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今週の市況展望

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今週の市況展望
2016 年 3 月 14 日
<今週の市況展望>
反発を強める東証マザーズ指数
先週の日経平均は下落してスタートした。これは
ECB理事会(3/10)や日本のSQ算出(株価指数先物・
オプション特別清算値、3/11)などを控えて、主力株は
利益確定売りに押されたためと見られる。
こうしたなかで、東証マザーズ指数は1月4日の戻
り高値を3月4日に突破し、7日も続伸した。主力株を
避ける動きに加えて、月末にかけて、新業態の新規
公開が相次ぐことも新興株上昇の追い風となった公
算が大きい。今週の新規公開は12社で、子育て支
援に関わる企業や、マウスを用いた受託試験サービ
スを手掛ける医薬品研究開発の支援企業など、特
徴のある企業の公開が予定されている。
ただし過去3年間の東証マザーズ指数の上値は
概ね1030~1050となっており、現状より上昇すると、
短期的な高値警戒感に留意する必要があろう。SQ
明けの今週以降、東証マザーズ指数に比べて出遅
れている日経平均 (主力株) は配当取りの活発化が
見込まれ、出遅れ修正の動きに期待したい。
今週は14~15日に日銀金融政策決定会合、15
投資の視点
エコノミスト Eye
為替展望
グローバル投資戦略
<日経平均と東証マザーズ指数の推移(日足)>
1100
円
1050
22000
日経平均(右軸)
1000
20000
950
900
18000
850
800
16000
750
700
14000
東証マザーズ指数(左軸)
650
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
600
15/6/5
15/7/9
15/8/13
15/9/16 15/10/26
12000
15/12/1
16/1/7
16/2/12
<今週の主な予定>
3月14日 (月)
日本
日本
3月15日 (火)
米国
3月16日 (水)
米国
日本
3月17日 (木)
3月18日 (金)
米国
米国
1月の機械受注
1月の鉱工業生産指数(確報)
日銀金融政策決定会合(3/14-15)
2月の小売売上高
2月の生産者物価指数
3月のNY連銀製造業景気指数
2月の住宅着工件数
2月の消費者物価指数
2月の鉱工業生産
FOMC(米連邦公開市場委員会、3/15-16)
2月の貿易収支(速報)
10-12月期の経常収支
3月のフィラデルフィア連銀景気指数
2月の景気先行指標総合指数
3月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報)
予定は変更されることがあります。東海東京調査センター作成
財政で賃金増加に寄与したい
◇◆ 今週の参考銘柄 ◆◇
賃金上昇力の弱さが個人消費の足枷に
リゾートトラスト(4681)
売り材料後退で資源・新興国通貨が反発
年初からの米株市場の混乱は収束へ
中国全人代で見えてきた政策方針
株式分析
~16日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され
る。このほか、国内では14日に1月の機械受注、米
国では15日に2月の小売売上高、17日に3月のフィ
ラデルフィア連銀景気指数が発表予定。
(梅田 俊一)
戻り一巡後は銘柄選別へ
物語コーポレーション(3097)
◇◆ 海外企業紹介銘柄 ◆◇
マイクロソフト
(米国・MSFT)
プロクター・アンド・ギャンブル
(米国・PG)
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
投資の視点
財政で賃金増加に寄与したい
今年の春闘における大企業の集中回答日を
倍率(求人数÷求職者数)が1.28倍とバブル期のピ
3月16日に控え、安倍首相は4日、経団連の榊
ーク (1990年7月の1.46倍) を視野に入れるほど労
原会長(東レ出身)に3年連続の賃上げ要請を行
働市場が逼迫しているのに、ベアや賞与の恩
った。昨年のように2~3%のベースアップが期
恵を受けにくい非正規雇用が4割に達している
待される一方で、年明けからの世界的な金融
ことも、現金給与総額の伸び鈍化の一因。
市場の混乱に加え、マイナス金利の影響で大
安倍首相は「賃金の増加→消費の増加」を
手都銀や生保の一角が早々とベアの実施を見
目指しているが、内外で激しい競争に見舞わ
送るなど、昨年に比べて賃上げに慎重な企業
れている民間企業にも事情がある。先週記した
が増える恐れがある。
ように、ここは安倍政権が財政を出動させて賃
昨年の大手企業のベアは2~3%と比較的高
金の増加に直接、寄与するしかあるまい。
かったものの、これがマクロの賃金指標にほと
2014年秋から現金給与総額の伸びが鈍化し
んど反映されなかった。厚生労働省が毎月発
たのに株高基調が続いたのは、同年10月の日
表している現金給与総額 (給与+賞与) の伸び
銀の追加緩和の効果だったが、それも息切れ
が、昨年を通じてベアとは逆に鈍化したからだ
(下図)。公共投資などで積極的に財政出動して
(下図、伸び率は6ヵ月移動平均) 。大手企業がベア
いた13年から14年前半は現金給与総額の伸び
を実施しても、多くの中小企業が実施しなかっ
も改善、株高基調が続いていた(下図)。当時の
たことが主因とみられる。今年1月の有効求人
ような良い流れを期待したい。
21000
円
(隅谷 俊夫)
2.8
< 日経平均と現金給与総額 >
日銀
追加緩和
(14/10)
▼
(出所:厚生労働省、QUICK、東海東京調査センター作成)
19000
2.6
2.4
2.2
17000
2.0
1.8
日経平均
(月足)
15000
1.6
1.4
1.2
13000
1.0
0.7
(14/9)
11000
%
0.8
0.6
9000
0.4
0.3
(16/1)
0.2
0.0
7000
-0.2
5000
現金給与総額
(前年同月比、6ヵ月移動平均)
-0.4
3000
現金給与総額=給与+賞与
-0.8
-0.6
-1.0
-1.1(13/3)
1000
11
12
13
-1.2
14
- 1 -
15
16
年
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
エコノミスト Eye
賃金上昇力の弱さが個人消費の足枷に
になされているとは言い難い。
雇用改善の割に賃金上昇力は弱い
厚生労働省の「民間主要企業春季賃上げ要
現在、失業率は完全雇用失業率と目されて
求・妥結状況」によると、春闘による賃上げ率は
いる3.5%程度を下回っており(16年1月時点で3.2
13年度が前年比+1.8%に対し、14年度が同
