
3,773
4,230
5,146
6,330
5,503
8,869
18,374
18,090
25,205
118,398
1,866
1,779
3,068
5,601
8,228
18,736
26,786
19,542
28,193
23,147
92,438
117,223
277,934
338,121
268,156
66.2 1,243,295
57.6 1,525,879
伸び率
4月
49.3
33.7
36.8
36.6
12.4
11.2
44.7
34.6
18.1
21.5
27.0
36.1
39.1
51.3
84.3
51.6
−0.8
1.5
18.5
36.6
19.2
25.6
74.1
−14.4
35.6
33.6
14.6
25.8
25.5
78.9
10.2
9.1
74.4
19.4
68.1
110.8
36.6
20.6
41.3
30.0
81.8
33.2
83.7
39.6
80
4,545
34,060
38,807
4,467
7,308
2,931
21,868
95,891
121,420
2,689
1,372
1,571
1,726
1,448
1,934
2,805
2,370
2,582
5,476
5,037
5,230
5,469
5,207
10,402
15,661
27,146
27,049
130,460
1,822
1,582
4,469
5,435
9,204
28,510
36,673
23,364
29,556
24,833
117,930
119,602
335,140
405,731
304,619
50.9 1,463,927
45.2 1,764,691
伸び率
出典:日本政府観光局(JNTO)
(注)
「伸び率」は対前年同月、または対前年の伸び率(%)を示す。
無国籍・その他
ニュージーランド
48,583
1,694
メキシコ
豪州
14,250
カナダ
52,692
62,081
オセアニア計
78,654
777
ポルトガル
米国
1,024
オーストリア
北アメリカ計
1,114
ノルウェー
936
1,196
デンマーク
1,801
801
ポーランド
アフリカ計
1,501
フィンランド
アイルランド
1,677
1,046
2,145
オランダ
ベルギー
2,948
スウェーデン
スイス
4,024
イタリア
2,501
4,168
ドイツ
スペイン
8,325
フランス
ロシア
15,030
10,035
英国
62,847
ヨーロッパ計
トルコ
29.6
217,035
台湾
45.4
226,214
40.1
358,093
32.9 1,200,651
中国
1,018,348
アジア計
2月
29.1 1,386,982
伸び率
1,641,734
5月
5.3
5.0
12.9
11.8
8.1
5.0
−18.2
23.0
12.4
13.1
−0.3
6.8
2.3
−3.3
−39.7
−17.2
17.2
12.6
11.3
21.3
28.7
−0.9
−9.7
−23.5
9.9
2.9
22.5
14.7
8.3
8.4
39.1
28.8
85.2
23.7
59.4
23.4
37.9
17.4
33.1
18.6
50.7
30.0
112.9
57.0
63
4,022
24,827
29,241
2,804
5,424
3,229
20,708
92,184
116,842
2,567
1,097
1,429
1,480
1,042
1,565
2,434
1,739
2,083
3,402
4,269
3,424
5,578
4,275
7,873
14,340
20,324
19,882
102,667
1,617
1,355
1,693
5,129
11,328
12,319
27,847
18,859
25,797
24,593
81,015
120,626
339,677
387,170
315,389
52.6 1,384,930
43.3
伸び率
1,602,198
6月
6.8
26.5
33.9
33.0
−4.0
4.8
27.5
29.8
14.7
17.5
5.4
3.6
34.7
23.7
26.3
34.2
47.2
2.4
26.9
27.3
26.7
16.4
26.6
−15.2
33.7
18.5
36.6
18.0
23.5
46.1
28.9
9.3
69.3
15.0
56.0
44.2
27.7
14.1
34.7
30.1
70.4
20.5
133.5
61.5
54
3,820
22,695
26,891
2,152
4,353
3,356
16,725
102,103
122,846
2,093
1,014
1,318
1,075
1,558
1,530
1,866
1,863
1,520
2,325
3,201
3,685
5,269
3,756
6,410
10,537
13,500
16,839
82,754
1,304
1,602
1,019
6,720
8,588
13,043
18,619
17,119
18,525
29,167
43,390
137,014
345,243
462,248
251,504
56.5 1,363,207
49.6
伸び率
1,918,356
7月
8.0
18.3
7.7
9.0
−2.4
11.2
33.6
31.5
16.2
18.5
−3.8
6.5
16.6
14.6
19.8
20.9
71.0
20.3
21.2
21.3
21.9
21.2
51.8
−24.9
29.0
11.8
17.3
12.1
17.1
6.6
14.3
28.3
60.6
15.7
53.2
38.7
9.3
8.8
25.2
19.5
75.4
35.8
167.1
21.2
73
4,344
25,396
30,061
3,697
6,684
4,790
19,767
98,201
123,765
3,222
1,543
2,160
1,911
3,058
3,428
2,662
2,565
3,467
5,573
7,219
5,647
9,843
5,041
9,963
13,845
22,304
26,340
134,217
1,453
1,608
1,267
8,738
8,294
15,366
16,374
25,528
19,954
17,194
51,852
158,712
361,683
576,868
343,799
60.3 1,620,334
51.8
伸び率
1,817,023
8月
25.9
15.0
26.4
24.4
42.5
48.0
35.4
25.4
18.4
20.4
54.0
37.5
68.1
34.6
71.1
63.9
43.7
72.0
62.4
40.9
59.2
74.4
34.3
−13.2
44.0
18.8
19.6
34.2
34.4
26.2
2.3
23.5
92.1
14.6
40.0
48.4
52.0
22.8
31.8
20.9
74.0
29.5
105.1
37.1
71
3,740
17,878
21,880
2,072
4,511
2,826
17,758
76,926
98,376
3,328
1,184
2,240
1,706
911
1,195
2,261
1,196
1,910
3,024
3,765
2,640
13,520
4,826
16,658
13,405
21,199
20,466
118,791
1,414
1,821
1,125
13,381
8,680
13,770
14,794
9,777
12,301
12,616
31,289
141,466
313,929
591,510
390,971
56.3 1,570,066
51.0
伸び率
77.5
30.6
36.6
35.1
−2.6
14.5
35.2
24.9
20.4
21.7
45.0
25.4
30.6
34.2
19.6
20.8
45.4
16.7
38.1
35.2
23.4
18.1
27.6
−9.8
56.2
25.1
20.9
29.4
28.5
13.4
15.5
13.5
114.2
23.3
44.6
28.5
15.6
23.8
52.8
6.6
88.7
36.6
133.1
55.5
71.8
63.8
伸び率
65
5,299
34,712
40,356
2,795
5,734
3,139
17,703
76,279
97,967
3,046
1,241
1,449
1,613
1,307
1,483
2,470
1,478
2,045
3,259
4,138
3,097
7,604
4,216
8,368
14,542
15,276
22,699
102,847
1,752
1,816
3,298
5,751
9,098
15,569
15,843
12,855
21,307
18,716
34,385
115,242
302,897
491,201
301,645
1,362,193
1,612,208
9月
10月
27.5
18.4
13.3
13.9
−8.9
5.1
6.3
21.8
10.1
11.8
11.2
10.2
26.8
5.1
1.6
13.9
38.0
8.7
19.0
6.9
17.2
3.7
14.4
−16.3
19.0
14.3
12.3
9.9
11.9
52.0
9.4
95.0
74.9
19.1
46.0
25.1
18.7
32.5
32.4
10.7
64.9
37.2
99.6
38.6
55.5
64
4,137
29,621
34,113
3,332
6,517
3,319
21,902
96,208
122,333
3,346
1,357
1,769
1,911
1,808
2,733
3,160
2,113
2,865
5,025
5,730
5,170
8,381
5,230
10,192
18,840
23,871
26,221
135,290
1,515
1,774
2,118
6,208
9,719
21,391
25,685
16,753
28,488
25,205
86,001
129,080
343,601
445,562
370,842
1,527,602
46.7 1,829,265
伸び率
1,647,550
11月
3.2
17.0
23.5
22.5
−8.4
0.0
3.5
23.9
16.6
17.5
−4.1
7.0
18.3
15.1
29.3
20.8
50.3
−0.7
34.2
16.1
18.8
11.6
23.6
−23.0
15.0
14.4
18.3
7.9
14.1
−15.3
18.9
−33.1
54.7
18.5
40.5
32.2
37.5
18.6
25.1
8.3
66.9
32.0
99.6
48.6
82
3,542
29,463
33,328
2,485
5,442
3,115
20,797
88,707
113,534
2,681
1,169
1,581
1,565
1,349
1,709
2,063
2,234
2,039
2,696
4,448
3,937
5,014
5,593
7,213
14,723
16,277
21,577
101,704
1,595
1,611
1,672
7,151
9,507
14,592
24,443
14,197
39,481
38,205
76,145
130,776
296,499
362,950
359,845
51.1 1,390,779
43.8
伸び率
36.7
15.1
33.0
30.8
7.6
28.0
19.0
28.5
21.1
22.4
−3.5
12.7
35.8
11.9
13.7
9.9
42.3
43.6
27.7
10.2
28.2
10.0
20.5
−9.6
14.1
13.7
22.6
16.8
15.9
20.4
29.3
7.6
77.7
14.2
40.7
53.2
24.2
42.6
43.1
11.9
53.4
25.4
74.9
50.5
45.6
41.0
伸び率
79
4,989
49,359
54,616
2,778
14,868
3,170
21,970
89,912
115,641
2,126
1,076
1,852
1,165
1,254
1,142
919
1,872
1,380
2,319
3,313
3,391
4,871
3,913
8,402
10,173
14,255
19,410
85,289
1,057
1,735
806
11,741
6,685
10,344
32,679
29,312
50,264
67,001
93,478
157,425
265,811
347,034
415,656
1,500,511
1,773,130
12月
27.4
15.5
31.2
29.7
−9.4
224.1
40.6
24.2
22.3
23.1
19.2
4.9
31.6
2.2
32.0
14.7
18.0
9.3
19.1
2.7
21.4
2.4
46.0
−0.3
23.8
13.9
9.8
14.8
15.1
13.9
15.2
32.8
74.0
10.6
30.2
50.0
23.6
27.9
40.1
22.6
48.2
25.4
82.7
53.4
47.2
43.4
伸び率
848
49,402
376,075
429,026
34,017
74,198
36,808
231,390
1,033,258
1,310,606
31,918
14,318
18,666
18,184
18,597
21,717
24,296
22,655
24,354
40,398
49,973
46,977
77,186
54,365
103,198
162,580
214,228
258,488
1,244,970
17,274
19,890
21,928
84,261
103,084
185,395
268,361
205,083
305,447
308,783
796,731
1,524,292
3,677,075
4,993,689
4,002,095
16,645,843
19,737,409
28.4
18.7
24.3
23.5
5.3
30.5
20.9
26.5
15.9
17.8
12.6
13.7
29.3
18.1
22.1
21.3
35.9
15.2
28.6
21.9
25.4
17.1
27.5
−15.2
28.1
15.9
20.0
17.5
18.7
17.0
17.5
16.6
78.1
17.2
49.2
45.7
29.2
22.4
35.5
21.2
64.6
29.9
107.3
45.3
53.9
47.1
伸び率
(単位:人、%)
累計
1章
韓国
1,218,393
総数
1月
表1-4 2015年 訪日外国人旅客数(総数)
第
成田空港を取り巻く環境
第1章
3 貿易動向と航空貨物
ナスとなった。
❶ 貿易
輸出の地域別内訳では、アジアが前年度比2.8%減
財務省がまとめた2015年度の貿易統計(確定値)に
の39兆1975億円で3年ぶりの減少(東南アジア諸国
よると、2015年度の貿易収支は1兆873億円の赤字と
連合
〔ASEAN〕
は4.1%減の11兆205億円)
、
北米が5.8%
なり、赤字額は前年度より大幅に減少して88.1%減と
増の15兆9919億円で4年連続の増加、西欧が4.8%増
なった。赤字は2011年度から5年連続。
の8兆2295億円で3年連続の増加となった。また、大
2015年度の輸出入の内訳を見ると、輸出額が前年
洋州(オセアニア)は5.2%増とプラスに転じ、中東も
度比0.7%減の74兆1175億円となり、鉄鋼、有機化合
0.8%増とわずかながらプラスを維持したものの、中
物等の減少などにより、前年度比は3年ぶりのマイナス
南米は7.5%減、アフリカは19.2%減とマイナスに転じ、
となった。一方、輸入額は10.3%減の75兆2048億円で、
中東欧・ロシア等が19.6%減と引き続きマイナスだった
原粗油、液化天然ガス等の減少により、2年連続のマイ
(表1-5参照)
。
表1-5 地域(国)別輸出入(2015年度)
(単位:百万円、%)
輸出
価額
輸入
価額
伸び率
総額
74,117,450
−0.7
75,204,805
−10.3
−1,087,355
−88.1
アジア
中華人民共和国
香港
台湾
大韓民国
シンガポール
タイ
マレーシア
インドネシア
フィリピン
ベトナム
インド
39,197,505
13,002,049
4,086,265
4,388,725
5,137,853
2,284,708
3,231,664
1,410,833
1,312,564
1,138,330
1,456,353
969,242
−2.8
−3.1
−2.6
1.9
−6.7
−1.8
−5.5
−6.8
−15.9
3.5
5.4
7.7
37,274,515
19,066,954
232,552
2,791,862
3,089,197
941,523
2,405,947
2,315,076
2,296,156
1,045,269
1,824,919
559,071
−3.4
−0.6
22.1
6.8
−10.4
11.1
2.1
−24.4
−12.4
−2.8
8.9
−23.1
1,922,990
−6,064,905
3,853,713
1,596,863
2,048,656
1,343,185
825,717
−904,243
−983,592
93,061
−368,566
410,171
10.8
5.1
−3.7
−5.7
−0.6
−9.1
−22.3
−41.6
−7.2
279.7
25.1
136.3
(アジアNIEs)
15,897,550
−2.7
7,055,134
−0.6
8,842,416
−4.3
(ASEAN)
11,020,501
−4.1
11,327,366
−7.4
−306,865
−58.4
2,066,663
1,529,225
243,827
5.2
2.3
−4.4
4,459,963
3,853,250
276,917
−22.1
−23.0
−5.7
−2,393,300
−2,324,025
−33,090
−36.3
−33.8
−14.3
15,991,937
15,093,466
898,462
5.8
6.2
0.1
8,967,257
7,869,831
1,089,523
0.9
2.3
−8.0
7,024,680
7,223,635
−191,061
12.8
10.8
−33.4
