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第2章 金融のマクロ理論
第2章 金融のマクロ理論 ※ 1.マクロ経済学の基礎知識 1−1 名目GDPと実質GDP GDP(国内総生産)とは・・・ 1国における1年間の総生産量の合計 総所得の合計 (ただし、GDPの厳密な定義ではないので注意) GDPが大きい GDPが上昇 豊か 好景気 1国の経済活動の規模を示す指標であり、経済成長の様子も判断できる ※ 本章の内容は、経済学部 児玉俊介教授の「マクロ経済学」講義資料によるところが多い 1 名目GDPと実質GDP 2001年 2007年 (2001年基準) りんご @100円 10個 @50円 20個 @100円 20個 メロン @1000円 9個 @1900円 5個 @1000円 5個 GDP 名目GDP 名目GDP 実質GDP ×100 = 実質GDP GDPデフレーター (物価指数) ※ ※ 厳密には、このような算出方法はパーシェ式物価指数といわれる。これに対して、消費者物価指数 2 や企業物価指数などの指標は、ラスパイレス式物価指数とよばれる。 名目GDP:金額を計測時点の物価で評価 実質GDP:金額を特定時点での物価で評価 名目値と実質値、物価水準との関係 名目値 実質値 =物価水準(P) 名目値 =実質値 物価水準(P) (参考) 実質経済成長率=今期の実質GDP−前期の実質GDP によって求められる。 前期の実質GDP 実質GDPでみると、前後の日本は著しく早い高度成長を遂げている。 3 1−2 GDPと三面等価の法則 ①GDP(国内総生産)とは 一定期間に国内で生産された生産物の粗付加価値額の合計 (フローの概念) (例) 100 80 消費者へ 50 農家(小麦) 製粉工場 (小麦粉) パン屋 このとき、GDPは 50+80+100=230? GDP=粗付加価値額( ) = =( ) − ( ) 4 ② 三面等価の法則 GDP = 粗付加価値額 (生産面) Gross Domestic Product = (自国で生産された)最終生産物の生産額合計 (生産面) =(自国で生産された)最終生産物に対する支出 (支出面) 国内総支出 GDE:Gross Domestic Expenditure(最終需要) = 各部門への分配分の合計 (分配面) 国内総所得 GDI : Gross Domestic Income (分配国民所得) GDP = GDI = GDE 「三面等価の法則」 (統計上の事後的な恒等関係 均衡の概念) ※1 5 GDI と GDE の内訳 GDP = (生産面) GDI (分配面) = ※2 算出額 − 中間投入 家計部門への分配 → 雇用者所得 投資家・地主・企業内部への分配 → 営業余剰 (配当・利子・地代・内部留保など) 政府部門への分配 → 固定資本減耗分の補填 → 間接税 − 補助金 固定資本減耗 (機械などの価値減少分) 家計による最終消費 政府による最終消費 公共投資 設備投資・住宅投資 → → 民間最終消費支出 政府最終消費支出 国内総固定資本形成 GDE (支出面) 在庫投資 (売れ残りを含む) 外国による消費 → 在庫品増加 財貨・サービスの輸出 ▲財貨・サービスの輸入 (公共投資 + 政府最終消費支出 → 政府支出 となる) 6 ※1 三面等価の法則のイメージ 中間投入 ※2 今後の理論モデルでの表記 生産要素 (労働・資本) GDE 消費 : 民間消費のみ 企業 分配 生産 付加価値 最終財への支出 消費者 給料 地代 配当 など 投資 : 設備投資 住宅投資 在庫投資 政府支出: 政府消費支出 公共投資 輸出−輸入 7 ③ 三面等価の法則と実際のデータとの関係 ※1 わが国の国民所得統計は、「国民経済計算体系(新SNA体系)」として まとめられている。三面等価の法則は、その中の「国民所得統合勘定」 ※2 から確認できる。 (表1) 国内総生産と総支出勘定 (参考1) 国民所得統計上の諸概念 ・ 「国民」と「国内」 GNP=GDP+(海外からの要素所得−海外への要素所得) ・ 「粗」と「純」 固定資本減耗を含むかどうか (機械などの価値の減少分) ※1 含む → 「粗」 含まない→「純」 5つの勘定(国民所得統合勘定・産業連関表・資金循環表・国民貸借対照表・国際収支表) を統合し、国民経済全体の様子をフローとストック、実物と金融の面から総合的に把握 する体系 ※2 4つの勘定(国内総生産と総支出勘定・国民可処分所得と処分勘定・資本調達勘定・ 8 海外勘定)から成り立つ ・「市場価格表示」と「(生産)要素価格表示」 含む → 「市場価格表示」 (間接税−補助金)を含むかどうか 含まない → 「要素価格表示」 (参考2) 国民所得計算上の原則 1. 市場で評価可能であること 市場で評価されないものは含まれない (例)家事労働、公害など 2. 生産活動によって産出した財・サービスに限定 株や土地、中古車の取引などはGDPに含まれるか? 3. 二重計算を避ける (例)中間財、輸入財など 9 1−3 総需要と総供給 マクロ経済学のモデルで生産物市場における需要と供給とは 何を意味しているのか? (→ ※ 政府と民間を区別する) 需要面 GDE=民間消費+民間投資+政府支出+(輸出−輸入) YD = 消費 + 投資 + 政府支出 +(輸出−輸入) 総需要 供給面 ・ 生産額そのもの( ) ・ 分配分(GDI)の使い道でとらえる 分配された所得をどう 使うか? 消費 処分 GDP=民間消費+政府消費+政府貯蓄+民間貯蓄 YS= 消費 + 貯蓄 + 税金 総供給 消費しない ( ) 10