%)、労働市場は十分にタイトな状態にあるとい
+2.19%、15年度が同+2.38%と加速してき
える。失業率のこれまでの低下は、アベノミクス
た。このうち+1.8%程度を毎年実施される定期
以降の景気回復と若年労働力人口の減少を背
昇給に相当する部分と想定すれば、13年度の
景としたものであるが、問題はそれにもかかわら
ベースアップはゼロに対し、14年度は前年比
ず十分な賃金上昇が達成されていないことであ
+0.4%程度、15年度は同+0.6%程度のベー
ろう。例えば1月の毎月勤労統計 (速報) による
スアップが実現したことになる。しかしこのような
と、現金給与総額 (いわゆる名目賃金に相当) は前
ベースアップの原資は基本的にアベノミクス開
年比+0.4%と前月の同0.0%からは持ち直した
始以降の企業収益の改善によって発生したも
が、15年度の前半は総じて同+0.7~0.9%で
のである。法人企業統計によると既に企業の売
推移しており、最近の伸び率は明らかに頭打ち
上高、経常利益ともに水準は一旦ピークアウト
傾向だ。基本給に相当する所定内給与につい
してしまっており(下図)、このことが今後ラグをも
ても1月は前年比+0.1%と前月の同+0.4%か
って新たな賃金の抑制要因として影響してくる
ら伸び率は低下している(下図)。
と予想される。このように現状では将来的な賃
金上昇の加速が期待し難い中で、15年夏場以
名目賃金の推移
(前年比 %)
降は新興国の景気減速懸念を背景として国際
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
‐0.5
‐1.0
‐1.5
‐2.0
‐2.5
‐3.0
現金給与総額
金融市場もしばしば混乱しており、家計の消費
行動が積極化するには今しばらく時間を要する
と考えられる。15年10-12月期の個人消費は
所定内給与
暖冬の影響もあり大幅に減少したが、1-3月期
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 1
2
3
4
5
14
(出所)厚生労働省「毎月勤労統計」より東海東京調査センター作成
6
7
8
9 10 11 12 1
15
以降の回復力についても慎重に見ておく必要
16
(年・月)
があろう。
当面賃金上昇の加速は想定し難い
(武藤 弘明)
法人企業の経常利益と売上高の推移
13年1Q=100
13年1Q=100
107
145
140
106
売上高(右軸)
135
基本的に企業は固定費の抑制スタンスをさ
105
130
ほど緩めていないと考えられる。アベノミクス開
125
104
120
103
115
始以降、為替レートの円安シフトや企業収益の
102
経常利益(左軸)
110
101
105
改善を背景として労働市場はタイトになった
100
100
1
が、雇用の中味は依然として非正規雇用を中
2
3
13
4
1
2
3
4
14
1
2
3
4
15
(注)ともに季節調整値
心とするものであり、家計への所得分配が十分
(出所)財務省「法人企業統計」より東海東京調査センター作成
- 2 -
(年・四半期)
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
為替展望
売り材料後退で資源・新興国通貨が反発
年初から続いた売り材料の後退で、資源・新
に、原油価格に底入れ感が強まってきた。先物
興国通貨が反発に転じてきた。
市場では、価格上昇リスクをヘッジする動きも
米国では、昨年10~12月期の実質GDP成長
見られ始めている。サウジアラビアとロシアは3
率(改定値)が上方修正され、2月の雇用統計で
月中にも非公式会談を予定しており、増産凍結
は、雇用者数が大幅に伸びる一方、平均賃金
に向けた調整が進めば、一段の「原油価格上
の伸びは鈍化した。米景気の減速懸念が和ら
昇→資源国通貨高」も想定される。
ぐ中で、FRB (米連邦準備制度理事会)は利上げを
もちろん、足元の反発は、売られ過ぎの反動
急がないとの見方が広がり、資源・新興国通貨
によるところも大きい。だが、米経済指標の改善
の買いを後押しした。
や中国経済の底割れ懸念後退、原油を始めと
中国では、2月29日に人民銀行(中銀)が預金
した資源価格の下げ止まりで、市場のセンチメ
準備率の引き下げを決定した。5日からは全人
ントが大きく回復したことは確か。10日のECB
代(全国人民代表大会、日本の国会に相当)が開幕。
(欧州中銀)理事会では、追加緩和が予想される
2020年までの5カ年計画で、年平均成長率の
(執筆時点では不明) 。さらに、14~15日の日銀の
目標を6.5%以上とし、積極的な財政政策と穏
金融政策決定会合や15~16日のFOMC (米連
健的な金融政策の継続を表明した。中国政府
邦公開市場委員会) でハト派的な姿勢が確認され
が景気下支えに注力する姿勢を示したことは、
れば、さらなるリスクオンムードの拡大が見込ま
資源・新興国通貨の売り圧力後退につながる。
れよう。そうなれば、資源・新興国通貨の本格
上昇もありうる。
さらに、主要産油国の協調姿勢などを材料
(柴田 秀樹)
<年初からの米原油先物価格の推移と主要な資源・新興国通貨の対円での変化>
105
100
50
2016年1月1日を
100とする
資源・新興国通貨高円安
原油高
ブラジルレアル・円
(日足、左軸)
45
豪ドル・円
(日足、左軸) ドル/バレル
95
メキシコペソ・円
(日足、左軸)
90
40
35
85
米原油先物価格(日足、右軸)
30
80
(出所:ブルームバーグデータより東海東京調査センター作成)
75
2016年
1月1日
1月15日
1月29日
2月12日
- 3 -
2月26日
3月11日
25
3月25日
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
グローバル投資戦略
年初からの米株市場の混乱は収束へ
同月比2.2%増(予想:同2.5%増)に留まった。
経済指標は米国経済の底堅さを示唆
<米国 非農業部門雇用者数と平均時間給伸び率>
今月初旬に発表された米主要経済指標の多
600
くが良好な結果となったことを受け、一部で浮
千人
%
平均時間給伸び率
(前年同月比、右軸)
500
2.6
2.4
400
上していた米国経済に対する景気後退懸念は
2.2
300
かなり和らいできている。
2.0
200
1.8
100
1日に発表された「ISM製造業景況指数 ( 2
2.8
1.6
0
1.4
月)」は49.5と市場予想の48.5を上回るとともに、
-100
2ヵ月連続での改善を示した。まだ50の水準を
-200
下回ってはいるものの(同指数は、50を超えると製造
出所: 米国労働省(BLS)より東海東京調査センター作成
非農業部門雇用者数