中南米
ブラジル
メキシコ
チリ
3,319,531
416,938
1,233,642
205,955
−7.5
−18.7
3.8
12.0
2,976,331
879,987
595,679
677,864
−7.5
−13.2
26.0
−21.1
343,200
−463,049
637,963
−471,909
−7.6
−7.6
−10.9
−30.1
西欧
ドイツ
英国
フランス
オランダ
イタリア
ベルギー
スイス
スウェーデン
アイルランド
スペイン
8,229,497
1,950,036
1,407,950
638,487
1,380,637
497,884
628,856
324,072
162,155
108,061
290,328
4.8
−2.7
15.3
1.3
0.0
27.6
6.0
2.4
12.0
−40.4
12.6
9,420,793
2,421,790
800,603
1,132,150
317,773
919,923
264,650
893,057
229,825
998,683
438,368
7.5
−3.8
16.2
−3.2
−24.2
1.4
0.3
14.3
2.6
186.8
−2.7
−1,191,296
−471,754
607,347
−493,663
1,062,864
−422,039
364,206
−568,985
−67,670
−890,622
−148,040
30.5
−7.8
14.1
−8.5
10.6
−18.4
10.5
22.4
−14.7
433.7
−23.1
中東欧・ロシア等
ロシア
1,287,114
561,822
−19.6
−36.5
2,412,444
1,697,051
−19.5
−30.4
−1,125,330
−1,135,229
−19.3
−26.9
大洋州
オーストラリア
ニュージーランド
北米
アメリカ合衆国
カナダ
伸び率
差引
価額
伸び率
(EU)
8,103,469
5.2
8,729,669
8.0
−626,200
63.4
中東
アラブ首長国連邦
サウジアラビア
クウェート
イラン
3,090,290
1,025,103
774,539
221,057
36,483
0.8
−0.6
−5.6
6.7
27.7
8,497,301
2,554,674
2,764,129
685,250
345,978
−39.1
−36.2
−36.6
−38.5
−39.6
−5,407,011
−1,529,571
−1,989,590
−464,193
−309,495
−50.3
−48.5
−43.8
−48.9
−43.1
アフリカ
南アフリカ共和国
934,914
297,849
−19.2
−14.9
1,196,023
555,131
−28.6
−9.5
−261,109
−257,282
−49.7
−2.4
出典:財務省貿易統計
(注)
「シンガポール」は、
アジアNIEs、ASEAN双方に含まれる。
「伸率」
は対前年伸率
(%)
を示す。
3. 貿易動向と航空貨物
53
第
1章
成田空港を取り巻く環境
主要商品別の輸出額では、輸送用機器(輸出全体
減の37兆2745億円と、2009年度以来6年ぶりのマイ
に占める構成比は24.5%でトップシェア)が前年度比
ナスとなった(ASEANは7.4%減の11兆3274億円)
。一
5.2%増、一 般機械(同19.0%)が3.1%減、電気機 器
方、北米は0.9%増の8兆9673億円で6年連続の増加
(同17.6%)が0.3%増、原料別製品(同11.9%)が8.6%
となったほか、西欧が7.5%増の9兆4208億円で、前
減、化学製品(同10.2%)が3.4%減となった。また、各
年に記録した過去最高額をさらに上回った。なお、大
主要商品のサブカテゴリーで、輸送用機器では自動車
洋州は22.1%減と大幅なマイナスに転じたほか、中南
が7.7%増、電気機器では半導体等電子部品が0.3%増
米は7.5%減、中東欧・ロシア等が19.5%減、中東が
とプラスの伸びを続けているが、一般機械で原動機が
39.1%減、アフリカが28.6%減と引き続きマイナスだっ
2.1%減、原料別製品で鉄鋼も15.6%減とマイナスに転
た(表1-5参照)。
じ、化学製品のうちの有機化合物が14.3%減と引き続
主要商品別では、鉱物性燃料(輸入全体に占める構
きマイナスとなった(表1-6参照)。
成比は21.4%でトップシェア)が36.0%減と引き続き2
輸入の地域別内訳を見ると、アジアは前年度比3.4%
桁のマイナス。電気機器(同15.7%)は1.6%増、化学
表1-6 主要商品別輸出(2015年度)
品名
(単位:百万円、%)
世 界
単位
数量
伸び率
総額
構成比
伸び率
増減寄与度
100.0
−0.7
1 食料品
598,753
0.8
16.4
0.1
2 原料品
1,081,717
1.5
−9.9
−0.2
3 鉱物性燃料
1,142,586
1.5
−20.7
−0.4
4 化学製品
有機化合物
医薬品
プラスチック
7,573,548
1,996,689
485,893
2,376,417
10.2
2.7
0.7
3.2
−3.4
−14.3
31.8
−3.6
−0.4
−0.4
0.2
−0.1
8,789,724
3,380,885
1,351,915
1,207,962
728,201
879,468
942,410
278,105
11.9
4.6
1.8
1.6
1.0
1.2
1.3
0.4
−8.6
−15.6
−9.5
0.2
2.6
−1.5
−8.6
6.4
−1.1
−0.8
−0.2
0.0
0.0
−0.0
−0.1
0.0
14,055,195
2,528,765
372,938
1,144,673
1,185,388
1,245,150
938,751
644,335
404,564
224,408
462,731
19.0
3.4
0.5
1.5
1.6
1.7
1.3
0.9
0.5
0.3
0.6
−3.1
−2.1
−0.3
−5.8
−16.4
−1.8
−8.4
−4.7
−3.7
−0.7
−4.8
−0.6
−0.1
−0.0
−0.1
−0.3
−0.0
−0.1
−0.0
−0.0
−0.0
−0.0
13,033,714
3,828,513
2,578,360
559,442
438,989
120,453
50,997
353,270
902,733
719,950
1,454,988
1,791,755
456,228
17.6
5.2
3.5
0.8
0.6
0.2
0.1
0.5
1.2
1.0
2.0
2.4
0.6
0.3
0.3
0.0
−6.1
−10.1
11.8
−2.9
3.7
−7.4
12.1
1.6
−4.9
0.1
0.1
0.0
0.0
−0.0
−0.1
0.0
−0.0
0.0
−0.1
0.1
0.0
−0.1
0.0
5 原料別製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
織物用糸・繊維製品
非金属鉱物製品
ゴム製品
紙類・紙製品
6 一般機械
原動機
電算機類(含周辺機器)
電算機類の部分品
金属加工機械
ポンプ・遠心分離機
建設用・鉱山用機械
荷役機械
加熱用・冷却用機器
繊維機械
ベアリング
7 電気機器
半導体等電子部品
(IC)
映像機器
(映像記録・再生機器)
(テレビ受像機)
音響機器
音響・映像機器の部分品
重電機器
通信機
電気計測機器
電気回路等の機器
電池
8 輸送用機器
自動車
(乗用車)
(バス・トラック)
自動車の部分品 二輪自動車
船舶
9 その他
科学光学機器
写真用・映画用材料
記録媒体(含記録済)
トン
千トン トン
トン
千台
3. 貿易動向と航空貨物
6,081,059
1.9
41,081
1,425,362
−1.9
1.4
1,691,532
10.2
14,737
−24.3
−0.7
百万個 千台
千台
千台
千台
55,114
12,326
7,799
4,527
104,018
−5.2
−12.3
−9.2
−17.2
−28.7
台 台 台 トン
千台
総トン 5,838,808
4,993,366
787,079
2,580,363
808
13,308,003
0.9
1.9
−4.8
−5.2
−6.5
2.1
18,174,727
12,056,136
10,457,276
1,502,315
3,423,401
287,369
1,437,390
24.5
16.3
14.1
2.0
4.6
0.4
1.9
5.2
7.7
9.0
−0.6
−2.3
−9.1
7.2
1.2
1.2
1.2
−0.0
−0.1
−0.0
0.1
−13.1
9,667,487
2,260,952
476,870
225,831
13.0
3.1
0.6
0.3
4.3
−8.9
1.4
4.6
0.5
−0.3
0.0
0.0
千個
出典:財務省貿易統計
(注) 「伸率」は対前年伸率(%)を示す。
「増減寄与度」は前年に対する増減寄与度。
54
価額
74,117,450
307,323
輸入で増加したのは、原動機の16.6%増、航空機類の
増と引き続き増加したが、
原料別製品
(同9.1%)
は3.8%
6.5%増、非鉄金属の25.4%増など。減少したのは穀物
減とマイナスに転じた(表1-7参照)。
類などだった。
主要地域・国別の動向で対米貿易は、輸出が前年度
対EU貿易は、輸出が前年度比5.2%増の8兆1035億
比6.2%増の15兆935億円で4年連 続で増加。輸入は
円で3年連続の増加。輸入は8.0%増の8兆7297億円
2.3%増の7兆8698億円と6年連続の増加となった。こ
で、3年連続で過去最高を更新。貿易収支は6262億円
れにより対米貿易収支は7兆2236億円の黒字で、黒字
の赤字となり、前年度比63.4%増と赤字幅は拡大した。
額は10.8%増と4年連続での増加となった。商品別の輸
輸出では自動車が15.5%増と引き続き増加、船舶の
出では自動車の17.6%増、医薬品の105.2%増、原動機
272.6%増、自動車の部分品の16.1%増なども増加。輸
の4.1%増などが引き続き増加。一方で、鉄鋼、金属加
入では医薬品が59.4%増、有機化合物が10.0%増、科
工機械、自動車の部分品などが減少した。米国からの
学光学機器が6.5%増などと増加したが、航空機類と
表1-7 主要商品別輸入(2015年度)
品名
(単位:百万円、%)
世界
単位
数量
伸び率
総額
1 食料品
魚介類
(えび)
肉類
穀物類
野菜
果実
2 原料品
木材
非鉄金属鉱
鉄鉱石
大豆
3 鉱物性燃料
原油及び粗油
石油製品
(揮発油)
液化天然ガス
液化石油ガス
石炭
(一般炭)
4 化学製品
有機化合物
医薬品
5 原料別製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
織物用糸・繊維製品
非金属鉱物製品
木製品等(除家具)
6 一般機械
原動機
電算機類(含周辺機器)
電算機類の部分品
7 電気機器
半導体等電子部品
(IC)
音響映像機器(含部品)
(映像記録・再生機器)
重電機器
通信機
電気計測機器
8 輸送用機器
自動車
自動車の部分品
航空機類
第1章
製品(同10.3%)は11.4%増、食料品(同9.2%)は0.5%
価額
構成比
伸び率
増減寄与度
75,204,805
100.0
−10.3
−10.3
1.2
2.6
1.4
−1.3
−1.6
0.4
6,893,516
1,568,664
208,141
1,370,417
835,618
540,501
539,113
9.2
2.1
0.3
1.8
1.1
0.7
0.7
0.5
1.8
−4.1
−0.2
−7.2
6.3
10.5
0.0
0.0
−0.0
−0.0
−0.1
0.0
0.1
12,304
129,482
3,155,714
−1.2
−5.3
6.3
4,551,027
394,055
1,289,914
991,966
191,429
6.1
0.5
1.7
1.3
0.3
−17.7
−4.6
−17.3
−37.4
−5.4
−1.2
−0.0
−0.3
−0.7
−0.0
千KL
199,210
2.9
千KL
千トン
千トン
千トン
千トン
30,433
83,571
10,913
191,550
112,092
6.8
−6.2
−6.5
2.1
1.7
16,067,519
7,372,079
1,643,510
1,261,924
4,547,766
577,895
1,864,053
1,019,497
21.4
9.8
2.2
1.7
6.0
0.8
2.5
1.4
−36.0
−37.8
−32.0
−28.6
−41.4
−38.6
−8.6
−8.6
−10.8
−5.4
−0.9
−0.6
−3.8
−0.4
−0.2
−0.1
7,778,247
1,629,224
3,048,970
10.3
2.2
4.1
11.4
3.6
33.8
0.9
0.1
0.9
6,820,754
806,599
1,562,372
1,251,549
965,107
764,465
796,107
9.1
1.1
2.1
1.7
1.3
1.0
1.1
−3.8
−15.5
−10.9
2.4
1.8
2.9
0.9
−0.3
−0.2
−0.2
0.0
0.0
0.0
0.0
6,970,534
1,151,825
1,931,076
489,184
9.3
1.5
2.6
0.7
2.7
12.9
−4.7
1.5
0.2
0.2
−0.1
0.0
11,796,478
2,880,756
2,025,107
1,192,210
267,983
630,040
2,910,921
706,767
15.7
3.8
2.7
1.6
0.4
0.8
3.9
0.9
1.6
−1.0
11.8
−2.0
−5.6
−2.2
1.7
7.2
0.2
−0.0
0.3
−0.0
−0.0
−0.0
0.1
0.1
3,089,869
1,127,477
869,264
726,282
4.1
1.5
1.2
1.0
2.1
−0.1
4.5
1.9
0.1
−0.0
0.0
0.0
11,236,860
1,662,943
3,382,180
773,956
593,528
14.9
2.2
4.5
1.0
0.8
3.9
4.6
1.7
3.7
6.7
0.5
0.1
0.1
0.0
0.0
トン
トン
トン
トン
トン
トン
2,135,732
162,077
2,643,035
24,232,395
2,696,572
2,443,461
千トン 千トン トン
KG
96,174,507
−0.5
トン
トン
7,727,682
2,974,484
−7.7
−14.0
千台
83,678
−9.8
20,220
5.7
千台
24,208
3.8
台
336,925
−1.7
百万個 9 その他
科学光学機器
衣類・同付属品
家具
バッグ類
出典:財務省貿易統計
(注) 「伸率」は対前年伸率(%)を示す。
「増減寄与度」は前年に対する増減寄与度。
3. 貿易動向と航空貨物
55
第
1章
成田空港を取り巻く環境
液化天然ガスなどが減少した。
か、航空貨物取扱額は、輸出入とも引き続きプラスの
アジアとの貿易で、日本からの輸出は前年度比2.8%
伸びを維持した。日本関税協会の「外国貿易概況」に
減の39兆1975億円と、3年ぶりのマイナスとなった。輸
よると、輸出額は前年度比3.2%増の20兆4873億円で
入も3.4%減の37兆2745億円にとどまり、6年ぶりのマ
伸び率は3年連続のプラス。輸入額は同8.3%増の20
イナスとなった。これにより対アジアの貿易収支は1兆
兆3522億円となり、伸び率は4年連続のプラス。貿易
9230億円の黒字となり伸び率は10.8%増と、2年連続
収支は2年連続での出超となっている(表1-8参照)
。
での増加となった。商品別でも、輸出入とも減少品目
航 空貨 物が貿易額 全 体に占める割 合は、輸出が
が目立つが、輸出では鉄鋼の16.9%減、鉱物性燃料の
27.6%、輸入は27.1%で、輸出は前年度を1.0ポイント、
28.8%減、有機化合物の13.8%減などが減少。輸入で
輸入は4.7ポイント上回り、輸入のシェアアップが目立った。
は液化天然ガスの35.7%減、石油製品の42.0%減、原
輸出品目で価額が最も多いのは半導体等電子部
粗油の45.5%減などが減少している。
品だが、2015年度はほぼ前年度並みの3兆5492億円
アジアの中でも大きな位置を占める対中国貿易も、
にとどまった。これに次ぐ化学製品は同0.6%減の1兆
輸出・輸入とも伸び率がマイナスに転じた。輸出が前
6619億円、科学光学機器も同6.5%減の1兆3315億円
年度比3.1%減の13兆20億円で3年ぶりの減少、輸入
と、伸びは前年度のプラスからマイナスに転じた。映像
は0.6%減の19兆670億円で6年ぶりの減少となった。
機器も前年度に引き続きマイナスながら、機械機器全
これによる対中国の貿易収支は6兆649億円の赤字と
般としては同1.0%増とプラスの伸びを保った。輸出の
なり、前年度の赤字額をさらに5.1%上回って過去最大
中で高い伸びを示したのは、医薬品(前年度比39.8%
の赤字額となった。商品別で輸出では、有機化合物が
増の3883億円)
、衣 類および付属品(同21.0%増の
14.0%減、科学光学機器が9.1%減、鉄鋼が12.4%減な
どと減少。輸入では、通信機が5.4%増と引き続き増加
したものの、半導体等電子部品が20.0%減とマイナス
に転じ、電算機類(含周辺機器)が5.9%減、衣類・同
付属品が3.3%減などと引き続き減少した。
❷ 航空貨物
2015年度の貿易収支は1兆873億円の赤字ながら、
表1-8 航空貨物取扱額の推移
(単位:百万円)
年度
輸出額
輸入額
2011
17,283,770
14,544,405
2012
15,907,023
15,457,908
2013
17,753,699
18,163,132
2014
19,852,706
18,793,856
2015
20,487,314
20,352,238
赤字額は前年度より大幅に減少して88.1%減となるな
出典:日本関税協会「外国貿易概況」
表1-9 航空貨物主要商品別輸出入額(2015年度)
(単位:百万円、%)
輸出
品名
食料品
繊維および同製品
輸入
価額
前年度比
品名
72,014
128.0
食料品
145,707
105.9
生きた動物
織物
63,437
103.4
原料および燃料
衣類および同付属品
35,778
121.0
工業用ダイヤモンド
1,661,854
99.4
医薬品
388,305
139.8
医薬品
非金属鉱物製品
284,021
103.4
機械機器
31,783
119.4
航空機用内燃機関
金属および同製品
648,505
92.4
金属製品
337,705
101.5
音響・映像機器
機械機器
12,655,729
101.0
半導体等電子部品
化学製品
真珠
化学製品
事務用機器
価額
前年度比
256,989
101.4
22,158
106.9
109,082
99.0
6,460
93.8
3,746,510
127.9
2,669,818
137.1
12,590,352
104.5
535,769
118.7
1,345,963
94.4
385,107
93.3
2,288,315
108.4
事務用機器
495,523
93.6
電気計測機器
520,333
103.7
映像機器
313,082
96.3
航空機
639,060
101.1
科学光学機器
13,157
92.2
1,258,515
104.5
3,549,225
100.0
時計および部分品
355,587
118.5
電気計測機器
595,061
101.2
非鉄金属
453,896
107.0
航空機
299,192
105.1
金属製品
195,085
98.5
1,331,470
93.5
3,649,305
105.6
102,323
107.9
26,387
98.5
音響機器
半導体等電子部品
科学光学機器
時計および部分品
その他
94,608
96.0
5,019,483
112.0
その他
ダイヤモンド
貴石および半貴石
出典:日本関税協会「外国貿易概況」
56
3. 貿易動向と航空貨物
8.4%増と好調で、2兆2883億円と、2兆円の大台を2
19.4%増の318億円)などだった。
年連続で突破している。このほか伸び率が高かったの
輸入では、最も多い化学製品が3兆7465億円で前
は、航空機用内燃機関(前年度比18.7%増の5358億
年度比27.9%増と大幅な伸びを示したのが特徴。ま
円)
、時計および部分品(同18.5%増の3556億円)な
た、医薬品も同37.1%増と大幅な伸びで2兆6698億円
どだった。一方で事務用機器は同5.6%減の1兆3460
と2兆円の大台を突破し、価額で第2位となった。2015
億円と、前年度のプラスからマイナスに転じた(表1-9
年度は価額で第3位に後退した半導体等電子部品も同
参照)
。
第1章
358億円)
、食料品(同28.0%増の720億円)
、真珠(同
4 航空市場動向
国際航空運送協会(IATA)が発表した2015年の年
州と北米を合わせた3大地域市場の中では、最も高い
間輸送データによると、旅客需要は前年比6.5%増と
伸びとなった。2015年にはアジア太平洋地域の域内2
好調で、2014年の伸び率をさらに0.6ポイント上回っ
空港を結ぶダイレクト路線が7.3%増を示しており、航
た。一方、航空貨物需要は前年比2.2%増の伸びにと
空旅客に時間短縮というメリットをもたらし、域内にお
どまり、減速傾向となった。
ける航空需要を刺激する結果ともなっている。輸送力
も前年比6.4%の増加を記録したものの、ロードファク
(1)IATA年間輸送データ:旅客需要
ターは1.3ポイント上昇して78.2%を示している。
2015年における世界全体の航空旅客需要は、有償
欧州地域は前年比5.0%増を記録した。輸送力は同
旅客キロ(RPK)ベースで前年比6.5%増となった。世
3.8%増を示しており、ロードファクターは1.0ポイント
界金融危機からの回復を示した2010年以降では最も
上昇して82.6%となり、各地域におけるロードファク
高い伸びを示しており、過去10年間における年間平均
ターの数値としては最も高い水準に達している。こうし
伸び率である5.5%を1.0ポイントも上回る水準に達し
た堅調な結果には、ユーロ圏における消費支出が拡大
ている。2015年における経済的なファンダメンタルズ
したことや域内における航空便数も緩やかながら増加
は、2014年に比べて弱まったにも関わらず、航空旅客
したことなどが貢献している。
需要は低運賃によって押し上げられる結果となった。
北米地域は前年比3.2%増を記録して、2014年にお
IATAのトニー・タイラー事務総長兼CEO(当時)は、
ける伸び率とほぼ同水準となった。航空輸送力は同
2015年における世界の航空旅客需要について、
「世界
3.1%増を示しており、ロードファクターを0.1ポイント
的な経済減速という逆風にも関わらず、航空輸送ネッ
押し上げて81.8%としている。
トワークに対する需要が根強いものであることを証明
中東地域は前年比10.5%増を記録して、世界の各地
する結果となった」と指摘。一方、
「航空旅行への意欲
域の中で最も高い伸び率となった。この結果、世界の
は増しているが、それは、2014年よりも低下した航空
航空旅客需要に占める中東地域のシェアは14.2%に達
運賃によって後押しされているものだ」とマーケットの
して、北米地域の13.4%を上回った。しかし、2015年
状況を分析している。
における中東地域の航空輸送力は前年比13.2%増を
航空輸送力は前年比5.6%増を記録しており、世界
記録して、航空旅客需要の伸びを上回り、ロードファ
全体でのロードファクターは0.6ポイント上昇して、年
クターは1.7ポイント低下して76.4%にとどまった。
間の数値としては過去最高の80.3%を示した。2015年
中南米地域は前年比9.3%増を記録した。輸送力は
は世界の全ての地域で、航空旅客需要が前年比でプラ
同9.2%増を示しており、ロードファクターは0.1ポイン
スの伸びを記録しており、特に、アジア太平洋地域の
ト上昇して80.1%となった。域内における主要経済国、
航空会社における旅客需要の伸びは、世界全体の伸
特にブラジルで経済の低迷が続いているものの、域内
びの3分の1を占めている。
全体の航空需要は活発な動きを維持している。
2015年における国際線旅客需要は、前年比6.5%増
アフリカ地域の伸び率は、世界各地域の中では最も
を記録した。輸送力が同5.9%増だったことから、国際
低い前年比3.0%増にとどまったものの、2014年にお
線のロードファクターは0.5ポイント上昇して79.7%を
ける同0.9%増からは大きく伸び率を拡大している。航
示している。2015年は世界の全地域で、国際線航空
空輸送力の伸びは、航空旅客需要の伸びの半分程度
旅客需要が前年比で増加を記録した。
にとどまっていることから、ロードファクターは1.0ポイ
アジア太平洋地域は前年比8.2%増を記録して、欧
ント上昇して68.5%となった。
3. 貿易動向と航空貨物 4. 航空市場動向
57
第
1章
成田空港を取り巻く環境
一方、2015年における国内線航空旅客需要は、前
改善を示している。
年比6.3%増を記録した。全ての国内市場で成長を示
北米地域は前年比0.1%増を記録し、ロードファク
しているが、インドと中国が全体の伸びを牽引する形
ターは34.3%を示している。2015年の年初には、航空
となっている。航空輸送力は同5.2%増を示しており、
貨物需要が順調な出足を見せたものの、西海岸の港
ロードファクターは2014年の水準から0.9ポイント上昇
湾におけるストライキによって、需要が伸び悩む結果と
して81.5%に達している。
なった。米国経済の各種データは明暗が分かれており、
航空貨物需要の先行きも不透明感が漂っている。
(2)IATA年間輸送データ:貨物需要
南米地域は前年比6.0%減を記録し、各地域の中で
2015年の航空貨物需要は、有償トンキロ
(FTK)ベー
は最も大きな落ち込みとなった。ロードファクターは
スで前年比2.2%増の伸びにとどまった。この伸び率
38.3%にとどまっている。中南米地域では、ブラジル
は、2014年における同5.0%増を下回っており、欧州地
における経済・政治状態の悪化や域内貿易の不安定
域やアジア太平地域における貿易の停滞を反映する形
な動きが続いている。
となった。
中東地域は前年比11.3%増を記録し、ロードファク
2015年の国際航空貨物需要は、年初こそ好調な滑
ターは42.8%となった。2015年は域内の各国経済が
り出しを見せたものの、需要規模が徐々に縮小し始め
好調に推移して、域内航空会社による新興国への路線
て、下半期の後半に世界貿易が部分的に改善を示すま
拡大も進み、航空貨物需要も順調な伸びを示した。政
で、年間のほとんどで減少傾向が続いた。世界の航空
治的不安定や石油価格の低下などは、域内における一
貨物市場で39%のシェアを占めるアジア太平洋地域で
部の国で経済に影響を与えたものの、域内全体の経済
は、前年比2.3%増と緩やかな伸びを記録したものの、
は航空貨物需要を押し上げるには十分な勢いを維持
全体の43%を占める主要市場の欧州地域と北米地域
した。
では、前年並みにとどまっている。
アフリカ地域は前年比1.2%増を記録した。ロード
また、中東地域が同11.3%増と高い伸びを記録し、
ファクターは29.7%にとどまって、他のどの地域よりも
アフリカ地域も同1.2%増と緩やかながらプラスを示
低い水準となっている。アフリカ地域では、ナイジェリ
す一方、中南米地域は同6.0%減と大きく落ち込んで、
アと南アフリカが経済不振に陥って、年間を通じて地
2015年の航空貨物市場は、地域によって明暗を分け
域経済に影響を及ぼす形となったものの、アフリカ地
る結果となった。
域における貿易は域内・域外ともに順調に推移し、航
IATAのトニー・タイラー事務総長兼CEOは、
「航空
空貨物需要の緩やかな伸びを支えるには十分なもの
貨物市場にとって、2015年は再び非常に難しい年に
となった。
なった」と振り返り、
「需要が伸び悩むと同時に売り
58
上げも減少した」と指摘。同事務総長兼CEOによると、
(3)ボーイング社最新市場予測
2011年に過去最高の670億ドルの売り上げを記録し
ボーイング社が2016年7月に発表した「2016年最新
た航空貨物市場では、2016年における売り上げが510
市場予測(2016 Current Market Outlook)
」によると、
億ドルを下回る見通しで、世界的なサプライチェーンの
今後20年間における新造機の需要は、昨年の予測値
短縮化や貨物市場の競争激化に対応するため、
「効率
を4.1%上回る3万9620機と見込まれている。新造機の
化を進めることが喫緊の課題」となっている。
販売総額は、5兆9000億ドルに達する見通し(表1-10
アジア太平洋地域における2015年の航 空貨物取
参照)
。
扱量は前年比2.3%増を記録して、ロードファクターは
ボーイング民間航空機部門のランディ・ティンゼス・
53.9%を示し、地域における伸び率としては最も高い
マーケティング担当副社長は、
「民間航空機の市場規
水準となった。アジア太平洋地域における航空貨物
模が倍増して長期的成長も続くものとみられ、旅客数
需要は、中国の経済政策が国内消費優先へとシフト
は今後20年にわたって年間平均で4.8%増の成長が見
したことによる影響を受けているほか、2015年の年
込まれる」と説明している。
央には、域内の新興国における輸出入が減少したもの
特に単通路機市場では、ローコストキャリア(LCC)
の、下半期に入るとマイナス傾向も底を打って回復に向
と新興国マーケットが需要を力強く牽引すると予想さ
かった。
れ、新造機の需要は昨年の予測値を5%以上も上回る
欧州地域は前年比0.1%減にとどまり、ロードファク
2万8140機に及ぶものと見込まれている。
ターは44.9%を記録している。ユーロ圏における経済
ティンゼス副社長は、
「最新鋭のボーイングMAX8
は抑制された状態が続いており、航空貨物需要も低迷
とB737-800型機が単通路機市場の中核を形成すると
を強いられる結果となっているものの、輸入の動きは
みられる。このサイズの航空機は世界の単通路機受注
4. 航空市場動向
いる。
で明らかに優位性を保っている」としている。
中国やインドなどの新興国経済では、GDPに占める
一方、広胴型機市場では、新造機需要が9100機と
個人消費の割合が高くなり、GDPの拡大とともに航空
見込まれ、2021年から2028年までの8年間で、潜在的
旅客需要の増加を牽引する要因になると予想される。
な代替需要の大きな波が生じると予測している。ボー
新興国における中間層は、2035年までに35億人に増
イング社では引き続き、超大型機からB787/B777/
加する見通しで、航空旅客需要を支える大きなセグメ
B777Xといった中小型広胴型機へのシフトが進むと予
ントになるとみられる。
想している。
世界的には、人口の62%が都市部に集中するように
また、今後20年間における航空貨物輸送量は、年
なり、長距離国際線における旅客数が1日1万人以上の
間平均4.2%増というペースで拡 大 すると予測され、
第1章
残の76%に相当し、ボーイングの機材はこのセグメント
「航空大都市」の数も、現在の55都市から2035年まで
ボーイング社では、新造貨物専用機930機と改造貨物
に93都市に増加すると予測されている。これらの都市
機1440機の需要が生じると見込んでいる。
は、世界のGDPの35%を占めるようになる見通しで、既
に多くの混雑空港を抱えている航空大都市を出発地・
(4)エアバス社最新市場予測
目的地としたり、経由地とする1日当たりの長距離旅客
エアバス社は2016年7月、最新の航空機市場予測
数も250万人に倍増する見通しだ。
“Global Market Forecast”を発表し、今後20年間にお
広胴型機市場では、機体サイズが大きくなる傾向が
ける航空旅客需要が年間平均4.5%の伸びを維持し、
続くと予想され、今後20年間で9500機以上が必要に
100席以上の旅客機は3万2425機、10トン以上の貨物
なると予測。総販売額では2兆8000億ドルに達すると
機は645機、合わせて3万3000機以上の新造機需要
見込まれている。新造機の引き渡し総数に占める広胴
が発生するという見方を明らかにした。総販売額では、
型機の割合は29%だが、販売額では54%に達するも
5兆2000億ドル以上に達する見通しという。
のとみられている。広胴型機の引き渡し数が最も多い
同社によると、世界で現在運航されている1万9500
のはアジア太平洋地域で、その割合は46%に達すると
機の航空機数は、2035年までに4万機に倍増すると見
予測されている。
込まれており、約1万3000機の旅客機と貨物機が、燃
単通路型機市場では、今後20年間で2万3500機以
費効率の高い航空機にリプレースされるものとみられ
上の需要が見込まれ、販売総額では2兆4000億ドル
ている。
に達する見通しだ。単通路型機の需要は、新造機需要
今後20年間における航空旅客需要の伸びは、都市
全体の71%を占め、単通路型機の引き渡し数でも、ア
化の進展とアジアの新興国における経済発展が支える
ジア太平洋地域が39%を占めるとみられている。
ことになり、60億人以上の人口を持つ新興国地域にお
ける航空旅客需要は、年間平均5.6%増という成長ペー
スを続け、航空旅行の需要規模は新興国人口の75%
に急増すると予想されている。
中国の国内航空需要が今後10年間で世界最大にな
るとみられるほか、欧州や北米などの先進国地域では、
航空旅客需要の年間平均成長率は3.7%と見込まれて
表1-10 新造機のデリバリー機数/2016年〜2035年
(ボーイング社予測)
(1)機種別
機種
リージョナル機(90席以下)
機数
金額(10億ドル)
2,380
110
28,140
3,000
小型ワイドボディ
(200〜300席)
5,100
1,350
中型ワイドボディ
(300〜400席)
3,470
1,250
530
220
39,620
5,900
単通路機(90〜230席)
大型ワイドボディ
(400席以上)
計
(2)エリア別
エリア
アジア太平洋地域
機数
15,130
北米
8,330
ヨーロッパ
7,570
中東
3,310
南米
2,960
アフリカ
1,150
C.I.S
1,170
計
39,620
4. 航空市場動向
59
第
1章
成田空港を取り巻く環境
2
Part
成田空港の運用状況
1 2015年度運用状況
を牽引したのは、台湾・香港を中心にしたアジア方面
❶ 航空機発着回数
の路線。主な増加要因としてアジア路線では、全日本
成田空港における2015年度の航空機発着回数は、
空輸によるシンガポール線とバンコク線の増便、クア
総 発 着 回 数 が2014年 度 の22万8220回 を3%
(6970
ラルンプール線の開設や、タイ・エアアジアXのバン
回)上回る23万5190回となり、4年連続で最高値を更
コク(ドンムアン)線とクアラルンプール線の開設な
新した。また、国際線・国内線とも旅客便の発着回数
どがあった。香港線ではバニラエア、香港エクスプレ
が過去最高となったため、初めて23万回を突破した。
ス、ジェットスター・ジャパンが路線開設と増便を実施。
国際線は、過去最高となる18万3635回で、2014年
台湾線でもバニラエアとタイガーエア台湾による路線
度を3%
(6009回)上回った。最高値の更新は2007年
開設などがあった。
度以来8年ぶり。欧州・韓国路線で運休等の影響が
あったものの、主に2015年夏ダイヤ以降の全日本空輸
図1-12 国際線路線別発着回数(2015年度)
とLCCの新規就航および増便などにより、台湾・香港
を中心にアジア方面の便が好調だった。
このうち旅 客 便 は15万7713回 で2014年 度 を4%
(6516回)上回り過去最高(従来の過去最高は2013
年度の15万3654回)
。一方、貨物便は減少に転じ、2%
(1)旅客便
グアム線
その他 279(+2,225)
オセアニア線 5,661
5,155(-0) (-10)
香港線
9,866(+37)
(472回)減の2万3800回となり、歴代第9位となった。
国内線は、本邦LCCによる路線開設や増便などによ
り、2014年度を2%
(961回)上回る5万1555回で、14
年連続での最高記録を更新している。
なお、開港以来の累計発着回数は2015年6月2日に