(前月比増減、左軸)
2010
2011
2012
2013
1.2
1.0
2014
2015
2016
年
業の活動が拡大基調にあることを、50を下回ると縮小基調
雇用回復にもかかわらず思ったほど賃金上
にあることを示す)、この改善は米国経済に対する
昇が加速しない要因として、労働市場の改善が
悲観的な見方が広がりつつあった市場にかなり
相対的に賃金の低いサービス業中心となって
の安心感を与える結果となった。
いることが挙げられる。いずれにせよ、雇用拡
大が続く一方で、インフレ圧力が適度に抑えら
<S&P500 と ISM 製造業景況指数>
%
れているという今回の雇用統計の内容は、FRB
ISM製造業景況指数と株価との連動性はかなり高い
60
70
(米連邦準備制度理事会)が利上げを急ぐ必要がな
S&P500
(前年同月比、左軸)
40
いという意味において、市場にとってのベストシ
60
20
0
ナリオに近いものであった。
50
-20
ISM製造業景況指数
(右軸)
-40
年初からの市場混乱は収束へ
40
-60
30
2004
2006
2008
2010
2012
2014
出所: 米供給管理協会とブルームバーグより東海東京調査センター作成
「VIX指数」 (S&P500を対象とするオプション取引の
2016
年
値動きを基に算出され、数値が高いほど投資家が相場の
また4日に発表された雇用統計 (2月) では、
先行きに不透明感を持っていることを示す)は、先週目
「非農業部門雇用者数」が前月比24万2000人
安とされる20の水準を下回ってきた(VIXは通常10
増と予想(同19万5000人増)を上回るとともに、1月
~20の範囲内で推移) 。原油安やドル高の流れに
の数値が上方修正された (15万1000人増→17万
歯止めがかかりつつあること、またG20(20ヵ国・地
2000人増) 。また「失業率」は4.9% (予想:4.9%) と
域)財務相・中央銀行総裁会議での財政政策を
前月比変わらずとなった (「労働参加率」が昨年9月
中心とする政策協調の動きや、その後の中国
を底に上昇傾向にあることから、今後「失業率」の低下に
人民銀行による預金準備率の引き下げ、そして
はブレーキがかかる可能性が高いと思われる)。その一
米国の景気後退懸念の緩和などを背景に、年
方で、「平均時間給伸び率」は前月比0.1%減
初から続いた米株市場の混乱はようやく収束し
(予想:0.2%増、前月比マイナスは2014/12以来)、前年
たとみてよいであろう。
- 4 -
(長田 清英)
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
グローバル投資戦略
中国全人代で見えてきた政策方針
中国では全人代(全国人民代表大会、日本の国会
李首相が発表した目標値は概ね事前予想と
に相当) が3月5日に開幕した。李克強首相は開
一致したが、財政赤字の対GDP比は予想の4.0
幕式で発表した政府工作報告書で、今年の成
%を下回った。鉄道投資と道路投資にそれぞ
長目標を6.5~7.0%とした(昨年の目標は7.0%)。
れ8000億人民元、1兆6500億人民元を投入す
22年ぶりに成長目標に幅を持たせたのは、柔
ると明らかにしたが、大規模な刺激策を避けた
軟な政策運営を可能にしたいからだと考えられ
い格好だ。成長重視の姿勢を示すも、経済の
る。具体的には、経済成長の下ぶれリスクが強
下支えとして注力することにとどめたもよう。
まると追加の刺激策を打ち出して改革のペース
一方、経済構造転換のカギを握る消費につ
を緩める一方、経済の底堅さが確認できれば
いては、明確な刺激策がなかった。さらに、改
改革のペースを速めるという政策方針が想定さ
革の一環となる生産能力の削減は、景気の下
れる。
ぶれリスクが強まれば、政府は削減目標を引き
また、今年は「積極的な財政政策と穏健な金
下げる可能性がある。このように、政府は今年
融政策」を継続すると明らかにした。こうした政
改革を遅らせ、再び従来の成長エンジンとなる
策方針に合わせる形で、国内の流動性のバロ
投資に頼る政策方針に傾き始めたとみて取れ
メーターとなるマネーサプライ(広義通貨供給量、
よう。また、先に記したように、中央政府は今後
M2)の伸び率の目標を昨年の12.0%から13.0%
中国の経済状況によって柔軟に政策を変更す
に引き上げた。また、財政赤字の対GDP(国内総
る可能性があるため、今年の中国株式投資戦
生産) 比を昨年予算案の2.3%から3.0%に拡大
略は政策の細かな変化に合わせて臨む必要が
させた。
ありそう。
(胡 細蓮)
<上海総合指数および中国の実質GDP成長率と成長目標>
8000
(前年比、%) 20
18
6000
上海総合指数(年足、左目盛)
16
4000
14
12
2000
年間実質GDP成長率
(右目盛)
0
10
8
-2000
年間成長目標(右目盛)
2016年の成長目標
6.5~7.0%
-4000
90/1
95/1
00/1
05/1
出所:全国人民代表大会、中国国家統計局、ブルームバーグのデータより、東海東京調査センター作成
注:1993年以前は国民総生産(GNP)となる、1995年の成長目標は8~9%
- 5 -
10/1
6
4
15/1 (年/月)
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
株式分析
戻り一巡後は銘柄選別へ
かうかは依然不透明な状況にある。売られ過ぎ
下落セクターの買い戻しが活発化
水準からの修正にとどまる可能性もあり、買い
日経平均は3月2日に25日移動平均線を上
戻しが一巡した後は銘柄選別姿勢を強める必
回ってから、その後戻りを試す展開に入ってい
要があろう。
る。3月1日の2月の米ISM製造業景況指数が市
強気の投資判断の銘柄に注目
場予想を上回ったのをきっかけに、リスクオン・
戻り一巡後の銘柄選別を考える上で、アナリ
ムードが強まったことが背景にある。
3月に入ってからの東証業種別株価指数の
ストによる株価評価が指針となろう。下表には、
騰落率(3/1~7)を見ると、海運、鉱業、鉄鋼とい
東海東京調査センターのアナリストが直近、強
った資源関連セクターがそろって10%以上の
気の投資判断を付与した主な銘柄をピックアッ
上昇となり、国際商品市況の反転に追随した動
プ。企業の独自製品・技術、経営戦略等によ
きとなっている。また、マイナス金利導入が発表
り、堅調な業績推移や来期の業績回復が見込
されてから大きく売り込まれてきた銀行セクター
まれている銘柄が多い。この中から、リゾートト
も上昇率の上位に顔を出している。こうした昨
ラスト (4681) 、物語コーポレーション (3097) を今
年からの株価下落が大きかったセクターに買い
週の参考銘柄に取り上げたほか、次ページに
戻しが強まっていることは投資家心理に明るさ