500万回を突 破し、2015年度 末では519万6135回と
なっている(図1-11、表1-12参照)
。
(1)国際線旅客便
太平洋線
35,092
(+1)
台湾線
15,252
(+31)
発着回数
157,713回
(+4)
韓国線
13,418
(-7)
中国線
23,153
(+1)
欧州線
13,631
(-8)
アジア線
36,206
(+7)
開港以来の最高を記録した国際線旅客便発着回数
(2)貨物便
図1-11 航空機発着回数シェア内訳(2015年度)
国内線その他 0.3%(-33)
国内線貨物便 0.4%
(+16)
国際線その他 0.9%
(-2)
国際線貨物便
10.1%
(-2)
国内線旅客便
21.2%
(+2)
オセアニア線
239(-11)
香港線
3,244
(-4)
発着回数
235,190回
(+3)
台湾線
1,383(+2)
韓国線
2,543
(-9)
国際線旅客便
67.1%
(+4)
( )内は、発着回数の前年度比(%)
60
1. 2015年度運用状況
グアム線 1(-)
その他 853(+15)
太平洋線
4,636
(-10)
発着回数
23,800回
(-2)
中国線
7,285
(+8)
( )内は、前年度比(%)
欧州線
1,718(+3)
アジア線
1,898
(-13)
から運休した影響があったものの、2014年8月からの
ヴァージンアトランティック航空が2014年2月2日で成
Spring Japanの新規就航や、2015年夏ダイヤからの
田線を運休したほか、ターキッシュエアラインズがイス
ピーチ・アビエーションの札幌線と福岡線の開設に加
タンブール線を減便。ソウル線ではバニラエアの運休、
え、ジェットスター・ジャパンとバニラエアの増便など
日本航空の減便があった。
により好調に推移した。貨物便などを合わせた国内線
路 線別では、太平洋線 が3万5092回で前年を1%
全体では2%増の5万1555回で、2002年度以降、14年
(383回)上回ったが、欧州線は8%
(1260回)減の1万
連続で最高記録の更新を続けている(表1-11参照)
。
第1章
一方 で、1989年からロンドン 線 を 運 航して いた
3631回と前年を大きく下回った。アジア線は3万6206
回で7%
(2370回)増と好調な伸び。中国線は2万3153
(4)航空会社別
回で1%
(117回)増と、前年のマイナスからプラスに転
2015年度の国際線航空会社別発着回数で、旅客便
じた。韓国線は1万3418回で7%
(987回)減と引き続
は29社が発着回数1000回以上となった。このうちトッ
きマイナスだったが、需要が好調な台湾線と香港線は
プ10の航空会社では、増加したのが3社にとどまり、7
極めて高い伸びを示した。台湾線は31%
(3628回)増
社がマイナスとなった。
の1万5252回、香港線は37%
(2663回)増の9866回
トップの日本 航 空は2%
(713回 )減の2万8526回
を数えた(図1-12(1)参照)
。
で、ソウル線の減便などが影響した。2位の全日本空
輸は9%
(2333回)増の2万6981回で、シンガポール線
(2)国際線貨物便
とバンコク線の増便、クアラルンプール線の開設など
国際線貨物便の発着回数は、2014年度で増加に転
により、発着回数が1000回以上の29社のうち、増加
じたが、2015年度では2%減と再び前年度を下回った。
した回数が最も多かった。続くデルタ航空は6%
(826
プラス要因としては、2015年冬ダイヤからの全日本空
回)減の1万2909回、ユナイテッド航空は8%
(845回)
輸の広州線・青島線・厦門線の増便、ポーラーエアカー
減の9434回、大韓航空が1%
(38回)減の5319回にと
ゴのシンシナティ線の増便と深圳線の新規開設などが
どまった。一方、6位のバニラエアは香港線の開設、台
あった。また、2月に起きた米西海岸の港湾荷役スロー
湾線の増便などで47%
(1527回)増の4781回と大幅
ダウンに伴ってチャーター便が増加したが、フェデラル
に増加した。以降は中国国際航空が7%
(319回)減の
エクスプレスとエアインチョンの減便などが全体に影
4139回、チャイナエアラインが1%
(43回)増の3903
響を及ぼした。
回、キャセイパシフィック航空が1%
(20回)減の3609
路線別でもマイナスの路線が目立ち、太平洋線は
回、フィリピン航空が9%
(297回)減の2923回などと
10%
(517回)減の4636回、アジア線が13%
(277回)
なっている(表1-13(1)参照)。
減の1898回、韓国線が9%
(250回)減の2543回、香
貨物便では、発着回数が500回以上だった10社のう
港線が4%
(148回)減の3244回などとなった。一方で
ち、前年度を上回った会社数と下回った会社数が5社
欧州線は3%
(57回)増の1718回、中国線は8%
(559回)
ずつとなった。このうちトップの日本貨物航空は1%
(54
増の7285回、台湾線は2%
(22回)増の1383回と増加
回)増の5235回と微増だが、2位の全日本空輸は広州
している(図1-12(2)参照)
。
線と青島線の増便などで7%
(322回)増の4682回と
大幅に増加した。一方、3位のフェデラルエクスプレス
(3)国内線旅客便
はメンフィス線と上海線の減便などで10%
(501回)減
国内線旅客便の発着回数は、前年度比2%増の4万
の4590回と大きく減少。続くユナイテッド・パーセル
9927回となり、2014年度に続いて過去最高を記録し
サービスは2%
(48回)増の2318回と微増、ポーラー
た。経営悪化によりスカイマークが2014年冬ダイヤ
エアカーゴはシンシナティ線の増便と深圳線の新設で
表1-11 2015年度 国内線就航状況の主な変化
2015年3月 全日本空輸:福岡線減便
12%
(204回)増の1908回と大幅に増加した(表1-13
(2)参照)。
ピーチ・アビエーション:札幌線・福岡線開設
バニラエア:札幌線増便
Spring Japan:高松線減便
ジェットスター・ジャパン:松山線・那覇線増便、
札幌線・関西線・高松線・大分線減便
10月 Spring Japan:高松線運休
バニラエア:札幌線減便
ジェットスター・ジャパン:札幌線増便、那覇線・
関西線・大分線・熊本線・高松線減便
2016年2月 ピーチ・アビエーション:那覇線開設
(5)機材別
国際線旅客便のうち、B747型機やB747-400型機な
ど旧来型の大型機は、機材の老朽化に伴う退役など
もあって、発着回数全体に占める割合は、2000年代
に入ってから年を追うごとに減少傾向にある。開港時
(1978年度)には半数近くを占めていた大型機は、例
えば2003年度から2005年度まで5万回台で推移した
1. 2015年度運用状況
61
第
1章
成田空港を取り巻く環境
後も漸減傾向を続けて、2009年度では2万回台となり、
3393人)増加して3105万5837人となり、歴代では第
シェアは19%台に縮小した。2008年度には総2階建
8位の実績となった。これまでの過去最高は2006年度
てのA380型機が就航、その後B747-400の後継機と
の3418万5230人。
してB747-8型機も就航したが、A380とB747級を合わ
日本人の海外旅行需要には、円安の継続や航空座
せた、いわゆる大型機の発着回数は減少が進んでいる。
席供給量の伸びを大幅に上回る訪日外国人旅客の動
2014年度に、この2つのクラスの合計でのシェアが初
向、欧州などで発生した一連のテロ事件、韓国での
めて1桁台となったのに続き、2015年度では発着回数
MERS(中東呼吸器症候群)の発生などがマイナスに
が合わせて9252回と、ついに1万回を下回った。
影響した。一方、訪日外国人旅客数は、東南アジア各
B777級の中型機は、発着回数がほぼ順調に増加し、
国に対する査証免除等に加えて、円安基調の継続や
2010年度には10万回台に達した。2011年度は成田空
航空路線の拡充などにより、アジア方面を中心に高い
港の旅客便全体の発着回数が減少するなかで、B777
伸びを続けた。
級の発着回数も前年度をわずかに下回る実績となった
国際線旅客数の月別の伸び率は、日本人旅客数が
が、その後は10万回台でほぼ安定的に推移。2015年
2014年度ほどには大幅な減少ではなかったことと、訪
度では2014年度を7782回上回る10万8944回(シェア
日外国人旅客数の伸びが安定して推移したことから、
69%)となっている。
手堅い動きとなった。2015年3月までは前年同月比で
一方で、ローコストキャリア(LCC)の乗り入れ増加
マイナスが続いていたが、4月に7%増に転じた後は4
等を背景に、A320型機やB737型機クラスの発着回数
〜7%程度の伸びを安定的に続けた。なお、1月には
は年々増加を続けている。2007年度に1万364回で初
10%増、2月は8%増と年度の中でも高い伸びだったが、
めて1万回を超えて以降、一本調子で増加。LCC専用
3月は2%増に伸びは落ち着いた。
の第3旅客ターミナルビルがオープンした2015年度は、
前年度を2571回上回る3万9517回で、シェアはついに
[日本人旅客数]
25%に達した(図1-13( 1)参照)
。
2014年 度 か ら3%
(39万402人 )減 少 して1310万
貨物便も、旅客便ほど顕著ではないものの、旅客便
8670人と、歴 代 第25位にとどまった。過 去 最 高は
と同様に、大型機の漸減傾向と中型機の増加傾向が
2004年度の1935万1890人。伸び率は3年連続でのマ
続いてきた。ただ最近はその様相にも若干変化が見ら
イナスだが、15%減と大幅に減少した2014年度に比べ
れる。2012年度はB747級の発 着回数が9136回にと
ると、減少の度合いに多少歯止めがかかった形だ。
どまり、2011年度より若干減少したが、2013年度は増
前年同月比の増減率を月別に見ても、2桁減が続い
加に転じ、さらに2014年度は780回増の1万9回となり、
ていた2014年度に対して、2015年度はマイナスの月で
2008年度以来の1万回台を回復した。しかし2015年
も前年同月比は1桁減。ゴールデンウイークの曜日配
度は貨物便全体の発着回数が減少するなかで、B747
列が良く、有給休暇をうまく使えば9連休も可能だった
級は再び1万回を割り込む結果となった。
5月は2%減にまで回復。シルバーウイーク効果が大き
一方、B777型クラスは2010年度に発着回数が1万
く働いたとみられる9月は前年並みを記録し、10月も
3494回で過去最高を記録した後は微減・微増を繰
2%減となった。年が明けて2016年に入ってからは、全
り返しつつ、発着回数は1万3000回台、シェアは57〜
国ベースでの日本人出国者数の伸びがプラスに転じ、
60%の範囲内で、ほぼ安定的に推移している(図1-13
成田空港でも1月が1%減、うるう年だった2月は4%増
(2)参照)
。
❷ 航空旅客数
となったほか、3月も前年並みを記録している。
[外国人旅客数]
初めて1000万人の大台を突破した2014年度を、さ
2015年 度 の 航 空 旅 客 数 は3794万1435人となり、
らに21%
(226万2223人)も上回って1290万667人と
2014年度を7%
(263万6435人)上回って、過去最高と
なり、過去最高を記録した。1200万人の大台突破も、
なった。日本人旅客数は前年を下回ったものの、外国
これが初めてとなる。東南アジア各国に対する査証免
人旅客数と国内線旅客数がともに過去最高となって全
除等をはじめ、円安基調の継続や航空路線の拡充な
体を牽引した。これまでの過去最高値は2013年度の
どを追い風に、アジア方面を中心として引き続き旅客
3604万1779人(表1-12参照)
。
数が増加した。
月別の伸び率の推移を見ても、安定的に高い伸び
62
(1)国際線旅客数
を継続しているものの、一方では徐々に落ち着きを見
前年 度のマイナスからプラスに転じ、6%
(175万
せる傾向もある。2015年度内では5月に30%増とが最
1. 2015年度運用状況
25,403,099
18,446,461
6,956,638
29,232,769
22,439,858
6,792,911
積 込
輸 出
仮 陸 揚
取 卸
輸 入
仮 陸 揚
158,179,108
54,635,868
国際航空貨物量(t)
給 油 量 (kl)
44,538,375
国 内 線
170,392,990
通 過 客
18,965
そ の 他
202,439,850
2,118
貨 物 便
外 国 人
377,704
旅 客 便
492,118,305
398,787
国 内 線
日 本 人
74,196
そ の 他
864,951,145
689,038
貨 物 便
国 際 線
3,798,924
旅 客 便
909,489,520
4,562,158
国 際 線
航空旅客数(人)
4,960,945
航空機発着回数(回)
区 分
1978.5.21〜
2015.3.31
までの計
2
3
141
146
5
65
428
498
644
2,296,274
181,220
349,582
530,802
180,059
287,363
467,422
998,224
3,550,164
2,567,372
6,548,221
6,645,415
15,761,008
12,548
990
1,910
2,901
984
1,570
2,554
5,455
19,400
14,029
35,783
36,314
86,126
19,311,172 105,526
313
516
25,874
26,703
990
11,852
78,260
91,102
117,805
上期(日平均)
(104)
(104)
(114)
(95)
(96)
(117)
(97)
(97)
(104)
(101)
390,324
(103)
30,190
(93)
61,606
(96)
91,796
384,506
(99)
(101)
(104)
365,212
(101)
28,630
(95)
59,865
(98)
88,495
(101)
28,869
(92)
48,130
(95)
76,999
(96)
165,494
(117)
546,670
(104)
447,068
(118)
1,038,976
(95)
1,014,359
(105)
2,500,403
(107)
3,047,073
(78)
31
(107)
81
(100)
4,058
(100)
4,170
(89)
202
(103)
2,074
(105)
13,203
(105)
15,479
(104)
19,649
12月
(102)
360,052
(93)
21,804
(87)
53,458
(89)
75,262
(96)
22,183
(72)
43,697
(79)
65,880
(84)
141,142
(113)
522,379
(104)
406,390
(113)
1,044,516
(104)
1,040,676
(108)
2,491,582
(108)
3,013,961
(191)
63
(123)
70
(104)
3,723
(105)
3,856
(91)
206
(91)
1,652
(112)
12,928
(109)
14,786
(108)
18,642
2月
(97)
390,572
(111)
30,255
(89)
65,478
(95)
95,733
(112)
30,135
(73)
51,697
(84)
81,832
(89)
177,565
(107)
616,845
(91)
342,442
(108)
1,148,187
(100)
1,252,301
(102)
2,742,930
(103)
3,359,775
(110)
66
(129)
107
(103)
4,193
(103)
4,366
(53)
180
(90)
2,139
(107)
13,819
(103)
16,138
(103)
20,504
3月
3,100,874
(99)
4,573,250
(102)
351,133
(94)
706,057
(96)
1,057,190
(101)
350,547
(90)
573,653
(94)
924,200
(95)
1,981,390
(115)
6,885,598
(98)
5,046,500
(121)
12,900,667
(97)
13,108,670
(106)
12,495
959
1,929
2,888
958
1,567
2,525
5,414
18,813
13,788
35,248
35,816
31,055,837 84,852
(107)
(103)
381,480
(112)
32,554
(92)
57,098
(98)
89,652
(114)
32,356
(99)
49,626
(104)
81,982
(101)
171,634
(104)
516,808
(96)
350,836
(107)
1,342,165
(102)
891,065
(103)
2,584,066
(103)
(56)
37,941,435 103,665
(104)
95
(98)
3,882
(98)
4,017
(160)
277
(97)
1,986
(107)
13,399
(106)
15,662
(105)
19,679
4月
40
3
136
141
6
65
431
502
643
日平均
2
(67)
601
(116)
1,027
(102)
49,927
(102)
51,555
(98)
2,122
(98)
23,800
(104)
157,713
(103)
183,635
(103)
235,190
年度計
(100)
384,660
(107)
32,304
(97)
53,746
(101)
86,050
(115)
33,576
(97)
45,350
(104)
78,926
(102)
164,976
(100)
573,480
(100)
461,572
(106)
1,129,479
(98)
984,650
(102)
2,575,701
(101)
3,149,181
(88)
35
(93)
75
(96)
4,204
(96)
4,314
(141)
218
(97)
1,894
(109)
14,100
(108)
16,212
(105)
20,526
5月
(97)
60
(94)
82
(96)
3,962
(96)
4,104
(130)
167
(103)
1,974
(107)
13,397
(106)
15,538
(104)
19,642
6月
(101)
378,613
(115)
33,346
(103)
56,829
(107)
90,175
(116)
34,055
(103)
50,706
(108)
84,761
(107)
174,936
(100)
547,306
(100)
501,410
(109)
1,104,565
(99)
972,706
(103)
2,578,681
(103)
3,125,987
確定値
(101)
392,481
(111)
35,419
(100)
59,024
(104)
94,443
(114)
36,048
(101)
49,142
(106)
85,190
(105)
179,633
(106)
633,932
(97)
462,710
(113)
1,304,305
(101)
1,093,593
(106)
2,860,608
(106)
3,494,540
(65)
36
(101)
95
(99)
4,383
(99)
4,514
(89)
149
(101)
2,043
(108)
14,329
(107)
16,521
(105)
21,035
7月
(136)
53
(123)
101
(96)
4,485
(97)
4,639
(100)
200
(101)
1,980
(106)
14,636
(105)
16,816
(103)
(99)
397,084
(110)
34,525
(98)
56,456
(102)
90,981
(114)
35,906
(101)
45,615
(106)
81,521
(104)
172,502
(97)
684,105
(94)
392,900
(105)
1,178,237
(105)
1,462,836
(104)
3,033,973
(102)
(148)
68
(120)
97
(98)
4,227
(99)
4,392
(108)
180
(103)
2,016
(106)
14,101
(106)
16,297
(104)
20,689
9月
(100)
379,088
(114)
33,763
(102)
62,053
(106)
95,816
(117)
35,221
(109)
51,613
(112)
86,834
(109)
182,650
(98)
610,284
(107)
361,956
(114)
1,076,403
(99)
1,296,219
(105)
2,734,578
(104)
3,344,862
速報値
21,455
8月
3,718,078
2016年度
(101)
2,313,406
(111)
201,911
(99)
345,206
(103)
547,117
(115)
207,162
(102)
292,052
(107)
499,214
(105)
1,046,331
(100)
3,565,915
(99)
2,531,384
(109)
7,135,154
(101)
6,701,069
(104)
16,367,607
(103)
19,933,522
(93)
292
(106)
545
(97)
25,143
(97)
25,980
(120)
1,191
(100)
11,893
(107)
83,962
(107)
97,046
(104)
123,026
年度計
19,858
3,690
452,774
476,322
77,509
724,731
4,040,599
4,842,839
5,319,161
累計
7,345,955
23,491,121
30,837,076
7,514,347
19,312,166
26,826,513
57,663,589
54,989,888
12,642 165,065,764
1,103
1,886
2,990
1,132
1,596
2,728
5,718
19,486
13,833 177,970,874
38,990 222,475,671
36,618 511,928,044
89,440 912,374,589
108,926 967,364,477
2
3
137
142
7
65
459
530
672
日平均
(注)1.( )内数値は、前年同月比。2. 航空機発着回数は、回転翼機を除く。3. 国内線旅客数は、回転翼機によるものを除く。4. 国際航空貨物量は、東京税関の資料による。
(103)
386,310
(105)
27,651
(92)
54,285
(96)
81,936
(106)
27,222
(91)
43,224
(96)
70,446
(96)
152,382
(114)
531,211
(108)
501,746
(123)
1,058,930
(99)
996,009
(110)
2,556,685
(110)
3,087,896
(100)
60
(121)
85
(101)
4,027
(101)
4,172
(98)
176
(102)
1,958
(107)
13,421
(106)
15,555
(105)
19,727
1月
2015年度
31,383
(92)
61,783
(95)
93,166
32,412
(102)
29,667
(91)
47,753
80,165
173,331
531,719
(95)
51,789
81,456
173,252
586,610
377,210
(104)
404,272
(116)
967,421
(96)
1,048,060
(105)
2,392,691
(106)
2,924,410
(65)
35
(104)
83
(102)
3,860
(101)
3,978
(113)
179
(102)
2,128
(104)
12,606
(121)
1,094,416
(98)
1,111,850
(107)
2,610,538
(109)
3,197,148
(47)
33
(125)
85
(101)
4,192
(101)
4,310
(130)
189
(98)
1,997
(106)
13,476
14,913
(105)
15,662
(103)
18,891
11月
確定値
(104)
19,972
10月
表1-12 空港運用状況(2015年度〜2016年9月)
第1章
1. 2015年度運用状況
63
第
1章
成田空港を取り巻く環境
表1-13 国際線航空会社別発着回数
(2015年度)
(1)
旅客便
(1,000回以上)
航空会社
日本航空
全日本空輸
デルタ航空
ユナイテッド航空
大韓航空
バニラエア
中国国際航空
チャイナエアライン
キャセイパシフィック航空
フィリピン航空
アシアナ航空
アメリカン航空
ベトナム航空
中国東方航空
エバー航空
発着回数(回) 前年度比(回) 前年度比(%)
−713
−2
28,526
26,981
12,909
9,434
5,319
4,781
4,139
3,903
3,609
2,923
2,903
2,802
2,743
2,503
2,287
2,333
−826
−845
−38
1,527
−319
43
−20
−297
319
139
325
194
−49
航空会社
発着回数(回) 前年度比(回) 前年度比(%)
シンガポール航空
タイ国際航空
中国南方航空
ジェットスター
エア・カナダ
チェジュ航空
タイエアアジアX
タイガーエア台湾
アリタリア航空
香港エクスプレス
マレーシア航空
トランスアジア航空
ターキッシュ・エアラインズ
セブパシフィック
9
−6
−8
−1
47
−7
1
−1
−9
12
5
13
8
−2
2,196
2,079
1,838
1,705
1,597
1,464
1,414
1,357
1,332
1,306
1,306
1,231
1,194
1,146
6
141
20
13
−71
6
938
1,357
−70
1,014
−80
406
−240
410
−
+0
7
1
1
−4
+0
197
−5
347
−6
49
−17
56
(2)
貨物便
(500回以上)
航空会社
発着回数(回) 前年度比(回) 前年度比(%)
日本貨物航空
5,235
54
1
全日本空輸
4,682
322
7
フェデラルエクスプレス
4,590
−501
−10
ユナイテッド・パーセルサービス
2,318
48
2
ポーラーエアカーゴ
1,908
204
12
航空会社
発着回数(回) 前年度比(回) 前年度比(%)
エアージャパン
707
−10
−1
キャセイパシフィック航空
672
−92
−12
大韓航空
621
−131
−17
エアホンコン
602
−12
−2
ルフトハンザカーゴ
533
31
6
図1-13 年度別機材構成比の推移
(1)国際線旅客便
(A380級)
開港時
(1978年度)
(B747級)
2009年度
28,709回(19%)
728回(0%)
2010年度
19,713回(13%)
1,545回(1%)
2011年度
2,400回(2%)
2012年度
3,807回(3%)
2013年度
4,104回(3%)
2014年度
2,478回(2%)
2015年度
2,446回(2%)
(B777級)
17,425回(46%)
12,066回(8%)
10,611回(7%)
6,806回(4%)
20%
37,923(回)
147,991
147,617
23,637回(16%)
102,722回(70%)
11,962回(8%)
(合計)
19,875回(13%)
98,679回(67%)
10,851回(8%)
0%
(その他)
13,900回(37%)
6,598回(17%)
101,395回(72%)
25,186回(18%)
139,832
105,092回(71%)
27,404回(18%)
148,265
153,654
31,782回(21%)
105,702回(69%)
101,162回(67%)
36,946回(24%)
151,197
108,944回(69%)
39,517回(25%)
157,713
40%
60%
80%
100%
(2)国際線貨物便
(B747級)
開港時
(1978年度)
(B777級)
(合計)
(その他)
3,785回(42%)
9,029(回)
5,242回(58%)
2回(0%)
2009年度
9,396回(43%)
12,413回(57%)
21,816
7回(0%)
2010年度
8,324回(38%)
21,840
13,494回(62%)
22回(0%)
9,303回(41%)
2011年度
22,827
13,477回(59%)
47回(0%)
9,136回(40%)
2012年度
22,836
13,692回(60%)
8回(0%)
9,229回(41%)
2013年度
22,286
13,033回(59%)
24回(0%)
2014年度
10,009回(41%)
2015年度
9,807回(41%)
24,272
13,869回(57%)
394回(2%)
13,725回(58%)
23,800
268回(1%)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(注)1. A380…A380 2. B747級…B747-400、B747-8他 3. B777級…MD11、A340、B767、B777、A330、B787他 4. その他… A320、B737、B757他
5.( )内は構成比
64
1. 2015年度運用状況
12月、2月がいずれも4%増で、1月には8%増を記録し
台の増加率で推移。11月と12月には10%台の伸びと
た。ただし3月は9%減とマイナスに転じた。
第1章
も高い伸び率を記録したが、その後は10月まで20%
なった。年が明けて1月は23%増となったものの、2月
は13%増、3月は8%増と、ビザ発給要件緩和の効果も
(2)国内線旅客数
一巡して、伸び率は1桁台に縮小した。
国内線旅客数は、過去最高を記録した2014年度か
ら、さらに15%
(88万3042人 )増 加して688万5598
[通過客数]
人となった。最高記 録の更 新は7年連 続。2014年 冬
前年度から2%
(11万8428人)減少して歴代第18位
ダイヤからのスカイマークの運休などがあったものの、
となった。開港以来の最高は2004年度の669万3434
2014年8月からはSpring Japanが新規 就 航( 広島 線、
人。ただし月別の推移を見ると、年度の前半はマイナ
高松線、佐賀線)
。また、2015年夏ダイヤからのピーチ・
スが続いていたものの、10月以降はプラスに転じてい
アビエーションの札幌線・福岡線の開設に加え、ジェッ
る。4月は10%減で、その後も9月まではマイナス続き
トスター・ジャパンとバニラエアの増便などで好調に
だったが、10月は4%増とプラスの伸び。以降、10月、
推移した。
月別の伸び率の推移を見ても、年度を通じてほぼ2
桁増を続けて好調だった。なかでも5月は31%増と高
(参考)
航空旅客のシェア内訳(2015年度)
い伸び。夏休み期間で旅客需要がピークの8月は5%増
とやや伸びが落ち着いたものの、その後は再び2桁増
国内線
18.1%
(+15)
国際線通過客
13.3%
(-2)
を続けた。ただし3月は7%増と、伸び率は1桁台にとど
まった。
旅客数
37,941,435
(+7)
国際線日本人
34.5%
(-3)
❸ 航空貨物・取扱額
2015年度の国 際 航 空 貨 物 量は198万1390トンで、
前年度を5%
(9万4870トン)下回り、伸び率は2年連続
でのプラスからマイナスに転じた。200万トンの大台を
国際線外国人
34.0%
(+21)
割り込み、歴代では第10位となっている(過去最高は
2004年度の229万7555トン)。
2015年2月の米西海岸の港湾荷役スローダウンの
(注)
( )内は人数の前年度比(%)
影響でチャーター便が増加したことの反動や、中国経
(参考)国際線路線別出発旅客数(2015年度)
(単位:百人)
路線別
出発客(人)
(A+B)
出国数(人)
(A)
通過客(人)
(B)
39,217
(100.1)
26,661
(101.3)
12,556
(97.6)
13,749
(94.4)
13,216
(94.9)
533
(84.1)
6,201
(104.8)
5,513
(104.7)
688
(105.5)
5,677
(96.5)
5,197
(96.0)
480
(101.5)
35,059
(110.2)
27,833
(112.4)
7,226
(102.5)
台湾線
14,262
(127.5)
13,146
(130.6)
1,116
(99.2)
香港線
10,626
(125.9)
10,226
(129.0)
400
(78.7)
中国線
18,458
(105.5)
17,617
(106.7)
841
(85.6)
韓国線
11,602
(99.2)
10,210
(100.5)
1,392
(90.5)
112
(—)
112
(—)
—
(—)
太平洋線
欧州線
オセアニア線
グアム線
アジア線
(中東含む)
アフリカ線
(注)
( )内は人数の前年度比(%)
済が減速したことの影響などで、2015年度は輸出・輸
入とも前年度を下回った。一方、仮陸揚貨物量は増加
基調が継続したことなどで、過去最高となった。
国際航空貨物量総量の月別の動向を見ると、4月は
(参考) 航空貨物量のシェア実績(2015年度)
仮陸揚
(取卸)
17.7%
(+2)
仮陸揚
(積込)
17.7%
(+1)
輸出
29.0%
(-10)
貨物量
1,981,390
(-5)
輸入
35.6%
(-6)
(注)
( )内はトン数の前年度比(%)
1. 2015年度運用状況
65
第
1章
成田空港を取り巻く環境
表1-14 航空貨物量
年 度
( )
内は前年度比(単位:トン)
2010
2011
2012
2013
2014
2015
総 量
2,068,382(105)
1,929,396(93) 1,921,081
(100) 1,985,637
(103) 2,076,260
(105)
輸 出
761,243(114)
684,386(90)
584,4841(85)
575,7171(99)
634,027
(110)
573,653
(90)
輸 入
895,522(112)
881,570(98)
822,5681(93)
799,4181(97)
750,740
(94)
706,057
(94)
仮陸揚
411,617(83)
363,440(88)
514,029
(141)
610,502
(119)
691,493
(113)
701,680
(101)
表1-15 2015年貿易概況(確定)
(単位:億円、%)
62,456
輸出額
伸び率
1.8%
成田空港
89,104
9.9%
3年連続の増
羽田空港
4,047
5年連続の増
管内
157,869
3年連続の増
全国
756,139
3年連続の増
価額
東京港
1,981,390
(95)
113,662
輸入額
伸び率
3.3%
11.8%
126,119
4年連続の増
92.8%
0.5%
5,970
2年連続の増
7.4%
20.9%
254,940
6年連続の増
3.4%
100.0%
784,055
6年ぶりに減
全国比
価額
8.3%
3年連続の増
為替レート:税関長公示レートの平均値
平成27年分
差引額
価額
▲51,206
全国比
14.5%
15年連続の輸入超過
8.1%
16.1%
5年連続の輸入超過
1.8%
0.8%
6年連続の輸入超過
4.7%
32.5%
15年連続の輸入超過
▲8.7%
100.0%
5年連続の輸入超過
6年連続の増
▲37,015
▲1,923
▲97,070
▲27,916
米ドル換算
121.00円/米ドル
平成26年:105.30円/米ドルと比べ14.9%の円安
ユーロ換算
135.00円/ユーロ
平成26年:140.34円/ユーロと比べ3.8%の円高
出典:東京税関資料
注1. 本発表における港別貿易額は、管内各官署の通関額によるものである。 東京港の貿易額は、東京税関本関、東京外郵出張所、芝浦出張所、立川出張所、前橋出張所、
大井出張所の各官署の 通関額によるものであり、成田空港等で積卸された航空貨物の通関額を含む。
注2..