は 大 真 空 ( 6962 ) 、 キ ユ ー ソ ー 流 通 シ ス テ ム
をもたらすものであるが、ここから本格反騰に向
(9369)を紹介。
(鈴木 晃)
<弊社アナリストが強気の投資判断を付与している主な銘柄>
コード
銘柄名
4681
リゾートトラス
5988
パイオラックス
9369
キユソー流通
6962
大真空
3097
物語コーポ
6794
フォスタ電
2222
寿スピリッツ
5981
東京綱
7826JQ フルヤ金属
4044
セ硝子
4282
EPS
6465
ホシザキ
4901
富士フイルム
株価
レポート
予想経常利益
コメント
(3/7)
今期予想 来期予想
発行日
2,742
20,230
22,400 参考銘柄のページを参照
3月4日
海外拡大をけん引役に業績上ブレの可能性。自動車部品株の中
5,570
9,773
10,500
3月4日
で最も売上高営業利益率が高い
コンビニやスーパー等の低温度食品物流の需要は堅調。不採算
2,184
4,670
5,080
3月4日
取引の減少による利益率の改善を予想
国内の構造改革が進展。通信向け部品の好調が続くと見込み、
233
450
1,000
3月2日
17/3期は黒字幅拡大を予想
5,550
3,050
3,450 参考銘柄のページを参照
3月1日
相対的にコストの安いベトナム生産へのシフト、情報通信事業での
2,286
10,600
11,100
3月1日
採算改善により17/3期も増益を予想
独自ブランド創出、販売エリアの厳選、インバウンド需要の拡大な
6,770
3,257
3,709
2月29日
どを背景に、17/3期以降も好調な業績推移を見込む
炭素繊維複合材ケーブルの収益貢献などから中期的な利益成長
160
3,600
4,400
2月29日
を予想。17/3期は防災製品の海外拡販もけん引役になるとみる
希少金属分野で高度な技術力を確立。17/6期はスマホ向け製品
1,580
1,050
1,730
2月24日
の寄与で大幅増益を予想
ガラス事業の収益改善が進展。17/3期は燃料費の低減、米国の収
655
15,800
17,200
2月23日
益好調を見込む
新薬開発の効率化を背景に治験業務のアウトソーシング需要は旺
1,523
6,400
7,200
2月23日
盛。中国事業の本格寄与で中期的な成長期待も高い
飲食店だけでなく、ホテルや病院、老人保健施設向けの営業開拓
8,730
35,500
41,000
2月23日
が進展。足元の国内売上は会社想定を上回っているもよう
円高影響があるものの、ヘルスケア事業の成長やドキュメント事業の
4,297 188,318 197,100
2月18日
採算好転により増益基調を予想
出所)QUICK、東海東京調査センターレポートより弊社作成、予想は東海東京調査センター、レポート発行日の新しい順
決算月はキユソー流通は11月、物語コーポとフルヤ金属は6月、EPSは9月、ホシザキは12月、他は3月
- 6 -
(円、百万円)
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
株式分析
実績 PBR1 倍割れの 2 銘柄
大真空(6962)
水晶デバイス総合大手。15年4-12月期経常利益は、
前年同期比約3倍の4.1億円で着地(2/12に発表)。地域別
連結経常利益
同 EPS
同 PER
収益では、日本は構造改革の効果や国内工場の稼動好
調により大幅増益。台湾は、中華スマホ向けの堅調と円
16/3 予
17/3 予
4.5 億円
1.5 円
155.3 倍
10.0 億円
9.9 円
23.5 倍
予想は東海東京調査センター
安効果もあり会社計画を上回って推移している模様。弊
株価(3/7)
15年来高値
〃 安値
売買単位
社では、16/3期経常利益を4.5億円と会社計画4.1億円を
上ブレると予想。17/3期は通信向け(TCXO*1、音叉型振動子)
233
395
168
1,000
円
円 (15/1/7)
円 (16/2/12)
株
*1:TCXO=温度補償水晶発振器
*2:PBR0.5倍は、同社の過去10年間の平均PBRと過去
5年間の平均PBRを参考に算出。
の好調等により、前期比約2.2倍の経常増益を予想。
16/3期弊社予想BPS676円をベースに、PBR0.5倍 *2 に
相当する株価330円を目指す展開を予想。
(武井 宏彰)
キユーソー流通システム(9369)
食品物流大手。親会社キユーピーへの営業収益依存
度は9.0%(15/11期)。弊社では、16/11期経常利益を前期
連結経常利益
同 EPS
同 PER
比17%増と会社計画並みを予想。続く17/11期は同9%の
経常増益を見込む。新物流センター立ち上げ費用が発
16/11 予
17/11 予
46.7 億円
189.9 円
11.5 倍
50.8 億円
206.6 円
10.6 倍
予想は東海東京調査センター
生する一方で、低温度食品物流の需要増加をベースに
株価(3/7)
15年来高値
〃 安値
売買単位
既存・新規取引増加や、不採算取引の減少による利益率
改善を見込んでいる。
2,184
2,936
1,351
100
円
円 (15/7/24)
円 (15/3/12)
株
15/11期実績PBRは0.92倍と1倍割れの水準。弊社で
は、株価は16/11期予想EPS189.9円にPER15倍程度の評
価は可能と考え、2850円を目指すと考える。
(武井 宏彰)
<大真空の日足チャート>
450
400
<キユーソー流通システムの日足チャート>
円
395(15/1/7)
3250
大真空(日足)
3000
(15/11/12)
269
300
キユソー流通(日足)
2500
2250
250
2000
25日移動平均線
220
(15/8/25)
150
100
(15/12/9)
2900
(15/7/24)
2936
2750
350
200
円
千株
168
(16/2/12)
出来高
15/1/5
15/2/26 15/4/17 15/6/12
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
15/8/4
15/9/28
15/11/19
16/1/15
1200
1000
800
600
400
200
0
1750
25日移動平均線
2103
(15/9/8)
千株
1842
(16/2/12)
1500
出来高
250
200
150
100
50
0
15/7/1
16/3/8
15/8/17
15/10/5
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
- 7 -
15/11/20
16/1/12
16/2/26
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
今週の参考銘柄
-名古屋・中部圏銘柄-
株 価(3/7):2,742.0円
リ ゾ ー ト ト ラ ス ト (4681)
市場:東証1部
15 年来高値
〃 安値
業種:サービス業
3,800.0 円 (15/8/10)
2,390.0 円 (16/2/12)
■業績推移
決算期
連
連
連
連
(単位:百万円、円)
売上高
伸び率
116,824
120,401
3.1%
144,550
20.1%
160,550
11.1%
14/3
15/3
16/3 予
17/3 予
営業利益
伸び率
15,190
16,041
5.6%
19,430
21.1%
21,600
11.2%
経常利益
伸び率
16,830
20,206
20.1%
20,230
0.1%
22,400
10.7%
一株当たり
利益
配当
89.7
31.0
120.3
43.0
123.0
46.0
142.4
49.0
当期利益
伸び率
8,733
11,851
35.7%
13,130
10.8%
15,200
15.8%
予想は東海東京調査センター(細井 克己) 14/3期の伸び率は会計方針の変更に伴い遡及修正が行われたため記載せず
14年1月1日をもって普通株式1株につき2株に分割、1株当たり指標は遡及修正済み
■投資指標
PER(株価収益率)
PBR(株価純資産倍率)
配当利回り
16/3期 予
実績
16/3期 予
22.3 倍 17/3期 予 19.3 倍
2.84 倍
(15/3期 1株純資産 964.0 円)
1.67 % ROE(自己資本利益率) 13.6 % (15/3期)
時価総額
売買単位
2,928 億円
100 株
会員制リゾートホテル「エクシブ」を展開
会員制リゾートホテルで国内トップ。郊外型高級会員制リゾートホテル「エクシブ(XIV)」シリーズが主力。
複数のオーナーが1室を共有するタイムシェア制度の導入などで会員数を伸ばしている。ほか、医療・介
護サービス、会員以外でも利用できるシティホテルやレストランの運営など、業容を拡大させている。
芦屋ベイコート倶楽部開業の 18/3 期は前期比 20%経常増益を見込む
新規物件の芦屋ベイコート倶楽部(開業予定:18年2月、兵庫県芦屋市)、エクシブ六甲サンクチュアリ・ヴィラ
(同:18年4月、同県神戸市)の人気が高く、それらの会員権販売が好調。開業前ホテルの会員権は、契約時に
約半分が売り上げ計上され、残りが開業時までの繰り延べとなる。東海東京調査センターでは、経常利益
伸び率(前期比)について、16/3期は新たな施設開業に伴う費用増などで0.1%増にとどまるが、17/3期は
10.7%増、芦屋ベイコート倶楽部の繰り延べが収益計上される18/3期は19.9%増と予想する(図1)。
株価は 3,900 円を目指す展開を予想
当調査センターでは大幅増益を予想する18/3期業績を織り込み、株価は再び上昇軌道をたどるとみる
(図2)。18/3期一株当たり利益を168.2円(前期比18.1%増)と予想。東証1部サービス業の3ヵ月平均PER23.4
倍に相当する3,900円(≒18/3期予想一株当たり利益168.2円×23.4倍)を目指す展開を見込む。
<図 1:売上高および経常利益の推移>
億円
1900
350
億円
エクシブ鳥羽別邸(16年3月開業予定)
1500
1300
202
1100
202
224
168
900
700
268
売上高(左軸)
3800.0
3500
3000
300
2500
2390.0
250
2000
200
1500
1000
129
(15/8/10)
円
4000
リゾートトラス(週足)
エクシブ湯河原離宮(17年3月開業予定)
1700
<図 2:株価チャート(週足)と出来高の推移>
400
芦屋ベイコート倶楽部(18年2月開業予定)
経常利益(右軸)
(廣瀬 治)
26週移動平均線
1503.0
(16/2/12)
千株
5000
出来高
(14/4/11)
4000
150
3000
2000
500
100
13/3期
14/3期
15/3期
1000
0
16/3期予 17/3期予 18/3期予
14/1/20
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター
売上高グラフ上部に主な開業予定の施設を記載
- 8 -
14/7/21
15/1/19
15/7/20
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
16/1/18
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
今週の参考銘柄
-名古屋・中部圏銘柄-
株 価(3/7):5,550.0円
物語コーポレーション (3097)
市場:東証1部
15 年来高値
〃 安値
業種:小売業
5,980.0 円 (15/12/18)
3,420.0 円 (15/2/12)
■業績推移
決算期
単
連
連
連
14/6
15/6
16/6 予
17/6 予
(単位:百万円、円)
売上高
伸び率
26,846
18.9%
33,432
39,100
17.0%
44,500
13.8%
営業利益
伸び率
2,011
7.1%
1,959
2,700
37.8%
3,100
14.8%
経常利益
伸び率
2,099
5.0%
2,407
3,050
26.7%
3,450
13.1%
当期利益
伸び率
1,189
9.9%
1,257
1,590
26.5%
1,910
20.1%
一株当たり
利益
配当
215.3
35.0
209.9
53.0 記
265.1
55.0
318.4
57.0
予想は東海東京調査センター(細井 克己) 15/6期より連結決算を実施のため、同期の伸び率は非掲載
■投資指標
PER(株価収益率)
PBR(株価純資産倍率)
配当利回り
16/6期 予
実績
16/6期 予
20.9 倍 17/6期 予 17.4 倍
3.17 倍
(15/6期 1株純資産 1,751.2 円)
0.99 % ROE(自己資本利益率) 11.9 % (15/6期)
時価総額
売買単位
333 億円
100 株
「焼肉きんぐ」など外食店を展開、専門店部門の「ゆず庵」が好調
ファミリー層をターゲットとした郊外型焼肉店など多彩な外食店を、直営・フランチャイズにより関東・中
部圏を中心に展開。主力は食べ放題方式の「焼肉きんぐ」だが、寿司・しゃぶしゃぶ食べ放題の専門店
「ゆず庵」も好調。同業態の店舗数は15年末の22(うち直営19)に対し、毎期10店以上の直営出店を計画。
好調な焼肉店、専門店の出店により 16/6 期、17/6 期と増益が続く見通し
15年7-12月期の既存店売上高は前年同期比3.1%増と好調、売上高は前年同期比18%増、営業利