「伸び率」は対前年伸び率を示す。
表1-16 成田空港 主要品目輸出入動向(2015年確定値)
主要輸出品目
品目
主要品目1
科学光学機器
主要品目2
半導体等製造装置
5,300
12.4
主要品目3
IC
4,424
−7.0
主要増減品目
輸出額(億円) 伸び率(%)
主な品目
5,897
シェア(%)
10.8
主要輸入品目
品目
主要品目1
通信機
5.9
主要品目2
5.0
主要品目3
6.6
仕向国(地)輸出額(億円) 伸び率(%) シェア(%)
輸入額(億円)
伸び率(%)
シェア(%)
17,290
5.8
13.7
医薬品
16,398
49.6
13.0
IC
11,982
10.6
9.5
主要増減品目
主な品目
原産国(地) 輸入額(億円) 伸び率(%) シェア(%)
増加1位
医薬品
米国
1,654
68.0
1.9
増加1位
医薬品
アイルランド
16,398
49.6
13.0
増加2位
半導体等製造装置
台湾
5,300
12.4
5.9
増加2位
IC
台湾
11,982
10.6
9.5
増加3位
科学光学機器
中国
5,897
10.8
6.6
増加3位
通信機
中国
17,290
5.8
13.7
減少1位
非鉄金属
スイス
2,518
−18.4
2.8
減少1位
電算機類
中国
8,962
−8.0
7.1
主要国・地域別
輸出額(億円)
対米国
17,591
増減品目
伸び率(%)
3年連続の増
医薬品
20.0
IC
−4.2
10.9
対EU(注3)
10,689
2年ぶりに減
対アジア(注4)
55,070
3年連続の増
対中国
25,274
3年連続の増
科学光学機器
8.9
主要国・地域別
対米国
輸入額(億円)
増減品目 伸び率(%)輸出入差引額(億円)
4年連続の増
原動機
7.8
−8,707
対EU(注3) 30,261
6年連続の増
医薬品
19.4
−19,572
対アジア(注4) 55,571
4年連続の増
3.2
−500
0.8
−5,537
対中国
26,298
30,811
4年連続の増
通信機
出典:東京税関資料
(注)1 輸出はFOB価格、輸入はCIF価格による。
2 伸び率および増加・減少は全て対前年比による。
3 対EUの貿易額は28カ国の実績。
(平成25年7月〜)
4 対アジアの貿易額には対中国の貿易額を含み、対中国の貿易額には対香港及び対マカオの貿易額を含む。
5 本発表における港別貿易額は、次の管内各官署の通関額によるものである。
東京港(本関、東京外郵(出)
、芝浦(出)
、立川(出)
、前橋(出)
、大井(出)
)
、 新潟港(新潟税関支署、東港(出)
)
、直江津港、柏崎港、 酒田港(酒田税関支署、山形(出)
)
、
成田空港(東京航空貨物(出)
、成田航空貨物(出)
、羽田空港、 新潟空港
6 仕向国(地)
・原産国(地)は、それぞれ主な仕向国(地)
・原産国(地)を指す。
66
1%増と前年同月を上回ったものの、5月以降はマイナス
量となった。仮陸揚は1%増の35万547トンだった。ま
に転じて1月まで1桁台での減少が続いた。その後2月
た、取卸のうち輸入は同6%減の70万6057トンと、歴
は16%減、3月は11%減とマイナス幅は2桁に拡大した。
代第21位にとどまった。仮陸揚は2%増の35万1133ト
貨 物 量 の内 訳で、積 込 は前年 度 比6%減 の92万
ン。これにより仮陸揚は、積込と取卸を合わせると1%
4200トン、取卸は4%減の105万7190トンと、ともに前
増の70万1680トンで70万トン台に達するとともに、4
年度を下回った。積込では輸出が10%減の57万3653
年連続での最高記録更新となった(表1-14参照)。
トンと伸び率は2桁のマイナスで、歴代第17位の貨物
また、成田空港の航空貨物は金額ベース(東京税関
1. 2015年度運用状況
の5兆5571億円となったほか、中国は同0.8%増の3兆
9104億円で3年連続のプラスとなった。全国の輸出額
811億円と伸びは小幅にとどまった。品目別では米国
全体に占める成田空港の割合は11.8%で、前年より0.7
では原動機が増加、EUでは医薬品が増加、中国では
ポイント増加している。輸入額は8.1%増の12兆6119
通信機が増加している(表1-16参照)。
第1章
まとめの2015年分)で、輸出額が前年比9.9%増の8兆
億円で、4年連続で増加して過去最大になるとともに、
3年連続での10兆円超え。全国の輸入額全体に占める
成田空港の割合は16.1%で、前年より2.5ポイント増加
❹ 給油量
した。輸出入額のバランスは3兆7015億円の赤字(輸
給 油 量 は、前 年 度 比1%
(4万3703㎘)減 の457万
入超過)と過去最大で、5年連続の赤字となっている
3250㎘で、伸び 率は2年連 続 のマイナスとなり、歴
(表1-15参照)
。
代では第24位を記録。過去最高の給油量は2004年
主要品目を見ると、輸出では科学光学機器が前年比
度の589万205㎘だが、その 後はマイナス基 調に転
10.8%増の5897億円となり、シェア6.6%で2年連続で
じ、2005年度に同2%減となってから、2011年度まで
価額のトップ。次いで、半導体等製造装置が同12.4%
の7年連続で前年実績を下回った。その後、2012年度、
増の5300億円、シェアは5.9%で、前年の3位から2位
2013年度とプラスを記録した後、2年連続で前年度の
に浮上。前年に2位だったICは同7.0%減の4424億円
実績を下回った。
と減少して、シェアは5.0%の3位となった。
航空機発着回数は2015年度で4年連続で最高値を
輸入ではトップの通信機が同5.8%増の1兆7290億
更新するなど、総発着回数自体は増加しているが、近
円でシェア13.7%となった。次いで医薬品が同49.6%
年の機材の小型化・低燃費化などの影響で、給油量は
増と大 幅 に伸 び て、1兆6398億 円でシェアは2桁 の
減少している。ちなみに10年前の2005年度と比べる
13.0%となった。3位はICで同10.6%増の1兆1982億
と、総発着回数は18万7888回から23万5190回に25%
円、シェアは9.5%となっている。
増加。それに対して給油量は578万2840㎘から457万
国・地域別では、輸出で米国とアジア、アジアの内
3250㎘に21%も減少している。また、国際線旅客便の
数の中国がいずれも3年連続で増加したものの、EU
航空機発着回数で機種別のシェアを見てみると、2005
は2年ぶりに減少に転じた。輸入は、米国とアジア、ア
年度はB747級が37.0%、B777級が58.5%、A320型機
ジアの内数である中国が4年連続で増加するとともに、
などその他のクラスが4.6%だった。これが2015年度で
EUも6年連続での増加となった。
は、A380型機とB747級を合わせて5.9%、B777級が
輸出は米国が前年比20.0%増の1兆7591億円、EU
69.0%、A320型機などその他のクラスが25.1%と、小
は同4.2%減の1兆689億円、アジアが同10.9%増の5
型機材が大幅に増えていることが歴然としている。
兆5070億円となったほか、国別では最大の中国が同
2015年度の月別の給油量は各月とも30万㎘台で推
8.9%増の2兆5274億円。品目別では、米国では医薬
移しているが、前年同月比で見ると、年度の後半から
品が増加、EUではICが減少、中国では科学光学機器
はプラス基調で推移した。4月は3%減で、以降9月ま
の増加が目立った。
ではいずれも2〜3%減。しかし10月には1%増とプラス
輸 入では、米 国が 前 年比7.8% 増 の2兆6298億 円、
に転じ、11月は1%減となったものの、12月から2月ま
EUは同19.4%増の3兆261億 円、アジアが同3.2%増
では3カ月連続でのプラスとなった。3月は3%減だった。
2 成田空港への乗り入れ航空会社と発着回数
❶ 新規乗り入れ航空会社
航空会社も、成田路線への参入を果たした。
2003年度 以 降は、2008年10月の南アフリカまで、
日本の空の玄関口である成田空港への新規乗り入
新たな国からの路線開設は見られなかった。新規乗り
れ希望は、開港以来、日本発着の国際航空需要と相
入れ航空会社としては、2004年が2社、2005年が1社、
まって、年を追うごとに強まってきた。特に、成田空港
2006年が3社、2007年が2社、2008年が4社、そして
にとっての「第2の開港」ともいうべき暫定平行滑走路
2009年は1社が乗り入れた。
の運用開始で空港容量も大幅に拡大した2002年度は、
さらに2010年3月以降は、空港容量の拡大に伴って
モンゴルやウズベキスタンなどからの新規乗り入れが
多くの乗り入れが実現し、エミレーツ航空、エティハド
実現したほか、以前から乗り入れを希望していた多くの
航空(ともにアラブ首長国連邦)
、マカオ航空、カター
1. 2015年度運用状況 2. 成田空港への乗り入れ航空会社と発着回数
67
第
1章
成田空港を取り巻く環境
ル航空が就航。アラブ首長国連邦とカタールは、日本
が新たに運航を開始した。また、バンコク・エアウェイ
への初めての路線開設となった。そのほか2010年は、
ズが日本航空とのコードシェア、エアベルリンがエティ
TAMブラジル航空、香港航空、中国国際貨運航空も
ハド航空とのコードシェア、ヴァージン・オーストラリア
新たに乗り入れている。
がシンガポール航空とのコードシェアで、それぞれ新
2011年には、3月にポーラーエアカーゴが再開、新
規就航する形となっている。
規のLCCとして6月にエアプサン、7月にイースター航空
2013年夏ダイヤでは、韓国のLCCであるチェジュ航
が就航したのに続き、同年10月には、国内線に本邦航
空が7月にソウル線を新規開設したのに続き、台湾のト
空会社であるスカイマークが新たに就航し、冬ダイヤ
ランスアジア航空が9月から台北線に新たに就航して
から就航したエバーグリーン航空と合わせて、新規乗
おり、3月に適用された成田空港における日台間のオー
り入れ航空会社は5社を数えた。
プンスカイによって実現した新規路線となった。また、
2012年には、3月にジェットスター航空がダーウィン
チェコ航空が7月から大韓航空とのコードシェアを開始
線に新たに就航したのに続き、7月にはジェットスター・
した。2013年冬ダイヤでは、本邦LCCのPeachが関西
ジャパンが札幌、大阪(関西)
、福岡、那覇への路線を
線で新規参入。またケニア航空が大韓航空とのコード
開設。8月にもエアアジア・ジャパンが札幌、福岡、那
シェアを開始した。一方、エアアジア・ジャパンは運航
覇の各路線に就航した。また、エアアジア・ジャパンは
を終了し、バニラエアにブランド名を変更、12月から運
10月からソウル、11月から釜山への国際路線も新規に
航を開始している。
開設しており、国際線と国内線でLCCによる新規乗り
さらに、2014年夏ダイヤでは、セブパシフィック航
入れが相次いだ。2012年の夏ダイヤでは、山東航空も
空が2014年3月からマニラ線に就航したのに続き、4月
9月から青島線(全日本空輸とのコードシェア)を開設
には韓国初の貨物専門航空会社であるエアインチョン
している。2012年の冬ダイヤでもS7航空や、スクート
がソウル線を、7月にはオーロラ航空がウラジオストク
表1-17 成田空港への定期便乗り入れ航空会社(93社)
国・地域名
アラブ首長国連邦
イタリア
インド
インドネシア
エティハド航空
エミレーツ航空
アリタリア-イタリア航空
カーゴルックスイタリア
エア インディア
ジェットエアウェイズ
ガルーダ・インドネシア航空
英国
ブリティッシュ・エアウェイズ
エチオピア
エチオピア航空
エジプト
オーストラリア
オーストリア
オランダ
カタール
カナダ
韓国
シンガポール
スイス
スウェーデン
デンマーク
ノルウェー
スペイン
スリランカ
タイ
(台湾)
中国
68
航空会社
コード
ETD
UAE
AZA
ICV
AIC
JAI
GIA
BAW
備考
トルコ
貨物専用航空会社
M SR
自社機材での運航なし
ヴァージン・オーストラリア
カンタス航空
ジェットスター航空
VAU
QFA
JST
自社機材での運航なし
ニキ航空
KLMオランダ航空
カタール航空
エア・カナダ
アシアナ航空
イースター航空
エアプサン
ジンエアー
大韓航空
チェジュ航空
ティーウェイ航空
シンガポール航空
スクート
NLY
KLM
イベリア航空
タイ・エアアジアX
タイ国際航空
バンコク・エアウェイズ
エバー航空
タイガーエア台湾
チャイナエアライン
トランスアジア航空
厦門航空
海南航空
山東航空
四川航空
深圳航空
中国国際貨運航空
中国国際航空
中国東方航空
中国南方航空
2. 成田空港への乗り入れ航空会社と発着回数
CXA
CHH
CDG
CSC
CSZ
CAO
CCA
CES
CSN
エアベルリン
ルフトハンザカーゴ
ルフトハンザドイツ航空
IBEXエアラインズ
エアージャパン
ジェットスター・ジャパン
Spring Japan
全日本空輸
日本貨物航空
日本航空
バニラエア
Peach
ニュージーランド航空
ANZ
セブパシフィック航空
フィリピン航空
CEB
PAL
フランス
(香港)
南アフリカ
AAL
DAL
HAL
FDX
PAC
UAL
UPS
LOTポーランド航空
LOT
マカオ航空
AMU
ファイアーフライ
マレーシア航空
南アフリカ航空
メキシコ
アエロメヒコ航空
ロシア
アエロフロート・ロシア航空
エアブリッジカーゴ
S7航空
オーロラ航空
モンゴル
TAM
アメリカン航空
デルタ航空
ハワイアン航空
フェデラルエクスプレス
ポーラーエアカーゴ
ユナイテッド航空
ユナイテッドパーセルサービス
エアホンコン
キャセイパシフィック航空
香港エクスプレス
香港航空
MIATモンゴル航空
国内線のみ運航
貨物専用航空会社
国内線のみ運航
ANG
ACI
THT
AFR
マレーシア
自社機材での運航なし
貨物専用航空会社
IBX
AJX
JJP
SJO
ANA
NCA
JAL
VNL
APJ
エア・カレドニア・インターナショナル
エア タヒチ ヌイ
エールフランス航空
(マカオ)
自社機材での運航なし
自社機材での運航なし
貨物専用航空会社
FIN
ポーランド
自社機材での運航なし
BER
GEC
DLH
THY
PIA
ベトナム航空
備考
自社機材での運航なし
パキスタン国際航空
TAM航空
2016年10月現在
LAN
フィンランド航空
ベトナム
IBE
EVA
TTW
CAL
TNA
ターキッシュ エアラインズ
コード
フィンランド
米国
ALK
TAX
THA
BKP
パキスタン
ブラジル
SIA
SCO
SAS
ニュージーランド
フィリピン
AAR
E SR
ABL
JNA
KAL
JJA
TWB
スカンジナビア航空
日本
ラン航空
航空会社
パプアニューギニア ニューギニア航空
ACA
SWR
スリランカ航空
自社機材での運航なし
QTR
スイスインターナショナルエアラインズ
ドイツ
自社機材での運航なし
エジプト航空
ETH
チリ
国・地域名
HVN
自社機材での運航なし
貨物専用航空会社
貨物専用航空会社
貨物専用航空会社
AHK
CPA
HKE
CRK
貨物専用航空会社
FFM
MAS
自社機材での運航なし
SAA
AMX
自社機材での運航なし
MGL
AFL
ABW
SBI
SHU
貨物専用航空会社
ている。
旅客便では、
全日本空輸やジェットスター・ジャ
島・佐賀・高松の国内3路線に就航し、9月にはタイ・
パンによる減便があったものの、Peachによる福岡線・
エアアジアXがバンコク線で定期運航を開始、10月に
札幌線の新規路線開設やバニラエアによる札幌線の
もジェットアジア・エアウェイズがバンコク線に定期便
増便がプラス要因となった。
を就航させている。2014年冬ダイヤでは、10月からエ
乗り入れ航空会社数は、期初で、国際線が84社、国
チオピア航空が香港線で全日本空輸とのコードシェア
内線のみが3社の87社だが、2016年1月にはLOTポー
を開始したのに続き、11月にはマレーシアの中長距離
ランド航空が就航し、その時点では過去最高だった
LCCであるエアアジアXがクアラルンプール線に就航。
2015年夏ダイヤ当初の合計88社と同数となる。
12月には香港の香港エクスプレスが就航した。
2015年夏ダイヤ当初との比較で新たに増えた乗り入
2015年は夏ダイヤでタイガーエア台湾(4月〜)
、厦
れ航空会社は、期初時点でアブダビ線のニキ航空(エ
門航空(8月〜)、コードシェアでブラジルのTAM航空
ティハド航空とのコードシェア)、厦門線の厦門航空、
(4月〜)とオーストリアのニキ航空(6月〜)が乗り入
第1章
線を、それぞれ開設した。8月からはSpring Japanが広
ミラノ/成田/香港線のカーゴルックスイタリアの3社。
れた。冬ダイヤでは、貨物専門のカーゴルックスイタリ
就 航 都 市 数は、海 外が36カ国・3地 域の106都 市、
ア(11月〜)に加えて、海南航空(12月〜)が就航した。
国内が17都市で、過去最高の合計123都市。国際線で、
さらに2016年に入って、1月にはLOTポーランド航空が
中国国際航空の天津、カンタス航空のブリスベン、中
ワルシャワ線を開設して就航し、東欧・中欧とのネット
国南方航空の鄭州・長沙・ハルビン・武漢、全日本空
ワークが初めて構築されたほか、同じく1月には四川航
輸のブリュッセルが加わった。
空が就航して、中国路線がさらに増強された。
2016年夏ダイヤでも新規乗り入れが相次ぎ、3月に
(2)2016年夏ダイヤ
は韓国のLCCであるティーウェイ航空が、7月にはジン
(2016年3月27日〜2016年10月29日)
エアーがソウル線を開設して新規就航。同じく7月には、
国際線と国内線合計の週間発 着回数は4514回で、
香港航空が2013年1月以来3年半ぶりに成田乗り入れ
開港以来の最高値を更新した。2015年冬ダイヤ比で
を再開したほか、ハワイアン航空がホノルル線を開設
148回増、2015年夏ダイヤ比で192回増となった。年
して就航。さらに10月にはイベリア航空がマドリード
間換算では23万5373回、1日平均は645回。
線を開設して、1988年11月以来18年ぶりに再就航を
国際線の週間発着回数は旅客便と貨物便を合わせ
果たした。この路線は同社にとって唯一のアジア路線
て3571回で過去最高。年間換算で18万6202回、1日
でもある(表1-17参照)
。
平均は510回。国際線では、引き続き、旅客便が増加し
ており、旅客便だけでも過去最高の3096回を数えた。
❷ 定期航空会社別スケジュール 発着回数
2015年夏・冬ダイヤを通じて新規就航や増便が相次
いだことによるが、2016年夏ダイヤのスタート後も、全
(1)2015年冬ダイヤ
日本空輸の武漢線(4月28日)・プノンペン線(9月1日)
(2015年10月25日〜2016年3月26日)
の開設、ハワイアン航空のホノルル線(7月23日)とイ
期初ベースで、国際線と国内線を合わせた週間発
ベリア航空のマドリード線(10月19日)での新規就航
着回数は4366回で、過去最高となった。2015年夏ダ
などが続いた。
イヤ比で44回増、2014年 冬ダイヤ比で122回増。年
国内線の週間発着回数は、旅客便と貨物便を合わ
間換算では22万7656回、1日平均は624回。
せて943回で、2015年夏ダイヤに次ぐ過去第2位となっ
国際線の週間発着回数は旅客便と貨物便を合わせ
た。年間換算では4万9171回、1日平均は135回となる。
て3449回で、年間換算で17万9841回、1日平均は493
乗り入れ航空会社数は、夏ダイヤ期初で、国際線は
回。国際線では、引き続き、旺盛な訪日旅客需要を背
88社となり、国内線のみの2社と合わせて90社と最高
景に旅客便が好調で、旅客便の週間発着回数は過去
値を更新した。2015年冬ダイヤ期初後に就航した航
最高の2950回となった。特に、全日本空輸や中国南
空会社は海南航空、LOTポーランド航空、四川航空の
方航空による新規路線開設・増便などが全体を大きく
3社。一方で運休はジェットアジア・エアウェイズの1社。
押し上げた。さらにジェットスター・ジャパンの台北線
また、2016年夏ダイヤ開始以降では、ティーウェイ航
や、日本航空のダラス・フォートワース線の開設もあり、
空、オーロラ航空、香港航空、ジンエアー、ハワイアン
就航路線・便数は順次拡大した。
航空、ファイアーフライ、イベリア航空の新規就航と運
国内線の週間発着回数は、旅客便と貨物便を合わ
航再開があった。
せて917回で、2015年夏ダイヤに次ぐ過去第2位となっ
就航都市数は期初で、海外が37カ国・3地域の107
た。年間換算では4万7815回、1日平均は131回となっ
都市、
国内が17都市で、
過去最高の合計124都市となっ
2. 成田空港への乗り入れ航空会社と発着回数
69
70
2. 成田空港への乗り入れ航空会社と発着回数
メキシコシティ
24都市24路線
(旅客便:20都市20路線)
MEX
小計
3カ国
メキシコ
カナダ
〃
デュッセルドルフ
フランクフルト
ライプチヒ※
アムステルダム
ブリュッセル
ワルシャワ
チューリッヒ
ローマ
ミラノ
コペンハーゲン
ヘルシンキ
モスクワ
ハバロフスク
ユジノサハリンスク
ウラジオストク
イスタンブール
DUS
FRA/HHN※
L E J
AMS
BRU
WAW
ZRH
FCO
MXP
CPH
HEL
DME / S V O
KHV
UUS
VVO
I S T
トルコ
ロシア
〃
〃
〃
フィンランド
デンマーク
イタリア
〃
スイス
ポーランド
ベルギー
オランダ
ドイツ
〃
〃
スペイン
フランス
国・地域
イギリス
済州
ソウル
釜山
大邱
ヤンゴン
バンコク
プノンペン
ハノイ
ホーチミン
ダナン
シンガポール
RGN
BKK/DMK
PNH
HAN
SGN
DAD
S I N
高雄
台北
KHH
T PE
C JU
I C N
PUS
TAE
マカオ
香港
広州
鄭州
長春
重慶
長沙
成都
大連
杭州
ハルビン
南京
北京
上海
瀋陽
深圳
青島
天津
武漢
西安
厦門
西寧
都市名
ウランバートル
M FM
HKG
CAN
CGO
CGQ
CKG
CSX
CTU
DLC
HGH
HRB
NKG
PEK
PVG
SHE
SZX
TAO
TSN
WUH
X I Y
XMN
XNN
コード
ULN
海 外
シンガポール
ベトナム
〃
〃
カンボジア
タイ
ミャンマー
韓国
〃
〃
〃
小 計
ADD
小 計
1カ国
エチオピア
20カ国3地域
アメリカ
〃
フランス
〃
パラオ
パプアニューギニア
オーストラリア
〃
〃
〃
〃
ニュージーランド
スリランカ
インド
〃
パキスタン
〃
カタール
アラブ首長国連邦
〃
フィリピン
〃
〃
国・地域
インドネシア
〃
都市名
札 幌
仙 台
新 潟
名 古 屋
小 松
大 阪
広 島
高 松
松 山
福 岡
北 九 州 ※
佐 賀
大 分
熊 本
鹿 児 島
奄美大島
那 覇
国 内
17都市18路線
(旅客便:16都市17路線)
【国内】 17都市 18路 線
(旅客便:16都市17路線)
小 計
コード
C TS
S D J
K I J
NGO
KMQ
ITM/KIX
H I J
TAK
MYJ
FUK
K K J
HSG
O I T
KMJ
KOJ
A S J
OKA
本資料は、2016年11月6日~11月19日(14日間)の定期便スケジュールに基づく。
1都市1路線
(旅客便:1都市1路線)
アディスアベバ
アフリカ方面
63都市64路線
(旅客便:62都市63路線)
グアム
サイパン
ヌーメア(ニューカレドニア)
パペーテ(タヒチ)
NOU
PP T
GUM
SPN
コロール
ROR
アジア・中近東・オセアニア方面
国・地域
コード
都市名
モンゴル
CGK
ジャカルタ
DPS
デンパサール
中国
〃
CEB
セブ
〃
CRK
クラーク※
〃
MNL
マニラ
〃
〃
AUH
アブダビ
〃
DXB
ドバイ
〃
〃
DOH
ドーハ
〃
〃
I S B
イスラマバード
〃
LHE
ラホール
〃
〃
BOM
ムンバイ
〃
DEL
デリー
〃
〃
CMB
コロンボ
〃
〃
AKL
オークランド
〃
BNE
ブリスベン
香港
CNS
ケアンズ
MEL
メルボルン
マカオ
OOL
ゴールドコースト
SYD
シドニー
台湾
〃
POM
ポートモレスビー
19都市21路線
13カ国
B K I
コタキナバル
マレーシア
(旅客便:18都市19路線)
KUL
クアラルンプール
〃
【海外】 37カ国 3地域 107都市 110路線 (地域:香港、
マカオ、台湾)
(旅客便: 101都市 103路線)
成田空港と結ばれる都市:124都市128路線(定期便スケジュール)
(旅客便:117都市120路線)
マドリード
MAD
小 計
パリ
CDG
コード
LHR
(注1)※貨物便のみの就航都市
(注2)経由便のみの就航都市は右記のとおり:イスラマバード(ISB)、北九州(KKJ)
バンクーバー
カルガリー
Y V R
Y Y C
国・地域
アメリカ
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
ヨーロッパ方面
都市名
ロンドン
1章
コード
ANC
A T L
B O S
C VG
DEN
DFW
DTW
EWR
HNL
I A D
I A H
J F K
L A X
MEM
OAK
ORD
P DX
S A N
S E A
S F O
S J C
南北アメリカ方面
都市名
アンカレッジ※
アトランタ
ボストン
シンシナティ※
デンバー
ダラスフォートワース
デトロイト
ニューアーク
ホノルル
ワシントンDC
ヒューストン
ニューヨーク
ロサンゼルス
メンフィス※
オークランド※
シカゴ
ポートランド
サンディエゴ シアトル
サンフランシスコ
サンノゼ
表1-18 成田国際空港 就航都市 (2016年冬ダイヤ)
第
成田空港を取り巻く環境
せて985回で、2015年夏ダイヤの948回を上回る過去
開、全日本空輸のプノンペン線の開設、イベリア航空
最高となった。Spring Japanの札幌線(8月20日)
、関
のマドリード線の新規就航により、10月19日時点では
西線(9月28日)の新規開設や増便などで数字を伸ば
海外112都市、国内17都市の計129都市と、さらに最
した。年間換算では5万1361回、1日平均は141回。
高値を更新した。
乗り入れ航空会社数は、国際線は91社、国内線の
第1章
た。その後、エア・カナダのトロント線の季節運航の再
みが2社の計93社と、各期ダイヤ期初としての最高値
(3)2016年冬ダイヤ
を更新した。2015年冬ダイヤ期初後に就航したのは
(2016年10月30日〜2017年3月25日)
上記5社のほか、マレーシアのLCCで9月1日からマレー
国際線と国内線合計の週間発着回数は4610回とな
シア航空とのコードシェアを開始したファイアーフライ
り、開港以来の最高値を更新した。2016年夏ダイヤ比
(自主運航なし)の計6社。一方、エアインチョン(貨物
で96回増、2015年冬ダイヤ比で244回増となった。年
専門)、オーストリア航空、季節運航のウズベキスタン
間換算では24万379回、1日平均は659回。
国営航空が運休となっている。
国際 線の週間発 着回数は、旅客便と貨物便を合
就航都市数は冬ダイヤ期初で、海外が37カ国・3地
わせて3625回で過去最高を記録。年間換算で18万
域 の107都 市、国 内が17都 市 で 合 計124都 市と、過
9018回、1日平均では518回。2016年夏ダイヤでのオー
去最高を記録した2016年夏ダイヤ期初と同数となっ
ロラ航空(5月22日)
、香港航空(7月1日)
、ジンエアー
た。デルタ航空のミネアポリス線やウズベキスタン航
(同)
、ハワイアン航空(7月23日)
、イベリア航空(10月
空のタシケント線などが運休となったものの、オーロラ
19日)等の新規就航や、アジア方面を中心とした新規
航空のユジノサハリンスク線、中国国際航空の西寧線、
路線開設・増便等が後押しした。旅客便だけでも過去
全日本空輸のプノンペン線、ティーウェイ航空の大邱
最高の3148回となっている。
線、イベリア航空のマドリード線が加わった(表1-18
国内線の週間発着回数は、旅客便と貨物便を合わ
参照)
。
3 東アジアの国際拠点空港としての成田空港
了して運用を開始したことにより、2010年3月以降、空
❶ 発着枠の拡大
港処理能力は従 来の20万回から22万回に増加した。
成田空 港 の1日あたりの 発 着枠 は1990年末 以 降、
さらに、2011年10月30日に22万 回 から23万5000回、
360回として運用されてきたが、1998年4月25日から1
2012年3月25日からは25万回に拡大された。
日370回に拡大された。また、2002年4月18日の暫定
2010年10月には、年間発着枠30万回について、国
平行滑走路(現B滑走路)のオープンに伴い、空港処
土交 通省と千葉県、地元9市町との間で合意された。
理能力はそれまでの年間13万5000回から20万回に
2013年3月31日からは空港処理能力が27万回に引き
拡大し、1日あたりの発着枠は370回から546回へと約
上げられており、成田空港では引き続き施設整備を進
50%増えた。
め、2014年度に30万回への拡大を実現している。
2009年10月には暫定平行滑走路の2500m化が完
国土交通省は、今後の首都圏空港における航空需
(参考)成田空港発着枠の変遷
自
1978.7.20
1978.8.20
1980.3.16
1984.3.25
1985.10.27
1986.3.30
1987.3.29
1988.3.27
1989.3.26
至
1978.8.19
1980.3.15
1984.3.24
1985.10.26
1986.3.29
1987.3.28
1988.3.26
1989.3.25
1990.3.24
1日
発着枠
180
200
220
240
(注)
(260)
300
330
340
270
自
1990.3.25
1990.12.20
1998.4.25
2002.4.18
2010.3.28
2011.10.30
2012.3.25
2013.3.31
2015.3.29
至
1990.12.19
1998.4.24
2002.4.17
2010.3.27
2011.10.29
2012.3.24
2013.3.30
2015.3.28
―
1日
発着枠
350
360
370
4,518
4,806
5,192
5,753
A
B
370
176
1週間
発着枠
4,228
(注)260は1985.7.1~8.31
2. 成田空港への乗り入れ航空会社と発着回数 3. 東アジアの国際拠点空港としての成田空港
71
第
1章
成田空港を取り巻く環境
要はさらに増加が見込まれることから、空港処理能力
重要な役割を担い続けている。
の拡大を含めた首都圏空港の機能強化を図る必要が
国土交通省がまとめた2015年度の「空港管理状況
あるとし、2013年7月、国土交通省交通政策審議会航
調書」によると、全国の空港における国際線(不定期
空分科会基本政策部会の下に設置された、
「首都圏空
便を含む)の実績は、航空機着陸回数が2014年度比
港機能強化技術検討小委員会」において、首都圏空港
13.4%増の24万8229回、航空旅客数(乗降客+通過
の機能強化に係る技術的な選択肢がとりまとめられた。
客)が同16.3%増の7627万8143人を記録する一方、貨
この技術的な選択肢をもとに、首都圏空港の機能
物取扱量は同3.8%減の341万3594トンにとどまった。
強化の具体化について、関係自治体や航空会社等で
全 空港に占める成田空港の割合は、着陸回数が
協議を行うため、2014年8月に「首都圏空港機能強化
37.1%、航空旅客数が37.3%、貨物取扱量が58.0%と
の具体化に向けた協議会」を設置。その会合で成田空