益は同50%増で着地(2月10日発表)。主力の焼肉部門と「ゆず庵」(専門店部門)がけん引した。東海東京調
査センターは、16/6期の売上高を前期比17%増の391億円、営業利益を同38%増の27億円とみる。直営
店の期中出店を焼肉12店、専門店12店と予想(期末直営店舗は焼肉108店、専門店30店と予想)。17/6期も上記2
部門の伸びを見込み(図1)、売上高は同14%増、営業利益は同15%増と好調持続を見込む。
17/6 期予想 PER21 倍の 6,600 円程度を目指し株価上昇を予想
当調査センターは、業績の好調から株価は17/6期予想PER21倍の6,600円程度(17/6期予想一株当たり利
益318.4円×PER21倍)を目指すと予想する。PER21倍は類似企業3社[あみやき亭(2753)、安楽亭(7562東2)、ハイデ
イ日高(7611)]の今期予想PER※(2月29日時点)の平均値である。 ※ハイデイ日高のみ前期推定 PER
<図 1:部門別売上高の推移>
億円
500
300
61
35
86
112
0
FC部門
専門店部門
「ゆず庵」
お好み焼部門
200
100
<図 2:株価チャート(週足)と出来高の推移>
その他部門
400
「お好み焼本舗」
194
222
244
268
(川又 信之)
6500 円
6000
5500
5000
4500
4000
3500
3000
物語コーポ(週足)
(15/4/14)
4365
5980(15/12/18)
(15/8/19)
5130
4160
3420(15/2/12)
26週移動平均線 (16/2/12)
600
出来高
ラーメン部門
400
「丸源ラーメン」
200
焼肉部門
0
「焼肉きんぐ」
15/6期
16/6期予
17/6期予
18/6期予
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
予想は東海東京調査センター 「 」は各部門の主力業態
14/8/18
15/2/16
15/8/17
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
- 9 -
千株
16/2/15
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
海外企業紹介銘柄
マイクロソフト (MICROSOFT CORPORATION)
市場:米国(NASDAQ:ナスダック)
銘柄コード:MSFT
業種:システム・ソフトウェア
決算月:6 月
■事業内容
世界最大のソフトウェア開発企業。基本ソフト(OS)「Windows」や携帯電話、タブレット、ゲーム機等のモア・パー
ソナル・コンピューティング部門、ビジネス向けソフト製品群「Office」等のプロダクティビティ&ビジネス・プロセス
部門、クラウド・プラットフォーム「Azure」を含むサーバ向け製品等のインテリジェント・クラウド部門からなる。
■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル)
■株価指標
売上高
決算期
純利益
伸び率
16/6 2Q(実績)
15/6(実績)
16/6 予
17/6 予
23,796
93,580
91,902
97,476
-10.1
7.8
-1.8
6.1
一株当たり
伸び率
4,998
12,193
18,289
21,466
-14.8
-44.8
50.0
17.4
利益
配当
0.78*
2.63*
2.76*
3.06*
0.36
1.24
1.41
1.56
株価(16/3/4)
52 週高値(15/12/29)
52 週安値(15/8/24)
PER16/6 月期(予)
17/6 月期(予)
5 年平均予想 PER
時価総額
業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース
52.03
56.85
39.72
18.9
17.0
13.3
411,521
(ドル)
(ドル)
(ドル)
(倍)
(倍)
(倍)
(百万ドル)
2016 年 6 月期 2Q(10-12 月)は市場予想を上回る決算内容
2016年6月期2Q決算は、繰延の影響を除くベースの売上高が前年同期比1.7%減、特殊要因を除く継
続事業ベースの一株当たり利益が同11.4%増。いずれも市場予想を上回った。インテリジェント・クラウド
部門は同5.0%増収となり、特に「Azure」の売上高が同127%増と急成長を見せた。また、プロダクティビテ
ィ&ビジネス・プロセス部門は同1.9%減収となったものの、「Office 365」(「Office」のクラウド版製品)の売上高
が個人向け、企業向けともに好調であり、為替の影響を除けば増収であった。
企業向けクラウドの高成長が継続、利益率も改善中
2Qの企業向けクラウドの年換算売上高は94億ドル超(前年同期比70%超の増加)。会社側は、2018年6月
期中にこれを200億ドルまで成長させることを目指している。さらに、2Qには企業向けクラウドの粗利益率
も46%と、前年同期比9%ポイントの改善を見せた。現状ではまだ全社粗利益率より低水準(相対的に低採
算の事業)であるものの、今後もスケールメリットにより企業向けクラウドの利益率改善が期待できるとみる。
利益成長の加速が中長期的な株価上昇を導くと予想
2Qの営業費用は、80-81億ドルの会社ガイダンスに対して78.98億ドルで着地しており、コスト管理の
取り組みが奏功している印象。企業向けクラウドの成長およびコストコントロールにより、同社の利益成長
は今後加速するとみており、同社株価は中長期的に上昇基調をたどると予想する。
<企業向けクラウドの年換算売上高>
250
(億ドル)
150
100
50
<マイクロソフトの週足チャート>
200
200
80
94
44
0
2014/6期 2015/6期 2016/6期
4Q
4Q
2Q
(堤 雄吾)
2018/6期中
(会社計画)
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
- 10 -
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
海外企業紹介銘柄
プロクター・アンド・ギャンブル (THE PROCTER & GAMBLE COMPANY)
市場:米国(ニューヨーク証券取引所)
銘柄コード:PG
業種:家庭用品製造
決算月:6 月
■事業内容
米国日用品メーカー大手。180以上の国と地域で事業を展開。主な事業としては、衣料用洗剤や消臭剤などを
扱うファブリック&ホームケア、紙おむつやティッシュなどを扱うベビー・フェミニン・ファミリーケア、スキンケアや
ヘアケア用品などを扱うビューティー、髭剃りなどを扱うグルーミング、歯ブラシなどを扱うヘルスケアがある。