なっており、着陸回数と旅客数が全体の約4割、貨物
港については、管制機能の高度化や高速離脱誘導路
取扱量が6割弱を占めている。ただし、2014年度と比
の整備、夜間飛行制限の緩和などによって、東京オリ
較すると、
着陸回数が3.6ポイント減、
航空旅客数が3.4
ンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、
ポイント減、貨物取扱量も0.5ポイント減と、いずれも
年間約4万回以上の発着回数の拡大が可能という見方
マイナスにとどまっている。
も示された。
2015年度の着陸回数を空港別に見ると、
9万2048回
2015年9月からは「成田空港に関する四者協議会」
(1日平均251回)の成田空港がトップで、以下は関西
で成田空港の更なる機能強化策について検討が進め
空港の5万9740回(同163回)
、羽田空港の3万4668
られた。今年9月の会合では、年間発着容量を50万回
回(同95回)、中部空港の1万8590回(同51回)、福岡
まで拡大できるようにするため、B滑走路を1000m北
空港の1万4919回(同41回)。国際線が就航している
側へ延伸すること、3500mで新設を計画するC滑走路
空港の合計着陸回数に占める各空港のシェアは、成田
の具体的な位置、夜間飛行制限緩和の時間帯などに
空港が37.1%、関西空港が24.1%、羽田空港が14.0%、
ついての具体案が説明・提示されている。
中部空港が7.5%、福岡空港が6.0%となっている。
日本の貿易港として成田空港が重要な役割を担っ
❷ 国内・世界における成田空港の位置づけ
ていることは、金額ベースで見ても裏付けられている。
「外国貿易概況」
(日本関税協会)によると、2015年
(1)日本の空の玄関口としての役割
度における成田空港からの輸出額は約8兆7817億円
日本全国の空港における輸送実績で、成田空港は
となり、日本からの輸出額の11.8%
(前年度シェアは
最大のシェアを占めており、日本の空の玄関口として
11.3%)
、輸入額は約12兆5404億円で、日本への輸入
表1-19 全国港別輸出入ランキング(2015年度/確報値)
輸出
順位
港名
1
名古屋
2
価額
輸入
伸び率(%)
11,300,723
−1.5
成田空港
8,781,713
3
横浜
4
港名
価額
輸出入計
伸び率(%)
港名
価額
成田空港
12,540,356
6.8
成田空港
21,322,069
3.8
東京
11,253,269
1.5
東京
17,416,479
7,419,757
0.9
名古屋
5,165,511
−9.2
名古屋
16,466,234
東京
6,163,210
−1.4
大阪
4,887,576
−4.5
横浜
11,869,838
5
神戸
5,474,090
−1.6
横浜
4,450,080
−4.9
関西空港
9,074,928
6
関西空港
5,207,713
2.5
関西空港
3,867,216
7.8
神戸
8,665,695
7
大阪
3,356,500
−0.2
千葉
3,198,410
−35.8
大阪
8,244,076
8
三河
2,723,807
14.9
神戸
3,191,605
−0.3
千葉
4,128,349
9
清水
1,796,819
−0.1
川崎
2,222,372
−26.9
川崎
3,729,873
10
博多
1,600,561
−9.0
四日市
1,520,308
−30.6
三河
3,348,026
74,117,450
−0.7
75,204,805
−10.3
全国計
出典:日本関税協会「外国貿易概況」
(注)
「伸び率」は対前年度の伸び率(%)を示す。
72
(単位:百万円)
3. 東アジアの国際拠点空港としての成田空港
全国計
全国計
149,322,255
(注)確報値は、確定値の前段階の数字。確定値が発表されるのは2017年3月頃。
港をゲートウェイとした情報発信拠点化等により利便
また、前年度と比較すると、輸出額が3.8%増を記録
性・快適性を向上させる」プロジェクトが盛り込まれて
して、前年の8.3%増から伸び率が低下する一方、輸入
いる。
額は6.8%増を示して、前年の2.3%増から伸び率を拡
成田空港への乗り入れ航空会社は、2016年冬ダイ
大している。輸出入額の合計は21兆3221億円となり、
ヤで93社を数え、国際線の就航都市数は海外107都
関西空港(9兆0749億円)の倍以上という規模に達し
市、国内線が17都市で、合計124都市となっている。
ている(表1-19参照)
。
国際空港評議会(ACI:Airports Council International)
さらに、主要貿易港のうち、成田・羽田・中部・関西・
が 世 界 の 空 港 の 利 用 動 向 を まとめ た「2015 ACI
福岡の5空港における貿易額に占める成田空港のシェ
World Airport Traffic Report」によると、成田空港の
アは、輸出額で53.7%、輸入額で67.6%に達しており、
国際線取扱実績は、旅客数が第17位(前年は第16位)
、
いずれも2位の関西空港(輸出額シェアで31.9%、輸入
貨物取扱量は第5位(同6位)となった(表1-21参照)
。
第1章
額の16.7%
(同14.0%)を占めた。
額シェアで20.8%)を大きく引き離している。
(2)国際拠点空港としての成田の位置づけ
2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」で、首
都圏空港を含めたオープンスカイの推進が盛り込ま
れた。オープンスカイとは、参入可能な航空会社の数、
路線・便数に係る制限を二国間で相互に撤廃すること。
表1-20 成田空港におけるオープンスカイ合意国
合意年月
2010年
この「新成長戦略」に基づき国土交通省は、首都圏
空港を含めたオープンスカイを推進する交渉を開始。
2010年10月の米国との合意を皮切りに、2016年5月の
スペイン・ラオス・カンボジアとの合意に至るまで、成
田空港におけるオープンスカイ合意国は2016年10月
末現在で26カ国・3地域に拡大し、成田空港の2015年
国際線発着総旅客数のうち、オープンスカイ合意国の
(地域:香港、マカオ、台湾)
26カ国3地域
2011年
旅客が占める割合は79.3%となっている。成田空港で
国・地域
10月
米国
12月
韓国
1月
シンガポール
2月
マレーシア
5月
香港
6月
ベトナム
7月
マカオ
8月
インドネシア
9月
は、誘導路の新設とスポットの整備が完了して、運用
カナダ
オーストラリア
が開始された2013年夏ダイヤ(2013年3月31日)から
10月
ブルネイ
オープンスカイが適用された(表1-20参照)
。
11月
台湾
日本経済の再生に向けて、2013年6月に閣議決定
1月
英国
された新たな成長戦 略「日本 再 興 戦 略 〜JAPAN is
2月
ニュージーランド
3月
スリランカ
6月
フィンランド
7月
フランス
8月
オランダ
BACK〜」でも、
「訪日環境の改善」を図る施策として、
「LCC参入促進等による航空ネットワークの充実」
や
「ビ
ジネスジェットの利用環境整備」などとともに「オープ
ンスカイの戦略的推進」が位置づけられた。
2012年
さらに、2016年6月に閣議決定された「日本再興戦
スウェーデン
略2016」では、訪日外国人旅行者数を2020年に4000
10月
万人、2030年に6000万人とする目標が盛り込まれた
ノルウェー
デンマーク
「観光立国の実現」への対応として「地方空港等のゲー
トウェイ機能強化」が打ち出され、首都圏空港の機能
11月
強化については、
「2020年以降、成田空港の抜本的な
7月
スイス
9月
フィリピン
10月
ミャンマー
容量拡大などの機能強化方策の具体化に向けて、引き
2013年
続き関係自治体等と検討を進める」ことや「成田空港
におけるビジネスジェット受入環境改善の検討を進め、
2014年
2月
羽田・成田両空港の連携による更なる受入を図る」こ
となどが指摘されている。
「訪日観光客の拡大に向け
た環境整備等」の「観光先進国のショーケース化」でも、
「成田空港・羽田空港の鉄道・バスのアクセス改善、空
タイ
オーストリア
スペイン
2016年
5月
ラオス
カンボジア
(2016年10月末現在)
3. 東アジアの国際拠点空港としての成田空港
73
74
3. 東アジアの国際拠点空港としての成田空港
バンコク
(BKK)
30,017 ドバイ
バンコク
29,588
(BKK)
ロンドン
(LGW)
香港
成田
シンガポール
ロンドン
(LGW)
バンコク
(DMK)
ドバイ
5
6
7
8
9
10
アムステルダム
10
出典:ACI「2015 World Airport Traffic Report」
1,527 アムステルダム
1,686 マイアミ
台北
9
1,568 台北
1,544 マイアミ
1,610 マイアミ
1,741 シンガポール
1,611 アムステルダム
1,663 ドバイ
1,829 アンカレッジ
上海
(PVG)
8
1,857 フランクフルト
1,826 シンガポール
7
上海
1,832
(PVG)
パリ
(CDG)
1,332 アンカレッジ
1,345 台北
1,634 シンガポール
1,758 成田
1,742 台北
1,753 アンカレッジ
1,814 シンガポール
2,126 成田
1,612 アンカレッジ
1,686 マイアミ
1,865 シンガポール
パリ
1,899
(CDG)
2,045 フランクフルト
パリ
2,142
(CDG)
パリ
1,778
(CDG)
上海
1,916
(PVG)
上海
1,895
(PVG)
1,911 シンガポール
シンガポール
2013
空港名
1,646 マイアミ
1,675 アンカレッジ
1,676 シンガポール
パリ
1,835
(CDG)
2014
パリ
1,806
(CDG)
1,941 成田
台北
1,974
(TPE)
上海
2,159
(PVG)
2,395 ドバイ
ソウル
2,436
(ICN)
4,127 香港
千トン
空港名
1,853
1,861
1,787 シンガポール
1,951
パリ
1,844
(CDG)
1,957
1,858 フランクフルト
2,007 アンカレッジ
2,005
台北
2,043
(TPE)
2,395
2,490
2,506
4,380
千トン
2,036
2015
41,998
43,252
48,720
53,994
54,836
58,246
60,367
68,071
69,816
77,453
千人
2,073 成田
上海
2,334
(PVG)
ソウル
2,368
(ICN)
2,474 ドバイ
4,376 香港
千トン
※成田は17位
(30,548)
37,183 アタテュルク
※成田は16位
(29,592)
バンコク
34,079
(BKK)
ソウル
44,907
(ICN)
52,713 フランクフルト
53,289 シンガポール
54,941 アムステルダム
パリ
58,627
(CDG)
62,901 香港
ロンドン
68,091
(LHR)
2015
40,786 アタテュルク
1,850 フランクフルト
1,652 アンカレッジ
空港名
69,954 ドバイ
千人
バンコク
38,153
(BKK)
ソウル
41,303
(ICN)
51,316 フランクフルト
52,528 シンガポール
52,775 アムステルダム
2014
1,903 シンガポール
1,939 成田
1,952 フランクフルト
6
2,084 成田
2,149 フランクフルト
1,785 フランクフルト
パリ
1,963
(CDG)
1,994 フランクフルト
2,183 ドバイ
パリ
1,997
(CDG)
フランクフルト
5
1,810 ドバイ
2,010 成田
アンカレッジ
4
2,130 フランクフルト
上海
2,156
(PVG)
上海
2,190
(PVG)
パリ
2,030
(CDG)
ソウル
2,280
(ICN)
2,059 ドバイ
2,212 成田
2,236 成田
2,265 ドバイ
空港名
上海
2,344
(PVG)
千トン
上海
1,846
(PVG)
2012
成田
空港名
3
千トン
2,397 ドバイ
2011
2
空港名
4,025 香港
千トン
ソウル
2,484
(ICN)
2010
3,938 香港
空港名
ソウル
2,634
(ICN)
千トン
※成田は13位
(30,490)
30,617 アタテュルク
4,128 香港
2009
※成田は13位
(29,629)
32,450 マドリッド
ソウル
38,351
(ICN)
バンコク
39,358
(BKK)
49,910 フランクフルト
50,749 アムステルダム
50,976 シンガポール
ソウル
2,268
(ICN)
空港名
バンコク
(BKK)
34,538 ソウル(ICN)
35,009
45,429 シンガポール
49,477 フランクフルト
49,681 アムステルダム
50,192 香港
パリ
56,768
(CDG)
ロンドン
65,876
(LHR)
59,274 香港
3,350 香港
千トン
空港名
67,325 ドバイ
千人
パリ
55,656
(CDG)
2013
56,201 香港
ソウル
2,386
(ICN)
2008
※成田は13位
(26,303)
31,418 マドリッド
空港名
ロンドン
65,258
(LHR)
千人
パリ
52,753
(CDG)
2012
57,120 ドバイ
ロンドン
(LHR)
空港名
55,675 ドバイ
64,688
千人
3,627 香港
空港名
バンコク
(BKK)
32,164 ソウル(ICN)
32,950
40,924 シンガポール
45,137 フランクフルト
46,307 アムステルダム
46,314 ドバイ
49,775 香港
2011
ソウル
2,524
(ICN)
千トン
バンコク
(BKK)
ロンドン
(LHR)
空港名
パリ
53,150
(CDG)
60,903
千人
3,742 香港
2007
28,835
29,066 成田
30,895 ソウル(ICN)
36,089 シンガポール
40,104 アムステルダム
43,521 フランクフルト
44,521 ドバイ
44,979 香港
2010
ソウル
2,308
(ICN)
空港名
バンコク
(BKK)
ロンドン
(LHR)
空港名
パリ
53,032
(CDG)
60,651
千人
3,579 香港
千トン
30,104
30,434 マドリッド
32,324 成田
36,288 シンガポール
36,592 ドバイ
46,708 アムステルダム
47,141 フランクフルト
47,349 香港
2009
ソウル
(ICN)
2006
31,140
33,481 成田
34,237 シンガポール
35,221 ドバイ
46,305 フランクフルト
47,088 香港
ロンドン
(LHR)
空港名
パリ
55,825
(CDG)
61,346
千人
香港
空港名
27,926
33,860 シンガポール
43,275 香港
45,697 フランクフルト
47,693 アムステルダム
2008
1
順位・年
(2)国際貨物量
ロンドン
31,633
(LGW)
33,368 成田
フランクフルト
4
45,941 アムステルダム
アムステルダム
3
パリ
54,904
(CDG)
ロンドン
(LHR)
空港名
パリ
51,889
(CDG)
62,099
千人
パリ
(CDG)
2007
2
ロンドン
(LHR)
空港名
61,348
千人
ロンドン
(LHR)
2006
1
空港名
1章
順位・年
表1-21 世界の空港国際線ランキング
(1)国際旅客数
第
成田空港を取り巻く環境
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