■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル)
■株価指標
売上高
決算期
純利益
伸び率
16/6 2Q(実績)
15/6(実績)
16/6 予
17/6 予
16,915
76,279
65,199
66,381
一株当たり
伸び率
-8.5
-5.3
N.A.
1.8
3,206
7,036
10,131
11,363
35.2
-39.6
N.A.
12.2
利益
配当
1.04*
4.02*
3.64*
4.06*
0.66
2.59
2.71
2.86
業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース
株価(16/3/4)
52 週高値(15/3/24)
52 週安値(15/8/24)
PER16/6 月期(予)
17/6 月期(予)
5 年平均予想 PER
時価総額
(ドル)
(ドル)
(ドル)
(倍)
(倍)
(倍)
(百万ドル)
83.49
85.11
65.02
22.9
20.6
18.3
225,804
2016 年 6 月期 2Q(10-12 月)は減収増益
2016年6月期2Q決算は、前年同期比8.5%減収、純利益が同35.2%増。為替の影響や販売数量の減
少により減収。また、途上国における薄利な低価格製品群を高付加価値ブランドへ切り替えた戦略なども
減収要因となった。損益面では、製造コストや間接費用の削減等により営業利益が同約8%増加した。
事業再編が順調に進捗、さらなる利益率の改善を見込む
同社は2012年6月期よりリストラを継続し生産効率の向上や収益体質の強化を図ってきた。現状では、
不採算事業の売却と主要65ブランドへの集中を進めている。65ブランドには、年間売上高が10億~約
100億ドルの21ブランドと将来10億ドルブランドへ成長が期待される11ブランドが含まれている。2016年2
月末にはバッテリー事業売却を完了し、他の事業売却も順調に進捗している。会社側は今年度中に6カ
年計画の当初目標を15%上回るコスト削減を達成するとしており、さらなる利益率の改善が見込まれる。
長期的な収益拡大と安定的な株主還元に注目。株価の堅調推移を予想
同社は、次期5カ年で100億ドルのコスト削減と次期4カ年で最大700億ドルの株主還元を予定してい
る。これらはそれぞれ過去5年間の前回計画を上回る水準であり、長期的な収益拡大と安定的な株主還
元が期待されよう。足元では、今後12ヵ月の予想配当利回り(約3.37%)はS&P500生活必需品指数(約2.76
%)を上回っていることも支援材料になるとみており、同社株の堅調な推移を予想する。
<一株当たり配当金の推移>
3
(ドル)
<プロクター・アンド・ギャンブルの週足チャート>
2.86
2.71
2.59
2.45
2.5
2.29
2.14
2
2012/6期
2013/6期
2014/6期
2015/6期
2016/6期
(予想)
(浅水 範恵)
2017/6期
(予想)
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
- 11 -
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
今週の「フォーカス・ワン」
< No.125 > どうなる? 米大統領選挙と円・ドル相場の行方
米国の大統領選挙は、スーパー・チューズデー(3/1の党員集会・予備選集中日)が終わり、民
主党がクリントン候補、共和党がトランプ候補に絞られてきた。そこで、過去の「米大統領選
挙とドル・円相場について」 (1988年以降)調べてみた。結論からいうと、①誰が大統領になる
か判らない大統領選挙年の円/ドルの変動率(高値-安値/前年末)の平均は14.4%と、経済政
策が明らかになる翌年の大統領就任年の同19.6%に比べ低い。②大統領選挙の勝利党派
でみると、共和党候補の場合の1988年、2000年の翌年は円安・ドル高に、民主党候補の場
合の92年、08年の翌年は円高・ドル安の傾向が強まった。③2期目の96年(民主)、04年(共
和)、12年(民主)の翌年はいずれも円安・ドル高となった。これらから言えることは、(1)大統領
選挙の年はどの党が政権を取るか判らず様子見となる。(2)大統領選挙の翌年は共和党だ
と円安・ドル高に、民主党だと円高・ドル安になる傾向がある。ただ今回はこれまでの両氏の
発言からみて、共和党のトランプ氏が勝利した場合は円高・ドル安に、民主党が3期目(オバマ
大統領の政策継続)となるクリントン氏の場合は現状維持(?)と、先例とは異なるシナリオが必要
かもしれない。米大統領選挙は、本選挙(11/8)まで新たな不確実性要因となろう。(中井 裕幸)
今・来週のタイムテーブル
・ 国内では、3月14日(月)に1月の機械受注、15日(火)に2月の首都圏マンション販売、17日(木)に2月の貿
易収支(速報)などの発表が予定されている。また、14日(月)~15日(火)に日銀金融政策決定会合が開か
れる予定。
・ 米国では、3月15日(火)に2月の小売売上高、16日(水)に2月の消費者物価指数、2月の鉱工業生産などの
発表が予定されている。また、15日(火)~16日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれ、会合終了
後にイエレンFRB議長による記者会見が行われる予定。
月日
3.14(月)
15(火)
国内経済
LITALICO (6187 東証マザーズ)
2月の首都圏マンショ ン販売
1月の鉱工業生産指数(確報)
1月の第3次産業活動指数
日銀金融政策決定会合(14日から開催)
富士ソフトサービスビューロ (6188 ジャスダック)
ユー・エム・シー・エレクトロニクス (6615 東証1部)
富山第一銀行 (7184 東証1部)
16(水)
17(木)
2月の貿易収支(速報)
アカツキ (3932 東証マザーズ)
アグレ都市デザイン (3467 ジャスダック)
グローバルグループ (6189 東証マザーズ)
フェ ニックスバイオ (6190 東証マザーズ)
イワキ (6237 東証2部)
ヒロセ通商 (7185 ジャスダック)
アイドママーケティングコミュニケーショ ン
(9466 東証マザーズ)
1月の全産業活動指数
2月のコンビニエンスストア売上高
チエル (3933 ジャスダック)
ウイルプラスホールディングス
(3538 ジャスダック)
ベネフィットジャパン (3934 東証マザーズ)
24(木)
25(金)
月日
3.15(火)
2月の消費者物価指数(CPI)
2月の企業サービス価格指数
16(水)
17(木)
10~12月期の経常収支
3月のフィラデルフィア連銀景気指数
2月の景気先行指標総合指数
18(金)
3月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報)
21(月)
2月の中古住宅販売件数
22(火)
1月のFHFA住宅価格指数
23(水)
2月の新築住宅販売件数
24(木)
2月の耐久財受注
2月の製造業受注・資本財(非国防・航空機)
25(金)
10~12月期のGDP(確報)
グッド・フライデーにつき、米国株式市場は休場
経済指標の発表は変更されることがあるのでご注意ください。担当アナリストの取材およびブルームバーグ、日経クイック他より作成。
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米国経済
2月の小売売上高
2月の生産者物価指数
3月のNY連銀製造業景気指数
3月のNAHB住宅市場指数
1月の企業在庫
2月の住宅着工件数
2月の住宅建設許可件数
2月の消費者物価指数
2月の鉱工業生産
2月の設備稼働率
FOMC(米連邦公開市場委員会、3/15-16)
昭栄薬品 (3537 ジャスダック)
18(金)
22(火)
新規上場予定
1月の機械受注
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
このレポートは、東海東京調査センターが作成し、宇都宮証券株式会社が許諾を受けて提供いたして
おります。投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます
宇都宮証券の概要
商 号 等 : 宇都宮証券株式会社
加入協会 : 日本証券業協会
金融商品取引業者
関東財務局長(金商)第32号
リスクについて
◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買
等にあたっては、株式相場、金利水準等の変動や、投資信託、投資証券、受益証
券発行信託の受益証券等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、
商品等(裏付け資産)の価格や評価額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等
が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付
け資産の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合、上場有価証券等
の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利
を行使できる期間に制限がありますのでご留意ください。
◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変
化することにより、為替相場が円高になる過程では外国証券を円貨換算した価値
は下落し、逆に円安になる過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇すること
になります。したがって、為替相場の状況によっては為替差損が生じるおそれがあ
ります。
※ 裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券
等である場合には、その最終的な裏付け資産を含みます。
※ 新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様
のリスクがあります。
- 13 -
宇都宮ウィークリー 平成28年3月14日
手数料等諸費用について
Ⅰ 国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等
国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手
数料等は、次の通りです。
(1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く。)
委託手数料の上限は、約定代金の1.242%(税込)になります。
(2) 国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等
委託手数料の上限は、約定代金の1.08%(税込)になります。
※上記金額が2,700円(税込)に満たない場合には、2,700円(税込)になります。
Ⅱ 外国金融商品市場等に上場されている株券等
外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます。)の取引には、国内の取引所金融商品市
場における外国株券等の売買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引
の2通りの方法があります。
(1)外国金融商品市場等における委託取引
① 国内取次ぎ手数料
国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。
当該手数料の上限は、約定代金の1.188%(税込)になります。
② 外国金融商品市場等における委託手数料等
外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公
課その他の諸費用が発生します。当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて
決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
(2)国内店頭取引
お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基
準に合理的かつ適正な方法で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差
がそれぞれ原則として2.5%(手数料相当額)となるように設定したものです。当該参考価格には
手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。
※ 外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動
向をふまえて当社が決定した為替レートによるものといたします。
Ⅲ その他
募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払いいただきます。また、お客様との合意に
基づき、別途手数料をいただくことがあります。
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このレポートで紹介するセミナー等では、金融商品取引契約の締結の勧誘(勧誘を目的とした具体的
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